説明

電力供給システム、電動車両、および充電アダプタ

【課題】バッテリ充電時における電気機器の使用制限を回避する。
【解決手段】商用電源13からの電力は分電盤11を経て各電力線14に分配され、電力線14から電気機器17や電動車両18に供給される。電動車両18の充電時において、電気機器17の消費電力が所定値を上回った場合には、電動車両18に供給する充電電力が引き下げられる。このように、電動車両18の充電電力を引き下げることにより、電気機器17の使用制限を回避することができ、利用者の満足度を高めることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム、電動車両、および充電アダプタに関し、特に電動車両を充電する際の利便性を高めるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、動力源として電動モータを備える電動車両が開発されている。電動車両に搭載されるバッテリ等の蓄電デバイスを充電する際には、外部電源と電動車両とが充電ケーブルを介して接続される。また、動力源としてエンジンおよび電動モータを備えるハイブリッド型の電動車両においても、外部電源によって蓄電デバイスを充電する所謂プラグイン方式の電動車両が開発されている。
【0003】
また、電動車両の蓄電デバイスを充電する際には、大きな電力(例えば1.5〜40kW)が必要となることから、充電時に施設側の許容電流を超えてブレーカが作動してしまうおそれがある。そこで、複数台の電動車両を充電可能な施設において、施設の許容電流を超えてブレーカが作動することのないように、各電動車両を協調させながら充電するようにした充電システムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−333706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般家庭等においては、充電電力を引き込むための電力線が、充電専用の電力線として設置されるのではなく、他の電気機器にも電力を供給する共用の電力線として設置されることが多い。このように、充電電力を引き込むための電力線が他の電気機器との共用線である場合には、許容電流の超過に伴うブレーカ作動を防止するため、蓄電デバイスを充電する際に他の電気機器の使用を制限する必要がある。しかしながら、蓄電デバイスの充電は長時間に渡って継続されることから、蓄電デバイスの充電時に電気機器の使用を制限することは、利用者の利便性を大きく損なう要因となっていた。
【0006】
本発明の目的は、蓄電デバイスの充電時における電気機器の使用制限を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電力供給システムは、蓄電デバイスを備える電動車両に充電電力を供給するとともに、その他の電気機器に電力を供給する電力供給システムであって、前記電気機器の作動状態に基づいて、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を増減させる電力調整手段を有し、前記電力調整手段は、前記電気機器の消費電力が所定値を上回る場合に、前記電気機器の作動状態を維持したまま、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を引き下げることを特徴とする。
【0008】
本発明の電力供給システムは、前記蓄電デバイスに供給される充電電力に基づいて、前記蓄電デバイスが所定の充電状態に達するまでの充電時間を算出する時間算出手段と、前記時間算出手段によって算出された充電時間を表示機器に表示する時間表示手段とを有し、前記時間表示手段は、表示中の充電時間を所定値以上延長する充電時間が算出されるまで、表示中の充電時間を継続して前記表示機器に表示することを特徴とする。
【0009】
本発明の電力供給システムは、前記電力調整手段は、前記電気機器の予約作動情報を受信した場合に、予約された前記電気機器が作動を開始するまで、充電電力を引き上げることを特徴とする。
【0010】
本発明の電動車両は、電気機器に電力を供給する電力供給システムに接続して使用され、前記電力供給システムから供給される充電電力によって充電される蓄電デバイスを備える電動車両であって、前記電気機器の作動状態に基づいて、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を増減させる電力調整手段を有し、前記電力調整手段は、前記電気機器の消費電力が所定値を上回る場合に、前記電気機器の作動状態を維持したまま、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を引き下げることを特徴とする。
【0011】
