説明

電力変換装置

【課題】太陽電池に複数台の電力変換器を並列接続して運転ができるようにする。
【解決手段】複数の太陽電池パネル1〜1に、複数台のDC/DCコンバータ5〜5を並列接続し、PFM制御部17によって、DC/DCコンバータ5〜5全体として最大電力変換制御を行うように電流増減指令を生成し、分配部18によって、所定の分配比率の電流が流れるにように、電流増減指令を修正して各DC/DCコンバータ5〜5に分配し、各DC/DCコンバータ5〜5は、分配された電流増減指令に基づいて、電流制御を行うようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルに複数台の電力変換器を並列接続して太陽電池パネルの直流電力を変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から環境への影響の少ない太陽電池、燃料電池等による分散型電源システムの開発が盛んに進められている。このような分散型電源システムでは、太陽電池等によって発電した直流電力を、電力変換器としてのDC/DCコンバータおよびインバータ等を備えるパワーコンディショナによって商用周波数の交流電力に変換し、商用電力系統と連系して負荷に供給するとともに、余剰電力を商用電力系統に逆潮流することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−161032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記DC/DCコンバータとして、高周波トランス絶縁方式のDC/DCコンバータ(以下「高周波絶縁DC/DCコンバータ」という)があるが、かかる高周波絶縁DC/DCコンバータでは、効率のよい大容量の高周波トランスを製作するのが困難であり、大容量にすると、効率が上がらず、現状では、その容量は2kW程度である。
【0005】
このため、例えば、10kW以上といった大きな発電電力を得る場合には、例えば太陽電池パネル5台それぞれに上記容量のDC/DCコンバータを5台、個別接続して各太陽電池パネルの直流電力をそれぞれ個別変換して10kW以上の発電電力を得ることが考えられるが、このような接続形態では、発電電力を大きくしようとすると、太陽電池パネル及びDC/DCコンバータの数が増加し、配線数が増大し、配線作業もより煩雑化してくる。
【0006】
そこで、複数の太陽電池パネル同士をまとめて並列接続し、また、複数台のDC/DCコンバータ同士をまとめて並列接続すると共に、各太陽電池パネルと各DC/DCコンバータとはそれぞれの並列接続一端側同士を配線接続することで全体の配線数を削減し、配線作業の簡素化を図ることが考えられる。
【0007】
しかしながら、従来では、上記各DC/DCコンバータそれぞれを、太陽電池の動作点が最大出力点に追従するように変化させ、太陽電池から最大出力を取り出す最大電力追従制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking)を行わせると、各DC/DCコンバータそれぞれが入力電流をばらばらに制御して電力変換を行ってしまうという課題がある。
【0008】
したがって、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、より大きい発電出力を得るに際して複数台の電力変換器を並列接続し、それらの配線の簡素化を図る一方で、太陽電池の最大電力追従制御を行う場合に、電流制御を可能とするようにした電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0010】
本発明の電力変換装置は、太陽電池に並列接続される複数台の電力変換器を備える電力変換装置であって、前記複数台全体としての前記太陽電池の最大電力追従制御を行うように電流指令または電流増減指令を生成する生成手段と、前記生成手段で生成した電流指令または電流増減指令を、前記複数台の各電力変換器に対して分配する分配手段とを具備している。
【0011】
電力変換器は、DC/DCコンバータであってもよいし、インバータであってもよい。
【0012】
分配手段では、単に分配してもよいし、修正などの何らかの加工を施して分配してもよい。
【0013】
本発明の電力変換装置によれば、複数台の電力変換器全体としての最大電力追従制御を行うように電流指令または電流増減指令を生成し、生成した電流指令または電流増減指令を、各電力変換器に分配するので、各電力変換器では、分配された電流指令または電流増減指令に基づく制御が可能となり、各電力変換器がそれぞれ最大電力追従制御を行う従来例のように、電流制御できなくなるといったことがない。
【0014】
本発明の電力変換装置の一つの実施態様では、前記太陽電池が、一つの太陽電池パネルまたは出力が並列接続された複数の太陽電池パネルであり、前記分配手段は、前記生成手段で生成した前記電流指令を前記各電力変換器に対する入力電流指令として分配するものであり、前記各電力変換器は、前記入力電流指令に基づいて電流制御をそれぞれ行うものである。
