説明

電位作動型ナトリウムチャンネル阻害剤

電位作動型ナトリウムチャンネルを通過するナトリウムイオン流束の阻害による疾患の治療に有用な化合物、組成物、および方法が提供される。より具体的には、本発明は、適応病状の発症または再発に関与するナトリウムチャンネルを遮断することにより、中枢または末梢神経系障害、特に疼痛および慢性疼痛の治療に有用な複素環式アリールスルホンアミド、組成物、および方法を提供する。本発明の化合物、組成物、および方法は、電位作動型ナトリウムチャンネルを通過するイオン流束の阻害によって、神経障害性または炎症性疼痛を治療する特定用途がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、あらゆる目的のために参照によって全体を本明細書に援用する2005年8月16日に出願された米国仮特許出願第60/708,866号明細書の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ナトリウムチャンネル遮断剤としての特定化合物の使用、およびナトリウムチャンネル阻害による疼痛治療に関する。さらに、本発明は、ナトリウムチャンネル遮断剤として有用な新規な化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
電位作動型ナトリウムチャンネルは、筋肉の筋細胞、および中枢および末梢神経系のニューロンをはじめとする全ての興奮細胞に見られる。ニューロン細胞では、ナトリウムチャンネルが活動電位の迅速な上昇行程を発生させる主な原因である。したがって、ナトリウムチャンネルは、神経系における電気信号の惹起および伝播に必須である。したがって、ナトリウムチャンネルの妥当で適切な機能は、ニューロンの正常な機能のために必要である。したがって、てんかん(ヨーゲスワリ(Yogeeswari)ら、Curr.Drug Targets、5(7):589〜602頁、2004年10月)、不整脈(ノーブル(Noble)D.、Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.、99(9):5755〜6頁、2002年4月30日)筋緊張症(キャノン(Cannon)、S.C.、Kidney Int.、57(3):772〜9頁、2000年3月)、および疼痛(ウッド(Wood),J.N.ら、J. Neurobiol.、61(1):55〜71頁、2004年10月)をはじめとする、多様な医学的障害の根底に、異常なナトリウムチャンネル機能があると考えられる(遺伝性イオンチャンネル障害のレビューについてはヒュブナー(Hubner)C.A.、イエンチ(Jentsch)T.J.、およびハム(Hum)、Mol Genet.、11(20):2435〜45頁、2002年10月1日を参照されたい)。下の表1を参照されたい。
【0004】
【表1】

【0005】
目下、電位作動型ナトリウムチャンネル(VGSC)αサブユニットファミリーには10の既知のメンバーがある。このファミリーの名称としては、SCNx、SCNAx、およびNax.x.が挙げられる。VGSCファミリーは、Na1.x(SCN6Aを除く全て)およびNa2.x(SCN6A)の2つのサブファミリーに系統学的に分割されている。Nav1.xサブファミリーは、テトロドトキシンによる遮断に感応性のもの(TTX−感応性またはTTX−s)と、テトロドトキシンによる遮断に抵抗性のもの(TTX−抵抗性またはTTX−r)の2群に機能的に細分できる。
【0006】
TTX−抵抗性ナトリウムチャンネル亜群には、3つのメンバーがある。SCN5A遺伝子生成物(Na1.5、H1)はほぼ例外なく心臓組織中で発現され、多様な心臓不整脈および伝導障害の根底にあることが示されている(リュー(Liu)H.ら、Am.J. Pharmacogenomics、3(3):173〜9頁、2003年)。したがってNav1.5の遮断剤は、このような障害の治療において臨床用途がある(シュリバッサ(Srivatsa)U.ら、Curr.Cardiol.Rep.、4(5):401〜10頁、2002年9月)。残るTTX−抵抗性ナトリウムチャンネルNav1.8(SCN10A、PN3、SNS)およびNav1.9(SCN11A、NaN、SNS2)は末梢神経系中で発現され、一次侵害受容ニューロン中での優先的発現を示す。これらのチャンネルのヒト遺伝的変異型は、いかなる遺伝性臨床障害とも関連づけされていない。しかしNav1.8の異常な発現が、ヒト多発性硬化症(MS)患者のCNSおよびMSの齧歯類モデルでも発見されている(ブラック(Black),J.A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.10、97(21):11598〜602頁、2000年10月)。侵害受容への関与の証拠は、連合的(侵害受容ニューロン中での優先的発現)および直接的(遺伝的ノックアウト)の双方である。Nav1.8−ヌルマウスは、急性の侵害性刺激に応えて典型的な侵害受容の動態を示したが、関連痛および痛覚過敏において顕著な欠損を有した(レアード(Laird)J.M.ら、J.Neurosci.22(19):8352〜6頁、2002年10月1日)。
【0007】
電位作動型ナトリウムチャンネルのTTX−感応性サブセットはTTX−抵抗性チャンネルよりも広範な組織中で発現され、多様なヒト障害と関連づけられている。Na1.1チャンネルは、中枢および末梢神経系双方の中で発現され、タイプ1および2の熱性痙攣プラス(GEFS+1、GEFS+2)を伴う全般てんかん、乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)、およびその他をはじめとするいくつかの発作障害と関連づけられているので、この一般パターンを良く例示する(クラース(Claes),L.ら、Am.J.Hum.Genet.68:1327〜1332頁、2001年;エスカイグ(Escayg),A.、Am.J.Hum.Genet.68:866〜873頁、2001年:ロシン(Lossin),C.、Neuron 34:877〜884頁、2002年)。Nav1.2チャンネルは、独占的ではないにしても大部分中枢神経系中で発現され、定量的研究は、CNSの最も豊富なVGSCであることを示唆する。Nav1.2の変異はまた、発作障害にも関連づけられ(ベルコビッチ.(Berkovic),S.F.ら、Ann.Neurol.55:550〜557頁、2004年)、Nav1.2ヌル「ノックアウト」マウスは周産期致死性を示す(プラネルズ−ケーシズ(Planells−Cases)R.ら、Biophys.J.、78(6):2878〜91頁、2000年6月)。Nav1.4遺伝子の発現は骨格筋にほぼ限定され、したがってこの遺伝子の変異は、多様な運動性障害と関連づけられる(プタセク(Ptacek),L.J.、Am.J.Hum.Genet.49:851〜854頁、1991年;ハドソン(Hudson)AJ、Brain.118(第2部):547〜63頁、1995年4月)。これらの障害の大部分は活動亢進または「機能増大」に関連し、ナトリウムチャンネル遮断剤での治療に反応することが分かっている(デサフィー(Desaphy)J.F.ら、J.Physiol.、554(第2部):321〜34頁、2004年1月15日)。
【0008】
SCN3AまたはSCN8AVGSC遺伝子のどちらも、ヒトにおける遺伝性障害に確証的に結びつけられてはいない。SCN8A遺伝子の機能損失変異はマウスで知られており、遺伝子生成物の残留機能性次第でますます衰弱する表現型を生じる(メイスラー(Meisler)M.H.、Genetica.、122(1):37〜45頁、2004年9月)。同型接合性ヌル変異が進行性運動ニューロン不全を引き起こして麻痺および死亡につながるのに対し、異種接合体ヌル動物は無症候性である。同型接合型medマウスは機能性Nav1.6の電流のほぼ90%の減少を有して、筋緊張異常および筋肉低下を示すが、なおも生存可能である。Nav1.6は後根神経節中で高レベルで発現して脊髄知覚神経路中に見られるので(ズマカ(Tzoumaka)E.、J.Neurosci.Res.、60(1):37〜44頁、2000年4月1日)、Nav1.6が侵害受容において重要であることの証拠は、ほとんど連合的である。しかしNav1.6の発現が、末梢感覚ニューロンに限定されないことにも留意すべきである。Nav1.6チャンネル同様、Nav1.3 VGSCの発現もまた、中枢および末梢神経系の双方で検出できるが、成人CNSにおけるレベルは一般にPNSよりもはるかに高い。発生期および出生後早期中に、Nav1.3は末梢ニューロン中で発現されるが、この発現は動物が成熟するにつれて衰退する(シャー(Shah)B.S.、Physiol.、534(第3部):763〜76頁、2001年8月1日;シャラー(Schaller)K.L.、Cerebellum.、2(1):2〜9頁、2003年)。ニューロンの障害に続いて、Nav1.3の発現は上方制御され、発生発現パターンをより近く模倣する(ヘインス(Hains)B.C.、J.Neurosci.、23(26):8881〜92頁、2003年10月1日)。Nav1.3発現の再発と同時に、Nav1.3と同様の生物物理学的プロフィールがある、損傷軸索中の迅速に再プライミングするナトリウム流の出現がある(レフラー(Leffler)A.ら、J.Neurophysiol.、88(2):650〜8頁、2002年8月)。神経損傷のラットモデルにおいて、おそらくはNav1.3発現の下方制御によって、高レベルのGDNFによる損傷軸索の治療は迅速にプライミングするナトリウム流を減少させ、熱的および機械的疼痛関連動態を逆転させることが示されている(ブーシェ(Boucher)T.J.、Curr.Opin.Pharmacol.1(1):66〜72頁、2001年2月)。アンチセンスオリゴヌクレオチドによる治療を通じたNav1.3の特定の下方制御はまた、脊髄損傷に続いて疼痛関連動態を逆転させることも示されている(ハインズ(Hains)B.C.、J.Neurosci.23(26)888:1〜92頁、2003年10月1日)。
【0009】
Na1.7(PN1、SCN9A)VGSCはテトロドトキシンによる遮断に対して感応性であり、末梢交感神経および感覚ニューロン中で優先的に発現される。SCN9A遺伝子は、ヒト、ラット、およびウサギをはじめとするいくつかの種からクローンされており、ヒトとラット遺伝子の間で約90%のアミノ酸同一性を示す。(トレド−アラル(Toledo−Aral)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.、94(4):1527〜1532頁、1997年2月18日)。
【0010】
増加する多数の証拠は、Na1.7が、急性、炎症性および/または神経障害性疼痛をはじめとする様々な疼痛状態で、重要な役割を果たしているかもしれないことを示唆する。マウスの侵害受容のニューロン中のSCN9A遺伝子の欠失は、機械的および熱痛閾値の低下、および炎症性疼痛反応の低下または消滅をもたらす(ナーサル(Nassar)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.101(34):12706〜11頁、2004年8月24日)。ヒトでは、Na1.7タンパク質は、神経腫、特に疼痛性神経腫中に蓄積することが示されている(クレッチマー(Kretschmer)ら、Acta Neurochir(Wien)、144(8):803〜10頁、2002年8月)。家族性および散発性双方のNa1.7の変異はまた、四肢の灼熱痛と炎症によって特徴づけられる疾患である一次肢端紅痛症とも関連づけられている(ヤン(Yang)ら、J.Med.Genet.41(3):171〜4頁、2004年3月)。この観察と合致するのは、家族性肢端紅痛症の症例において、非選択的ナトリウムチャンネル遮断剤のリドカインおよびメキシレチンが症状軽減を提供できるという報告である(ルグルー−クレペル(Legroux−Crepel)ら、Ann.Dermatol.Venereol.130:429〜433頁)。
【0011】
ナトリウムチャンネル遮断薬は、様々な疾患状態の治療において効果的であることが報告されており、局所麻酔剤として、および心臓不整脈治療における特定用途がある。急性、慢性、炎症性および/または神経障害性疼痛をはじめとする疼痛治療において、ナトリウムチャンネル遮断薬が有用かもしれないことが報告されている。例えばウッド(Wood),J.N.ら、J.Neurobiol.、61(1):55〜71頁、2004年10月、を参照されたい。前臨床の証拠は、末梢および中枢感覚ニューロンにおけるニューロン発射をナトリウムチャンネル遮断薬が抑止できることを実証し、それらはこの機序を通じて疼痛緩和に有用かもしれない。場合によっては異常なまたは異所性発射が、損傷したまたは別のやり方で感作されたニューロンから発することができる。例えばナトリウムチャンネルは、末梢神経中の軸索損傷部位に蓄積できることが示されており、異所性発射の発生器として機能するかもしれない(デヴォー(Devor)ら、J.Neurosci.132:1976頁、1993年)。ナトリウムチャンネルの発現および興奮性の変化はまた、炎症性疼痛の動物モデルでも示されており、そこでは炎症促進性物質(CFA、カラゲナン)による治療が疼痛関連動態を促進し、ナトリウムチャンネルサブユニットの増大する発現と関連していた(グールド(Gould)ら、Brain Res.、824(2):296〜9頁、1999年4月10日;ブラック(Black)ら、Pain、108(3):237〜47頁、2004年4月)。したがってナトリウムチャンネルの発現レベルまたは分布のどちらかの変更は、ニューロン興奮性および疼痛関連動態に主要な影響を与えるかもしれない。
【0012】
急性または慢性疼痛障害のどちらかがある多くの患者は、現行の疼痛治療法に対して応答不良であり、アヘン剤への抵抗性または非感受性が一般的である。さらに目下利用できる治療の多くは、望ましくない副作用を有する。神経障害性疼痛の発生を予防し、または確立した神経障害性疼痛を制御する治療はないことが報告されている(マニオン(Mannion)ら、Lancet、353:1959〜1964頁、1999年)。
【0013】
オーカワ(Ohkawa)らは、ナトリウムチャンネル遮断剤として有用な環式エーテルのクラスについて述べている(米国特許第6,172,085号明細書)。
【0014】
目下、ギャバペンチンが、神経障害性疼痛のための主要な治療である。てんかんの場合と同じく、その疼痛に対する作用機序は未知である。しかし神経障害性疼痛のためのギャバペンチン治療に応答するのは、わずか30%程度の患者である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
入手できる限定された数の薬剤、および入手できる薬剤の低い有効性レベルの点から見て、神経障害性疼痛に関与するイオンチャンネルの強力な特異的阻害剤である化合物に対する、差し迫った必要がある。本発明は、このような化合物、それらの使用法、および化合物を含む組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の概要
様々な複素環式アリールスルホンアミドが、ナトリウムチャンネルの強力な修飾因子であることが今や発見された。続く考察において、末梢神経系に限局性のナトリウムチャンネル阻害、特にTTX−sナトリウムチャンネルの選択的阻害剤であり、TTX−sナトリウムチャンネルサブユニットをはじめとするチャンネルを通過するナトリウムイオン流束の阻害によって疼痛を治療するのに有用な化合物を参照して、本発明を例示する。本発明の化合物および方法は疾患を治療するのに有用であり、そこでは1つ以上のTTX−sナトリウムチャンネルを調節することで、疾患の緩和を提供する。特に興味深いのは、疼痛および中枢または末梢神経系障害、好ましくは末梢神経系障害を治療するための本発明の化合物および方法の使用である。本発明は急性、慢性、炎症性、および/または神経障害性疼痛を治療するために役立つ。
【0017】
本発明は、電位依存性ナトリウムチャンネルを通過するナトリウムイオン流束の調節による疾患の治療において有用な化合物を提供する。より具体的には、本発明は下でより詳しく述べるように、このようなイオンチャンネル調節に感受性の病状を改善または軽減するのに有用な化合物、組成物、および方法を提供する。
【0018】
第1の態様では、本発明は、式I、
【化1】

