説明

電力変換装置

【課題】出力電流から直流成分を効果的に取り除くことができる電力変換装置を提供すること。
【解決手段】電力変換装置は、電力変換部と、電圧検出部と、電流検出部と、検出電圧調整部と、制御部とを備える。電力変換部は、電源装置の電力を交流電力へ変換して電力系統へ出力する。電圧検出部は、電力系統の電圧を検出する。電流検出部は、電力変換部と電力系統との間に流れる電流の直流成分を検出する。検出電圧調整部は、電流検出部によって検出された直流成分に応じたバイアスを加えて生成した信号を電圧検出信号として出力する。制御部は、電圧検出信号に応じた交流電圧を電力変換部から出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源装置の電力を交流電力へ変換して電力系統へ出力する電力変換部を備えた電力変換装置が知られている。このような電力変換装置としては、例えば、太陽電池や燃料電池などの直流電力をインバータによって交流電力に変換して電力系統へ出力する系統連系用インバータがある。
【0003】
かかる電力変換装置において、電力変換部の出力電流に含まれる直流成分を検出し、かかる検出結果を電流フィードバック系に反映させることによって、出力電流の直流成分を取り除こうとする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3023647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電力変換装置では、電流フィードバックのために出力電流を検出する電流検出器が用いられ、かかる電流検出器から出力される検出信号にはキャリア成分などのノイズが含まれる。そのため、出力電流の直流成分を取り除ける程に、電流フィードバック制御のゲインを十分に高く設定することは難しい。
【0006】
したがって、出力電流に含まれる直流成分を検出して電流フィードバック系に反映させた場合であっても、出力電流に含まれる直流成分を十分に取り除くことは困難であった。
【0007】
そこで、実施形態の一態様は、出力電流に含まれる直流成分を効果的に取り除くことができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る電力変換装置は、電力変換部と、電圧検出部と、電流検出部と、検出電圧調整部と、制御部とを備える。前記電力変換部は、電源装置の電力を交流電力へ変換して電力系統へ出力する。前記電圧検出部は、前記電力系統の電圧を検出する。前記電流検出部は、前記電力変換部と前記電力系統との間に流れる電流の直流成分を検出する。前記検出電圧調整部は、前記電圧検出部の検出出力に前記直流成分に応じた直流補正(以下、バイアスと記載する)を加えて生成した信号を電圧検出信号として出力する。前記制御部は、前記電圧検出信号に応じた交流電圧を前記電力変換部から出力させる。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、出力電流に含まれる直流成分を効果的に取り除くことができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、電力変換部と電力系統の簡易モデルを示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る電力変換装置の具体的構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、図3に示す電力変換部の構成の一例を示す図である。
【図5】図5は、図3に示す直流成分検出器の構成の一例を示す図である。
【図6】図6は、図3に示す検出電圧調整部の構成の一例を示す図である。
【図7】図7は、図3に示す検出電圧調整部の構成の他の一例を示す図である。
【図8】図8は、第1の実施形態に係る電力変換装置の具体的構成の他の一例を示す図である。
【図9】図9は、第2の実施形態に係る電力変換装置の具体的構成の一例を示す図である。
【図10】図10は、S相電流の直流成分をゼロとする調整部を備える場合の簡易モデルを示す図である。
【図11】図11は、図9に示す直流成分検出器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する電力変換装置のいくつかの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る電力変換装置1は、電源装置2と電力系統3との間に配置されており、電源装置2の電力を交流電力へ変換して電力系統3へ出力する。電源装置2は、例えば、太陽光や風力などの自然エネルギーを電気エネルギーに変換する発電装置や燃料電池などである。
【0013】
電力変換装置1は、電力変換部10と、電圧検出部20と、電流検出部30と、検出電圧調整部40と、制御部50とを備える。電力変換部10から出力する交流電圧(以下、出力電圧と記載する)を電力系統3の電圧に基づいて制御し、これにより、電力変換装置1から電力系統3への電力供給を可能としている。
【0014】
電力変換部10は、電源装置2の電力を交流電力へ変換して電力系統3へ出力する。電力変換部10は、電源装置2の電力が直流電力である場合、例えば、直流電力を交流電力へ変換するインバータ回路が用いられる。
【0015】