本発明の電動車両は、前記蓄電デバイスに供給される充電電力に基づいて、前記蓄電デバイスが所定の充電状態に達するまでの充電時間を算出する時間算出手段と、前記時間算出手段によって算出された充電時間を表示機器に表示する時間表示手段とを有し、前記時間表示手段は、表示中の充電時間を所定値以上延長する充電時間が算出されるまで、表示中の充電時間を継続して前記表示機器に表示することを特徴とする。
【0012】
本発明の電動車両は、前記電力調整手段は、前記電気機器の予約作動情報を受信した場合に、予約された前記電気機器が作動を開始するまで、充電電力を引き上げることを特徴とする。
【0013】
本発明の充電アダプタは、電気機器に電力を供給する電力供給システムに接続して使用され、前記電力供給システムから電動車両の蓄電デバイスに充電電力を供給する充電アダプタであって、前記電気機器の作動状態に基づいて、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を増減させる電力調整手段を有し、前記電力調整手段は、前記電気機器の消費電力が所定値を上回る場合に、前記電気機器の作動状態を維持したまま、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を引き下げることを特徴とする。
【0014】
本発明の充電アダプタは、前記蓄電デバイスに供給される充電電力に基づいて、前記蓄電デバイスが所定の充電状態に達するまでの充電時間を算出する時間算出手段と、前記時間算出手段によって算出された充電時間を表示機器に表示する時間表示手段とを有し、前記時間表示手段は、表示中の充電時間を所定値以上延長する充電時間が算出されるまで、表示中の充電時間を継続して前記表示機器に表示することを特徴とする。
【0015】
本発明の充電アダプタは、前記電力調整手段は、前記電気機器の予約作動情報を受信した場合に、予約された前記電気機器が作動を開始するまで、充電電力を引き上げることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電気機器の消費電力が所定値を上回る場合に、電気機器の作動状態を維持したまま、蓄電デバイスに供給する充電電力を引き下げるようにしたので、電気機器の使用制限を回避することができ、利用者の満足度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態である電力供給システムを示す概略図である。
【図2】電動車両の内部構造を示す概略図である。
【図3】充電ケーブルが接続された電動車両を示す概略図である。
【図4】充電電力設定制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の他の実施の形態である電力供給システムの一部を示す概略図である。
【図6】本発明の他の実施の形態である電力供給システムの一部を示す概略図である。
【図7】本発明の他の実施の形態である電力供給システムの一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である電力供給システム10を示す概略図である。図1に示すように、住宅等に設けられる分電盤11には、引込線12を通じて商用電源13からの電力が引き込まれている。また、分電盤11には複数の電力線14が接続されており、商用電源13からの電力は分電盤11を経て各電力線14に分配されている。この分電盤11には過電流を検出して電力系統を遮断するブレーカ15が設けられている。また、各電力線14に設けられるコンセント16には複数の電気機器17が接続されており、充電時には電動車両18が充電ケーブル19を介してコンセント16に接続されている。さらに、図示する電力供給システム10においては、接続された電動車両18や電気機器17等を統合的に制御するホームオートメーションシステムが構築されている。そして、ホームオートメーションシステムを構成する機器として、電動車両18や電気機器17を統合制御するコンピュータであるコントロールサーバ20や、各種情報を表示するモニタ(表示機器)21がコンセント16に接続されている。
【0019】
電力供給システム10には通信ネットワーク22が構築されており、コントロールサーバ20、モニタ21、電動車両18、各種電気機器17は、通信ネットワーク22を介して互いに接続されている。コントロールサーバ20には、各電気機器17から消費電力等の作動状態を示す情報が送信される。また、コントロールサーバ20には、利用者によって作動予約された電気機器17から、所定時間後に作動を開始するという予約作動情報が送信される。さらに、コントロールサーバ20には、電動車両18から充電電力等の充電状況を示す情報が送信される。そして、コントロールサーバ20は、必要に応じて電動車両18や電気機器17に制御信号を送信するとともに、モニタ21に電力供給システム10の作動状況を示す表示用の情報を送信する。なお、通信ネットワーク22としては、専用の通信線を用いて構築しても良く、無線機器を用いて構築しても良く、電力線14を通信線として利用する電力線通信(PLC)を用いて構築しても良い。
