説明

電力測定器および機器制御システム

【課題】多くの既存機器で有している赤外線機能を無線通信機能を有する電力測定器に追加し、更に、無線とインターネットとの連携を行い、電力測定をしつつ安全かつ容易に機器制御を行う。
【解決手段】電力測定器10は、制御対象となる機器の消費電力を測定するセンサ部11と、インターネット上のサーバとの通信を行う通信部12と、機器への赤外線リモコンコマンドを送信する赤外線送信部16とを備えている。電力測定器10は、センサ部11によって測定された制御対象機器の消費電力をサーバへ送信、サーバからは上記消費電力解析結果から導かれる制御コマンド情報を通知される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭、事務所又は工場等において家電用品、事務用品、製造機器の消費電力を測定する電力測定器、および測定と同時に機器制御するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンセントに差し込み、消費電力を測定可能な電力測定器の需要が増えている。このような電力測定器は、機器を新しいものに置き換えることもなく、また既存の機器に変更を加えることなく、消費電力を測定できるため、利便性が高い。
【0003】
また、測定結果を無線通信により送信することにより、離れた場所に設置された装置にて一括して電力情報をまとめて管理する事例が増えている。また、消費電力の「見える化」にとどまらず、機器の電源切り忘れ時には電力供給を遮断する例のような、低消費電力化のためのよりアクティブな制御技術も検討されている。
【0004】
逆に、利便性のために、遠隔地から電力供給をOnにする場合もある。この電力供給のOn/Off手法としては、電力測定器内に内蔵されるリレー回路によるAC開閉が一般的である。しかし、この方法によれば、機器の動作状態に関わらず、コンセント側から強制的にOn/Offするため安全面での問題がある。実際に、多くの家電機器等では、コンセントの抜き差しによるOn/Offは禁止されている事例が多い。また、主電源のOn/Off以外の制御ができず、ユーザの希望する制御(たとえば、エアコンを25度設定で冷房をつける、照明を常夜灯としてつける等の制御)が不可能である。
【0005】
このために、電波リモコンのように、機器を直接無線にて制御する手法も考えられる。しかしながらこの場合、既存機器を無線制御が可能なものに置き換える必要がある、電波リモコンが赤外線リモコンと比較して現状非常に高価であり普及していない、電力測定器と機器の双方に無線対応を行いコストが掛かる、などといった問題がある。
【0006】
従来では、電力を測定しその情報を無線で伝送するだけのもの、無線経由で赤外線に変換し機器制御をするだけのもの、インターネット上のリモコンコマンドをPC等にダウンロードしそれをUSBメモリ等を介して機器に入れることによって様々な機器の制御を可能とするだけのもの、と個別要素単体を実現するものは提案されている。しかしながら、これらを統合し、安全かつ容易に電力測定と赤外線による機器制御を実現する方法もしくは装置もしくはシステムは考案されていない。
【0007】
たとえば、電力測定と赤外線とによる電力制御を連携して行う技術として、特許文献1では、各種センサから得られた情報に基づき、自動的に赤外線通信による機器制御を行い、機器の消費電力を削減する電力制御装置が記載されている。
【0008】
また、特許文献2では、赤外線リモコンとの連携技術として、赤外線リモコンによるOn/Offと電力測定器に内蔵されるリレースイッチを連携させ、待機電力の削減を行う装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−207230号公報(2009年9月10日公開)
【特許文献2】特開2001−268654号公報(2001年9月28日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、以上のような従来における電力測定器と赤外線による機器制御の連携技術では、いくつかの課題がある。
【0011】
第一に、赤外線制御を行うための、赤外線リモコンの学習もしくはリモコンコードの電力測定器へのダウンロードをマニュアルで行う必要があり、手間が掛かる。
【0012】
第二に、赤外線による機器制御と、その結果としての電力情報の変化による状況判断とを、電力測定器内部の判定部にて行うため、複雑かつ演算量を要する制御を行いにくい。
【0013】
第三に、インターネット上のサーバとの連携等の実現手法に関して記載がなく、事実上そのようなサービスを実現し得ない。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、多くの既存機器で有している赤外線機能を無線通信機能を有する電力測定器に追加し、更に、無線とインターネットとの連携を行い、電力測定をしつつ安全かつ容易に機器制御をすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電力測定器は、上記の課題を解決するために、電源と制御対象機器との間に介在され、上記制御対象機器の消費電力を測定する電力測定器であって、上記機器の消費電力を測定する測定部と、無線通信によって、上記測定部による測定結果をゲートウェイを介してインターネット上のサーバに送信可能であるとともに、上記サーバからゲートウェイを介して制御コマンド情報を受信可能である通信部と、上記制御コマンド情報に基づいて、上記機器への赤外線リモコンコマンドを送信する赤外線送信部とを備えたことを特徴としている。
