説明

電動パワーステアリング装置

【課題】ウォームシャフトおよびウォームホイールのバックラッシュをより小さくすることが可能な電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】電動パワーステアリング装置は、電動モータと、この電動モータの回転を減速してステアリングシャフトに伝達するウォームシャフトおよびウォームホイールと、ウォームシャフトをウォームホイールに向けて付勢する芯間調整機構とを有する。電動モータの出力軸41は、複数の外歯43を有する。また、ウォームシャフト50は、複数の内歯58を有する。そして、各外歯43は、傾斜部分44を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータと、この電動モータの回転を減速してステアリングシャフトに伝達するウォームシャフトおよびウォームホイールと、ウォームシャフトをウォームホイールに向けて付勢する芯間調整機構とを有する電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電動パワーステアリング装置は、電動モータの出力軸に固定された継手と、継手を介して出力軸とともに回転するウォームシャフトと、ウォームシャフトの第2端部をウォームホイールに向けて付勢する芯間調整機構とを有する。ウォームシャフトの第1端部は、複数の第1歯を有する。継手は、複数の第2歯を有する。ウォームシャフトの第1歯および継手の第2歯は、互いに噛み合わせられている。
【0003】
ウォームシャフトは、芯間調整機構により付与される力、および同シャフトの第1歯と継手の第2歯との噛み合いにより、第1歯および第2歯との噛合部分を支点としてウォームホイール側に傾斜する。これにより、ウォームシャフトおよびウォームホイールのバックラッシュが小さくなるため、ウォームシャフトの第1ウォーム歯とウォームホイールの第2ウォーム歯との歯打音の発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−43744号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウォームシャフトは、ウォームシャフトおよびウォームホイールのバックラッシュが大きい構造の装置ほど電動モータの出力軸に対する傾斜角度が大きくなる。一方、ウォームシャフトの傾斜角度がとり得る範囲は、主に噛合部分の周方向において隣り合う第1歯および第2歯の隙間に応じて規定される。このため、隣り合う第1歯および第2歯の隙間の大きさに制約がある場合には、ウォームシャフトの傾斜角度がとり得る範囲を十分に確保することが難しい。そして、ウォームシャフトの傾斜角度がとり得る範囲が小さい場合には、ウォームシャフトおよびウォームホイールのバックラッシュが大きくなる。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、ウォームシャフトおよびウォームホイールのバックラッシュをより小さくすることが可能な電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る電動パワーステアリング装置は、軸方向の一端に設けられて内周面に前記軸方向に沿って延びた複数の第1歯が形成された筒状の第1端部、前記軸方向の他端に設けられた第2端部、および前記第1端部と前記第2端部との間に設けられて外周面に第1ウォーム歯が形成されたウォーム歯部を有するウォームシャフトと、外周面に軸方向に沿って延びた複数の第2歯が形成されて、前記複数の第1歯と前記複数の第2歯とが嵌合されるように前記第1端部の内側に挿入された出力軸を有する電動モータと、ステアリングシャフトに固定されて、外周面に前記第1ウォーム歯と噛み合った第2ウォーム歯が形成されたウォームホイールと、前記ウォームシャフトおよび前記ウォームホイールを収容するハウジングと、前記ハウジングの内面と前記第1端部の外周面との間に設けられて、前記ウォームシャフトを軸支する第1軸受と、前記ハウジングの内面と前記第2端部の外周面との間に設けられて、前記ウォームシャフトを軸支する第2軸受と、前記第1端部を支点として前記第2端部を前記ウォームホイールに向けて付勢する芯間調整機構とを備え、前記電動モータの回転力が前記ウォームシャフトおよび前記ウォームホイールを介して減速されて前記ステアリングシャフトに伝達される電動パワーステアリング装置において、前記第1歯および前記第2歯の少なくとも一方は、前記軸方向の少なくとも一端に設けられて該一端に向かうにつれて歯厚が小さくなる傾斜部分を有することを特徴とする。
