説明

難燃化された裏面塗布を有するテキスタイル製品およびその作成法

難燃化コーティングを有するテキスタイル製品、ここで難燃化コーティングは難燃剤としてN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含んでなる組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の要約
本発明は難燃化コーティングを有するテキスタイル製品に関する。より詳細には本発明は、難燃化された裏面塗布が難燃剤としてN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含んでなる組成物を含む難燃化コーティングを有するテキスタイル製品に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
一般に市販のテキスタイル製品は、火事に際して火が広がることを防ぐことを援助するために法律により難燃性であることが要求される。したがって多くの応用では、市販のテキスタイル製品は少なくとも2種の異なる成分、テキスタイル材料および裏面塗布材料からなる。裏面塗布材料はしばしば裏層(backing layer)あるいは遮断シート(blocking−sheet)とも呼ばれるが、難燃性を上記テキスタイル製品に与えるために使用される。例えば輸送機関の室内装飾材料は別の火炎遮断シート層と合体して使用されている。さらなる例として、多くのカーペットが難燃性を有する第2もしくは第3の裏層を含む。
【0003】
そのような難燃化されたテキスタイルを提供するために、様々な材料を使用して難燃性を有する裏材もしくは遮断シートを提供することが提案されてきた。例えば特許文献1では、膨張性の粒子をカーペットの裏面塗布に使用してカーペットに難燃性を提供できることを教示する。
【0004】
他の従来技術の教示では、特別な臭素化もしくはリンに基づく難燃剤が綿およびポリエステル繊維と難燃性とのブレンドを提供するために有用であると記載されている。例えば特許文献2および3を参照にされたい。
【0005】
別の教示では、テキスタイル製品自体が難燃性もしくは抑煙性(smoke suppressant property)を有する繊維からなり、これについては例えば特許文献4を参照にされたい。
【0006】
しかしこれらの教示にしたがっても、繊維産業での難燃性製品に対する需要は増し続けている。すなわち当該技術分野において難燃化テキスタイルに対する必要性は常に存在する。
【参考文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,011,724号明細書
【特許文献2】米国特許第3,997,699号明細書
【特許文献3】米国特許第4,167,603号明細書
【特許文献4】米国特許第4,012,546号明細書
【発明の開示】
【0008】
発明の要約
本発明は、難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドが付加されているテキスタイル製品に関する。
【0009】
別の態様では、本発明は難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモ
ヘキサヒドロフタルイミドを含有するコーティング層が上に被覆されたコーティング層を有するテキスタイル製品に関する。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含有する裏面塗布を有するテキスタイル製品に関する。
【0011】
さらに別の態様では、本発明はテキスタイル材料および該テキスタイル材料の表面に適用されたコーティングを含んでなり、そしてその上に層を形成する低減した延燃性を有するテキスタイル製品に関し、該コーティングが難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含んでなる。
【0012】
さらに別の態様では、本発明はテキスタイルに難燃性を与える方法に関し、この方法は難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含んでなるコーティングを該テキスタイル張り付けることを含んでなる。
【0013】
発明の詳細な説明
本明細書で使用するテキスタイルはその最も広い意味で使用し、そして任意の織物(fabric)、フィラメント、ステープルまたは糸(yarn)、あるいはそれらから作られた製品を指すことを意味し、これは合成および/または天然繊維、特にポリアミド、アクリル、ポリエステルおよびそのブレンド、綿、コーデュロイ、ベルベットブロケード、ポリエステル−綿ブレンド、ビスコースレーヨン、黄麻を含むセルロースでできたテキスタイル材料で作られた製織もしくは不織およびすべての織物、布、カーペット等、ならびに木のパルプから作られた製品であることができる。本発明の用途に適するテキスタイルの非限定的例には、このように天然および/または合成カーペット;ポリエステル、ポリアミド、ナイロン、アクリル等のような合成繊維から作られた織物および/または布;綿のような天然繊維から作られた織物および/または布;および綿/ポリエステルブレンドのような合成繊維と天然繊維とのブレンドから作られた織物および/または布を含む。本発明の範囲には幾つかの態様において、本発明のテキスタイルを作る天然および/または合成繊維も難燃化されることに注目されたい。そのような難燃化された繊維は当該技術分野では周知であり、そしてそのような繊維の選択は当業者により容易に行うことができる。
【0014】
本発明のテキスタイルは、式:
【0015】
【化1】

【0016】
を有する難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドが張り付けられている。
【0017】
