説明

電動パワーステアリング装置

【課題】アシスト力の伝達経路に衝撃力を吸収する緩衝体を備えた電動パワーステアリング装置において、モータロータを回転自在に固定する玉軸受の軸方向のがたつきをなくす。
【解決手段】電動モータ40のモータロータ41は、緩衝体60を介してその突部41aをボールねじ装置50のボールナットロータ51の突部54aに回転力伝達可能に係合されており、これらの各突部41a、54aは、円周方向の端縁が軸方向に対して傾斜され、これら各突部41a、54aと同様に軸方向に対して傾斜する緩衝体60の突起部62は各突部41a、54aの間に圧縮されて介装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電動パワーステアリング装置は、ステアリングシャフトに加わる操舵トルクに応じて出力が制御される電動モータの回転をボールねじ装置によりラック軸の軸方向運動に変換してアシスト力を付与する。このような電動パワーステアリング装置においては、ラック軸がエンド当たりしたときや、車両の走行中に車輪が縁石に衝接したとき等に電動モータからのアシスト力の伝達経路の各部分に衝撃的荷重が加わって破損するという問題があり、このような問題を解決する発明が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置では、電動モータの円管状の回転子がボールねじ装置のボールスクリューナットに弾性体を介して係合されており、電動モータの回転子は弾性体を介してボールスクリューナットを回転させてラック軸を軸方向に移動させるアシスト力を発生させるようになっている。このような電動パワーステアリング装置では、ラック軸がエンド当たりしたときや車両の走行中に車輪が縁石に衝接したときには、ラック軸からアシスト力の伝達経路に伝わる衝撃的荷重は弾性体により吸収されて緩和されるので、アシスト力の伝達経路の各部分は損傷するおそれが減少する。
【特許文献1】特開2002−37097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した特許文献1の電動パワーステアリング装置においては、回転子はボールスクリューナット側となる端部に周方向に等間隔に形成された矩形状の4つの突起を、ボールスクリューナットの回転子側となる端部に周方向に等間隔に形成された回転子の突起の幅より大きい4つ矩形状の切り欠きに係合している。また、回転子とボールスクリューナットとの間に配置された弾性体は、回転子及びボールスクリューナットの内径よりわずかに小さい円筒形状の芯金の外周に、回転子の突起の部分を除いた部分で周方向に不連続に形成された樹脂製の4つのフランジ部と、この4つのフランジ部のうち2つを連結して回転子の突部とボールスクリューナットの切り欠きとの間に配置される2つのコ字状の弾性部とが形成されていてる。回転子とボールスクリューナットとを連結したときには、回転子の突起部は弾性体の弾性部を介してボールスクリューナットの切り欠きと隙間なく係合するようになっている。
【0004】
このような、電動パワーステアリング装置では、回転子とボールスクリューナットは軸方向に延びる平行な矩形状の突起及びこれに対応する切り欠きにより係合されていて、その間に配置された弾性体の弾性部も同様に軸方向に平行に延びるコ字状をしているので、ラック軸に軸方向に変動する力が加わると回転子をハウジングに回転可能に支持している玉軸受が軸方向にがたついて、電動パワーステアリング装置に異音を生じることがあった。本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ハウジングと、ラックピニオン機構により軸方向に移動可能にハウジングに貫挿されるラックシャフトと、ラックシャフトにアシスト力を付与する電動モータと、電動モータの回転をラックシャフトの軸方向運動に変換するボールねじ装置とを備えた電動パワーステアリング装置であって、電動モータは、ハウジングにころがり軸受を介して回転可能に支持されてラックシャフトが挿通された筒状のモータロータを備え、ボールねじ装置は、モータロータに同軸的に連結係合され、ハウジングにころがり軸受を介して回転可能に取り付けられて、その内周面に形成されたボールナット部がラックシャフトの外周面に形成されたボールねじ部に循環ボールを介して螺合された筒状のボールナットロータを備え、モータロータのボールナットロータと連結される側となる端部には軸方向に延びる突部を円周方向に沿って所定間隔をおいて形成し、ボールナットロータのモータロータと連結される側となる端部には軸方向に延びてモータロータの突部に回転力伝達可能に係合される突部を円周方向に沿って所定間隔をおいて形成し、モータロータの突部とボールナットロータの突部との間にはアシスト力の伝達経路に生じる衝撃力を吸収する緩衝部を有する環状の緩衝体を備えた電動パワーステアリング装置において、モータロータ及びボールナットロータは各突部の円周方向の端縁を軸方向に対して傾斜させ、緩衝体は各突部の円周方向の端縁の間に介装される緩衝部を各突部の円周方向の端縁と同様に軸方向に対して傾斜させ、緩衝部は各突部の間に圧縮して介装させることにより各ころがり軸受に軸方向の予圧を与えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、緩衝体はモータロータをハウジングに支持するころがり軸受と軸方向において同位置に設けたことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2において、緩衝体はモータロータ及びボールナットロータの各突部の係合する部分の内周面に設けられた環状部と、この環状部から外方に突出する緩衝部とからなることを特徴とする電動パワーステアリング装置である。
【発明の効果】
【0008】
前述のように構成した請求項1の発明によれば、電動モータのモータロータとボールねじ装置のボールナットロータとの間には緩衝体が設けられているので、ラックシャフトがエンド当たり等したときにはラックシャフトから電動モータまでのアシスト力の伝達経路に伝わる衝撃的荷重は緩衝体により吸収されて緩和されるので、アシスト力の伝達経路にあるモータロータは損傷するおそれが減少することになる。また、モータロータとボールナットロータは、円周方向の端縁を軸方向に対して傾斜された各突部が緩衝体の緩衝部を介して連結係合されており、緩衝部は各突部の間に圧縮して介装されていて、モータロータ及びボールナットロータをハウジングに固定している各ころがり軸受に軸方向の予圧が付与されるので、ラック軸に軸方向の力が加わってもころがり軸受が軸方向にがたついて異音を発することがなくなる。さらに、モータロータとボールナットロータの各突部の円周方向の端縁が軸方向に対して傾斜されていて、緩衝体の緩衝部も各突部の円周方向の端縁に介装される部分が軸方向に傾斜されているので、これらを係合させる際の組付作業性も向上する。
【0009】
前述のように構成した請求項2の発明によれば、緩衝体がモータロータをハウジングに取り付けるころがり軸受と軸方向に同位置であるので、緩衝体が破損したときでも外側にあるころがり軸受により受け止められて外側に飛び出すおそれはない。
【0010】
前述のように構成した請求項3の発明によれば、緩衝体は各突部の間に介装される緩衝部を環状部の外周に設けられているので、緩衝体をモータロータとボールナットロータとの間に組み付ける際の作業が容易になる。また、緩衝体の環状部は各突部の係合する部分の内周面に設けられているので、環状部が破損したときにも環状部が外側に飛び出すことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1および図2において、電動パワーステアリング装置10は、車両の左右方向に延在して配設されるアルミ合金製のハウジング20を備え、このハウジング20にラックシャフト30、電動モータ40、ボールねじ装置50、入力軸12等が組込まれている。
【0012】
図2に示すように、ハウジング20は中空円筒状に形成されたモータハウジング21と、モータハウジング21の両端に同軸上に嵌合されたそれぞれ中空円筒状に形成されたラックハウジング22,23とからなり、モータハウジング21とラックハウジング22,23はボルト22a、23aによって一体的に連結されている。
【0013】
ハウジング20にはラックシャフト30が軸方向摺動自在に貫挿され、ラックシャフト30の中央より片側に寄った外周の円周方向の一部には、ラック歯31が形成されている。ラック歯31は、ステアリングホイール11から操舵力が伝達される入力軸12の先端部に設けられたピニオンギヤ13と噛合し、このピニオンギヤ13の回転によってラックシャフト30が軸線方向(図の左右方向)へ移動される。
【0014】
図2に示すように、ラックシャフト30の中央部の外周には、螺旋状のねじ山よりなるボールねじ部32が形成されており、このボールねじ部32は、後述するボールねじ装置50の一部を構成する。ラックシャフト30の両端は、図1に示すように、タイロッドおよびナックルアームを介して操向車輪に連結され、ラックシャフト30の軸方向移動により操向車輪が左右に操向されるようになっている。
【0015】
