説明

電力分配装置

【課題】電力分配装置において、全ての機器に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、定格を越える電力供給が生ずる虞を低減させる。
【解決手段】本発明に係る電力分配装置20は、入力レセプタクル22で受電した電力が供給される複数の出力レセプタクル21と、出力レセプタクル21に流れる電流を各々検出する電流検出用トランス29と、出力レセプタクル21への電力供給路を駆動状態で構成し非駆動状態で遮断する複数のリレー24と、リレー24を駆動する電界効果トランジスタ28と、電界効果トランジスタ28を制御する制御装置27とを備え、制御装置27は、全ての出力レセプタクル21の供給電力の総和が許容値を越えていると判定した場合には、負荷機器30へ電力を供給している出力レセプタクル21のいずれかに対応するリレー24を非駆動制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を機器に分配する電力分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信技術の発展により、例えば各種コンピュータ(メインフレーム、サーバー等)やデータ通信装置等が設置されて運用されるIDS(インターネットデータセンター)等の情報通信設備においては、必要とされる電力量も増大の一途をたどっており、その消費電力の抑制が課題となっている。情報通信設備において各機器に電力を給電するシステムとしては、一般的に交流給電システムが採用されている。交流給電システムにおいては、まず商用交流電力が直流電力に変換され、情報通信設備のUPS(無停電電源システム)のバッテリに充電される。またその直流電力は、AC100〜200Vの交流電力に変換されて各機器に分配される。各機器は、分配された交流電力を直流電力に変換し、さらにその直流電力を所望の電圧の直流電力に変換する。つまり交流給電システムにおいては、合計4回の電力変換が必要になるため、電力変換による電力損失が大きいという課題がある。
【0003】
近年は、情報通信設備における消費電力を削減するために、高電圧直流給電(HVDC)技術を用いた直流給電システムが注目されつつある。直流給電システムは、商用交流電力を直流電力に変換した後、その直流電力をそのまま各機器に分配するため、電力変換の回数は2回で済むことになる。つまり直流給電システムは、交流給電システムと比較して、電力を変換する回数を少なくすることができるため、電力変換時の損失が減少し、電力の利用効率を向上させることができる(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−118173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような給電システムにおいては、電力を各機器に分配する電力分配装置(Power Distribution Unit:PDU)が用いられる。一般的に電力分配装置には、受電した電力を複数の機器に分配する複数のレセプタクル(配電部)が設けられている。各機器は、電源ケーブルのプラグを電力分配装置のレセプタクルに接続することによって、電力分配装置から電力の供給を受ける。
【0006】
従来の電力分配装置は、仕様上の定格を越える電力供給を回避する手段を備えていないため、定格を越える電力供給に起因した異常発熱等が生ずる虞がある。この場合、例えば電力分配装置の受電側にブレーカー等(配線用遮断器)を設ければ、電力分配装置の定格を越える電力供給を回避することができる。しかしながら電力分配装置の受電側にブレーカー等(配線用遮断器)を設けると、電力分配装置の定格を越える電力供給が発生したときに、全ての機器に対する電力供給が一斉に遮断されてしまうことになるため、利便性の面で課題が生ずることになる。
【0007】
このような状況に鑑み本発明はなされたものであり、その目的は、電力分配装置において、全ての機器に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、定格を越える電力供給が生ずる虞を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、電力を受電する受電部と、前記受電部で受電した電力が供給される複数の配電部と、複数の前記配電部に流れる電流を各々検出する電流検出回路と、前記配電部の各々に対応して設けられ、前記受電部で受電した電力の前記配電部への供給路を駆動状態で構成し非駆動状態で遮断する複数のリレーと、前記リレーの各々に対応して設けられ、前記リレーを駆動する複数のリレー駆動回路と、前記リレー駆動回路を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記配電部から機器への電力供給を前記配電部に流れる電流に基づいて前記配電部ごとに検出する手段と、全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えているか否かを判定し、全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えていると判定した場合には、機器へ電力を供給している前記配電部のいずれかに対応する前記リレーを非駆動制御する手段と、を含む、ことを特徴とした電力分配装置である。
【0009】
ここで許容値とは、電力分配装置の仕様上の定格電力を越える電力供給が生ずる虞を低減させる観点から定められる閾値であり、例えば電力分配装置の仕様上の定格電力の値又はこれに基づいて定められる一定の値である。
【0010】
全ての配電部の供給電力の総和は、受電電力の電圧と配電部に流れる電流との積から各配電部の供給電力を求め、これらを合算することによって得ることができる。そして制御装置は、全ての配電部の供給電力の総和が許容値を越えていると判定した場合に、機器へ電力を供給している配電部のいずれかに対応するリレーを非駆動制御する。それによっていずれか一の配電部から機器への電力供給だけが遮断されることになるので、他の配電部に接続されている機器の電力供給を継続しつつ、全ての配電部の供給電力の総和を低下させることができる。したがって全ての機器に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、全ての配電部の供給電力の総和が許容値を越えない状態を維持することができる。