【0008】
また、電動パワーステアリング装置は、軸方向の一端に設けられて外周面に前記軸方向に沿って延びた複数の第1歯が形成された第1端部、前記軸方向の他端に設けられた第2端部、および前記第1端部と前記第2端部との間に設けられて外周面に第1ウォーム歯が形成されたウォーム歯部を有するウォームシャフトと、内周面に軸方向に沿って延びた複数の第2歯が形成されて、前記複数の第1歯と前記複数の第2歯とが嵌合されるように前記第1端部を挿入する筒状の出力軸を有する電動モータと、ステアリングシャフトに固定されて、外周面に前記第1ウォーム歯と噛み合った第2ウォーム歯が形成されるウォームホイールと、前記ウォームシャフトおよび前記ウォームホイールを収容するハウジングと、前記ハウジングの内面と前記第1端部の外周面との間に設けられて、前記ウォームシャフトを軸支する第1軸受と、前記ハウジングの内面と前記第2端部の外周面との間に設けられて、前記ウォームシャフトを軸支する第2軸受と、前記第1端部を支点として前記第2端部を前記ウォームホイールに向けて付勢する芯間調整機構とを備え、前記電動モータの回転力が前記ウォームシャフトおよび前記ウォームホイールを介して減速されて前記ステアリングシャフトに伝達される電動パワーステアリング装置において、前記第1歯および前記第2歯の少なくとも一方は、前記軸方向の少なくとも一端に設けられて該一端に向かうにつれて歯厚が小さくなる傾斜部分を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、ウォームシャフトおよびウォームホイールのバックラッシュをより小さくすることが可能な電動パワーステアリング装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の電動パワーステアリング装置について、(a)はウォームシャフトおよびその周辺の断面構造を示す断面図、(b)は同(a)の一点鎖線円の拡大構造を示す拡大図。
【図2】同実施形態の電動パワーステアリング装置について、図1のA−A線に沿う断面構造を示す断面図。
【図3】同実施形態の電動パワーステアリング装置について、(a)は電動モータの出力軸に形成された外歯部分の一部分の平面構造を示す平面図、(b)は外歯部分の外歯の斜視構造を示す斜視図。
【図4】同実施形態の電動パワーステアリング装置について、噛合部分の一部分の平面構造を模式的に示す平面図。
【図5】比較例の電動パワーステアリング装置について、噛合部分の一部分の平面構造を模式的に示す平面図。
【図6】本発明のその他の実施形態の電動パワーステアリング装置について、噛合部分の一部分の平面構造を模式的に示す平面図。
【図7】本発明のその他の実施形態の電動パワーステアリング装置について、噛合部分の一部分の平面構造を模式的に示す平面図。
【図8】本発明のその他の実施形態の電動パワーステアリング装置について、噛合部分の一部分の平面構造を模式的に示す平面図。
【図9】本発明のその他の実施形態の電動パワーステアリング装置について、噛合部分の一部分の平面構造を模式的に示す平面図。
【図10】本発明のその他の実施形態の電動パワーステアリング装置について、噛合部分およびその周辺の断面構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1および図2を参照して、電動パワーステアリング装置1の構成について説明する。
電動パワーステアリング装置1は、各部品を収容するハウジング10と、ステアリングシャフト2の回転を補助する力(以下、「アシスト力」)をステアリングシャフト2に付与する電動モータ40と、電動モータ40の回転を減速してステアリングシャフト2に伝達するウォームシャフト50およびウォームホイール90とを有する。またこの他に、ウォームシャフト50を支持する2つの玉軸受すなわち、第1軸受20および第2軸受30と、ハウジング10の開口部分の1つを閉塞するカバー80とを有する。またこの他に、ウォームシャフト50の第2端部54をウォームホイール90に向けて付勢する押付リング60と、第1軸受20に対するウォームシャフト50の移動を許容する移動機構70とを有する。なお、押付リング60は「芯間調整機構」に相当する。