【0015】
入力電流指令は、電力変換器の許容電流内の電流指令である。
【0016】
この実施態様によると、生成手段で生成した電流指令を、各電力変換器に対する入力電流指令として分配し、各電力変換器では、入力電流指令に基づいて電流制御をそれぞれ行うことができる。更に、複数の太陽電池パネルと複数台の電力変換装置とを並列接続して電力変換を行うので、発電電力を高めることができると共に、複数の太陽電池パネルと複数台の電力変換器とを個別にそれぞれ接続する構成に比べて、配線数を削減することができる。
【0017】
本発明の電力変換装置の別の実施態様では、前記太陽電池が、一つの太陽電池パネルまたは出力が並列接続された複数の太陽電池パネルであり、前記分配手段は、前記生成手段で生成した電流増減指令を、各電力変換器の各入力電流および予め定めた電流の分配比率に基づいて、修正して分配するものであり、前記各電力変換器は、修正された電流増減指令によって制御されるものである。
【0018】
電流の分配比率は、各電力変換器に流れる電流の比率を規定するものであり、この比率は、太陽電池の発電電力の変化などに応じて変化させてもよい。
【0019】
また、この電流の分配比率は、均等な比率としてもよいし、不均等な比率としてもよく、複数台の電力変換器全体として最大効率となるような比率、例えば、複数台の電力変換器の内の少なくとも1台を停止させるような比率としてもよい。
【0020】
分配手段では、入力電流が、予め定めた電流の分配比率によって規定される電流と略等しいときには、電流増減信号を修正することなく分配する一方、入力電流が、予め定めた電流の分配比率によって規定される電流と異なるときには、予め定めた電流の分配比率によって規定される電流となるように電流増減信号を修正して分配するのが好ましい。
【0021】
この実施態様によると、生成手段で生成した電流増減指令を、各電力変換器の各入力電流が予め定めた電流の分配比率に基づく電流となるように修正し、修正した電流増減指令によって、各電力変換器を制御することができる。更に、複数の太陽電池パネルと複数台の電力変換装置とを並列接続して電力変換を行うので、発電電力を高めることができると共に、複数の太陽電池パネルと複数台の電力変換器とを個別にそれぞれ接続する構成に比べて、配線数を削減することができる。
【0022】
本発明の他の実施態様では、前記各電力変換器は、昇圧チョッパからなるDC/DCコンバータ、あるいは、電流共振型DC/DCコンバータとしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、複数台の電力変換器全体として最大電力追従制御を行うように電流指令または電流増減指令を生成し、生成した電流指令または電流増減指令を、各電力変換器に分配するので、各電力変換器では、分配された電流指令または電流増減指令に基づく制御が可能となり、各電力変換器がそれぞれ最大電力追従制御を行う従来例のように、電流制御できなくなるといったことがない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一つの実施の形態に係る太陽光発電システムの概略構成図である。
【図2】本発明の他の実施形態の太陽光発電システムの概略構成図である。
【図3】本発明の更に他の実施形態に係る太陽光発電システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施形態に係る電力変換装置を備える太陽光発電システムの概略構成図である。
【0027】
この太陽光発電システムは、直流電力源としての複数、この実施形態では3つの太陽電池パネル1〜1と、この太陽電池パネル1〜1からの直流電力を、交流電力に変換して商用電源系統である、例えば、単相電源2に連系する電力変換装置としてのパワーコンディショナ3とを備えている。3つの太陽電池パネル1〜1の出力は、逆流防止用のダイオード4〜4を介して互いに並列接続されている。
【0028】
パワーコンディショナ3は、入力側および出力側が並列接続された複数台、この実施形態では3台の電力変換器としての高周波トランス絶縁方式のDC/DCコンバータ5〜5と、DC/DCコンバータ5〜5からの直流電力を、単相の交流電力に変換して商用の単相電源2に連系するインバータ25とを備えている。
【0029】
各DC/DCコンバータ5〜5は、ハーフブリッジ結合方式による電流共振型のコンバータである。各DC/DCコンバータ5〜5は、例えば、MOS−FETからなる主スイッチ及び補助スイッチとしてのスイッチング素子6a及びスイッチング素子6bと、ダイオード7a,7bと、部分電圧共振コンデンサ8と、電流共振コンデンサ9と、高周波トランス10とを備えると共に、二次側に、ダイオード11,12及びコンデンサ13,14からなる倍電圧整流回路を備えている。高周波トランス10は、一次側のリーケージインダクタンス15を含み、電流共振に利用される。
【0030】
また、各DC/DCコンバータ5〜5は、各スイッチング素子6a,6bをスイッチング駆動するための駆動回路16a,16bを備えている。各駆動回路16a,16bは、後述のPFM制御信号の所要のパルス幅に応じた周波数の駆動信号をスイッチング素子6a,6bのゲートに印加する。
【0031】
この電流共振型の各DC/DCコンバータ5〜5は、PFM(パルス周波数変調)制御で動作し、各スイッチング素子6a,6bが相補的にスイッチングすることによって、ゼロ電圧スイッチングを行うことができる。
【0032】
この実施形態では、太陽電池パネル1〜1に並列接続された3台のDC/DCコンバータ5〜5の電流制御を可能とするために、次のように構成している。
【0033】
すなわち、この実施形態のパワーコンディショナ3は、3台のDC/DCコンバータ5〜5全体として太陽電池の最大電力追従制御(MPPT)を行うように、電流増減指令としてのPFM制御信号を生成する生成手段としてのPFM制御部17と、このPFM制御部17からのPFM制御信号を、各DC/DCコンバータ5〜5の各入力電流及び予め定められた電流の分配比率k1〜k3に基づいて、修正して各DC/DCコンバータ5〜5の各駆動回路16a,16bに分配する分配部18とを備えている。
【0034】
PFM制御部17には、太陽電池パネル1〜1の出力電圧を検出する電圧検出器19の検出出力、及び、各DC/DCコンバータ5〜5の各入力電流をそれぞれ検出する各電流検出器20〜20の検出出力を加算して全電流を算出する加算器21の出力が与えられる。すなわち、PFM制御部17には、太陽電池パネル1〜1の出力電圧及び出力電流に応じた各検出出力がそれぞれ与えられ、これらに基づいて、PFM制御部17は、いわゆる、山登り法によって、太陽電池パネル1〜1から最大電力を取り出すように、パルス幅が制御されたパルス幅増減信号であるPFM制御信号を演算出力する最大電力追従制御(MPPT)を行う。
【0035】
つまり、このPFM制御部17は、太陽電池パネル1〜1から最大電力を取り出すように、太陽電池パネル1〜1の出力電流を増減させる電流増減指令であるPFM制御信号を出力する。
【0036】
このPFM制御信号を修正して各DC/DCコンバータ5〜5に分配する分配部18は、各DC/DCコンバータ5〜5の入力電流の総和である加算器21の出力に、それぞれ分配比率k1〜k3を乗算する乗算器22〜22と、各乗算器22〜22の出力と上述の各電流検出器20〜20の出力との偏差を算出する減算器23〜23と、各減算器23〜23の出力に基づいて、PFM制御部17からのPFM制御信号をそれぞれ修正して各DC/DCコンバータ5〜5に与える修正部24〜24とを備えている。
【0037】
各乗算器22〜22における電流の分配比率k1〜k3は、k1+k2+k3=1であり、この実施形態では、例えば、k1=k2=k3=1/3としており、各DC/DCコンバータ5〜5に均等な電流が流れる比率としている。
【0038】
各減算器23〜23では、DC/DCコンバータ5〜5の全電流を各乗算器22〜22によって1/3に等分した電流と、各DC/DCコンバータ5〜5の実際の電流との偏差を算出する。
【0039】
各修正部24〜24では、各減算器23〜23からの偏差に応じて、PFM制御部17からのパルス幅増減信号であるPFM制御信号を、例えば、次のようにそれぞれ修正して各DC/DCコンバータ5〜5に与える。
【0040】
すなわち、上記偏差が零または小さいときには、所望の分配が行われているとして、パルス幅増減信号を修正することなく、そのままのパルス幅のパルス幅増減信号を、対応するDC/DCコンバータに出力する。
【0041】
また、例えば、上記偏差がマイナスで大きい場合、すなわち、所望の分配に比べて多くの電流が流れている場合において、パルス幅増減信号がパルス幅を増やす方向であるときには、パルス幅を増やすと、更に多くの電流が流れることになるので、パルス幅を増やさないように修正したパルス幅増減信号を、対応するDC/DCコンバータに出力する。また、所望の分配に比べて多くの電流が流れている場合において、パルス幅増減信号がパルス幅を減らす方向であるときには、パルス幅増減信号を修正することなく、そのまま対応するDC/DCコンバータに出力する。これによって、所望の分配に比べて多くの電流が流れているDC/DCコンバータでは、電流が抑制されることになる。
【0042】
また、上記偏差がプラスで大きい場合、すなわち、所望の分配に比べて流れる電流が少ない場合において、パルス幅増減信号がパルス幅を増やす方向であるときには、パルス幅増減信号を修正することなく、そのまま対応するDC/DCコンバータに出力する。また、所望の分配に比べて流れる電流が少ない場合において、パルス幅増減信号がパルス幅を減らす方向であるときには、パルス幅を減らすと、更に電流が少なくなるので、パルス幅を減らさないように修正したパルス幅増減信号を、対応するDC/DCコンバータに出力する。これによって、所望の分配に比べて流れる電流が少ないDC/DCコンバータでは、電流が増加するように制御される。
【0043】
なお、各修正部24〜24における修正は、上記に限らず、条件に応じて更に細かく修正してもよい。