【0020】
図2は電動車両18の内部構造を示す概略図である。図2に示すように、電動車両18には、蓄電デバイスとしてリチウムイオン二次電池等のバッテリ30が搭載されている。また、電動車両18には駆動源であるモータジェネレータ31が設けられており、モータジェネレータ31は駆動軸32を介して駆動輪33に連結されている。さらに、モータジェネレータ31とバッテリ30とは、直流電力と交流電力とを双方向に変換するインバータ34を介して接続されている。モータジェネレータ31を力行駆動させる際には、インバータ34を介して直流電力が交流電力に変換され、バッテリ30からモータジェネレータ31に電力が供給される。一方、モータジェネレータ31を回生駆動させる際には、インバータ34を介して交流電力が直流電力に変換され、モータジェネレータ31からバッテリ30に電力が供給される。なお、バッテリ30とインバータ34とを接続する電力ライン35,36には、メインリレー37,38が設けられている。
【0021】
図2に示すように、電動車両18には充電ケーブル19を接続するための充電口40が設けられている。この充電口40は、車体に開閉自在に設けられる充電リッド41と、充電リッド41の内側に収容される受電コネクタ42とによって構成されている。また、電動車両18には、図示しない整流回路、スイッチング素子、トランス、平滑コンデンサ等によって構成される車載充電器43が搭載されている。車載充電器43は一対の出力ライン44,45を有しており、一方の出力ライン44は正極側の電力ライン35に接続され、他方の出力ライン45は負極側の電力ライン36に接続されている。また、車載充電器43は一対の入力ライン46,47を有しており、入力ライン46,47は受電コネクタ42の受電端子42a,42bに接続されている。さらに、電動車両18には、インバータ34、リレー37,38、車載充電器43等を制御する車両制御ユニット48が設けられている。この車両制御ユニット48には通信ライン49が接続されており、通信ライン49は受電コネクタ42の信号端子42cに接続されている。また、電動車両18には、バッテリ30の充放電を管理するバッテリ制御ユニット50が設けられている。車両制御ユニット48やバッテリ制御ユニット50は、CAN等の車載ネットワーク51を介して相互に接続されている。なお、各制御ユニット48,50はCPUやメモリ等によって構成されている。
【0022】
図2に示すように、バッテリ充電時にコンセント16と受電コネクタ42とを接続する充電ケーブル19は、一端側に受電コネクタ42に着脱自在となる給電コネクタ60を有しており、他端側にコンセント16に着脱自在となる電源プラグ61を有している。充電ケーブル19の給電コネクタ60には、受電端子42a,42bに対応する一対の給電端子60a,60bが設けられている。また、充電ケーブル19の電源プラグ61には、コンセント16の挿入口に対応する一対のピン61a,61bが設けられており、ピン61a,61bと給電端子60a,60bとは給電ライン62,63を介して接続されている。図2に示すように、コンセント16には、通信ネットワーク22に接続される通信ジャック64が設けられている。また、充電ケーブル19の電源プラグ61には通信ジャック64に対応する通信プラグ61cが設けられており、充電ケーブル19の給電コネクタ60には信号端子42cに対応する信号端子60cが設けられている。そして、通信プラグ61cと信号端子60cとは、通信ライン65を介して接続されている。
【0023】
図3は充電ケーブル19が接続された電動車両18を示す概略図である。図3に示すように、電力供給システム10からの電力を用いて電動車両18のバッテリ30を充電する際には、充電ケーブル19の電源プラグ61がコンセント16に接続される。そして、充電リッド41を開いて受電コネクタ42を露出させた後に、充電ケーブル19の給電コネクタ60が電動車両18の受電コネクタ42に接続される。これにより、電力供給システム10の電力線14が、充電ケーブル19および車載充電器43を介してバッテリ30に接続された状態となる。また、電力供給システム10のコントロールサーバ20が、充電ケーブル19を介して車両制御ユニット48に接続された状態となる。このように充電ケーブル19が接続されると、コントロールサーバ20は他の電気機器17の消費電力と電力供給システム10の電力供給能力とに基づいて、電動車両18に対して供給可能な充電電力を設定する。次いで、コントロールサーバ20は車両制御ユニット48に設定した充電電力を指示し、車両制御ユニット48は指示された充電電力の範囲内で車載充電器43を制御する。そして、車載充電器43は、バッテリ電圧が所定の目標電圧(例えば400V)に達するまで、充電ケーブル19から入力される低電圧(例えば100V)の交流電力を、高電圧(例えば400V)の直流電力に変換してバッテリ30に出力する。なお、電力供給システム10の電力供給能力とは、商用電源13から引き込むことが可能な電力(電流)の値である。すなわち、電力会社との間で定められる契約電流や契約電力の値であり、配電盤のブレーカ15によって電力系統が遮断される電力(電流)の値である。