本明細書で使用する場合、N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドは上記式の互変異性体、立体異性体および多形も包含することを意味する。
【0018】
難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドとは、テキスタイルがテキスタイルの総重量に基づき約5〜約60重量%の範囲のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含んでなることを意味する。好適な態様では、テキスタイルは同じ基準で約15〜約40重量%の範囲、より好ましくは約25〜約30重量%の範囲のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含んでなる。
【0019】
N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドがテキスタイルに適用される方法は本発明に重要ではなく、そしてテキスタイルに難燃剤を適用するのに効果的であると当該技術分野で知られている任意の方法から選択することができる。例えばN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドは、噴霧、ディッピング(dipping)、ソーキング(soaking)等のような方法によりテキスタイルに分散および/または適用することができる。
【0020】
しかし好適な態様では、N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドは本明細書で集合的に裏面塗布(back−coating)と呼ぶ裏面(backing)、裏層(back layer)すなわち裏のコーティングのような層に含まれ、すなわちテキスタイルの表面に適用される。裏面塗布は典型的にはポリマー化合物および適切な液体担体材料から誘導され、ここにN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドが分散される。液体担体材料は、有機液体および水のような裏面塗布を生成するために通常使用される任意の適切な液体担体材料であることができる。好適な態様では、液体担体材料は水である。
【0021】
裏面塗布に使用するポリマーの選択は、当業者により容易に成され得る。多くは裏面塗布のポリマーは結合、コーティング、含浸または関連する用途のために知られ、そして使用されている任意の多数の安定なポリマー性分散物から選択されることができ、そして自己架橋型もしくは外部架橋型でもよい。ポリマーの構成成分は付加重合体、縮合重合体またはセルロース誘導体であることができる。適切なポリマーの非限定的例には、発泡型もしくは非発泡型オルガノゾル、プラスチゾル、ラテックス等があり、これらはポリビニルクロライド、ポリビニルクロライド−ポリビニルアセテートおよびポリエチレン−ポリビニルクロライドのようなハロゲン化ビニル;ポリビニルアセテート、ポリエチレン−ポリビニルおよびポリアクリル酸−ポリビニルアセテートのようなビニルエステルのポリマーおよびコポリマー;アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチルブチル、アクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチルおよびアクリル酸ジメチルアミノエチルのようなアクリル酸モノマーのポリマーおよびコポリマー;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピルおよびメタクリル酸ブチルのようなメタクリル酸モノマーのポリマーおよびコポリマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、N−イソ−プロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドおよびメタクリルアミドのポリマーおよびコポリマー;ポリビニリデンクロライド、ポリビニリデンクロライド−ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライド−ポリエチルアクリレートおよびポリビニリデンクロライド−ポリビニルクロライド−ポリアクリロニトリルのようなビニリデンポリマーおよびコポリマー;エチレンおよびポリエチレンを含むオレフィンモノマーのポリマーおよびコポリマー、ならびに1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン等のポリマーおよびコポリマー;天然ラテックス;ポリウレタン、ポリアミド;ポリエステル;スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−エチルスチレンお
よび4−ブチルスチレンを含むスチレンのポリマーおよびコポリマー;フェノール性乳液;アミノプラスト樹脂等を含む種類の1もしくは複数のポリマー構成成分を含む。裏面塗布テキスタイルにそのようなポリマーの使用は当該技術分野で周知であり、例えば米国特許第4,737,386号および同第4,304,812号明細書を参照にされたい。
【0022】
好適な態様では、裏面塗布のポリマーはポリマーラテックスまたはポリマープラスチゾル化合物のいずれか、より好ましくはポリマーラテックスである。幾つかの態様では、裏面塗布に使用するラテックスポリマーには少なくとも1つのアクリル酸モノマーを含むポリビニリデンクロライドコポリマーを含む。標準的なアクリル酸モノマーには、例えばアクリル酸、メタクリル酸、これらの酸のエステル、またはアクリロニトリル、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、エチレンジメタクリレート、酢酸ビニル、酢酸ブチル等がある。あるいは裏面塗布は通例の熱可塑性ポリマーを含んでなってもよく、これは当該技術分野で知られているホットメルト技術によりテキスタイルに適用され得る。
【0023】
