説明

雪状の二酸化炭素の噴射を用いて加工物の洗浄、活性化ないしは前処理を行うための装置および方法

本発明は、雪状の二酸化炭素の噴射を用いて加工物の洗浄、活性化ないしは前処理を行うための装置および方法に関するものであり、この雪状の二酸化炭素の噴射は、加圧された液体CO2と、少なくとも1つの圧縮されたキャリアガスとから生成され、1つの吐出しノズル (14) によって加速され、そのとき二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子とからなる2相の二酸化炭素混合物が、凝集室 (8) の中で雪状の結晶の凝集および圧縮によって生成され、キャリアガス供給用の、二酸化炭素混合物がその周りを循環する中央ジェットパイプ (4) を含む多段の混合室 (10, 11, 12) の中で、キャリアガスに半径方向で混合され、加工物を加工するための高エネルギーの乱流気体の流れが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雪状の二酸化炭素の噴射を用いて加工物の洗浄、活性化ないしは前処理を行うための装置および方法に関するものであり、この雪状の二酸化炭素の噴射は、加圧された液体CO2と、少なくとも1つの圧縮されたキャリアガスとから生成され、1つの吐出しノズルによって加速され、そのとき二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子とからなる2相の二酸化炭素混合物が、凝集室の中で雪状の結晶の凝集および圧縮によって生成され、キャリアガスに混合される。
【背景技術】
【0002】
表面の洗浄、前処理および活性化のための噴射方法および噴射装置は、何十年も前からの先行技術である。しかしながら、ツールならびに金型、マシン、機械装置および部品の工業用洗浄のためには、環境法の強化および競争の激化という理由から、ここ数年来は、環境への負担が少なくコスト効率の良い新たな洗浄技術が求められている。
【0003】
相異なった形の二酸化炭素を用いた表面処理は、30年以上も前から発明の中で説明されている。相異なった形の二酸化炭素 (CO2) を用いた噴射は、昨今では、いくつかの産業領域で適用されている。
【0004】
文献 US-A 4962891 は、液体CO2からのCO2粒子とCO2ガスとから成る混合物を生成し、1つの狭いスロットノズルによってこれを高速まで加速することによって、光学機器やウエハーといった基盤物質から汚れを除去するための1つの装置を説明している。当然ながら、このような適用の場合には、洗浄されるべき表面に対して、ほんのわずかなエネルギー密度によって影響を与えることが許されるにすぎない。
【0005】
特許明細書US-A 5616067 には、圧に敏感な表面を比較的わずかなエネルギーによって洗浄するための1つの方法および装置が説明されており、この場合には、液体CO2が、またさらに、特別な目的のためには窒素気流が、1つの中央気流の中へと配分され、噴射ポンプの原理に従って加速される。寸法がきわめて小さいCO2研磨粒子への変換は、気体流そのものの中で行われ、雪状のCO2を産出するための緩和室または凝集室は、公開されていない。縦方向(軸線方向)において、公知である先の細い末広形の断面形状を呈し、楕円形あるいは角型の可変の吐出し断面を有する1つのノズルが提案されている。CO2は末広形の吐出し断面の中へ接線方向に取込まれる。
【0006】
文献US-A 5405283 は、わずかに圧力を加えた圧縮空気を窒素によって冷却し、そうして得られたガスを、膨張した液体CO2とともに1つのチャンバの中へ送る方法および装置を説明している。混合気体は、CO2粒子を超音速で運搬、混合ならびに加速するための、先の細い末広形の断面を有する噴射ノズルを介して、洗浄のために、頑固な汚れが付着した基体に向けて調整される。
【0007】
WO03/022525 の中では、表面を洗浄するための1つの噴射方法および噴射装置が説明されている。1つのアダプタを用いて、付加的な研磨噴射材あるいは圧力原からの液体が、たとえばドライアイスのような1つの噴射材を含む噴射担体に対して配分され得る。この構造によって、高い噴射効率ないしは噴射の広い分散が達成されると言われている。
【0008】
文献WO00/74897 A1 の中では、雪状のCO2から1つの噴射を作るための噴射器具が説明されており、これは第1のノズルと第2のノズルとを有し、第2のノズルは、第1の噴射を取囲む補助噴射を生成する。第1のノズルのノズル吹出し口では、液体CO2からの位相転換が行われる。