で表される化合物を提供する。
【0019】
式中、R、R、R、およびRは、H、F、CF、置換または非置換C〜Cアルキル、非置換3〜7員環シクロアルキル、および非置換3〜7員環ヘテロシクロアルキルから独立して選択されるメンバーであることができる。
【0020】
記号Aは、
【化2】

から選択されるメンバーを表す。
【0021】
は、C〜C置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。添字qは、0〜2の整数から選択されるメンバーを表す。Rは、H、ハロゲン、CF、C〜C置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。
【0022】
記号Bは、
【化3】

から選択されるメンバーを表す。
【0023】
記号Xは、O、およびSから選択されるメンバーを表す。
【0024】
記号Yは、CHおよびNから選択されるメンバーを表す。添字sは、環原子の原子価要件を満たすのに十分な0を超える整数を表す。各Rは、H、OR、NR10、SONR10、シアノ、ハロゲン、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。Rは、H、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。RおよびR10は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。
【0025】
記号Zは、
【化4】

から選択されるメンバーであることができる。
【0026】
各R11は、H、OR13、NR1415、SONR1415、シアノ、ハロゲン、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。R13は、H、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。R14およびR15は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。R14およびR15は、それらが結合できる窒素と一緒になって、任意に結合して置換または非置換5〜7員環を形成できる。添字rは、0〜2の整数から選択されるメンバーを表す。添字pは、0〜1の整数から選択されるメンバーを表す。R12は、C〜C置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。添字mおよびnは、mおよびnから選択されるメンバーが1を超えることができる場合、各RおよびRと、RおよびRがそれぞれ独立して選択できるように、独立して、0〜2から選択される整数を表すことができる。
【0027】
別の態様では、本発明は、製薬的に許容可能な賦形剤と上述の化合物とを含む医薬組成物を提供する。
【0028】
なおも別の態様では、本発明は、ナトリウムチャンネル活性を調節するのに十分な量の上述の化合物を対象に投与するステップを含む、対象においてナトリウムチャンネル活性を調節するための方法を提供する。
【0029】
さらに別の態様では、本発明は、対象において病状を改善または軽減する方法を提供する。病状は、疼痛、過敏性腸症候群、クローン病、てんかん、発作多発性硬化症、双極性鬱病および頻脈性不整脈から選択されるメンバーであることができる。方法は、前記病状を改善または軽減するのに十分な量の本発明の化合物を対象に投与するステップを含む。
【0030】
本発明の追加的態様、利点、および目的は、続く詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
発明の詳細な説明
略語
ここで使用する略語は、一般に化学および生物学分野におけるそれらの従来の意味を有する。例えばCHOはチャイニーズハムスター卵巣、EBSSはアールの平衡塩類溶液、SDSはドデシル硫酸ナトリウム、EtNはトリエチルアミン、MeOHはメタノール、DMSOはジメチルスルホキシドである。
【0032】
定義
「疼痛」という用語は、例えば体性痛(侵害性刺激に対する正常な神経応答)および神経障害性疼痛(明らかな侵害性インプットなしのことが多い傷害または変性感覚経路の異常な応答)などの刺激または神経応答について述べられる疼痛、例えば慢性疼痛および急性疼痛などの時間的に区分される疼痛、例えば軽度、中程度、または重度などその重篤性に関して区分される疼痛、および例えば炎症性疼痛、癌疼痛、AIDS疼痛、関節症、片頭痛、三叉神経痛、心臓虚血状態、および糖尿病性ニューロパシーなどの疾患状態または症候群の症状または結果である疼痛をはじめとする、全カテゴリーの疼痛を指す(例えばそれぞれその内容全体を参照によって本明細書に援用する、ウイルソン(Wilson)ら編、「ハリソンの内科学原理(Harrison’s Principles of Internal Medicine)」、第12版、93〜98頁、1991年;ウイリアムズ(Williams)ら、J.of Medicinal Chem.42、1481〜1485頁、1999年、を参照されたい)。
【0033】
上述の「体性」痛とは、例えば外傷、火傷、感染症、炎症、または癌などの疾病過程のような傷害または疾病などの侵害性刺激に対する正常な神経応答を指し、皮膚疼痛(例えば皮膚、筋肉または関節由来)および内臓疼痛(例えば臓器由来)の双方を含む。
【0034】
上述の「神経障害性」疼痛は、末梢および/または中枢感覚経路の傷害または慢性変化から帰結する疼痛を指し、明らかな侵害性インプットなしに疼痛が起き、または持続することが多い。
【0035】
上述の「急性疼痛」は、短い持続時間または突然の発症によって特徴付けられる疼痛を指す。
【0036】
上述の「慢性疼痛」は、長い持続時間または頻繁な再発によって特徴付けられる疼痛を指す。
【0037】
上述の「炎症性疼痛」は、炎症または免疫系障害の症状または結果として生じる疼痛を指す。
【0038】
上述の「内臓疼痛」は、内臓に位置する疼痛を指す。
【0039】
「生物学的媒質」とは、ここでの用法では生体外および生体内の生物学的環境の双方を指す。例示的な生体外「生物学的媒質」としては、限定されるものではないが、細胞培養、組織培養、ホモジェネート、血漿、および血液が挙げられる。生体内応用は、一般に哺乳類、好ましくはヒトで実施される。
【0040】
「本発明の化合物」とは、ここでの用法では、本明細書で考察する化合物、これらの化合物の製薬的に許容可能な塩、およびプロドラッグを指す。
【0041】
「阻害」および「遮断」は、ここでは同義的に使用され、その中に電位ナトリウム作動型チャンネルが見られる、細胞内または外のどちらかへのイオン流束の減少をもたらす、本発明の化合物による電位ナトリウム作動型チャンネルの部分的または完全遮断を指す。
【0042】
置換基が左から右に書かれるそれらの従来の化学式によって明記される場合、それらは、構造を右から左に書いて得られる化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば−CHO−は−OCH−もまた列挙することが意図される。
【0043】
「アルキル」という用語は、特に断りのない限り、それ自体で、または別の置換基の一部として、直鎖または分枝鎖、または環式炭化水素基、またはそれらの組み合わせを意味し、それは完全飽和、一不飽和または多価不飽和であってもよく、指定数の炭素原子(すなわちC〜C10は1〜10個の炭素を意味する)を有する二価および多価の基を含むことができる。飽和炭化水素基の例としては、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチルなどの基と、例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの相同体および異性体が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、限定されるものではないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、および高級相同体と異性体が挙げられる。「アルキル」という用語は、特に断りのない限り、「ヘテロアルキル」などの下でより詳しく定義するアルキルの誘導体もまた含むことも意図する。炭化水素基に限定されるアルキル基は「ホモアルキル」と称される。
【0044】
「アルキレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、−CHCHCHCH−によって限定的でなく例示されるようなアルカンに由来する二価の基を意味し、さらに下で「ヘテロアルキレン」として述べられる基を含む。典型的にアルキル(またはアルキレン)基は1〜24個の炭素原子を有し、10以下の炭素原子を有する基が本発明で好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は鎖長がより短いアルキルまたはアルキレン基であり、一般に8個以下の炭素原子を有する。
【0045】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)という用語は、それらの従来の意味で使用され、それぞれ酸素原子、アミノ基、またはイオウ原子によって分子残部に結合するアルキル基を指す。
【0046】
「ヘテロアルキル」という用語は、特に断りのない限り、それ自体でまたは別の用語との組み合わせで、安定した直鎖または分枝鎖、または環式炭化水素基、または記載数の炭素原子と、O、N、およびSよりなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子とから構成される、それらの組み合わせを意味し、窒素およびイオウ原子が任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子が任意に四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、およびSは、ヘテロアルキル基の内部位置にあっても、またはアルキル基が分子残部に結合する位置にあってもよい。例としては、限定されるものではないが、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH、−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられる。2つまでのヘテロ原子は例えば−CH−NH−OCHなどのように、連続していてもよい。同様に「ヘテロアルキレン」という用語は、−CH−CH−S−CH−CH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−によって非限定的に例示されるように、それ自体でまたは別の置換基の一部として、ヘテロアルキルに由来する二価の基を意味する。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子はまた、鎖末端の片方または双方を占めることができる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。なおもまたアルキレンおよびヘテロアルキレン結合基では、結合基の式が書かれる方向によって結合基の方向性は暗示されない。例えば式−C(O)R’−は−C(O)R’−および−R’C(O)−の双方を表す。
【0047】
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、特に断りのない限り、それ自体でまたはその他の用語との組み合わせで、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環式形態を表す。さらに、ヘテロシクロアルキルでは、ヘテロ原子は複素環が分子残部に結合する位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、限定されるものではないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、限定されるものではないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられる。
【0048】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、特に断りのない限り、それ自体でまたは別の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。さらに「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキル含むことを意図する。例えば「ハロ(C〜C)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなどを限定的でなく含むことを意図する。
【0049】
「アリール」という用語は、特に断りのない限り、単環または、共に縮合したまたは共有結合した多環(好ましくは1〜3環)であることができる多不飽和芳香族置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、およびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指し、窒素およびイオウ原子は任意に酸化され、窒素原子は任意に四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子によって分子残部に結合することができる。アリールおよびヘテロアリール基の非限定的例としてはフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンゾイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上記の各アリールおよびヘテロアリール環系の置換基は、下述する許容可能な置換基群から選択される。
【0050】
簡潔さのために、「アリール」という用語をその他の用語との組み合わせで使用する場合(例えばアリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、上で定義されるようなアリール環およびヘテロアリール環の双方を含む。したがって「アリールアルキル」という用語は、炭素原子(例えばメチレン基)が例えば酸素原子によって置換された(例えばフェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)アルキル基をはじめとする、アルキル基(例えばベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)にアリール基が結合する基を含むことを意図する。
【0051】
上の各用語(例えば「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、および「ヘテロアリール」)は、示される基の置換および非置換形態の双方を含むことを意図する。各基のタイプの好ましい置換基を下に示す。
【0052】
アルキルおよびヘテロアルキル基のための置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと称されることが多い基を含む)は、総称的に「アルキル基置換基」と称され、それらは、限定されるものではないが、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R’’’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R”)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NRSOR’、−CN、および−NOから0〜(2m’+1)(式中、m’はこのような基の中の炭素原子の総数である)の範囲の数で選択される、多様な基の1つ以上であることができる。R’、R”、R’’’およびR’’’’は、それぞれ好ましくは独立して、水素、置換または非置換ヘテロアルキル、例えば1〜3個のハロゲンで置換されたアリールなどの置換または非置換アリール、置換または非置換アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。例えば本発明の化合物が1つを超えるR基を含む場合、各R基は独立して選択され、1つを超えるR’、R”、R’’’、およびR’’’’基が存在する場合も、これらの各基は独立して選択される。R’およびR”が同一窒素原子に結合する場合、それらは窒素原子と組み合わさって5、6、または7員環を形成できる。例えば−NR’R”は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを限定的でなく含むことを意図する。上の置換基の考察から、当業者は「アルキル」という用語は、ハロアルキル(例えば−CFおよび−CHCFなど)、およびアシル(例えば−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)の水素基以外の基に結合した炭素原子をはじめとする基を含むことを理解するであろう。
【0053】
アルキル基について述べられる置換基と同様に、アリールおよびヘテロアリール基の置換基は、総称的に「アリール基置換基」と称される。置換基は、例えばハロゲン、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R’’’、−NR”C(O)R’、−NR−C(NR’R”R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R”)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NRSOR’、−CNおよび−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C〜C)アルコキシ、およびフルオロ(C〜C)アルキルから、0〜芳香族環系上の開放原子価総数の範囲の数で選択され、R’、R”、R’’’、およびR’’’’は、好ましくは水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択される。例えば本発明の化合物が1つを超えるR基を含む場合、各R基は独立して選択され、1つを超えるR’、R”、R’’’およびR’’’’基が存在する場合も、これらの各基は独立して選択される。
【0054】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の2個の置換基は、任意に式−T−C(O)−(CRR’)−U−、の置換基で置換されてもよく、式中、TおよびUは独立して−NR−、−O−、−CRR’−または単結合であり、qは0〜3の整数である。代案としては、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の2個の置換基は、任意に式−A−(CH−B−の置換基で置換されてもよく、式中、AおよびBは独立して−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−または単結合であり、rは1〜4の整数である。このようにして形成された新しい環の単結合の1つは、任意に二重結合で置換されてもよい。代案としては、アリールまたはヘテロアリール環の隣接する原子上の2個の置換基は、任意に式−(CRR’)−X−(CR”R’’’)−の置換基で置換されてもよく、式中、sおよびdは独立して0〜3の整数であり、Xは−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である。置換基R、R’、R”およびR’’’は好ましくは水素または置換または非置換(C〜C)アルキルから独立して選択される。
【0055】
ここでの用法では、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、およびイオウ(S)を含む。
【0056】
記号「R」は、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、および置換または非置換ヘテロシクリル基から選択される置換基を表す一般的略語である。
【0057】
「製薬的に許容可能な塩」という用語は、ここで述べられる化合物上の特定の置換基次第で、比較的無毒の酸または塩基によって調製される活性化合物の塩を含む。本発明の化合物が比較的酸性の官能基を含有する場合、無希釈のまたは適切な不活性溶剤中の十分な量の所望塩基に、このような化合物の中性形態を接触させて、塩基付加塩を得ることができる。製薬的に許容可能な塩基付加塩の例としてはナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、またはマグネシウム塩、または同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が比較的塩基性の官能基を含有する場合、無希釈のまたは適切な不活性溶剤中の十分な量の所望酸に、このような化合物の中性形態を接触させて、酸付加塩を得ることができる。製薬的に許容可能な酸付加塩の例としては塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸水素、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、硫酸、硫酸水素、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などの無機酸に由来するもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などの比較的無毒の有機酸に由来する塩が挙げられる。アルギン酸などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩もまた挙げられる(例えばベルゲ(Berge)ら、Journal of Pharmaceutical Science、66:1〜19頁、1977年、を参照されたい)。特定の本発明の化合物は塩基性および酸性双方の官能基を含有して、化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換できる。
【0058】
化合物の中性形態は、好ましくは従来の様式で、塩を塩基または酸に接触させて親化合物を単離することで再生する。化合物の親形態は極性溶剤中の溶解性などの特定の物理特性において様々な塩形態とは異なるが、他の点では、塩は本発明の目的では化合物の親形態に等しい。
【0059】
塩形態に加えて、本発明はプロドラッグ形態の化合物を提供する。ここで述べられる化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受けて、本発明の化合物を提供する化合物である。さらにプロドラッグは、生体外環境内で化学または生化学的方法によって本発明の化合物に変換できる。例えばプロドラッグを適切な酵素または化学試薬と共に経皮パッチレザバー内に入れると、緩慢に本発明の化合物に変換できる。
【0060】
特定の本発明の化合物は非溶媒和の形態、ならび水和形態をはじめとする溶媒和化合物の形態で存在できる。一般に溶媒和化合物形態は非溶媒和形態と同等であり、本発明の範囲内に包含される。本発明の特定化合物は、多結晶性または非晶質形態で存在してもよい。一般に全ての物理的形状は、本発明で考察される用途において同等であり、本発明の範囲内であることが意図される。
【0061】
特定の本発明の化合物は、非対称性炭素原子(光心)または二重結合を有する。ラセミ体、ジアステレオマー、幾何学的異性体、および個々の異性体は、本発明の範囲内に包含される。
【0062】
本発明の化合物はまた、このような化合物を構成する1つ以上の原子において、不自然な比率の原子同位体も含有する。例えば化合物は、例えばトリチウム(H)、ヨウ素125(125I)または炭素14(14C)などの放射性同位体で放射線標識されてもよい。本発明の化合物の全ての同位体の変形例は、放射性の有無を問わず、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0063】
実施形態の説明
1.化合物
第1の態様では、本発明は、式I、
【化5】

