説明

難燃性合成樹脂組成物

【課題】相溶性、分散性、加工性及び難燃性に優れた合成樹脂組成物を提供すること
【解決手段】熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと、エチレン重合体及び/又はエチレン系共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂組成物以外からなる合成樹脂の群の中から選択された少なくとも1種の合成樹脂に対して、請求項1に記載された(A)成分及び(B)成分出表される2種類の(ポリ)リン酸塩化合物並びに(C)成分であるリン酸エステル化合物を配合してなることを特徴とする難燃性合成樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難燃剤成分を含有する合成樹脂組成物に関し、特に、それらの相溶性、分散性、加工性、及び難燃性に優れた合成樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂は、優れた化学的特性と共に優れた機械的特性を有するので、建材、自動車用部品、電気・電子用材料、繊維材料、包装用資材、農業用資材、家電製品のハウジング材、玩具等に、従来から広く用いられている。しかしながら、多くの合成樹脂は可燃性物質であるので、用途によっては特に難燃化することが不可欠であった。
【0003】
上記難燃化方法としては、ハロゲン系難燃剤、赤燐やポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸系難燃剤に代表される無機リン系難燃剤、トリアリールリン酸エステル化合物に代表される有機リン系難燃剤を添加したり、必要に応じて更に金属水酸化物や難燃助剤である酸化アンチモン、メラミン化合物等を、単独又は組み合わせて用いる方法が広く知られている。しかしながら、ハロゲン系難燃剤は、燃焼時に有害ガスを発生するという問題がある。そこで、このような問題を生じないリン系難燃剤を用いる試みがなされている。
【0004】
上記リン系難燃剤の中でも、特に有機リン酸エステルは、ハロゲンを含まない難燃剤として汎用されている。代表的な有機リン酸エステルとしては、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシリルホスフェート(TXP)等のトリアリール燐酸エステルが挙げられる。しかしながら、これらの化合物は比較的沸点が低いために、樹脂に配合して押し出し成形する等の成形時に、揮発して金型を汚染したり、成形品の表面にしみ出したりして外観を損なう等の欠点があった。
【0005】
そこで、揮発性の低いリン酸エステルである、縮合リン酸エステルを使用することが提案されている(特許文献1〜4)が、これら縮合リン酸エステルの難燃性は十分なものではなかった。また、特定の(ポリ)リン酸塩を主成分とする難燃剤として、燃焼時に表面膨張層(Intumescent)を形成し、分解生成物の拡散や伝熱を抑制することによって難燃性を発揮させる、イントメッセント系難燃剤も提案されている(特許文献5)。この(ポリ)リン酸塩を主成分とするイントメッセント系難燃剤の場合には、優れた難燃性を有するものの、樹脂との相溶性や樹脂組成物の加工性に劣る場合があるという欠点があった。
【0006】
また、特定の(ポリ)リン酸塩を主成分とするイントメッセント系難燃剤に、任意成分として更にリン酸エステルを併用することも可能であとの開示もあるが(特許文献6)、この文献には、合成樹脂との相溶性や分散性、加工性の向上に関する記載はなく、その知見を得ることもできなかった。シーリング剤についても同様であり、特定の(ポリ)リン酸塩とリン酸エステルを使用した防火性シーリング剤が提案されている(特許文献7)が、この文献には、合成樹脂に対する(ポリ)リン酸塩やリン酸エステルとの相溶性やこれらの分散性、或いは合成樹脂の加工性の向上等に関する記載はなく、その知見を得ることもできなかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の難燃性合成樹脂組成物について詳述する。
本発明の難燃性合成樹脂組成物に用いられる合成樹脂としては、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと、エチレン重合体及び/又はエチレン系共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂組成物以外からなる公知の合成樹脂の中から選択された、少なくとも1種の合成樹脂を使用することができる。
【0013】
本発明で使用することのできる合成樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、架橋ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−3−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体又はエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン及びこれらの共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂、クマロン樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂、SBS樹脂、耐熱ABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレート等の芳香族ポリエステル及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ポリ(2−オキセタノン)等の分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド、ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド、ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン、繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらのブレンド物あるいはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴムポリエーテルスルホン、ポリサルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等を挙げることができる。更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ニトリル系エラストマー、ナイロン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等のエラストマーであってもよい。
【0014】
本発明では合成樹脂を2種以上使用してもよい。また合成樹脂はアロイ化されていてもよい。
本発明で使用する合成樹脂は、分子量、重合度、密度、軟化点、溶媒への不溶分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるモノマーの種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)等に関わらず、使用することができる。
【0015】
本発明で用いることのできる合成樹脂の商品名を挙げると、ポリプロピレンとして、プライムポリプロ((株)プライムポリマー製)、モストロン−L((株)プライムポリマー製)、プライムモールド−E((株)プライムポリマー製)、ポリファイン((株)プライムポリマー製)、プライムTPO((株)プライムポリマー製)、ノバテックPP(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテック(日本ポリプロ(株)製)、ニューコン(日本ポリプロ(株)製)、ニューストレン(日本ポリプロ(株)製)、ニューフォーマー(日本ポリプロ(株)製)、ファンクスター(日本ポリプロ(株)製)、サンアロマー(サンアロマー(株))、フローブレン(住友精化(株)製)が挙げられる。
【0016】
ポリエチレンとしては、ハイゼックス((株)プライムポリマー製)、ネオゼックス((株)プライムポリマー製)、ウルトゼックス((株)プライムポリマー製)、モアテック((株)プライムポリマー製)、エボリュー((株)プライムポリマー製)、UBEポリエチレンシリーズ(宇部興産(株)製)、サンテック(旭化成ケミカルズ(株)製)、クレオレックス(旭化成ケミカルズ(株)製)、ペトロセン(東ソー(株)製)、ニボロン(東ソー(株)製)、LUMITAC(東ソー(株)製)、メルセン(東ソー(株)製)、ノバテック(日本ポリエチレン(株)製)、ハーモレックス(日本ポリエチレン(株)製)、ルポレン(バゼル社製)、ホスタレン(バゼル社製)等が挙げられる。
【0017】
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)としては、UBEポリエチレン(EVA)(宇部興産(株)製)、エバテート(住友化学(株)製)、エバフレックス(三井・デュポンポリケミカル(株)製)、サンテックEVA(旭化成ケミカルズ(株)製)、ジェイレクスEVA(日本ポリエチレン(株)製)、ウルトラセン(東ソー(株)製)等が挙げられる。
【0018】
エチレン−ビニルアルコール共重合体としては、ソアノール(日本合成化学工業(株)製)、ソアライト(日本合成化学工業(株)製)等が挙げられ、その他ポリオレフィン系共重合体として、アクリフト(住友化学(株)製)等が挙げられる。
【0019】
塩化ビニル樹脂としては、カネカPVC((株)カネカ製)、ビニカ(三菱化学(株)製)、スミコン(三菱化学(株)製)、シンエツPVC(信越化学工業(株)製)、ゼオンコンパウンド(ゼオン化成(株)製)、デンカビニコン(電気化学工業(株)製)、リケンコンパウンド(リケンテクノス(株)製)、リフォレスト(リケンテクノス(株)製)、レオニール(リケンテクノス(株)製)等が挙げられ、塩素化ポリエチレンとしては、エラスレン(昭和電工(株)製)、ダイソラック(ダイソー(株)製)等が挙げられる。
【0020】