【0012】
ここで、電動パワーステアリング装置1の方向について以下のように定義する。
(A)ウォームシャフト50の回転中心軸に沿う方向を「軸方向ZA」とする。
(B)軸方向ZAにおいて、電動モータ40からウォームシャフト50に向かう方向を「先端方向ZA1」とし、ウォームシャフト50から電動モータ40に向かう方向を「基端方向ZA2」とする。
(C)ウォームホイール90の回転中心軸に直交する平面において、ウォームシャフト50の回転中心軸に直交する方向を「噛合方向ZB」とする。
(D)噛合方向ZBにおいて、ウォームホイール90から離間する方向を「離間方向ZB1」とし、ウォームホイール90に接近する方向を「接近方向ZB2」とする。
【0013】
ハウジング10は、ウォームホイール90を収容する第1収容部分11と、第1軸受20、第2軸受30、ウォームシャフト50、押付リング60、および移動機構70を収容する第2収容部分12とを有する。第1収容部分11は、ウォームホイール90の回転中心軸に沿う円筒形状の空間を有する。第2収容部分12は、ハウジング10を軸方向ZAに貫通する円筒形状の空間を有する。
【0014】
電動モータ40は、ハウジング10における第2収容部分12の基端方向ZA2の開口部分に固定されている。ウォームホイール90は、ステアリングシャフト2に固定されている。カバー80は、ハウジング10における第2収容部分12の先端方向ZA1の開口部分に固定されている。
【0015】
図1(a)に示されるように、ウォームシャフト50は、第1ウォーム歯55Aが形成されたウォーム歯部55と、電動モータ40の出力軸41が接続される筒状の第1端部56と、ウォーム歯部55から先端方向ZA1に向けて突出した第2端部54とを有する。ウォーム歯部55は、軸方向ZAにおいて第1端部56と第2端部54との間に位置する。ウォームホイール90は、ウォームシャフト50のウォーム歯部55と噛み合わされる第2ウォーム歯91を有する。
【0016】
図1(b)に示されるように、第1端部56は、軸方向ZAにおいて最もウォーム歯部55側に位置する第1取付部分51と、軸方向ZAにおいて最も電動モータ40側に位置する第3取付部分53と、第1取付部分51および第3取付部分53の間に位置する第2取付部分52と、出力軸41の先端部分が挿入される挿入穴56Aとを有する。
【0017】
電動モータ40の出力軸41およびウォームシャフト50の第1端部56は、出力軸41および第1端部56の間においてトルクを伝達するとともに軸方向ZAの相対的な移動を許容する噛合部分KCを有する。
【0018】
噛合部分KCは、出力軸41の先端部分の外周面に形成された外歯部分42と、第1端部56の挿入穴56Aの内周面に形成された内歯部分57とを有する。外歯部分42は、セレーション加工により形成された複数の外歯43を有する。内歯部分57は、セレーション加工により形成された複数の内歯58を有する。各外歯43および各内歯58の歯幅方向は、軸方向ZAと平行している。各外歯43および各内歯58は、同じ大きさの歯幅を有する。なお、外歯43は「第2歯」に相当する。また、内歯58は「第1歯」に相当する。
【0019】
図1(a)に示されるように、第1軸受20は、内輪21、外輪22、および複数の転動体23を有する。内輪21は、ウォームシャフト50の第2取付部分52と隙間嵌めの関係を有する。外輪22は、ハウジング10の内面に固定されている。
【0020】
第2軸受30は、内輪31、外輪32、および複数の転動体33を有する。内輪31は、ウォームシャフト50の第2端部54としまり嵌めの関係を有する。外輪32は、押付リング60の内面に固定されている。
【0021】
図2に示されるように、押付リング60は、第2軸受30の外輪32が固定されたリング本体61と、リング本体61を介して第2軸受30を接近方向ZB2に向けて押す押付部分62とを有する。リング本体61および押付部分62は、同一の金属材料により一体の部材として形成されている。
【0022】