【0024】
続いて、コントロールサーバ20による充電電力設定制御について説明する。ここで、図4は充電電力設定制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、ステップS1では、他の電気機器17が作動中であるか否かが判定される。ステップS1において、他の電気機器17が作動していないと判定された場合には、ステップS2に進み、予約作動情報の受信状況に基づいて電気機器17の作動予約の有無が判定される。ステップS2において、電気機器17の作動予約が為されていないと判定された場合には、十分な充電電力が確保される状況であることから、ステップS3に進み、通常充電モード(充電電力:W1)が設定され、充電電力W1の範囲内でバッテリ30が充電される。続いて、ステップS4に進み、バッテリ30に供給される充電電力に基づき、バッテリ30が所定の充電状態SOC(例えば100%)に達するまでの充電時間が算出される。そして、ステップS4では、算出された充電時間が現在の時刻に加算され、バッテリ30の充電が終了する充電終了時刻が算出される。なお、コントロールサーバ20は、充電電力やバッテリ電圧等に基づき所定のマップを参照し、充電時間を算出することが可能となっている。また、コントロールサーバ20には、車両制御ユニット48から現在の充電電力やバッテリ電圧等が送信される。
【0025】
次いで、ステップS5に進み、充電終了時刻がモニタ21に表示されているか否かが判定される。ステップS5において、充電終了時刻が表示されていない場合には、ステップS6に進み、新たに算出された充電終了時刻がモニタ21に表示される。一方、ステップS5において、充電終了時刻が表示されている場合には、ステップS7に進み、新たに算出された充電終了時刻が、表示中の充電終了時刻に対し、所定時間を超えて変化(延長・短縮)する時刻であるか否かが判定される。ステップS7において、新たな充電終了時刻が所定時間を超えて変化していると判定された場合には、ステップS8に進み、モニタ21の表示時刻が新たに算出された充電終了時刻に更新される。一方、ステップS7において、新たな充電終了時刻が所定時間を超えて変化していないと判定された場合には、モニタ21の表示時刻を維持したままルーチンを抜ける。すなわち、現在の表示時刻を所定値以上延長(短縮)する時刻が算出されるまでは、現在の表示時刻が継続してモニタ21に表示されることになる。
【0026】
一方、ステップS2において、電気機器17の作動予約が為されていると判定された場合には、その後の電気機器17の作動に伴って充電電力が不足することも想定されるため、ステップS9に進み、高電力充電モード(充電電力:W1+W2)が設定され、充電電力(W1+W2)の範囲内でバッテリ30が充電される。すなわち、高電力充電モードにおいては、前述した通常充電モードに比べて充電電力が引き上げられる。なお、高電力充電モードで加算される電力W2とは、電力供給システム10から供給可能な余剰電力やバッテリ30が受け入れ可能な電力に基づき設定される電力である。このように、利用者によって他の電気機器17の作動予約が為されることにより、所定時間後に充電電力が不足してしまう虞がある場合には、充電電力が不足する前に高電力充電モードでバッテリ30を充電する。これにより、後からバッテリ30に供給可能な充電電力が絞られたとしても、充電終了時刻の大幅な延長を防止することができ、利用者の満足度を高めることが可能となる。
【0027】
また、前述したステップS1において、他の電気機器17が作動していると判定された場合には、ステップS10に進み、他の電気機器17の消費電力と電力供給システム10の電力供給能力とに基づいて、電動車両18に割り当て可能な充電電力が不足するか否かが判定される。ステップS10において、充電電力が不足していないと判定された場合、すなわち高電力充電モードの充電電力(W1+W2)が確保可能であると判定された場合には、ステップS2に進み、前述した手順に沿ってバッテリ30が充電される。一方、ステップS10において、充電電力が不足すると判定された場合、すなわち高電力充電モードの充電電力(W1+W2)が確保できない場合には、ステップS11に進み、低電力充電モード(充電電力:W1−W3−W4)が設定され、充電電力(W1−W3−W4)の範囲内でバッテリ30が充電される。このように、充電電力が不足している場合、すなわち電気機器17の消費電力が所定値を上回る場合には、通常充電モードに比べて充電電力が引き下げられる。なお、低電力充電モードで減算される電力W3とは、電力供給システム10から供給可能な余剰電力に基づき設定される電力である。また、低電力充電モードで減算される電力W4とは、充電終了時刻の頻繁な延長を回避するために予め設定される電力である。