アクリル系樹脂としては、アクリコン(三菱レイヨン(株)製)、アクリペット(三菱レイヨン(株)製)、デルペット(旭化成ケミカルズ(株)製)、ルクリル(BASFジャパン(株)製)等が挙げられ、ポリスチレンとしては、PSJポリスチレン(PSジャパン(株)製)、アトレーテ(日本エイアンドエル(株)製)、トーヨースチロール(東洋スチレン(株)製)等が挙げられる。
【0021】
スチレン系共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂、SBS樹脂、耐熱ABS樹脂、PC/ABSアロイ等)としては、クララスチック(日本エイアンドエル(株)製)、クレイトン(シェルジャパン(株)製)、サンレックス(テクノポリマー(株)製)、スーパーレックス(三菱化学(株)製)、スタイラックABS(旭化成ケミカルズ(株)製)、スタイラックACS樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製)、スタイラックAS樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製)、スタイロフレックス(BASFジャパン(株)製)、スタイロブレンド(BASFジャパン(株)製)、スタイロルクス(BASFジャパン(株)製)、セビアンN(ダイセルポリマー(株)製)、セビアンV(ダイセル(株)製)、タールクス(BASFジャパン(株)製)、ダイヤペット(UMG・ABS(株)製)、ダイラーク(日本エイアンドエル(株)製)、テクノMUH(テクノポリマー(株)製)、テクノABS(テクノポリマー(株)製)、テクノMBS(テクノポリマー(株)製)、テクノアルファBS(テクノポリマー(株)製)、テクノアルファロイ(テクノポリマー(株)製)、デンカABS(電気化学工業(株)製)、デンカAS(電気化学工業(株)製)、デンカHS(電気化学工業(株)製)、トーヨーAS(トーヨースチレン(株)製)、トヨラック(東レ(株)製)、バルクサム(三菱レイヨン(株)製)、プラスフィル(UMG・ABS(株)製)、マレッカ(電気化学工業(株)製)、ユニブライト(日本エイアンドエル(株)製)、ルーラン(BASFジャパン(株)製)、エクセロイ(テクノポリマー(株)製)等が挙げられる。
【0022】
ポリエステルとしては、FR−PET(ウィンテックポリマー(株)製)、G−PET(ユニチカ(株)製)、Uポリマー(ユニチカ(株)製)、ウベPBT(宇部興産(株)製)、ウルトラデュアー(BASFジャパン(株)製)、エスモ(クラレ(株)製)、クラスティン(デュポン(株)製)、クラペット(クラレ(株)製)、シーラーPT(三井・デュポンポリケミカル(株)製)、タフエイト(出光興産(株)製)、タフペットPBT(三菱レイヨン(株)製)、テイジンPET(帝人(株)製)、ノバペット(三菱エンジニアリングプラスチィックス(株)製)、ノバデユラン(三菱エンジニアリングプラスチィックス(株)製)、プラナック(DIC(株)製)、ライナイト(デュポン社製)、レマペット(三菱エンジニアリングプラスチィックス(株)製)等が挙げられる。
【0023】
不飽和ポリエステルとしては、エスタマットSMC(三井化学(株)製)、エステライト(日本合成化学工業(株)製)、エポラック(日本触媒(株)製)、グラスロン(旭ファイバーグラス(株)製)、スタンドライトCD(日立化成工業(株)製)、スミコンTM(住友ベークライト(株)製)、ダイスリック(DIC(株)製)、ディックマット(DIC(株)製)、ディックライト(DIC(株)製)、ニトロン(日東電工(株)製)等が挙げられる。
【0024】
ポリ乳酸としては、テラマック1030(ユニチカ(株)製)、レイシア(三井化学(株)製)、バイオフロント(帝人(株)製)等が挙げられる。
【0025】
ポリアミドとしては、アーレン(三井化学ファイン(株)製)、アミラン(東レ(株)製)、ウベスタ(宇部興産(株)製)、ウベナイロン(宇部興産(株)製)、ウルトラミッド(BASFジャパン(株)製)、ザイテル(デュポン(株)製)、シーラーPA(三井・デュポンポリケミカル(株)製)、ジェネスタ(クラレ(株)製)、デュレタン(バイエル社製)、レニー(三菱エンジニアリングプラスチィックス(株)製)等が挙げられ、ポリイミドとしては、イミダロイ(京セラケミカル(株)製)、オーラム(三井化学(株)製)等が挙げられ、ポリアミドイミドとしては、トーロン(ソルベイアドバンストポリマーズ社製)等が挙げられる。
【0026】
ポリカーボネートとしては、SDポリカ(住友ダウ(株)製)、ノバレック(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)、パンライト(帝人化成(株)製)、ユーピロン(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)等が挙げられる。
【0027】
熱可塑性ポリウレタンとしては、エステン(協和発酵工業(株)製)、クラミロンU(クラレ(株)製)等が挙げられ、反応性ポリウレタンとしては、ニッポラン(日本ポリウレタン工業(株)製)、ユーキャスト(日本ポリウレタン工業(株)製)等が挙げられる。
【0028】
ポリオキシメチレンアセタールとしては、ウルトラフォルム(BASFジャパン(株)製)、ジュラコン(ポリプラスチックス(株)製)、デルリン(デュポン社製)等が挙げられる。
【0029】
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、オタライト(オタライト(株)製)、スタンドライトCP(日立化成工業(株)製)、スミコンPM(住友ベークライト(株)製)、テコライト(京セラケミカル(株)製)、ミレックス(三井化学ファイン(株)製)、ユニベックス(ユニチカ(株)製)等が挙げられ、メラミンホルムアルデヒド樹脂としては、スミコンMMC(住友ベークライト(株)製)等が挙げられる。
【0030】
エポキシ樹脂としては、アウタンドライトCE(日立化成工業(株)製)、スミコンEM(住友ベークライト(株)製)、スミコンEME(住友ベークライト(株)製)、ミツイエポックス(三井化学(株)製)等が挙げられる。
【0031】
ポリフェニレンエーテルとしては、ザイロン(旭化成ケミカルズ(株)製)、ノリル(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン(株)製)、マスタロイ(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン(株)製)、ユピエース(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)、レマロイ(三菱エンジニアリングプラスチィックス(株)製)等が挙げられる。
【0032】
ポリフェニレンサルファイドとしては、アサヒPPS(AGCマテックス(株)製)、イデミツPPS(出光興産(株)製)、ウベPPS(宇部興産(株)製)、サスティール(東ソー(株)製)、東洋紡PPS(東洋紡(株)製)、トレリナ(東レ(株)製)、ノバップス(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)、フォートロン(ポリプラスチックス(株)製)等が挙げられる。
【0033】
ポリエーテルスルホンとしては、ウルトラゾーンE(BASFジャパン(株)製)、スミカエクセル(住友化学(株)製)、ミツイPES(三井化学ファイン(株)製)等が挙げられ、ポリサルフォンとしては、ウルトラゾーンS(BASFジャパン(株)製)、ミンデル(ソルベイアドバンストポリマーズ社製)、ユーデル(ソルベイアドバンストポリマーズ社製)等が挙げられ、ポリエーテルケトンとしては、ビクトレックスPEK(ビクトレックス社製)が挙げられ、ポリエーテルエーテルケトンとしては、ビクトレックスPEEK(ビクトレックス社製)、ミツイPEEK(三井化学(株)製)等が挙げられる。
【0034】
フッ素系ゴムとしては、アフラス(旭硝子(株)製)等が挙げられ、スチレン系エラストマーとしては、JSR SIS(JSR(株)製)、JSR TR(JSR(株)製)、アクティマー(リケンテクノス(株)製)、アサプレン(旭化成ケミカルズ(株)製)、アレキサールG(アロン化成(株)製)、エラストマーAR(アロン化成(株)製)、スーパートリブレン(新興化成(株)製)、トリニティ(リケンテクノス(株)製)、トリブレン(新興化成(株)製)、タフテック(旭化成(株)製)、セプトン(クラレ(株)製)等が挙げられる。
【0035】
ポリエステル系エラストマーとしては、プリマロイ(三菱化学(株)製)、ペルプレン(東洋紡績(株)製)、ハイトレル(東レ(株)製)等;オレフィン系エラストマーとしては、アムゼル(プラス・テク(株)製)、ジオラスト(AESジャパン社製)、ミラストマー(三井化学(株)製)、エスポレックス(住友化学(株)製)等;塩化ビニル系エラストマーとしては、アロンエラストマーAE(アロン化成(株)製)、デンカレオマーG(電気化学工業(株)製)等;ポリアミド系エラストマーとしては、グリラックス(DIC(株)製)、グリロン(エムスケミージャパン社製)等;ニトリル系エラストマーとしては、デンカLCS(電気化学工業(株)製)等;ナイロン系エラストマーとしては、ダイアミドPAE(ダイセル・エボニック(株)製)等が挙げられ、ポリウレタン系エラストマーとしては、エラストラン(BASFジャパン(株)製)、デスモパン(DICバイエルポリマー(株)製)、パンデックス(DICバイエルポリマー(株)製)、ミラクトラン(日本ポリウレタン工業(株)製)、レザミンP(大日精化工業(株)製)等が挙げられる。
【0036】
次に、本発明の難燃性合成樹脂組成物に使用する(A)成分と(B)成分について説明する。
本発明で使用する(A)成分と(B)成分は難燃剤成分であり、本発明の難燃性合成樹脂組成物の燃焼時に、表面膨張層(Intumescent)を形成して難燃性を発現する成分である。
【0037】
本発明において(A)成分として用いられる、下記の一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物は、リン酸とアンモニア又は下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体との塩である。