【0009】
文献WO2004/033154 A1 の中では、表面を洗浄するための1つの噴射方法および噴射装置が説明されている。1つのパイプの中央に供給されたキャリアガスに対して、圧力の加えられたCO2ガスが、緩和室の中でドライスノーあるいは液体CO2、また部分的にはドライアイス粒子へと変換されたうえで、鋭角的にジェットパイプへ送り込まれる。その場合には、キャリアガス流が噴射ポンプとして働く。キャリアガス量あるいは液体CO2は、スロットルバルブによって配分され得、そのとき、噴射混合は、望ましくは音速で、ラバルノズルを介して、洗浄されるべき基体に向けて調整される。洗浄効果は、供給されるべき水滴ないしはアイスペレットによって、高められると言われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
相異なるCO2の位相を用いた噴射のための従来の方法と装置は、ドライアイス・ペレットのための費用や、自動化能力の低さ、高い騒音レベル、および、ガスと加工されるべき加工物とのための物流管理に費用がかかるという理由から、今日まで、工業的に普及することができなかった。
【0011】
往々にして、達成された噴射効率が低すぎることもあるが、それは、使用された粒子の直径が小さすぎたり、固形の粒子が全然用いられていなかったり、あるいは、粒子速度が低すぎたりするためである。これに対して、CO2ペレットを用いた噴射の場合には、粒子の直径が大きすぎると、加工された基体の表面に損傷が発生する。さらに、投資費用ならびに運転コストもまた、経済的な使用のためには大きすぎるのである。
【0012】
直前に述べられた従来の技術に基づいて、本発明の根底にある問題は、投資費用ならびに運転コストを抑えつつ、しかも、加工された基体の表面を損傷することなく、表面の洗浄、前処理および活性化における、面積効果で計られた、単位時間毎の噴射効率を高めることが可能であるような、雪状の二酸化炭素の噴射を用いた洗浄を行うための装置および方法を提供することである。さらにまた、この技術は、連続操作において、自動化され、わずかな物流管理費用によって使用され得るべきなのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この問題は、発明に従って、請求項1から16までの特徴によって解決される。本発明のさらなる形態は、従属項の中で説明されている。
【0014】
第1の解決策は、雪状の二酸化炭素の噴射を用いて加工物の洗浄、活性化あるいは前処理を行うための1つの方法を含み、この雪状の二酸化炭素の噴射は、加圧された液体CO2と、少なくとも1つの圧縮されたキャリアガスとから生成され、1つの吐出しノズルによって加速され、そのとき二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子とから成る2相の二酸化炭素混合物が、凝集室の中で雪状の結晶の凝集および圧縮によって生成され、キャリアガスと混合されるが、そのときには、キャリアガスから成る中央の気体流が流れ込む混合室に、配分用の開口部を通して供給され、気体流に対して外部から放射状に配分され、乱流混合され、吐出しノズルの中で、混合された乱流気体によって加速され、加工物の方へ向けて送られる。
【0015】
混合は、望ましくは、3段階の混合室の中で実行されるべきなのであって、その場合には、混合室の第1の部分では、2相の二酸化炭素混合物が、混合室の内部へ突き出たジェットパイプの周りを均等に循環し、混合室の第2の部分では、ジェットパイプから混合室の中へ流れ込む気体流に供給され、混合室の第3の部分では、乱流混合される。
【0016】
さらに、発明に従い、混合室の中間部分あるいは後方部分の事前に効果的な仕方で確定され得る内壁の構造により、CO2混合物がジェットパイプの気体流の中へ導かれることによって、乱流気体の産出がサポートされ得る。
【0017】
この方法は、原則として、混合室内への吸入の際に10℃から40℃に調整される1つの気体流を用いて実行され、このことは、圧縮空気を生成する場合には容易に達成可能である。発明に従って、この方法においては、しかしながら、気体流は、混合室内への吸入の際に、たとえばジェットパイプにヒータを配置することによって、50℃以上の温度に調整され得る。これによって、吐出しノズルにおいても、加工されるべき加工物においても、水分の凝縮が発生しないということが達成され得る。こうして得られる高い平均温度あるいはキャリアガスとCO2混合物との間の温度拡散によって、加工物における洗浄衝撃力は、より大きくなる。その結果としての洗浄の改善が、実験によって示された。