電圧検出部20は、電力系統3の電圧を検出する。かかる検出結果は、電力変換部10の出力電圧の位相および電圧の制御に用いられる。
【0016】
電流検出部30は、電流検出器31と直流成分検出器32を備える。電流検出器31は、電力変換部10から電力系統3へ供給する電流(以下、出力電流と記載する)を検出する。直流成分検出器32は、電流検出器31によって検出された相電流に含まれる直流成分を検出し、検出結果を検出電圧調整部40へ出力する。
【0017】
検出電圧調整部40は、電圧検出部20の検出出力と、直流成分検出器32によって検出された直流成分に基づいたバイアスとを用いて生成した信号を電圧検出信号として制御部50へ出力する。なお、出力電流に直流成分が含まれる要因として、例えば、電力変換部10を構成する素子のばらつきなどがある。
【0018】
制御部50は、電流検出部30によって検出された出力電流と目標電流値が一致するように電流フィードバック制御を行う。検出電圧調整部40から出力される電圧検出信号は、この電流フィードバック制御の出力に加算され出力電圧指令が生成される。
【0019】
このように、制御部50が電力変換部10を制御することにより、電力変換部10の出力電圧は、電力系統3の電圧に出力電流の直流成分に応じたバイアス電圧が加えられる。こうして、出力電流に含まれる直流成分は、精度よく抑制されることが可能となる。
【0020】
ここで、出力電流に含まれる直流成分を取り除く処理について図2を参照して説明する。図2は、電力変換部10と電力系統3の簡易モデルを示す図であり、3相交流の電圧を線間電圧としたモデルとしている。さらに、電力変換部10により供給される3つの線間電圧の和は零であることから、図2に示す簡易モデルは、2つの交流電源VA、VBと、電力系統3を負荷としたモデルとしている。また、直流成分について説明するため、電力系統3のインピーダンスは抵抗分のみとし、各相の抵抗Rr,Rs,Rtは等しいとして抵抗値Rとしている。
【0021】
この場合、単相交流電源VA,VBの各直流成分V1dc,V2dcは、下記式(1),(2)によって求めることができる。
V1dc=R(2Irdc+Itdc) ・・・(1)
V2dc=R(Irdc+2Itdc) ・・・(2)
ここで、Irdcは、単相交流電源VAの正極からR相に流れる電流Irに生じる直流成分、Itdcは、単相交流電源VBの正極からT相に流れる電流Itに生じる直流成分である。また、単相交流電源VAの負極と単相交流電源VBの負極の接続点からS相に流れる電流Isに生じる直流成分をIsdc(=−Irdc−Itdc)とする。
【0022】
このように、単相交流電源VA,VBにそれぞれ直流成分V1dc、V2dcが生じると、それぞれ直流成分Irdc,Itdcが生じる。かかる直流成分Irdc,Itdcは、直流成分検出器32によって検出される。検出電圧調整部40は、電圧検出部20によって検出された単相交流電源VA,VBの電圧V1,V2に、直流成分検出器32によって検出された直流成分Irdc,Itdcに応じたバイアス電圧として−V1dc,−V2dcを加えて電圧検出信号を生成する。
【0023】
制御部50は、検出電圧調整部40によって生成される電圧検出信号に基づいて、単相交流電源VA,VBを制御し、電圧V1,V2にそれぞれ−V1dc,−V2dcのバイアス電圧が加えられた電圧を単相交流電源VA,VBから出力させる。これにより、電流Ir,Itから直流成分Irdc,Itdcが取り除かれる。
【0024】
このように、電力変換装置1では、出力電流の直流成分を抑制することができるため、電力系統3へ出力する電力品質を向上させることができる。出力電流の直流成分が大きい場合、電力系統3において、例えば、柱上トランスの偏磁等による影響が発生することがあるが、電力変換装置1では、出力電流の直流成分が抑制されるため、電力系統3への影響を抑制することができる。
【0025】
なお、上述の例では、電力変換部10において3相交流電力を供給することとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、単相交流電力を出力する電力変換装置にも適用することができる。
【0026】
以下、第1の実施形態に係る電力変換装置1の具体的構成の一例について、図面を用いてさらに具体的に説明する。図3は、第1の実施形態に係る電力変換装置1の具体的構成を示す図である。
【0027】
図3に示すように、電力変換装置1は、電力変換部10と、電圧検出部20と、電流検出部30と、検出電圧調整部40と、制御部50とを備える。
【0028】
電力変換部10は、昇圧チョッパ回路11と、インバータ回路12とを備える。昇圧チョッパ回路11は、電源装置2から出力される直流電圧Vdcを昇圧してインバータ回路12へ出力する。なお、電源装置2から出力される直流電圧Vdcがインバータ回路12によって電力系統3の電圧に変換可能な電圧である場合には、昇圧チョッパ回路11を設けなくてもよい。
【0029】
ここで、電力変換部10の構成の一例について図4を参照して説明する。図4は、電力変換部10の構成の一例を示す図である。図4に示すように、昇圧チョッパ回路11は、コンデンサC10と、コイルL10と、半導体スイッチ素子Q10と、ダイオードD10,D11とを備える。かかる昇圧チョッパ回路11では、半導体スイッチ素子Q10のオン/オフが制御部50によって制御され、これにより、昇圧チョッパ回路11によって昇圧された直流電圧Vpnがインバータ回路12へ出力される。半導体スイッチ素子Q10として、例えば、IGBTやMOSFETなどのパワー半導体素子が用いられる。なお、昇圧チョッパ回路11は、図4に示す構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0030】
