説明

雨水排水支援システム、雨水排水支援方法、雨水排水制御システムおよび雨水排水制御方法

【課題】流入量予測部の流入量予測モデルへの入力変数の個数を減少させることができ、この流入量予測部における流入量の予測を容易なものとすることができ、かつ流入水の水質を予測することができる雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法を提供する。
【解決手段】複数地点の降雨量を計測する降雨量計測部10と、計測された降雨量時系列データの行列に対して線形写像を行う線形写像部41とを備えている。流入量予測部42は、線形写像データを用いて雨水流入量を予測する。雨水排水支援システムは、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法により流入水質を予測する。雨水排水制御システムは、ポンプ施設に対して水が流入する所定の上流地点における水位を検出する検出手段と、予め設定されている雨水ポンプの起動水位および停止水位の少なくとも一方を水の流下状況に応じて変更する変更手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数地点の時系列的な現在の降雨量または将来の予測降雨量に基づいてポンプ施設(ポンプ場)や下水処理場等の対象施設に流入する流入水の流入量を予測するための雨水排水支援システムまたは雨水排水支援方法、および、降雨時にポンプ施設等の対象施設に流入する流入水の水質を予測するための雨水排水支援システムまたは雨水排水支援方法、ならびに、ポンプ施設等の対象施設における雨水ポンプの制御を行うための雨水排水制御システムまたは雨水排水制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、ポンプ施設(ポンプ場)等の対象施設に流入する流入水の流入量を予測するために用いられる関連技術について説明する。
下水道におけるポンプ施設や下水処理設備等の対象施設に流入する雨水の流入量を予測する方法としては、例えば、土地の舗装状態や下水道管の敷設状態を考慮した物理的モデルに基づく方法であるRRL法(特許文献1参照)、あるいは、ニューラルネットワークを用いる方法(特許文献2参照)やBlock−Orientedモデルを用いる方法(特許文献3参照)等のブラックボックスモデルに基づく方法が知られている。ブラックボックスモデルに基づく方法では、入力変数としてレーダ雨量計や複数の地上雨量計により計測された降雨量を用いるとともに、出力変数として雨水流入量を用いたような流入量予測モデルを過去の入出力データより予め構築しておき、現在の降雨量または将来の予測降雨量に基づいてこの流入量予測モデルを用いて雨水流入量を予測している。
【0003】
ここで、レーダ雨量計による降雨量計測は、計測対象領域における降雨の強さを密に捉えることができるので、複数の地上雨量計による降雨量計測に比べてきめ細かな降雨量情報を得ることができる。このように、レーダ雨量計により計測された降雨量またはこの降雨量に基づいて予測された将来の予測降雨量を、上述のRRL法、ニューラルネットワーク法等の流入量予測モデルに対する入力変数とすることにより、対象施設への雨水の流入量予測を高い精度で行うことができる。
【0004】
次に、降雨時にポンプ施設等の対象施設に流入する流入水の量および水質等を予測するために用いられる関連技術について説明する。
一般的に、合流式の下水道設備では、下水道管の設置領域に降雨があった場合、雨水が下水道管内に流入する。下水道管の終端部にはポンプ施設等が設けられ、雨水を含む流入水を所定の排水先に排水している。
【0005】
このような下水道設備では、雨水ポンプ井から直接河川に放流した場合、河川の汚染が極力少なくなるように対処しなければならない。すなわち、雨水流入量や流入水質に応じて、管渠内等への貯留および河川等への放流をそれぞれ適切に制御する必要がある。また、降雨時には、その初期において下水道管渠内等に堆積した汚濁物質が流出して流入渠に流れ込む、所謂ファーストフラッシュが生じる。このファーストフラッシュに対しても、その発生を捕え適切に対処する必要がある。
【0006】
従来、この種の下水道設備に関し、降雨量から流入水質を予測して汚濁物質成分除去手段の操作量を制御する発明が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
次に、ポンプ施設等の対象施設における雨水ポンプの制御を行うために用いられる関連技術について説明する。
雨水ポンプの制御装置における制御手法としては、雨水ポンプの起動水位および停止水位を予め設定しておき、下水道管等から流下してくる雨水を溜める雨水ポンプ井に設置した水位計の計測値がそれら設定された水位に達した時点で、雨水ポンプを起動・停止するものが知られている。
【0008】
また、急激な雨水流入による雨水ポンプ井の水位上昇を抑制することを目的として、例えば特許文献5にみられるように、地上雨量計やレーダ雨量計の計測値からポンプ施設への雨水流入量を予測して排水に必要な雨水ポンプ運転台数を算出し、雨水ポンプの起動・停止水位をリアルタイムで補正することにより、雨水ポンプの追加起動が必要と判断した場合には予め設定した水位よりも低い水位から雨水ポンプを起動させることを可能とした予測制御装置が提供されている。
【0009】
さらに、合流式下水道におけるポンプ施設では、放流先の河川の水質汚濁を抑制することを目的として、小雨時あるいはポンプ施設への予測雨水流入量が少ない時には、雨水ポンプの起動・停止水位を高めにすることにより雨水ポンプによる放流を抑制する手法もある。
【0010】
【特許文献1】特開平6−322808号公報
【特許文献2】特開2000−257140号公報
【特許文献3】特開2000−56835号公報
【特許文献4】特開2004−249200号公報
【特許文献5】特開2000−328642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
まず、ポンプ施設(ポンプ場)等の対象施設に流入する流入水の流入量を予測するために用いられる上述の関連技術の問題点について説明する。上述のニューラルネットワーク法等のブラックボックスモデルによる流入量予測において、流入量予測モデルを構築する際に入出力データから最小二乗法などを用いて係数パラメータを同定している場合に、入力変数同士が互いに高い相関関係を有するときには、パラメータ同定が困難となり、高精度の流入量予測モデルの構築も困難となるという問題がある。また、流入量予測モデルへの入力変数の個数が多い場合には、対象施設への流入量予測において適切な入力変数の選択や、この選択に応じた流入量予測モデルの構築を検討することが容易ではないという問題がある。さらに、レーダ雨量計により降雨量の計測を行った場合には、互いに高い相関関係を有する入力変数の個数が飛躍的に増加するので、上述の問題が顕著に発生する。
【0012】
次に、降雨時にポンプ施設等の対象施設に流入する流入水の水質等を予測するために用いられる上述の関連技術の問題点について説明する。上述の特許文献4等の発明では、流入水質の予測方法は水質モデル式から策定しているので、式が煩雑になるという問題がある。
【0013】
次に、ポンプ施設等の対象施設における雨水ポンプの制御を行うために用いられる関連技術の問題点について説明する。地上に降った雨が地表面から下水道管に流入し、下水道管内の流下を経てポンプ施設に至るまでのプロセスは複雑かつ大規模である。したがって、降雨量計測値を入力とする流入量予測モデルやポンプ井水位予測モデル、雨水ポンプ運転台数予測モデルにおいては、その出力である予測値に少なからず予測誤差が生じる場合がある。例えば、実際の流入量が予測よりも少なかった場合には、過剰な台数の雨水ポンプを運転することになり、また実際の流入量が予測よりも多かった場合には、浸水の危険が生じる。
【0014】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、流入量予測部の流入量予測モデルへの入力変数の個数を減少させることができ、この流入量予測部における雨水流入量の予測を容易かつ高精度なものとすることができる雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明の他の目的は、降雨に伴う流入水の水質を容易かつ的確に予測できる下水流入水の水質予測方法を提供すると共に、この予測された水質またはこの水質と降雨時の流入量との両方を用いて流入水の貯留及び排水を適切に制御し、環境に対する影響を軽減することができる雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法を提供することにある。
【0016】
また、本発明の更に他の目的は、急激な雨水の流入量の変動時においても適切な排水が行えるように雨水ポンプ起動・停止水位を補正するポンプの制御装置において、流入量や水位の予測値に加えて、さらに信頼性の高い指標を併用して補正を行うことにより、排水システムを安定して作動させる雨水排水制御システムおよび雨水排水制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に係る本発明は、複数地点の降雨量を計測する降雨量計測部と、前記降雨量計測部により計測された複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な降雨量を示す降雨量時系列データの行列を得るとともに、この降雨量時系列データの行列に対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列を得る線形写像部と、前記線形写像部により得られた線形写像データを入力とする流入量予測モデルを用いて対象施設に流入する雨水流入量を予測する流入量予測部と、を備えたことを特徴とする雨水排水支援システムである。
【0018】