【0018】
装置の中へ適切な固定的設備が設けられ、それによって、混合されるべき構成材にスピンないしは螺旋状の回転が形成されるときには、気体の混合効果と気体流の安定性が、発明に従ってサポートされ得る。
【0019】
この方法は、発明に従って、気体流あるいは混合室に液滴が、望ましくは水滴が供給されるときには、比較的にエネルギーが高くなる。
【0020】
気体流の中に固形の噴射材粒子が、望ましくは粉末や木、合成樹脂を含む有機の粒子が、あるいは、シリコンもしくは塩から成る非常に細かい固形物を含む無機の粒子が取入れられるときには、いくつかの特定の場合に、すなわち、加工されるべき表面あるいはブラスト処理されるべき汚れあるいは成層の種類に応じて、洗浄のさらなる改善が、発明に従って達成され得る。それによって、この方法あるいは装置の機能そのものは阻害されず、結果が改善される。
【0021】
この方法は、CO2の凝集に際して、二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子とから成る2相の二酸化炭素混合物が、凝集室の中で、配分用の開口部の前方において、外部から、望ましくは液体窒素によって冷却されるときに補助される。
【0022】
また、二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子とから成る2相の二酸化炭素混合物は、配分用の開口部の前方において、これに類似した目的のために、不活性の液体窒素を混合され得る。
【0023】
第2の解決策は、雪状の二酸化炭素の噴射を用いて加工物の洗浄、活性化あるいは前処理を行うための1つの装置を含み、これは特に、前記の方法を実行するための方法であり、その方法には、キャリアガスと液体二酸化炭素とのための制御可能な供給装置と圧力原とを有する1つの噴射装置と、雪状の二酸化炭素の結晶を生成するための凝集室、キャリアガスと二酸化炭素とのための混合装置、および、その後方に配置された吐出しノズルとが含まれており、この装置においては、キャリアガスのための混合装置が、混合装置の内部へ突き出たジェットパイプとして形成され、2相の二酸化炭素混合物における雪状の二酸化炭素の結晶を凝集し圧縮するための凝集室が、環状空間に開く1つの配分用の開口部を有し、また、混合装置は、一端において環状空間を持ち他端において吐出しノズルの中に開いた1つの噴出し開口部を持つ、複数の部分に分かれた凝集室として形成されている。
【0024】
発明に従って、混合室は、後方の部分領域において、乱流気体の流れを強化するための1つの狭窄部あるいは固定的設備を示す。
【0025】
1つの実施形態においては、望ましくは、凝集室が内側の突起部を有するパイプとして形成されることでき、この場合には、凝集室の内部突起部は、二酸化炭素CO2の流れる方向(矢印)に沿って直線的に通るか、またはパイプの内周に接したコイルの形に配置されている。
【0026】
吐出しノズルは、ほとんどの場合にはラバルノズルであるだろうが、発明に従って、さらにその他の、扁平状断面を備えるか円形あるいは円環形状の出口を備える形もまた適用できるのであって、これらの適用は、加工物の要求に対して適切に対応しつつ、洗浄されるべきものが大きな平面であるか、あるいは穴や突起物やノッチまたはこれに類したものであるかどうかに従って、求められている。従来の実用実験に従って、有意に使用し得る、優れた効果を奏するノズルの限界は、従属請求項の中で決定されている。
【0027】
本発明の枠内で実施された調査によれば、キャリアガス流への噴射材の従来の配分の場合には、大きな出力低下が発生するという結果が得られた。発明に従った3段階の混合室を使用することにより、2相の二酸化炭素混合物を均等に配分し、二酸化炭素粒子の重大な昇華なしに、および、均一に乱流撹拌されて、気体流に供給することできる。
【0028】
本発明の利点は、二酸化炭素粒子が凝集室の中で雪状の二酸化炭素結晶から凝集および圧縮の手順によって生成されることである。広範な調査は、二酸化炭素粒子のこのような仕方での生成が、従来の技術と比較して、表面の洗浄、前処理および活性化において、明らかにより高い噴射効率を可能にするということを示した。部品、ツールならびに金型およびマシン、機械装置の洗浄および前処理のためには、このようにして、投資費用ならびに運転コストの節約が達成され得る。雪状の二酸化炭素結晶を使用することによって、本技術は、連続操作において自動化され得、わずかな物流管理費用により運転され得る。