また、インバータ回路12は、図4に示すように、コンデンサC20〜C23と、半導体スイッチ素子Q20〜Q23と、ダイオードD20〜D23と、コイルL20,L21とを備える。かかるインバータ回路12では、半導体スイッチ素子Q20〜Q23のオン/オフが制御部50によって制御され、これにより、インバータ回路12によって直流電圧Vpnが電力系統3の電圧に変換される。半導体スイッチ素子Q20〜Q23として、例えば、IGBTやMOSFETなどのパワー半導体素子が用いられる。なお、インバータ回路12は、図4に示す2レベルインバータの構成に限定されるものではなく、マルチレベルインバータや、その他種々の変更が可能である。
【0031】
また、ここでは、電源装置2の電力が直流電力であり、電力変換部10にはインバータ回路が含まれるが、これに限定されるものではない。例えば、電源装置2の電力が交流電力である場合、電力変換部10として、電源装置2の交流電力を直流電力へ変換するコンバータ回路と、このコンバータ回路から出力された直流電力を電力系統3の電圧に合わせた交流電力へ変換するインバータ回路とを用いることができる。なお、コンバータ回路に代えて整流器を用いてもよい。
【0032】
図3に戻って電力変換装置1の構成の説明を続ける。電圧検出部20は、その入力側が電力系統3の各相に接続され、電力系統3の線間電圧の瞬時値をそれぞれ検出する。具体的には、電圧検出部20は、R相とS相との線間電圧の瞬時値Vrs(以下、RS線間電圧値Vrsと記載する)と、T相とS相との線間電圧の瞬時値Vts(以下、TS線間電圧値Vtsと記載する)をそれぞれ検出する。
【0033】
電流検出部30は、電流検出器31と、直流成分検出器32とを備える。電流検出器31は、さらに、電流検出器31a,31bと、A/D変換器31cとを備える。電流検出器31aは、電力変換部10と電力系統3のR相との間に流れるR相電流の瞬時値Ir(以下、R相電流値Irと記載する)を検出する。電流検出器31bは、電力変換部10と電力系統3のT相との間に流れるT相電流の瞬時値It(以下、T相電流値Itと記載する)を検出する。電流検出器31a,31bによって検出されたR相電流値IrおよびT相電流値Itは、A/D変換器31cへ入力され、A/D変換器31cによってデジタル化される。
【0034】
直流成分検出器32は、R相電流の直流成分とT相電流の直流成分とを検出し、かかるR相電流の直流成分とT相電流の直流成分とに応じたR相バイアス電圧値VrdcおよびT相バイアス電圧値Vtdcを生成する。
【0035】
ここで、直流成分検出器32の構成について具体的に説明する。図5は、直流成分検出器32の構成の一例を示す図である。図5に示すように、直流成分検出器32は、移動平均演算器61a,61bと、ローパスフィルタ62a,62bと、増幅器63〜66と、加算器67,68とを備える。
【0036】
移動平均演算器61aは、R相電流値Irの値の移動平均を求める。具体的には、移動平均演算器61aは、R相電流値Irを電力系統3の電流周期の一周期分平均した値をR相電流値Irの移動平均信号Iravとして出力する。
【0037】
また、移動平均演算器61bは、T相電流値Itの値の移動平均を求める。具体的には、移動平均演算器61bは、T相電流値Itを電力系統3の電流周期の一周期分平均した値をT相電流値Itの移動平均信号Itavとして出力する。
【0038】
ローパスフィルタ62aは、移動平均演算器61aから出力される移動平均信号Iravの高周波成分を除去することによってR相電流値Irの直流成分Irdcを検出し、増幅器63,65へ出力する。増幅器63,65は、R相電流値Irの直流成分Irdcを増幅率K1,K3でそれぞれ増幅して加算器67,68へそれぞれ出力する。なお、ローパスフィルタ62aは、一次遅れのローパスフィルタであり、ここでは、T=400msとしている。また、ここでは、上記(1)から、増幅率K1は「2R」とし、増幅率K3は「R」としている。
【0039】
また、ローパスフィルタ62bは、移動平均演算器61bから出力される移動平均信号Itavの高周波成分を除去することによってT相電流値Itの直流成分Itdcを検出し、増幅器64,66へ出力する。増幅器64,66は、T相電流値Itの直流成分Itdcを増幅率K2,K4でそれぞれ増幅して加算器67,68へそれぞれ出力する。なお、ローパスフィルタ62bは、ローパスフィルタ62aと同様に、一次遅れのローパスフィルタであり、ここでは、T=400msとしている。また、ここでは、上記(2)から、増幅率K2は「R」とし、増幅率K4は「2R」としている。
【0040】
加算器67は、増幅器63,64の出力を加算することによって、R相バイアス電圧値Vrdcを生成する。このように、加算器67は、R相電流値Irの直流成分IrdcとT相電流値Itの直流成分Itdcを用いて、上記(1)式に基づいたR相バイアス電圧値Vrdcを生成する。
【0041】