裏面塗布は任意に付加的な成分、例えば他の難燃剤(fire retardants)、色素、防しわ剤、発泡剤、緩衝剤、pH安定化剤、固定剤、フルオロカーボンのような防汚剤、防染剤、防泥剤、浸潤剤、柔軟剤、撥水剤、染み抜き剤、蛍光増白剤、乳化剤、増粘剤および表面活性剤を含んでなることができる。
【0024】
裏面塗布は典型的にはポリマー、液体担体材料、任意の成分およびN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを知られている任意の様式および順序で合わせることにより形成され、そしてこの方法および順序は本発明に重要ではない。例えばこれらの成分、任意のおよびその他の成分の双方を保存容器等の中で一緒に混合することができる。
【0025】
さらに裏面塗布は当該技術分野で知られている任意の手段を介してテキスタイルの表面に適用することができる。例えば圧力ロールおよび冷却ロールを利用するようなコーティング機械の使用を利用することができ、押出しによる「ナイフ」塗布法、コーティング法、輸送法、コーティング、噴霧、発泡等。テキスタイルに適用する裏面塗布の量は一般に、上記のような難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを有するテキスタイルを提供するために十分な量である。裏面塗布を適用した後、裏面塗布は加熱または乾燥または裏面塗布を反応させる任意の方法によりテキスタイル上で硬化され得る。
【0026】
上記記載は本発明の幾つかの態様を対象としている。当業者は等しく効果的な他の手段を本発明の精神を実行するために考案できると認識している。本発明の好適な態様は、本明細書で検討するすべての範囲が、より低い量からより高い量までの範囲を含むことを意図している点に注目すべきである。以下の実施例は本発明を具体的に説明するものであり、どのような限定もしないことを意味する。
【実施例】
【0027】
実施例
以下の実施例では、ポリエステル/アクリル酸織物用の難燃剤としてN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含有する裏面塗布の効果を記載する。
【0028】
最初にN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド分散物を調製し、これを続いてポリエステル/アクリル酸織物に適用する裏面塗布を調製す
るために使用した。
【0029】
N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含有する裏面塗布の難燃性効果は、英国標準(British Standard)5852を用いて、水にソーキングする前および後に測定した(英国標準5651)。
【0030】
これらの例は、N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含有する裏面塗布が問題なく調製され、そして織物に適用でき、そしてこれら裏面塗布された織物が42.8%の付加(add−on)レベルでBS5852試験を通過したことを証明する。さらにこれら裏面塗布された織物は水へのソーキング試験後にいかなる重量も損失せず、そしてBS5852試験を通り(英国標準5651)、これによりN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含有する裏面塗布がぜいたくな家具への適用に使用するために適するようになる。
【0031】
実施例
1.N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド分散物の調製
N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド分散物を形成するために、145.2gの水を4枚の薄片スターラー(four−leaf stirrer)を備えたプラスチック容器に入れた。一定に撹拌しながら、2.15gのSuparex K(クラリアント:Clariantから市販されている分散剤)を水に加えた。水とSuparex Kと完全に混合した後、次いで2.95gのAlcopol OPG(チバ スペシャリティ ケミカルズ:Ciba Specialty Chemicalsから市販されている湿潤剤)を345.1gのN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドと一緒にカップの中の混合物に加えた。すべての成分を加えた後、撹拌機の速度を1500rpmに上げ、そして容器の内容物を2〜3分混合した。
【0032】
次いで4.6gのTexigel(商標)(スコット バーダー社:Scott Bader Ltd.から市販されているポリアクリル酸増粘剤)を一定の混合下で容器中の内容物に加えた。分散物の粘度は約2000〜約6000cPの範囲であり、そして分散物は約7.5〜約9.5の範囲のpHを有するべきである。粘度が低すぎれば、Texigel(商標)の量を上げることができ、粘度が高すぎれば水を加えることができる。粘度はBrookfield(DV−E)粘度計で容易に測定された。pHが低すぎればアンモニアを加えることができ、一方pHが高過ぎればPerformax(商標)11115(ノベオン パフォーマンス コーティングス:Noveon Performance Coatingsから市販されている)を加えることができる。pHはMetrohm(691)pHメーターで測定された。
【0033】
分散物の各成分の量は、以下の表1に含まれる。FRはN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド難燃剤と同義的に使用されていることに留意されたい。また重量%は分散物の総重量に基づく。
【0034】
【表1】

【0035】
2.裏面塗布の調製