【0029】
発明に従って加工された合成樹脂表面ならびに金属表面の加工物分析は、加工された基体表面の損傷が全く発生しないということを示した。凝集室と混合室とノズルという範囲の中で温度とフローと圧力との最適条件を使用する場合には、清浄度の向上と同時に、より高い噴射効率が達成され得る。
【0030】
発明に従った方法を自動化するために、この方法で適用された気流の圧力、体積流量率ないしは温度というパラメータが、コンピュータにより、センサを用いて感知され検知されて、あらかじめ設定あるいは算出された規定値との比較調整を経て制御される。
【0031】
さらにまた、発明の発展的形態においては、加工されるべき加工物に対する吐出しノズルの相対運動もまた、コンピュータを用いて制御され、それによってまた、任意の加工物が状態と位置付けとに関して感知され、処理されるべき表面は噴射装置によってカバーされ得る。
【0032】
自動化のためには、電気式アクチュエータを介してニューマチック制御にアクセスする1つの制御コンピュータが使用される。プロセスパラメータと調整パラメータとは、測定用トランスデューサを用いて検知され、電気信号として制御コンピュータに供給される。
【0033】
雪状の二酸化炭素の噴射および装置の一次制御は、純粋にニューマチックな仕方で行われるので、この方法は電源接続なしに使用され得る。さらにまた、ニューマチックコンポーネントは、電気的コンポーネントに比べて、明らかに、目立つ故障が少なく、特別な整備の必要も少ない。
【0034】
本発明を手動で適用する場合には、電源供給が全く必要ないため、物流管理が単純になる。
【0035】
次に、前記の説明による、発明に従った装置のための適用例を、発明に従った1つの方法において説明する。
【0036】
第1の例においては、雪状の二酸化炭素の噴射に関する洗浄方法ならびに前処理方法は、塗装工程に先立つ合成樹脂部品の洗浄を自動化するために、工業用に使用され得る。その目的は、塗装前の合成樹脂表面の完全な洗浄であり、すなわち、グリースやオイル、離型剤、指紋、塵埃粒子ならびに研磨剤の除去である。キャリアガスとしては、粒子やオイルならびに水を含まない圧縮空気が使用され、この圧縮空気は、1つのスクリュー式コンプレッサによって生成され、そのうえで処理された。二酸化炭素の供給は、1つの低圧タンクを介して行われた。調整パラメータは、圧縮空気の噴出圧力に関しては、2 barから6 barの間にあり、体積流量率に関しては2 m3/minから6 m3/minの間にあって、さらに二酸化炭素の圧力に関しては、18 barから22 barの間にあった。洗浄されるべき合成樹脂部品表面の広さと構造、および要求されるサイクルタイムに応じて、円形ノズルあるいは扁平ノズルが使用される。ノズルは、産業用6軸ロボットによって、洗浄されるべき部品の上へ導かれた。1つのコンピュータを経て、設備パラメータが制御され、この場合に、それらは圧縮空気とCO2との圧力と体積流量率、および噴射装置の相対運動の速度、ならびに、加工されるべき加工物表面に対する噴射装置の位置であった。
【0037】
二酸化炭素の消費性能は、適用されたノズルと合成樹脂表面の汚れの量および引きはがし粘着力とに依存し、0,2 kg/minから1,0 km/minまでの間にある。工業用に求められた要求清浄度を達成するために、噴射ノズルの送り速度は、200 mm/sから600 mm/sまでの間にある。噴射幅80 mmの扁平状ノズルが適用されるときには、1 m2/minから3 m2/minまでの広さの表面が洗浄され得る。洗浄後の表面洗浄度の分析は、視覚的には光学顕微鏡を用いて、および拭取り試験によって行われる。直後に重ねられた塗装の分析が、付加的に実行された。
【0038】
その結果として、塗装付着力ならびに塗装抵抗力が、通常の洗浄方法と、手動での洗浄、および従来の技術に従った機器によるCO2噴射とに比較して、より高められ得た。
【0039】
第2の例においては、1 m2から8 m2までの表面を有し得る大きな射出成形用金型の洗浄によって、焼付いて固着した離型剤残留物が、このような加工物表面から除去されなければならない。そのためには、6から8 m3/minの体積流量率の場合に8 barから10 barまでの噴射圧力を備えた圧縮空気が、1つのスクリュー式コンプレッサによって生成される。二酸化炭素の供給は、望ましくはボトル束として配置されたシリンダーボンベを用いて、行われる。二酸化炭素の圧力は、40 barから60 barまでの間にある。洗浄装置は、洗浄されるべき加工物の上に手動で導かれる。金型表面上の汚れの引きはがし粘着力と量とに応じて、洗浄性能は0,2 m2/minから1,0 m2/minまでの間にある。二酸化炭素の消費性能は、噴射直径が20 mmの円形ノズルを適用した場合には、1 kg/minであった。噴射エネルギーは、一方では、混合室内への水滴の効果的な取入れによって、変化させられた。他方では、100 m/sから300 m/sまでの領域における噴射速度の制御が有利であると判明した。