で表される化合物を提供する。
【0064】
式中、R、R、R、およびRは、H、F、CF、置換または非置換C〜Cアルキル、非置換4〜7員環シクロアルキル、および非置換4〜7員環ヘテロシクロアルキルから独立して選択されるメンバーであることができる。
【0065】
記号Aは、
【化6】

から選択されるメンバーを表す。
【0066】
は、C〜C置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。添字qは、0〜2の整数から選択されるメンバーを表す。Rは、H、ハロゲン、CF、C〜C置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。
【0067】
記号Bは、
【化7】

から選択されるメンバーを表す。
【0068】
記号Xは、OおよびSから選択されるメンバーを表す。
【0069】
記号Yは、CHおよびNから選択されるメンバーを表す。添字sは、環原子の原子価要件を満たすのに十分な0を超える整数を表す。各Rは、H、OR、NR10、SONR10、シアノ、ハロゲン、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。Rは、H、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。RおよびR10は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。
【0070】
記号Zは、
【化8】

から選択されるメンバーであることができる。
【0071】
各R11は、H、OR13、NR1415、SONR1415、シアノ、ハロゲン、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。R13は、H、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。R14およびR15は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。R14およびR15は、それらが結合できる窒素と一緒になって任意に結合して置換または非置換5〜7員環を形成できる。添字rは、0〜2の整数から選択されるメンバーを表す。添字pは、0〜1の整数から選択されるメンバーを表す。R12は、C〜C置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。添字mおよびnは、mおよびnから選択されるメンバーが1を超えることができる場合、各RおよびRと、RおよびRがそれぞれ独立して選択できるように、独立して0〜2から選択される整数を表すことができる。
【0072】
例示的な実施形態では、添字mおよびnは0であることができる。別の例示的な実施形態では、記号Aは、
【化9】

から選択されるメンバーであることができる。
【0073】
記号Jは、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。R16は、結合、−O−、−S−、置換または非置換アルキレン、置換または非置換シクロアルキレン、置換または非置換ヘテロシクロアルキレン、置換または非置換ヘテロアルキレン、置換または非置換アリーレン、および置換または非置換ヘテロアリーレンから選択されるメンバーであることができる。R17は、H、ハロゲン、CF、置換または非置換C〜Cアルキル、非置換4〜7員環シクロアルキル環、および非置換4〜7員環ヘテロシクロアルキル環から選択されるメンバーであることができる。
【0074】
別の例示的な実施形態では、J−R16は、式、
【化10】

で表される。R18およびR19は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、および置換または非置換アリールから独立して選択されるメンバーであることができる。R18およびR19はそれらが結合できる炭素と一緒になって任意に結合して、置換または非置換3〜7員環シクロアルキル部分、および置換または非置換5〜7員環ヘテロシクロアルキル部分から選択されるメンバーを形成できる。tは、tが1を超えることができる場合、各R18およびR19が独立して選択できるように0〜4から選択される整数であることができる。
【0075】
別の例示的な実施形態では、化合物は、式、
【化11】

で表される。R20およびR21は、H、OR22、NR2324、SONR2324、シアノ、ハロゲン、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。R22は、H、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであることができる。R23およびR24は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであることができる。R23およびR24は、それらが結合できる窒素と一緒になって任意に結合して置換または非置換5〜7員環を形成できる。別の例示的な実施形態では、化合物は電位作動型ナトリウムチャンネルに対する阻害活性を有する。
【0076】
第2の態様では、本発明は、式Iに従った化合物を含む、医薬処方を提供する。
【0077】
第3の態様では、本発明は、対象においてナトリウムチャンネル活性を調節する方法を提供する。この方法は、前記活性を調節するのに十分な量の式Iに従った化合物を対象に投与するステップを含む。
【0078】
第4の態様では、本発明は、対象において病状を改善または軽減する方法を提供する。病状は、疼痛、過敏性腸症候群、クローン病、てんかん、発作多発性硬化症、双極性鬱病、および頻脈性不整脈から選択されるメンバーであることができる。本方法は、病状を改善または軽減するのに十分な量の本発明の化合物を対象に投与するステップを含む。例示的な実施形態では、病状は疼痛であり、疼痛は、急性疼痛、慢性疼痛、内臓疼痛、炎症性疼痛、および神経障害性疼痛から選択されるメンバーであることができる。
【0079】
式Iに従った代表的な化合物を図1に記載する。
【0080】
例えば、本発明の化合物の二量体、三量体、四量体、および高級相同体、またはその反応性類似体などの化学種をはじめとする、多価(poly−)または多価(multi−)化学種である本発明の化合物もまた、本発明の範囲内である。多価(poly−)および多価(multi−)化学種は、本発明の単一化学種または1つを超える化学種からアセンブルできる。例えば二量体コンストラクトは、「ホモ二量体」または「ヘテロ二量体」であることができる。さらにその中で、本発明の化合物またはその反応性類似体がオリゴマー性またはポリマー性フレームワーク(例えばポリリジン、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプンなど)に結合できる、多価(poly−)および多価(multi−)コンストラクトも本発明の範囲内である。フレームワークは好ましくは多官能性である(すなわち本発明の化合物を結合する一連の反応性部位を有する)。さらにフレームワークは、本発明の単一化学種、または本発明の1つを超える化学種によって誘導体化できる。
【0081】
さらに、本発明は式Iに記載するモチーフ内の化合物を含み、それらは官能性付与されて、同様に官能性付与されていない類似化合物と比べて、増強された水溶性を有する化合物を提供する。したがってここに記載するいかなる置換基でも増強された水溶性を有する類似性基で置換できる。例えばヒドロキシル基をジオールで、またはアミンを四級アミン、ヒドロキシアミンまたは同様のより水溶性の高い部分で置換することは、本発明の範囲内である。好ましい実施形態では、ここに記載する化合物のイオンチャンネルに対する活性に必須でない部位を親化合物の水溶性を増強する部分で置換することで、追加的水溶性が与えられる。有機化合物の水溶性を増強する方法については、当該技術分野で知られている。このような方法としては、限定されるものではないが、例えば四級アンモニウムなどの恒久的荷電部分、または例えばカルボン酸、アミンなどの生理学的に妥当なpHで荷電した基で、有機核に官能性付与することが挙げられる。その他の方法としては、例えばアルコール、ポリオール、ポリエーテルなどのヒドロキシル−またはアミン含有基を有機核に付加することが挙げられる。代表的な例としては、限定されるものではないが、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリ(エチレングリコール)、およびポリ(プロピレングリコール)が挙げられる。適切な官能性付与化学反応およびこれらの化合物のためのストラテジーについては、当該技術分野で知られている。例えばダン(Dunn),RLら編、「ポリマー性薬剤および薬剤送達系(POLYMERIC DRUGS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS)」、ACS Symposium Series、第469巻、米国化学会、Washington,D.C、1991年、を参照されたい。
【0082】
II.化合物の調製
本発明の化合物は、容易に入手できる出発原料または既知の中間体を使用して調製できる。下に記載する合成スキームは、本発明の化合物の調製のための例示的な合成経路を提供する。
【0083】
II.a.イミダゾール含有化合物を合成するための一般手順
本発明のイミダゾール含有化合物は、以下のスキームによって合成できる。
スキームA
【化12】

