説明

電力制御装置、画像形成装置、電力制御方法、及び電力制御プログラム

【課題】供給可能な電力が限られている条件下においても、立ち上がり時間を短縮することができる電力制御装置、方法、プログラム、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】加熱ヒータ温度検出部302、加圧ヒータ温度検出部304が、加熱ヒータ102、加圧ヒータ104の温度をそれぞれ所定間隔で検出し、温度上昇幅算出部320が、検出された複数の温度から加熱ヒータ、加圧ヒータの温度上昇幅を算出し、目標温度到達時間算出部322が、温度上昇幅から加熱ヒータ、加圧ヒータが目標温度に達するまでの時間を算出し、消費電力算出部324が、算出された時間、及び目標温度に達するまでの消費電力から加熱ヒータ、加圧ヒータの単位時間当たりの消費電力を算出し、補助・削減電力算出部326が、消費電力から加熱ヒータ、加圧ヒータに補助又は削減する電力を算出し、電力供給部306が、加熱ヒータ、加圧ヒータに算出された電力の補助又は削減を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置、画像形成装置、電力制御方法、及び電力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、熱定着によりトナー像を記録紙に定着させるプリンタや複写機などの画像形成装置のように、複数の加熱装置を備えた装置が存在する。
【0003】
このような装置では、1つの加熱装置の温度の立ち上がり時間が遅いと装置全体の立ち上がり時間が遅くなるため、通電率の増加やキャパシタからの補助電力の供給を行うことにより、加熱装置の立ち上がり時間を短縮させ、装置全体の立ち上がり時間を短縮させている(例えば、特許文献1、2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術は、電力に余裕があることを前提としたものであり、供給可能な電力が限られている条件下では、電力を追加供給できず、立ち上がり時間を短縮させることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、供給可能な電力が限られている条件下においても、立ち上がり時間を短縮することができる電力制御装置、画像形成装置、電力制御方法、及び電力制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる電力制御装置は、複数の加熱手段の温度をそれぞれ所定間隔で検出する複数の温度検出手段と、所定間隔で検出された前記加熱手段それぞれの複数の温度から、前記加熱手段それぞれの温度上昇幅を算出する温度上昇幅算出手段と、算出された温度上昇幅から、前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの時間を算出する目標温度到達時間算出手段と、算出された時間、及び前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの消費電力から、前記加熱手段それぞれの単位時間当たりの消費電力を算出する消費電力算出手段と、算出された消費電力から、前記加熱手段それぞれに補助又は削減する電力を算出する補助・削減電力算出手段と、前記加熱手段それぞれに、算出された電力の補助又は削減を行う電力供給手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の別の態様にかかる画像形成装置は、上記電力制御装置を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の別の態様にかかる電力制御方法は、温度上昇幅算出手段が、複数の温度検出手段により所定間隔で検出された複数の加熱手段それぞれの複数の温度から、前記加熱手段それぞれの温度上昇幅を算出する温度上昇幅算出ステップと、目標温度到達時間算出手段が、算出された温度上昇幅から、前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの時間を算出する目標温度到達時間算出ステップと、消費電力算出手段が、算出された時間、及び前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの消費電力から、前記加熱手段それぞれの単位時間当たりの消費電力を算出する消費電力算出ステップと、補助・削減電力算出手段が、算出された消費電力から、前記加熱手段それぞれに補助又は削減する電力を算出し、前記加熱手段それぞれに対する算出された電力の補助又は削減を電力供給手段に行わせる補助・削減電力算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の別の態様にかかる電力制御プログラムは、上記電力制御方法をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、供給可能な電力が限られている条件下においても、立ち上がり時間を短縮することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1実施形態の複写機の全体構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態の定着部の外観の一例を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態の複写機に適用された電力制御装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態の複写機に適用された電力制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図5】図5は、第1実施形態の加熱ヒータの目標温度に到達するまでの時間経過を示すグラフである。
【図6】図6は、図5の拡大図である。
【図7】図7は、第1実施形態の加熱ヒータ検出温度記憶部に記憶される情報例を示す図である。
【図8】図8は、第1実施形態の電力制御装置で行われる温度検出処理例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第1実施形態の電力制御装置で行われる電力補助・削減処理例を示すフローチャートである。
【図10−1】図10−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図10−2】図10−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図11】図11は、第1実施形態の電力制御装置で行われる電力補助・削減処理例を示すフローチャートである。
【図12−1】図12−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図12−2】図12−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図13】図13は、第2実施形態の電力制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図14】図14は、第2実施形態の画像処理ユニット起動時間記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【図15】図15は、第2実施形態の電力制御装置で行われる電力補助・削減処理例を示すフローチャートである。
【図16−1】図16−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図16−2】図16−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図17−1】図17−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図17−2】図17−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図18−1】図18−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図18−2】図18−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図19】図19は、第3実施形態の電力制御装置の機能構成例を示すブロック図である。