【0044】
各修正部24〜24からのパルス幅増減信号であるPFM制御信号が与えられる各DC/DCコンバータ5〜5の各駆動回路16a,16bは、PFM制御信号のパルス幅に応じて各スイッチング素子6a,6bをスイッチング駆動する。
【0045】
これによって、DC/DCコンバータ5〜5には、全体として太陽電池パネル1〜1から最大電力を取り出すように、かつ、分配比率k1〜k3に応じて均等に電流が流れることになる。
【0046】
このようにPFM制御部17は、3台のDC/DCコンバータ51〜53全体として最大電力追従制御を行うように電流増減指令としてのPFM制御信号を生成し、分配部18は、生成したPFM制御信号を、各DC/DCコンバータ5〜5に対して分配比率k1〜k3に応じた電流が流れるように修正して分配するので、3台のDC/DCコンバータ5〜5が連携して太陽電池パネル1〜1からの直流電力を変換することができる。
【0047】
これらDC/DCコンバータ5〜5からの直流電力は、インバータ25によって商用電源に連系した単相の交流電力に変換される。
【0048】
(実施形態2)
図2は、本発明の他の実施形態に係る電力変換装置を備える太陽光発電システムの概略構成図であり、図1に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0049】
この実施形態の太陽光発電システムは、3つの太陽電池パネル1〜1と、この太陽電池パネル1〜1からの直流電力を、交流電力に変換して商用電源系統である、例えば、単相電源2に連系する電力変換装置としてのパワーコンディショナ3aとを備えている。3つの太陽電池パネル1〜1の出力は、逆流防止用のダイオード4〜4を介して互いに並列接続されている。
【0050】
パワーコンディショナ3aは、入力側および出力側が並列接続された複数台、この実施形態では3台の電力変換器としてのDC/DCコンバータ5a〜5aと、DC/DCコンバータ5a〜5aからの直流電力を、単相の交流電力に変換して商用の単相電源2に連系するインバータ25とを備えている。
【0051】
各DC/DCコンバータ5a〜5aは、トランジスタからなるスイッチング素子26と、インダクタンス27、ダイオード28及びコンデンサ29を含む非絶縁型の昇圧チョッパをそれぞれ備えており、各駆動回路30によって、後述のようにしてそれぞれPWM(パルス幅変調)駆動される。
【0052】
この実施形態では、太陽電池パネル1〜1に並列接続された3台のDC/DCコンバータ5a〜5aの電流制御を可能とするために、次のように構成している。
【0053】
すなわち、この実施形態のパワーコンディショナ3aは、3台のDC/DCコンバータ5a〜5a全体として太陽電池の最大電力追従制御(MPPT)を行うように、電流指令を生成する生成手段としての最大電力追従制御部(MPPT)31と、この最大電力追従制御部31からの電流指令を、各DC/DCコンバータ5a〜5aに対して入力電流指令として分配する分配部32とを備えている。
【0054】
各DC/DCコンバータ5〜5は、分配部32からの各入力電流指令に基づいて、電流制御をそれぞれ行うように構成されている。
【0055】
最大電力追従制御部31には、太陽電池パネル1〜1の出力電圧を検出する電圧検出器19の検出出力、及び、各DC/DCコンバータ5a〜5aの各入力電流をそれぞれ検出する各電流検出器20〜20の検出出力を加算して全電流を算出する加算器21の出力が与えられる。すなわち、最大電力追従制御部31には、太陽電池パネル1〜1の出力電圧及び出力電流に応じた各検出出力がそれぞれ与えられ、これらに基づいて、最大電力追従制御部31は、いわゆる、山登り法によって、太陽電池パネル1〜1から最大電力を取り出すように、電流指令を演算出力する最大電力追従制御(MPPT)を行う。
【0056】
この電流指令を各DC/DCコンバータ5a〜5aに分配する分配部32は、電流指令に、それぞれ分配比率k1〜k3を乗算する乗算器22〜22を備えている。各乗算器22〜22における電流の分配比率k1〜k3は、k1+k2+k3=1であり、この実施形態では、例えば、k1=k2=k3=1/3としており、最大電力追従制御部31からの電流指令を、等分して各DC/DCコンバータ5a〜5aに対する入力電流指令としている。
【0057】
すなわち、この実施形態では、最大電力追従制御部31によって、3台のDC/DCコンバータ5a〜5a全体として太陽電池パネル1〜1から最大電力を取り出すように電流指令を生成し、分配部32によって、その電流指令を等分して各DC/DCコンバータ5a〜5aに対する入力電流指令として分配している。
【0058】
各DC/DCコンバータ5a〜5aは、各入力電流指令と各電流検出器20〜20によって検出される実際の入力電流との偏差をそれぞれ算出する第1減算器33〜33と、偏差をなくすように補償する補償器34〜34と、各補償器34〜34の出力と搬送波発生部35からの搬送波とを比較する比較器36〜36とを備えており、各比較器36〜36からのPWM信号が各駆動回路30にそれぞれ与えられて各スイッチング素子26の駆動が制御される。