【0011】
これにより本発明の第1の態様によれば、電力分配装置において、全ての機器に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、定格を越える電力供給が生ずる虞を低減させることができるという作用効果が得られる。
【0012】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記制御装置は、全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えているか否かを定期的に判定する、ことを特徴とした電力分配装置である。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、全ての配電部の供給電力の総和が許容値を越えているか否かを定期的に判定して、全ての配電部の供給電力の総和が許容値を越えない状態を維持するので、定格を越える電力供給が生ずる虞を継続的に低減させることができる。
【0014】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、前述した本発明の第1の態様又は第2の態様において、前記制御装置は、いずれかの前記配電部において機器への電力供給の開始を検出したことを条件として、全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えているか否かを判定し、全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えていると判定した場合には、機器への電力供給の開始を検出した前記配電部に対応する前記リレーを非駆動制御する、ことを特徴とした電力分配装置である。
【0015】
制御装置は、いずれかの配電部において機器への電力供給の開始を検出したときに、全ての配電部の供給電力の総和が許容値を越えているか否かを判定する。つまりいずれかの配電部において機器への電力供給が開始されたことに起因して、全ての配電部の供給電力の総和が許容値を越えるに至ったか否かを判定する。
【0016】
ここで機器への電力供給の開始とは、例えば配電部に機器が接続されることによって、その配電部から機器への電力供給が開始された場合が該当し、また例えば配電部に接続されている機器の電源スイッチを入れることによって、その配電部から機器への電力供給が開始された場合が該当する。
【0017】
そして全ての配電部の供給電力の総和が許容値を越えていると判定した場合には、機器への電力供給の開始を検出した配電部に対応するリレーを非駆動制御する。それによって当該配電部から機器への電力供給だけが遮断されることになるので、全ての配電部の供給電力の総和が許容値を越える状態を回避しつつ、他の配電部に接続されている機器への電力供給をそのまま継続することができる。つまり既に電力分配装置から電力が供給されて稼働している状態にある機器に何ら影響を及ぼすことなく、定格を越える電力供給が生ずる虞を低減させることができる。
【0018】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、前述した本発明の第1〜第3の態様のいずれかにおいて、前記制御装置は、機器への電力供給を検出していない前記配電部に対し、当該配電部に対応する前記リレーの非駆動制御を維持するとともに当該リレーを定期的に一定時間だけ駆動制御する手段をさらに含む、ことを特徴とした電力分配装置である。
このような特徴によれば、機器への電力供給を検出していない配電部は、受電部からの電力供給が遮断された状態が維持されるので、例えば機器が接続されていない配電部に人体や工具等が接触して感電等の事故が生ずる虞を低減させることができる。また受電部からの電力供給が遮断された状態の配電部に対応するリレーを定期的に一定時間だけ駆動制御することによって、そのときに電流が流れるか否かで、その配電部に対する機器の接続を検出することができる。したがって受電部からの電力供給が遮断された状態の配電部に機器が接続されたときに、受電部からその配電部への電力供給を開始して維持することができる。
【0019】
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、前述した本発明の第1〜第4の態様のいずれかにおいて、外部装置と前記制御装置との通信インタフェース機能を有する通信装置をさらに備える、ことを特徴とした電力分配装置である。
このような特徴によれば、前述した本発明の第1〜第4の態様のいずれかによる作用効果に加えて、さらに外部装置からの遠隔操作によって、各配電部から機器への電力供給を個々に制御することが可能になる。
【0020】
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、前述した本発明の第5の態様において、前記制御装置は、外部装置から全リレー駆動要求を受信したことを条件として、時間差をもって複数の前記リレーの駆動制御を順次実行する手段をさらに含む、ことを特徴とした電力分配装置である。
【0021】
外部装置から全リレー駆動要求を受信して配電部に接続された機器への電力供給を開始するときには、電力供給の開始直後に、その機器への突入電流による大きな電力消費が瞬間的に生ずることがある。そのため仮に複数のリレーを同時に駆動して複数の機器への電力供給を同時に開始した場合、極めて大きな電力消費が瞬間的に発生する可能性があり、例えば受電部へ電力を供給する電源装置(商用交流電力を直流電力に変換する電力変換装置等)が過電流保護機能等によって停止してしまう虞が生ずる。
【0022】