【図20】図20は、第3実施形態の電力制御装置で行われる電力補助・削減処理例を示すフローチャートである。
【図21】図21は、変形例の電力制御装置で行われる電力補助・削減処理例を示すフローチャートである。
【図22−1】図22−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図22−2】図22−2は、補助電力を用いた電力補助・削減処理後の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図22−3】図22−2は、補助電力を用いていない電力補助・削減処理後の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【図23−1】図23−1は、変形例の加熱ヒータ及び加圧ヒータの複数の温度上昇履歴例を示す図である。
【図23−2】図23−2は、変形例の加熱ヒータ及び加圧ヒータの複数の温度上昇履歴例を示す図である。
【図23−3】図23−3は、変形例の加熱ヒータ及び加圧ヒータの複数の温度上昇履歴例を示す図である。
【図24】図24は、変形例の加熱ヒータの目標温度に到達するまでの時間経過を示すグラフである。
【図25】図25は、図24の拡大図である。
【図26】図26は、変形例の加熱ヒータ検出温度記憶部に記憶される情報例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる電力制御装置、画像形成装置、電力制御方法、及び電力制御プログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
なお、以下の実施の形態では、電力制御装置を適用した画像形成装置として複写機を例にとり説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくともコピー機能又はプリンタ機能を有する複合機や、プリンタなどにも適用することができる。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の複写機1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0015】
複写機1は、操作パネルユニット10と、画像処理ユニット20と、画像形成ユニット30とを備える。
【0016】
画像処理ユニット20は、画像形成装置の全体制御を行う画像処理部21と、コピー原稿(画像)を読み込む画像読取部22とを備える。画像処理部21は、操作パネルユニット10と接続され、画像処理ユニット20の全体制御を行うCPU23と、画像データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)24と、外部との通信を行うネネットワーク制御部25とを備える。
【0017】
画像形成ユニット30は、汎用PCIバスで画像処理ユニット20と接続されるエンジン部31と、画像データを感光体ドラム上に書き込む画像形成部32とを備える。エンジン部31は、画像形成ユニット30の全体制御を行うCPU33と、画像形成部32のI/Oを制御するI/O制御部34とを備える。画像形成部32は、感光体ドラム上に書き込まれた画像データを転写紙などの記録媒体に定着させる定着部37を備える。
【0018】
図2は、第1の実施の形態の定着部37の外観の一例を示す図である。図2に示すように、定着部37は、加熱ヒータ102と、加圧ヒータ104とを備えており、画像データが転写された転写紙などの記録媒体を加熱ヒータ102で加熱するとともに、加圧ヒータ104で加圧することにより、画像を記録媒体上に定着させる。
【0019】
図1に戻り、操作パネルユニット10は、操作パネルユニットの全体制御を行うCPU(Central Processing Unit)11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ14と、LCD15と、VRAM(Video Random Access Memory)16と、タッチパネル17とを備える。そして、CPU11は、画像処理ユニット20との通信により、LCDコントローラ14を制御して、タッチパネル17からユーザ入力を受け付けるとともに、LCD15にVRAMに記憶されている画像を表示させ、複写機1の設定内容や状態をユーザに報知する。
【0020】
図3は、第1の実施の形態の複写機1に適用された電力制御装置100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
AC電源110から供給される直流の電源は、DC電源170で交流電源に変換され、エンジン部31や画像処理ユニット20に供給される。
【0022】
定着部37は、加熱ヒータ102を駆動させる加熱ヒータ駆動回路106と、加熱ヒータ102の温度を検出するサーミスタ112と、加圧ヒータ104を駆動させる加圧ヒータ駆動回路108と、加圧ヒータ104の温度を検出するサーミスタ114とを備える。
【0023】
エンジン部31は、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の温度検出から、定着部37に対する電力供給量を指示するまでの制御を行う。また、エンジン部31は、定着部37に対する電源制御を行う。
【0024】
図4は、第1の実施の形態の複写機1に適用された電力制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、電力制御装置100は、加熱ヒータ102と、加圧ヒータ104と、加熱ヒータ温度検出部302と、加圧ヒータ温度検出部304と、温度上昇幅算出部320と、目標温度到達時間算出部322と、消費電力算出部324と、補助・削減電力算出部326と、電力供給部306と、記憶部310と、加熱ヒータ検出温度記憶部312と、加圧ヒータ検出温度記憶部314とを含む。
【0025】
加熱ヒータ温度検出部302は、加熱ヒータ102の温度を所定間隔(例えば、200ms周期)で検出するものであり、例えば、サーミスタ112により実現できる。
【0026】
加圧ヒータ温度検出部304は、加圧ヒータ104の温度を所定間隔(例えば、200ms周期)で検出するものであり、例えば、サーミスタ114により実現できる。
【0027】
温度上昇幅算出部320は、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の温度上昇幅を算出する。具体的には、温度上昇幅算出部320は、加熱ヒータ温度検出部302により検出された温度を記憶部310の加熱ヒータ検出温度記憶部312に記憶しており、この記憶されている複数の温度を用いて、加熱ヒータ102の温度上昇幅を算出する。同様に、温度上昇幅算出部320は、加圧ヒータ温度検出部304により検出された温度を記憶部310の加圧ヒータ検出温度記憶部314に記憶しており、この記憶されている複数の温度を用いて、加圧ヒータ104の温度上昇幅を算出する。
【0028】
図5は、加熱ヒータ102の目標温度に到達するまでの時間経過を示すグラフであり、図6は、マーク500の拡大図である。図6に示すように、加熱ヒータ温度検出部302により200ms周期で加熱ヒータ102の温度が検出されるため、温度上昇幅算出部320は、この検出された温度を、例えば、図7に示すように、サンプリング時間と、温度とを対応付けて、加熱ヒータ検出温度記憶部312に記憶させる。
【0029】
そして、温度上昇幅算出部320は、このサンプリング結果から目標温度への到達時間を算出するための近似式を導き出す。例えば、図5〜図7に示す例では、[温度]=6.25×[時間]+60となる。