また、請求項7に係る本発明は、ポンプ場や下水処理場に流入する雨水流入量を予測する方法であって、複数地点の降雨量を降雨量計測部によって計測する工程と、線形写像部によって、前記降雨量計測部により計測された複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な降雨量を示す降雨量時系列データの行列を得るとともに、この降雨量時系列データの行列に対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列を得る工程と、流入量予測部によって、前記線形写像部により得られた線形写像データを入力とする流入量予測モデルを用いて雨水流入量を予測する工程と、を備えたことを特徴とする雨水排水支援方法である。
【0019】
このような雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、線形写像部において、k×n行列である降雨量時系列データの行列に対して線形写像を行ってk×m行列(m<n)である線形写像データの行列に変換しているので、流入量予測部の流入量予測モデルへの入力変数の個数を減少させることができ、この流入量予測部における雨水流入量の予測を容易かつ高精度なものとすることができる。
【0020】
請求項2に係る本発明は、将来の複数地点の降雨量を時系列的に予測する降雨量予測部と、前記降雨量予測部により予測された将来の複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な予測降雨量を示す予測降雨量時系列データの行列を得るとともに、この予測降雨量時系列データの行列に対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列を得る線形写像部と、前記線形写像部により得られた線形写像データを入力とする流入量予測モデルを用いて対象施設に流入する雨水流入量を予測する流入量予測部と、を備えたことを特徴とする雨水排水支援システムである。
【0021】
また、請求項8に係る本発明は、ポンプ場や下水処理場に流入する雨水流入量を予測する方法であって、将来の複数地点の降雨量を降雨量予測部によって時系列的に予測する工程と、線形写像部によって、前記降雨量予測部により予測された将来の複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な予測降雨量を示す予測降雨量時系列データの行列を得るとともに、この予測降雨量時系列データの行列に対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列を得る工程と、流入量予測部によって、前記線形写像部により得られた線形写像データを入力とする流入量予測モデルを用いて雨水流入量を予測する工程と、を備えたことを特徴とする雨水排水支援方法である。
【0022】
このような雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、線形写像部において、k×n行列である将来の予測降雨量時系列データの行列に対して線形写像を行ってk×m行列(m<n)である線形写像データの行列に変換しているので、流入量予測部の流入量予測モデルへの入力変数の個数を減少させることができ、この流入量予測部における雨水流入量の予測を容易かつ高精度なものとすることができる。
【0023】
上述の雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法においては、前記線形写像部は、過去の降雨量時系列データの行列における分散・共分散行列の固有ベクトルの要素からなる表現行列を用いて線形写像を行って線形写像データの行列を得ることが好ましい。
【0024】
このような雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、線形写像に用いられる表現行列は、過去の降雨量時系列データの分散・共分散行列の固有ベクトルの要素を組み合わせたものであるので、線形写像により得られた線形写像データの行列の要素を互いに相関のない線形独立な時系列データとすることができる。
【0025】
上述の雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法においては、前記表現行列の要素を構成する固有ベクトルにおいて、当該固有ベクトルに対応する固有値に基づいて算出された累積寄与率は予め設定された閾値よりも大きいことが好ましい。
【0026】
このような雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、固有ベクトルに対応する固有値に基づいて算出された累積寄与率を予め設定された閾値よりも大きいものとするよう表現行列を作成しているので、線形写像前の降雨量時系列データの行列が有する情報をできるだけ失わないようにして線形写像データの行列を得ることができる。
【0027】
上述の雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法においては、前記線形写像部は、過去の降雨量時系列データの行列の主成分分析を行う過程において得られる負荷行列からなる表現行列を用いて線形写像を行って線形写像データの行列を得ることが好ましい。
【0028】
このような雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、線形写像前の降雨量時系列データの行列が有する情報をできるだけ失わないようにして線形写像データの行列を得ることができるとともに、得られた線形写像データの行列の要素を互いに相関のない線形独立な時系列データとすることができる。
【0029】
上述の雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法においては、線形写像が行われて多変数のデータから少変数のデータに変換された過去の降雨量時系列データと、過去の流入量時系列データとに基づいて流入量予測モデルを構築するモデル同定部を更に備えたことが好ましい。
【0030】
このような雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、モデル同定部に入力される過去の降雨量時系列データの個数が少なくなり、流入量予測モデルの構築を容易に行うことができる。また、互いに相関のない線形独立な過去の降雨量時系列データに基づいて流入量予測モデルを構築しているので、精度の高い流入量予測モデルを得ることができる。
【0031】
請求項13に係る本発明は、下水道管からポンプ場や下水処理場への流入水の水質を予測する方法であって、前記下水道管の設置流域における降雨量を所定周期で計測する工程と、前記ポンプ場や下水処理場へ流入する流入水の水質を所定周期で計測する工程と、これらの計測された値のうち、現時点の流入水質及び過去のいくつかの流入水質、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法により将来の流入水質を予測する工程と、を備えたことを特徴とする雨水排水支援方法である。
【0032】
請求項14に係る本発明は、ポンプ場や下水処理場における雨水排水支援システムであって、下水道管の設置流域における降雨量を計測する降雨量計測手段と、前記ポンプ場や下水処理場へ流入した流入水の水質を計測する水質計測手段と、前記各計測手段で計測された降雨量、流入水質をそれぞれ周期的に収集し記憶しておくデータ収集及び記憶手段と、このデータ収集及び記憶手段に記憶されたデータのうち、現時点の流入水質及び過去のいくつかの流入水質、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法により流入水質を予測する予測手段と、この予測手段により予測された流入水質を用いて前記汚水ポンプ井、雨水ポンプ井、雨水滞水池への流入水の貯留および排水に関する運転指令を生じさせる運転支援手段と、を備えたことを特徴とする雨水排水支援システムである。
【0033】
上述の雨水排水支援システムにおいては、前記予測手段は、流入水質を予測するとともに、記憶手段に記憶されたデータのうち、現時点の流入量及び過去のいくつかの流入量、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法により雨水流入量を予測し、運転支援手段は、流入水質のみならず予測手段により予測された雨水流入量も用いて、前記汚水ポンプ井、雨水ポンプ井、雨水滞水池への流入水の貯留および排水に関する運転指令を生じさせることが好ましい。
【0034】
上述の雨水排水支援システムにおいては、下水道管内に水質計測手段を設け、データ収集及び記憶手段は下水道管内で計測された水質も周期的に収集し記憶しておき、予測手段は、現時点の下水道管内の水質及び過去のいくつかの下水道管内の水質、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法によりポンプ場や下水処理場に流入する前の下水道管内の水質を予測し、運転支援手段は、予測されたポンプ場や下水処理場に流入する前の下水道管内の水質も用いて前記汚水ポンプ井、雨水ポンプ井、雨水滞水池への流入水の貯留および排水に関する運転指令を生じさせることが好ましい。
【0035】
上述の雨水排水支援システムにおいては、下水道管内に流量計測手段を設け、データ収集及び記憶手段は下水道管内で計測された流量も周期的に収集し記憶しておき、予測手段は、現時点の下水道管内の流量及び過去のいくつかの下水道管内の流量、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法によりポンプ場や下水処理場に流入する前の下水道管内の流量を予測し、運転支援手段は、予測されたポンプ場や下水処理場に流入する前の下水道管内の流量も用いて前記汚水ポンプ井、雨水ポンプ井、雨水滞水池への流入水の貯留および排水に関する運転指令を生じさせることが好ましい。
【0036】