但し、(1)式中のnは1〜100の数を表し、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体であり、pは、0<p≦n+2の関係式を満足する数である。

但し、(2)式中のZ及びZは同一でも異なっていてもよく、−NR基〔ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、もしくはメチロール基〕、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基、フェニル基及びビニル基からなる群より選ばれる基である。
【0038】
前記一般式(2)におけるZ及びZで表される、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル等の基が挙げられ、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基としては、上記したアルキル基から誘導される基が挙げられる。また、Z及びZがとり得る−NR基におけるR及びRに対応する炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、上記したアルキル基のうちの、炭素原子数1〜6のものが挙げられる。
【0039】
前記したトリアジン誘導体の具体例としては、メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、アクリルグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ノニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジハイドロキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−エトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−プロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4,6−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0040】
前記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物の内、(A)成分として使用する化合物としては、例えばリン酸とメラミンとの塩又はポリリン酸アンモニウム化合物が挙げられるが、本発明においては特にリン酸とメラミンの塩が好ましく使用される。
【0041】
上記したリン酸とメラミンとの塩としては、例えば、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン等が挙げられるが、本発明においてはこれらの中でも、前記一般式(1)におけるnが2、pが2で、Xがメラミンであるピロリン酸メラミンを使用することが特に好ましい。これらのリン酸とメラミンとの塩は、例えば、ピロリン酸メラミンの場合には、ピロリン酸ナトリウムとメラミンとを塩酸を加えて任意の反応比率で反応させ、水酸化ナトリウムで中和することにより得ることができる。
【0042】
また、前記したポリリン酸アンモニウム化合物とは、ポリリン酸アンモニウム単体又はポリリン酸アンモニウムを主成分とする化合物を意味する。上記ポリリン酸アンモニウム単体としては、例えば、クラリアント社製のエキソリット−AP422、エキソリット−AP750、モンサント社製のフォスチェク−P/30、フォスチェク−P/40、住友化学(株)社製のスミセーフ−P等の市販品(何れも各社の商品名)を使用することができる。
【0043】
上記のポリリン酸アンモニウムを主成分とする化合物としては、ポリリン酸アンモニウムを熱硬化性樹脂で被覆又はマイクロカプセル化したもの、メラミンモノマーや他の含窒素有機化合物等でポリリン酸アンモニウムの表面を被覆したもの、界面活性剤やシリコーンによる処理を行ったもの、ポリリン酸アンモニウムを製造する過程でメラミン等を添加し、難溶化したもの等が挙げられる。このような化合物の市販品としては、クラリアント社製のエキソリット−AP462、住友化学(株)社製のスミセーフ−PM、ブーデンハイム社製のブディット−3167、FRクロス−C30,FRクロス−C60等(何れも各社の商品名)が挙げられる。
【0044】
次に本発明の(B)成分について説明する。
本発明において(B)成分として使用される下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物は、(ポリ)リン酸とYで表されるジアミンとの塩である。

