説明

電力制御装置、電力制御方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】カメラの撮像画像に基づいて利用者を認識して省電力制御を行う場合に、より消費電力を低減することが可能な電力制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】被写体をカメラで撮像し、撮像した被写体画像に基づいて、液晶ディスプレイ5の前方の利用者の顔または視線を認識する顔・視線認識処理を実行するカメラモジュール6と、顔・視線認識処理の検出結果に基づいて、ノート型PC1の省電力制御を行うエンベデッドコントローラ16とを備え、エンベデッドコントローラ16は、HID4の入力状態を検出し、その検出結果に基づいて、カメラモジュール6の省電力制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御装置、電力制御方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム
に関し、詳細には、カメラモジュールを搭載した情報処理装置の省電力制御を行う電力制御装置、電力制御方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータ等の情報処理装置では、消費電力を低減するために各種省電力制御が行われている。近時、情報処理装置にカメラを搭載したものが普及しており、カメラを使用して利用者が存在するかどうかを認識し、電源制御を行なう電源制御方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、カメラで入力した映像情報に基づいてコンピュータの周辺の状況(人物がシステムに近づいたか離れたか、システムの前面に向き合っているかなど)を認識し、その認識の結果に基づいてコンピュータの電源部や表示部の電源の投入・遮断などの制御を行う技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、カメラで撮影された画像を解析して顔画像を抽出することにより、利用者の有無と利用者の顔と目の向きがディスプレイ画面に向いているかどうかで、コンピュータシステムが使用中であるかどうかを判定し、コンピュータシステムが不使用状態である場合に電源がサスペンド状態又はレジューム状態となり、使用中の場合に電源のサスペンド状態又はレジューム状態が解除されるように、電源の制御を行なう技術が開示されている。
【0005】
図5は、カメラを使用した顔認識による液晶ディスプレイのバックライトのON/OFF制御の従来技術を説明するためのフローチャートである。図5において、まず、顔認識処理で顔を検出したか否かを判断し(ステップS1)、顔を検出した場合には(ステップS1の「Yes」)、バックライトをONとし(ステップS2)、顔を検出しなかった場合には(ステップS1の「No」)、バックライトをOFFとする(ステップS3)。
【0006】
図6は、図5のバックライトのON/OFF制御のタイミングチャートの一例を示す図である。同図において、(A)は利用者の動作(着席(カメラの前に着席)、離席(カメラの前から離席))、(B)はHID(ヒューマンインターフェース・デバイス)の入力、(C)は顔認識処理の検出結果(「1」:検出、「0」:非検出)、(D)は、バックライトのON/OFFを示している。
【0007】
まず、利用者が離席している間(T1〜T2、T5〜T6)は、顔認識処理の検出結果は「0:非検出」となるので、バックライトがOFFとなる。利用者が着席している間(T2〜T5)は、顔認識処理の検出結果が「1:検出」となるので、バックライトがONとなる。バックライトがONとなっている間T2〜T5は、HIDの入力状態(Idle、Busy)によらず、顔認識処理を実行している。
【0008】
しかしながら、従来技術では、人間がディスプレイを見ていると判断される場合はディスプレイをONとし、その間、顔認識処理のために、カメラや画像処理システムは常時、動作しているため、十分な節電効果を得ることができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−271482号公報
【特許文献2】特開2001−5550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カメラの撮像画像に基づいて利用者を認識して省電力制御を行う場合に、より消費電力を低減することが可能な電力制御装置、電力制御方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、少なくとも、ヒューマンインターフェース・デバイスおよびディスプレイを備えた情報処理装置の省電力制御を行う電力制御装置であって、被写体をカメラで撮像し、撮像した被写体画像に基づいて、前記ディスプレイの前方の利用者の顔または視線を認識する顔・視線認識処理を実行するカメラモジュールと、前記顔・視線認識処理の検出結果に基づいて、前記情報処理装置の省電力制御を行う電力制御手段と、前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態を検出する入力状態検出手段と、を備え、前記電力制御手段は、前記入力状態検出手段で検出される前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態に基づいて、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記電力制御手段は、前記顔・視線認識処理で利用者の顔または視線を検出した場合に、前記ディスプレイの電力をON、利用者の顔または視線を検出できなかった場合に、前記ディスプレイの電力をOFFとし、前記入力状態検出手段で前記ヒューマンインターフェース・デバイスのアイドル時間が第1の閾値以上でない場合に、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことが望ましい。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、 前記電力制御手段は、前記ディスプレイの電力のOFF時間が第2の閾値以上となった場合には、サスペンド状態に移行して、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことが望ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記カメラモジュールの省電力制御は、前記カメラモジュールの一部若しくは全部に対して、電力供給の停止またはアイドル状態に移行させる処理であることが望ましい。
