説明

電力変換装置及び充電装置

【課題】広い電圧範囲に亘って出力電圧が可変である電力変換装置、及び当該装置を備えることにより広い電圧範囲に亘って効率良く充電を行うことが可能な充電装置を提供する。
【解決手段】充電装置1は、交流電源PSから供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ11と、コンバータ11で変換された直流電力の変換を行う双方向DC/DCコンバータ13とを備えており、双方向DC/DCコンバータ13は、高周波トランス23と、高周波トランス23の一次側及び二次側の各々に設けられて直流電力と交流電力との変換を行う電力変換回路21,25とを備えており、電力変換回路21,25の少なくとも一方は、高周波トランス23が備える巻線の一端P1に接続されたスイッチングレッグL11と、巻線の他端P2に接続されたスイッチングレッグL12と、巻線の中点P3に接続されたスイッチングレッグL13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力の変換を行う電力変換装置及び当該装置を備える充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、直流電力の変換を行う電力変換装置は、一般的にDC/DCコンバータと呼ばれており、非絶縁型のものと絶縁型のものに大別される。絶縁型のDC/DCコンバータは、例えばトランス(変圧器)と、トランスの一次側に接続されて直流電力を交流電力に変換する第1変換器と、トランスの二次側に接続されて交流電力を直流電力に変換する第2変換器とを備える構成である。
【0003】
近年、トランスの一次側から二次側へ直流電力を伝送するのみならず、トランスの二次側から一次側に直流電力を伝送することができる双方向絶縁型DC/DCコンバータが開発されている。この双方向絶縁型DC/DCコンバータは、トランスの一次側及び二次側の双方にスイッチング回路(ブリッジ回路)が設けられており、トランスの一次側に設けられたスイッチング回路を駆動するタイミングと、トランスの二次側に設けられたスイッチング回路を駆動するタイミングとを変えることで、一次側から二次側への直流電力の伝送、或いは、二次側から一次側への直流電力の伝送が可能である。
【0004】
上記の双方向絶縁型DC/DCコンバータを用いることで、例えば二次側に設けられたリチウムイオンバッテリ等の二次電池を必要に応じて充電するとともに、二次電池に充電されている直流電力を必要に応じて一次側に取り出すことが可能な充電装置を実現することができる。尚、双方向絶縁型DC/DCコンバータの詳細については、例えば以下の非特許文献1を参照されたい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】井上重徳,他1名,「双方向絶縁形DC/DCコンバータを用いたエネルギー蓄積システムの基礎実験」,平成18年電気学会全国大会講演論文集,第2006巻,第4号,p.49
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の特許文献1に開示された双方向絶縁型DC/DCコンバータは、トランスの二次側の出力電圧が一次側巻線と二次側巻線との巻線比でほぼ決まってしまう。このため、このような双方向絶縁型DC/DCコンバータを備える充電装置は、効率的に充電を行うことができる電圧範囲が狭いという問題がある。ここで、充電対象の二次電池の電圧が一定であれば、その二次電池の特性に応じて双方向絶縁型DC/DCコンバータを設計すれば二次電池を効率的に充電することができる。しかしながら、充電対象である二次電池の出力電圧が数十〜数百V程度の範囲である場合には、全ての二次電池を効率良く充電することが困難であるという問題があった
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広い電圧範囲に亘って出力電圧が可変である電力変換装置、及び当該装置を備えることにより広い電圧範囲に亘って効率良く充電を行うことが可能な充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電力変換装置は、高周波トランス(23)と、該高周波トランスの一次側に設けられて直流電力と交流電力との変換を行う第1電力変換回路(21)と、前記高周波トランスの二次側に設けられて直流電力と交流電力との変換を行う第2電力変換回路(25)とを備え、直流電力の変換を行う電力変換装置(13)において、前記第1,第2電力変換回路の少なくとも一方は、前記高周波トランスが備える巻線の一端(P1)に接続されてスイッチング素子(31a、31b)を直列接続してなる第1スイッチングレッグ(L11)と、前記巻線の他端(P2)に接続されてスイッチング素子(31c、31d)を直列接続してなる第2スイッチングレッグ(L12)と、前記巻線の一端と他端との間の中点(P3)に接続されてスイッチング素子(31e、32f)を直列接続してなる少なくとも1つの第3スイッチングレッグ(L13)とを備えることを特徴としている。