【0030】
目標温度到達時間算出部322は、温度上昇幅算出部320により算出された温度上昇幅から、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104が目標温度に達するまでの時間を算出する。なお、先ほど導き出した近似式を用いると、図5〜図7に示す例では、加熱ヒータ102が目標温度に達するまでの時間は、22.4秒となる。
【0031】
消費電力算出部324は、目標温度到達時間算出部322により算出された時間、及び加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104が目標温度に達するまでの消費電力から、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の単位時間当たりの消費電力を算出する。
【0032】
補助・削減電力算出部326は、消費電力算出部324により算出された消費電力から、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104に補助又は削減する電力を算出する。
【0033】
電力供給部306は、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104に、算出された電力の補助又は削減を行う。
【0034】
次に、第1の実施の形態の電力制御装置100の動作について説明する。
【0035】
図8は、第1の実施の形態の電力制御装置100で行われる温度検出処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図8に示す温度検出処理は、所定の周期(例えば、200ms周期)で繰り返し行われる。
【0036】
まず、加熱ヒータ温度検出部302は、加熱ヒータ102の温度を検出する(ステップS100)。
【0037】
続いて、温度上昇幅算出部320は、検出された加熱ヒータ102の温度を加熱ヒータ検出温度記憶部312に記憶させる(ステップS102)。
【0038】
続いて、加圧ヒータ温度検出部304は、加圧ヒータ104の温度を検出する(ステップS104)。
【0039】
続いて、温度上昇幅算出部320は、検出された加圧ヒータ104の温度を加圧ヒータ検出温度記憶部314に記憶させる(ステップS106)。
【0040】
図9は、第1の実施の形態の電力制御装置100で行われる起動時間短縮のための電力補助・削減処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0041】
まず、温度上昇幅算出部320は、加熱ヒータ検出温度記憶部312に記憶されている複数の温度から、加熱ヒータ102の温度上昇幅を算出する(ステップS110)。
【0042】
続いて、目標温度到達時間算出部322は、算出された加熱ヒータ102の温度上昇幅から目標温度に到達するまでの立ち上がり時間Tを算出する(ステップS112)。
【0043】
続いて、消費電力算出部324は、目標温度に到達するまでの加熱ヒータ102の消費電力Wと、加熱ヒータ102の立ち上がり時間Tとから、加熱ヒータ102の1秒当たりの消費電力Uを算出する(ステップS114)。なお、加熱ヒータ102の1秒当たりの消費電力Uは、U=W/Tより求められる。
【0044】
続いて、温度上昇幅算出部320は、加圧ヒータ検出温度記憶部314に記憶されている複数の温度から、加圧ヒータ104の温度上昇幅を算出する(ステップS116)。
【0045】
続いて、目標温度到達時間算出部322は、算出された加圧ヒータ104の温度上昇幅から目標温度に到達するまでの立ち上がり時間Tを算出する(ステップS118)。
【0046】
続いて、消費電力算出部324は、目標温度に到達するまでの加圧ヒータ104の消費電力Wと、加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tとから、加圧ヒータ104の1秒当たりの消費電力Uを算出する(ステップS120)。なお、加圧ヒータ104の1秒当たりの消費電力Uは、U=W/Tより求められる。
【0047】
続いて、補助・削減電力算出部326は、加熱ヒータ102の立ち上がり時間Tと加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tとを比較し、T<Tである場合には(ステップS122でYes)、加熱ヒータ102に供給する供給電力Q1を算出する(ステップS124)。なお、加熱ヒータ102への供給電力Q1は、Q1=(W+W)×U/(U+U)より求められる。
【0048】
続いて、補助・削減電力算出部326は、加圧ヒータ104の消費電力Wと加熱ヒータ102への供給電力Q1とから、加熱ヒータ102から削減する削減電力C1、及び加圧ヒータ104へ補助する補助電力A1を算出する(ステップS126)。なお、加熱ヒータ102からの削減電力C1、加圧ヒータ104への補助電力A1は、C1=A1=Q1−Wより求められる。
【0049】
続いて、電力供給部306は、算出された削減電力C1を加熱ヒータ102から削減するとともに、算出された補助電力A1を加圧ヒータ104へ補助して、電力を供給する(ステップS128)。
【0050】
一方、補助・削減電力算出部326は、ステップS122で、T<Tでない場合には(ステップS122でNo)、加圧ヒータ104に供給する供給電力Q1を算出する(ステップS130)。なお、加圧ヒータ104への供給電力Q1は、Q1=(W+W)×U/(U+U)より求められる。
【0051】
続いて、補助・削減電力算出部326は、加熱ヒータ102の消費電力Wと加圧ヒータ104への供給電力Q1とから、加圧ヒータ104から削減する削減電力C1、及び加熱ヒータ102へ補助する補助電力A1を算出する(ステップS132)。なお、加圧ヒータ104からの削減電力C1、加熱ヒータ102への補助電力A1は、C1=A1=Q1−Wより求められる。
【0052】
続いて、電力供給部306は、算出された削減電力C1を加圧ヒータ104から削減するとともに、算出された補助電力A1を加熱ヒータ102へ補助して、電力を供給する(ステップS128)。
【0053】
ここで、第1の実施の形態の電力制御装置100で行われる起動時間短縮のための電力補助・削減処理の具体例について説明する。
【0054】
図10−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図であり、図10−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【0055】
図10−1に示すように、加熱ヒータ102の目標温度は200度であり、加熱ヒータ102の立ち上がり時間Tは20秒であり、加圧ヒータ104の目標温度は150度であり、加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tは50秒である。なお、加熱ヒータ102の消費電力Wは16kWであり、加圧ヒータ104の消費電力Wは20kWであるものとする。
【0056】
この場合、加熱ヒータ102の1秒当たりの消費電力Uは、U=W/T=16kW/20秒より、800W/秒となり(図9のステップS114参照)、加圧ヒータ104の1秒当たりの消費電力Uは、U=W/T=20kW/50秒より、400W/秒となる(図9のステップS120参照)。
【0057】
また、図10−1に示す例では、T<Tであるため、加熱ヒータ102に供給する供給電力Q1は、Q1=(W+W)×U/(U+U)=(16kW+20kW)×(800W/秒)/((800W/秒)+(400W/秒))より、24kWとなる(図9のステップS122、S124参照)。
【0058】
また、加圧ヒータ104へ補助する補助電力A1、及び加熱ヒータ102から削減する削減電力C1は、A1=C1=Q1−W=24kW−20kWより、4kWとなる(図9のステップS126参照)。
【0059】