但し、(3)式中のrは1〜100の数を表し、Yは〔RN(CH)mNR〕、ピペラジン又はピペラジン環を含むジアミンであり、R、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、R、R、R及びRは同一の基であっても異なってもよく、mは1〜10の整数であり、qは、0<q≦r+2の関係式を満足する数である。
【0045】
で表されるジアミンは、RN(CH)mNR、ピペラジン又はピペラジン環を含むジアミンである。ここでR、R、R及びRは、それぞれ水素原子、又は炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、R、R、R及びRは同一の基であっても異なった基であってもよい。上記のR〜Rで表される炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基としては、例えば、前記Z及びZで表されるアルキル基の具体例で挙げたものの中の、炭素原子数1〜5のものが挙げられる。
【0046】
ピペラジン環を含むジアミンとしては、例えば、ピペラジンの2、3、5、6位の1箇所以上を、アルキル基(好ましくは炭素数1〜5のもの)で置換した化合物;ピペラジンの1位及び/又は4位のアミノ基を、アミノ基で置換されたアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のもの)で置換した化合物が挙げられる。
前記一般式(3)におけるYで表されるジアミンの例としては、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1、7−ジアミノへプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9ージアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、ピペラジン、trans−2,5−ジメチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノエチル)ピペラジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン等が挙げられる。これらの化合物としては、全て市販品を用いることができる。
【0047】
前記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物の内、(B)成分として使用するのに好ましい化合物としては、例えば、オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジン等の、リン酸とピペラジンとの塩が挙げられる。本発明においては、これらの中でも、前記一般式(3)におけるqが1でYがピペラジンであるポリリン酸ピペラジンが好ましく、特に、ピロリン酸ピペラジンが好ましい。
【0048】
リン酸とピペラジンの塩、例えばピロリン酸ピペラジンは、ピペラジンとピロリン酸とを水中又はメタノール水溶液中で反応させ、水難溶性の沈殿として容易に得ることができる。
本発明において(ポリ)リン酸ピペラジンを使用する場合には、オルトリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、その他のポリリン酸の混合物からなるポリリン酸とピペラジンとから得られた塩を使用してもよい。この場合の原料であるポリリン酸の構成は、特に限定されるものではない。
【0049】
本発明における前記(A)成分の配合量は、難燃性の観点から、合成樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましく、特に5〜30質量部であることが最も好ましい。これに対して前記(B)成分の配合量は、難燃性の観点から、合成樹脂100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましく、1〜40質量部であることがより好ましく、特に5〜40質量部であることが最も好ましい。
【0050】
本発明における難燃剤成分である前記(A)成分及び(B)成分の合計配合量は、合成樹脂100質量部に対して、1〜90質量部であることが好ましく、5〜70質量部であることがより好ましく、10〜70質量部であることが更に好ましい。1質量部未満では十分な難燃化効果が得られず、90質量部を超えて配合すると樹脂としての特性を低下させる場合があるので好ましくない。
また、前記(A)成分と(B)成分との配合比率(質量基準)は、難燃性の点から、(A)/(B)=20/80〜50/50であることが好ましく、特に(A)/(B)=30/70〜50/50であることが好ましい。
【0051】
次に、本発明の難燃性合成樹脂組成物に使用する、(C)成分のリン酸エステル化合物について説明する
本発明で使用する(C)成分は、本発明で使用する合成樹脂成分と(A)成分及び(B)成分のみならず、他の添加成分の組成物中における相溶性と分散性を改良するとともに、樹脂組成物の加工性を改良する、相溶化剤・分散剤・加工性改良剤として働く成分である。
【0052】
(C)成分のリン酸エステル化合物は、下記一般式(4)で表される。

但し、(4)式中のR、R、R10及びR11は、同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜10のアルキル基、又は下記一般式(5)で表される芳香族基を表す。Rは下記一般式(6)又は(7)で表される2価の芳香族基を表し、sは0〜30の数を表す。
【0053】

但し、(5)式中のA及びAは、各々独立に水素原子、ヒドロキシ基又は炭素原子数1〜10のアルキル基を表し、(6)式及び(7)式中のA、A、A、A、A及びAは、各々独立に水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Gは直接結合、2価のイオウ原子、スルホン基又は炭素原子数1〜5のアルキリデン基もしくはアルキレン基を表す。
【0054】
上記一般式(4)〜(7)におけるR、R、R10、R11、A、Aで表される炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチル、アミル、第3アミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。A、A、A、A、A及びAで表される炭素原子数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、第2ブチル、第3ブチル等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル等が挙げられる。アリール基としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、2,4,6−トリメチルフェニル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0055】
また、一般式(5)で表される芳香族基としては、フェニル、クレジル、キシリル、2,6−キシリル、ブチルフェニル、ノニルフェニル等が挙げられる。Gで表される炭素原子数1〜5のアルキリデン基としては、エチリデン、イソプロピリデン等が挙げられ、炭素原子数1〜5のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等が挙げられる。
【0056】
尚、(C)成分であるリン酸エステル化合物を表す上記一般式(4)におけるsは0〜30の数であり、好ましくは1〜10の数である。
本発明の難燃性合成樹脂組成物に(C)成分として使用されるリン酸エステル化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜6を挙げることができるが、特に相溶性・分散性の向上効果が高いという観点から、化合物No.2の化合物を使用することが好ましい。