電動モータ40は、ボールねじ装置50を介してラックシャフト30に軸線方向の移動のアシスト力を付与するサーボモータであり、図2に示すように、モータロータ41とステータ44とから構成されてラックシャフト30と同軸的に配置されている。モータロータ41は中空円筒状に形成されており、その両端はモータハウジング21の両端部内周に装着された一対の玉軸受(ころがり軸受)42,43により回転可能に支持されている。図2において右側の玉軸受43は、外輪の一端がラックハウジング23の端部に当接されており、内輪の他端がモータロータ41に嵌合するカラー43aに当接されていて、モータロータ41の軸方向右向きの移動が制限されている。
【0016】
モータロータ41の左端部には、図4に示すように、軸方向に延びる突部41aが円周方向に沿って所定間隔をおいて形成されており、この突部41aの円周方向の両端縁41bは、軸方向に対して傾斜されている。玉軸受42は、この突部41aの外周においてモータロータ41に嵌合されている。なお、モータロータ41の突部41aは、後述するボールねじ装置50のボールナットロータ51に同軸的に連結係合されて電動モータ40の回転をボールナットロータ51に伝達するようになっている。モータロータ41の中空穴には、隙間をおいてラックシャフト30が同軸的に軸方向移動可能に貫挿されている。モータロータ41の外周には、板状の永久磁石45が円周上に固着され、この永久磁石45に対向してステータ44がモータハウジング21の内周に配設されている。ステータ44は複数のコイル44aを備え、このコイル44aに通電して発生する磁束を永久磁石45に作用させることによりモータロータ41が回転される。
【0017】
ボールねじ装置50は、電動モータ40の回転をラックシャフト30の軸方向運動に変換するものであり、図2及び図3に示すように、ラックシャフト30に形成されたボールねじ部32と、ボールナットロータ51と、これらボールねじ部32とボールナットロータ51との間に転動可能に介装された多数の循環ボール55とから主として構成されている。
【0018】
ボールナットロータ51は、小径部52aと大径部52bとからなる中空円筒状の支持スリーブ52と、ラックシャフト30のボールねじ部32に循環ボール55を介して螺合するボールナット(ボールナット部)53と、ボールナット53を支持スリーブ52に保持する中空円筒状のボールねじ円筒54とを一体的に結合したものである。
【0019】
支持スリーブ52の大径部52bの内周には、ボールナット53を挿入して小径部52aの端部に当接させ、ボールねじ円筒54を支持スリーブ52の大径部52bの内周面に螺合させてボールナット53を締付固定して全体を一体的に結合する。なお、ボールナットロータ51は、上記したように、支持スリーブ52とボールねじ円筒54とボールナット53とを組み付けて構成する代わりに、これら全体を一体形成してもよい。
【0020】
このように構成されるボールナットロータ51は、図2及び図3に示すように、ラックシャフト30が同軸的に軸方向移動可能に貫挿されている。ボールナット53は、ラックシャフト30のボールねじ部32に循環ボール55を介して螺合されている。ボールねじ円筒54には、図4に示すように、モータロータ41側となる端部に軸方向に延びる突部54aが円周方向に沿って所定間隔をおいて形成されており、この突部54aの円周方向の両端縁54bは、軸方向に対して傾斜されていて、前述したモータロータ41の突部41aと回転力伝達可能に係合されるようになっている。
【0021】
ボールナットロータ51は、支持スリーブ52の小径部52aの外周面に嵌合されたアンギュラ玉軸受(ころがり軸受)56を介してラックハウジング22に支持されており、玉軸受42は突部54aの外周面に対して遊嵌状態となっている。アンギュラ玉軸受56は、外輪の一端がラックハウジング22の段部22bに当接され、他端側から環状締付ねじ56aにより締付けられてラックハウジング22に固定されている。アンギュラ玉軸受56は、支持スリーブ52に対しては、内輪の一端側が大径部52bの端部に当接されていて、他端側がリングナット56aにより押しつけられて固定されている。
【0022】