押付部分62は、一対の弾性片を有する。各弾性片は、圧縮変形した状態でハウジング10の内面に押し付けられている。このため押付部分62は、離間方向ZB1に作用する復元力をハウジング10に付与している。一方、ハウジング10は、各弾性片の復元力の反力として接近方向ZB2に作用する力を押付部分62およびリング本体61に付与している。このためウォームシャフト50は、接近方向ZB2に作用する力を受けている。
【0023】
リング本体61の外周面は、ハウジング10の内面との間に微小な隙間を有する。このため押付リング60は、ウォームシャフト50および第2軸受30を介して図1の軸方向ZAに作用する力を受けたとき、この力に基づいてハウジング10に対して軸方向ZAに移動することが許容されている。すなわち押付リング60は、ウォームシャフト50および第2軸受30がハウジング10に対して軸方向ZAに移動することを許容する構成を有する。
【0024】
図1(a)に示されるように、ウォームシャフト50は押付リング60から付与される力により、噛合部分KCを支点として電動モータ40の出力軸41に対して第2端部54がウォームホイール90に向けて傾斜している。すなわち、押付リング60によりウォームホイール90の回転中心軸に直交する平面において、ウォームシャフト50の回転中心軸が出力軸41の回転中心軸に対して接近方向ZB2に傾斜している。このため、ウォームシャフト50の回転中心軸が出力軸41の回転中心軸に対して傾斜していない構成と比較して、ウォームシャフト50の第1ウォーム歯55Aおよびウォームホイール90の第2ウォーム歯91のバックラッシュが小さい。
【0025】
図1(b)に示されるように、移動機構70は、内輪21に対するウォームシャフト50の軸方向ZAへの移動にともない弾性変形することによりウォームシャフト50を第1軸受20に対して弾性支持する2つの弾性体、すなわち第1弾性体71および第2弾性体72と、内輪21に対するウォームシャフト50の軸方向ZAへの移動にともない内輪21に接触する内輪ストッパー73と、ハウジング10に対する外輪22の軸方向ZAの位置を規制する外輪ストッパー74とを有する。内輪ストッパー73は、第3取付部分53の外面に圧入されている。外輪ストッパー74は、ハウジング10の内面に圧入されている。なお、第1弾性体71および第2弾性体72は「弾性部材」に相当する。
【0026】
第1弾性体71は、第1取付部分51の外面に圧入されている。第1弾性体71の先端方向ZA1側の端面は、第1取付部分51の段差部分51Aに接触している。第1弾性体71の基端方向ZA2側の端面は、内輪21の先端面21Aに接触している。
【0027】
第2弾性体72は、内輪ストッパー73の外面に圧入されている。第2弾性体72の先端方向ZA1側の端面は、内輪21の基端面21Bに接触している。第2弾性体72の基端方向ZA2側の端面は、内輪ストッパー73の段差部分に接触している。
【0028】
外輪22の先端面22Aは、ハウジング10に接触している。外輪22の基端面22Bは、外輪ストッパー74に接触している。このため外輪22は、ハウジング10に対して軸方向ZAに移動することができない。
【0029】
内輪21の先端面21Aは、第1取付部分51の基端面51Bと隙間G1を介して対向している。内輪21の基端面21Bは、内輪ストッパー73の先端面73Aと隙間G2を介して対向している。
【0030】
ウォームシャフト50は、ハウジング10に対して軸方向ZAに移動することが許容されている。この動作は、ウォームシャフト50の第2取付部分52が内輪21に対して隙間嵌めされている構成、および軸方向ZAにおいてハウジング10に対する第2軸受30および押付リング60の移動が許容されている構成により実現される。そして、ウォームシャフト50に対して先端方向ZA1または基端方向ZA2の力が付与されるとき、ウォームシャフト50が内輪21に対して隙間G2または隙間G1の分だけ先端方向ZA1または基端方向ZA2に移動することができる。
【0031】
第1弾性体71は、ウォームシャフト50が内輪21に対して先端方向ZA1に移動するとき、軸方向ZAにおいて弾性変形する。第2弾性体72は、内輪21がウォームシャフト50に対して基端方向ZA2に移動するとき、軸方向ZAにおいて弾性変形する。
【0032】
図1を参照して、電動モータ40のアシスト力がステアリングシャフト2に付与される前の状態におけるウォームシャフト50の動作について説明する。以下の説明では、ウォームホイール90の回転中心軸に直交する平面において、ウォームホイール90の時計回りの回転方向を「正転方向」とする。また反時計回りの回転方向を「逆転方向」とする。