また、加算器68は、増幅器65,66の出力を加算することによって、T相バイアス電圧値Vtdcを生成する。このように、加算器68は、R相電流値Irの直流成分IrdcとT相電流値Itの直流成分Itdcを用いて、上記(2)式に基づいたT相バイアス電圧値Vtdcを生成する。
【0042】
このように、直流成分検出器32は、移動平均演算器61a,61bと、ローパスフィルタ62a,62bと、増幅器63〜66と、加算器67,68とを備える。そして、直流成分検出器32は、R相電流値IrおよびT相電流値Itにそれぞれ含まれる直流成分Irdc,Itdcを検出し、これら直流成分Irdc,Itdcに基づいて、R相バイアス電圧値VrdcおよびT相バイアス電圧値Vtdcを検出する。
【0043】
なお、図5に示す構成は、直流成分検出器32の一例であり、種々の変更が可能である。例えば、移動平均演算器61a,61bで行う移動平均の期間を長く、例えば電圧周期の複数周期分とし、ローパスフィルタ62a,62bを設けないようにしてもよい。
【0044】
図3に戻って電力変換装置1の構成の説明を続ける。検出電圧調整部40は、RS線間電圧値Vrs、TS線間電圧値Vts、R相バイアス電圧値VrdcおよびT相バイアス電圧値Vtdcに基づいて、q軸電圧検出信号Vqと位相θを求める。
【0045】
ここで、検出電圧調整部40の構成の一例について具体的に説明する。図6は、検出電圧調整部40の構成の一例を示す図である。図6に示すように、検出電圧調整部40は、減算器71,72と、dq座標変換器73と、位相演算器74とを備える。
【0046】
減算器71は、RS線間電圧値VrsからR相バイアス電圧値Vrdcを減算してR相電圧検出信号Vrsaを求め、回転座標変換器であるdq座標変換器73へ出力する。また、減算器72は、TS線間電圧値VtsからT相バイアス電圧値Vtdcを減算してT相電圧検出信号Vtsaを求め、回転座標変換器であるdq座標変換器73へ出力する。
【0047】
dq座標変換器73は、後述する位相演算器74が求めた位相θに基づいて、減算器71の出力と減算器72の出力とをd−q座標系のdq成分へ変換する。これにより、dq座標変換器73は、q軸電圧検出信号Vqとd軸電圧検出信号Vdとを求める。後述のようにd軸電圧検出信号Vdは零値となるように位相θが生成されるので、dq座標変換器73は、q軸電圧検出信号Vqのみを電力系統3の電力振幅の検出値として出力する。
【0048】
位相演算器74は、dq座標変換器73から出力されるq軸電圧検出信号Vqおよびd軸電圧検出信号Vdに基づいて位相θを求める。その際、位相θはd軸電圧検出信号Vdが零値になるように決められ、かかる位相θはdq座標変換器73において、d−q座標系のdq成分への変換に用いられる。位相演算器74は、このような閉ループ制御を行って位相θ生成し、電力系統3の電圧位相の検出値として出力する。
【0049】
図6に示す検出電圧調整部40の構成は一例であり、例えば、検出電圧調整部40は、図7に示す構成でもよい。図7に示す検出電圧調整部40は、位相演算器74に代えて、PLL(Phase Locked Loop)回路75を備える。
【0050】
PLL回路75は、位相検出器100と、フィルタ101と、電圧制御発振器(VCO)102と、分周器103と、カウンタ104と、ゼロクロス立ち上がり検出器105と、加算器106とを備える。
【0051】
位相検出器100は、T相電圧検出信号Vtsaと、一巡ループで分周器103から出力される分周信号とを比較し、その位相差を検出して出力する。フィルタ101は、ローパスフィルタであり、かかるフィルタ101によってPLL回路75のループ時定数が設定される。
【0052】
電圧制御発振器102は、フィルタ101から出力される電圧に応じた周波数のパルス信号を出力する。分周器103は、電圧制御発振器102の出力信号を1/N分周する。これにより、電圧制御発振器102は、入力信号のN倍の周波数を出力することになる。カウンタ104は、電圧制御発振器102の出力信号を入力し、出力信号のパルス数を計数する。
【0053】
ゼロクロス立ち上がり検出器105は、T相電圧検出信号Vtsaが立ち上がり時にゼロクロスするタイミングを検出し、T相電圧検出信号Vtsaが立ち上がり時にゼロクロスした場合に、カウンタ104にリセット信号を出力する。これにより、カウンタ104は、T相電圧検出信号Vtsaが立ち上がり時にゼロクロスしたタイミングから計数される位相θcを生成する。
【0054】
加算器106は、カウンタ104から出力される位相θcに、T相電圧検出信号Vtsaに応じたαを加算し、かかる加算結果を電力系統3の位相θとして出力する。なお、T相電圧検出信号Vtsaに応じたαとは、dq座標変換器73が生成するd軸電圧検出信号Vdが零値になる値である。
【0055】
このように、検出電圧調整部40において、位相演算器74に代えて、PLL回路75を用いることができる。なお、図7に示す検出電圧調整部40において、T相電圧検出信号Vtsaに代えて、R相電圧検出信号VrsaをPLL回路75へ入力するようにしてもよい。この場合、カウンタ104から出力される位相θcに対し、R相電圧検出信号Vrsaに応じたαを加算する。R相電圧検出信号Vrsaに応じたαとは、dq座標変換器73が生成するd軸電圧検出信号Vdが零値になる値である。
【0056】