図3に示すように、モータロータ41とボールねじ円筒54との間には、シリコン樹脂よりなる環状の緩衝体60が設けられている。緩衝体60は、図4に示すように、環状部61と、この環状部61の外周面に突出して形成された突起部62とからなる。環状部61は、モータロータ41の突部41aとボールねじ円筒54の突部54aとの係合する部分の内周面側に配置されている。突起部62は、環状部61の外周面から突出して一体的に形成され、上記各突部41a、54aと同様に軸方向に対して傾斜されている。緩衝体60が、モータロータ41とボールナットロータ51との間に介装された状態では、突起部62は、モータロータ41の突部41aとボールねじ円筒54の突部54aとの間に圧縮されて弾性変形されている。なお、突起部62は、請求の範囲における緩衝部を構成している。
【0023】
モータロータ41とボールナットロータ51とがその間に緩衝体60を介して各突部41a、54aを回転力伝達可能に係合されているとき、モータロータ41の突部41aの軸方向の端縁とボールねじ円筒54の突部54a間に形成される凹部の軸方向の端縁との間にはわずかな隙間が形成されており、同様に、ボールナットロータ51の突部54aの軸方向の端縁とモータロータ41の突部41a間に形成される凹部の軸方向の端縁との間にはわずかな隙間が形成されている。ラックシャフト30がエンド当たりする等して電動モータ40からのアシスト力の伝達経路に衝撃的荷重が伝達されたときには、モータロータ41とボールナットロータ51は、軸方向に相対的に移動することによって、緩衝体60を弾性変形させて衝撃力を吸収する。
【0024】
図1に示すように、制御ユニット70にはステアリングホイール11のステアリング操作によりステアリングシャフト14に加わる操舵トルクを検出するトルクセンサ71と、モータロータ41の回転角を検出する回転角検出センサ72とが接続されている。トルクセンサ71はステアリングシャフト14を構成するアッパシャフト14aとロアシャフト14bとの間に配設され、アッパシャフト14aとロアシャフト14bとの相対角変位に基づいて操舵トルクを検出するようになっている。回転角検出センサ72は、モータハウジング21の内部に設けられており、モータロータ41の回転位置に基づいて回転角を検出するものである。制御ユニット70はトルクセンサ71と車速等の走行状態に応じて電動モータ40を制御して、ラックシャフト30にアシスト力を与える。
【0025】
次に、上記のように構成された電動パワーステアリング装置10の作動について説明する。ステアリングホイール11を操舵すると、回転がステアリングシャフト14を介して入力軸12に伝達され、ピニオンギヤ13とラック歯31とによるラックピニオン機構でラックシャフト30が軸方向に移動されて、操向車輪が操向される。このとき、トルクセンサ71は、ステアリングシャフト14に与えられた操舵トルクを検出し、図略の車速センサは車速を検出する。これらの各センサにより検出された操舵トルクと車速等に基づいて制御ユニット70は、電動モータ40の出力を制御する。電動モータ40によるモータロータ41の回転は、連結係合されるボールねじ円筒54を介して係合されるボールナット53を回転させてラックシャフト30の軸方向移動に変換されてアシスト力を与え、運転者によるステアリングホイール11の操舵力が軽減される。
【0026】
上記のように構成された電動パワーステアリング装置10においては、電動モータ40のモータロータ41の突部41aとボールねじ装置50のボールナットロータ51の突部54aとの間の回転力の伝達はそれらの間に介装された緩衝体60の突起部62を介して行われ、ラックシャフト30がエンド当たりしたり、車両の走行中に車輪が縁石に衝接したりしてラックシャフト30に軸方向の力が加わっても、ラックシャフト30から電動モータ40までのアシスト力の伝達経路に伝わる衝撃的荷重は緩衝体60の突起部62により吸収されて緩和されるので、アシスト力の伝達経路にあるモータロータ41等は損傷するおそれが減少することになる。また、回転力を伝達するモータロータ41とボールナットロータ51のボールねじ円筒54の各突部41a、54aは、円周方向の各端縁41b、54bが軸方向に対して傾斜されており、各突部41a、54aと同様に軸方向に傾斜する突起部62は各突部41a、54aの間に圧縮されて介装されていて、モータロータ41とボールナットロータ51をハウジング20に固定している玉軸受43及びアンギュラ玉軸受56に軸方向の予圧が付与されるので、ラックシャフト30に軸方向の力が加わっても各玉軸受43、56が軸方向にがたついて異音を発することがなくなる。さらに、モータロータ41とボールナットロータ51におけるボールねじ円筒54の各突部41a、54aの円周方向の端縁が軸方向に対して傾斜されていて、緩衝体60の突起部62も各突部41a、54aの円周方向の端縁と同様に軸方向に傾斜されているので、緩衝体60を圧縮させてこれらを係合させる際の組付作業性も向上する。
【0027】