【0059】
これによって、各DC/DCコンバータ5〜5には、分配部32からの入力電流指令に応じた均等な電流が流れることになる。
【0060】
このように最大電力追従制御部31は、DC/DCコンバータ5〜5全体として最大電力追従制御を行うように電流指令を生成し、分配部32は、最大電力追従制御部31からの電流指令を、各DC/DCコンバータ5〜5に対して入力電流指令として分配し、各DC/DCコンバータ5〜5は、入力電流指令に応じて電流制御を行うので、3台のDC/DCコンバータ5〜5が連携して太陽電池パネル1〜1からの直流電力を変換することができる。
【0061】
これらDC/DCコンバータ5〜5からの直流電力は、インバータ25によって商用電源に連系した単相の交流電力に変換される。
【0062】
上述の実施形態では、電流指令を、3台のDC/DCコンバータ5〜5に均等に分配したけれども、本発明の他の実施形態として、3台のDC/DCコンバータ5〜5全体として最も効率のよい運転ができるように、不均等に分配してもよく、例えば、入力電圧が低いときには、DC/DCコンバータ5〜5の運転台数を減らすような入力電流指令を与えるようにしてもよい。
【0063】
なお、各DC/DCコンバータ5〜5は、並列接続されない場合には、従来と同様に、それぞれが最大電力追従制御を行うようにしてもよい。
【0064】
上述の各実施形態では、電力変換器としてDC/DCコンバータに適用して説明したけれども、本発明は、DC/DCコンバータを省略してインバータに適用することも可能であり、例えば、図3のパワーコンディショナ3bに示すように、上述の実施形態と同様の最大電力追従制御部31及び分配部32を備え、最大電力追従制御部31によって生成されて分配部32によって分配された入力電流指令を、3台の各電流制御インバータ25〜25に与える一方、各電流検出器20〜20の検出出力を、3台の各電流制御インバータ25〜25にそれぞれ与え、各電流制御インバータ25〜25によって入力電流指令に応じた電流制御を行なうようにしてもよい。なお、各インバータ25〜25では、従来と同様の力率制御も行われる。
【0065】
上述の各実施形態では、商用電源系統として単相電源2に連系させたけれども、三相電源に連系させてもよいのは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、太陽電池からの電力を変換する太陽光発電システムなどの電力変換に有用である。
【符号の説明】
【0067】
〜1 太陽電池パネル
2 単相電源
3,3a,3b パワーコンディショナ
〜5,5a〜5a DC/DCコンバータ
17 PFM制御部
18,32 分配部
25,25〜25インバータ
31 最大電力追従制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池に並列接続される複数台の電力変換器を備える電力変換装置であって、
前記複数台全体としての前記太陽電池の最大電力追従制御を行うように電流指令または電流増減指令を生成する生成手段と、
前記生成手段で生成した電流指令または電流増減指令を、前記複数台の各電力変換器に対して分配する分配手段と、
を具備することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記太陽電池が、一つの太陽電池パネルまたは出力が並列接続された複数の太陽電池パネルであり、
前記分配手段は、前記生成手段で生成した前記電流指令を前記各電力変換器に対する入力電流指令として分配するものであり、
前記各電力変換器は、前記入力電流指令に基づいて電流制御をそれぞれ行う、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記太陽電池が、一つの太陽電池パネルまたは出力が並列接続された複数の太陽電池パネルであり、
前記分配手段は、前記生成手段で生成した電流増減指令を、各電力変換器の各入力電流および予め定めた電流の分配比率に基づいて、修正して分配するものであり、
前記各電力変換器は、修正された電流増減指令によって制御される、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記各電力変換器が、昇圧チョッパを備えるDC/DCコンバータである請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記各電力変換器が、電流共振型DC/DCコンバータである請求項3に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−164964(P2011−164964A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27411(P2010−27411)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000217491)田淵電機株式会社 (67)
【Fターム(参考)】