【0028】
このように、電気機器17の消費電力が大きく電動車両18に割り当て可能な充電電力が不足する場合には、電気機器17の作動状態を維持したまま充電電力を引き下げる低電力充電モードが実行される。これにより、バッテリ30の充電時においても、他の電気機器17の使用制限を回避することができるため、電力供給システム10の利便性を高めることが可能となる。ところで、低電力充電モードが実行されると、充電電力が低下することから、充電時間および充電終了時刻が延長されることになる。さらに、低電力充電モードにおいては、消費電力の変動に応じて充電電力が頻繁に変化し、充電終了時刻が頻繁に延長されることも想定される。しかしながら、前述したように、モニタ21に表示される充電終了時刻の更新は、新たに算出された充電終了時刻が所定時間を超えて延長された場合に限定されている(ステップS8)。これにより、充電終了時刻の頻繁な延長を回避することができ、利用者の満足度を高めることが可能となる。さらに、低電力充電モードにおいては、確保可能な充電電力(W1−W3)から更に電力W4を減算している。このように、充電電力の確保が不確実な状況においては、余裕を持って充電電力を引き下げることにより、充電終了時刻に余裕を持たせている。これにより、充電終了時刻の頻繁な延長を回避することができ、利用者の満足度を高めることが可能となる。
【0029】
前述の説明では、他の電気機器17の作動状態に基づいてコントロールサーバ20が充電電力を設定し、コントロールサーバ20は車両制御ユニット48に設定した充電電力を指示し、車両制御ユニット48は指示された充電電力に基づいて車載充電器43を制御している。すなわち、前述の説明では、電力調整手段が、コントロールサーバ20、車両制御ユニット48および車載充電器43によって構成されている。しかしながら、電力調整手段の構成としては、前述の説明に限られることはなく、例えば、電動車両18の車両制御ユニット48および車載充電器43だけで電力調整手段を構成しても良い。この場合には、車両制御ユニット48に対して、各電気機器17から消費電力等の作動状態を示す情報が送信されるとともに、利用者によって作動予約された電気機器17から予約作動情報が送信される。そして、車両制御ユニット48は、他の電気機器17の作動状態に基づき充電電力を設定し、設定した充電電力に基づいて車載充電器43を制御することになる。
【0030】
また、電力調整手段の構成としては、前述の説明に限られることはなく、他の手段によって電力調整手段を構成しても良い。ここで、図5〜図7は本発明の他の実施の形態である電力供給システム10の一部を示す概略図である。なお、図5〜図7において、図1および図2に示す部品と同様の部品については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0031】
図5に示すように、コンセント16と電動車両18とを接続する充電ケーブル(充電アダプタ)70には、図示しない整流回路やスイッチング素子等によって構成される電力変換部71が設けられている。このように、電力変換部71を充電ケーブル70に組み込むことにより、充電ケーブル70を通過する交流電力を増減させることが可能となる。また、充電ケーブル70にはCPUやメモリ等によって構成される制御部72が設けられ、この制御部72には各電気機器17から消費電力や予約作動情報が送信される。そして、制御部72は、他の電気機器17の消費電力に基づき充電電力を設定し、設定した充電電力を超えないように電力変換部71に対して制御信号を出力する。これにより、コントロールサーバ20が設置されていない場合、車両制御ユニット48がコントロールサーバ20との通信機能を有していない場合、車載充電器43が充電電力を増減させる機能を有していない場合等であっても、前述した効果と同じ効果を得ることが可能となる。また、図5に示す場合には、制御部(時間算出手段)72によって充電時間および充電終了時刻が算出され、制御部(時間表示手段)72からモニタ21に充電終了時刻の表示が指示される。なお、図5に示す場合には、制御部72および電力変換部71を電力調整手段として機能させているが、これに限られることはなく、コントロールサーバ20を電力調整手段として機能させ、コントロールサーバ20からの制御信号によって電力変換部71を制御しても良い。