上述の雨水排水支援システムにおいては、下水道管内に管内の水位計測手段を設け、データ収集及び記憶手段は下水道管内で計測された水位も周期的に収集し記憶しておき、さらに、気象情報システムからの気象情報を入手し記憶しておくことができ、予測手段は、記憶手段から晴天日おける下水道管内の水位を入手して下水道管内の土砂或いは堆積物高さを求めておき、降雨日における下水道管内流量及び水質からポンプ場や下水処理場に流入する流量及び水質を予測することが好ましい。
【0037】
上述の雨水排水支援システムにおいては、運転支援手段は、予測された流入水の水質が所定の閾値より悪化している場合は、降雨量の上限閾値を超えない範囲内で雨水ポンプ井に設けた雨水ポンプの運転を行なわずに汚水ポンプ井に設けた汚水ポンプの運転を行なうように運転指令することが好ましい。
【0038】
上述の雨水排水支援システムにおいては、運転支援手段は、予測された流入量からファーストフラッシュを判別し、このファーストフラッシュ水を雨水滞水池に貯留させ、降雨量が所定値以下になると雨水滞水池のポンプにより滞留水を汚水ポンプ井に返送させるように運転指令することが好ましい。
【0039】
請求項21に係る本発明は、ポンプ施設に流入する雨水流入量に応じて運転する雨水ポンプの台数を決定し、前記ポンプ施設における水位変化に応じて前記雨水ポンプの起動および停止を制御する雨水排水制御システムにおいて、前記ポンプ施設に対して水が流入する所定の上流地点における水位を検出する検出手段と、予め設定されている雨水ポンプの起動水位および停止水位の少なくとも一方を、水の流下状況に応じて変更する変更手段とを備えたことを特徴とする雨水排水制御システムである。
【0040】
上述の雨水排水制御システムにおいては、前記変更手段は、前記所定地点の水位が予め定められた閾値を超えたときに前記起動水位および停止水位の少なくとも一方を変更することが好ましい。
【0041】
上述の雨水排水制御システムにおいては、前記変更手段は、前記所定地点の水位が予め定めた閾値を下回ったときに前記起動水位および停止水位の少なくとも一方を変更することが好ましい。
【0042】
上述の雨水排水制御システムにおいては、前記所定地点の水位を示す指標として、前記所定地点の水位と前記所定地点の水位の変化速度を用いることが好ましい。
【0043】
上述の雨水排水制御システムにおいては、前記ポンプ施設への雨水流入量を予測する手段と、予測された雨水流入量分の水を排出するために必要な雨水ポンプ運転台数を算出する手段とを更に備えたことが好ましい。
【0044】
請求項26に係る本発明は、ポンプ施設に流入する雨水流入量の予測値に応じて運転する雨水ポンプの台数を決定する工程と、前記ポンプ施設における水位変化に応じて前記雨水ポンプの起動および停止を制御する工程と、前記ポンプ施設近傍の所定上流地点における下水道管水位を指標として、雨水ポンプの起動・停止水位を補正し、雨水ポンプの立ち上げを時間的にずらす工程と、を備えたことを特徴とする雨水排水制御方法である。
【0045】
請求項27に係る本発明は、下水道管からポンプ場や下水処理場への流入水の流入量を予測する方法であって、前記下水道管の設置流域における降雨量を所定周期で計測する工程と、前記ポンプ場や下水処理場へ流入する流入水の流入量を所定周期で計測する工程と、これらの計測された値のうち、現時点の流入量及び過去のいくつかの流入量、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法によりポンプ場や下水処理場への将来の流入水の流入量を予測する工程と、を備えたことを特徴とする雨水排水支援方法である。
【0046】
請求項28に係る本発明は、請求項7記載の雨水排水支援方法により予測された雨水流入量を用いて、ポンプ施設に流入する雨水流入量に応じて運転する雨水ポンプの台数を決定し、前記ポンプ施設における水位変化に応じて前記雨水ポンプの起動および停止を制御する雨水排水制御システムであって、前記ポンプ施設に対して水が流入する所定の上流地点における水位を検出する検出手段と、予め設定されている雨水ポンプの起動水位および停止水位の少なくとも一方を、水の流下状況に応じて変更する変更手段と予測された雨水流入量分の水を排出するために必要な雨水ポンプ運転台数を算出する手段とを備えたことを特徴とする雨水排水制御システムである。
【発明の効果】
【0047】
本発明の雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、線形写像部において、k×n行列である降雨量時系列データの行列または将来の予測降雨量時系列データの行列に対して、できるだけ情報を失わず、かつ互いに相関のない変数にするように線形写像を行ってk×m行列(m<n)である線形写像データの行列に変換しているので、流入量予測部の流入量予測モデルへの入力変数の個数を減少させることができ、この流入量予測部における雨水流入量の予測を容易かつ高精度なものとすることができる。
【0048】
本発明の他の雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、流入水質の計測値や、過去の降雨量などに基づきシステム同定手法(非線形ハマーシュタインモデル)により流入水質を予測するので、この予測を容易に行うことができる。また、これらの予測結果により、流入水の貯留及び排水を適切に制御できるので、環境に対する影響を軽減した運用が可能となる。
【0049】
本発明の雨水排水制御システムおよび雨水排水制御方法によれば、ポンプ施設の上流所定地点の水位上昇を基に雨水ポンプの起動水位および停止水位を水の流下状況に応じて変更するようにしたため、排水システムを安定して作動させることができる。
また、ポンプ施設への流入量予測を基に雨水ポンプの起動水位および停止水位を水の流下状況に応じて変更するようにしたため、排水システムを安定して作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明は以下で説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を含む各種の実施の形態を包含する。
【0051】
ここで、図1は、本発明の実施の形態における雨水排水システム(雨水排水支援システム、雨水排水制御システム)の構成を示す説明図であり、図2は、図1の雨水排水システムにおける制御システムの全体構成を説明するためのブロック図である。
【0052】
図1に示すように、本実施の形態の雨水排水システムは、下水道管20等の設置流域における複数地点の降雨量の計測を行うための降雨量計測部10を備えている。また、下水道管20の下流側には、流入渠21および雨水ポンプ井30からなるポンプ施設が設置されている。
【0053】
降雨量計測部10は、例えばレーダ雨量計11または複数の地上雨量計12からなる。降雨量計測部10がレーダ雨量計11からなる場合には、電波の直進性および雨に当たると反射する性質を利用することにより、1台のレーダ基地局がn個の区画の降雨量を一括して計測している。図1に示すように、降雨量の計測対象領域を観測メッシュで例えば一辺がほぼ数百メートルから数キロメートルの正方形となるようn個に分割し、この分割されたn個の区画の降雨量をそれぞれ計測するようになっている。
ここで、降雨量計測部10がレーダ雨量計11からなる場合には、複数の地上雨量計12からなる場合と比較して、降雨量の計測対象領域をより細かな観測メッシュで分割することができ、雨量計の計測対象領域の数nを増やすことができる。
【0054】
下水道管20は例えば合流式のものからなり、その設置領域内の生活廃水や産業廃水とともに、その領域に降った雨水が流下するようになっている。この下水道管20の下流側には例えばポンプ施設(ポンプ場)が設けられており、このポンプ施設内には流入渠21が設置されている。この流入渠21は下水道管20から送られた雨水を一時的に貯留するようになっている。また、図1に示すように、流入渠21近傍における下水道管20内には、水質計25、流量計26および水位計27がそれぞれ設けられている。
【0055】
ポンプ施設において、流入渠21の下流側には沈砂池雨水ポンプ井30が設けられている。また、ポンプ施設内には汚水ポンプ井31や雨水滞水池32も設置されている。これらの沈砂池雨水ポンプ井30、汚水ポンプ井31および雨水滞水池32には、下水道管20からの流入水が流入渠21および沈砂池(図示せず)を介して流入するようになっている。通常、沈砂池雨水ポンプ井30は、流入渠21との間において越流堰を有しており、通常時の流入水は汚水ポンプ井31に流入する。これに対し、降雨時、雨水を含んだ多量の流入水が流入すると流入渠21の水位が上昇し、レベルが高い越流堰を越流して沈砂池雨水ポンプ井30にも流入水が流れ込む。雨水滞水池32は、ポンプ場への流入水を滞留させるものであり、汚水ポンプ井31との間に設けられた図示しない越流堰や、あるいは、流入渠21との間に設けられた図示しないゲートを介して流入水を受け入れるようになっている。
【0056】
沈砂池雨水ポンプ井30には雨水ポンプ35が設けられており、沈砂池雨水ポンプ井30に流入した流入水(雨水)は、雨水ポンプ35により河川34などに放流される。また、汚水ポンプ井31には汚水ポンプ36が設けられており、汚水ポンプ井31に流入し貯留された流入水(汚水)は、汚水ポンプ36により図示しない下水処理設備に送られ、水処理された後、河川などに排水される。このとき、下水処理設備の処理量を超えた汚水は、そのままでは汚水ポンプ井31からあふれてしまうので、雨水滞水池32に送られて滞留されるようになっている。雨水滞水池32には雨水滞水池ポンプ37が設けられており、この雨水滞水池32に滞留された滞留水は、流入渠21への流入水が十分に低減した段階で前述の雨水滞水池ポンプ37により汚水ポンプ井31に返送されるようになっている。
【0057】
すなわち、下水道管20からの流入水は、その終端部に設けられた流入渠21や図示しない沈砂池を介して沈砂池雨水ポンプ井30や汚水ポンプ井31、さらには雨水滞水池32のいずれか、あるいはそれぞれに滞留させた後、所定の排水先に排水されるようになっている。