従って、電力供給部306は、補助電力A1を補助することにより加圧ヒータ104へ24kWの電力を供給するとともに、削減電力C1を削減することにより加熱ヒータ102へ12kWの電力を供給する(図9のステップS128参照)。
【0060】
この結果、図10−2に示す例では、矢印511が示すように、加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が早くなり、矢印512が示すように、加熱ヒータ102の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が遅くなる。なお、図10−2に示す例では、加熱ヒータ102、及び加圧ヒータ104のいずれの立ち上がり時間も26.7秒となり、23.3秒の短縮が図られている。
【0061】
図11は、第1の実施の形態の電力制御装置100で行われる消費電力削減のための電力補助・削減処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
まず、ステップS140〜ステップS150までの処理は、図9に示すフローチャートのステップS110〜ステップS120までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0063】
ステップS150の処理の後、補助・削減電力算出部326は、加熱ヒータ102の立ち上がり時間Tと加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tとを比較し、T<Tである場合には(ステップS152でYes)、加熱ヒータ102から削減する削減電力C2を算出する(ステップS154)。なお、加熱ヒータ102からの削減電力C2は、C2=(T−T)×Uより求められる。
【0064】
続いて、電力供給部306は、算出された削減電力C2を加熱ヒータ102から削減して、電力を供給する(ステップS156)。
【0065】
一方、補助・削減電力算出部326は、ステップS152で、T<Tでない場合には(ステップS152でNo)、加圧ヒータ104から削減する削減電力C2を算出する(ステップS158)。なお、加圧ヒータ104からの削減電力C2は、C2=(T−T)×Uより求められる。
【0066】
続いて、電力供給部306は、算出された削減電力C2を加圧ヒータ104から削減して、電力を供給する(ステップS156)。
【0067】
ここで、第1の実施の形態の電力制御装置100で行われる消費電力削減のための電力補助・削減処理の具体例について説明する。
【0068】
図12−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図であり、図12−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【0069】
図12−1に示すように、加熱ヒータ102の目標温度は200度であり、加熱ヒータ102の立ち上がり時間Tは20秒であり、加圧ヒータ104の目標温度は150度であり、加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tは50秒である。なお、加熱ヒータ102の消費電力Wは16kWであり、加圧ヒータ104の消費電力Wは20kWであるものとする。
【0070】
この場合、加熱ヒータ102の1秒当たりの消費電力Uは、U=W/T=16kW/20秒より、800W/秒となり(図11のステップS144参照)、加圧ヒータ104の1秒当たりの消費電力Uは、U=W/T=20kW/50秒より、400W/秒となる(図11のステップS150参照)。
【0071】
また、図12−1に示す例では、T<Tであるため、加熱ヒータ102から削減する削減電力C2は、C2=(T−T)×U=(50秒−20秒)×(400W/秒))より、12kWとなる(図11のステップS152、S154参照)。
【0072】
従って、電力供給部306は、削減電力C2を削減することにより加熱ヒータ102へ4kWの電力を供給する(図11のステップS156参照)。
【0073】
この結果、図12−2に示す例では、矢印521が示すように、加熱ヒータ102の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が遅くなる。なお、図12−2に示す例では、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104のいずれの立ち上がり時間も50秒となり、12kWの電力の消費が削減されている。
【0074】
このように第1の実施の形態では、加熱ヒータ102の立ち上がり時間と加圧ヒータ104の立ち上がり時間とを予測して、供給可能な電力の補助・削減配分を決めて電力を供給するため、供給可能な電力が限られている条件下においても、立ち上がり時間を短縮したり、供給する電力量を削減することができるという効果を奏する。
【0075】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態では、画像処理ユニットの起動時間を用いて、供給可能な電力の補助・削減配分を決めて電力を供給する例について説明する。なお、以下では、第1の実施の形態との相違点の説明を主に行い、第1の実施の形態と同様の機能を有する構成要素については、第1の実施の形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図13は、第2の実施の形態の電力制御装置1100の機能構成の一例を示すブロック図である。図13に示すように、画像処理ユニット20の画像処理部21は、画像処理ユニット起動時間記憶部210と、画像処理ユニット起動時間予測部212とを含む。
【0077】
画像処理ユニット起動時間記憶部210は、画像処理ユニットの過去の起動時間を記憶する。なお、画像処理ユニット20の過去の起動時間とは、画像読取部22の起動時間や画像処理部21の起動時間などが該当する。
【0078】
図14は、第2の実施の形態の画像処理ユニット起動時間記憶部210に記憶される情報の一例を示す図であり、画像処理ユニットの過去の起動時間が記憶されている。なお、図14に示す例では、起動スイッチの押下、操作パネルの電源ボタンの押下、プリントジョブの受信などを起動開始とし、印刷可能になったときを起動終了として画像処理部21の起動時間が計測されている。
【0079】
画像処理ユニット起動時間予測部212は、画像処理ユニット起動時間記憶部210に記憶されている画像処理ユニットの過去の起動時間を用いて、画像処理ユニット20の起動時間を予測する。具体的には、画像処理ユニット起動時間予測部212は、電源オン、スリープ解除などのモード毎に、画像処理ユニット20の過去の起動時間を平均化して(例えば、過去6回分)、画像処理ユニット20の起動時間を予測する。
【0080】
補助・削減電力算出部1326は、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104が目標温度に達するまでの時間と、画像処理ユニット20の起動時間とを比較し、比較結果に応じて、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104に補助又は削減する電力を算出する。
【0081】
図15は、第2の実施の形態の電力制御装置1100で行われる起動時間短縮のための電力補助・削減処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0082】
まず、画像処理ユニット起動時間算出部212は、画像処理ユニット起動時間記憶部210に記憶されている複数の過去の起動時間から、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tを算出する(ステップS210)。
【0083】
続いて、ステップS212〜ステップS222までの処理は、図9に示すフローチャートのステップS110〜ステップS120までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0084】