本発明の第6の態様においては、外部装置から全リレー駆動要求を受信して配電部に接続された機器への電力供給を開始するときに、時間差をもって複数の前記リレーの駆動制御を順次実行するので、極めて大きな電力消費が瞬間的に発生することを未然に防止することができる。したがって本発明の第6の態様によれば、例えば電力分配装置の受電部へ電力を供給する電源装置が過電流保護機能等によって停止してしまう虞を低減させることができるので、それに起因して全ての機器に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう虞を低減させることができる。
【0023】
<本発明の第7の態様>
本発明の第7の態様は、前述した本発明の第1〜第6の態様のいずれかにおいて、前記受電部で受電した第1直流電圧の直流電力の電圧を第1直流電圧より低い第2直流電圧に変換する直流電圧変換装置をさらに備え、前記リレー駆動回路は、前記直流電圧変換装置が出力する第2直流電圧で前記リレーを駆動する、ことを特徴とした電力分配装置である。
【0024】
直流給電システムにおいて機器のプラグを配電部から取り外す際には、その配電部に対応するリレーを非駆動制御し、その配電部への直流電力の供給を遮断した状態で行うことによって、機器のプラグと配電部との間に持続的にアークが発生することを未然に防止することができる。そして受電した直流電力の電圧を第1直流電圧より低い第2直流電圧に変換する直流電圧変換装置を設け、その第2直流電圧でリレーを駆動する構成とすることによって、リレー駆動回路で持続的にアークが発生する虞を低減させることができる。
【0025】
これにより本発明の第7の態様によれば、直流給電システムにおいて、機器のプラグを配電部から取り外す際に持続的にアークが発生する虞が少ない電力分配装置を提供することができる。
【0026】
<本発明の第8の態様>
本発明の第8の態様は、前述した本発明の第7の態様において、前記リレー駆動回路は、前記制御装置による前記リレーの駆動制御にかかわらず、手動操作によって前記リレーを非駆動状態にするスイッチをさらに含む、ことを特徴とした電力分配装置である。
本発明の第8の態様によれば、機器のプラグを配電部から取り外す際には、その配電部に対応するスイッチを操作し、その配電部に対応するリレーを非駆動状態にしてから行うことによって、機器のプラグと配電部との間に持続的にアークが発生することを未然に防止することができる。
【0027】
<本発明の第9の態様>
本発明の第9の態様は、前述した本発明の第7の態様又は第8の態様において、前記リレー駆動回路は、前記リレーが駆動状態であるときに点灯する表示灯をさらに含む、ことを特徴とした電力分配装置である。
配電部に対する機器のプラグの挿抜を行う操作者は、その配電部に対応するリレーの駆動状態、すなわちその配電部が受電部から直流電力が供給されている状態であるか否かを表示灯で視覚的に確実に認識することができる。したがって本発明の第9の態様によれば、操作者が誤って、直流電力が供給されている配電部から機器のプラグを取り外してしまう虞を低減させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電力分配装置において、全ての機器に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、定格を越える電力供給が生ずる虞を低減させることができるという作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】直流給電システムの概略構成図。
【図2】カバーを外して内部が視認可能な状態の電力分配装置の平面図。
【図3】電力分配装置の正面図。
【図4】電力分配装置の回路図。
【図5】制御装置による配電制御手順の第1実施例を図示したフローチャート。
【図6】制御装置による配電制御手順の第2実施例を図示したフローチャート。
【図7】制御装置による配電制御手順の第3実施例を図示したフローチャート。
【図8】制御装置による配電制御手順の第4実施例を図示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、本発明は、以下説明する実施例に特に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【0031】
<直流給電システム>
給電システムの一例としての直流給電システム100の構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は、直流給電システム100の概略構成図である。
【0032】
直流給電システム100は、例えば各種コンピュータ(メインフレーム、サーバー等)やデータ通信装置等が設置されて運用されるIDS等の情報通信設備に設置される給電システムである。直流給電システム100は、電源システム10、電力分配装置(PDU)20及び複数の負荷機器30で構成されている。
【0033】
電源システム10は、AC/DCコンバータ11、充電器12、バッテリ13及びDC−DCコンバータ14を備えている。
AC/DCコンバータ11は、AC200Vの商用交流電力をDC250V〜400Vの直流電力に変換する電力変換装置である。AC/DCコンバータ11が出力する直流電力は、電力分配装置20へ出力されるとともに、充電器12へ出力される。充電器12は、AC/DCコンバータ11が出力する直流電力の一部をバッテリ13に充電する。バッテリ13に充電された電力は、例えば商用交流電力の停電時に、DC−DCコンバータ14を介して電力分配装置20へ出力される。DC−DCコンバータ14は、バッテリ13の出力電圧をDC250V〜400Vに変換して電力分配装置20へ出力する。
【0034】
電力分配装置20は、複数の出力レセプタクル21を備えており、その複数の出力レセプタクル21を介して、電源システム10から受電したDC250V〜400Vの直流電力を複数の負荷機器30に分配する。電力分配装置20の構成については後述する。
【0035】