N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含有する裏面塗布を形成するために、129.8gのVycar460X46(ノベオン パフォーマンス コーティングスから市販されているPVC乳液結合剤)を4枚の薄片スターラーを備えたプラスチック容器に入れ、そして穏やかに撹拌した。一定に撹拌しながらこのプラスチック容器に、19.1gのSanticizer(商標)141(フェロ コーポレーション:Ferro Corporationから市販されている可塑剤)を加え、続いて0.7gのSuparex DE104(クラリアントから市販されている消泡剤)を加えた。2分間撹拌した後、25.45gのViscalex(商標)HV30(チバ スペシャリティ ケミカルズから市販されているアクリル酸増粘剤)を93.35gの水と一緒に加え、続いて4.45gのアンモニア(25%)を加えた。一定に5分間撹拌した後、表1に記載した227gのN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド分散物を加えた。撹拌機の速度を1500〜2000rpmに上げ、そしてプラスチック容器の内容物のpHおよび粘度を測定した。粘度は約7000から9000cPの範囲にあるべきである。粘度が低すぎればViscalex(商標)HV30の量を上げることができ、粘度が高すぎればPerformax(商標)11115を加えることができる。pHは約9.2から約10の範囲にあるべきである。pHが低すぎればアンモニアを加えることができ、一方pHが高すぎればPerformax(商標)11115(ノベオン パフォーマンス コーティングスから市販されている)を加えることができる。
【0036】
裏面塗布中の各成分の量は、以下の表2に含まれる。FRはN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド難燃剤と同義的に使用されていることに留意されたい。また湿潤重量%は裏面塗布の総重量に基づく。
【0037】
【表2】

【0038】
3.織物の裏面塗布
表2に記載し、そして上記で生成した裏面塗布物を、587g/mの織物重量を有するポリエステル/アクリル酸織物に適用した。裏面塗布は織物へMathisのラボコーター(labcoater)LTE−S型、「ナイフ」塗布機により適用した。織物サンプル(33x43cm)はMathisラボコーターのピンフレイムに固定され、そしてナイフが織物の端(beginning)に配置され、そして裏面塗布物をナイフに近づけ、ナイフが前方に移動し、そして織物を覆う。コーティング速度およびコーティング厚は、織物上に所望するコーティングの量を得るために調整することができる。織物が塗布される時、ピンフレイムは自動的にオーブンへと進み、そしてオーブン内での時間およびオーブン温度を調整することができる。この実施例では、塗布された織物を90℃で5分間および140℃で10分間乾燥させた。
【0039】
裏面塗布した織物の裏面塗布(付加とも呼ぶ)および臭素含量の割合は、以下の式を使用して決定した:
1) [[[(塗布した織物の重量)/(織物の(L(cm)*W(cm))]*10000]−(非塗布織物の重量(g/m)]=裏面塗布重量(g/m
2) [(裏面塗布重量(g/m)}/(非塗布織物の重量(g/m))]*100=織物上の裏面塗布の%
【0040】
織物上の臭素の割合は以下の式を用いて算出される:
1) (織物上の裏面塗布の%) x (裏面塗布中の乾燥pphrでのFR分散物の%)=織物上の臭素化FRの%
2) (織物上の臭素化FRの%) x (FR中の臭素含量%)=織物上の臭素の%
【0041】
上記式を使用して、織物の裏面塗布は織物上に42.8%の裏面塗布を、そして織物上に17%の臭素を生じたと決定された。
【0042】
織物上に裏面塗布の適用後、裏面塗布した織物をBS5852(部分1)およびBS5852(部分2)の難燃性試験にBS5651水ソーキング試験と共に供した。裏面塗布した織物はこれらの試験にたやすく通った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドが付加されたテキスタイル製品。
【請求項2】
上記テキスタイル製品が、合成および/または天然繊維から作られた織物、布、カーペットおよび同様物から選択される請求項1に記載のテキスタイル製品。
【請求項3】
上記テキスタイル製品が、天然および/または合成カーペット;合成繊維から作られた織物および/または布;天然繊維から作られた織物および/または布;および合成繊維と天然繊維とのブレンドから作られた織物および/または布から選択される、請求項1に記載のテキスタイル製品。
【請求項4】
上記難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドが、テキスタイル製品の総重量に基づき約5〜約60重量%の範囲のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドである請求項1ないし3のいずれかに記載のテキスタイル製品。
【請求項5】
難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含有するコーティング層が上に被覆されたコーティング層を有するテキスタイル製品。
【請求項6】
上記コーティング層が上記テキスタイル製品の少なくとも1つの表面上に被覆されている請求項5に記載のテキスタイル製品。
【請求項7】
上記コーティング層が裏面塗布である請求項5に記載のテキスタイル製品。
【請求項8】
上記テキスタイル製品が、天然および/または合成カーペット;合成繊維から作られた織物および/または布;天然繊維から作られた織物および/または布;および合成繊維と天然繊維とのブレンドから作られた織物および/または布から選択される、請求項6に記載のテキスタイル製品。
【請求項9】