図3に戻って電力変換装置1の構成の説明を続ける。図3に示すように、制御部50は、αβ座標変換器81と、dq座標変換器82とを備える。αβ座標変換器81はR相電流値IrおよびT相電流値Itを固定座標上の直交した2軸のαβ成分へ変換して、α軸方向の電流値Iαとβ軸方向の電流値Iβとをベクトル成分とするαβ軸座標系の固定座標電流ベクトルIαβを求める。
【0057】
dq座標変換器82は、検出電圧調整部40から出力される位相θを用いて、固定座標電流ベクトルIαβをd−q座標系のdq成分へ変換する。これにより、dq座標変換器82は、q軸方向の電流値であるq軸電流値Iqとd軸方向の電流値であるd軸電流値Idとをベクトル成分とする回転座標系電流ベクトルIdq(Id,Iq)を求める。なお、d−q座標系は、αβ座標系を位相θに応じて回転した座標系である。
【0058】
制御部50は、さらに、q軸電流指令出力器83と、d軸電流指令出力器84と、q軸電流偏差演算器85と、d軸電流偏差演算器86と、q軸電流調整器87と、d軸電流調整器88と、q軸電圧指令補正器89とを備える。また、制御部50は、出力電圧指令生成器90と、出力位相指令生成器91と、加算器92と、逆回転座標変換器93と、PWM制御器94とを備える。
【0059】
q軸電流指令出力器83は、q軸電流指令Iq*を生成してq軸電流偏差演算器85へ出力する。q軸電流指令Iq*は、有効電流の目標電流値である。q軸電流偏差演算器85は、q軸電流指令Iq*とq軸電流値Iqとの偏差であるq軸電流偏差を演算してq軸電流調整器87へ出力する。
【0060】
q軸電流調整器87は、q軸電流指令Iq*とq軸電流値Iqとの偏差を零とするようにq軸電圧指令Vq1*を調整し、q軸電圧指令補正器89へ出力する。q軸電圧指令補正器89は、q軸電流調整器87から出力されるq軸電圧指令Vq1*に検出電圧調整部40から出力されるq軸電圧検出信号Vqを加算し、q軸電圧指令Vq*として出力電圧指令生成器90および出力位相指令生成器91へ出力する。
【0061】
d軸電流指令出力器84は、d軸電流指令Id*を生成してd軸電流偏差演算器86へ出力する。d軸電流指令Id*は、無効電流の目標電流値である。d軸電流偏差演算器86は、d軸電流指令Id*とd軸電流値Idとの偏差であるd軸電流偏差を演算してd軸電流調整器88へ出力する。d軸電流調整器88は、d軸電流指令Id*とd軸電流値Idとの偏差を零とするようにd軸電圧指令Vd*を調整し、出力電圧指令生成器90および出力位相指令生成器91へ出力する。
【0062】
出力電圧指令生成器90は、q軸電圧指令補正器89から出力されたq軸電圧指令Vq*と、d軸電流調整器88から出力されたd軸電圧指令Vd*とに基づき、出力電圧指令V1*を求める。具体的には、出力電圧指令生成器90は、例えば、以下の式(3)から出力電圧指令V1*を求める。なお、下記式(3)は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
出力電圧指令V1*=(Vd*2+Vq*21/2 ・・・(3)
【0063】
出力位相指令生成器91は、q軸電圧指令補正器89から出力されたq軸電圧指令Vq*と、d軸電流調整器88から出力されたd軸電圧指令Vd*とに基づき、出力位相指令θa*を求める。具体的には、出力位相指令生成器91は、例えば、以下の式(4)から出力位相指令θa*を求める。
出力位相指令θa*=tan-1(Vq*/Vd*) ・・・(4)
【0064】
加算器92は、出力位相指令生成器91から出力される出力位相指令θa*に検出電圧調整部40から出力される位相θを加算して、位相θpを演算する。
【0065】
逆回転座標変換器93は、出力電圧指令生成器90から出力される出力電圧指令V1*と、加算器92によって演算された位相θpとに基づいて、3相交流電圧指令、すなわち、電力系統3の各相に対する出力電圧指令Vr*,Vs*,Vt*を求める。具体的には、逆回転座標変換器93は、例えば、以下の式(5)〜(7)から、R相出力電圧指令Vr*、S相出力電圧指令Vs*、およびT相出力電圧指令Vt*を求める。
Vr*=V1*×sin(θp) ・・・(5)
Vs*=V1*×sin(θp−(2π/3)) ・・・(6)
Vt*=V1*×sin(θp+(2π/3)) ・・・(7)
【0066】
PWM制御器94は、電力変換部10へ制御信号であるPWM指令信号を出力する制御信号出力器である。具体的には、PWM制御器94は、逆回転座標変換器93から出力される出力電圧指令Vr*,Vs*,Vt*および直流電圧Vpnに基づいて、電力変換部10の各半導体スイッチ素子Q20〜Q23を制御するゲート信号を生成して出力する。これにより、電力変換部10から出力電圧指令Vr*,Vs*,Vt*に応じた3相交流電圧が出力される。
【0067】
このように、電力変換装置1は、電流検出部30が検出した直流成分に応じたバイアス電圧を電圧検出部20の検出出力に加えて電圧検出信号を生成する検出電圧調整部40と、電圧検出信号に応じた交流電圧を電力変換部10から出力させる制御部50とを備える。そのため、出力電流から直流成分を効果的に取り除くことができる。その結果、電力系統3へ出力する電力品質を向上させることができる。
【0068】
また、上述の例では、電圧検出部20は、電力系統3の線間電圧の瞬時値を検出するものとして説明したが、R相、S相およびT相の各相電圧の瞬時値を検出するものを用いる場合は、例えば、検出電圧調整部40に、相電圧を線間電圧に変換する変換機能を持たせれば、本実施例をそのまま実施することができる。