また、本発明の電力変換装置は、前記中点と前記第3スイッチングレッグとの間を短絡状態又は開放状態にするスイッチ(24)を備えることを特徴としている。
また、本発明の電力変換装置は、前記スイッチが、双方向スイッチ、リレースイッチ、又はコンタクタであることを特徴としている。
また、本発明の電力変換装置は、前記スイッチを制御して前記中点と前記第3スイッチングレッグとの間を開放状態にした場合には、前記第1,第2スイッチングレッグに設けられたスイッチング素子の制御を行い、前記スイッチを制御して前記中点と前記第3スイッチングレッグとの間を短絡状態にした場合には、前記第1,第3スイッチングレッグに設けられたスイッチング素子の制御を行う制御装置(14)を備えることを特徴としている。
本発明の充電装置は、交流電源(PS)から供給される交流電力を用いて二次電池(B)の充電を行う充電装置(1)において、前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ(11)と、前記コンバータで変換された直流電力の変換を行う上記の電力変換装置とを備えることを特徴としている。
また、本発明の充電装置は、前記制御装置が、前記二次電池の特性に応じて、前記コンバータ、前記第1,第2電力変換回路、及び前記スイッチの制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高周波トランスの一次側及び二次側にそれぞれ設けられる第1,第2電力変換回路の少なくとも一方を、高周波トランスが備える巻線の一端に接続される第1スイッチングレッグと、巻線の他端に接続される第2スイッチングレッグと、巻線の中点に接続される少なくとも1つの第3スイッチングレッグとを備える構成にしたため、広い電圧範囲に亘って出力電圧を可変にすることができるという効果がある。これにより、充電装置においては、広い電圧範囲に亘って効率良く充電を行うことが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態による充電装置の要部構成を示す回路図である。
【図2】本発明の一実施形態による充電装置に設けられるスイッチの例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による電力変換装置及び充電装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による充電装置の要部構成を示す回路図である。図1に示す通り、本実施形態の充電装置1は、コンバータ11、コンデンサ12、双方向DC/DCコンバータ13(電力変換装置)、及び制御装置14を備えており、交流電源PSから供給される交流電力(例えば、電圧が200Vである三相交流電力)から充電用の直流電力を生成する。
【0012】
充電装置1によって生成された直流電力は、双方向DC/DCコンバータ13の出力端子T1,T2から外部に出力され、例えば出力端子T1,T2間に接続されたリチウムイオン二次電池等の二次電池Bを充電するために用いられる。尚、出力端子T1,T2間に接続される二次電池Bは、数十〜数百V程度の範囲の出力電圧を取り得るものであるとする。ここで、本実施形態の充電装置1は、出力端子T1,T2に接続された二次電池Bの充電のみならず、二次電池Bに充電された直流電力の取り出しも可能であるが、以下では説明を簡単にするために、主として交流電源PSから供給される交流電力を用いて二次電池Bを充電する場合について説明する。
【0013】
コンバータ11は、ACリアクトル11a及びPWMコンバータ11bを備えており、交流電源PSから供給される三相交流電源を直流電力に変換する。ACリアクトル11aは、PWMコンバータ11bの入力端(交流電源PSとPWMコンバータ11bとの間)に設けられており、交流電源PSから供給される三相交流電源に重畳されている高調波ノイズを除去する。
【0014】
PWMコンバータ11bは、例えば三相全波整流回路を構成する複数のダイオード(例えば、6個のダイオード)と、これらダイオードの各々に並列接続されたトランジスタ等のスイッチング素子とを備えており、制御装置14の制御の下で、交流電源PSから供給される三相交流電力を整流する。尚、制御装置14によって、PWMコンバータ11bに設けられたスイッチング素子がPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御されることにより、出力電圧の制御及び力率の補償が行われる。コンデンサ12は、コンバータ11の出力端子間(双方向DC/DCコンバータ13の入力端子間)に設けられており、コンバータ11で整流された電力を平滑化して直流電力に変換する。
【0015】
双方向DC/DCコンバータ13は、電力変換回路21(第1電力変換回路)、リアクトル22、高周波トランス23、スイッチ24、電力変換回路25(第2電力変換回路)、及びコンデンサ26を備えており、制御装置14の制御の下で直流電力の変換を行う。具体的には、コンバータ11で変換された直流電力の変換を行って出力端子T1,T2から出力する。尚、出力端子T1,T2に接続された二次電池Bから供給される直流電力の変換を行ってコンバータ11に出力する場合もある。