ステップS222の処理の後、補助・削減電力算出部1326は、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tと加熱ヒータ102の立ち上がり時間Tとを比較し、T>Tである場合には(ステップS224でYes)、更に、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tと加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tとを比較する(ステップS226)。
【0085】
そして、補助・削減電力算出部1326は、T>Tである場合には(ステップS226でYes)、加熱ヒータ102から削減する削減電力C3を算出するとともに(ステップS228)、加圧ヒータ104から削減する削減電力C3を算出する(ステップS230)。
【0086】
続いて、電力供給部306は、算出された削減電力C3を加熱ヒータ102から削減するとともに、算出された削減電力C3を加圧ヒータ104から削減して、電力を供給する(ステップS232)。
【0087】
一方、ステップS226において、T>Tでない場合には(ステップS226でNo)、補助・削減電力算出部1326は、加熱ヒータ102から削減する削減電力C3を算出するとともに(ステップS234)、加圧ヒータ104へ補助する補助電力A3を算出する(ステップS236)。
【0088】
続いて、電力供給部306は、算出された削減電力C3を加熱ヒータ102から削減するとともに、算出された補助電力A3を加圧ヒータ104へ補助して、電力を供給する(ステップS232)。
【0089】
また、ステップS224において、T>Tでない場合にも(ステップS224でNo)、補助・削減電力算出部1326は、更に、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tと加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tとを比較する(ステップS238)。
【0090】
そして、補助・削減電力算出部1326は、T>Tでない場合には(ステップS238でNo)、加熱ヒータ102へ補助する補助電力A3を算出するとともに(ステップS240)、加圧ヒータ104へ補助する補助電力A3を算出する(ステップS242)。
【0091】
続いて、電力供給部306は、算出された補助電力A3を加熱ヒータ102へ補助するとともに、算出された補助電力A3を加圧ヒータ104へ補助して、電力を供給する(ステップS232)。
【0092】
一方、ステップS238において、T>Tである場合には(ステップS238でYes)、補助・削減電力算出部1326は、加熱ヒータ102へ補助する補助電力A3を算出するとともに(ステップS244)、加圧ヒータ104から削減する削減電力C3を算出する(ステップS246)。
【0093】
続いて、電力供給部306は、算出された補助電力A3を加熱ヒータ102に補助するとともに、算出された削減電力C3を加圧ヒータ104から削減して、電力を供給する(ステップS232)。
【0094】
ここで、第2の実施の形態の電力制御装置1100で行われる電力補助・削減処理の具体例について説明する。
【0095】
まず、画像処理ユニット20の立ち上がり時間が最も遅い場合について説明する。
【0096】
図16−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図であり、図16−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【0097】
図16−1に示すように、加熱ヒータ102の立ち上がり時間Tは20秒であり、加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tは50秒であり、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tは55秒である。
【0098】
この場合、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tに合わせて加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104を立ち上げるため、加熱ヒータ102から削減する削減電力C3及び加圧ヒータ104から削減する削減電力C3が算出される(図15のステップS228、S230参照)。
【0099】
従って、電力供給部306は、算出された削減電力C3を加熱ヒータ102から削減するとともに、算出された削減電力C3を加圧ヒータ104から削減して、電力を供給する(図15のステップS232参照)。
【0100】
この結果、図16−2に示す例では、矢印1511が示すように、加熱ヒータ102の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が遅くなり、矢印1512が示すように、加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が遅くなる。なお、図16−2に示す例では、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104のいずれの立ち上がり時間も、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tと同じ55秒となっている。
【0101】
次に、画像処理ユニット20の立ち上がり時間が、加熱ヒータ102の立ち上がり時間よりも遅く、加圧ヒータ104の立ち上がり時間よりも早い場合について説明する。
【0102】
図17−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図であり、図17−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【0103】
図17−1に示すように、加熱ヒータ102の立ち上がり時間Tは20秒であり、加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tは50秒であり、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tは30秒である。
【0104】
この場合、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tに合わせて加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104を立ち上げるため、加熱ヒータ102から削減する削減電力C3及び加圧ヒータ104へ補助する補助電力A3が算出される(図15のステップS234、S236参照)。
【0105】
従って、電力供給部306は、算出された削減電力C3を加熱ヒータ102から削減するとともに、算出された補助電力A3を加圧ヒータ104へ補助して、電力を供給する(図15のステップS232参照)。
【0106】
この結果、図17−2に示す例では、矢印1521が示すように、加熱ヒータ102の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が遅くなり、矢印1522が示すように、加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が早くなる。なお、図17−2に示す例では、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104のいずれの立ち上がり時間も画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tと同じ30秒となっている。
【0107】
次に、画像処理ユニット20の立ち上がり時間が最も早い場合について説明する。
【0108】