【0069】
また、上述の例では、R相電圧検出信号VrsaおよびT相電圧検出信号Vtsaを求めた後、これらを回転座標上に変換したが、これに限定されるものではない。例えば、RS線間電圧値VrsおよびTS線間電圧値Vtsと、R相バイアス電圧値VrdcおよびT相バイアス電圧値Vtdcとを別々に回転座標に変換した後に、回転座標上でこれらに基づいて、R相電圧検出信号VrsaおよびT相電圧検出信号Vtsaに対応するq軸電圧検出信号Vqおよびd軸電圧検出信号Vdを求めるようにしてもよい。
【0070】
具体的には、図8に示すように、電力変換装置1において、dq座標変換器33と、加算器34,35とを設ける。dq座標変換器33は、直流成分検出器32から出力されたR相バイアス電圧値VrdcおよびT相バイアス電圧値Vtdcとを電力系統3の位相θを用いてdq座標系の信号に変換して、q軸電圧検出信号Vq0およびd軸電圧検出信号Vd0を生成する。
【0071】
加算器34は、dq座標変換器33から出力されたq軸電圧検出信号Vq0と検出電圧調整部40から出力されたq軸電圧検出信号Vqとを加算して、q軸電圧検出信号Vq1を生成する。かかるq軸電圧検出信号Vq1は、q軸電圧指令補正器89によってq軸電圧指令Vq1*に加算されて、q軸電圧指令Vq*として出力電圧指令生成器90および出力位相指令生成器91へ出力される。
【0072】
加算器35は、dq座標変換器33から出力されたd軸電圧検出信号Vd0をd軸電流調整器88から出力されたq軸電圧指令に加算してd軸電圧指令Vd*として出力電圧指令生成器90および出力位相指令生成器91へ出力する。
【0073】
なお、図8に示す例では、dq座標変換器33、加算器34,35および検出電圧調整部40によって、電圧検出部20の検出出力に電流検出部30によって検出した直流成分に応じたバイアス電圧を加えて生成した信号を電圧検出信号として出力する検出電圧調整部が構成される。なお、この場合、検出電圧調整部40の減算器71,72は不要となり、dq座標変換器73へは、RS線間電圧値VrsおよびTS線間電圧値Vtsが直接入力される。
【0074】
このように、検出電圧調整部を2つに分けることもできる。すなわち、一方の検出電圧調整部を用いて電圧検出部20の検出電圧からq軸電圧検出信号Vqと電圧位相θを生成する。また、他方の検出電圧調整部とかかる電圧位相θを用いて直流成分検出器32により検出された直流成分からq軸電圧検出信号Vq0およびd軸電圧検出信号Vd0を生成し、その後、これらの電圧検出信号を加算する。
【0075】
また、上述の例では、回転座標系の電圧指令Vd*,Vq*を3相交流電圧指令、すなわち、電力系統3の各相に対する出力電圧指令Vr*,Vs*,Vt*に変換する際、出力電圧指令生成器90、出力位相指令生成器91、加算器92、逆回転座標変換器93を用いて変換したが、例えば、αβ座標変換器81およびdq座標変換器82の逆変換器を用いて変換することもできる。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る電力変換装置について図9〜図11を参照して具体的に説明する。なお、図9,図11において、図3,図5に示した構成要素と同一機能を有する構成要素については同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0077】
図9に示すように、第2の実施形態に係る電力変換装置1Aは、電力変換部10と、電圧検出部20と、電流検出部30Aと、検出電圧調整部40と、制御部50Aとを備える。かかる電力変換装置1Aは、S相電流値Isの直流成分Isdcが零値になるように調整するループを備える。
【0078】
ここで、第2の実施形態における出力電流に含まれる直流成分を取り除く処理について図10を参照して説明する。図10は、図2と同様に電力変換部10と電力系統3の簡易モデルを示す図であり、電力変換部10を理想的に構成された単相交流電源VA,VBとし、電力系統3を負荷としている。
【0079】
後述するS相電流値Isの直流成分Isdcが零値になるようにループが動作すると、その結果としてΔV分の電圧が調整され、単相交流電源VAの電圧はV1からV1+ΔV、単相交流電源VBの電圧はV2からV2+ΔVとなる。
【0080】
この調整ループにより、R相電流値IrおよびT相電流値Itに含まれる直流成分Irdc,Itdcを用いてR相バイアス電圧値VrdcとT相バイアス電圧値Vtdcとのいずれか一方を補正されれば、結果的にR相バイアス電圧値VrdcとT相バイアス電圧値Vtdcの両方が調整されるようになる。
【0081】
電流検出部30Aは、電流検出器31と、直流成分検出器32Aとを備える。直流成分検出器32Aは、電流検出器31によって検出されたR相電流値IrおよびT相電流値Itに含まれる直流成分Irdc,Itdcを検出し、かかる直流成分Irdc,Itdcに応じたR相バイアス電圧値Vrdc、T相バイアス電圧値VtdcおよびS相バイアス電圧値Vsdcを生成する。図11は、直流成分検出器32Aの具体的構成の一例を示す図である。
【0082】
図11に示すように、直流成分検出器32Aは、図5に示す直流成分検出器32の構成に加え、加算器96と、減算器97と、PI制御器98とを備える。加算器96は、ローパスフィルタ62a,62bから出力されるR相電流値Irの直流成分IrdcとT相電流値Itの直流成分Itdcとを加算し、減算器97へ出力する。