負荷機器30は、例えばメインフレームやサーバー等の情報通信装置である。負荷機器30は、プラグ31が先端に設けられた電源ケーブル32及びDC−DCコンバータ33を備えている。負荷機器30は、電力分配装置20の出力レセプタクル21にプラグ31を嵌合させることによって、DC250V〜400Vの直流電力が電源ケーブル32を介してDC−DCコンバータ33へ供給される。DC−DCコンバータ33は、電力分配装置20から分配されたDC250V〜400Vの直流電力をその負荷機器30に対応する直流電圧(例えばDC48V)に変換する。負荷機器30は、DC−DCコンバータ33が出力する直流電圧で動作する。
【0036】
<電力分配装置(PDU)>
本発明に係る電力分配装置20の構成について、図2〜図4を参照しながら説明する。
図2は、カバーを外して内部が視認可能な状態の電力分配装置20の平面図である。図3は、電力分配装置20の正面図である。図4は、電力分配装置20の回路図である。
【0037】
電力分配装置20は、複数の出力レセプタクル21、入力レセプタクル22、DC−DCコンバータ23、複数のリレー24、複数のスイッチ25及び複数のLED表示灯26を備えており、これらが筐体2に収容されて構成されている。
【0038】
「配電部」としての出力レセプタクル21は、電源システム10が出力するDC250V〜400Vの直流電力を負荷機器30へ分配するものであり、負荷機器30のプラグ31が嵌合する開口部が筐体2の前面に露出した状態で配設されている。「受電部」としての入力レセプタクル22は、電源システム10が出力するDC250V〜400Vの直流電力を受電する。入力レセプタクル22で受電した直流電力は、複数の出力レセプタクル21へ供給される。「直流電圧変換装置」としてのDC−DCコンバータ23は、入力レセプタクル22で受電したDC250V〜400Vの直流電力の電圧(第1の直流電圧)を、それより低い例えばDC12V(第2直流電圧)に変換する。
【0039】
リレー24は、複数の出力レセプタクル21に個々に対応して複数設けられている。リレー24は、直列に接続された2つの駆動コイルL1、L2、独立した2つの接点SS1、SS2を含む。接点SS1は、出力レセプタクル21への直流電力供給経路の+側に直列に接続されている。接点SS2は、出力レセプタクル21への直流電力供給経路の−側(GND側)に直列に接続されている。つまりリレー24は、入力レセプタクル22で受電したDC250V〜400Vの直流電力の出力レセプタクル21への供給を接点SS1、SS2でON/OFF可能に設けられている。
【0040】
2つの駆動コイルL1、L2に直流電圧が印加されていない非駆動状態では、リレー24は、2つの接点SS1、SS2が開いてOFFした状態となる。そしてリレー24は、DC−DCコンバータ23が出力するDC12Vの直流電圧が2つの駆動コイルL1、L2に印加されることによって駆動され、それによって2つの接点SS1、SS2が閉じてONした状態となる。このリレー24は、接点SS1、SS2にアークが発生して接点SS1、SS2に損傷等が生ずる虞を低減させる観点から、接点SS1、SS2に生ずるアークを消弧する機構を備えた公知の直流高電圧リレーを用いるのが好ましい。
【0041】
「リレー駆動回路」を構成するスイッチ25は、複数のリレー24に個々に対応して複数設けられており、筐体2の前面に露出した状態で手動操作可能に配設されている。スイッチ25は、リレー24の駆動コイルL2とDC−DCコンバータ23のGND端子との間に直列に接続されている。リレー24に対するDC−DCコンバータ23の出力電圧(第2直流電圧:例えばDC12V)の印加は、このスイッチ25を操作することによってON/OFFすることができる。つまりスイッチ25を操作することによって、リレー24をON/OFFすることができ、それによって出力レセプタクル21への直流電力の供給をON/OFFすることができる。
【0042】
「表示灯」としてのLED表示灯26は、複数のスイッチ25に個々に対応して複数設けられており、筐体2の前面に露出した状態で点灯状態を前面から視認可能に配設されている。LED表示灯26は、LED(発光ダイオード)を含み、DC−DCコンバータ23の出力端子の+側にLEDのアノード端子が接続され、リレー24の駆動コイルL2にLEDのカソード端子が接続されている。つまりLED表示灯26は、スイッチ25がONされてリレー24が駆動状態(ON状態)であるときに点灯する。したがって出力レセプタクル21に対する負荷機器30のプラグ31の挿抜を行う操作者は、リレー24の駆動状態、すなわちDC250V〜400Vの直流電力が出力レセプタクル21へ供給されている状態であるか否かをLED表示灯26で視覚的に確実に認識することができる。
【0043】
このような構成の本発明に係る電力分配装置20において、出力レセプタクル21から負荷機器30のプラグ31を取り外す際には、スイッチ25を操作してリレー24をOFFし、出力レセプタクル21への直流電力の供給を遮断した状態で行う。それによって出力レセプタクル21とプラグ31との間に持続的にアークが発生することを未然に防止することができる。そして本発明に係る電力分配装置20は、電源システム10から受電したDC250V〜400Vの直流電力の電圧(第1直流電圧)をより低い例えばDC12V(第2直流電圧)に変換するDC−DCコンバータ23が設けられており、その低い電圧でリレー24を駆動する構成となっている。それによってリレー24をON/OFFさせるスイッチ25で持続的にアークが発生する虞を低減させることができる。
【0044】
さらに本発明に係る電力分配装置20は、制御装置27、電界効果トランジスタ(FET)28及び電流検出用トランス(カレントトランス)29を備えており、これらが筐体2に収容されて構成されている。
【0045】
制御装置27は、いわゆるマイコン制御装置やPLC(Programmable Logic Controller:プログラマブル・ロジック・コントローラ)であり、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)271、リレードライバー272、通信インタフェース273及び電流検出部274を含む。
【0046】