図18−1は、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図であり、図18−2は、電力補助・削減処理後の加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図である。
【0109】
図18−1に示すように、加熱ヒータ102の立ち上がり時間Tは20秒であり、加圧ヒータ104の立ち上がり時間Tは50秒であり、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tは15秒である。
【0110】
この場合、画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tに合わせて加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104を立ち上げるため、加熱ヒータ102へ補助する補助電力A3及び加圧ヒータ104へ補助する補助電力A3が算出される(図15のステップS240、S242参照)。
【0111】
従って、電力供給部306は、算出された補助電力A3を加熱ヒータ102へ補助するとともに、算出された補助電力A3を加圧ヒータ104へ補助して、電力を供給する(図15のステップS232参照)。
【0112】
この結果、図18−2に示す例では、矢印1531が示すように、加熱ヒータ102の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が早くなり、矢印1533が示すように、加圧ヒータ104の目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が早くなる。なお、図18−2に示す例では、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104のいずれの立ち上がり時間も画像処理ユニット20の立ち上がり時間Tと同じ15秒となっている。
【0113】
このように第2の実施の形態では、加熱ヒータ102の立ち上がり時間と加圧ヒータ104の立ち上がり時間とを予測し、画像処理ユニット20の立ち上がり時間と合うように供給可能な電力の補助・削減配分を決めて電力を供給するため、供給する電力量を削減することができる。また、補助電力などによる補助を行えば、立ち上がり時間を短縮することもできる。
【0114】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、画像処理ユニットも含めて、供給可能な電力の補助・削減配分を決めて電力を供給する例について説明する。なお、以下では、第2の実施の形態との相違点の説明を主に行い、第2の実施の形態と同様の機能を有する構成要素については、第2の実施の形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0115】
図19は、第3の実施の形態の電力制御装置2100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0116】
消費電力算出部2324は、画像処理ユニット起動時間予測部212により予測された
画像処理ユニット20の起動時間、及び画像処理ユニット20の起動時間内での消費電力から、画像処理ユニット20の単位時間当たりの消費電力を算出する。
【0117】
補助・削減電力算出部2326は、消費電力算出部2324により算出された消費電力から、加熱ヒータ102、加圧ヒータ104及び画像処理ユニット20に補助又は削減する電力を算出する。
【0118】
電力供給部2306は、加熱ヒータ102、加圧ヒータ104及び画像処理ユニット20に、算出された電力の補助又は削減を行う。
【0119】
図20は、第3の実施の形態の電力制御装置2100で行われる起動時間短縮のための電力補助・削減処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0120】
まず、画像処理ユニット起動時間算出部212は、画像処理ユニット起動時間記憶部210に記憶されている複数の過去の起動時間から、画像処理ユニット2020の立ち上がり時間Tを算出する(ステップS300)。
【0121】
続いて、消費電力算出部2324は、画像処理ユニット2020が立ち上がるまでの消費電力Wと画像処理ユニット2020の立ち上がり時間Tとから、画像処理ユニット2020の1秒当たりの消費電力Uを算出する(ステップS302)。なお、画像処理ユニット2020の1秒当たりの消費電力Uは、U=W/Tより求められる。
【0122】
続いて、ステップS304〜ステップS314までの処理は、図9に示すフローチャートのステップS110〜ステップS120までの処理と同様であるため、説明を省略する。
【0123】
ステップS314の処理が終了すると、補助・削減電力算出部2326は、画像処理ユニット2020に供給する供給電力Q4を算出する(ステップS316)。なお、画像処理ユニット2020への供給電力Q4は、Q4=(W+W+W)×U/(U+U+U)より求められる。
【0124】
続いて、補助・削減電力算出部2326は、加熱ヒータ102に供給する供給電力Q4を算出する(ステップS318)。なお、加熱ヒータ102への供給電力Q4は、Q4=(W+W+W)×U/(U+U+U)より求められる。
【0125】
続いて、補助・削減電力算出部2326は、加圧ヒータ104に供給する供給電力Q4を算出する(ステップS320)。なお、加圧ヒータ104への供給電力Q4は、Q4=(W+W+W)×U/(U+U+U)より求められる。
【0126】
続いて、補助・削減電力算出部2326は、画像処理ユニット2020及び加熱ヒータ102への電力補助が必要な場合には(ステップS322でYes、ステップS324でYes)、画像処理ユニット2020への補助電力A4、加熱ヒータ102への補助電力A4、及び加圧ヒータ104からの削減電力C4を算出する(ステップS326)。
【0127】
続いて、電力供給部2306は、算出された補助電力A4を画像処理ユニット2020へ補助し、算出された補助電力A4を加熱ヒータ102へ補助し、算出された削減電力C4を加圧ヒータ104から削減して、電力を供給する(ステップS328)。
【0128】
また、補助・削減電力算出部2326は、画像処理ユニット2020及び加圧ヒータ104への電力補助が必要な場合には(ステップS322でYes、ステップS324でNo、ステップS330でYes)、画像処理ユニット2020への補助電力A4、加熱ヒータ102からの削減電力C4、及び加圧ヒータ104への補助電力A4を算出する(ステップS334)。
【0129】
続いて、電力供給部2306は、算出された補助電力A4を画像処理ユニット2020へ補助し、算出された削減電力C4を加熱ヒータ102から削減し、算出された補助電力A4を加圧ヒータ104へ補助して、電力を供給する(ステップS328)。
【0130】
また、補助・削減電力算出部2326は、画像処理ユニット2020のみへの電力補助が必要な場合には(ステップS322でYes、ステップS324でNo、ステップS330でNo)、画像処理ユニット2020への補助電力A4、加熱ヒータ102からの削減電力C4、及び加圧ヒータ104からの削減電力C4を算出する(ステップS332)。
【0131】
続いて、電力供給部2306は、算出された補助電力A4を画像処理ユニット2020へ補助し、算出された削減電力C4を加熱ヒータ102から削減し、算出された削減電力C4を加圧ヒータ104から削減して、電力を供給する(ステップS328)。
【0132】
また、補助・削減電力算出部2326は、加熱ヒータ102及び加圧ヒータ104への電力補助が必要な場合には(ステップS322でNo、ステップS336でYes、ステップS338でYes)、画像処理ユニット2020からの削減電力C4、加熱ヒータ102への補助電力A4、及び加圧ヒータ104への補助電力A4を算出する(ステップS340)。
【0133】