【0057】

【0058】

【0059】
これらのリン酸エステル化合物は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。本発明の難燃性合成樹脂組成物における(C)成分の配合量は、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、最も好ましくは0.5〜5質量部である。0.01質量部未満では、相溶性や分散性、加工性の向上効果が得られないことがあり、15質量部以上では、経済的に不利となる場合がある。
【0060】
本発明の難燃性合成樹脂組成物は、更に(D)成分として、難燃助剤である酸化亜鉛を含有することが好ましい。該酸化亜鉛は表面処理されていてもよい。本発明においては、市販されている酸化亜鉛を使用することができる。市販されている酸化亜鉛としては、例えば、酸化亜鉛1種(三井金属工業(株)製)、部分被膜型酸化亜鉛(三井金属工業(株)製)、ナノファイン50(平均粒径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)、ナノファインK(平均粒径0.02μmの珪酸亜鉛被膜した超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0061】
本発明の難燃性合成樹脂組成物は、合成樹脂に対し、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を配合することを必須とするが、さらに(D)成分を含有することが好ましい。(D)成分としての酸化亜鉛の配合量は、合成樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、更に好ましくは0.1〜5質量部である。
【0062】
(A)〜(D)成分を合成樹脂に配合するタイミングは特に制限されることはない。例えば、予め、(A)〜(D)成分の中から選択される2種以上をワンパック化して合成樹脂に配合しても、個々の成分を合成樹脂に対して配合してもよい。ワンパック化する場合には、各成分を各々粉砕してから混合しても、混合してから粉砕してもよい。
【0063】
また、本発明の難燃性合成樹脂組成物には、フッ素系のドリップ防止剤を配合してもよい。ただしこれらのフッ素系ドリップ防止剤を配合した場合には、樹脂のメルトフローレート(MFR)の低下を引き起こす傾向が顕著であるため、注意することが必要である。
【0064】
上記フッ素系のドリップ防止剤の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素系樹脂やパーフルオロメタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−n−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロ−t−ブタンスルホン酸カリウム塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム塩、パーフルオロ−2−エチルヘキサンスルホン酸カルシウム塩等のパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ金属塩化合物、又はパーフルオロアルカンスルホン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して用いてもよい。また同様に、その他のドリップ防止剤としてシリコーンゴム類を配合することもできる。
【0065】
また本発明の難燃性合成樹脂組成物には、ドリップ防止の点から、任意成分として、層状ケイ酸塩を配合してもよい。層状ケイ酸塩とは、層状のケイ酸塩鉱物であり、層間にカチオンを有していてもよい。上記層状ケイ酸塩は特に限定されるものではないが、例えば、サポナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物や、タルク、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカ等が挙げられる。これらの中でも、ドリップ防止の観点からサポナイト又はタルクを使用することが好ましく、価格等の経済性の観点から、特にタルクを使用することが好ましい。
【0066】
上記サポナイトとしては、例えば、スメクトンSA(クニミネ工業(株)製)が挙げられ、モンモリロナイトとしては、エスベン((株)ホージュン)、エスベンE((株)ホージュン)、エスベンN−400((株)ホージュン)、エスベンNO12((株)ホージュン)等が挙げられ、タルクとしては、例えば、MAICRO ACE P−4等の、日本タルク(株)製の微粉タルクMAICRO ACEシリーズ、日本タルク(株)製の超微粉タルクSGシリーズ、日本タルク(株)製のナノエースシリーズ等が挙げられる。
【0067】
層状ケイ酸塩は、天然物であっても良いし合成物であっても良い。また、これらの層状ケイ酸塩は、単独で用いられても、2種類以上が併用されても良い。
層状ケイ酸塩の層間に存在してもよいカチオンとは、層状ケイ酸塩の結晶表面上に存在するナトリウムやカルシウム等の金属イオンのことである。これらの金属イオンは、カチオン性物質との間でカチオン交換性を有するため、有機カチオン、(第4級)アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン等のカチオン性を有する種々の物質を、上記層状ケイ酸塩の結晶層間に挿入(インターカレート)することができる。
【0068】
本発明において使用する層状ケイ酸塩の層間に存在するカチオンは、金属イオンであっても良いし、その一部又は全部が、有機カチオン又は(第4級)アンモニウムカチオン、若しくはホスホニウムカチオンであっても良い。
上記金属イオンの例としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、リチウムイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。
有機カチオン又は第4級アンモニウムカチオンの例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムカチオン、ステアリルトリメチルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、ジステアリルジメチルアンモニウムカチオン、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウムカチオン、ジステアリルジベンジルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
これらのカチオンは、単独で存在しても2種類以上が併存しても良い。
【0069】
また、本発明の難燃性建材用樹脂組成物には、耐水性の観点から、任意成分としてポリカルボジイミドを配合してもよい。本発明において使用することのできるポリカルボジイミドとしては、例えば多価イソシアネート化合物から選択される少なくとも一種を用いた(共)重合体が挙げられる。多価イソシアネートの具体例としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、ピリジンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。上記ポリカルボジイミドとしては、日清紡績(株)製のカルボジライトHMV−8CA及びカルボジライトLA−1が、耐水性の観点から好ましい。
【0070】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、配合時に二次凝集が発生するのを抑制したり、耐水性を改良したりするために、シリコーンオイルを配合してもよい。
メチルポリシロキサン構造のシリコーンオイルとしては、ジメチルポリシロキサン構造のみからなるものと、ジメチルポリシロキサン構造とメチルハイドロジェンポリシロキサン構造の両者を含む構造からなるものと、メチルハイドロジェンポリシロキサン構造のみからなるものが挙げられる。また、上記シリコーンオイルとして、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性及びアミノ変性から選択された1種以上の変性がなされたものを使用してもよい。
【0071】
本発明において使用することができるシリコーンオイルの例としては、メチルハイドロジェン構造が100%のものとしてKF−99(信越化学(株)製)、一部がメチルハイドロジェン構造のものとしては、HMS−151(Gelest社製)、HMS−071(Gelest社製)、HMS−301(Gelest社製)、DMS−H21(Gelest社製)等があり、エポキシ変性品としては、例えば、X−22−2000(信越化学(株)製)、KF−102(信越化学(株)製)、カルボキシル変性品としては、例えば、X−22−4015(信越化学(株)製)、カルビノール変性品としては、例えば、X−22−4015(信越化学(株)製)、アミノ変性品としては、例えば、KF−393(信越化学(株)製)等が挙げられる。
【0072】
また、本発明の難燃性合成樹脂組成物には、シランカップリング剤を配合してもよい。シランカップリング剤とは、有機官能基と共に加水分解性基を有する化合物であり、例えば、一般式A−(CH2k−Si(OR)3で表される。Aは有機官能基であり、kは1〜3の数を表し、Rはメチル基又はエチル基を表す。Aの有機基としては、エポキシ基、ビニル基、メタクリル基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられる。本発明で使用するシランカップリング剤としては、エポキシ基を有するものが特に好ましい。
【0073】
本発明の合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として強化材を配合してもよい。この強化材としては、通常合成樹脂の強化に用いられる繊維状、板状、粒状、粉末状のものを用いることができる。具体的には、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、マグネシウム系ウイスカー、珪素系ウイスカー、ワラステナイト、セピオライト、アスベスト、スラグ繊維、ゾノライト、エレスタダイト、石膏繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維及び硼素繊維等の無機繊維状強化材、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、再生セルロース繊維、アセテート繊維、ケナフ、ラミー、木綿、ジュート、麻、サイザル、亜麻、リネン、絹、マニラ麻、さとうきび、木材パルプ、紙屑、古紙及びウール等の有機繊維状強化材、ガラスフレーク、非膨潤性雲母、グラファイト、金属箔、セラミックビーズ、クレー、マイカ、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイト及び白土等の板状や粒状の強化材が挙げられる。これらの強化材は、エチレン/酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で被覆又は集束処理されていてもよく、アミノシランやエポキシシラン等のカップリング剤等で処理されていても良い。
【0074】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、更に結晶核剤を配合してもよい。該結晶核剤としては一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを適宜用いることができ、本発明においては無機系結晶核剤及び有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。
【0075】
上記無機系結晶核剤の具体例としては、カオリナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム及びフェニルホスホネート等の金属塩を挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
【0076】
有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレート等の有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド、ベンジリデンソルビトール及びその誘導体、ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩、及び2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム等を挙げることができる。
【0077】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、可塑剤を配合してもよい。該可塑剤としては、一般にポリマーの可塑剤として用いられるものを適宜用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤等を挙げることができる。
【0078】
ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ロジン等の酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール成分とからなるポリエステルや、ポリカプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル等を挙げることができる。これらのポリエステルは、単官能カルボン酸若しくは単官能アルコールで末端が封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物等で末端が封鎖されていてもよい。
【0079】
グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレート及びグリセリンモノアセトモノモンタネート等を挙げることができる。