【0084】
7の合成の典型的な手順は、60℃などの高温において、NaOAc、NHOH、NHClの存在下で、DMFなどの極性溶剤中における、適切に置換された2−ブロモケトン2とアミジン誘導体6との反応を伴う。
【0085】
置換2−ブロモケトン2は、置換安息香酸塩化アシルとトリメチルシリルジアゾメタンとの反応と、それに続く濃臭化水素酸での臭素化によって調製できる。置換安息香酸塩化アシルの誘導体は、クロロメタン中における触媒量のDMF存在下での置換されたアシル酸1と塩化オキサリルとの反応から、または市販供給元からのどちらかから得ることができる。
【0086】
置換された6は二段階で合成できる。置換塩化スルホニル3から開始して、ピリジンなどの塩基中で3を適切なアミン4と反応させ、続いて、得られたニトリル誘導体の酸加水分解によって中間体5を得ることができる。次にメタノールなどの有機溶剤中のアンモニア溶液を使用して、中間体5をアミジン6に変換できる。
【0087】
イミダゾール含有化合物はまた、以下のスキームによって合成できる。
スキームB
【化13】

【0088】
10の合成のための典型的な手順は、ピリジンなどの塩基存在下でのアミン4によるスルホンアミド8の形成を伴い、80℃などの高温のアンモニウム溶液中におけるアルデヒドとジケトン誘導体9との縮合および環化がそれに続く。
【0089】
II.b.トリアゾール含有化合物を合成するための一般手順
本発明のトリアゾール含有化合物は、以下のスキームによって合成できる。
スキームC
【化14】

【0090】
13の合成の典型的な手順は、トリエチルアミンなどの塩基存在下での適切な塩化アシル12とアミノアミジン誘導体11との反応を伴い、60℃などの高温の酸性環境内でのアシルアミノアミジンの環化がそれに続く。
【0091】
置換されたアミノアミジン11は、エタノールなどの有機溶剤中におけるヒドラジンとの置換イミデートとの反応から得ることができる。
【0092】
中間体5は実施例1で述べられるようにして合成できる。
【0093】
本発明のトリアゾール含有化合物はまた、以下のスキームによっても合成できる。
スキームD
【化15】

【0094】
本工程は、20に開始する三段階を必要とする。シリルチオール20を最初に、硝酸カリウムおよび塩化スルフリルによってその対応する塩化スルホニルに変換でき、塩化物を後にアミンによりクエンチできる。エタノールなどの有機溶剤中の酸によるメトキシルメチル基の脱保護から、所望の生成物13を生成する。シリルチオール20は、パラジウムで触媒されるブロモアリール誘導体19とナトリウムシリルチオキシドの間のカップリング反応によって調製できる。ヒドラジド誘導体17と置換イミド酸エステル15とを反応させ、それに続くトリアゾール誘導体の環化および保護から、ブロモアリール誘導体18を生じることができる。
【0095】
中間体15はニトリル誘導体14の酸加水分解を通じて調製でき、中間体17は酸1のエステル16から得られる。
【0096】
本発明のトリアゾール含有化合物は、以下のスキームによっても合成できる。
スキームE
【化16】

【0097】
トリアゾール13の代案の合成は、ベンズイミド酸エチルエステル5とヒドラジド17とを反応させることを伴い、水酸化カリウムが関与するような塩基性条件下での粗製中間体21の環化がそれに続く。
【0098】
II.c.ベンゾイミダゾール含有化合物を合成するための一般手順
本発明のベンゾイミダゾール含有化合物は、以下のスキームによって合成できる。
スキームF
【化17】

【0099】
ベンゾイミダゾール24の合成のための典型的な手順は、パラジウムカップリング反応を使用して、ハロベンゼンスルホンアミド22とベンゾイミダゾール23とを反応させ、所望のベンゾイミダゾール24を形成することを伴う。
【0100】
II.d.イソイミダゾール含有化合物を合成するための一般手順
本発明のイソイミダゾール含有化合物は、以下のスキームによって合成できる。
スキームG
【化18】

【0101】
31の合成のための典型的な手順は、60℃などの高温のDMFなどの極性溶剤中における、適切に置換された2−ブロモケトン28とアミジン誘導体29との反応を伴う。
【0102】
置換2−ブロモケトン28は、ピリジニウムトリブロミドなどの試薬による置換フェノン27の臭素化によって調製できる。置換フェノン27は、実施例1の調製で述べられる方法を使用して、市販の置換塩化スルホニル25から二段階で得ることができる。
【0103】
II.e.ピラゾール含有化合物を合成するための一般手順
本発明のピラゾール含有化合物は、以下のスキームによって合成できる。
スキームH
【化19】

【0104】
39の合成のための典型的な手順は、エノン36を形成する、ホスホニウムブロミド35とアルデヒド34との間のウィッティヒ反応を伴う。ホスホニウムブロミド35は、ハロケトンとトリフェニルホスフィンとの反応によって形成できる。アルデヒド34は、ニトリル誘導体33の還元によって調製できる。エノン36が形成された後、それをヒドラジンと反応させて、ピラゾリン37を生じることができる。ピラゾリン37は酸化マンガンでピラゾール38に酸化できる。スルホンアミド38を保護して所望の化合物39を生じることができる。
【0105】
II.f.ヒダントイン含有化合物を合成するための一般手順
本発明のヒダントイン含有化合物は、以下のスキームによって合成できる。
スキームI
【化20】

【0106】
ヒダントイン41の合成のための典型的な手順は、水性溶剤中で135℃などの高温において、アンモニウム塩存在下で置換ケトン25とシアン酸カリウムシアネートとを反応させることを伴い、ハロゲン化アルキルによるヒダントイン40のアルキル化がそれに続く。
【0107】
II.g.ジヒドロトリアゾロン含有化合物を合成するための一般手順
本発明のジヒドロトリアゾロン含有化合物は、以下のスキームによって合成できる。
スキームJ
【化21】

【0108】
44の合成のための典型的な手順は、塩基性条件下での43の環化を伴う。最初にイソシアネート42とヒドラジンとを反応させてヒドラジドウレアを形成して、43を形成できる。次にこのヒドラジドウレアをイミデートエステル5に付加して43を生成できる。
【0109】
本発明のジヒドロトリアゾロン含有化合物は、以下のスキームによっても合成できる。
スキームK
【化22】