【0015】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、少なくとも、ヒューマンインターフェース・デバイスおよびディスプレイを備えた情報処理装置の電力制御方法であって、カメラモジュールにおいて、被写体をカメラで撮像し、撮像した被写体画像に基づいて、前記ディスプレイの前方の利用者の顔または視線を認識する顔・視線認識処理を実行する工程と、前記顔・視線認識処理の検出結果に基づいて、前記情報処理装置の省電力制御を行う電力制御工程と、前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態を検出する入力状態検出工程と、を含み、前記電力制御工程は、前記入力状態検出工程で検出される前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態に基づいて、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことを特徴とする。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、少なくとも、ヒューマンインターフェース・デバイスおよびディスプレイを備えた情報処理装置に搭載されるプログラムであって、カメラモジュールにおいて、カメラで撮像した被写体画像に基づいて、前記ディスプレイの前方の利用者の顔または視線を認識する顔・視線認識処理を実行する工程と、前記顔・視線認識処理の検出結果に基づいて、前記情報処理装置の省電力制御を行う電力制御工程と、前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態を検出する入力状態検出工程と、をコンピュータに実行させ、前記電力制御工程では、前記入力状態検出工程で検出される前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態に基づいて、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、少なくとも、ヒューマンインターフェース・デバイスおよびディスプレイを備えた情報処理装置の省電力制御を行う電力制御装置であって、被写体をカメラで撮像し、撮像した被写体画像に基づいて、前記ディスプレイの前方の利用者の顔または視線を認識する顔・視線認識処理を実行するカメラモジュールと、前記顔・視線認識処理の検出結果に基づいて、前記情報処理装置の省電力制御を行う電力制御手段と、前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態を検出する入力状態検出手段と、を備え、前記電力制御手段は、前記入力状態検出手段で検出される前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態に基づいて、前記カメラモジュールの省電力制御を行うこととしたので、カメラの撮像画像に基づいて利用者を認識して省電力制御を行う場合に、より消費電力を低減することが可能な電力制御装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る電力制御装置を適用したノート型PCの概略の外観図である。
【図2】図2は、図1のノート型PCの概略の構成例を示す図である。
【図3】図3は、エンベデッドコントローラによるカメラモジュールの省電力制御を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図4】図4は、エンベデッドコントローラによるカメラモジュールの省電力制御のタイミングチャートの一例を示す図である。
【図5】図5は、カメラを使用した顔認識による液晶ディスプレイのバックライトのON/OFF制御の従来技術を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図6】図6は、カメラを使用した顔認識による液晶ディスプレイのバックライトのON/OFF制御の従来技術を説明するためのタイミングチャートに一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、この発明にかかる電力制御装置、電力制御方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムの実施の携帯を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものまたは実質的に同一のものが含まれる。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、方法、およびプログラムの実施形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、装置および方法についての選択した実施形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、または他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る電力制御装置を適用したノート型PCの概略の外観図である。ノート型PC1は、同図に示すように、いずれも略直方体である本体側筐体2およびディスプレイ側筐体3を備える。本体側筐体2は、キーボード41、スライスパッド(ポインティング・デバイス)42,マイク43等を有するHID(Human Interface Device)を備える。ディスプレイ側筐体3は、液晶ディスプレイ5と、液晶ディスプレイ5の表示面側にその上方の略中央に配置され、前方の被写体を撮像可能なカメラ部616とを備える。