【0016】
電力変換回路21は、スイッチング素子を直列接続してなる3つのスイッチングレッグL11〜L13(第1〜第3スイッチングレッグ)を備えており、制御装置14の制御の下で、コンバータ11で変換された直流電力を交流電力に変換してリアクトル22側に出力する。尚、この電力変換回路21は、リアクトル22側から入力される交流電力を直流電力に変換してコンバータ11に出力することも可能である。
【0017】
スイッチングレッグL11は、直列接続されたトランジスタ31a,31b(スイッチング素子)と、トランジスタ31aに並列接続されたダイオード32a及びコンデンサ33aと、トランジスタ31bに並列接続されたダイオード32b及びコンデンサ33bとを備える。スイッチングレッグL12は、直列接続されたトランジスタ31c,31d(スイッチング素子)と、トランジスタ31cに並列接続されたダイオード32c及びコンデンサ33cと、トランジスタ31dに並列接続されたダイオード32d及びコンデンサ33dとを備える。同様に、スイッチングレッグL13は、直列接続されたトランジスタ31e,31f(スイッチング素子)と、トランジスタ31eに並列接続されたダイオード32e及びコンデンサ33eと、トランジスタ31fに並列接続されたダイオード32f及びコンデンサ33fとを備える。
【0018】
以上のトランジスタ31a〜31fは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、制御装置14によってオン状態及びオフ状態が制御される。尚、トランジスタ31a〜31fとして、通常のバイポーラトランジスタを用いることも、FETトランジスタ(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いることも可能である。尚、コンデンサ33a〜33fは、トランジスタ31a〜31fのスイッチング時に生じる過渡的な高電圧を吸収するために設けられるスナバコンデンサである。
【0019】
具体的に、スイッチングレッグL11〜L13に設けられるトランジスタ31a,31c,31eは、コレクタ電極がコンバータ11の一方の出力端(コンデンサ12の一方の電極)に接続されており、エミッタ電極がトランジスタ31b,31d,31fのコレクタ電極にそれぞれ接続されている。また、スイッチングレッグL11〜L13に設けられるトランジスタ31b,31d,31fは、エミッタ電極がコンバータ11の他方の出両端(コンデンサ12の他方の電極)に接続されている。これらトランジスタ31a〜31fのベース電極は制御装置14に接続されている。尚、ダイオード32a〜32f及びコンデンサ33a〜33fは、トランジスタ31a〜31fのコレクタ・エミッタ間にそれぞれ接続されている。
【0020】
ここで、スイッチングレッグL11をなすトランジスタ31aのエミッタ電極とトランジスタ31bのコレクタ電極との接続点は、リアクトル22を介して高周波トランス23の一次巻線23aの一端P1に接続されている。また、スイッチングレッグL12をなすトランジスタ31cのエミッタ電極とトランジスタ31dのコレクタ電極との接続点は、高周波トランス23の一次巻線23aの他端P2に接続されている。
【0021】
更に、スイッチングレッグL13をなすトランジスタ31eのエミッタ電極とトランジスタ31fのコレクタ電極との接続点は、高周波トランス23の一次巻線23aの中点P3に接続されている。尚、ここにいう中点P3は、一次巻線23aを正確に二分する点という狭い意味ではなく、一次巻線23aの一端P1と他端P2との間の任意の点という広い意味であり、その位置は充電装置1の仕様によって設定される。
【0022】
スイッチングレッグL12に設けられたトランジスタ31c,31d、及び、スイッチングレッグL13に設けられたトランジスタ31e,31fは、制御装置14によって排他的に駆動される。このため、スイッチングレッグL11,L12に設けられた4つのトランジスタ31a〜31d、或いは、スイッチングレッグL11,L13に設けられた4つのトランジスタ31a,31b,31e,31fの各々を、予め設定された規則に従ってスイッチング動作(例えば、PWMスイッチング動作)させることにより、コンバータ11からの直流電力が交流電力に変換されてリアクトル22側に出力される。これに対し、例えばトランジスタ31a〜31fが全てオフ状態である場合にリアクトル22側から交流電力が供給されると、その交流電力がダイオード32a〜32fにより整流されてコンバータ11に出力される。
【0023】
リアクトル22は、一端がスイッチングレッグL11に設けられたトランジスタ31aのエミッタ電極とトランジスタ31bのコレクタ電極との接続点に接続されており、他端が高周波トランス23に設けられた一次側巻線23aの一端P1に接続されている。このリアクトル22は、力率を調整するために設けられる。尚、一次側巻線23aの他端P2は、スイッチングレッグL12(トランジスタ31cのエミッタ電極とトランジスタ31dのコレクタ電極との接続点)に接続されており、一次側巻線23aの中点P3は、スイッチングレッグL13(トランジスタ31eのエミッタ電極とトランジスタ31fのコレクタ電極との接続点)に接続されている。