CPU271は、ROM(図示せず)等に予め記憶された制御プログラムを実行する。リレードライバー272は、電界効果トランジスタ28をON/OFFしてリレー24をON/OFFする回路である。「通信装置」としての通信インタフェース273は、例えばRS232C等のシリアルインタフェース、イーサネット(登録商標)とTCP/IPプロトコルを用いた有線LAN、IEEE802.11規格に準拠した無線LAN、ADSL、光通信回線等により、遠隔地にある外部装置40と電力分配装置20制御装置27との通信インタフェース機能を実現する。電流検出部274は、電流検出用トランス29の出力信号が入力される。
【0047】
「リレー駆動回路」を構成する電界効果トランジスタ28は、複数のリレー24に個々に対応して複数設けられており、リレー24の駆動コイルL2とスイッチ25との間に直列に接続されている。より具体的には電界効果トランジスタ28は、ドレイン端子がリレー24の駆動コイルL2に接続され、ソース端子がスイッチ25に接続され、ゲート端子がリレードライバー272に接続されている。リレー24に対するDC−DCコンバータ23の出力電圧(例えばDC12V)の印加は、スイッチ25がON状態(スイッチ25の接点が構成されている状態)では、この電界効果トランジスタ28をON/OFF制御することによってON/OFFすることができる。つまりスイッチ25がON状態のときにおいては、電界効果トランジスタ28をON/OFF制御することによって、リレー24をON/OFFすることができ、それによって出力レセプタクル21への直流電力の供給をON/OFFすることができる。この電界効果トランジスタ28は、これに代えて、例えばバイポーラトランジスタ、電磁リレー、ソリッドステートリレー等を用いてもよい。
【0048】
「電流検出回路」としての電流検出用トランス29は、複数の出力レセプタクル21に個々に対応して複数設けられ、リレー24の接点SS1と出力レセプタクル21の+端子との間の配線に直列に設けられており、出力レセプタクル21に流れる電流を検出する。この「電流検出回路」は、電流検出用トランス29に代えて、例えばシャント抵抗器等を用いてもよい。
【0049】
このような構成の本発明に係る電力分配装置20は、出力レセプタクル21への電力供給をON/OFF可能なリレー24を駆動する電界効果トランジスタ28が設けられており、さらにリレー駆動回路を制御する制御装置27を設けられていることによって、種々の条件に応じて出力レセプタクル21への電力供給のON/OFFを自動的に制御することが可能になる。したがって本発明に係る電力分配装置20によれば、種々の条件に応じて負荷機器30への配電を自動的にON/OFF制御することができる。
【0050】
また本発明に必須の構成要素ではないが、本発明に係る電力分配装置20は、上記説明したように制御装置27に通信インタフェース273を設けるのが好ましい。それによって外部装置40からの遠隔操作によって負荷機器30へ配電をON/OFF制御することが可能になる。
【0051】
さらに制御装置27は、CPU271が実行する制御プログラムによって、例えば以下のような制御を実行する。
制御装置27は、例えば外部装置40から全リレー駆動要求を受信したことを条件として、時間差をもって複数のリレー24の駆動制御(リレー24をONする制御)を順次実行する。より具体的には制御装置27は、通信インタフェース273を介して外部装置40からの全リレー駆動要求をCPU271が受信したときに、複数のリレー24を全て同時に駆動せずに、例えば2〜3秒間隔で複数のリレー24の駆動制御を順次実行する。それによって、リレー24のON時に出力レセプタクル21に突入電流が流れるタイミングを複数の出力レセプタクル21間でずらすことができる。つまり複数の出力レセプタクル21に同時に突入電流が流れることを防止することができる。それによって極めて大きな電力消費が瞬間的に発生することを未然に防止することができる。したがって例えば、入力レセプタクル22へ電力を供給する電源システム10が過電流保護機能等によって停止してしまう虞を低減させることができるので、それに起因して全ての負荷機器30に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう虞を低減させることができる。
尚、上記の時間差は、任意の時間に設定することができるが、極めて大きな電力消費が瞬間的に発生することを未然に防止する観点から、リレー24のON時に出力レセプタクル21に突入電流が流れる時間を考慮して設定するのが好ましく、例えばリレー24のON時に出力レセプタクル21に突入電流が流れる時間よりも長い時間に設定するのがより好ましい。
【0052】
<配電制御の第1実施例>
制御装置27による配電制御の第1実施例について、図5を参照しながら説明する。
図5は、制御装置27による配電制御手順の第1実施例を図示したフローチャートである。
【0053】
当該フローチャートに図示した手順は、定周期で繰り返し実行される手順である。以下、電力分配装置20に設けられている出力レセプタクル21及びリレー24の数をN個とし、出力レセプタクル21及びこれに対応するリレー24に各々1〜Nの番号を付与して説明することし、後述する配線制御手順の他の実施例についても同様とする。
【0054】
まず制御装置27が内部に保持している積算値をリセット(積算値=0)する(ステップS1)。ここで積算値とは、出力レセプタクル21から負荷機器30へ供給されている電力を出力レセプタクル21ごとに検出し、それを積算した値である。この出力レセプタクル21から負荷機器30へ供給されている電力は、入力レセプタクル22が受電している直流電力の電圧(DC250V〜400V)に出力レセプタクル21に流れる電流を乗算して得ることができる。
【0055】
つづいて制御装置27が内部に保持しているカウント値nを初期値(n=1)に設定する(ステップS2)。このカウント値nは、出力レセプタクル21及びこれに対応するリレー24に付与された番号に対応する。
【0056】