【0033】
ウォームシャフト50は、ステアリングシャフト2の右方向への回転にともない正転方向に回転する。ウォームホイール90の第2ウォーム歯91は、ウォームシャフト50から伝達されたトルクの反力として基端方向ZA2に作用する力をウォームシャフト50のウォーム歯部55に付与する。
【0034】
ウォームシャフト50は、ウォームホイール90からの反力により内輪21に対して基端方向ZA2に移動する。第1弾性体71は、内輪21に対するウォームシャフト50の基端方向ZA2への移動にともない内輪21および第1取付部分51により圧縮される。そして、第1取付部分51の基端面51Bが内輪21の先端面21Aに接触するとき、内輪21に対するウォームシャフト50の移動が規制される。
【0035】
ウォームシャフト50は、ステアリングシャフト2の左方向への回転にともない逆転方向に回転する。ウォームホイール90の第2ウォーム歯91は、ウォームシャフト50から伝達されたトルクの反力として先端方向ZA1に作用する力をウォームシャフト50のウォーム歯部55に付与する。
【0036】
ウォームシャフト50は、ウォームホイール90からの反力により内輪21に対して先端方向ZA1に移動する。第2弾性体72は、内輪21に対するウォームシャフト50の先端方向ZA1への移動にともない内輪21および内輪ストッパー73により圧縮される。そして、内輪ストッパー73の端面が内輪21の基端面21Bに接触するとき、内輪21に対するウォームシャフト50の移動が規制される。
【0037】
図3を参照して、外歯部分42の詳細な構成について説明する。
外歯43の外面は、歯先端面43Aと、歯基端面43Bと、歯先面43Cと、2つの歯側面43Dとを有する。歯先端面43Aは、外歯43の先端方向ZA1の端面を示す。歯基端面43Bは、外歯43の基端方向ZA2の端面を示す。以下では、隣り合う2つの外歯43の歯側面43Dにおける基準円直径上の周方向の距離を「外歯間距離」とする。
【0038】
外歯43は、歯幅方向において歯厚が変化しない直線部分45と、歯幅方向において歯厚が変化する傾斜部分44とを有する。傾斜部分44は、直線部分45に相当する部分に対してクラウニング加工を施すことにより形成されている。直線部分45および傾斜部分44は、同一の材料により一体的に形成されている。なお、外歯43において、直線部分45と傾斜部分44とを区切る仮想の境界線KLが通過する部分を「境界部分46」とする。
【0039】
外歯43の歯厚は、歯幅方向に対して次の関係を有する。
(A)歯厚は、歯先端面43Aにおいて最も小さい。
(B)歯厚は、歯先端面43Aから境界部分46にかけて次第に大きくなる。
(C)歯厚は、境界部分46から歯基端面43Bにかけて一定の大きさを有する。
【0040】
外歯43の歯厚は、歯たけ方向に対して次の関係を有する。
(A)直線部分45の歯厚は、歯底から歯先に向かうにつれて小さくなる。
(B)傾斜部分44の歯厚は、歯底から歯先に向かうにつれて小さくなる。
【0041】
外歯間距離は、歯幅方向に対して次の関係を有する。
(A)外歯間距離は、歯先端面43Aにおいて最も小さい。
(B)外歯間距離は、歯先端面43Aから境界部分46にかけて次第に小さくなる。
(C)外歯間距離は、境界部分46から歯基端面43Bにかけて一定の大きさを有する。
【0042】
なお、外歯43の歯厚が歯たけ方向において異なるため、外歯間距離も歯たけ方向において異なる。以下では、外歯43の基準円直径における外歯間距離が歯たけ方向において異なる外歯間距離を代表するものとする。
【0043】
図4を参照して、内歯58の詳細な構成について説明する。
内歯58の外面は、歯先端面58Aと、歯基端面58Bと、歯先面58Cと、2つの歯側面58Dとを有する。歯先端面58Aは、内歯58の先端方向ZA1の端面を示す。歯基端面58Bは、内歯58の基端方向ZA2の端面を示す。以下では、隣り合う2つの内歯58の歯側面58Dにおける基準円直径上の周方向の距離を「内歯間距離」とする。
【0044】
内歯58の歯厚は、内歯58の歯幅方向において一定の大きさを有する。また、歯たけ方向に対して歯底から歯先に向かうにつれて小さくなる。内歯間距離は、内歯58の歯幅方向において一定の大きさを有する。