【0024】
高周波トランス23は、上述した一次側巻線23aと二次側巻線23bとを備える。この高周波トランス23は、一次側巻線23aの全体(一端P1と他端P2との間)に対する二次側巻線23bの巻線比が例えば「6」に設定されており、一次側巻線23aの一部(一端P1と中点P3との間)に対する二次側巻線23bの巻線比が例えば「10」に設定されている。尚、この巻線比の設定は、充電装置1の仕様に応じて任意に設定することができる。この高周波トランス23が設けられていることにより、交流電源PSと二次電池Bとの間が絶縁されることになる。
【0025】
スイッチ24は、高周波トランス23に設けられた一次巻線23aの中点P3とスイッチングレッグL12(トランジスタ31cのエミッタ電極とトランジスタ31dのコレクタ電極との接続点)との間に設けられており、制御装置14の制御の下でこれらの間を短絡状態又は開放状態にする。このスイッチ24は、スイッチングレッグL11,L12に設けられた4つのトランジスタ31a〜31dを駆動している最中に、スイッチングレッグL13に電流が流れるのを防止するために設けられる。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態による充電装置に設けられるスイッチの例を示す回路図である。図2(a)に示すスイッチは、2つのトランジスタと2つのダイオードからなる双方向スイッチである。この双方向スイッチは、一方のトランジスタのベース電極に制御信号を印加すると一方向(例えば、紙面左側から右側)に電流が流れ、他方のトランジスタのベース電極に制御信号を印加すると他方向(例えば、紙面右側から左側)に電流が流れる。また、図2(b)に示すスイッチは、電磁リレー等のリレースイッチである。尚、図2(a),(b)に例示するスイッチ以外にも、電磁接触器(コンタクタ)を用いることも可能である。
【0027】
電力変換回路25は、スイッチング素子を直列接続してなる2つのスイッチングレッグL21,L22を備えており、制御装置14の制御の下で高周波トランス23の一次側から二次側に移行される交流電力を直流電力に変換して出力端子T1,T2側に出力する。尚、この電力変換回路25は、出力端子T1,T2側から供給される直流電力を交流電力に変換して高周波トランス23の二次側巻線23bに出力することも可能である。
【0028】
スイッチングレッグL21は、直列接続されたトランジスタ41a,41bと、トランジスタ41aに並列接続されたダイオード42a及びコンデンサ43aと、トランジスタ41bに並列接続されたダイオード42b及びコンデンサ43bとを備える。スイッチングレッグL22は、直列接続されたトランジスタ41c,41dと、トランジスタ41cに並列接続されたダイオード42c及びコンデンサ43cと、トランジスタ41dに並列接続されたダイオード42d及びコンデンサ43dとを備える。
【0029】
トランジスタ41a〜41dは、電力変換回路21に設けられるトランジスタ31a〜31fと同様に絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、制御装置14によってオン状態及びオフ状態が制御される。尚、トランジスタ41a〜41dとして、通常のバイポーラトランジスタを用いることも、FETトランジスタを用いることも可能である。
【0030】
具体的に、スイッチングレッグL21,L22に設けられるトランジスタ41a,41cは、コレクタ電極が出力端子T1(コンデンサ26の一方の電極)に接続されており、エミッタ電極がトランジスタ41b,41dのコレクタ電極にそれぞれ接続されている。また、スイッチングレッグL21,L22に設けられるトランジスタ41b,41dは、エミッタ電極が出力端子T2(コンデンサ26の他方の電極)に接続されている。これらトランジスタ41a〜41dのベース電極は制御装置14に接続されている。尚、ダイオード42a〜42d及びコンデンサ43a〜43dは、トランジスタ41a〜41dのコレクタ・エミッタ間にそれぞれ接続されている。
【0031】
ここで、スイッチングレッグL21をなすトランジスタ41aのエミッタ電極とトランジスタ41bのコレクタ電極との接続点は、高周波トランス23の二次巻線23bの一端に接続されている。また、スイッチングレッグL22をなすトランジスタ41cのエミッタ電極とトランジスタ41dのコレクタ電極との接続点は、高周波トランス23の二次巻線23bの他端に接続されている。
【0032】