【0083】
R相、S相、T相の瞬時電流値の和は零として、S相電流値Isの直流成分Isdcは、R相電流値Irの直流成分IrdcとT相電流値Itの直流成分Itdcの加算値の正負を反転させたものである。したがって、加算器96からは、S相電流値Isの直流成分Isdcの正負が反転したものが出力される。
【0084】
ここで、S相電流値Isの直流成分Isdcが零値になれば、R相電流値Irの直流成分IrdcとT相電流値Itの直流成分Itdcとはその絶対値が同じ値になる。そのため、R相バイアス電圧値VrdcおよびT相バイアス電圧値Vtdcのうちいずれか一方のみに基づいて、電力変換部10の出力電圧を調整することで、結果的に、上記式(1),(2)に示すV1dc,V2dcの両方が調整されることになる。
【0085】
そこで、直流成分検出器32Aでは、減算器97によって、零値から加算器96の出力を減算し、PI制御器98によって減算器97の出力をPI(比例積分)制御して、S相バイアス電圧値Vsdcを生成し、制御部50Aへ出力する。
【0086】
そして、制御部50Aは、図9に示すように、加算器95によって、PI制御器98から出力されるS相バイアス電圧値Vsdcが逆回転座標変換器93から出力されるS相出力電圧指令Vs*に加算される。これにより、S相電流値Isの直流成分Isdcが零値になるように制御される。
【0087】
なお、第2の実施形態に係る電力変換装置1Aでは、上述のように、直流成分検出器32Aでは、R相バイアス電圧値VrdcおよびT相バイアス電圧値Vtdcのうちいずれか一方のみに基づいて、電力変換部10の出力電圧を調整すればよいので、増幅器63,64の増幅率K1、K2、または、増幅器65,66の増幅率K3、K4は、零値にすることができる。
【0088】
また、R相バイアス電圧値Vrdcに基づいて、電力変換部10の出力電圧を調整する場合、増幅器65,66、加算器68および減算器72(図6参照)は不要である。また、T相バイアス電圧値Vtdcに基づいて、電力変換部10の出力電圧を調整する場合、増幅器63,64、加算器67および減算器71(図6参照)は不要である。
【0089】
また、S相バイアス電圧値VsdcをS相出力電圧指令Vs*に加算するのではなく、S相バイアス電圧値Vsdcを位相θを用いてd軸電圧とq軸電圧に座標変換し、d軸電流調整器88の出力およびq軸電流調整器87の出力にそれぞれ加算するようにしてもよい。
【0090】
また、図11に示す直流成分検出器32Aでは、R相電流値Irの直流成分IrdcとT相電流値Itの直流成分ItdcとからS相電流値Isの直流成分Isdcを検出するようにしたが、S相に電流検出器を設け、S相電流値Isの直流成分Isdcを直接検出するようにしてもよい。
【0091】
また、第2の実施形態に係る電力変換装置1Aでは、S相電流値Isの直流成分Isdcが零値になるように調整するループを備えるとして説明したが、この調整ループで直流成分を零値にするのはS相ではなく、R相またはT相に対して実施することも可能である。
【0092】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【0093】
例えば、インバータ回路12は、2つのアームを有する主回路構成であるとして説明したが、3アームを有する主回路構成であってもよい。この場合、出力電圧指令Vr*,Vs*,Vt*を上述の例のようにして生成し、PWM制御器94がインバータ回路12の備える各半導体スイッチ素子に対応したPWM指令信号を出力するようにすれば、全く同様に実施できることは言うまでもない。
【0094】
また、電源装置2の電力が交流電力である場合、電力変換部10として、電源装置2の交流電力を電力系統3の電圧に合わせた交流電力へ変換するマトリクスコンバータを用いてもよい。
【0095】
また、上述の例では、回転座標に変換して、電流制御や電圧制御を行うようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、回転座標に変換することなく、電流制御や電圧制御を行うようにすることもできる。
【符号の説明】
【0096】
1 電力変換装置
2 電源装置
3 電力系統
10 電力変換部
20 電圧検出部
30 電流検出部
31a,31b 電流検出器
32,32A 直流成分検出器
40 検出電圧調整部
50 制御部
61a,61b 移動平均演算器
73 dq座標変換器
74 位相演算器
83 q軸電流指令出力器
87 q軸電流調整器
90 出力電圧指令生成器
93 逆回転座標変換器
94 PWM制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置の電力を交流電力へ変換して電力系統へ出力する電力変換部と、
前記電力系統の電圧を検出する電圧検出部と、
前記電力変換部と前記電力系統との間に流れる電流の直流成分を検出する電流検出部と、
前記電圧検出部の検出出力に前記直流成分に応じたバイアスを加えて生成した信号を電圧検出信号として出力する検出電圧調整部と、
前記電圧検出信号に応じた交流電圧を前記電力変換部から出力させる制御部と、