【0021】
さらに、本体側筐体2およびディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部で左右の一対の連結部(ヒンジ部)7a、7bによって連結されており、連結部7a、7bは、これらの筐体を開閉自在に支持している。
【0022】
同図において、カメラ部61で前方の利用者を撮影し、カメラ処理部で撮影画像に基づいて利用者を検出して、利用者がいる場合は液晶ディスプレイ5をON、利用者がいない場合にOFFとして省電力制御を行う場合に、液晶ディスプレイ5をONとしている間、HIDの入力状態に拘わらず、常時、カメラ部61やカメラ処理部で利用者を検出する構成では、十分な節電効果を得ることができない。そこで、本実施の形態では、HIDによる入力操作がある間は、当然、人がノート型PC1を使用しているため、カメラ部61及びカメラ処理部を省電力状態することで、その分の電力を節約することにしている。
【0023】
図2は、図1のノート型PC1の概略の構成例を示す図である。同図に示すノート型PC1は、ACPIに準拠している。ノート型PC1は、同図に示すように、CPU11と、ROM12と、メモリ13と、HDD(ハードディスク)14と、HID4と、液晶ディスプレイ5と、カメラモジュール6と、グラフィックアダプタ15と、エンベデッドコントローラ16と、電源回路17とを備えており、各部はバスを介して直接または間接的に接続されている。
【0024】
CPU11は、バスを介して接続されたHDD14に格納されたOS14aによりノート型PC1全体の制御を行うとともに、HDD14に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM12は、BIOS(Basic Input/Output System:基本入出力システム)12aやデータ等を格納している。
【0025】
メモリ13は、キャッシュメモリやRAMで構成されており、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。
【0026】
HDD(ハードディスク)14は、例えば、Windows(登録商標) XP、vista、7等のノート型PC1全体の制御を行うためのOS14a、周辺機器類をハードウェア操作するための表示ドライバやカメラドライバ等の各種ドライバ14b、特定業務に向けられたアプリケーション14c等を記憶する機能を有する。
【0027】
グラフィックアダプタ15は、CPU11の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号を液晶ディスプレイ5に出力して表示させる。
【0028】
液晶ディスプレイ5は、LCDパネル51と、バックライト52とを備えている。LCDパネル51は、透過型または半透過型の液晶パネルであり、CPU11の制御に従って、各種情報を表示する機能を有している。バックライト52は、LEDや反射板で構成されており、LCDパネル51を照光する。バックライト52のON/OFFおよびその輝度は、エンベデッドコントローラ16により制御される。なお、本実施の形態では、ディスプレイとして液晶ディスプレイを使用することにしているが、本発明はこれに限られるものではなく、有機ELディスプレイやCRT等の他のディスプレイを使用することにしてもよい。
【0029】
エンベデッドコントローラ16は、MPU、メモリ、プログラムを格納したROM、A/D変換器、D/A変換器、タイマ16a、16b等で構成されている。エンベデッドコントローラ16は、HID4、液晶ディスプレイ5、カメラモジュール6、電源回路17が接続されており、HID4および電源回路21の動作を制御すると共に、液晶ディスプレイ5およびカメラモジュール6の電力を制御する。エンベデットコントローラ18は、電源回路17による各デバイスへの電力供給を制御して、システム状態(ACPIステート)に応じた電源コントロールを行なう。
【0030】
システム状態は、6つのステートS0〜S5が規定されており、S0はフル稼働状態、S1は低消費電力状態(ただし、プロセッサ、チップセットともに電源オン)、S2は低消費電力状態(ただし、プロセッサとキャッシュは電源オフ、チップセットは電源オン)、S3はサスペンド状態、S4は休止状態、S5はソフトウェアによる電源オフを示している。
【0031】
タイマ16aは、HID4のidle時間tidleをカウントするためのものであり、エンベデッドコントローラ16は、HID4の操作が検出された場合にidle時間tidleをリセットする。タイマ16bは、液晶ディスプレイ5のバックライト52がOFFしているバックライトOFF時間tBLOFFをカウントするためのものであり、エンベデッドコントローラ16は、バックライト52をONした場合に、バックライトOFF時間tBLOFFをリセットする。
【0032】
また、エンベデッドコントローラ16は、idle時間tidleが規定値以上でない場合、すなわち、HID4の操作が行われている間は、カメラモジュール6を省電力状態として、カメラ処理部64の顔・視線検出処理を停止させる。ここで、カメラモジュール6を省電力状態にするとは、カメラモジュール6のカメラ部61およびカメラ処理部64の一方または両方について、電源回路17からの電力供給を遮断したり、idle状態に移行させること等をいい、方法を問わず、通常状態よりもカメラモジュール6の電力消費量を低減させることを意味する。なお、エンベデッドコントローラ16が電力制御を行うことしたが、CPU11がプログラムを実行して電力制御を行う構成としてもよい。
【0033】
HID4は、ユーザが入力操作を行うためのヒューマンユーザ・インターフェースであり、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボード41や、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するスライスパッド42、音声を入力するためのマイク43等を備えている。本発明のHIDには、これらの入力デバイスに限られるものではなく、マウス、タッチパネル等のユーザ入力に使用する他のデバイスも含まれる。