【0080】
多価カルボン酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシル等のトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸メチルジグリコールブチルジグリコール、アジピン酸ベンジルメチルジグリコール、アジピン酸ベンジルブチルジグリコール等のアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル等のアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、及びセバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等のセバシン酸エステル等を挙げることができる。
【0081】
ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体等のポリアルキレングリコール、或いはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、及び末端エーテル変性化合物等の、末端封鎖化合物等を挙げることができる。
【0082】
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリド等を指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。
【0083】
その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート等の脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル等のオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル及びパラフィン類等を挙げることができる。
本発明において可塑剤を使用する場合は、1種のみを使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0084】
更に、本発明の難燃性合成樹脂組成物には、必要に応じて滑剤を配合することも好ましい。このような滑剤としては、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素系滑剤;ハロゲン化炭化水素系滑剤;高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤;脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤;脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤;金属石鹸、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル系の滑剤や、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、シリコーンオイル等が挙げられる。
本発明における滑剤の好ましい配合量は、合成樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部、好ましくは、0.1〜1質量部である。
【0085】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、必要に応じて更に、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等を添加し、樹脂組成物を安定化することも好ましい。
【0086】
上記のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4'−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6―ジ第三ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。これらのフェノール系酸化防止剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0087】
上記のリン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイト等が挙げられる。これらのリン系酸化防止剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0088】
上記チオエーテル系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類、及びペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類が挙げられる。これらのチオエーテル系酸化防止剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
【0089】
上記の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5'−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−5'−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2,2'−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2'−ヒドロキシ−3'−第三ブチル−5'−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2'−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4'−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。これらの紫外線吸収剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して0.001〜30質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましい。
【0090】
上記のヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。これらのヒンダードアミン系光安定剤の使用量は、合成樹脂100質量部に対して、0.001〜30質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましい。
【0091】
本発明の難燃性合成樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて更に、帯電防止剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、トリアジン環含有化合物、金属水酸化物、無機リン系難燃剤、シリコン系難燃剤、その他の無機系難燃助剤、その他の有機系難燃剤、充填剤、顔料、発泡剤等を添加してもよい。
【0092】
上記トリアジン環含有化合物としては、例えば、メラミン、アンメリン、ベンズグアナミン、アセトグアナミン、フタロジグアナミン、メラミンシアヌレート、ピロリン酸メラミン、ブチレンジグアナミン、ノルボルネンジグアナミン、メチレンジグアナミン、エチレンジメラミン、トリメチレンジメラミン、テトラメチレンジメラミン、ヘキサメチレンジメラミン、1,3−ヘキシレンジメラミン等が挙げられる。
【0093】
前記金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛、キスマー5A(協和化学工業(株)製水酸化マグネシウムの商標)等が挙げられる。
【0094】
前記、その他の無機系難燃助剤としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの無機化合物、及びその表面処理品が挙げられる。その具体例としては、例えば、TIPAQUE
R−680(石原産業(株)製酸化チタンの商標)、キョーワマグ150(協和化学工業(株)製酸化マグネシウムの商標)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(協和化学工業(株)製亜鉛変性ハイドロタルサイトの商標)、などの種々の市販品を用いることができる。
【0095】
前記、その他の有機系難燃助剤としては、例えばペンタエリスリトールが挙げられる。その他、本発明の難燃性合成樹脂組成物には、必要に応じて通常合成樹脂に使用される添加剤、例えば、架橋剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、発泡剤、金属不活性剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で、配合することができる。
【0096】
本発明の難燃性合成樹脂組成物を公知の方法によって成形することにより、本発明の難燃性合成樹脂成形体を得ることができる。成形方法は、特に限定されるものではなく、押し出し加工成形、カレンダー加工成形、射出成形、ロール成形、圧縮成形、及びブロー成形等を例示することができる。これらの成型方法によって、樹脂板、シート、フィルム、異形品等の、種々の形状の成形品を製造することができる。
【0097】
本発明の難燃性合成樹脂組成物及びその成形体は、電気・電子・通信、農林水産、鉱業、建設、食品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、精密機器、木材、建材、土木、家具、印刷、楽器等の幅広い産業分野に使用することができる。より具体的には、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品及び通信機器等の用途に用いられる。
【0098】
更に、本発明の難燃性合成樹脂組成物及びその成形体は、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被覆材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、デッキ材、壁材、柱材、敷板、塀の材料、骨組及び繰形、窓及びドア形材、こけら板、羽目、テラス、バルコニー、防音板、断熱板、窓材等の、自動車、車両、船舶、航空機、建物、住宅及び建築用材料や、土木材料、衣料、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活用品、スポーツ用品、等の各種用途に使用される。
【0099】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。尚、表1の配合は、すべて質量部基準である。
【0100】
〔実施例1〜8 及び比較例1〜2〕
低密度ポリエチレン(日本ユニカー(株)PES120)100質量部に、ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.1質量部、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル]メタン(フェノール系酸化防止剤)0.1質量部、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤)0.1質量部、グリセリンモノステアレート(滑剤)(理研ビタミン(株)製:S−100)0.3質量部、及びシリコーンオイル(滑剤)(信越化学工業((株):KF−96)を配合して得られた合成樹脂組成物と、下記表1に記載した成分を配合した。次いで、下記の加工条件で押し出してペレットを製造し、これを使用して190℃で射出成型して、1.6mm×12.7mm×127mmの難燃性試験用試験片とし、相溶性を評価するための目視用試験片を得た。
得られた各試験片について、下記の条件で、加工性試験、難燃性試験、及び相溶性試験を行い、評価した結果を表1に示す。
【0101】
<加工性試験条件>
押し出し機として、ラボプラストミル押出機(東洋精機(株)製)を用い、下記の条件で加工性試験を行った。
温度:190℃
スクリュー:コニカル(二軸)
回転数:75rpm
ダイス:1mm×19mm
フィード:70〜85g/分
【0102】
<加工性試験評価>
加工性の評価は、上記の押し出し加工時におけるストランドの表面を目視で確認し、以下の基準で評価することによって行った。
○:ストランドの表面が滑らかで、平滑性に優れる。
△:ストランドの表面に、少し凹凸が見られる。
×:ストランドの表面に、凹凸があり、平滑でない。
【0103】
<難燃性UL−94V試験方法>
長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後に炎を取り除き、試験片に着火した火が消える迄の時間を測定した。また、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行なって、1回目と同様にして、着火した火が消える迄の時間を測定した。更に、落下する火種により試験片の下に置いた綿が発火するか否かについても同時に評価した。
【0104】
1回目と2回目の燃焼時間、及び綿の発火の有無等から、UL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとした。
【0105】
<相溶性試験>
目視で試験片の断面を確認し、以下の基準で相溶性を判定した。
○:相溶しており、相溶性・分散性に優れている。
△:やや非相溶の部分があり、相溶性・分散性にやや劣る。
×:非相溶であり、相溶性・分散性に劣る。
【0106】
尚、表1に記載した(A)成分と(B)成分は、以下の方法で製造した。
〔製造例1〕
(A)成分:ピロリン酸メラミン
ピロリン酸とメラミンを1:1のモル比で反応させて製造した。
〔製造例2〕
(B)成分:ピロリン酸ピペラジン
ピロリン酸とピペラジンを1:1のモル比で反応させて製造した。
【0107】
表1に記載した(C)成分のリン酸エステル化合物としては、前記した下記化合物No.2を使用した。
化合物No.2