【0058】
また、流入渠21には、水位計23および水質計24がそれぞれ設置されている。水位計23は、流入渠21において貯留された流入水の水位を計測するようになっている。また、水質計24は、流入渠21における流入水の流入水質を計測するようになっている。
【0059】
図1に示すように、沈砂池雨水ポンプ井30には、この沈砂池雨水ポンプ井30の水位を計測するための水位計38が設けられている。流入渠21に設けられた水位計23および沈砂池雨水ポンプ井30に設けられた水位計38の計測値は、リアルタイムで利用可能である。
【0060】
次に、図2のブロック図を用いて雨水排水システム(雨水排水支援システム、雨水排水制御システム)における制御について説明する。
図2に示すように、雨水排水システムは、複数地点の時系列的な現在の降雨量を用いてポンプ施設(ポンプ場)等の対象施設に流入する流入水の流入量を予測するための流入量予測機構40と、前述の降雨量を用いてポンプ施設等の対象施設(例えば流入渠21)に流入する流入水の水質等を予測するための流入水質予測機構50と、流入量予測機構40等により予測された流入水の流入量を用いて雨水ポンプ35の起動水位または停止水位の少なくとも一方を調整する雨水ポンプ制御機構60とを備えている。
【0061】
まず、流入量予測機構40の詳細な構成について図3および図4を用いて説明する。
図3に示すように、流入量予測機構40は、前述の降雨量計測部10により計測された複数地点の降雨量時系列データの行列の線形写像を行う線形写像部41と、線形写像部41により得られた線形写像データに基づいて対象領域に流入する雨水流入量を予測する流入量予測部42とを備えている。また、線形写像部41には、この線形写像部41における線形写像に用いられる表現行列を作成する表現行列作成部43が接続されている。また、流入量予測部42には、この流入量予測部42における雨水流入量の予測に用いられる流入量予測モデルを構築するモデル同定部44が接続されている。
【0062】
線形写像部41は、降雨量計測部10により計測された複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な降雨量を示す降雨量時系列データの行列Xを得るとともに、この降雨量時系列データの行列Xに対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列Yを得るものである。
具体的には、線形写像部41は下記式(1)の演算を行うようになっている。
Y=XP ・・・式(1)
(Xは、降雨量時系列データのk(離散化された時刻)×n(降雨量計測対象区画の番号)行列であり、Pは、後述する表現行列作成部43により作成されたn×m行列(m<n)の表現行列である。)
降雨量時系列データの行列Xにおいて、各時刻tにおける各区画の降雨量は行ベクトルx(t=1,・・・,k)に対応している。ここで、最も新しい降雨量データをx、q(1≦q≦k−1)ステップ前の降雨量データをxq+1と規定する。
線形写像部41において上記式(1)の演算が行われることにより、k×m行列である線形写像データの行列Yが得られる。
【0063】
流入量予測部42は、線形写像部41により得られた線形写像データを入力とし、後述するモデル同定部44により構築された流入量予測モデルを用いて雨水流入量を予測するものである。この流入量予測部42による雨水流入量の予測においては、図3に示すように、流入量時系列データも参酌されるようになっている。
ここで、本発明で用いる流入量予測モデルは、過去に計測された降雨量データとこの降雨量に対応する流入量データとの関係により定められるブラックボックスのモデルであり、流入量予測部42は、過去の降雨量データと流入量データとの関係に基づいて予め作成した流入量予測モデルにより、線形写像部41により得られたこれまでの降雨量の線形写像データと、これまでの流入量時系列データとを参酌してこれからの雨水流入量を予測するようになっている。
【0064】
表現行列作成部43は、多変量解析の一手法である主成分分析により、過去の降雨量時系列データからその主成分を計算するための負荷行列(ローディング行列)を求め、求めた行列をその特性を利用して線形写像部41の線形写像に用いられる表現行列Pに転用している。具体的には、過去の降雨量時系列データの分散・共分散行列の固有ベクトルを組み合わせてn×m行列の表現行列Pを作成するものである。
【0065】
この表現行列作成部43の詳細について図4を用いて詳細に説明する。
まず、表現行列作成部43のStep11により、降雨量の計測対象区画のn地点の過去の降雨量時系列データから分散・共分散行列を算出する。過去の降雨量時系列データをk×n行列Xで表すこととすると、表現行列Pを構成する要素は、Xの分散・共分散行列Sのn次固有ベクトルp(j=1,・・・,n)のうち、p,・・・,p(m<n)を列ベクトルとして並べたものとなる。ただし、固有ベクトルp(j=1,・・・,n)については、対応する固有値λ(j=1,・・・,n)がλ≧λ≧・・・≧λ≧・・・≧λの関係を満たすものが用いられる。
このStep11において、下記式(2)に示すように、離散化された時刻iにおける第1主成分〜第m主成分は、k×m行列Tのm次行ベクトルt(i=1,・・・,k)として表される。
=TP´+E ・・・式(2)
ここで、Eは主成分を第m主成分(m<n)で打ち切ることにより生じる誤差である。また、「´」は行列の転置を表す記号である。
【0066】
次に、図4に示すようにStep12により累積寄与率aの計算を行う。この累積寄与率aは、主成分Tが元の行列Xの持つ情報をどれだけ有しているかを示す値である。この累積寄与率aは下記式(3)により算出される。
【0067】
【数1】

【0068】
次に、Step13により、累積寄与率aが予め設定された閾値以上となるように固有ベクトルを選択する。最後に、Step14により、選択された固有ベクトルを並べ、このことによりn×m行列の表現行列Pを得る。
【0069】
このようにして、表現行列作成部43は、過去の降雨量時系列データの行列Xの主成分分析を行う過程において得られる負荷行列(ローディング行列)からなる表現行列Pを作成している。
【0070】
モデル同定部44は、線形写像が行われて多変数のデータから少変数のデータに変換された過去の複数の降雨量時系列データと、過去の複数の流入量時系列データとに基づいて流入量予測モデルを構築するものである。
本発明で用いる流入量予測モデルはブラックボックスモデルであるが、このモデル同定部44において、システム同定の手法により、最小二乗法等で係数パラメータを同定するなどして、線形写像が行われた過去の降雨量時系列データと、対象施設への雨水の流入量時系列データとの入出力関係をモデル化している。モデル化方法としては、例えばニューラルネットワークによる方法や後述のハマーシュタインモデルを用いる等による方法が用いられる。
【0071】
次に、流入水質予測機構50の詳細な構成について図5を用いて説明する。図5に示すように、流入水質予測機構50は、データ収集手段52、データ記憶手段53、予測手段54、演算手段55、運転支援手段56、コントローラ手段57を有している。この他に、天候モード予測手段58を設けてもよい。
【0072】
データ収集手段52は、前述の降雨量計測部10により計測された降雨量(レーダ雨量計データ52aおよび地上雨量計データ52b)、流入水量を得るための流入渠水位52c及び流入水質52dと、前述した各ポンプ35,36,37の運転状態に関するポンプ情報52e及びこれら各ポンプ35,36,37の吐出量52fを、それぞれ周期的に収集する。データ記憶手段53は、データ収集手段52により周期的に収集された各種データをそれぞれ記憶しておく。
【0073】
予測手段54は、上記データ記憶手段53に記憶された各種データを用い、非線形ハマーシュタイン(Hemmerstein)モデルにより流入水質及び流入水量を予測する。非線形ハマーシュタインモデルは、簡略化して表すと、以下のモデル式により構成される。すなわち、以下の(4)式により流入水質が、(5)式により流入水量が求められる。
【0074】
予測流入水質=現状(t)の流入水質×α1+過去(t-1)の流入水質×α2+過去(t-2)の流入水質×α3+・・・
+過去(t-1)の降雨量×β1+過去(t-2)の降雨量×β2+・・・
+(過去(t-1)の降雨量)×γ1+(過去(t-2)の降雨量)×γ2+・・・
+(過去(t-1)の降雨量)×δ1+(過去(t-2)の降雨量)×δ2+・・・


・・式(4)
予測流入水量=現状(t)の流入水量×α11+過去(t-1)の流入水量×α12+過去(t-2)の流入水量×α13+・・・
+過去(t-1)の降雨量×β11+過去(t-2)の降雨量×β12・・・
+(過去(t-1)の降雨量)×γ11+(過去(t-2)の降雨量)×γ12+・・・
+(過去(t-1)の降雨量)×δ11+(過去(t-2)の降雨量)×δ12+・・・


・・式(5)
上記(4)(5)式において、tは現時点を表し、t-1は1回目の過去、t-2は2回目の過去、・・・を表し、α1,α2,α3,・・、α11、α12,α13,・・、β1,β2,・・、β11,β12,・・、γ1,γ2,・・、γ11,γ12,・・、δ1,δ2,・・、δ11,δ12,・・はそれぞれ係数で、下水道管20や流入渠21などの大きさや特性などに応じて、各設備毎に設定する。
【0075】
すなわち、流入水質及び流入水量は、過去の降雨量と所定の非線形な関係で追随するので、現時点の流入水質及び過去のいくつかの流入水質、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、上記モデル式(4)により将来の流入水質を予測する。同様に、現時点の流入水量及び過去のいくつかの流入水量、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、上記モデル式(5)により将来の流入水量を求める。