【0040】
その結果として、雪状の二酸化炭素の噴射を用いた金型の洗浄によって、機械の不稼働時間が顕著に減少させられ、それ以外の場合に洗浄のために使用されるワイヤブラシによる機械的損傷が回避され、および、費用が節減され得る。離型剤残留物は、発生する気体流によって、洗流される。付加的に、金型表面の清浄度が向上させられ、それによって、金型の中で射出された加工物の表面品質が向上させられる。
【0041】
次に、本発明を、図に基づいて詳細に説明する。
【0042】
図1は、雪状の二酸化炭素を噴射するための装置を示す。混合室1の中へ、ガス供給パイプ3と混合室1の内部へ突き出たジェットパイプ4とを経て、気体流2が送られる。この気体流は、コンプレッサ5によって生成され、処理された、汚れのないエアである。
【0043】
食品工業あるいは光学工業といった特別な場合においては、このようなエアの代りに、圧力タンク6から出された、窒素のような不活性ガスが適用され得る。
【0044】
ジェットパイプ4と混合室1とに対して横方向に、雪状のCO2粒子のための凝集室8が配置され、その出口側においてジェットパイプ4を取囲んでいる。図では示されていないバルブを経て、液体状のCO2が(矢印方向に)、図では示されていないタンクから凝集室8の中へ送られ、その中で緩和される。混合室1の周辺部にある配分用の開口部7を経て、二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子とから成る2相の二酸化炭素混合物9が、混合室1に供給される。
【0045】
混合室1の第1部分10では、2相の二酸化炭素混合物が、ガス供給パイプ3の、混合室1の内部へ突き出たジェットパイプ4の周りを循環し、混合室1の第2部分11において、気体流2に半径方向で混合される。混合室1の第3部分12においては、二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子とから成る2相の二酸化炭素混合物9が、気体流2に乱流混合される。
【0046】
混合室1の吹出し口13からは、二酸化炭素粒子を有する混合気体流が吐出しノズル14の中へ流れこみ、その中で加速される。ノズル出口15からは、雪状の二酸化炭素の結晶16が吹き出し、加工物17の洗浄、前処理ないしは活性化のために使用され得る。
【0047】
次に説明されるのは、雪状の二酸化炭素を噴射するための装置のさらなる実施形態であり、これらの実施形態においては、追加的な部品あるいは手段によって、方法の自動化度が高められ得、あるいは、1つのより精密な制御と加工課題への適応が可能にされる。
【0048】
コンピュータを介した制御は、明示的に示されていないが、ニューマチック制御が好適であり、この場合には、以下でさらに詳しく補足説明されるべき全ての機能ユニットに、センサとアクチュエータとが取付けられている。これと同じことが、たとえば適用例に従えば、本装置の上記実施形態の1つとガスタンクとを備え得るロボットにも当てはまる。
【0049】
実施形態2においては、混合室1の第3部分12における乱流混合を強化するため、また、それによって噴射効率を向上させるためにガス供給パイプ3の内周、ないしは混合室1の内部へ突き出たジェットパイプ4の内周に、機械的な固定的設備18が配置され、これらは、気体流2に螺旋状の回転ないしはスピンを与え、これによってフローを安定させる。
【0050】
実施形態3においては、気体流2の温度を高めるため、また、それによって噴射性能を向上させ、および、加工物表面17における水分の凝縮を避けるため、ガス供給パイプ3の中で、混合室1の内部へ突き出たジェットパイプ4の前方に、センサを備えたヒータ19が組み込まれる。
【0051】
実施形態4 / 5においては、噴射性能を向上させるため、ないしは、洗浄、前処理ないしは活性化の後に特定の表面特性を達成するため、混合室1の内部へ突き出たジェットパイプ4の前方におけるガス供給パイプ3の中で、噴射材配分システム20を介して固形の噴射材粒子が、ないしは、液体配分システム21を介して水滴ないしは腐食抑制剤が、望ましくはリン酸塩が、気体流2の中に配分される。