【0016】
上記の構成によれば、上記電力測定器は、制御対象となる機器の消費電力を測定し、該測定結果をゲートウェイを介してインターネット上のサーバに送信することができる。さらに、上記サーバからは、上記送信した測定結果に基づいた制御コマンド情報を受け取ることができ、この制御コマンド情報に基づいて、上記機器への赤外線リモコンコマンドを送信する。このため、制御対象となる機器自体は、無線通信機能を有していない既存の機器であっても、多くの既存機器で有している赤外線によるリモコン機能があれば、On/Off制御以外の様々な制御を受けることができ、機器の省電力化などに大きく貢献できる。また、電力情報の変化による状況判断は電力測定器ではなくインターネット上のサーバにて行うことができ、複雑かつ演算量を要する制御が容易に行える。
【0017】
また、上記電力測定器では、上記赤外線送信部は、脱着可能なケーブルにて接続されている構成とすることができる。あるいは、上記赤外線送信部は、電力測定器本体と物理的に接続されておらず、無線通信により上記通信部から上記制御コマンド情報を受け取る構成とすることができる。
【0018】
上記の構成によれば、赤外線送信部の配置の自由度が高まり、赤外線送信部と機器との通信を良好とすることができる。
【0019】
また、上記電力測定器では、上記通信部は、さらに赤外線変調方式および/または送信レートを上記サーバからゲートウェイを介して取得でき、上記赤外線送信部は、上記赤外線変調方式および/または送信レートに従って赤外線送信をする構成とすることができる。
【0020】
上記の構成によれば、上記電力測定器は、赤外線変調方式や送信レートの異なるメーカや異なる機器を制御可能となる。
【0021】
また、本発明の機器制御システムは、上記の課題を解決するために、上記何れかの電力測定器と、上記電力測定器によって測定された制御対象となる機器の消費電力を受信し、受信した消費電力に対して解析を行い、その解析結果から導かれる上記機器への制御コマンド情報を上記電力測定器に通知するサーバと、上記電力測定器との間の無線通信および上記サーバとの間のインターネット通信とによって、上記電力測定器と上記サーバとの間の中継を行うゲートウェイとからなることを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、制御対象となる機器自体は、無線通信機能を有していない既存の機器であっても、多くの既存機器で有している赤外線によるリモコン機能があれば、On/Off制御以外の様々な制御を受けることができ、機器の省電力化などに大きく貢献できる。また、電力情報の変化による状況判断は電力測定器ではなくインターネット上のサーバにて行うことができ、複雑かつ演算量を要する制御が用意に行える。
【0023】
また、上記機器制御システムでは、上記サーバは、制御コマンド情報のデータベースを有しており、上記電力測定器は、制御対象となる機器に対応する制御コマンド情報を上記データベースから取得する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電力測定器および機器制御システムでは、以上のように、制御対象となる機器自体は無線通信機能を有していない既存の機器であっても、多くの既存機器で有している赤外線によるリモコン機能があれば、On/Off制御以外の様々な制御を受けることができ、機器の省電力化などに大きく貢献できる。また、電力情報の変化による状況判断は電力測定器ではなくインターネット上のサーバにて行うことができ、複雑かつ演算量を要する制御が容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態を示すものであり、赤外線による機器制御機能を有する電力測定器を示すブロック図である。
【図2】上記電力測定器を含む機器制御システムの全体像を示す図である。
【図3】上記電力測定器の外観例を示す図である。
【図4】上記機器制御システムにおいて、インターネットと無線と赤外線制御との連携による動作例を示すフローチャートである。
【図5】上記連係動作時の制御シーケンスを示す図である。