【0034】
電源回路17は、ACアダプタ、インテリジェント電池、インテリジェント電池を充電するための充電器、およびDC/DCコンバータ等を備えている。
【0035】
カメラモジュール6は、カメラ部61と、カメラ処理部64とを備えている。カメラ部61は、レンズ62と、撮像部(カメラ)63とを備えている。レンズ62は、被写体光を結像する。撮像部63は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等の撮像素子、およびRGBカラーフィルタ等を備えており、レンズ62で撮像された被写体光を電気信号に変換してR,G,Bの画像信号としてカメラ処理部64に出力する。
【0036】
カメラ処理部64は、A/D変換器、画像処理用LSI、メモリ等を備え、撮像素子の駆動タイミングや露出制御等を行うと共に、撮像部63で得られたRGBの画像信号に対して各種信号処理を行い、撮像部63で得られた画像信号に基づいて、顔・視線認識処理を行って、利用者の顔または視線を検出することにより利用者を検出し、検出結果(例えば、利用者の顔または視線を検出した場合「1」、利用者の顔または視線を検出できなかった場合「0」)をエンベデッドコントローラ16に出力する。なお、撮像画像に基づいて、顔または視線を認識・検出する技術は公知であるので、その詳細な説明を省略する。
【0037】
図3は、エンベデッドコントローラ16によるカメラモジュール6の省電力制御を説明するためのフローチャートである。
【0038】
図3において、まず、エンベデッドコントローラ16は、タイマ16aでカウントされるHID4のidle時間tidleが第1の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS11)。HID4のidle時間tidleが第1の閾値以上でない場合には(ステップS11の「No」)、エンベデッドコントローラ16は、カメラモジュール6を省電力状態として、カメラ処理部64の顔・視線検出処理を中止させると共に(ステップS15)、液晶ディスプレイ5のバックライト52をONとして(ステップS16)、ステップS11に戻る。
【0039】
他方、HID4のidle時間tidleが第1の閾値以上である場合には(ステップS11の「Yes」)、エンベデッドコントローラ16は、カメラモジュール6を通常状態として、カメラ処理部64に顔・視線検出処理を実行させ(ステップS12)、顔または視線を検出したか否かを判断する(ステップS13)。顔または視線を検出した場合には(ステップS13の「Yes」)、エンベデッドコントローラ16は、液晶ディスプレイ5のバックライト52をONとして(ステップS14)、ステップS11に戻る一方、顔または視線を検出しなかった場合には(ステップS13の「No」)、液晶ディスプレイ5のバックライト52をOFFとする(ステップS17)。そして、エンベデッドコントローラ16は、タイマ16bでカウントされるバックライトOFF時間tBLOFFが第2の閾値以上であるか否かを判断する(ステップS18)。エンベデッドコントローラ16は、バックライトOFF時間tBLOFFが第2の閾値以上でない場合には(ステップS18の「No」)、ステップS11に戻る一方、バックライトOFF時間tBLOFFが第2の閾値以上である場合には(ステップS18の「Yes」)、サスペンド状態に移行して(ステップS19)、カメラモジュール6を省電力制御する。HID4等の操作でサスペンド状態から復帰した場合は、ステップS11に戻る。
【0040】
図4は、エンベデッドコントローラ16によるカメラモジュール6の省電力制御のタイミングチャートの一例を示している。同図において、(A)は利用者の動作(着席(カメラの前に着席)、離席(カメラの前から離席))、(B)はHIDの入力、(C)は顔認識エンジンの検出結果(「1」:利用者検出、「0」:利用者非検出)、(D)は、バックライトのON/OFFを示している。
【0041】
まず、利用者が離席している間(T1〜T2)は、顔・視線認識処理の検出結果は「0」となるので、液晶ディスプレイ5のバックライト52がOFFとなる。利用者が着席すると(T2)、顔・視線認識処理の検出結果が「1」となるので、バックライト52がONとなる。そして、利用者がHID4を操作し、HID4のidle時間tidleが第1の閾値以上でない場合には(T3)、顔・視線認識処理がOFFとなる。そして、HID4のidle時間tidleが第1の閾値以上となった場合には(T4)、顔・視線認識処理がONとなる。この後、利用者が着席すると(T5)、顔・視線認識処理の検出結果が「0」となるので、バックライト52はOFFとなる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態によれば、被写体をカメラで撮像し、撮像した被写体画像に基づいて、液晶ディスプレイ5の前方の利用者の顔または視線を認識する顔・視線認識処理を実行するカメラモジュール6と、顔・視線認識処理の検出結果に基づいて、ノート型PC1の省電力制御を行うエンベデッドコントローラ16とを備え、エンベデッドコントローラ16は、HID4の入力状態を検出し、その検出結果に基づいて、カメラモジュール6の省電力制御を行うこととしたので、カメラの撮像画像に基づいて利用者を認識して省電力制御を行う場合に、より消費電力を低減することが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、エンベデッドコントローラ16は、顔・視線認識処理で利用者の顔または視線を検出した場合に、バックライト52をON、利用者の顔または視線を検出できなかった場合に、バックライト52をOFFとし、HID4のidle時間tidleが第1の閾値以上でない場合に、カメラモジュール6の省電力制御を行うこととしたので、バックライト52をONとしている間、HID4の入力がある場合は、カメラモジュール6を省電力制御して、カメラモジュール6の消費電力を低減することが可能となる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、エンベデッドコントローラ16は、バックライトOFF時間tBLOFFが第2の閾値以上である場合には、サスペンド状態に移行して、カメラモジュール6を省電力制御することとしたので、カメラモジュール6の消費電力をより低減することが可能となる。