つづいてカウント値nに対応する番号のリレー24(リレー(n))が動作中か否かを判定する(ステップS3)。つまりカウント値nに対応する番号の出力レセプタクル21から負荷機器30へ電力供給がされているか否かを判定する。カウント値nに対応する番号のリレー24が動作中か否かは、当該リレー24の制御状態又は当該リレー24に対応する出力レセプタクル21に電流が流れているか否かで特定することができる。カウント値nに対応する番号のリレー24が動作中でない場合には(ステップS3でNo)、そのままカウント値nをインクリメント(n=n+1)する(ステップS7)。
【0057】
カウント値nに対応する番号のリレー24が動作中である場合には(ステップS3でYes)、つまりカウント値nに対応する出力レセプタクル21から負荷機器30へ電力供給がされている場合には、当該リレー24に対応する出力レセプタクル21の電力を測定する(ステップS4)。つづいて測定した電力値(測定値)と積算値とを合算した電力値が許容電力(許容値)以下か否かを判定する(ステップS5)。ここで許容電力は、電力分配装置20の仕様上の定格電力を越える電力供給が生ずる虞を低減させる観点から定められる閾値であって、例えば電力分配装置20の仕様上の定格電力の値又はこれに基づいて定められる一定の値であり、後述する配電制御手順の他の実施例についても同様である。
【0058】
測定値と積算値とを合算した電力値が許容電力以下である場合には(ステップS5でYes)、その測定値を積算値に積算し(ステップS6)、カウント値nをインクリメント(n=n+1)する(ステップS7)。つづいてインクリメント後のカウント値nがN以下であるか否かを判定する(ステップS8)。インクリメント後のカウント値nがN以下である場合には(ステップS8でYes)、ステップS3へ戻り、インクリメント後のカウント値nがNを越えた時点で(ステップS8でNo)、つまり全ての出力レセプタクル21の供給電力の総和が許容電力以下である場合には、そのまま当該手順を終了する。
【0059】
他方、ステップS5において測定値と積算値とを合算した電力値が許容電力を越えている場合には(ステップS5でNo)、すなわちカウント値1〜nに対応する番号の出力レセプタクル21の供給電力の総和が許容電力を越えていると判定した場合には、それ以降の全てのリレー24を非駆動制御とし(ステップS9)、そのまま当該手順を終了する。つまりカウント値n〜Nに対応する番号のリレー24を全て非駆動制御とすることによって、カウント値n〜Nに対応する番号の出力レセプタクル21からの電力供給を遮断する。それによって他の出力レセプタクル21に接続されている負荷機器30の電力供給を継続しつつ、全ての出力レセプタクル21の供給電力の総和を低下させることができる。したがって全ての負荷機器30に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、全ての出力レセプタクル21の供給電力の総和が許容電力を越えない状態を維持することができる。
【0060】
このようにして本発明によれば、全ての負荷機器30に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、定格を越える電力供給が生ずる虞を低減させることができる。
【0061】
<配電制御の第2実施例>
制御装置27による配電制御の第2実施例について、図6を参照しながら説明する。
図6は、制御装置27による配電制御手順の第2実施例を図示したフローチャートである。
【0062】
当該フローチャートに図示した手順は、定周期で繰り返し実行される手順である。またステップS11〜S18の手順については、第1実施例のステップS1〜S8(図5)と同じであるため詳細な説明を省略する。
【0063】
第2実施例の配電制御手順では、ステップS15において測定値と積算値とを合算した電力値が許容電力を越えている場合には(ステップS15でNo)、すなわちカウント値1〜nに対応する番号の出力レセプタクル21の供給電力の総和が許容電力を越えていると判定した場合には、そのときのカウント値nに対応するリレー24(リレー(n))を非駆動制御とする(ステップS19)。つづいてカウント値nをインクリメントし(ステップS17)、インクリメント後のカウント値nがN以下であるか否かを判定する(ステップS18)。インクリメント後のカウント値nがN以下である場合には(ステップS18でYes)、ステップS13へ戻り、インクリメント後のカウント値nがNを越えた時点で(ステップS18でNo)当該手順を終了する。
【0064】
つまり第2実施例の配電制御手順は、カウント値1〜nに対応する番号の出力レセプタクル21の供給電力の総和が許容電力を越えていると判定した場合には、そのときのカウント値nに対応する番号のリレー24だけを非駆動制御とすることによって、そのときのカウント値nに対応する番号の出力レセプタクル21からの電力供給だけを遮断する。それによって他の出力レセプタクル21に接続されている負荷機器30の電力供給を継続しつつ、全ての出力レセプタクル21の供給電力の総和を低下させることができる。したがって全ての負荷機器30に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、全ての出力レセプタクル21の供給電力の総和が許容電力を越えない状態を維持することができる。
【0065】
このようにして本発明によれば、全ての負荷機器30に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、定格を越える電力供給が生ずる虞を低減させることができる。
【0066】
<配電制御の第3実施例>
制御装置27による配電制御の第3実施例について、図7を参照しながら説明する。
図7は、制御装置27による配電制御手順の第3実施例を図示したフローチャートである。
【0067】
当該フローチャートに図示した手順は、定周期で繰り返し実行される手順である。
【0068】