【0076】
演算手段55は、予測手段54により予測された流入水質及び流入水量に応じて前記各ポンプ35、36、37の運転量(運転台数や回転速度)などを算出する。ここで、雨水ポンプ35の運転量の算出については後述の雨水ポンプ制御機構60における説明において詳述する。運転支援手段56は、予測手段54により予測された流入水量及び流入水質に基づいて沈砂池雨水ポンプ井30、汚水ポンプ井31、雨水滞水池32への流入水の貯留および排水に関する運転/停止指令を生じさせる。コントローラ手段57は、上記運転指令に基づき、対応する機器への制御出力を生じさせる。なお、天候モード予測手段58は、降雨量から、通常降雨モードや豪雨モードなどの天候モードを予測するもので、予測された天候モードにより演算手段55により求められた値を補正することができる。
【0077】
次に、雨水ポンプ制御機構60の詳細な構成について図6を用いて説明する。
ここで、雨水ポンプ制御機構60とは、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、マイクロコンピュータなどのプログラム可能な装置である。また、雨水ポンプ制御機構60は、複数の計算機から構成される計算機システムの一機能の場合もある。
【0078】
図6に示すように、雨水ポンプ制御機構60は、運転台数算出手段62、起動・停止水位補正手段63、および水位計選択手段64を有している。
【0079】
運転台数算出手段62は、前述の流入量予測機構40により予測された雨水流入量の予測値Q、ポンプ井水位H、ポンプ吐出量Qの少なくとも1つを入力として、雨水流入量予測値Qに対して必要なポンプ運転台数を計算する。
【0080】
次いで、起動・停止水位補正手段63は、下水道管の各上流水位H,...,Hの少なくとも1つと、予測されたポンプ運転台数、現在のポンプ井の水位Hとによって予め決めておいたポンプの起動・停止水位を変更する。
【0081】
そして、水位計選択手段64は、レーダ雨量計11等の降雨量計測部10により計測される対象下水道流域における平面的な降雨分布に応じて、ポンプの起動・停止水位変更の指標となる水位計を選択して切替えを行う。
【0082】
雨水ポンプ制御機構60はまた、雨水ポンプ35に起動/停止(ON/OFF)信号をはじめとする各種制御信号を送り、原動機や弁などのポンプ機械設備を制御するようになっている。
【0083】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
まず、流入量予測機構40の作用について図3および図4を用いて説明する。
【0084】
最初に、図1に示すように、降雨量計測部10によって、観測メッシュで分割されたn個の区画の降雨量をそれぞれ計測する。
【0085】
一方、図3に示すように、表現行列作成部43により線形写像の表現行列Pが作成される。具体的には、この表現行列作成部43において、図4に示すように、最初にStep11により、降雨量の計測対象区画のn地点の過去の降雨量時系列データから分散・共分散行列を計算するとともに、分散・共分散行列の固有ベクトルp(j=1,・・・,n)および対応する固有値λ(j=1,・・・,n)を算出する。
次に、Step12により、固有値λから上記式(3)によって累積寄与率aが算出され、Step13により、累積寄与率aが予め設定された閾値以上となるように固有ベクトルpを選択する。最後に、Step14により、選択された固有ベクトルpを並べ、このことによりn×m行列(m<n)の表現行列Pを作成する。
【0086】
次に、線形写像部41により、降雨量計測部10により計測された現在の複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な降雨量を示す降雨量時系列データの行列Xを得るとともに、上記式(1)により降雨量時系列データの行列Xに対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列Yを得る。
ここで、降雨量時系列データの行列Xはk×n行列(k:離散化された時刻、n:降雨量計測対象区画の番号)であり、表現行列作成部43により作成された表現行列Pはn×m行列(m<n)であるので、得られる線形写像データの行列Yはk×m行列となる。
このようにして、線形写像部41により降雨量時系列データの数をk×n個からk×m個に減少させることができる。
【0087】
また、モデル同定部44において、線形写像が行われて多変数のデータから少変数のデータに変換された過去の複数の降雨量時系列データと、過去の複数の流入量時系列データとに基づいて流入量予測モデルを構築する。
そして、流入量予測部42により、線形写像部41により得られた線形写像データを入力として、モデル同定部44により構築された流入量予測モデルを用いて雨水流入量を予測する。
【0088】
次に、流入水質予測機構50の作用について図5を用いて説明する。
【0089】
一般に下水道設備では、降雨初期におけるファーストフラッシュが問題となっている。ファーストフラッシュは、初期降雨時に発生するが、どのタイミングで下水道管渠に堆積した汚泥が流出し、ポンプ場に到達するかわからなかった。そこで、流入水質予測機構50において、降雨時などに堆積した汚泥を含む流入水の流入水質や流入水量を予測することにより、ファーストフラッシュに対しても、適切に対処できるように構成した。例えば、ファーストフラッシュに対しては、できるだけ下水道管渠内、あるいは雨水滞水池に汚泥等を含む雨水を貯留させ、河川への放流をできるだけ抑え、下水処理設備へ送水することで放流規制を遵守し、環境負荷の少ない処理を行うようにしている。
【0090】
ここで、流入水質予測機構50における下水流入水の水質予測方法は、降雨量から流入水質を求めるもので、入力を降雨量または降雨強度、出力を流入水質(大腸菌、COD、BOD、りん、窒素など)として、システム同定手法により流入水質予測値を提供する。すなわち、前述したモデル式(4)により、現状の流入水質計測値と過去のいくつかの流入水質計測値とを用いて回帰演算を行うと共に、過去のいくつかの降雨実測値を用いて重回帰演算を行い、さらに、過去のいくつかのべき乗(例えば2乗、3乗)値を加味することにより、降雨に対して非線形な関係を成す流入水質を予測するものである。
【0091】
このように、流入渠21への流入水の水質を予測できるので、予測された流入水質に応じて流入水の貯留や排水に対し、運転支援手段56により適切な制御を行うことができる。また、予測手段54において、流入渠21への流入水量を、前記モデル式(5)により予測できるので、この予測流入水量と予測流入水質を用いることにより、より適切な運転制御を行うことができる。以下、詳細に説明する。
【0092】
下水道設備では、下水道管20の設置領域に降雨があった場合、雨水が下水道管20内に流入し、前述のように、その終端部に設けられた流入渠21から、図示しない沈砂池を介して沈砂池雨水ポンプ井30や汚水ポンプ井31、雨水滞水池32に貯留される。沈砂池雨水ポンプ井30は汚水ポンプ井31より高い越流堰を有するので、通常時の流入水は汚水ポンプ井31に流入し、汚水ポンプ36により下水処理設備に排水され、下水処理設備によって処理された後、河川などに排水される。
【0093】
降雨時、雨水を含んだ多量の流入水が流入すると、流入渠21の水位が上昇し、沈砂池雨水ポンプ井30にも流入水が流れ込む。沈砂池雨水ポンプ井30に貯留された雨水は、雨水ポンプ35により河川34などに放流される。しかし、降雨時のファーストフラッシュなどによる流入水は、下水道管20内に堆積した堆積汚泥が流出しているので、これが沈砂池雨水ポンプ井30に流入し、雨水ポンプ35により河川34に放流されると、堆積汚泥を含んだ水質の悪い雨水が吐き出されることになり、環境上好ましくない。そこで、降雨の状況からファーストフラッシュを含む流入水質を予測し、また、下水流入量を予測することで、貯留か排水かを判断し、安全でかつ環境に配慮した制御を行う。
【0094】
前述のように、降雨時、レーダ雨量計11や複数の地上雨量計12等の降雨量計測部10にて降雨量を計測し、それらのデータ52a,52bをデータ収集手段52で収集し、データ記憶手段53で記録する。また、同様に流入渠21に設けた水位計23から流入渠水位を得るべく水位データ52cを収集し、水質計24から流入水質データ52dを収集し、データ記憶手段53に記憶する。これらデータ収集手段52によるデータ収集は所定周期で行なわれ、データ記憶手段53は、各周期に収集されたデータをそれぞれ記憶する。
【0095】
予測手段54は、データ記憶手段53に記録された降雨量と流入水質のデータから、前述した非線形ハマーシュタインモデル式(4)(5)により流入水質及び流入水量を予測演算する。非線形ハマーシュタインモデルは、降雨量と流入水質または流入水量との非線形な関係に着目したモデルで、降雨量が増加すると流入水質及び流入水量も降雨量のべき乗(例えば2乗、3乗)に比例する仕組みを流入水質及び流入水量に適用した。
【0096】
このようにして予測された流入水質の予測値に基づき、運転支援手段56により、雨水滞水池32への貯留、流入渠21を含む管渠への貯留、雨水ポンプ35の運転停止および運転台数、汚水ポンプ36の運転停止および運転台数などの決定を行う。例えば、予測された流入水の水質が所定の閾値より悪化している場合は、降雨量の上限閾値を超えない範囲内で沈砂池雨水ポンプ井30に設けた雨水ポンプ35の運転を行なわずに汚水ポンプ井31に設けた汚水ポンプ36の運転を行なうように運定指令する。また、流入水質が悪化していると予測されている場合は、下水処理設備(高度処理、標準活性汚泥法、オキシデーションディッチ法など)の稼動を早めるなどのフィードフォーワードとして動作させることもできる。
【0097】
次に、雨水ポンプ制御機構60の作用について図6乃至図11を用いて説明する。
【0098】
具体的には、雨水ポンプ制御機構60の実行ステップには、図7に示すフローチャートに記載された動作内容が含まれる。