【0052】
実施形態6においては、噴射性能を向上させるため、ないしは洗浄、前処理ないしは活性化の後に特定の表面特性を達成するため、混合室の中へ直接的に、望ましくは混合室1の第1部分10あるいは第2部分11において、水滴ないしは腐食抑制剤が、望ましくはリン酸塩が、ないしは固形の噴射材粒子が、供給システム22を介して取入れられる。
【0053】
実施形態7においては、配分を向上させ、また、混合室1の中での乱流混合を向上させるために、混合室1の周辺部における配分用の開口部7の内周に、機械的な固定的設備23が在り、これが二酸化炭素ガス8と二酸化炭素粒子9とから成る2相の二酸化炭素混合物に螺旋状の回転を与える。
【0054】
実施形態8においては、二酸化炭素粒子9を拡大し、二酸化炭素粒子における質量流量率を高め、また、それによって噴射性能を向上させるために、二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子9とから成る2相の二酸化炭素混合物が、混合室1における配分用の開口部7を介した供給に先立って、外部から、感温センサを備えた冷却システム24によって、リザーブタンク25からの液体窒素を用いて冷却される。
【0055】
実施形態9によれば、もう1つの別の冷却方式は、二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子9とから成る2相の二酸化炭素混合物の中へ、配分用の開口部7を介した混合室1への供給に先立って、液体窒素配分システム26を介して液体窒素を直接的に配分することである。
【0056】
実施形態10ないしは11によれば、二酸化炭素粒子9の拡大と圧縮によって噴射性能を向上させるための、もう1つのさらなる方式は、配分用の開口部7を介して2相の二酸化炭素混合物を混合室1の中へ供給するに先立って、内部突起物27を使用することである。内部突起物27は、凝集室8の中で雪の形成を促進するための補助手段として役立ち、その結果、雪状の二酸化炭素の結晶が、より大きくより凝縮された二酸化炭素粒子9へと成長することになる。言うまでもなく、本装置のあらゆる実施形態においては、前もって決定あるいは調整され得る、図示されないノズルを介してCO2が流れ込むのであり、リブパイプとして形成されたチャンバの内部突起物は、供給源から液体として流れ込むこのようなCO2の方向(矢印)に沿って直線的に通る。
【0057】
噴射性能は、リブパイプの内部突起物27がチャンバ8の内周に接した1つのコイルの形で形成されている場合には、付加的に強化され得る。
【0058】
図2は、吐出しノズル14のための若干の実施形態A, B, C, Dを示し、そのノズル開口部15からは、雪状の二酸化炭素の結晶16が吹き出し、加工物表面17の洗浄、前処理および活性化のために使用され得る。
【0059】
図2Aによれば、ノズル14として、先細形断面29と円筒形断面30と末広形断面31とを備えた1つのラバルノズル28が使用され得る。吹出し口断面の構造は、1つの円32に相当する。
【0060】
図2Bによれば、雪状の二酸化炭素を噴射するための装置は、適用の仕方に係わらず、1つの円34の吹出し口断面構造を備えた円形ノズル33を使用する可能性を提供する。
【0061】
図2Cによれば、1つの方形36あるいは1つの楕円形37の吹出し口断面構造を備えた扁平形ノズル35が使用され得るのであり、だがまた、フロー用固定設備39と1つの円環形40の吹出し口断面構造を備えた円環形ノズル38もまた使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】雪状の二酸化炭素を噴射するための、発明に従った装置を示す構成図であり、この場合には、本発明の数多くの実施形態が、1つの図の中に一緒に示されている。
【図2】図1に従った装置のための、吐出しノズルの相異なった実施形態A, B, C, Dである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された液体CO2と、少なくとも1つの圧縮されたキャリアガスとから生成され、1つの吐出しノズルによって加速された雪状の二酸化炭素の噴射を用い、その場合に二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子とから成る2相の二酸化炭素混合物が凝集室の中で雪状の結晶の凝集および圧縮によって生成されてキャリアガスと混合され、