まずいずれかの出力レセプタクル21から負荷機器30への電力供給が開始されたか否かを検出する(ステップS21)。ここで負荷機器30への電力供給の開始とは、例えば出力レセプタクル21に機器が接続されることによって、その出力レセプタクル21からその負荷機器30への電力供給が開始された場合が該当し、また例えば出力レセプタクル21に接続されている負荷機器30の電源スイッチを入れることによって、その出力レセプタクル21からその負荷機器30への電力供給が開始された場合が該当する。いずれかの出力レセプタクル21から負荷機器30への電力供給が開始されたか否かの検出は、例えば、全ての出力レセプタクル21の電流の有無を毎回検出して記憶し、前回検出時の電流の有無と今回検出時の電流の有無とを対比することによって検出することができる。
【0069】
いずれかの出力レセプタクル21から負荷機器30への電力供給が開始されたことを検出しなかった場合には(ステップS21でNo)、そのまま当該手順を終了する。いずれかの出力レセプタクル21から負荷機器30への電力供給が開始されたことを検出した場合には(ステップS21でYes)、その出力レセプタクル21に付与された番号xを記憶して保持する。以下、負荷機器30への電力供給が開始されたことを検出した出力レセプタクル21をレセプタクル(x)、これに対応するリレー24をリレー(x)とする。
【0070】
つづいて制御装置27が内部に保持している積算値をリセット(積算値=0)し(ステップS22)、さらに制御装置27が内部に保持しているカウント値nを初期値(n=1)に設定する(ステップS23)。つづいてカウント値nがN以下であるか否かを判定する(ステップS24)。
【0071】
カウント値nがN以下である場合には(ステップS24でYes)、つづいてカウント値nに対応する番号のリレー24(リレー(n))が動作中か否かを判定する(ステップS25)。つまりカウント値nに対応する番号の出力レセプタクル21から負荷機器30へ電力供給がされているか否かを判定する。カウント値nに対応する番号のリレー24が動作中でない場合には(ステップS25でNo)、そのままカウント値nをインクリメント(n=n+1)する(ステップS28)。
【0072】
カウント値nに対応する番号のリレー24が動作中である場合には(ステップS25でYes)、つまりカウント値nに対応する出力レセプタクル21から負荷機器30へ電力供給がされている場合には、当該リレー24に対応する出力レセプタクル21の電力を測定し(ステップS26)、その測定値を積算値に積算する(ステップS27)。そしてカウント値nをインクリメント(n=n+1)し(ステップS28)、ステップS24へ戻る。
【0073】
インクリメント後のカウント値nがNを越えた場合には(ステップS24でNo)、すなわち全ての出力レセプタクル21の供給電力の総和となる積算値が得られた時点で、その積算値が許容電力以下か否かを判定する(ステップS29)。つまり出力レセプタクル21(レセプタクル(x))において負荷機器30への電力供給が開始されたことに起因して、全ての出力レセプタクル21の供給電力の総和が許容電力を越えるに至ったか否かを判定する。その積算値が許容電力以下である場合には(ステップS29でYes)、そのまま当該手順を終了する。
【0074】
そしてその積算値が許容電力を越えている場合には(ステップS29でNo)、レセプタクル(x)に対応するリレー24(リレー(x))を非駆動制御とし(ステップS30)、当該手順を終了する。つまり、負荷機器30への電力供給が開始されたことを検出した出力レセプタクル21(レセプタクル(x))からの電力供給を遮断する。それによって全ての出力レセプタクル21の供給電力の総和が許容電力を越える状態を回避しつつ、他の出力レセプタクル21に接続されている負荷機器30への電力供給をそのまま継続することができる。つまり既に電力分配装置20から電力が供給されて稼働している状態にある負荷機器30に何ら影響を及ぼすことなく、定格を越える電力供給が生ずる虞を低減させることができる。
【0075】
このようにして本発明によれば、全ての負荷機器30に対する電力供給が一斉に遮断されてしまう事態を生じさせることなく、定格を越える電力供給が生ずる虞を低減させることができる。
【0076】
<配電制御の第4実施例>
制御装置27による配電制御の第4実施例について、図8を参照しながら説明する。
図8は、制御装置27による配電制御手順の第4実施例を図示したフローチャートである。
【0077】
当該フローチャートに図示した手順は、定周期で繰り返し実行される手順である。
【0078】
まず制御装置27が内部に保持しているカウント値nを初期値(n=1)に設定する(ステップS31)。つづいてカウント値nに対応する番号のリレー24(リレー(n))が動作中か否かを判定する(ステップS32)。つまりカウント値nに対応する番号の出力レセプタクル21から負荷機器30へ電力供給がされているか否かを判定する。カウント値nに対応する番号のリレー24が動作中である場合には(ステップS32でYes)、そのままカウント値nをインクリメント(n=n+1)する(ステップS35)。
【0079】
カウント値nに対応する番号のリレー24(リレー(n))が動作中でない場合には(ステップS32でNo)、そのカウント値nに対応する番号のリレー24(リレー(n))を一定時間だけ駆動制御し(ステップS33)、そのカウント値nに対応する番号の出力レセプタクル21から負荷機器30への電力供給があるか否かを判定する(ステップS34)。カウント値nに対応する番号の出力レセプタクル21から負荷機器30への電力供給がある場合には(ステップS34でYes)、そのままカウント値nに対応する番号のリレー24の駆動制御を維持し、カウント値nをインクリメント(n=n+1)する(ステップS35)。他方、カウント値nに対応する番号の出力レセプタクル21から負荷機器30への電力供給がない場合には(ステップS34でNo)、カウント値nに対応する番号のリレー24を非駆動制御とした後(ステップS37)、カウント値nをインクリメント(n=n+1)する(ステップS35)。
【0080】
つづいてインクリメント後のカウント値nがN以下であるか否かを判定する(ステップS36)。インクリメント後のカウント値nがN以下である場合には(ステップS36でYes)、ステップS32へ戻り、インクリメント後のカウント値nがNを越えた時点で(ステップS18でNo)、当該手順を終了する。