【0110】
48の合成のための典型的な手順はカルバメート化46を伴い、塩基性環化がそれに続く。最初にイミデートエステル5とヒドラジンとを反応させてアミノアミジンを形成して、46が形成できる。次にこのアミノアミジンをアルデヒド45と縮合して、イミン46を生成できる。
【0111】
III.電位−依存TTX−感応性ナトリウムチャンネル遮断剤のアッセイ
イオン流束の測定、膜貫通電位の測定、および/またはイオン電流の測定をはじめとするが、これに限定されるものではない多様な生体外アッセイを使用して、ナトリウムチャンネルの活性を評価できる。イオン流束の測定は、浸透性化学種濃度の変化を測定して、または少量の適切に浸透性である放射性トレーサーの動きを追跡して達成できる。膜貫通電位は、電位−感応性蛍光性染料で、またはより感応性には電気生理学的方法で評価できる。
【0112】
ナトリウムチャンネルの生体外遮断剤としての化合物の有効性の判定は、単離された神経組織標本中の化合物活動電位伝播の阻害によって評価できる(コートニー(Kourtney)およびストリカーズ(Stricharz)、「局所麻酔(LOCAL ANESTHETICS)」、Springer−Verlag、New York、1987年)。ラットにおけるいくつかの実験的モデルが、本発明の化合物の生体内有効性を評価するのに適切である。例えばキム(Kim)ら、Pain、50:355〜363頁、1992年、で述べられる脊髄神経のきつい結紮によって生じる神経障害性疼痛モデルを使用して、本発明の化合物の効果を疼痛の生体内モデルで実験的に判定できる。機械的感受性はまた、シャプラン(Chaplan)ら、J.Neurosci.Methods、53:55〜63頁、1994年、で述べられる手順を使用して評価できる。その他の役立つアッセイが当業者に知られている。例えば米国特許第6,262,078号明細書を参照されたい。
【0113】
TTX−感応性ナトリウムチャンネルの修飾因子は、生物学的に活性の組み換えチャンネル、または天然のTTX−感応性ナトリウムチャンネルを使用して、またはTTX−感応性ナトリウム電流を発現するニューロンのような天然細胞を使用して試験できる。TTX−感応性ナトリウムチャンネルは、単離して細胞中で同時発現または発現し、または細胞由来膜中で発現できる。このようなアッセイでは、TTX−感応性ナトリウムチャンネルは一般に単独発現されてホモマーナトリウムチャンネルを形成し、またはヘテロマーナトリウムチャンネルを形成するように第2のサブユニット(例えば補助βサブユニット)と共に同時発現されてもよい。TTX−感応性ナトリウムチャンネルは、効果的な哺乳類発現系の例であるHEK−293細胞中で安定して発現される。
【0114】
調節は、上述の生体外でまたは生体内アッセイの1つを使用して試験できる。電位ナトリウムチャンネル阻害剤で処置されたサンプルまたはアッセイを試験化合物なしの対照サンプルと比べて、調節の程度を調べた。対照サンプル(阻害剤未処理)に相対ナトリウムチャンネル活性値100を割り当てた。ナトリウムチャンネル活性値が、対照と比べて70%未満、好ましくは40%未満、なおもより好ましくは30%未満であれば、TTX−感応性ナトリウムチャンネルの阻害は達成される。イオンの流束を減少させる化合物は、TTX−感応性ナトリウムチャンネルが開放される確率を減少させることで、チャンネルを通じた伝導性を減少させることで、チャンネル数を減少させることで、またはチャンネルの発現を減少させることで、イオン電流密度に検出可能な減少を引き起こすであろう。
【0115】
イオン流束の変化は、ナトリウムチャンネルを発現する細胞中または膜の分極における変化(すなわち電位)を判定して評価してもよい。細胞分極の変化を判定する好ましい手段は、「細胞付着」モード、「インサイドアウト」モード、「アウトサイドアウト」モード、「有孔パッチ」モード、「ホールセル」モード、または膜貫通電位の変化を制御または測定するその他の手段を使用して、電位クランプおよびパッチクランプ技術で電流または電位の変化を測定することによる(例えばアッカーマン(Ackerman)ら、New Engl.J.Med.336:1575〜1595頁、1997年、を参照されたい)。ホールセル電流は標準法を使用して都合良く判定される(例えばハミル(Hamill)ら、Pflugers.Archiv.391:85頁、1981年、を参照されたい)。その他の既知のアッセイとしては、電位感応性染料を使用した放射性トレーサー流束アッセイおよび蛍光アッセイが挙げられる(例えばベスターガード−ボギンド(Vestergarrd−Bogind)ら、J.Membrane Biol.、88:67〜75頁、1988年;ダニエル(Daniel)ら、J.Pharmacol.Meth.25:185〜193頁、1991年;ホロビンスキー(Holevinsky)ら、J.Membrane Biology、137:59〜70頁、1994年、を参照されたい)。チャンネルタンパク質を通過するナトリウム流束を阻害または増大できる化合物のアッセイは、本発明のチャンネルを有する細胞と接しそれを含んでなる水浴溶液に、化合物を添加して実施できる(例えばブラッツ(Blatz)ら、Nature、323:718〜720頁、1986年;パーク(Park)、J.Physiol.481:555〜570頁、1994年、を参照されたい)。一般に試験する化合物は、約1nM〜約100mM、好ましくは約1nM〜約30μMの範囲で存在する。例示的な実施形態では、試験する化合物は約1nM〜約3μMの範囲で存在する。
【0116】
チャンネル機能に対する試験化合物の効果は、電流またはイオン流束の変化によって、または電流および流束の変化の帰結によって測定できる。電流またはイオン流束変化はナトリウムまたはグアニジウムイオンなどのイオン流束の増大または減少のどちらかによって測定される(米国特許第5,688,830号明細書を参照されたい)。カチオンは多様な標準法で測定できる。それらはイオン濃度変化によって直接に、または膜電位によって間接的に、または放射性イオンを使用して測定できる。試験化合物のイオン流束への帰結は、かなりばらつきがある。したがってあらゆる適切な生理学的変化を使用して、本発明のチャンネルに対する試験化合物の影響を評価できる。試験化合物の効果は、毒素結合アッセイによって測定できる。無傷の細胞または動物を使用して機能性帰結を判定する場合、伝達物質放出、ホルモン放出、既知および未同定双方の遺伝子マーカーに対する転写変化、細胞生育またはpH変化などの細胞代謝の変化、およびCa2+または環式ヌクレオチドなどの細胞内二次メッセンジャーの変化などの多様な効果もまた測定できる。
【0117】
高処理能力スクリーニング(HTS)は、本発明の有望な候補化合物を同定するのに役立つ。生理学的に、ナトリウムチャンネルはミリ秒時間尺度で開閉する。その中でチャンネルが開放される短い時間を克服するために、チャンネルの開閉を変更する薬剤存在下でHTSアッセイを実施できる(例えばピレスロイド、αサソリ毒、βサソリ毒、バトラコトキシンなど)。これらの薬剤はナトリウムチャンネルの開閉を変更して、孔を長時間開放したままにする。さらにナトリウムチャンネルは主としてナトリウムに対して選択的である一方、その他のイオン化学種もチャンネルを透過できる。
【0118】
本発明のTTX−感応性ナトリウムチャンネル遮断薬の特異性および効果は、テトラカイン、メキシリチン、およびフレカイニドなどのナトリウムチャンネルの非特異的遮断剤と対照してアッセイできる。
【0119】
IV.VGSC阻害剤の医薬組成物
別の態様では、本発明は、製薬的に許容可能な賦形剤と上述の式Iの化合物とを含む医薬組成物を提供する。
【0120】
化合物(組成物)の調合
本発明の化合物は、多種多様な経口、非経口、および局所投薬形態で調製および投与できる。したがって、本発明の化合物は注射によって、すなわち静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、または腹腔内に投与できる。またここで述べる化合物は、例えば鼻腔内の吸入によって投与できる。さらに、本発明の化合物は、経皮的に投与できる。したがって、本発明は、製薬的に許容可能なキャリアまたは賦形剤と、式Iの化合物、または式Iの化合物の製薬的に許容可能な塩のいずれかを含む医薬組成物もまた提供する。
【0121】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、製薬的に許容可能なキャリアは固体または液体のいずれかであることができる。固体形態製剤としては、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カシェ剤、坐薬、および分散性顆粒が挙げられる。固体キャリアは、希釈剤、着香剤、バインダー、保存料、錠剤崩壊剤、または封入材料として機能してもよい1つ以上の物質であることができる。
【0122】
粉末中ではキャリアは、超微粒子活性構成要素との混合物中にある超微粒子固体である。錠剤中では、活性構成要素と必要な結合特性を有するキャリアとを適切な比率で混合して、所望の形状およびサイズに圧縮する。
【0123】
粉末および錠剤は、好ましくは5%または10%〜70%の活性化合物を含有する。適切なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、ココアバターなどである。「製剤」という用語は、その中でその他のキャリアを有するまたは有さない活性構成要素がキャリアによって囲まれることでそれと結びつくカプセルを提供するキャリアとしての封入材料がある、活性化合物の調合物を含むことが意図される。同様にカシェ剤およびロゼンジも含まれる。経口投与に適した固体投薬形態として、錠剤、粉末、カプセル、丸薬、カシェ剤、およびロゼンジを使用できる。
【0124】
坐薬を調製するためには、脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物などの低融点ワックスを最初に溶解し、撹拌などによって活性構成要素をその中に均質に分散する。次に溶融した均質混合物を都合よいサイズの型に注入し、放冷して凝固させる。
【0125】
液体形態製剤としては、例えば水または水/プロピレングリコール溶液などの溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。非経口注射のためには、液体製剤をポリエチレングリコール水溶液中の溶液に調合できる。
【0126】
経口使用に適した水溶液は、活性構成要素を水中に溶解し、要望どおりに、適切な着色剤、香料、安定剤、および増粘剤を添加して調製できる。経口使用に適した水性懸濁液は、天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、およびその他のよく知られている懸濁剤などの粘稠材料を添加した水中に、超微粒子活性構成要素を分散して作成できる。
【0127】
使用直前に経口投与のための液体形態の製剤に変換されることが意図される、固体形態製剤もまた含まれる。このような液体形態としては、溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられる。これらの製剤は、活性構成要素に加えて、着色剤、香料、安定剤、緩衝液、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0128】
医薬製剤は好ましくは単位投薬量形態である。このような形態では、製剤は適切量の活性構成要素を含有する単位用量に細分化される。単位投薬量形態は、バイアルまたはアンプル内に、パック入り錠剤、カプセル、および粉末などの個別量の製剤を含有するパッケージである、包装された製剤であることができる。また単位投薬量形態は、カプセル、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジそれ自体であることができ、またはそれは、適切ないくつかのあらゆるパッケージ形態のものであることができる。
【0129】
単位用量製剤で中の活性構成要素の量は、特定の用途および活性構成要素の効力次第で、0.1mg〜10000mg、より典型的には1.0mg〜1000mg、最も典型的には10mg〜500mgで変動し、または調節されてもよい。所望ならば組成物は、その他の適合性治療薬もまた含有できる。
【0130】
V.VGSC中でイオン流を阻害する方法
なおも別の態様では、本発明は、標的イオンチャンネルを含有する細胞と、ナトリウムチャンネルを阻害する量の上述の式Iの化合物とを接触させるステップを含む、細胞中の電位作動型ナトリウムチャンネルを通過するイオン流を減少させる方法を提供する。
【0131】
本発明のこの態様で提供される方法は、電位作動型ナトリウムチャンネルを通過するイオン流束を阻害することで治療できる病状の診断、またはナトリウムチャンネルを阻害することで作用する治療的薬剤に対して、患者が応答性かどうかを判定するのに有用である。
【0132】
VI.VGSC媒介病状を治療する方法
さらに別の態様では、本発明は、電位作動型ナトリウムチャンネルの阻害を通じた障害または病状の治療方法を提供する。この方法では、このような治療を必要とする対象に、上述の式を有する効果的な量の化合物を投与する。好ましい実施形態では、ここで提供される化合物を使用して、例えばPN3であるVGSCファミリーのイオンチャンネルを阻害することで、障害または病状を治療する。
【0133】
ここで提供される化合物は、ナトリウムチャンネル阻害剤として有用であり、疾患または病状の治療におけるVGSCの阻害を通じて、治療的な有用性がある。典型的に阻害されるナトリウムチャンネルは、PN3ナトリウムチャンネルなどのVGSCとしてここで述べられる。
【0134】
本発明の化合物は、疼痛または発作を治療、予防または改善するのに使用するのに特に好ましい。本方法は、治療的に効果的な量の式Iに従った化合物、またはその製薬的に許容可能な塩をこのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む。
【0135】
本発明の化合物、組成物、および方法は、炎症性および神経障害性双方の疼痛を含む疼痛を治療するのに特定の用途がある。本発明の化合物によって治療される例示的な疼痛の形態としては、術後疼痛、骨関節炎疼痛、転移癌関連疼痛、転移性炎症に二次的な神経障害、三叉神経痛、舌咽神経痛、有痛脂肪症、火傷疼痛、急性帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、灼熱痛、腕神経叢裂離、後頭神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛症、痛風、幻肢痛、火傷疼痛、脳卒中に続く疼痛、視床病変、神経根障害、およびその他の形態の神経痛性、神経障害性、および特発性疼痛症候群が挙げられる。
【0136】
特発性疼痛は、例えば幻肢痛などの未知の起源の疼痛である。神経障害性疼痛は、一般に末梢感覚神経傷害または感染症によって引き起こされる。これとしては、限定されるものではないが、末梢神経外傷、ヘルペスウイルス感染症、真性糖尿病、灼熱痛、神経叢裂離、神経腫、手足の切断、および脈管炎からの疼痛が挙げられる。神経障害性疼痛はまた、慢性アルコール依存症、ヒト免疫不全症ウイルス感染、甲状腺機能低下、尿毒症、またはビタミン欠乏症からの神経損傷によっても引き起こされる。
【0137】
さらに好ましい頭蓋内転移動態および代謝安定性を伴う、満足できるVGSC調節活性を有するあらゆるVGSC阻害物質は、中枢神経系虚血、中枢神経系外傷(例えば脳外傷、脊髄損傷、むち打ち症など)、てんかん、発作、神経変性疾患(例えば筋萎縮性側索硬化(ALS)、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、糖尿病性神経障害など)、血管性痴呆(例えば脳血管性痴呆、ビンスワンガー病など)、躁うつ病、鬱病、統合失調症、慢性疼痛、三叉神経痛、偏頭痛、運動失調、双極性障害、痙縮、気分障害、精神病性障害、難聴および失明、加齢による記憶力劣化、学習障害、不安、および学習障害などの中枢神経系(CNS)疾患および障害において、有効性を示すことが期待される。
【0138】
上の病状の治療において、本発明の方法で利用される化合物は、毎日約0.001mg/kg〜約1000mg/kgの初期投薬量で投与される。約0.1mg/kg〜約100mg/kgの範囲の一日量がより典型的である。しかし投薬量は、患者の要件、治療する病状の重篤性、および用いる化合物次第で、変動してもよい。特定状況に対する妥当な投薬量の判定は、当業者の技術範囲内である。一般に治療は、化合物の最適用量よりも少ない投薬量で開始し、その後、状況下で最適効果に達するまで投薬量を少しずつ増大させる。便宜のために総一日量を分割し、所望ならば日中に部分量を投与してもよい。
【実施例】
【0139】
以下の実施例は、特許請求の範囲に記載の発明を例示するために提供されるが、それを制限するものではない。下の実施例では特に断りのない限り、温度は摂氏(℃)で示した。操作は室温または周囲温度(典型的に約18〜25℃の範囲)で実施した。溶剤蒸発は60℃までの水浴温度で、減圧下(典型的に4.5〜30mmHg)において回転蒸発器を使用して実施した。反応手順には典型的にTLCが続き、反応時間は例示のためのみに提供される。融点は未修正である。生成物は満足できるH−NMR、および/または微量分析データを示した。収率は例示のためのみに提供される。次の従来の略語が使用される。mp(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、mmol(ミリモル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、min(分)、LC−MS(液体クロマトグラフィ−質量分析法)、およびh(時間)、PS(ポリスチレン)、DIE(ジイソプロピルエチルアミン)。
【0140】
実施例1
実施例1は、スキームAまたはBに従った類似体を含有するイミダゾールを調製する方法を提供する。
【0141】
1.1.a 1−ブロモ−3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−プロパン−2−オン、2の調製
ジクロロメタン(100mL)中の(3,4−ジクロロ−フェニル)−塩化アセチル(29mmol)、および塩化オキサリル(44mmol)溶液に、DMF(5滴)を添加した。反応溶液はガスを発生し始めた。混合物を4時間撹拌し、真空内で濃縮して粗製酸塩化物を得た。酸塩化物に無水アセトニトリルおよびTHF(40mL、1:1)を添加して混合物を0℃に冷却し、トリメチルシリルジアゾメタン(54mmolのヘキサン中2.0M)を滴下して添加した。混合物を−20℃で40時間静置し、次に室温に加温して真空内で濃縮した。残留物にTHF(40mL)を添加して溶液を0℃に冷却し、過剰な水性HBr(48%)を滴下して添加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、AcOEtを添加して、有機相を鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させ、真空内で濃縮して1−ブロモ−3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−プロパン−2−オンを得て、それをさらに精製することなく使用した。
【0142】
MS m/z:281(M+1)。
【0143】
1.2.a 4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズイミド酸エチルエステル、5の調製
ジクロロメタンおよびピリジン(300mL、8:2)中の4−シアノ−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(119mmol)および2−アミノチアゾール(119mmol)溶液を3日間撹拌した。真空内で濃縮した後、残留物を酢酸エチル(500mL)で希釈し、溶液を1N HCl溶液、飽和NaHCOで洗浄し、MgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。残留物をエタノール(300mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した。冷却溶液にHClガスを通して30分間泡立て、得られた褐色溶液を−20℃の冷蔵庫に3日間入れて、白色沈殿物を形成させた。濾過後、白色固体をエタノールで洗浄し、真空内で乾燥させて、4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズイミド酸エチルエステル(95mmol)を塩化水素塩として得た。
【0144】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ8.22(d,J=8.4Hz,2H)、7.99(d,J=8.4Hz,2H)、7.23(d,J=4.6Hz,1H)、6.92(d,J=4.6Hz,1H)、3.73(q,J=7.2Hz,2H)、1.12(t,J=7.1Hz,3H);MS m/z:312(M+1)。
【0145】
1.3.a 4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンザミジン、6の調製
7NのNH(メタノール中120mL)中の4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズイミド酸エチルエステル塩酸塩(100mmol)溶液を60℃で2時間撹拌した。反応後、混合物を室温に冷却して沈殿物を濾過し、メタノールで洗浄して真空内で乾燥させ、定量的収率の4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンザミジンを得た。
【0146】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ8.86(bs,J=4H)、7.92(d,J=8.4Hz,2H)、7.86(d,J=4.6Hz,1H)、6.98(d,J=3.8Hz,1H)、6.56(d,J=3.8Hz,1H);MS m/z:283(M+1)。
【0147】
1.4.a 4−[4−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−1H−イミダゾール−2−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、7の調製