を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記電圧検出部は、前記電力系統の電圧を線間電圧あるいは相電圧として検出し、
前記電力変換部は、前記電源装置の電力を3相交流電力へ変換して電力系統へ出力し、
前記電流検出部は、前記電力変換部と前記電力系統との間に流れる複数の相電流の直流成分を検出し、
前記検出電圧調整部は、前記複数の相電流の直流成分に応じたバイアスに対応する前記電圧検出信号を生成し、
前記制御部は、前記電圧検出信号に応じた3相交流電圧を前記電力変換部から出力させることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記検出電圧調整部は、
前記電圧検出信号を、直交2軸の回転座標上の信号へ変換する回転座標変換器を備え、
前記制御部は、
前記回転座標変換器によって変換された前記電圧検出信号に基づいて、前記回転座標上の出力電圧指令を生成する出力電圧指令生成器と、
前記回転座標上の出力電圧指令から3相交流電圧指令へ変換する逆回転座標変換器と、
前記3相交流電圧指令に応じた制御信号を前記電力変換部へ出力して、前記電力変換部から3相交流電圧を出力させる制御信号出力器と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記検出電圧調整部は、
前記回転座標変換器によって変換される直交2軸の前記電圧検出信号に基づいて前記電力系統の位相を検出する位相演算器を備え、
前記回転座標変換器は、前記位相演算器によって検出された前記電力系統の位相に同期して回転する回転座標上の信号へ前記電圧検出信号を変換することを特徴とする請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記位相演算器は、
前記回転座標変換器によって変換される直交2軸の前記電圧検出信号のうち1軸の電圧検出信号を零値とする前記電力系統の位相を検出することを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記検出電圧調整部は、
前記電圧検出部の検出出力を、直交2軸の回転座標上の信号へ変換する第1の回転座標変換器と、
前記電流検出部によって検出された前記直流成分に応じたバイアスを前記回転座標上の信号へ変換する第2の回転座標変換器と、
前記第1の回転座標変換器によって変換された前記回転座標上の信号に前記第2の回転座標変換器によって変換された前記回転座標上の信号を加算して前記電圧検出信号として出力する加算器と、を備え、
前記制御部は、
前記加算器によって生成された前記電圧検出信号に基づいて、前記回転座標上の出力電圧指令を生成する出力電圧指令生成器と、
前記回転座標上の出力電圧指令から3相交流電圧指令へ変換する逆回転座標変換器と、
前記3相交流電圧指令に応じた制御信号を前記電力変換部へ出力して、前記電力変換部から3相交流電圧を出力させる制御信号出力器と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記検出電圧調整部は、
前記第1の回転座標変換器によって変換される前記回転座標上の信号に基づいて前記電力系統の位相を検出する位相演算器を備え、
前記第1の回転座標変換器は、
前記位相演算器によって検出された前記電力系統の位相に同期して回転する回転座標上の信号へ前記電圧検出部の検出出力を変換し、
前記第2の回転座標変換器は、
前記位相演算器によって検出された前記電力系統の位相に同期して回転する回転座標上の信号へ前記直流成分に応じたバイアスを変換することを特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記位相演算器は、
前記第1の回転座標変換器によって変換される直交2軸の信号のうち1軸の信号を零値とする前記電力系統の位相を検出することを特徴とする請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記電流検出部によって検出された前記複数の相電流の直流成分のうち1つの相電流の直流成分が零値になるように、前記電力変換部から前記3相交流電圧を出力させることを特徴とする請求項5または8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記電流検出部は、前記電力変換部と前記電力系統との間に流れる電流の電流値を検出し、
前記制御部は、
前記電流検出部によって検出された電流値を、前記回転座標上の電流値へ変換する変換器と、
電流指令を出力する電流指令出力器と、
前記変換器によって変換された電流値と前記電流指令出力器から出力された電流指令との偏差に応じた電圧指令を生成する電流調整器と、を備え、
前記出力電圧指令生成器は、
前記回転座標上の前記電圧検出信号と前記電流調整器によって生成された電圧指令とに基づいて、前記回転座標上の出力電圧指令を生成することを特徴とする請求項3〜9のいずれか1項に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−55747(P2013−55747A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191052(P2011−191052)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】