スイッチングレッグL21,L22に設けられた4つのトランジスタ41a〜41dの各々を、予め設定された規則に従ってスイッチング動作(例えば、PWMスイッチング動作)させることにより、出力端子T1,T2側(コンデンサ26側)からの直流電力が交流電力に変換されて高周波トランス23の二次側巻線23bに出力される。これに対し、例えばトランジスタ41a〜41dが全てオフ状態である場合に、高周波トランス23の一次側から二次側に交流電力が移行されると、その交流電力がダイオード42a〜42dにより整流されて出力端子T1,T2側(コンデンサ26)側に出力される。コンデンサ26は、充電装置1の出力端子T1,T2間に接続されており、電力変換回路25で整流された電力を平滑化して直流電力に変換する。
【0033】
制御装置14は、出力端子T1,T2に接続された二次電池Bの充電制御を行う。具体的には、出力端子T1,T2に接続された二次電池Bの特性に応じて、コンバータ11、双方向DC/DCコンバータ13に設けられた電力変換回路31,25、及びスイッチ24の制御を行う。
【0034】
次に、上記構成における充電装置1を用いて二次電池Bを充電する場合の動作について説明する。尚、本実施形態の充電装置1は、高周波トランス23の一次側から二次側に電力を移行させる場合に、双方向DC/DCコンバータ13に設けられた電力変換回路21,25の各々を制御すれば移行される電力量の制御が可能であるが、ここでは説明を簡単にするために、電力変換回路21のみを制御して充電を行う場合について説明する。
【0035】
まず、充電すべき二次電池Bを充電装置1に接続し、二次電池Bの正電極及び負電極を充電装置1の出力端子T1,T2にそれぞれ導通させる。二次電池Bの接続が完了すると、制御装置14は、出力端子T1,T2に接続された二次電池Bに関する情報(例えば、出力電圧や残容量等の情報)を取得する。例えば、図1に示す通り、二次電池Bの監視を行う監視回路Dが二次電池Bに設けられている場合には、この監視回路Dから二次電池Bに関する情報を取得する。尚、二次電池Bの出力電圧等の情報を検出する検出回路を出力端子T1,T2との間に設け、この検出回路から二次電池Bに関する情報を取得しても良い。
【0036】
二次電池Bに関する情報を取得すると、制御装置14は、取得した情報に応じてスイッチ24のオン状態・オフ状態を切り替える。例えば、二次電池Bの出力電圧が数十V程度である場合にはスイッチ24をオフ状態にし、二次電池Bの出力電圧が数百V程度である場合にはスイッチ24をオン状態にする。つまり、二次電池Bの電圧が低い場合には、高周波トランス23の一次側巻線23aの中点P3とスイッチングレッグL13との間を開放し、二次電池Bの電圧が高い場合には、高周波トランス23の一次側巻線23aの中点P3とスイッチングレッグL13との間を短絡する。
【0037】
以上の作業及び制御が終了し、充電開始の指示が行われると、制御装置14から双方向DC/DCコンバータ13に設けられた電力変換回路21に制御信号が出力され、電力変換回路21に設けられたトランジスタ31a〜31fのスイッチング動作が開始される。具体的に、二次電池Bの電圧が低い場合には、電力変換回路21に設けられた6つのトランジスタ31a〜31fのうち、スイッチングレッグL11,L12に設けられた4つのトランジスタ31a〜31fのスイッチング動作が開始される。これに対し、二次電池Bの電圧が高い場合には、スイッチングレッグL11,L13に設けられた4つのトランジスタ31a,31b,31e,31fのスイッチング動作が開始される。
【0038】
これにより、交流電源PSから供給される三相交流電力はコンバータ11によって直流電力に変換され、トランジスタ31a〜31d、或いは、トランジスタ31a,31b,31e,31fのスイッチング動作によってコンバータ11で変換された直流電力が交流電力に変換される。電力変換回路21によって変換された交流電力は、リアクトル22を介して高周波トランス23の一次側巻線23aに供給される。
【0039】
ここで、二次電池Bの電圧が低い場合には、トランジスタ31a〜31dのスイッチング動作によって変換された交流電力は、高周波トランス23の巻線比が低い状態(昇圧比が小さい状態)で一次側から二次側に移行される。このため、高周波トランス23の二次側巻線23bには巻線比に応じたさほど高くない電圧(例えば、数十V程度)の電圧が誘起される。これに対し、二次電池Bの電圧が高い場合には、トランジスタ31a,31b,31e,31fのスイッチング動作によって変換された交流電力は、高周波トランス23の巻線比が高い状態(昇圧比が大きい状態)で一次側から二次側に移行される。このため、高周波トランス23の二次側巻線23bには巻線比に応じた高い電圧(例えば、数百V程度)の電圧が誘起される。
【0040】
高周波トランス23の二次側に移行された交流電力は電力変換回路25に入力され、電力変換回路25に設けられたダイオード41a〜41dによって整流された後にコンデンサ26で平滑されて直流電力に変換される。この直流電力は、接続端子T1,T2を介して二次電池Bに供給され、これにより二次電池Bが充電される。このようにして、充電装置1による二次電池Bの充電が行われる。
【0041】