DMF(20mL)中の1−ブロモ−3−(3,4−ジクロロ−フェニル)−プロパン−2−オン(4.1mmol)溶液に酢酸ナトリウム(21mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した後、濃縮水酸化アンモニウム(5mL)および塩化アンモニウム(1g)を添加した。反応後、混合物を10分間撹拌し、4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンザミジン(4.1mmol)を添加して混合物を60℃で一晩撹拌した。室温に冷却後、混合物をAcOEt(200mL)で希釈し、得られた有機溶液を鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させ、真空内で濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィで精製して4−[4−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−1H−イミダゾール−2−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(3.1mmol)を得て、それをNaOH溶液(0.999N)と反応させてそのナトリウム塩に変換した。
【0148】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ7.85(d,J=8.4Hz,2H)、7.75(d,J=8.4Hz,2H)、7.56〜7.55(m,2H)、7.29(d,J=8.3Hz,1H)、6.94(s,1H)、6.91(d,J=3.8Hz,1H)、6.42(d,J=3.8Hz,1H)、3.92(s,2H);MS m/z:465(M+1)。
【0149】
同一手順を使用して以下の化合物を調製した。
【0150】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ7.86(d,J=8.5Hz,2H)、7.75(d,J=8.5Hz,2H)、7.34(s,1H)、7.30〜7.20(m,3H)、7.00(s,1H)、6.91(d,J=3.8Hz,1H)、6.42(d,J=3.8Hz,1H)、3.89(s,2H);MS m/z:431(M+1)。
【0151】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ7.86(d,J=8.5Hz,2H)、7.77(d,J=8.5Hz,2H)、7.44〜7.34(m,2H)、7.30〜7.20(m,2H)、6.92(d,J=3.7Hz,1H)、6.43(d,J=3.7Hz,1H)、3.98(s,2H);MS m/z:449(M+1)。
【0152】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ8.12(d,J=8.7Hz,2H)、8.02(d,J=8.7Hz,2H)、7.53(s,1H)、7.42〜7.34(m,4H)、7.32(d,J=4.6Hz,1H)、7.14(t,J=7.3Hz,1H)、7.00(d,J=8.6Hz,4H)、6.90(d,J=4.6Hz,1H)、4.10(s,2H);MS m/z:489(M+1)。
【0153】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ8.10(d,J=8.4Hz,2H)、8.02(d,J=8.4Hz,2H)、7.62(s,1H)、7.47(s,1H)、7.39(s,2H)、7.31(d,J=4.8Hz,1H)、6.90(d,J=4.8Hz,1H)、3.10(t,J=6.0Hz,2H)、2.96(t,J=6.0Hz,2H);MS m/z:479(M+1)。
【0154】
1.5.a 4−(5−メチル−4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、10の調製
ジクロロメタンおよびピリジン(5mL、4:1)中の4−ホルミル−ベンゼン塩化スルホニル(0.49mmol)溶液にチアゾール−2−イルアミン(0.49mmol)を添加し、得られた混合物を1.5時間撹拌した後に真空内で濃縮した。残留物を濃水酸化アンモニウム(5mL)に懸濁し、1−フェニル−プロパン−1,2−ジオン(0.49mmol)を添加した。混合物を80℃で4時間撹拌した後、それを室温に冷却して真空内で濃縮した。混合物をAcOEtで抽出し、有機相を鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させ、真空内で濃縮した。残留物を逆相HPLCによって精製して、0.1mmolの4−(5−メチル−4−フェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミドを得た。
【0155】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ8.19(d,J=8.4Hz,2H)、8.05(d,J=8.4Hz,2H)、7.71(d,J=8.4Hz,2H)、7.06〜7.44(m,3H)、7.22(d,J=4.6Hz,1H)、6.96(d,J=4.6Hz,1H)、2.51(s,3H);MS m/z:397(M+1)。
【0156】
実施例2
実施例2は、スキームC、D、およびEに従った類似体を含有する、トリアゾールを調製する方法を提供する。
【0157】
2.1.a 4−[5−(3−クロロ−ベンジル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、13の調製
エタノール(5mL)中の4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズイミド酸エチルエステル(0.18mmol)溶液にヒドラジン(0.1mL)を添加し、得られた混合物を10分間撹拌した。反応後、混合物を真空内で濃縮して4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−N−アミノベンザミジンを得て、それをさらに精製することなく次のステップで使用した。粗製4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−N−アミノベンザミジンをTHFに溶解し、ジクロロメタン(10mL、1:1)および(3−クロロ−フェニル)−塩化アセチル(0.36mmol)、およびトリエチルアミン(0.9mmol)を添加した。混合物を24時間撹拌した後、それを真空内で濃縮した。混合物をAcOEt(30mL)で希釈して有機相を鹹水で洗浄し、MgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。DMFおよび酢酸(10mL、1:1)中の残留物の溶液を80℃で24時間撹拌した。室温に冷却後、酢酸を真空内で除去して残留物をAcOEt(30mL)で希釈し、有機相を鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。粗生成物を逆相HPLCで精製して4−[5−(3−クロロ−ベンジル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.05mmol)を得た。
【0158】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ14.20(1H,bs)、12.80(1H,bs)、8.12(2H,d,J=8.4Hz)、7.88(2H,d,J−8.4Hz)、7.27−7.41(5H,m)、6.86(1H,d,J=4.7Hz)、4.19(2H,bs);MS m/z:432(M+1)。
【0159】
2.2.a 4−ブロモ−ベンズイミド酸エチルエステル、15の調製
0℃のエタノール(200mL)中の4−ブロモ−ベンゾニトリル(58mmol)溶液にHClガスを通して30分間泡立て、得られた溶液を週末にかけて撹拌して0℃から室温にした。反応後混合物を真空内で濃縮し、残留物をエーテルに懸濁して固体を濾過し、4−ブロモ−ベンズイミド酸エチルエステルをHCl塩(47mmol)として得た。
【0160】
MS m/z:348(M+1)。
【0161】
2.3.a (3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸メチルエステル、16の調製
メタノール(200mL)中の(3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸(90.5mmol)溶液に、塩化トリメチルシリル(181mmol)を添加して、混合物を一晩撹拌した後に濃縮した。残留物をエーテル(200mL)で希釈し、溶液を1N NaOH、鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させ、真空内で濃縮して(3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸メチルエステル(90mmol)を無色の液体として得た。
【0162】
MS m/z:348(M+1)。
【0163】
2.4.a (3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸ヒドラジド、17の調製
エタノール(100mL)中の(3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸メチルエステル(44.7mmol)およびヒドラジン(447mmol)溶液を80℃で18時間撹拌した。それを室温に冷却して真空内で濃縮した後、エタノール中での結晶化によって粗生成物を精製して(3,4−ジクロロ−フェニル)−酢酸ヒドラジド(43mmol)を得た。
【0164】
MS m/z:348(M+1)。
【0165】
2.5.a 3−(4−ブロモ−フェニル)−5−(3−クロロ−ベンジル)−4H−[1,2,4]トリアゾール、18の調製
エタノール(50mL)に、金属ナトリウム(15.2mmol)を添加した。ナトリウムが溶解した後、4−ブロモ−ベンズイミド酸エチルエステルHCl塩(15.2mmol)を溶液に添加して、エタノール混合物を80℃で2日間撹拌した後、それを濃縮した。残留物をDMF(60mL)および濃縮酢酸(200mL)に溶解し、混合物を80℃で16時間撹拌した。室温に冷却後、混合物を水(200mL)で希釈し、得られた水性溶液をAcOEtで抽出して、有機相を鹹水で洗浄し、MgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。カラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し3−(4−ブロモ−フェニル)−5−(3−クロロ−ベンジル)−4H−[1,2,4]トリアゾール(11.7mmol)を得た。
【0166】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ7.92(2H,d,J=8.5Hz)、7.68(2H,d,J=8.5Hz)、7.28(4H,m)、4.15(2H,s);MS m/z:348(M+1)。
【0167】
2.6.a 3−(4−ブロモ−フェニル)−5−(3−クロロ−ベンジル)−4−メトキシメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール、および5−(4−ブロモ−フェニル)−3−(3−クロロ−ベンジル)−1−メトキシメチル−1H−[1,2,4]トリアゾール(0.75mmol)、19の調製
0℃のTHF(3mL)中のNaH(60%ミネラルオイル中1.1mmol)懸濁液に、3−(4−ブロモ−フェニル)−5−(3−クロロ−ベンジル)−4H−[1,2,4]トリアゾール(1.0mmol)を添加した。混合物を30分間撹拌した後、MOMCl(1.0mmol)を添加して混合物を一晩0℃から室温で撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させ、真空内で濃縮した。カラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し、3−(4−ブロモ−フェニル)−5−(3−クロロ−ベンジル)−4−メトキシメチル−4H−[1,2,4]トリアゾールおよび5−(4−ブロモ−フェニル)−3−(3−クロロ−ベンジル)−1−メトキシメチル−1H−[1,2,4]トリアゾール(0.75mmol)を2つの異性体の混合物(4:1)として得た。
【0168】
MS m/z:392(M+1)。
【0169】
2.7.a 3−(3−クロロ−ベンジル)−4−メトキシメチル−5−(4−トリイソプロピルシラニルスルファニル−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾール、および3−(3−クロロ−ベンジル)−1−メトキシメチル−5−(4−トリイソプロピルシラニルスルファニル−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール、20の調製
0℃のTHF(6mL)中のNaH(60%ミネラルオイル中1.5mmol)懸濁液に、トリイソプロピルシリルチオール(1.5mmol)を添加して溶液を1時間撹拌した後に、ベンゼン(6mL)中の3−(4−ブロモ−フェニル)−5−(3−クロロ−ベンジル)−4−メトキシメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール(1.5mmol)、トリフェニルホスフィン(0.6mmol)、およびPd(dba)(0.08mmol)を添加した。溶液にアルゴンを通して15分間泡立てた後、混合物を80℃で18時間撹拌した後、それを室温に冷却した。反応混合物を水(30mL)で希釈し、得られた混合物をトルエンおよび酢酸エチル(4:1)溶液で抽出して有機相を鹹水で洗浄し、MgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。カラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し、3−(3−クロロ−ベンジル)−4−メトキシメチル−5−(4−トリイソプロピルシラニルスルファニル−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾールおよび3−(3−クロロ−ベンジル)−1−メトキシメチル−5−(4−トリイソプロピルシラニルスルファニル−フェニル)−1H−[1,2,4]トリアゾール(1.0mmol)を2つの異性体の混合物(4:1)として得た。
【0170】
MS m/z:502(M+1)。
【0171】
2.8.a 4−[5−(3−クロロ−ベンジル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、13の調製
0℃のアセトニトリル(5mL)中の3−(3−クロロ−ベンジル)−4−メトキシメチル−5−(4−トリイソプロピルシラニルスルファニル−フェニル)−4H−[1,2,4]トリアゾール(0.42mmol)溶液に、硝酸カリウム(1.05mmol)および塩化スルフリルを添加して、混合物を1時間撹拌した。無機沈殿物を濾過してアセトニトリルで洗浄した。有機相を濃縮し、残留物をTHF(1.3mL)に溶解した。溶液にチアゾール−2−イルアミン(0.5mmol)および過剰なピリジンを添加した。混合物を週末にかけて撹拌した。濃縮後、6NのHCl(1mL)およびエタノール(1mL)中の残留物を80℃で16時間撹拌した後、反応混合物を濃縮して逆相HPLCで粗生成物を精製し、4−[5−(3−クロロ−ベンジル)−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.1mmol)を得た。
【0172】
H NMR(300MHz,DMSO−d):δ14.20(1H,bs)、12.12.80(1H,bs)、8.12(2H,d,J=8.4Hz)、7.88(2H,d,J=8.4Hz)、7.27〜7.41(5H,m)、6.86(1H,d,J=4.7Hz)、4.19(2H,bs);MS m/z:432(M+1)。
【0173】
2.9.a 4−(5−ジエトキシメチル−4H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル)−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、13の調製
DMF(2mL)中の4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズイミド酸エチルエステル(0.60mmol)およびヒドラジド(0.60mmol)溶液を60℃で1時間撹拌した。5M水酸化カリウム水溶液を添加して、得られた混合物を60℃で1時間撹拌した。反応を10M塩化アンモニウム(20mL)でクエンチし、水性相を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させて濃縮した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し、純粋生成物(0.43mmol)を得た。
【0174】
MS m/z:410(M+1)。
【0175】
実施例3
実施例3は、スキームFに従った類似体を含有するベンゾイミダゾールを調製する方法を提供する。
【0176】
3.1.a 4−ブロモ−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、22の調製
ジクロロメタンおよびピリジン(300mL、8:2)中の4−ブロモ−ベンゼン塩化スルホニル(100mmol)および2−アミノチアゾール(100mmol)溶液を1日間撹拌した。真空内で濃縮した後、残留物を酢酸エチル(500mL)で希釈し、溶液を1N HCl溶液、飽和NaHCOで洗浄してMgSO上で乾燥させ、真空内で濃縮した。残留物を酢酸エチル中で再結晶化して4−ブロモ−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(85mmol)を白色固体として得た。
【0177】
MS m/z:319(M+1)。
【0178】
3.2.a 4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、24の調製
ベンゾイミダゾール(0.313mmol)およびMgO(0.376mmol)を1,4−ジオキサン(2mL)中で室温において10分間撹拌した。溶液に、ヨウ化銅(0.627mmol)、酢酸パラジウム(0.016mmol)、トリフェニルホスフィン(0.062mmol)、および4−ブロモ−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.313mmol)を添加した。反応物を密封して150℃に加熱した。7時間後、反応物を120℃に冷却して一晩撹拌した。反応物を室温に冷却し、アセトンで希釈した。セライトを通して溶液を濾過し、真空内で濃縮した。粗製品を逆相クロマトグラフィで精製して、4−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.007mmol)を得た。
【0179】
MS m/z:357(M+1)。
【0180】
実施例4
実施例4は、スキームGに従った類似体を含有するイソイミダゾールを調製する方法を提供する。
【0181】
4.1.a 4−アセチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、26の調製
ジクロロメタンおよびピリジン(300mL、8:2)中の4−アセチル−ベンゼン塩化スルホニル(50mmol)および2−アミノチアゾール(50mmol)溶液を1日間撹拌した。真空内で濃縮後、残留物を酢酸エチル(500mL)で希釈して溶液を1N HCl溶液、飽和NaHCOで洗浄して、MgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。残留物を酢酸エチル中で再結晶化して、4−アセチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(35mmol)を黄色固体として得た。
【0182】
MS m/z:283(M+1)。
【0183】
4.2.a 4−アセチル−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、27の調製
DMF(30mL)中の4−アセチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(10mmol)、および炭酸カリウム(15mmol)懸濁液にクロロ−メトキシ−メタン(10mmol)を添加して、混合物を4時間撹拌した。反応混合物を水(30mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させ、真空内で濃縮した。カラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し、4−シアノ−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(5.2mmol)を白色固体として得た。
【0184】
MS m/z:327(M+1)。
【0185】
4.3.a 4−(2−ブロモ−アセチル)−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、28の調製
THF(50mL)中の4−アセチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(10mmol)溶液にピリジニウムトリブロミド(10mmol)を添加し、混合物を4時間撹拌した。反応混合物を水(30mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させ、真空内で濃縮した。カラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し4−(2−ブロモ−アセチル)−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(8.2mmol)を白色固体として得た。
【0186】
MS m/z:327(M+1)。
【0187】
4.4.a 4−[2−(2,6−ジクロロ−ベンジル)−3H−イミダゾール−4−イル]−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、30の調製
DMF(2mL)中の4−(2−ブロモ−アセチル)−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.062mmol)および2−(2,6−ジクロロ−フェニル)−アセトアミジン(0.062mmol)の遊離塩基溶液を80℃で2時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を逆相クロマトグラフィで精製し、4−[2−(2,6−ジクロロ−ベンジル)−3H−イミダゾール−4−イル]−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.003mmol)を得た。
【0188】
MS m/z:510(M+1)。
【0189】
4.5.a 4−[2−(2,6−ジクロロ−ベンジル)−3H−イミダゾール−4−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、31の調製