【図6】上記機器制御システムにおいて、インターネットと無線と赤外線制御との連携による他の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図2は、赤外線による機器制御機能を有する電力測定器10とインターネットとが連携した際の機器制御システムの全体像である。本システムでは、図2に示すように、機器(制御対象機器)20の消費電力を電力測定器10にて測定し、その測定結果はインターネットを介して外部のサーバ30に送られる。サーバ30は、インターネットを介して制御コマンド情報を電力測定器10へ送信する。電力測定器10は、上記制御コマンド情報に基づいて機器20を制御する。また、電力測定器10とサーバ30との間の情報の通信は、ゲートウェイ40にて中継される。すなわち、ゲートウェイ40は、電力測定器10との間の無線通信およびサーバ30との間のインターネット通信とによって、電力測定器10とサーバ30との間の中継を行う。
【0028】
電力測定器10の要部構成を図1を参照して説明する。まず、電力測定器10は、プラグ11とコンセント12とを有している。これは、機器20が、例えば家庭用電源AC100Vから動作電源を得る場合、この動作電源を電力測定器10を介して機器20に供給するためである。すなわち、電力測定器10のプラグ11が家庭用電源のコンセントに差し込まれ、機器20のプラグは電力測定器10のコンセント12に差し込まれる。これにより、電力測定器10は機器20での消費電力を測定可能となる。
【0029】
さらに、電力測定器10は、センサ部(測定部)13、通信部14、電源部15、赤外線送信部16を有している。センサ部13は、機器20の消費電力を測定する手段であり、例えば、電流測定用のシャント抵抗を用いた消費電力測定手段である。但し、センサ部13の構成は本発明において特に限定されるものではなく、ここでは周知の構成の消費電力測定手段を用いることができるため、センサ部13の構成および動作についての詳細な説明は省略する。
【0030】
センサ部13によって測定された機器20の消費電力(測定値)は、通信部14に通知され、無線通信によってゲートウェイ40を介してインターネット上のサーバ30へ送信される。
【0031】
電源部15は、センサ部13および通信部14への動作電源を生成・供給する。電源部15は、家庭用電源AC100VからAC/DC回路部によってDC5Vの電源を生成し、これをセンサ部13への動作電源として供給している。また、電源部15は、上記DC5VからDC/DC回路部によってDC3.3Vの電源を生成し、これを通信部14への動作電源として供給している。
【0032】
赤外線送信部16は、電力測定器10から機器20へのリモコンコマンドを送信する手段である。電力測定器10は、測定された機器20の消費電力をインターネット上のサーバ30へ送信するとともに、サーバ30からは機器20に対する制御コマンド情報を受信する。通信部14は、この制御コマンド情報に基づいて、赤外線送信部16から機器20への赤外線によるリモコンコマンドを送信させる。
【0033】
尚、図1に記載されている設定プッシュキーは、電力測定器10をゲートウェイ40との通信が可能な状態とする(ペアリングする)ための無線信号を発生・送出するためのものである。この動作の結果は、状態表示用LEDにて表示される。たとえば、点灯時にはゲートウェイとの通信が可能な状態(ペアリング済)を示し、消灯時には逆にゲートウェイ40との通信が不可能な状態(未ペアリング)を示す。更に、通常点滅時にはユーザが家庭内に複数ある電力測定器10のうち、インターネットにてリモコン制御等をする対象の一台を示すこともある。
【0034】
電力測定器10の外観の一例を図3に示す。ここで、赤外線送信部16は、電力測定器本体に対して固定的に取り付けられている必要は無く、脱着可能なケーブル等にて接続可能にされていても良い。あるいは、赤外線送信部16は、電力測定器本体と物理的に接続されておらず、無線通信により制御コマンド情報を受けることが可能な構成であっても良い。赤外線送信部16から送信される赤外線リモコンコマンドは指向性が強いため、上記のような構成にすることによって、赤外線送信部16を配置の自由度が高まり、赤外線送信部16と機器20との通信を良好とすることができる。
【0035】
サーバ30から電力測定器10へ通知される制御コマンド情報は、例えば、機器20がテレビであれば、電源On/Offや選局や音量設定等のコマンドがあり、エアコンであれば、電源On/Offや運転モード(冷暖房)や温度設定や風量設定等のコマンドがある。サーバ30は、電力測定器10から通知された機器20の消費電力に対して判定処理(解析)を行い、その判定(解析)結果から導かれる制御コマンド情報を再度インターネットと無線を経由し電力測定器10に通知する。赤外線送信部16から機器20への送信される制御コマンド情報は、例えば赤外線リモコンコマンドである。これにより、機器20が無線通信機能を有していない既存の機器であっても、On/Off制御以外の様々な制御を受けることができ、機器20の省電力化などに大きく貢献できる、よりインテリジェントな操作を実現することができる。
【0036】
インターネット上のサーバ30には、様々な機器および機種のリモコンコマンド等の赤外線制御情報がデータベース(例えば、図2におけるリモコンコマンドライブラリ)に蓄積されている。そして、PC(Personal Computer)や携帯電話からサーバ30にアクセスし、電力測定器10に接続される機器20の型番等を指定することにより、上記データベースから機器20に対応する赤外線制御情報を電力測定器10にダウンロードすることができる。これにより、容易に電力測定器10による機器20の赤外線制御を実現することができる。更に、この仕組みを活用し、電力測定器10に接続される各機器20の赤外線制御情報を自動的に取得することも可能である。