【0108】
【表1】

【0109】
〔実施例9〜16 及び比較例3〜4〕
スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン(SEBS)樹脂(タフテックH1051;旭化成工業(株)製スチレン系熱可塑性エラストマーの商標)100質量部に、ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.1質量部、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル]メタン(フェノール系酸化防止剤)0.1質量部、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤)0.1質量部、グリセリンモノステアレート(滑剤)(理研ビタミン(株)製:S−100)0.3質量部、及びシリコーンオイル(滑剤)(信越化学工業((株):KF−96)を配合して得られた合成樹脂組成物と、下記表2に記載した成分を配合した。次いで、下記の加工条件で押し出してペレットを製造し、これを使用して200〜230℃で射出成型し、1.6mm×12.7mm×127mmの難燃性試験用試験片とし、これを相溶性を評価するための目視用試験片としても使用した。
得られた各試験片について、下記の条件で、加工性試験、難燃性試験、及び相溶性試験を行い、評価した結果を表2に示した。また、表2に記載した(A)〜(C)成分としては、表1で使用したものと同様のものを使用した。
【0110】
<加工性試験条件>
押し出し機としてラボプラストミル押出機(東洋精機(株)製)を使用し、下記の条件で加工性の試験を行った。
温度:230℃
スクリュー:コニカル(二軸)
回転数:75rpm
ダイス:1mm×19mm
フィード:70〜85g/分
【0111】
<加工性試験評価>
加工性の評価は、上記押し出し加工時におけるストランドの表面を目視で確認し、以下の基準で評価することによって行った。
○:ストランドの表面が滑らかで、平滑性に優れる。
△:ストランドの表面に、少し凹凸が見られる。
×:ストランドの表面に、凹凸があり、平滑でない。
【0112】
<難燃性UL−94V試験方法>
長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後に炎を取り除き、試験片に着火した火が消える迄の時間を測定した。また、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして、着火した火が消える迄の時間を測定した。更に、落下する火種により試験片の下の綿が発火するか否かについても同時に評価した。
【0113】
1回目と2回目の燃焼時間、及び綿の発火の有無等から、UL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとした。
【0114】
<相溶性試験>
目視で試験片の断面を確認し、以下の基準で相溶性を判定した。
○:相溶しており、相溶性・分散性に優れている。
△:やや非相溶の部分があり、相溶性・分散性にやや劣る。
×:非相溶であり、相溶性・分散性に劣る。