エタノール(1mL)および6NのHCl(1mL)中の4−[2−(2,6−ジクロロ−ベンジル)−3H−イミダゾール−4−イル]−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.003mmol)溶液を80℃で5時間加熱した。溶液を冷却して逆相クロマトグラフィで精製し,4−[2−(2,6−ジクロロ−ベンジル)−3H−イミダゾール−4−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミドTFA塩(0.003mmol)を得た。
【0190】
MS m/z:465(M+1)。
【0191】
実施例5
実施例5は、スキームHに従った類似体を含有するピラゾールを調製する方法を提供する。
【0192】
5.1.a 4−シアノ−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、33の調製
DMF(30mL)中の4−シアノ−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(10mmol)および炭酸カリウム(15mmol)の懸濁液にクロロ−メトキシ−メタン(10mmol)を添加し、混合物を4時間撹拌した。反応混合物を水(30mL)で希釈し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を鹹水で洗浄し、MgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。カラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し、4−シアノ−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(8.2mmol)を白色固体として得た。
【0193】
MS m/z:310(M+1)。
【0194】
5.2.a 4−ホルミル−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、34の調製
アルゴン下で、−78℃のTHF(50mL)中の4−シアノ−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(4.5mmol)溶液にDIBAL(5.0mmol、THF中の1M)を添加して、溶液を一晩放置して室温にした。反応後、酒石酸カリウムナトリウム溶液で緩慢にクエンチし、混合物を酢酸エチルで抽出して有機相を鹹水で洗浄し、MgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。カラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し4−ホルミル−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(3.1mmol)を得た。
【0195】
MS m/z:313(M+1)。
【0196】
5.3.a [5−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−2−オキソ−ペンチル]−トリフェニル−ホスホニウム;ブロミド、35の調製
トルエン(20mL)中のトリフェニルホスフィン(2.13mmol)、および1−ブロモ−5−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−ペンタン−2−オン2(2.13mmol)溶液を一晩撹拌した。溶液を真空内で濃縮し、[5−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−2−オキソ−ペンチル]−トリフェニル−ホスホニウム;ブロミド(2.13mmol)を得て、それを精製なしに使用した。
【0197】
MS m/z:507(M
【0198】
5.4.a 4−[6−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−3−オキソ−ヘクサ−1−エニル]−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、36の調製
[5−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−2−オキソ−ペンチル]−トリフェニル−ホスホニウム;ブロミド(0.259mmol)をMeOH(10mL)に溶解した。1N NaOHを滴下して、pH9になるまで添加した。次に溶液を水(100mL)中に注いだ。次に溶液をEtOAcで抽出した。有機層を鹹水で洗浄し、MgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。トルエン(10mL)と、それに続いてアルデヒド4−ホルミル−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.259mmol)を添加した。溶液を110℃に加熱して、一晩撹拌した。100℃への冷却後、1,4−ジオキサン(10mL)を添加した。一晩の撹拌後、溶液を真空内で濃縮した。次にシリカゲルプラグを通して粗製物を濾過した。粗製4−[6−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−3−オキソ−ヘクサ−1−エニル]−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミドをさらに精製することなく使用した。
【0199】
MS m/z:541(M+1)。
【0200】
5.5.a 4−{5−[3−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−プロピル]−3,4−ジヒドロ−2H−ピラゾール−3−イル}−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、37の調製
4−[6−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−3−オキソ−ヘクス−1−エニル]−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.259mmol)およびヒドラジン(2mL)をエタノール(15mL)中において80℃で2時間加熱した。溶液を真空内で濃縮した。粗製4−{5−[3−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−プロピル]−3,4−ジヒドロ−2H−ピラゾール−3−イル}−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミドをさらに精製することなく使用した。
【0201】
MS m/z:555(M+1)。
【0202】
5.6.a 4−{5−[3−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−プロピル]−2H−ピラゾール−3−イル}−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、38の調製
クロロホルム(20mL)中の4−{5−[3−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−プロピル]−3,4−ジヒドロ−2H−ピラゾール−3−イル}−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.259mmol)に、大幅に過剰な酸化マンガンを添加した。4時間の撹拌後、セライトを通して溶液を濾過し真空内で濃縮した。粗製4−{5−[3−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−プロピル]−2H−ピラゾール−3−イル}−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミドをさらに精製することなく使用した。
【0203】
MS m/z:553(M+1)。
【0204】
5.7.a 4−{5−[3−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−プロピル]−2H−ピラゾール−3−イル}−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、39の調製
4−{5−[3−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−プロピル]−2H−ピラゾール−3−イル}−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.259mmol)および6NのHCl(1mL)をエタノール(1mL)中において80℃で3時間加熱した。溶液を真空内で濃縮した。粗製物を逆相クロマトグラフィによって精製し、4−{5−[3−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−プロピル]−2H−ピラゾール−3−イル}−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.041mmol)を得て、4−{5−[3−(2,4−ジクロロ−フェノキシ)−プロピル]−2H−ピラゾール−3−イル}−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.024mmol)を回収した。
【0205】
MS m/z:509(M+1)。
【0206】
実施例6
実施例6は、スキームIに従った類似体を含有するヒダントインを調製する方法を提供する。
【0207】
6.1.a 4−(2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−4−イル)−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、40の調製
エタノールおよび水(5mL、1:1)中の4−アセチル−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.45mmol)、カリウムシアネート(1.53mmol)、および炭酸アンモニウム(4.5mmol)の混合物をマイクロ波反応器内で135℃で10分間撹拌した。反応混合物を6N HCl水性溶液でクエンチした。飽和NaHCOで中和後、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させ、真空内で濃縮した。逆相HPLCで粗生成物を精製して、4−(2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−4−イル)−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.2mmol)を得た。
【0208】
MS m/z:383(M+1)。
【0209】
6.2.a 4−(1−ベンジル−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−4−イル)−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、41の調製
DMF(5mL)中の4−(2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−4−イル)−N−メトキシメチル−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.1mmol)、ベンジルブロミド(0.2mmol)、および炭酸カリウム(0.1mmol)の懸濁液を65℃で4時間で撹拌した。反応混合物を6N HCl水溶液で酸性化して30分間撹拌した後、飽和NaHCOで中和した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を鹹水で洗浄してMgSO上で乾燥させて真空内で濃縮した。逆相HPLCで粗生成物を精製して4−(1−ベンジル−2,5−ジオキソ−イミダゾリジン−4−イル)−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.04mmol)を得た。
【0210】
MS m/z:429(M+1)。
【0211】
実施例7
実施例7は、スキームJおよびKに従った類似体を含有するジヒドロトリアゾロンを調製する方法を提供する。
【0212】
7.1.a N−{4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズアミジニル}−N’−{3,4−ジクロロ−ベンジル}−ウレア、43の調製
1,2−ジクロロ−4−イソシアナト−ベンゼン(0.177mmol)およびヒドラジン(2.13mmol)の溶液をエタノール(5mL)中において室温で2時間撹拌した。溶液を真空内で濃縮してDMF(5mL)を添加し、それに4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズイミド酸エチルエステル(0.161mmol)の添加が続いた。溶液を室温で3日間撹拌した。反応を真空内で濃縮してこの物質を逆相HPLCで精製し、N−{4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズアミジニル}−N’−{3,4−ジクロロ−ベンジル}−ウレア(0.007mmol)を得た。
【0213】
MS m/z:499(M+1)。
【0214】
7.2.a 4−[4−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、44の調製
1N NaOH中のN−{4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズアミジニル}−N’−{3,4−ジクロロ−ベンジル}−ウレア(0.177mmol)溶液を95℃で一晩加熱した。溶液を1N HClで酸性化した。次に溶液を氷浴内で0℃に冷却した。沈殿が形成し、濾過により収集した。固体を逆相逆相HPLCで精製して、4−[4−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.003mmol)を得た。
【0215】
MS m/z:482(M+1)。
【0216】
7.3.a 4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−N−(3,4−ジクロロ−ベンジリデンアミノ)−ベンザミジン、46の調製
4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−ベンズイミド酸エチルエステル(0.965mmol)およびヒドラジン(0.5mL)の溶液をエタノール(5mL)中において室温で10分間撹拌した。溶液を真空内で濃縮してDMF(5mL)を添加し、3,4−ジクロロ−ベンズアルデヒド(1.06mmol)の添加がそれに続いた。酢酸(1mL)を添加して、溶液を室温で2時間撹拌した。溶液を飽和NaHCOでクエンチして酢酸エチルで抽出し、鹹水で洗浄してMgSOによって乾燥させた。反応を真空内で濃縮してこの物質をカラムクロマトグラフィで精製し、4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−N−(3,4−ジクロロ−ベンジリデンアミノ)−ベンザミジン(0.39mmol)を得た。
【0217】
MS m/z:454(M+1)。
【0218】
7.4.a 4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−N−(3,4−ジクロロベンジルアミノ)−ベンザミジン、47の調製
4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−N−(3,4−ジクロロ−ベンジリデンアミノ)−ベンザミジン(0.387mmol)、およびNaCNBH(大幅に過剰な)の溶液をTHF(5mL)中で室温において撹拌した。全出発原料が消費されるまで、溶液に6N HClを滴下して添加した。溶液を飽和NaHCOでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を収集して真空内で濃縮した。粗生成物を逆相クロマトグラフィによって精製し、4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−N−(3,4−ジクロロベンジルアミノ)−ベンザミジン(0.09mmol)を得た。
【0219】
MS m/z:456(M+1)。
【0220】
7.5.a 4−[1−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド、48の調製
THF(5mL)中の4−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−N−(3,4−ジクロロベンジルアミノ)−ベンザミジン(0.044mmol)、およびTEA(0.20mL)溶液に、クロロギ酸エチル(0.05mL)を室温で添加し、得られた溶液を2時間撹拌した。真空内で濃縮後、1N NaOH(4mL)を添加して、溶液を95℃で一晩加熱した。混合物を室温に冷却後、溶液を1N HClで酸性化して凍結乾燥した。粗製物を逆相クロマトグラフィによって精製し、4−[1−(3,4−ジクロロ−ベンジル)−5−オキソ−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−イル]−N−チアゾール−2−イル−ベンゼンスルホンアミド(0.002mmol)を得た。
【0221】
MS m/z:482(M+1)。
【0222】
実施例8
実施例8は、本発明の化合物の有効性を試験する方法を提供する。
【0223】
8.1.a 細胞系の構築および維持
標準技術を使用して、インビトロジェン(Invitrogen)からのリポフェクトアミン(Lipofectamine)試薬を使用して、ヒト胚腎臓(HEK)細胞をhSCN3Aコンストラクトで形質移入した。G−418(400μg/ml)に対するそれらの抵抗性によって、hSCN3Aコンストラクトを安定して発現する細胞を同定した。全細胞電位クランプ技術を使用して、クローンを発現についてスクリーンした。
【0224】
8.2.a 細胞培養
10%COの加湿雰囲気で37℃の恒温器内において、10%熱不活性化胎児ウシ血清および400μg/mL G418スルフェートを補ったDMEM培地中で、hSCN3Aで安定して形質移入されたHEK細胞を維持した。HTSでは、細胞をトリプシン処理によってフラスコから収集し、集密が播種の24時間以内に達成されるように、適切なマルチウェルプレート(典型的に96または384ウェル/プレート)に再度播種した。電気生理学的研究のためには、細胞を短いトリプシン処理によって培養フラスコから取り出し、ガラスカバースリップ上に低密度で再度播種した。細胞を典型的に、播種後24〜72時間以内に電気生理学的実験のために使用した。
【0225】
8.3.a 電気生理学的記録
hSCN3Aを発現するHEK細胞を含有するカバースリップを倒立顕微鏡の載物台上の水浴に入れ、次の組成の細胞外溶液で灌流した(およそ1mL/分)。138mMのNaCl、2mMのCaCl、5.4mMのKCl、1mMのMgCl、10mMのグルコース、および10mMのHEPES、NaOHでpH7.4に調節。ピペットに、次の組成の細胞内溶液を充填した。135mMのCsF、5mMのCsCl、2mMのMgCl、10mMのEGTA、10mMのHEPES、pH7.3〜7.4および1〜2メガオームの抵抗を有した。細胞外、および細胞内溶液モル浸透圧濃度は、それぞれ300mmol/kgおよび295mmol/kgであった。全記録は、カリフォルニア州バーリンゲームのアクソン・インストゥルメンツ(Axon Instruments,Burlingame,CA)からのアクソパッチ(AXOPATCH)200B増幅器およびPCLAMPソフトウェア、またはカリフォルニア州バーリンゲームのアクソン・インストゥルメンツ(Axon Instruments,Burlingame,CA)からのパッチエキスプレス(PatchXpress)7000ハードウェアおよび関連ソフトウェアを使用して室温(22〜24℃)で行った。
【0226】
HEK細胞中のhSCN3A電流は、パッチクランプ技術のホール細胞形態を使用して測定した(ハミル(Hamill)ら、1981年)。非補償型直列抵抗は典型的に2〜5メガオームであり、>85%直列抵抗補償(パッチエキスプレス(PatchXpress)では50%)が、日常的に達成された。その結果、電位エラーはごくわずかで補正は適用しなかった。電流記録を20〜50KHzで得て、5〜10KHzでフィルターした。
【0227】
負の保持電位から一連の脱分極性プレパルス(10mV刻みの増大で8秒間の長さ)を印加して、不活性化の電位依存性を判定した。次に電位を0mVに即座に進めて、ナトリウム電流の規模を評価した。0mVで誘導される電流をプレパルス電位の関数としてプロットし、不活性化(V1/2)の電位中点の推定を可能にした。次に細胞を経験的に判定したV1/2で電位クランプした。
【0228】
経験的に判定したV1/2から、20msの電位を0mVに進めてチャンネルを活性化することで、hSCN3Aナトリウムチャンネルを阻害するそれらの能力について、化合物を試験した。hSCN3Aで安定して形質移入したHEK細胞をホフマン(Hoffman)位相差の下で視覚化し、対照または化合物含有のいずれかの細胞外溶液を放出する送り管配列前に置いた。パッチエキスプレス(PatchXpress)上にデータを発生させる場合は、装置の内蔵液体取り扱い機能を使用した。全化合物をジメチルスルホキシドに溶解して10mM原液を作成し、次にそれを水浴溶液に希釈して所望の最終濃度を得た。ジメチルスルホキシドの最終濃度(≦1%ジメチルスルホキシド)は、hSCN3Aナトリウム電流に有意な効果を有さないことが分かった。
【0229】
8.4.a 高処理能力スクリーニングアッセイ
マルチウェルプレート内の集密的細胞を浸透性放射性イオン(22Na、14C−グアニジウムなど)と共に4〜16時間インキュベートして、放射性トレーサーを取り込ませた。以下の組成の予熱緩衝液での洗浄によって、過剰な放射性イオンを除去した。138mMのNaCl、2mMのCaCl、5.4mMのKCl、1mMのMgCl、10mMのグルコース、および10mMのHEPES、NaOHでpH7.4に調節。あらゆる必要な化学活性化剤(例えば100μMのベラトリジン、10〜20μg/mL Lqhのサソリ毒など)を含有する緩衝液の添加によって、流出を開始した。様々な濃度の試験化合物または標準ナトリウムチャンネル遮断剤を流出の開始と同時に添加した。加湿10%CO雰囲気内で37℃において、典型的に30〜90分間である所定時間、流出を進行させた。シンチレーション計数のために、細胞外溶液を収集してマルチウェルプレートに移して、誘導流出を判定した。アッセイプレート内での細胞溶解に続いて、残留細胞内放射能もまた、シンチレーション計数によって判定した。試験化合物存在下の流出と未処理対照細胞中の流出とを比較して、流出阻害を判定した。
【0230】
本発明の特定化合物の活性を下の表IIに記載する。
【0231】
【表2】