【0037】
また、上記データベースには、さらに赤外線変調方式や送信レートの情報を格納し、電力測定器10では、これらの情報をサーバ30からゲートウェイを介して取得できる構成としても良い。これにより、電力測定器10では、赤外線送信部16が上記赤外線変調方式や送信レートに従って赤外線送信をすることで、赤外線変調方式や送信レートの異なるメーカや異なる機器を制御することもできる。
【0038】
例えば、図4は、インターネットと無線と赤外線制御の連携動作の一例である。この例では、機器20を制御するための赤外線リモコンコマンドが不明であったときに、それをインターネットと連携することにより自動的に発見する動作を示している。
【0039】
具体的には、まず、機器20の消費電力を確認し当該機器がその時点で電源OnなのかOffなのかを確認する。この確認は、消費電力の大小により判定する(S1:消費電力確認(1))。次に、電源のOn/Offを切り替える赤外線コマンド(リモコンコマンド)の候補をサーバ中のリストに基づき決定し、インターネットと無線を経由して電力測定器10に送信する(S2)。電力測定器10は受け取ったコマンドを赤外線形式に変換した後に、赤外線通信部16からリモコンコマンドを機器20に向けて送信する(S3)。一定時間待った後に、電力測定器10は消費電力を測定し(S4:消費電力確認(2))、その結果を無線とインターネットとを経由してサーバ30に通知する。サーバ30では受け取った消費電力情報を当初のものと比較する(S5)。具体的には、消費電力確認(1)と消費電力確認(2)の値とを比較する。
【0040】
上記比較の結果、消費電力の大きな変化があれば、機器20のOn/Off切り替え制御がなされたとみなし、先程送信した赤外線リモコンコマンド候補を今後の制御に用いるリモコンコマンドとしてサーバ内アプリにて登録する(S6)。ゆえに、次回以降の機器制御では上記プロセスは必要とせず、最初からサーバ30に登録されているリモコンコマンドを使用することができる。尚、ここでのリモコンコマンドの登録とは、S2で送信されたOn/Offを切り替えるリモコンコマンドのみならず、機器20の制御に必要な全ての種類のリモコンコマンドが一括して登録されることを意味する。
【0041】
逆に、S5において消費電力情報に大きい変化が見られないときには、機器制御ができなかったことを意味しており、S2で送信した赤外線リモコンコマンド候補が当該機器のものとは違っていたとみなされる。この場合は、その後、サーバ内のリモコンコマンドリストから先程送信したリモコンコマンドを削除し(S7)、サーバ内のリモコンコマンドリストを更新し(S8)、サーバ内の別の赤外線リモコンコマンドにて試行する。上記の動作を繰り返すことにより、設置の一定時間後には自動的に機器の赤外線制御ができるようになる。
【0042】
図5は、上記例における制御のシーケンスを示す。まず、ユーザがサーバ上のアプリケーションにて機器検索をする要求を出す。次に、サーバ内にて有するコマンドリスト群の中から候補となるリモコンコマンドが選択され、インターネット経由で宅内に設置されているゲートウェイと呼ばれる装置に送信される。ゲートウェイは、上記リモコンコマンドに対して、インターネットと家庭内無線との変換を行い、変換したリモコンコマンドを電力測定器に無線送信する。ゲートウェイから送信されたリモコンコマンドを無線にて受け取った電力測定器は、それを赤外線変調方式等に応じて変換した後に赤外線LEDにて送信する。
【0043】
この後、一定時間(例えば、数秒)待った後に、電力測定器は消費電力情報をゲートウェイ経由でインターネット上のサーバに返す。サーバでは受け取った消費電力情報を解析し、機器20への赤外線制御によるフィードバックとして活用する。以上のようにして、インターネット、無線、赤外線といった異なる手段による制御によるフィードバックを消費電力情報にて得ることができる。
【0044】
本実施の形態にかかるシステムは、機器20の故障検出や異常動作検出に適用することも可能である。図6は、本システムを故障検出や異常動作検出に適用した際の動作例である。以下の動作例では、例えば機器20をエアコンとし、エアコンにて電源をOnし設定温度を変更した際の消費電力の変化が期待通りかどうかを確認する。
【0045】
図6の動作では、まず、機器20の消費電力が確認される(S11:消費電力確認(1))。次に、エアコンの温度設定を変更する赤外線コマンド(リモコンコマンド)の候補をサーバ中のリストに基づき決定し、インターネットと無線を経由して電力測定器10に送信する(S12)。電力測定器10は受け取ったコマンドを赤外線形式に変換した後に、赤外線通信部16からリモコンコマンドを機器20に向けて送信する(S13)。一定時間待った後に、電力測定器10は消費電力を測定し(S14:消費電力確認(2))、その結果を無線とインターネットとを経由してサーバ30に通知する。