【0099】
まず、Step21にて前述の流入量予測機構40により流入量予測を行い、その結果を基にStep22により雨水ポンプ35の運転台数を算出する。これらに使用する運転台数算出手段62については、特願2000−328642号公報などに詳しいが、概略を述べると次の通りである。
【0100】
運転台数算出手段62は、流入量予測機構40で予測したポンプ施設への雨水流入量や、沈砂池雨水ポンプ井30の水位の計測値等を入力パラメータとして、数分先(例えば、5分先)から数10分先(例えば、30分先)までの適切なポンプ運転台数を予測計算する。そして、運転台数算出手段62は、流入量予測機構40から出力された所定時刻先(t+1)の流入量予測値Qr’(t+1)を用いて、(6)式により、ポンプの運転台数を計算する。
N’(t+1)=Qr’(t+1)/R ・・・(6)
ここで、N(t)はポンプの運転台数[台]、Rはポンプの定格[m/s]、Qr’(t+1)は所定時刻先(t+1)の流入量予測値である。
【0101】
次に、Step23の起動・停止水位の補正について説明する。起動・停止水位補正手段63は、予測された流入量を排水するのに必要な運転台数に対して、ポンプ運転台数の追加が必要な場合、運転予定ポンプの予め決められた起動水位を変更して、ポンプの起動・停止を早めたり、遅らせたりするものである。
【0102】
図8に例示するように、運転台数算出により起動が必要と判断されたポンプについて、当該ポンプの予め決めておいた起動水位Hon、停止水位HoffをそれぞれHon−ΔH、Hoff−ΔHのように変更する。
【0103】
ΔHの具体的な値としては、例えば特許文献5に記載されているように、現在時刻のポンプ井水位Hと予め定めておいたポンプ起動水位Honとの差をもって、ΔH=Hon−Hとする方法がある。
【0104】
【数2】

【0105】
さらに、上述の式(7)のように、ポンプ井水位や上流下水道管水位、およびそれらの時間変化率を変数とする写像fを定義する方法もある。
【0106】
また、図9のように、複数台のポンプの起動・停止水位が決まっている場合には、起動・停止水位をシフトする方法もある。
【0107】
特許文献5に記載されているポンプ起動・停止水位補正手段と異なり、本実施の形態において特徴的であるのは、ポンプ起動・停止水位の補正に、下水道管上流の水位を使用する点である。
【0108】
図7に戻ると、そのStep24において下水道管上流の水位上昇を示す指標が閾値を超えたかどうかの判定を行い、Step25において閾値を超えた場合にのみ当該ポンプの起動・停止水位を下げる。
【0109】
また、Step26において下水道管上流の水位上昇を示す指標が閾値を下回ったかどうかの判定を行い、Step25において閾値を下回った場合にのみ起動・停止水位を上げる。下水道管上流の水位上昇の指標が上下限以内ならば、Step27で予め設定しておいた水位によりポンプの起動・停止を行う。そして、Step28で、ポンプ井水位Hが設定された水位に達した時点で、雨水排水ポンプのON/OFF信号がポンプ制御装置から出力される。
【0110】
図10は、水位上昇を示す指標としての、水位計測値および水位上昇速度に関するテーブルを示している。このように、水位計測値と水位上昇速度との関係を予め決めておき、水位および水位上昇速度が閾値を超えたかどうかの判定に利用すればよい。
【0111】
図11は、下水道管上流の水位時系列データおよびポンプ場周辺の下流水位時系列データの模式図である。ここで、上流と下流との水位立ち上がりの時間差は、下水道管を流下する雨水の移送時間とみなすことができる。すなわち、下水道管上流水位の上昇を観測した時刻から移送時間の分だけ先の時刻において、下流水位が確実に上昇する筈である。
【0112】
以上のように本実施の形態の雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、以下の事項を行うことができる。まず、上述の流入量予測機構40を用いることにより、線形写像部41において、k×n行列である降雨量時系列データの行列Xに対して線形写像を行ってk×m行列(m<n)である線形写像データの行列Yに変換しているので、流入量予測部42の流入量予測モデルへの入力変数の個数を減少させることができ、この流入量予測部42における流入量の予測を容易なものとすることができる。
【0113】
また、線形写像部41は、過去の降雨量時系列データの行列Xの分散・共分散行列Sの固有ベクトルの要素からなる表現行列Pを用いて線形写像を行って線形写像データの行列Yを得ているので、線形写像により得られた線形写像データの行列Yの要素を互いに相関のない線形独立な時系列データとすることができる。
【0114】
また、表現行列の要素を構成する固有ベクトルにおいて、この固有ベクトルに対応する固有値に基づいて算出された累積寄与率aを予め設定された閾値よりも大きいものとすることにより、線形写像前の降雨量時系列データの行列Xが有する情報をできるだけ失わないようにして線形写像データの行列Yを得ることができる。
【0115】
また、線形写像部41は、過去の降雨量時系列データの行列Xの主成分分析を行う過程において得られる負荷行列からなる表現行列Pを用いて線形写像を行って線形写像データの行列Yを得ているので、線形写像前の降雨量時系列データの行列Xが有する情報をできるだけ失わないようにして線形写像データの行列Yを得ることができるとともに、得られた線形写像データの行列Yの要素を互いに相関のない線形独立な時系列データとすることができる。
【0116】
また、モデル同定部44により、線形写像が行われて多変数のデータから少変数のデータに変換された過去の降雨量時系列データと、過去の流入量時系列データとに基づいて流入量予測モデルを構築しているので、モデル同定部44に入力される過去の降雨量時系列データの個数が少なくなり、流入量予測モデルの構築を容易に行うことができる。また、互いに相関のない線形独立な過去の降雨量時系列データに基づいて流入量予測モデルを構築しているので、精度の高い流入量予測モデルを得ることができる。
【0117】
また、本実施の形態の雨水排水支援システムおよび雨水排水支援方法によれば、流入水質予測機構50を用いることにより、レーダ雨量計11または地上雨量計12のいずれかまたは両方による降雨量から流入水質及び流入水量を予測することができるので、ファーストフラッシュの発生を予測することができる。すなわち、運転支援手段56は、予測された流入水量からファーストフラッシュを判別し、このファーストフラッシュ水を雨水滞水池32に貯留させ、降雨量が所定値以下になると雨水滞水池32のポンプ37により滞留水を汚水ポンプ井31に返送させるように運転指令できる。例えば、ファーストフラッシュが生じた場合は、流入渠21から雨水滞水池32への図示しないゲートを開き、ファーストフラッシュ水を雨水滞水池32に始めから貯留させる。滞留させたファーストフラッシュ水は、流入水量が充分低下した時点、例えば、レーダ雨量計11または地上雨量計12による雨量の計測ができなくなった時点で、雨水滞水池ポンプ37を使って雨水滞水池32から汚水ポンプ井31へ返送する。汚水ポンプ井31からは、汚水ポンプ36で図示しない下水処理設備に送り、下水処理(高度処理、標準活性汚泥法、オキシデーションディッチ法など)を行ってから河川34へ放流することができ、環境に対する悪影響の少ない運転を行うことができる。
【0118】
さらに、本実施の形態の雨水排水制御システムおよび雨水排水制御方法によれば、雨水ポンプ制御機構60を用いることにより、ポンプ場まで数分の雨水流下時間を要する地点の下水道管水位を指標として、ポンプの起動・停止水位を補正し、例えばポンプが早く立ち上がるようにすることにより、実際に沈砂池雨水ポンプ井に急激な流入が生じる時点で、沈砂池雨水ポンプ井の水位上昇を抑制することができる。あるいは逆に、雨水ポンプ起動を遅らせることにより雨水ポンプ排水量を減らし、受水域の水質汚濁を低減することができる。
【0119】
そして、流入量予測値などの大きな誤差が生じる可能性のある指標の他に、実際に計測された下水道管上流および沈砂池雨水ポンプ井の水位を雨水ポンプ起動・停止の指標とするので、雨水ポンプの運転指令間違いの危険性が減少する。
【0120】
本発明による雨水排水システムは、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
次に本発明による雨水排水システムの変形例につき、図12により説明する。図12において、図1乃至図11に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0121】
本変形例における雨水排水システムは、図12に示すように、流入量予測機構40pにおいて降雨量計測部10と線形写像部41との間に降雨量予測部15を設けた点が異なるのみであり、他は実質的に図1乃至図11に示す実施の形態と同様のものとなっている。
この流入量予測機構40pについて図12を用いて以下に説明する。
【0122】
図12に示すように、降雨量予測部15は降雨量計測部10に接続されており、降雨量計測部10により計測されたn個の区画の時系列的な降雨量データが送られるようになっている。
そして、降雨量予測部15は、この計測された降雨量時系列データに基づいて、将来の各区画における時系列的な降雨量を予測するようになっている。
【0123】
次に、降雨量予測部15により予測された将来の複数地点の降雨量データは、この降雨量予測部15に接続された線形写像部41に送られる。そして、この線形写像部41において、将来の予測降雨量時系列データの行列Zに対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列Yが得られる。
【0124】
以上のように本変形例の流入量予測機構40pによれば、線形写像部41において、k×n行列である将来の予測降雨量時系列データの行列Zに対して線形写像を行ってk×m行列(m<n)である線形写像データの行列Yに変換しているので、流入量予測部42の流入量予測モデルへの入力変数の個数を減少させることができ、この流入量予測部42における流入量の予測を容易なものとすることができる。