続いて、電力供給部2306は、算出された削減電力C4を画像処理ユニット2020から削減し、算出された補助電力A4を加熱ヒータ102へ補助し、算出された補助電力A4を加圧ヒータ104へ補助して、電力を供給する(ステップS328)。
【0134】
また、補助・削減電力算出部2326は、加熱ヒータ102のみへの電力補助が必要な場合には(ステップS322でNo、ステップS336でNo)、画像処理ユニット2020からの削減電力C4、加熱ヒータ102への補助電力A4、及び加圧ヒータ104からの削減電力C4を算出する(ステップS342)。
【0135】
続いて、電力供給部2306は、算出された削減電力C4を画像処理ユニット2020から削減し、算出された補助電力A4を加熱ヒータ102へ補助し、算出された削減電力C4を加圧ヒータ104から削減して、電力を供給する(ステップS328)。
【0136】
また、補助・削減電力算出部2326は、加圧ヒータ104のみへの電力補助が必要な場合には(ステップS322でNo、ステップS336でYes、ステップS338でNo)、画像処理ユニット2020からの削減電力C4、加熱ヒータ102からの削減電力C4、及び加圧ヒータ104への補助電力A4を算出する(ステップS344)。
【0137】
続いて、電力供給部2306は、算出された削減電力C4を画像処理ユニット2020から削減し、算出された削減電力C4を加熱ヒータ102から削減し、算出された補助電力A4を加圧ヒータ104へ補助して、電力を供給する(ステップS328)。
【0138】
このように第3の実施の形態では、加熱ヒータ102の立ち上がり時間と加圧ヒータ104の立ち上がり時間と画像処理ユニット2020の立ち上がり時間とを予測し、供給可能な電力の補助・削減配分を決めて電力を供給するため、供給可能な電力が限られている条件下においても、立ち上がり時間を短縮したり、供給する電力量を削減することができるという効果を奏する。
【0139】
なお、本実施の形態の電力制御装置100、1100、2100で実行される電力制御プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0140】
本実施の形態の電力制御装置100、1100、2100で実行される電力制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0141】
さらに、本実施の形態の電力制御装置100、1100、2100で実行される電力制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の電力制御装置100、1100、2100で実行される電力制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0142】
本実施の形態の電力制御装置100、1100、2100で実行される電力制御プログラムは、上述した各部(温度上昇幅算出部、目標温度到達時間算出部、消費電力算出部、補助・削減電力算出部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから〜プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、温度上昇幅算出部、目標温度到達時間算出部、消費電力算出部、補助・削減電力算出部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0143】
(変形例)
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0144】
(変形例1)
例えば、上述した実施の形態においてもキャパシタなどの補助電力を用いるようにしてもよい。
【0145】
図21は、変形例1の電力制御装置で行われる起動時間短縮のための電力補助・削減処理の手順の流れの一例を示すフローチャートである。
【0146】
フローチャートの内容は、図9に示すフローチャートの内容と同様であるため説明は省略する。
【0147】
なお、補助電力をWca、1秒当たりの補助電力をUcaとすると、加熱ヒータへの供給電力Q5は、Q5=(W+W+Wca)×U+Uca/(U+U+Uca)より求められる。同様に、加圧ヒータへの供給電力Q5は、Q5=(W+W+Wca)×U+Uca/(U+U+Uca)より求められる。
【0148】
この結果、電力補助・削減処理前の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図22−1に対し、補助電力を用いた電力補助・削減処理後の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図22−2では、22.2秒で加熱ヒータ及び加圧ヒータが立ち上がっている。そして、補助電力を用いた電力補助・削減処理後の加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間を示す図22−3よりも、加熱ヒータ及び加圧ヒータの目標温度に到達するまでの立ち上がり時間が短くなっている。
【0149】
(変形例2)
また、目標温度到達時間算出手段は、図23−1〜図23−3に示すような、加熱ヒータ及び加圧ヒータの複数の温度上昇履歴を記憶部に記憶しておき、この履歴を用いて、加熱ヒータ及び加圧ヒータが目標温度に達するまでの時間を算出するようにしてもよい。
【0150】
同様に、起動時間予測手段は、画像処理ユニットの過去の複数の温度上昇履歴を記憶部に記憶しておき、この履歴を用いて、画像処理ユニットの起動時間を予測するようにしてもよい。
【0151】
(変形例3)
また、上記実施の形態では、目標温度到達時間算出手段は、電源オン直後又は省電力状態を解除する場合に加熱ヒータ及び加圧ヒータが目標温度に達するまでの時間を算出するようにしたが、通電中に定期的に加熱ヒータ及び加圧ヒータが目標温度に達するまでの時間を算出するようにしてもよい。
【0152】
図24は、加熱ヒータの目標温度に到達するまでの時間経過を示すグラフであり、図25は、マーク4501の拡大図である。なお、マーク4500の拡大図は、図6となる。
図25に示すように、加熱ヒータ温度検出部により200ms周期で加熱ヒータの温度が検出されるため、温度上昇幅算出部は、この検出された温度を、例えば、図26に示すように、サンプリング時間と、温度とを対応付けて、加熱ヒータ検出温度記憶部に記憶させる。
【0153】
このようにすると、より適切に目標温度に達するまでの時間を算出することができる。なお、温度上昇幅算出手段は、電源オン直後又は省電力状態を解除する場合、若しくは通電中に定期的のいずれかを選択して、加熱ヒータ及び加圧ヒータが目標温度に達するまでの時間するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0154】
1 複写機
10 操作パネルユニット
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 LCDコントローラ
15 LCD
16 VRAM
17 タッチパネル
20 画像処理ユニット
21 画像処理部
22 画像読取部
23 CPU
24 HDD
25 ネットワーク制御部
30 画像形成ユニット
31 エンジン部
32 画像形成部
33 CPU
34 I/O制御部
37 定着部
100、1100、2100 電力制御装置
102 加熱ヒータ
104 加圧ヒータ
106 加熱ヒータ駆動回路
108 加圧ヒータ駆動回路
110 AC電源
170 DC電源
210 画像処理ユニット起動時間記憶部
212 画像処理ユニット起動時間予測部
302 加熱ヒータ温度検出部
304 加圧ヒータ温度検出部
306、2306 電力供給部
310 記憶部
312 加熱ヒータ検出温度記憶部
314 加圧ヒータ検出温度記憶部
320 温度上昇幅算出部
322 目標温度到達時間算出部
324、2324 消費電力算出部
326、1326、2326 補助・削減電力算出部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0155】