【0081】
当該実施例の配電制御手順によれば、負荷機器30への電力供給を検出していない出力レセプタクル21は、入力レセプタクル22からの電力供給が遮断された状態が維持されるので、例えば負荷機器30が接続されていない出力レセプタクル21に人体や工具等が接触して感電等の事故が生ずる虞を低減させることができる。また入力レセプタクル22からの電力供給が遮断された状態の出力レセプタクル21に対応するリレー24を定期的に一定時間だけ駆動制御することによって、そのときに電流が流れるか否かで、その出力レセプタクル21に対する負荷機器30の接続を検出することができる。したがって入力レセプタクル22からの電力供給が遮断された状態の出力レセプタクル21に負荷機器30が接続されたときに、入力レセプタクル22からその出力レセプタクル21への電力供給を開始して維持することができる。
【符号の説明】
【0082】
10 電源システム
11 AC/DCコンバータ
12 充電器
13 バッテリ
14 DC−DCコンバータ
20 電力分配装置
21 出力レセプタクル
22 入力レセプタクル
23 DC−DCコンバータ
24 リレー
25 スイッチ
26 表示灯
27 制御装置
28 電界効果トランジスタ
29 電流検出用トランス
30 負荷機器
40 外部装置
100 直流給電システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を受電する受電部と、
前記受電部で受電した電力が供給される複数の配電部と、
複数の前記配電部に流れる電流を各々検出する電流検出回路と、
前記配電部の各々に対応して設けられ、前記受電部で受電した電力の前記配電部への供給路を駆動状態で構成し非駆動状態で遮断する複数のリレーと、
前記リレーの各々に対応して設けられ、前記リレーを駆動する複数のリレー駆動回路と、
前記リレー駆動回路を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記配電部から機器への電力供給を前記配電部に流れる電流に基づいて前記配電部ごとに検出する手段と、
全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えているか否かを判定し、全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えていると判定した場合には、機器へ電力を供給している前記配電部のいずれかに対応する前記リレーを非駆動制御する手段と、を含む、ことを特徴とした電力分配装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電力分配装置において、前記制御装置は、全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えているか否かを定期的に判定する、ことを特徴とした電力分配装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電力分配装置において、前記制御装置は、いずれかの前記配電部において機器への電力供給の開始を検出したことを条件として、全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えているか否かを判定し、全ての前記配電部の供給電力の総和が許容値を越えていると判定した場合には、機器への電力供給の開始を検出した前記配電部に対応する前記リレーを非駆動制御する、ことを特徴とした電力分配装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電力分配装置において、前記制御装置は、機器への電力供給を検出していない前記配電部に対し、当該配電部に対応する前記リレーの非駆動制御を維持するとともに当該リレーを定期的に一定時間だけ駆動制御する手段をさらに含む、ことを特徴とした電力分配装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の電力分配装置において、外部装置と前記制御装置との通信インタフェース機能を有する通信装置をさらに備える、ことを特徴とした電力分配装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電力分配装置において、前記制御装置は、外部装置から全リレー駆動要求を受信したことを条件として、時間差をもって複数の前記リレーの駆動制御を順次実行する手段をさらに含む、ことを特徴とした電力分配装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の電力分配装置において、前記受電部で受電した第1直流電圧の直流電力の電圧を第1直流電圧より低い第2直流電圧に変換する直流電圧変換装置をさらに備え、
前記リレー駆動回路は、前記直流電圧変換装置が出力する第2直流電圧で前記リレーを駆動する、ことを特徴とした電力分配装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電力分配装置において、前記リレー駆動回路は、前記制御装置による前記リレーの駆動制御にかかわらず、手動操作によって前記リレーを非駆動状態にするスイッチをさらに含む、ことを特徴とした電力分配装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の電力分配装置において、前記リレー駆動回路は、前記リレーが駆動状態であるときに点灯する表示灯をさらに含む、ことを特徴とした電力分配装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−248330(P2012−248330A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117264(P2011−117264)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(510206213)FDKトワイセル株式会社 (36)
【Fターム(参考)】