また、緩衝体60はモータロータ41及びボールナットロータ51をモータハウジング21に取り付ける玉軸受42と軸方向に同位置であるので、緩衝体60の突起部62が破損したときでも外側にある玉軸受42により受け止められて外側に飛び出すおそれはない。
【0028】
さらに、緩衝体60は各突部41a、54aとの間に介装される突起部62を環状部61の外周に設けるようにしているので、モータロータ41とボールナットロータ51との間に組み付ける際の作業が容易になる。また、緩衝体60の環状部61は各突部41a、54aの係合する部分の内周面に設けられているので、環状部61が破損したときにも、環状部61が外側に飛び出すおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置を車体へ搭載した概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す電動パワーステアリング装置の断面図である。
【図3】図2の一部拡大断面図である。
【図4】モータロータ、ボールねじ円筒及び緩衝体を分解した斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
20…ハウジング、30…ラックシャフト、32…ボールねじ部、40…電動モータ、41…モータロータ、41a…突部、42,43…ころがり軸受(玉軸受)、50…ボールねじ装置、51…ボールナットロータ、53…ころがり軸受(アンギュラ玉軸受)、54a…突部、55…ボールナット部(ボールナット)、56…循環ボール、60…緩衝体、61…環状部、62…緩衝部(突起部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
ラックピニオン機構により軸方向に移動可能に前記ハウジングに貫挿されるラックシャフトと、
前記ラックシャフトにアシスト力を付与する電動モータと、
前記電動モータの回転を前記ラックシャフトの軸方向運動に変換するボールねじ装置とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記電動モータは、前記ハウジングにころがり軸受を介して回転可能に支持されて前記ラックシャフトが挿通された筒状のモータロータを備え、
前記ボールねじ装置は、前記モータロータに同軸的に連結係合され、前記ハウジングにころがり軸受を介して回転可能に取り付けられて、その内周面に形成されたボールナット部が前記ラックシャフトの外周面に形成されたボールねじ部に循環ボールを介して螺合された筒状のボールナットロータを備え、
前記モータロータの前記ボールナットロータと連結される側となる端部には軸方向に延びる突部を円周方向に沿って所定間隔をおいて形成し、
前記ボールナットロータの前記モータロータと連結される側となる端部には軸方向に延びて前記モータロータの突部に回転力伝達可能に係合される突部を円周方向に沿って所定間隔をおいて形成し、
前記モータロータの突部と前記ボールナットロータの突部との間には前記アシスト力の伝達経路に生じる衝撃力を吸収する緩衝部を有する環状の緩衝体を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記モータロータ及び前記ボールナットロータは各突部の円周方向の端縁を軸方向に対して傾斜させ、
前記緩衝体は前記各突部の円周方向の端縁の間に介装される前記緩衝部を前記各突部の円周方向の端縁と同様に軸方向に対して傾斜させ、
前記緩衝部は前記各突部の間に圧縮して介装させることにより前記各ころがり軸受に軸方向の予圧を与えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
請求項1において、前記緩衝体は前記モータロータを前記ハウジングに支持する前記ころがり軸受と軸方向において同位置に設けたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記緩衝体は前記モータロータ及び前記ボールナットロータの各突部の係合する部分の内周面に設けられた環状部と、この環状部から外方に突出する前記緩衝部とからなることを特徴とする電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−307911(P2008−307911A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154886(P2007−154886)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】