【0125】
次に、本発明における他の変形例について図13を用いて説明する。
本変形例における雨水排水システムは、図13に示すように、流入水質予測機構50pにおいてデータ収集手段52pの構成が図5に示すデータ収集手段52と異なるのみであり、他は実質的に図1乃至図11に示す実施の形態と同様のものとなっている。
この流入水質予測機構50pについて図13を用いて以下に説明する。
【0126】
本変形の雨水排水システムは、図5で示した実施の形態に対し、下水道管20内に設けられた水質計25、流量計26、水位計27を使用し、それらの計測データ25a、26a、27aをデータ収集手段52pによって所定の周期で収集させ、この収集データをデータ記憶手段53に記憶させている。また、データ収集手段52p及びデータ記憶手段53は、図示しない気象情報システムから気象情報を入手し記憶しておくことができる。
【0127】
また、予測手段54は、前述した流入渠21への流入水質及び流入量の予測に加え、下水道管20内の水質、下水道管20内の流量、下水道管20内から流入渠21に流入する土砂或いは堆積物量をそれぞれ予測する。
すなわち、予測手段54は、現時点の下水道管20内の水質及び過去のいくつかの下水道管20内の水質、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、前記モデル式(4)により、流入渠21に流入する前の、下水道管20内における水質計25の設置点での水質を予測する。
【0128】
また、予測手段54は、現時点の下水道管20内の流量及び過去のいくつかの下水道管20内の流量、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、前記モデル式(5)により、流入渠21に流入する前の、下水道管20内における流量計26の設置点での流量を予測する。
【0129】
さらに、予測手段54は、データ記憶手段53から晴天日おける下水道管20内の水位を入手して、下水道管20内の土砂或いは堆積物高さを求めておき、降雨日における下水道管20内の流量及び水質から、流入渠21に流入するファーストフラッシュ水の流量及び水質を予測する。
【0130】
この実施の形態では、下水道管20内に設けられた水質計25、流量計26、水位計27を使用し、それらの計測データ25a、26a、27aを所定の周期で収集し、記憶させているので、レーダ雨量計11または地上雨量計12のいずれかまたは両方から降雨量を入手することにより、下水道管20内の前記計測手段の設置位置における流量と水質を予測できる。すなわち、流入渠21に流入する前の流量および水質を予測することができる。このため、雨水滞水池32への貯留、雨水ポンプ35の運転停止、汚水ポンプ36の運転/停止の支援、制御を、より確実かつ正確に行うことができる。
【0131】
また、レーダ雨量計データ52aや地上雨量計データ52b、または天気予報などの気象情報システムから晴天日の連続日数を演算し、晴天日の続いている日の下水道管20内の水位27aを計測し、下水道管20内に貯えられている土砂あるいは堆積物の高さを計測しておく。そして、降雨日における下水道管20内の水質25aおよび流量26aから流入渠21に流入する流入水量と流入水質を予測する。通常、晴天日が続くと下水道管20内に堆積物が付着し、堆積する傾向があり、降雨日にはその堆積物が流入渠21内へ流入するので、前述のように予め堆積量を求めておけば、ファーストフラッシュ水の流入水量と流入水質とを正確に予測することができる。
【0132】
なお、流入水質からBOD−SS負荷(処理場生物重量当たりの有機汚濁物質BODの流入負荷量)を算出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の実施の形態における雨水排水システムの構成を示す説明図である。
【図2】図1の雨水排水システムにおける制御システムの全体構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図2の制御システムのうち流入量予測機構の構成を示すブロック図である。
【図4】図3の流入量予測機構における表現行列作成部の作用を示すフローチャートである。
【図5】図2の制御システムのうち流入水質予測機構の構成を示すブロック図である。
【図6】図2の制御システムのうち雨水ポンプ制御機構の構成を示すブロック図である。
【図7】図6の雨水ポンプ制御機構の作用を示すフローチャートである。
【図8】図6の雨水ポンプ制御機構において、雨水ポンプの起動および停止水位を補正する様子を示す模式図である。
【図9】図6の雨水ポンプ制御機構において、複数台の雨水ポンプの起動および停止水位をシフトさせる様子を示す模式図である。
【図10】図6の雨水ポンプ制御機構において、水位上昇の指標を示すテーブルである。
【図11】図6の雨水ポンプ制御機構において、下水道管上流の水位時系列データと下水道管下流の水位時系列データとを比較した図である。
【図12】本発明の雨水排水システムにおける流入量予測機構の他の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の雨水排水システムにおける雨水ポンプ制御機構の他の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0134】
10 降雨量計測部
11 レーダ雨量計
12 地上雨量計
15 降雨量予測部
20 下水道管
21 流入渠
23 水位計
24 水質計
25 水質計
26 流量計
27 水位計
30 沈砂池雨水ポンプ井
31 汚水ポンプ井
32 雨水滞水池
34 河川
35 雨水ポンプ
36 汚水ポンプ
37 雨水滞水池ポンプ
38 水位計
40 流入量予測機構
40p 流入量予測機構
41 線形写像部
42 流入量予測部
43 表現行列作成部
44 モデル同定部
50 流入水質予測機構
50p 流入水質予測機構
52 データ収集手段
52a レーダ雨量計データ
52b 地上雨量計データ
52c 水位データ
52d 流入水質データ
52e ポンプ情報
52f 吐出量
52p データ収集手段
53 データ記憶手段
54 予測手段
55 演算手段
56 運転支援手段
57 コントローラ手段
58 天候モード予測手段
60 雨水ポンプ制御機構
62 運転台数算出手段
63 起動・停止水位補正手段
64 水位計選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数地点の降雨量を計測する降雨量計測部と、
前記降雨量計測部により計測された複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な降雨量を示す降雨量時系列データの行列を得るとともに、この降雨量時系列データの行列に対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列を得る線形写像部と、
前記線形写像部により得られた線形写像データを入力とする流入量予測モデルを用いて対象施設に流入する雨水流入量を予測する流入量予測部と、
を備えたことを特徴とする雨水排水支援システム。
【請求項2】
将来の複数地点の降雨量を時系列的に予測する降雨量予測部と、
前記降雨量予測部により予測された将来の複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な予測降雨量を示す予測降雨量時系列データの行列を得るとともに、この予測降雨量時系列データの行列に対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列を得る線形写像部と、
前記線形写像部により得られた線形写像データを入力とする流入量予測モデルを用いて対象施設に流入する雨水流入量を予測する流入量予測部と、
を備えたことを特徴とする雨水排水支援システム。
【請求項3】
前記線形写像部は、過去の降雨量時系列データの行列における分散・共分散行列の固有ベクトルの要素からなる表現行列を用いて線形写像を行って線形写像データの行列を得ることを特徴とする請求項1記載の雨水排水支援システム。
【請求項4】
前記表現行列の要素を構成する固有ベクトルにおいて、当該固有ベクトルに対応する固有値に基づいて算出された累積寄与率は予め設定された閾値よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の雨水排水支援システム。
【請求項5】
前記線形写像部は、過去の降雨量時系列データの行列の主成分分析を行う過程において得られる負荷行列からなる表現行列を用いて線形写像を行って線形写像データの行列を得ることを特徴とする請求項1記載の雨水排水支援システム。
【請求項6】
線形写像が行われて多変数のデータから少変数のデータに変換された過去の降雨量時系列データと、過去の流入量時系列データとに基づいて流入量予測モデルを構築するモデル同定部を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の雨水排水支援システム。
【請求項7】
ポンプ場や下水処理場に流入する雨水流入量を予測する方法であって、
複数地点の降雨量を降雨量計測部によって計測する工程と、
線形写像部によって、前記降雨量計測部により計測された複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な降雨量を示す降雨量時系列データの行列を得るとともに、この降雨量時系列データの行列に対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列を得る工程と、
流入量予測部によって、前記線形写像部により得られた線形写像データを入力とする流入量予測モデルを用いて雨水流入量を予測する工程と、