【0032】
図6に示すように、充電ケーブル19とコンセント16との間には充電アダプタ80が配置されている。充電アダプタ80は、一端に電源プラグ61に着脱自在となるコンセント81を有しており、他端側にコンセント16に着脱自在となる電源プラグ82を有している。この充電アダプタ80を充電ケーブル19とコンセント16との間に介在させることにより、コンセント16の電力線14を充電ケーブル19の給電ライン62,63に接続することが可能となり、コンセント16の通信ジャック64を充電ケーブル19の通信ライン65に接続することが可能となる。また、充電アダプタ80には、図示しない整流回路やスイッチング素子等によって構成される電力変換部83が設けられている。このように電力変換部83を充電アダプタ80に組み込むことにより、充電ケーブル19に入力される交流電力を増減させることが可能となる。また、充電アダプタ80にはCPUやメモリ等によって構成される制御部84が設けられ、この制御部84には各電気機器17から消費電力や予約作動情報が送信される。そして、制御部84は、他の電気機器17の消費電力に基づき充電電力を設定し、設定した充電電力を超えないように電力変換部83に対して制御信号を出力する。これにより、コントロールサーバ20が設置されていない場合、車両制御ユニット48がコントロールサーバ20との通信機能を有していない場合、車載充電器43が充電電力を増減させる機能を有していない場合等であっても、前述した効果と同じ効果を得ることが可能となる。また、図6に示す場合には、制御部(時間算出手段)84によって充電時間および充電終了時刻が算出され、制御部(時間表示手段)84からモニタ21に充電終了時刻の表示が指示される。なお、図6に示す場合には、制御部84および電力変換部83を電力調整手段として機能させているが、これに限られることはなく、コントロールサーバ20を電力調整手段として機能させ、コントロールサーバ20からの制御信号によって電力変換部83を制御しても良い。
【0033】
図7に示すように、コンセント16の電力線14には、図示しない整流回路やスイッチング素子等によって構成される電力変換部90が設けられている。このようにコンセント16に電力変換部90を組み付けることにより、コンセント16から出力される交流電力を増減させることが可能となる。そして、充電時には、コントロールサーバ20からの制御信号に基づいて、電力変換部90は設定された充電電力を超えないように出力電力を制御する。これにより、車両制御ユニット48がコントロールサーバ20との通信機能を有していない場合や、車載充電器43が充電電力を増減させる機能を有していない場合等であっても、前述した効果と同じ効果を得ることが可能となる。
【0034】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。前述の説明では、コントロールサーバ20に各電気機器17から消費電力を送信しているが、これに限られることはなく、分電盤11からコントロールサーバ20等に対して消費電力を送信しても良い。同様に、供給中の充電電力を分電盤11からコントロールサーバ20等に送信しても良い。また、前述の説明では、現在時刻に充電時間を加算して得られる充電終了時刻をモニタ21に表示しているが、このように充電時間を時刻形式で表示するだけでなく、充電時間(充電終了迄の残り時間)をそのままモニタ21に表示しても良い。
【0035】
なお、図示する電動車両18は、駆動源としてモータジェネレータ31のみを備えた電動車両であるが、駆動源としてモータジェネレータ31およびエンジンを備えたハイブリッド型の電動車両であっても良い。また、蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等のバッテリ30を採用しているが、これに限られることはなく、蓄電デバイスとして、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタを用いても良い。
【符号の説明】
【0036】
10 電力供給システム
17 電気機器
18 電動車両
20 コントロールサーバ(電力調整手段,時間算出手段,時間表示手段)
21 モニタ(表示機器)
30 バッテリ(蓄電デバイス)
43 車載充電器(電力調整手段)
48 車両制御ユニット(電力調整手段)
70 充電ケーブル(充電アダプタ)
71 電力変換部(電力調整手段)
72 制御部(電力調整手段,時間算出手段,時間表示手段)
80 充電アダプタ
83 電力変換部(電力調整手段)
84 制御部(電力調整手段,時間算出手段,時間表示手段)