【特許文献1】特開2004−296166号公報
【特許文献2】特開平8−44435号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱手段の温度をそれぞれ所定間隔で検出する複数の温度検出手段と、
所定間隔で検出された前記加熱手段それぞれの複数の温度から、前記加熱手段それぞれの温度上昇幅を算出する温度上昇幅算出手段と、
算出された温度上昇幅から、前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの時間を算出する目標温度到達時間算出手段と、
算出された時間、及び前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの消費電力から、前記加熱手段それぞれの単位時間当たりの消費電力を算出する消費電力算出手段と、
算出された消費電力から、前記加熱手段それぞれに補助又は削減する電力を算出する補助・削減電力算出手段と、
前記加熱手段それぞれに、算出された電力の補助又は削減を行う電力供給手段と、を備えることを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
画像を読み取る画像読取部と、画像処理を行う画像処理部と、を備える画像処理ユニットの起動時間を予測する起動時間予測手段を、更に備え、
前記補助・削減電力算出手段は、前記加熱手段それぞれの目標温度に達するまでの時間
と前記画像処理ユニットの起動時間とを比較し、比較結果に応じて、前記加熱手段それぞれに補助又は削減する電力を算出することを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記消費電力算出手段は、前記画像処理ユニットの起動時間、及び前記画像処理ユニットの起動時間内での消費電力から、前記画像処理ユニットの単位時間当たりの消費電力を算出し、
前記補助・削減電力算出手段は、算出された消費電力から、前記加熱手段それぞれ及び前記画像処理ユニットに補助又は削減する電力を算出し、
前記電力供給手段は、前記加熱手段それぞれ及び前記画像処理ユニットに、算出された電力の補助又は削減を行うことを特徴とする請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記温度上昇幅算出手段は、一定時間内の連続した複数の温度から近似式を算出し、
前記目標温度到達時間算出手段は、前記近似式を用いて前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの時間を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電力制御装置。
【請求項5】
前記目標温度到達時間算出手段は、前記加熱手段それぞれの過去の複数の温度上昇履歴を用いて、前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの時間を算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電力制御装置。
【請求項6】
前記起動時間予測手段は、前記画像処理ユニットの過去の複数の温度上昇履歴を用いて、前記画像処理ユニットの起動時間を予測することを特徴とする請求項2又は3に記載の電力制御装置。
【請求項7】
前記目標温度到達時間算出手段は、電源オン直後又は省電力状態を解除する場合に、前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの時間を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の電力制御装置。
【請求項8】
前記温度上昇幅算出手段は、通電中に定期的に前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの時間を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の電力制御装置。
【請求項9】
前記温度上昇幅算出手段は、電源オン直後又は省電力状態を解除する場合、若しくは通電中に定期的のいずれかを選択して、前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの時間を算出することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の電力制御装置。
【請求項10】
電力を補助する電力補助装置を更に備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の電力制御装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の電力制御装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
温度上昇幅算出手段が、複数の温度検出手段により所定間隔で検出された複数の加熱手段それぞれの複数の温度から、前記加熱手段それぞれの温度上昇幅を算出する温度上昇幅算出ステップと、
目標温度到達時間算出手段が、算出された温度上昇幅から、前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの時間を算出する目標温度到達時間算出ステップと、
消費電力算出手段が、算出された時間、及び前記加熱手段それぞれが目標温度に達するまでの消費電力から、前記加熱手段それぞれの単位時間当たりの消費電力を算出する消費電力算出ステップと、
補助・削減電力算出手段が、算出された消費電力から、前記加熱手段それぞれに補助又は削減する電力を算出し、前記加熱手段それぞれに対する算出された電力の補助又は削減を電力供給手段に行わせる補助・削減電力算出ステップと、を含むことを特徴とする電力制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載された電力制御方法をコンピュータに実行させるための電力制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図11】
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【図12−1】
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【図12−2】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【図18−1】
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【図18−2】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22−1】
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【図22−2】
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【図22−3】
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【図23−1】
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【図23−2】
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【図23−3】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−217794(P2010−217794A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67111(P2009−67111)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】