【0232】
【表3】

【0233】
【表4】

【0234】
本発明を、具体的実施形態を参照して開示したが、本発明の真の趣旨と範囲を逸脱することなく、本発明のその他の実施形態および変形例が、当業者によって考案されてもよいことは明らかである。
【0235】
本明細書で引用する全ての特許、特許出願、およびその他の公報は、その内容全体を参照によって本明細書に援用する。
【図面の簡単な説明】
【0236】
図面の簡単な説明
【図1】本発明の化合物の代表的一覧を提供する。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】

【図1−4】

【図1−5】

【図1−6】

【図1−7】

【図1−8】

【図1−9】

【図1−10】

【図1−11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

(式中、
、R、R、およびRは、H、F、CF、置換または非置換C〜Cアルキル、非置換3〜7員環シクロアルキル、および非置換3〜7員環ヘテロシクロアルキルから独立して選択されるメンバーであり、
Aは、
【化2】

から選択されるメンバーであり、
式中、
は、置換または非置換C〜Cアルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり、
qは、0〜2の整数から選択されるメンバーであり、
は、H、ハロゲン、CF、置換または非置換C〜Cアルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり、
Bは、
【化3】

から選択されるメンバーであり、
式中、
Xは、O、およびSから選択されるメンバーであり、
Yは、CHおよびNから選択されるメンバーであり、
sは、環原子の原子価要件を満たすのに十分な0を超える整数であり、
各Rは、H、OR、NR10、SONR10、シアノ、ハロゲン、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、
式中、
は、H、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり、
およびR10は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、
Zは、
【化4】

から選択されるメンバーであり、
式中、
各R11は、H、OR13、NR1415、SONR1415、シアノ、ハロゲン、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、
は、O、およびSから選択されるメンバーであり、
式中、
13は、H、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり、
14およびR15は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、
式中、
14およびR15は、それらが結合する窒素と一緒になって任意に結合して、置換または非置換5〜7員環を形成し、
rは、0〜2の整数から選択されるメンバーであり、
pは、0〜1の整数から選択されるメンバーであり、
12は、C〜C置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり、
mおよびnは、mおよびnから選択されるメンバーが1を超える場合、各RおよびRと、RおよびRがそれぞれ独立して選択されるように0〜2の整数から独立して選択される)
で表される化合物。
【請求項2】
式中、mおよびnが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、Aが、
【化5】

から選択されるメンバーであり、
式中、
Jは、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり、
16は、結合、置換または非置換アルキレン、置換または非置換シクロアルキレン、置換または非置換ヘテロシクロアルキレン、置換または非置換ヘテロアルキレン、置換または非置換アリーレンおよび置換または非置換ヘテロアリーレンから選択されるメンバーであり、
17は、H、ハロゲン、CF、置換または非置換C〜Cアルキル、非置換4〜7員環シクロアルキル環および非置換4〜7員環ヘテロシクロアルキル環から選択されるメンバーである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式中、J−R16が、式、
【化6】

(式中、
18およびR19は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、および置換または非置換アリールから独立して選択されるメンバーであり、
式中、
18およびR19は、それらが結合する炭素と一緒になって任意に結合して、置換または非置換3〜7員環シクロアルキル部分および置換または非置換5〜7員環ヘテロシクロアルキル部分から選択されるメンバーを形成し、
tは、tが1を超える場合、各R18およびR19が独立して選択されるように0〜4から選択される整数である)
で表される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式、
【化7】

(式中、
20およびR21は、H、OR22、NR2324、SONR2324、シアノ、ハロゲン、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、
式中、
22は、H、CF、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから選択されるメンバーであり、
23およびR24は、H、置換または非置換アルキル、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換ヘテロシクロアルキル、置換または非置換アリール、および置換または非置換ヘテロアリールから独立して選択されるメンバーであり、
式中、
23およびR24は、それらが結合する窒素と一緒になって任意に結合して、置換または非置換5〜7員環を形成する)
で表される、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
電位作動型ナトリウムチャンネルに対する阻害活性を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物を含む医薬処方。
【請求項8】
ナトリウムチャンネルの活性を調節するのに十分な量の請求項1に記載の化合物を対象に投与するステップを含み、前記対象においてナトリウムチャンネルの活性を調節する方法。
【請求項9】
対象における病状を改善または軽減する方法であって、前記病状が、疼痛、過敏性腸症候群、クローン病、てんかん、発作多発性硬化症、双極性鬱病、および頻脈性不整脈から選択されるメンバーであり、前記方法が、前記病状を改善または軽減するのに十分な量の請求項1に記載の化合物を前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項10】
前記病状が疼痛であり、前記疼痛が、急性疼痛、慢性疼痛、内臓疼痛、炎症性疼痛、および神経障害性疼痛から選択されるメンバーである、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2009−504741(P2009−504741A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527014(P2008−527014)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/031390
【国際公開番号】WO2007/021941
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(505222772)アイシーエージェン インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】