を備えたことを特徴とする雨水排水支援方法。
【請求項8】
ポンプ場や下水処理場に流入する雨水流入量を予測する方法であって、
将来の複数地点の降雨量を降雨量予測部によって時系列的に予測する工程と、
線形写像部によって、前記降雨量予測部により予測された将来の複数地点の降雨量データに基づいて、各地点毎の時系列的な予測降雨量を示す予測降雨量時系列データの行列を得るとともに、この予測降雨量時系列データの行列に対して多変数のデータを少変数のデータに変換するよう線形写像を行って線形写像データの行列を得る工程と、
流入量予測部によって、前記線形写像部により得られた線形写像データを入力とする流入量予測モデルを用いて雨水流入量を予測する工程と、
を備えたことを特徴とする雨水排水支援方法。
【請求項9】
前記線形写像部は、過去の降雨量時系列データの行列における分散・共分散行列の固有ベクトルの要素からなる表現行列を用いて線形写像を行って線形写像データの行列を得ることを特徴とする請求項7記載の雨水排水支援方法。
【請求項10】
前記表現行列の要素を構成する固有ベクトルにおいて、当該固有ベクトルに対応する固有値に基づいて算出された累積寄与率は予め設定された閾値よりも大きいことを特徴とする請求項9記載の雨水排水支援方法。
【請求項11】
前記線形写像部は、過去の降雨量時系列データの行列の主成分分析を行う過程において得られる負荷行列からなる表現行列を用いて線形写像を行って線形写像データの行列を得ることを特徴とする請求項7記載の雨水排水支援方法。
【請求項12】
モデル同定部によって、線形写像が行われて多変数のデータから少変数のデータに変換された過去の降雨量時系列データと、過去の流入量時系列データとに基づいて流入量予測モデルを構築する工程を更に備えたことを特徴とする請求項7記載の雨水排水支援方法。
【請求項13】
下水道管からポンプ場や下水処理場への流入水の水質を予測する方法であって、
前記下水道管の設置流域における降雨量を所定周期で計測する工程と、
前記ポンプ場や下水処理場へ流入する流入水の水質を所定周期で計測する工程と、
これらの計測された値のうち、現時点の流入水質及び過去のいくつかの流入水質、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法により将来の流入水質を予測する工程と、
を備えたことを特徴とする雨水排水支援方法。
【請求項14】
ポンプ場や下水処理場における雨水排水支援システムであって、
下水道管の設置流域における降雨量を計測する降雨量計測手段と、
前記ポンプ場や下水処理場へ流入した流入水の水質を計測する水質計測手段と、
前記各計測手段で計測された降雨量、流入水質をそれぞれ周期的に収集し記憶しておくデータ収集及び記憶手段と、
このデータ収集及び記憶手段に記憶されたデータのうち、現時点の流入水質及び過去のいくつかの流入水質、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法により流入水質を予測する予測手段と、
この予測手段により予測された流入水質を用いて前記汚水ポンプ井、雨水ポンプ井、雨水滞水池への流入水の貯留および排水に関する運転指令を生じさせる運転支援手段と、
を備えたことを特徴とする雨水排水支援システム。
【請求項15】
前記予測手段は、流入水質を予測するとともに、記憶手段に記憶されたデータのうち、現時点の流入量及び過去のいくつかの流入量、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法により雨水流入量を予測し、
運転支援手段は、流入水質のみならず予測手段により予測された雨水流入量も用いて、前記汚水ポンプ井、雨水ポンプ井、雨水滞水池への流入水の貯留および排水に関する運転指令を生じさせる
ことを特徴とする請求項14記載の雨水排水支援システム。
【請求項16】
下水道管内に水質計測手段を設け、データ収集及び記憶手段は下水道管内で計測された水質も周期的に収集し記憶しておき、
予測手段は、現時点の下水道管内の水質及び過去のいくつかの下水道管内の水質、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法によりポンプ場や下水処理場に流入する前の下水道管内の水質を予測し、
運転支援手段は、予測されたポンプ場や下水処理場に流入する前の下水道管内の水質も用いて前記汚水ポンプ井、雨水ポンプ井、雨水滞水池への流入水の貯留および排水に関する運転指令を生じさせる
ことを特徴とする請求項14記載の雨水排水支援システム。
【請求項17】
下水道管内に流量計測手段を設け、データ収集及び記憶手段は下水道管内で計測された流量も周期的に収集し記憶しておき、
予測手段は、現時点の下水道管内の流量及び過去のいくつかの下水道管内の流量、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法によりポンプ場や下水処理場に流入する前の下水道管内の流量を予測し、
運転支援手段は、予測されたポンプ場や下水処理場に流入する前の下水道管内の流量も用いて前記汚水ポンプ井、雨水ポンプ井、雨水滞水池への流入水の貯留および排水に関する運転指令を生じさせる
ことを特徴とする請求項14記載の雨水排水支援システム。
【請求項18】
下水道管内に管内の水位計測手段を設け、データ収集及び記憶手段は下水道管内で計測された水位も周期的に収集し記憶しておき、さらに、気象情報システムからの気象情報を入手し記憶しておくことができ、
予測手段は、記憶手段から晴天日おける下水道管内の水位を入手して下水道管内の土砂或いは堆積物高さを求めておき、降雨日における下水道管内流量及び水質からポンプ場や下水処理場に流入する流量及び水質を予測する
ことを特徴とする請求項17に記載の雨水排水支援システム。
【請求項19】
運転支援手段は、予測された流入水の水質が所定の閾値より悪化している場合は、降雨量の上限閾値を超えない範囲内で雨水ポンプ井に設けた雨水ポンプの運転を行なわずに汚水ポンプ井に設けた汚水ポンプの運転を行なうように運転指令することを特徴とする請求項14記載の雨水排水支援システム。
【請求項20】
運転支援手段は、予測された流入量からファーストフラッシュを判別し、このファーストフラッシュ水を雨水滞水池に貯留させ、降雨量が所定値以下になると雨水滞水池のポンプにより滞留水を汚水ポンプ井に返送させるように運転指令することを特徴とする請求項15記載の雨水排水支援システム。
【請求項21】
ポンプ施設に流入する雨水流入量に応じて運転する雨水ポンプの台数を決定し、前記ポンプ施設における水位変化に応じて前記雨水ポンプの起動および停止を制御する雨水排水制御システムにおいて、
前記ポンプ施設に対して水が流入する所定の上流地点における水位を検出する検出手段と、
予め設定されている雨水ポンプの起動水位および停止水位の少なくとも一方を、水の流下状況に応じて変更する変更手段と
を備えたことを特徴とする雨水排水制御システム。
【請求項22】
前記変更手段は、前記所定地点の水位が予め定められた閾値を超えたときに前記起動水位および停止水位の少なくとも一方を変更することを特徴とする請求項21記載の雨水排水制御システム。
【請求項23】
前記変更手段は、前記所定地点の水位が予め定めた閾値を下回ったときに前記起動水位および停止水位の少なくとも一方を変更することを特徴とする請求項21記載の雨水排水制御システム。
【請求項24】
前記所定地点の水位を示す指標として、前記所定地点の水位と前記所定地点の水位の変化速度を用いることを特徴とする請求項21記載の雨水排水制御システム。
【請求項25】
前記ポンプ施設への雨水流入量を予測する手段と、
予測された雨水流入量分の水を排出するために必要な雨水ポンプ運転台数を算出する手段と
を更に備えたことを特徴とする請求項21記載の雨水排水制御システム。
【請求項26】
ポンプ施設に流入する雨水流入量の予測値に応じて運転する雨水ポンプの台数を決定する工程と、
前記ポンプ施設における水位変化に応じて前記雨水ポンプの起動および停止を制御する工程と、
前記ポンプ施設近傍の所定上流地点における下水道管水位を指標として、雨水ポンプの起動・停止水位を補正し、雨水ポンプの立ち上げを時間的にずらす工程と、
を備えたことを特徴とする雨水排水制御方法。
【請求項27】
下水道管からポンプ場や下水処理場への流入水の流入量を予測する方法であって、
前記下水道管の設置流域における降雨量を所定周期で計測する工程と、
前記ポンプ場や下水処理場へ流入する流入水の流入量を所定周期で計測する工程と、
これらの計測された値のうち、現時点の流入量及び過去のいくつかの流入量、過去のいくつかの降雨量、過去のいくつかの降雨量のべき乗値を用いて、非線形ハマーシュタインモデルを用いたシステム同定手法によりポンプ場は下水処理場への将来の流入水の流入量を予測する工程と、
を備えたことを特徴とする雨水排水支援方法。
【請求項28】
請求項7記載の雨水排水支援方法により予測された雨水流入量を用いて、ポンプ施設に流入する雨水流入量に応じて運転する雨水ポンプの台数を決定し、前記ポンプ施設における水位変化に応じて前記雨水ポンプの起動および停止を制御する雨水排水制御システムであって、
前記ポンプ施設に対して水が流入する所定の上流地点における水位を検出する検出手段と、
予め設定されている雨水ポンプの起動水位および停止水位の少なくとも一方を、水の流下状況に応じて変更する変更手段と
予測された雨水流入量分の水を排出するために必要な雨水ポンプ運転台数を算出する手段と
を備えたことを特徴とする雨水排水制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−266072(P2006−266072A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−331634(P2005−331634)
【出願日】平成17年11月16日(2005.11.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】