【0045】
なお、上記実施の形態では、本発明に係る情報処理装置として、ノート型PCを例示して説明したが、本発明に係る情報処理装置は、ノート型PCに限られるものではなく、カメラを備える構成であればよく、ディスクトップ型PC、携帯電話、PDA等の各種の情報処理装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る電力制御装置、電力制御方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムは、カメラモジュールの消費電力を低減する場合に有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 ノート型PC
2 本体側筐体
3 ディスプレイ側筐体
4 HID
5 液晶ディスプレイ
51 LCDパネル
52 バックライト
6 カメラモジュール
7a、7b 連結部(ヒンジ部)
61 カメラ部
62 レンズ
63 撮像部
64 カメラ処理部
11 CPU
12 ROM
12a BIOS
13 メモリ
14 HDD(ハードディスク)
14a OS
14b ドライバ
14c アプリケーション
15 グラフィックアダプタ
16 エンベデッドコントローラ
17 電源回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ヒューマンインターフェース・デバイスおよびディスプレイを備えた情報処理装置の省電力制御を行う電力制御装置であって、
被写体をカメラで撮像し、撮像した被写体画像に基づいて、前記ディスプレイの前方の利用者の顔または視線を認識する顔・視線認識処理を実行するカメラモジュールと、
前記顔・視線認識処理の検出結果に基づいて、前記情報処理装置の省電力制御を行う電力制御手段と、
前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態を検出する入力状態検出手段と、
を備え、
前記電力制御手段は、前記入力状態検出手段で検出される前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態に基づいて、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】
前記電力制御手段は、
前記顔・視線認識処理で利用者の顔または視線を検出した場合に、前記ディスプレイの電力をON、利用者の顔または視線を検出できなかった場合に、前記ディスプレイの電力をOFFとし、
前記入力状態検出手段で前記ヒューマンインターフェース・デバイスのアイドル時間が第1の閾値以上でない場合に、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電力制御装置。
【請求項3】
前記電力制御手段は、前記ディスプレイの電力のOFF時間が第2の閾値以上となった場合には、サスペンド状態に移行して、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】
前記カメラモジュールの省電力制御は、前記カメラモジュールの一部若しくは全部に対して、電力供給の停止またはアイドル状態に移行させる処理であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の電力制御装置。
【請求項5】
少なくとも、ヒューマンインターフェース・デバイスおよびディスプレイを備えた情報処理装置の電力制御方法であって、
カメラモジュールにおいて、被写体をカメラで撮像し、撮像した被写体画像に基づいて、前記ディスプレイの前方の利用者の顔または視線を認識する顔・視線認識処理を実行する工程と、
前記顔・視線認識処理の検出結果に基づいて、前記情報処理装置の省電力制御を行う電力制御工程と、
前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態を検出する入力状態検出工程と、
を含み、
前記電力制御工程は、前記入力状態検出工程で検出される前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態に基づいて、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことを特徴とする電力制御方法。
【請求項6】
少なくとも、ヒューマンインターフェース・デバイスおよびディスプレイを備えた情報処理装置に搭載されるプログラムであって、
カメラモジュールにおいて、カメラで撮像した被写体画像に基づいて、前記ディスプレイの前方の利用者の顔または視線を認識する顔・視線認識処理を実行する工程と、
前記顔・視線認識処理の検出結果に基づいて、前記情報処理装置の省電力制御を行う電力制御工程と、
前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態を検出する入力状態検出工程と、
をコンピュータに実行させ、
前記電力制御工程では、前記入力状態検出工程で検出される前記ヒューマンインターフェース・デバイスの入力状態に基づいて、前記カメラモジュールの省電力制御を行うことを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−123763(P2011−123763A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282126(P2009−282126)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】