上記難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドが、テキスタイル製品の総重量に基づき約5〜約60重量%の範囲のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドである請求項8に記載のテキスタイル製品。
【請求項10】
上記天然および/または合成カーペット;合成繊維から作られた織物および/または布;天然繊維から作られた織物および/または布;および合成繊維と天然繊維とのブレンドから作られた織物および/または布が難燃化材料から作られている請求項3または8のいずれかに記載のテキスタイル製品。
【請求項11】
テキスタイル材料および該テキスタイル材料の表面に適用されたコーティングを含んでなり、そしてその上に層を形成する低減した延燃性を有するテキスタイル製品であって、該コーティングが難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含んでなる上記テキスタイル製品。
【請求項12】
上記難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドが、テキスタイル製品の総重量に基づき約5〜約60重量%の範囲のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドである請求項10に記載
のテキスタイル製品。
【請求項13】
テキスタイルに難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含んでなるコーティングを付加することを含んでなる、テキスタイルに難燃性を与える方法。
【請求項14】
上記テキスタイルが、合成および/または天然繊維から作られた織物、布、カーペットおよび同様物から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記テキスタイルが天然および/または合成カーペット;合成繊維から作られた織物および/または布;天然繊維から作られた織物および/または布;および合成繊維と天然繊維とのブレンドから作られた織物および/または布から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
上記難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドが、テキスタイル製品の総重量に基づき約5〜約60重量%の範囲のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドである請求項13ないし15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
上記天然および/または合成カーペット;合成繊維から作られた織物および/または布;天然繊維から作られた織物および/または布;および合成繊維と天然繊維とのブレンドから作られた織物および/または布が難燃化材料から作られている請求項16に記載の方法の製品。
【請求項18】
裏面塗布が付加されたテキスタイル製品であって、該裏面塗布が難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドを含有し、該テキスタイル製品が合成および/または天然繊維から作られた織物、布、カーペットおよび同様物から選択される上記テキスタイル製品。
【請求項19】
上記難燃化量のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドが、テキスタイル製品の総重量に基づき約5〜約60重量%の範囲のN−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミドである請求項18に記載のテキスタイル製品。
【請求項20】
上記テキスタイルが天然および/または合成カーペット;合成繊維から作られた織物および/または布;天然繊維から作られた織物および/または布;および合成繊維と天然繊維とのブレンドから作られた織物および/または布から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
上記天然および/または合成カーペット;合成繊維から作られた織物および/または布;天然繊維から作られた織物および/または布;および合成繊維と天然繊維とのブレンドから作られた織物および/または布が難燃化材料から作られている請求項20に記載の方法の製品。
【請求項22】
i)N−2,3−ジブロモプロピル−4,5−ジブロモヘキサヒドロフタルイミド;ii)1もしくは複数の有機液体、水またはその混合物;iii)1もしくは複数のポリマー;および任意にiv)1もしくは複数の他の難燃剤、色素、防しわ剤、発泡剤、緩衝剤、pH安定化剤、固定剤、フルオロカーボンのような防汚剤、防染剤、防泥剤、浸潤剤、柔軟剤、撥水剤、染み抜き剤、蛍光増白剤、乳化剤、増粘剤および表面活性剤を含んでなる組成物。
【請求項23】
上記ポリマーがポリマーラテックスまたはポリマープラスチゾル化合物のいずれかである請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
ii)が水である請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
上記組成物が難燃性をテキスタイルに提供するための使用に適している請求項22に記載の組成物。

【公表番号】特表2009−542925(P2009−542925A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−517487(P2009−517487)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際出願番号】PCT/IB2007/004430
【国際公開番号】WO2008/068642
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508375653)
【Fターム(参考)】