【0115】
【表2】

【0116】
〔実施例17〜22 及び比較例5〜6〕
低密度ポリエチレン(日本ユニカー(株)PES120)30質量部、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA,
東ソー(株)製:ウルトラセン515)30質量部に、ステアリン酸カルシウム(滑剤)0.1質量部、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル]メタン(フェノール系酸化防止剤)0.1質量部、トリス(2,4−ジ−第三ブチルフェニル)ホスファイト(リン系酸化防止剤)0.1質量部、グリセリンモノステアレート(滑剤)(理研ビタミン(株)製:S−100)0.3質量部、及びシリコーンオイル(滑剤)(信越化学工業((株):KF−96)を配合して得られた合成樹脂組成物と、下記表1に記載した成分を配合した。次いで、下記の加工条件で押し出してペレットを製造し、これを使用して190℃で射出成型し、1.6mm×12.7mm×127mmの難燃性試験用試験片とし、これを相溶性を評価するための目視用試験片としても使用した。
得られた各試験片について、下記条件で加工性試験、難燃性試験、及び相溶性試験を行い、評価した結果を表3に示した。また、表3に記載した(A)〜(C)成分は、表1に記載したものと同様のものを使用した。
【0117】
<加工性試験条件>
押し出し機としてラボプラストミル押出機(東洋精機(株)製)を使用し、下記の条件で加工性試験を行った。
温度:190℃
スクリュー:コニカル(二軸)
回転数:75rpm
ダイス:1mm×19mm
フィード:70〜85g/分
【0118】
<加工性試験評価>
加工性の評価は、上記の押し出し加工時におけるストランドの表面を目視で確認し、以下の基準で評価することによって行った。
○:ストランドの表面が滑らかで、平滑性に優れる。
△:ストランドの表面に、少し凹凸が見られる。
×:ストランドの表面に、凹凸があり、平滑でない。
【0119】
<難燃性UL−94V試験方法>
長さ127mm、幅12.7mm、厚さ1.6mmの試験片を垂直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後に炎を取り除き、試験片に着火した火が消える迄の時間を測定した。また、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行ない、1回目と同様にして、着火した火が消える迄の時間を測定した。更に、落下する火種により、試験片の下に置いた綿が発火するか否かについても同時に評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、及び綿の発火の有無等から、UL−94V規格にしたがって燃焼ランクをつけた。燃焼ランクはV−0が最高のものであり、V−1、V−2となるにしたがって難燃性は低下する。但し、V−0〜V−2のランクの何れにも該当しないものはNRとした。
【0120】
<相溶性試験>
目視で試験片の断面を確認し、以下の基準で相溶性を判定した。
○:相溶しており、相溶性・分散性に優れている。
△:やや非相溶の部分があり、相溶性・分散性にやや劣る。
×:非相溶であり、相溶性・分散性に劣る。

【0121】
【表3】

【0122】
表1〜表3の結果から明らかなように、本発明の組成物が、難燃性のみならず加工性及び相溶性にも優れていることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の合成樹脂組成物は相溶性、分散性、加工性及び難燃性の全てにおいて優れており、極めて広範な用途に使用することができるので、産業上極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性ポリウレタン系エラストマーと、エチレン重合体及び/又はエチレン系共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂組成物以外からなる合成樹脂の群の中から選択された少なくとも1種の合成樹脂に対して、下記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を配合してなることを特徴とする難燃性合成樹脂組成物。
(A)成分:
下記一般式(1)で表される(ポリ)リン酸塩化合物。

但し、(1)式中のnは1〜100の数を表し、Xはアンモニアまたは下記一般式(2)で表されるトリアジン誘導体であり、pは、0<p≦n+2の関係式を満足する数である。

但し、(2)式中のZ及びZは同一でも異なっていてもよく、−NR基〔ここでR及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、もしくはメチロール基〕、水酸基、メルカプト基、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基、フェニル基及びビニル基からなる群より選ばれる基である。
(B)成分:
下記一般式(3)で表される(ポリ)リン酸塩化合物。

但し、(3)式中のrは1〜100の数を表し、Yは〔RN(CH)mNR〕、ピペラジン又はピペラジン環を含むジアミンであり、R、R、R及びRは、それぞれ水素原子、炭素原子数1〜5の直鎖又は分岐のアルキル基であり、R、R、R及びRは同一の基であっても異なってもよく、mは1〜10の整数であり、qは、0<q≦r+2の関係式を満足する数である。
(C)成分:
下記一般式(4)で表されるリン酸エステル化合物。

但し、(4)式中のR、R、R10及びR11は、同一でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜10のアルキル基、又は下記一般式(5)で表される芳香族基を表す。Rは下記一般式(6)又は(7)で表される2価の芳香族基を表し、sは0〜30の数である。

但し、上式中のA及びAは各々独立に、水素原子、ヒドロキシ基または炭素原子数1〜10のアルキル基を表す。A、A、A、A、A及びAは各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子又はシアノ基を表す。Gは直接結合、2価のイオウ原子、スルホン基または炭素原子数1〜5のアルキリデン基又はアルキレン基を表す。
【請求項2】
(D)成分として、更に酸化亜鉛を配合してなる、請求項1に記載された難燃性合成樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)成分として、前記一般式(1)におけるnが2、pが2、Xがメラミン(前記一般式(2)におけるZ及びZが−NH)であるピロリン酸メラミンを用いる、請求項1又は2に記載された難燃性合成樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)成分として、前記一般式(3)におけるqが1、Yがピペラジンであるポリリン酸ピペラジンを用いる、請求項1〜3の何れかに記載された、難燃性合成樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリリン酸ピペラジンがピロリン酸ピペラジンである、請求項4に記載された難燃性合成樹脂組成物。
【請求項6】
上記(A)成分の配合量が、合成樹脂100質量部に対して、0.1〜40質量部であり、上記(B)成分の配合量が、0.1〜50質量部であり、(A)成分と(B)成分の合計配合量が1〜90質量部であり、(A)成分と(B)成分との配合比率が、質量比で、(A)/(B)=20/80〜50/50の範囲であり、(C)成分の配合量が0.01〜15質量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された難燃性合成樹脂組成物。

【公開番号】特開2009−242803(P2009−242803A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−125307(P2009−125307)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】