キャリアガスから成る中央の気体流が流れ込む混合室 (1) の、配分用の開口部 (7) を通して気体流 (2) に半径方向で外部から配分され、乱流混合され、吐出しノズル (14) の中で、混合された乱流気体によって加速され、加工物 (17) の方へ向けて送られることを特徴とする、加工物の洗浄、活性化ないしは前処理を行うための方法。
【請求項2】
混合が3段階の混合室 (1) の中で実行され、その場合に混合室の第1部分 (10) では、2相の二酸化炭素混合物 (9) が、混合室 (1) の内部へ突き出たジェットパイプ (4) の周りを均等に循環し、混合室 (1) の第2部分 (11) において、ジェットパイプ (4) から混合室 (1) へ流れ込む気体流 (2) に供給され、混合室 (1) の第3部分 (12) において乱流混合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
この方法で適用された気流の圧力、体積流量率ないしは温度というパラメータが、コンピュータにより、センサを用いて感知され検知されて、あらかじめ設定あるいは算出された規定値との比較調整を経て制御されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
気流のパラメータ以外に、加工されるべき加工物 (17) に対する吐出しノズル (14) の相対運動もまたコンピュータを用いて制御されることを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
気体流 (2) が圧縮空気源 (5) のエアによって機能し、あるいは窒素が圧力タンク (6) によって機能することを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
気体流 (2) が、混合室 (1) の中へ吸入される際に10℃から40℃に調整されることを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
気体流 (2) が、混合室 (1) の中へ吸入される際に50℃以上の温度に調整されることを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
気体流 (2) が、混合室 (1) の中へ吸入される際にスピン回転を与えられることを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子とから成る2相の二酸化炭素混合物 (9) が、配分用の開口部 (7) の前でスピン回転を与えられることを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
液滴が、望ましくは水滴が、気体流 (2) に供給されることを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
液滴が、望ましくは水滴が、混合室 (1) の中で供給されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
気体流 (2) の中に固形の噴射材粒子が取入れられることを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
固形の噴射材粒子として、望ましくは粉末や木、合成樹脂を含む有機の粒子が、あるいは、シリコンもしくは塩から成る非常に細かい固形物を含む無機の粒子が使用されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子 (9) とから成る2相の二酸化炭素混合物が、凝集室 (8) の中で、配分用の開口部 (7) の前方において、外部から、望ましくは液体窒素によって冷却されることを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
二酸化炭素ガスと二酸化炭素粒子 (9) とから成る2相の二酸化炭素混合物の中に、配分用の開口部 (7) の前方において、液体窒素が混合されることを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