90 電力変換部(電力調整手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイスを備える電動車両に充電電力を供給するとともに、その他の電気機器に電力を供給する電力供給システムであって、
前記電気機器の作動状態に基づいて、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を増減させる電力調整手段を有し、
前記電力調整手段は、前記電気機器の消費電力が所定値を上回る場合に、前記電気機器の作動状態を維持したまま、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を引き下げることを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
請求項1記載の電力供給システムにおいて、
前記蓄電デバイスに供給される充電電力に基づいて、前記蓄電デバイスが所定の充電状態に達するまでの充電時間を算出する時間算出手段と、
前記時間算出手段によって算出された充電時間を表示機器に表示する時間表示手段とを有し、
前記時間表示手段は、表示中の充電時間を所定値以上延長する充電時間が算出されるまで、表示中の充電時間を継続して前記表示機器に表示することを特徴とする電力供給システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の電力供給システムにおいて、
前記電力調整手段は、前記電気機器の予約作動情報を受信した場合に、予約された前記電気機器が作動を開始するまで、充電電力を引き上げることを特徴とする電力供給システム。
【請求項4】
電気機器に電力を供給する電力供給システムに接続して使用され、前記電力供給システムから供給される充電電力によって充電される蓄電デバイスを備える電動車両であって、
前記電気機器の作動状態に基づいて、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を増減させる電力調整手段を有し、
前記電力調整手段は、前記電気機器の消費電力が所定値を上回る場合に、前記電気機器の作動状態を維持したまま、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を引き下げることを特徴とする電動車両。
【請求項5】
請求項4記載の電動車両において、
前記蓄電デバイスに供給される充電電力に基づいて、前記蓄電デバイスが所定の充電状態に達するまでの充電時間を算出する時間算出手段と、
前記時間算出手段によって算出された充電時間を表示機器に表示する時間表示手段とを有し、
前記時間表示手段は、表示中の充電時間を所定値以上延長する充電時間が算出されるまで、表示中の充電時間を継続して前記表示機器に表示することを特徴とする電動車両。
【請求項6】
請求項4または5記載の電動車両において、
前記電力調整手段は、前記電気機器の予約作動情報を受信した場合に、予約された前記電気機器が作動を開始するまで、充電電力を引き上げることを特徴とする電動車両。
【請求項7】
電気機器に電力を供給する電力供給システムに接続して使用され、前記電力供給システムから電動車両の蓄電デバイスに充電電力を供給する充電アダプタであって、
前記電気機器の作動状態に基づいて、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を増減させる電力調整手段を有し、
前記電力調整手段は、前記電気機器の消費電力が所定値を上回る場合に、前記電気機器の作動状態を維持したまま、前記蓄電デバイスに供給する充電電力を引き下げることを特徴とする充電アダプタ。
【請求項8】
請求項7記載の充電アダプタにおいて、
前記蓄電デバイスに供給される充電電力に基づいて、前記蓄電デバイスが所定の充電状態に達するまでの充電時間を算出する時間算出手段と、
前記時間算出手段によって算出された充電時間を表示機器に表示する時間表示手段とを有し、
前記時間表示手段は、表示中の充電時間を所定値以上延長する充電時間が算出されるまで、表示中の充電時間を継続して前記表示機器に表示することを特徴とする充電アダプタ。
【請求項9】
請求項7または8記載の充電アダプタにおいて、
前記電力調整手段は、前記電気機器の予約作動情報を受信した場合に、予約された前記電気機器が作動を開始するまで、充電電力を引き上げることを特徴とする充電アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−70507(P2013−70507A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207145(P2011−207145)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】