以上の通り、本実施形態では、高周波トランス23の一次巻線23aの一端P1及び他端P2にそれぞれ接続されるスイッチングレッグL11,L12に加えて、一次巻線23aの中点P3に接続されるスイッチングレッグL13を設け、出力端子T1,T2に接続される二次電池Bの出力電圧に応じて、スイッチングレッグL12,L13に設けられたトランジスタを排他的にスイッチングするようにしたため、広い電圧範囲に亘って充電装置1の出力電圧を変えることができる。これにより、充電装置1を用いて様々な種類の二次電池の充電を効率的に行うことができる。
【0042】
以上、本発明の一実施形態による電力変換装置及び充電装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、高周波トランス23の一次巻線23aに1つの中点P3が設定されており、この中点P3に接続される1つのスイッチングレッグL13が設けられた例について説明したが、一次巻線23aの異なる位置に複数の中点を設定し、各々の中点に接続される複数のスイッチングレッグを設ける構成にしても良い。かかる構成にすることで、電圧の可変範囲を細かく設定することができる。
【0043】
また、上記実施形態では、電力変換回路21に3つのスイッチングレッグが設けられており、電力変換回路25には2つのスイッチングレッグが設けられている構成を例に挙げて説明した。しかしながら、しかしながら、電力変換回路21に代えて、或いは電力変換回路21とともに、電力変換回路25が3つのスイッチングレッグを備える構成にすることも可能である。
【0044】
更に、上記実施形態では、交流電源PSから供給される三相交流電力を用いて二次電池Bの充電を行う充電装置を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は単相交流電力を用いて二次電池Bの充電を行う充電装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 充電装置
11 コンバータ
13 双方向DC/DCコンバータ
14 制御装置
21,25 電力変換回路
23 高周波トランス
24 スイッチ
31a〜31f トランジスタ
B 二次電池
L11〜L13 スイッチングレッグ
P1 一端
P2 他端
P3 中点
PS 交流電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波トランスと、該高周波トランスの一次側に設けられて直流電力と交流電力との変換を行う第1電力変換回路と、前記高周波トランスの二次側に設けられて直流電力と交流電力との変換を行う第2電力変換回路とを備え、直流電力の変換を行う電力変換装置において、
前記第1,第2電力変換回路の少なくとも一方は、前記高周波トランスが備える巻線の一端に接続されてスイッチング素子を直列接続してなる第1スイッチングレッグと、
前記巻線の他端に接続されてスイッチング素子を直列接続してなる第2スイッチングレッグと、
前記巻線の一端と他端との間の中点に接続されてスイッチング素子を直列接続してなる少なくとも1つの第3スイッチングレッグと
を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記中点と前記第3スイッチングレッグとの間を短絡状態又は開放状態にするスイッチを備えることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記スイッチは、双方向スイッチ、リレースイッチ、又はコンタクタであることを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記スイッチを制御して前記中点と前記第3スイッチングレッグとの間を開放状態にした場合には、前記第1,第2スイッチングレッグに設けられたスイッチング素子の制御を行い、前記スイッチを制御して前記中点と前記第3スイッチングレッグとの間を短絡状態にした場合には、前記第1,第3スイッチングレッグに設けられたスイッチング素子の制御を行う制御装置を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の電力変換装置。
【請求項5】
交流電源から供給される交流電力を用いて二次電池の充電を行う充電装置において、
前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータで変換された直流電力の変換を行う請求項4記載の電力変換装置と
を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記二次電池の特性に応じて、前記コンバータ、前記第1,第2電力変換回路、及び前記スイッチの制御を行うことを特徴とする請求項5記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−5594(P2013−5594A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134357(P2011−134357)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】