キャリアガスと液体二酸化炭素とのための制御可能な供給装置と圧力原とを有する1つの噴射装置と、雪状の二酸化炭素の結晶を生成するための凝集室、キャリアガスと二酸化炭素とのための混合装置、および、その後方に配置された吐出しノズルとを含み、キャリアガスのための混合装置 (3) が、混合装置 (1) の内部へ突き出たジェットパイプ (4) として形成され、2相の二酸化炭素混合物における雪状の二酸化炭素の結晶を凝集し圧縮するための凝集室 (8) が、環状空間 (10) に開く1つの配分用の開口部 (7) を有し、混合装置 (1) が、一端において環状空間 (10) を有し他端において吐出しノズル (14) の中に開いた1つの噴出し開口部 (13) を有する複数の部分に分かれた凝集室 (10, 11, 12) として形成されていることを特徴とする、雪状の二酸化炭素の噴射を用いて加工物の洗浄、活性化あるいは前処理を行うための、特に前記請求項のいずれか1つに記載の方法を実行するための装置。
【請求項17】
混合室 (1) が3段階の混合室であり、その場合に、2相の二酸化炭素混合物 (9) が混合室 (1) の内部へ突き出たジェットパイプ (4) の周りを均等に循環するように混合室の第1部分 (10) が形成され、2相の二酸化炭素混合物がジェットパイプ (4) からの気体流 (2) に混合されるように混合室 (1) の第2部分 (11) が形成され、二酸化炭素 (CO2; 9) とキャリアガス (2; 5, 6) との乱流混合を生じさせるように混合室 (1) の第3部分 (12) が形成されることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
凝集室 (8) が、内部突起物 (27) を備えたパイプとして形成されることを特徴とする、請求項16あるいは17に記載の装置。
【請求項19】
凝集室 (8) の内部突起部 (27) が、二酸化炭素CO2の流れる方向(矢印)に沿って直線的に通ることを特徴とする、請求項16〜18に記載の装置。
【請求項20】
凝集室 (8) の内部突起部が、パイプの内周に接したコイルの形に配置されていることを特徴とする、請求項16〜18に記載の装置。
【請求項21】
混合室 (1) が、後方の部分領域(11または12)において、乱流気体の流れを強化するための1つの狭窄部あるいは固定的設備を示すことを特徴とする、請求項16〜20に記載の装置。
【請求項22】
吐出しノズル (14) がラバルノズルとして形成されていることを特徴とする、請求項16〜21に記載の装置。
【請求項23】
吐出しノズル (14) が、円形断面 (32, 34) を備えるか扁平状断面 (36, 37) あるいは円環形状の断面 (40) を備えたノズルとして形成されていることを特徴とする、請求項16〜21に記載の装置。
【請求項24】
扁平状ノズルが、20 mmから120 mmまでの幅と1 mmから4 mmまでの高さとを備えた吹出し口 (36, 37) を有することを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
円形ノズルが、2 mmから20 mmまでの直径を備えた吹出し口 (32, 34) を有することを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項26】
この方法で適用された気流の圧力、体積流量率ないしは温度という、センサを用いて感知され検知され、あらかじめ設定あるいは算出された規定値と比較調整されたパラメータを制御するためのコンピュータを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の装置。
【請求項27】
気流のパラメータ以外に、加工されるべき加工物 (17) に対する吐出しノズル (14) の相対運動もまた制御するための適切なコンピュータを特徴とする、前記請求項のいずれか1つに記載の装置。
【請求項28】
1つの制御コンピュータが、電気式アクチュエータを介して、装置全体のためのニューマチック制御にアクセスできるような、自動化装置を特徴とする前記請求項のいずれか1つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−529760(P2008−529760A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−553473(P2007−553473)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012866
【国際公開番号】WO2006/081856
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(507242374)クライオスノウ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】