【0046】
この際、瞬時電力のみならず、電力測定器10にて測定されている積算電力を用い、かつ、電力比較を比較長い時間(たとえば1時間)行うこともできる。これにより、例えば、機器の故障により冷暖房の効果が薄い可能性やユーザの間違った操作により必要以上に冷暖房している等を検知することもできる。
【0047】
サーバ30では受け取った消費電力情報を当初のものと比較する(S15)。具体的には、消費電力確認(1)と消費電力確認(2)の値とを比較する。上記比較の結果、消費電力の変化があれば、機器20の運転変更制御がなされたとみなし、サーバ30は機器20が正常動作していることを認識する(S16)。
【0048】
逆に、S15において消費電力情報に大きな変化が見られないときには、機器制御ができなかったことを意味しており、サーバ30は機器20が正常動作していないことを認識する(S17)。この場合、サーバ30は、WEBやメールにて機器20が異常動作していることをユーザに通知することができる(S18)。
【0049】
また、電力測定器10が機器20の電力測定結果をサーバ30に通知するタイミングについては、一定時間経過毎に行っても良いが、電力測定器10側で赤外線による機器制御の結果として生じる消費電力や消費パターンの変化を検知した際に、その情報をサーバ30に通知し、それにより赤外線リモコンコマンドを自動でサーバ30から取得する構成とすることもできる。この場合、電力測定器10は、少なくとも消費電力の変化を検知するための解析手段を有する必要があるが、単に変化の有無を検知するだけであれば、電力測定器10を制御するCPUにおいて特に大きな負荷とはならない。これにより、電力測定器10は、更なる機器制御を必要に応じて実施することができる。なお、上記の更なる機器制御とは、緊急時等における応答性の求められる制御の全般を指し、たとえば、誤使用や故障等により、消費電力が定格以上であったり想定消費電力を著しく上回るような場合に、短期間での緊急停止する制御等があげられる。
【0050】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、家庭又は事務所又は工場において家電用品、事務用品、製造機器の消費電力を測定すると同時に機器制御する製品に利用される。
【符号の説明】
【0052】
10 電力測定器
13 センサ部(測定部)
14 通信部
16 赤外線送信部
20 機器(制御対象機器)
30 サーバ
40 ゲートウェイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と制御対象機器との間に介在され、上記制御対象機器の消費電力を測定する電力測定器であって、
上記機器の消費電力を測定する測定部と、
無線通信によって、上記測定部による測定結果をゲートウェイを介してインターネット上のサーバに送信可能であるとともに、上記サーバからゲートウェイを介して制御コマンド情報を受信可能である通信部と、
上記制御コマンド情報に基づいて、上記機器への赤外線リモコンコマンドを送信する赤外線送信部とを備えたことを特徴とする電力測定器。
【請求項2】
上記赤外線送信部は、脱着可能なケーブルにて接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電力測定器。
【請求項3】
上記赤外線送信部は、電力測定器本体と物理的に接続されておらず、無線通信により上記通信部から上記制御コマンド情報を受け取ることが可能であることを特徴とする請求項1に記載の電力測定器。
【請求項4】
上記通信部は、さらに赤外線変調方式および/または送信レートを上記サーバからゲートウェイを介して取得でき、
上記赤外線送信部は、上記赤外線変調方式および/または送信レートに従って赤外線送信をすることを特徴とする請求項2または3に記載の電力測定器。
【請求項5】
上記請求項1から4の何れかに記載の電力測定器と、
上記電力測定器によって測定された制御対象機器の消費電力を受信し、受信した消費電力に対して解析を行い、その解析結果から導かれる上記機器への制御コマンド情報を上記電力測定器に通知するサーバと、
上記電力測定器との間の無線通信および上記サーバとの間のインターネット通信とによって、上記電力測定器と上記サーバとの間の中継を行うゲートウェイとからなる機器制御システム。
【請求項6】
上記サーバは、制御コマンド情報のデータベースを有しており、
上記電力測定器は、制御対象機器に対応する制御コマンド情報を上記データベースから取得することを特徴とする請求項5に記載の機器制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−222898(P2012−222898A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84431(P2011−84431)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】