【0045】
図4を参照して、ウォームシャフト50の傾斜角度について説明する。
ここで、ウォームホイール90の回転中心軸に直交する平面において、ウォームシャフト50の回転中心軸が電動モータ40の出力軸41の回転中心軸に対してなす角度を「ウォーム傾斜角度」とする。また、ウォーム傾斜角度が「0°」のときのウォームシャフト50の姿勢を「ウォーム基準姿勢」とする。
【0046】
ウォームシャフト50は、噛合部分KCおよび押付リング60を有することにより、噛合部分KCを揺動中心として電動モータ40の出力軸41およびウォームホイール90に対して傾斜することが許容されている。
【0047】
このため、ウォームシャフト50の回転にともないウォームシャフト50に対してウォームホイール90から離間方向ZB1の反力が入力されるとき、ウォームシャフト50が噛合部分KCを揺動中心としてウォームホイール90に対して離間方向ZB1に揺動する。すなわち、ウォームシャフト50が噛合部分KCを揺動中心として電動モータ40の出力軸41に対して離間方向ZB1に傾斜する。また、ウォームシャフト50に作用する離間方向ZB1の力が押付リング60の力よりも小さくなるとき、ウォームシャフト50が噛合部分KCを揺動中心としてウォームホイール90に対して接近方向ZB2に揺動する。すなわち、ウォームシャフト50が噛合部分KCを揺動中心として電動モータ40の出力軸41に対して接近方向ZB2に傾斜する。このため、ウォームシャフト50がウォームホイール90からの反力により揺動しない構成と比較してウォームシャフト50の回転抵抗が小さくなる。
【0048】
ウォーム傾斜角度は、離間側最大角度から接近側最大角度までの範囲(以下、「傾斜角度変化範囲」)内で変化する。離間側最大角度は、ウォームシャフト50の回転中心軸が出力軸41の回転中心軸に対して離間方向ZB1に最も傾斜しているときのウォーム傾斜角度を示す。接近側最大角度は、ウォームシャフト50の回転中心軸が出力軸41の回転中心軸に対して接近方向ZB2に最も傾斜しているときのウォーム傾斜角度を示す。
【0049】
傾斜角度変化範囲は、ウォーム基準姿勢のときのウォームシャフト50の周方向において互いに隣接する外歯43の歯側面43Dと内歯58の歯側面58Dとの間の隙間(以下、「歯隙間」)により規定される。そして、ウォーム基準姿勢のときの歯隙間が「0」のとき、外歯43および内歯58が隙間を形成することなく噛み合わせられていることになるため、ウォーム傾斜角度は変化しない。一方、ウォーム基準姿勢のときの歯隙間が大きくなるにつれて、外歯43と内歯58と相対的な傾斜代が大きくなるため、傾斜角度変化範囲も大きくなる。
【0050】
歯隙間は、内歯58の歯厚を一定としたとき、外歯43の外歯間距離に応じて変化する。すなわち歯隙間は、外歯43の外歯間距離が大きくなるにつれて大きくなる。このため、傾斜角度変化範囲の大きさは、外歯43の外歯間距離に応じて調節することができる。
【0051】
図4および図5を参照して、比較例としての電動パワーステアリング装置(以下、「比較装置」)との比較に基づいて、電動パワーステアリング装置1の作用について説明する。なお、比較装置は、噛合部分KCに代えて図5の噛合部分200を有する点において本実施形態の電動パワーステアリング装置1と相違し、その他の点は電動パワーステアリング装置1と同様の構成を有する。このため、電動パワーステアリング装置1と共通する構成については、同一の符号を付して説明を省略する。なお、以下では、電動パワーステアリング装置1の直線部分45の外歯間距離を「基準歯間距離」とする。
【0052】
図5に示されるように、比較装置の噛合部分200は、複数の外歯210および複数の内歯58を有する。各外歯210は、電動パワーステアリング装置1の外歯43とは異なり、先端方向ZA1の端部に傾斜部分44に相当する部分を有していない。このため、傾斜角度変化範囲を電動パワーステアリング装置1と同じ大きさにするためには、外歯間距離(隣り合う外歯210の周方向の距離)を電動パワーステアリング装置1の基準歯間距離よりも大きくする必要がある。すなわち、電動パワーステアリング装置1は、基準歯間距離を比較装置の外歯間距離と比較して小さくしても、比較装置と同じ大きさの傾斜角度変化範囲を確保することができる。また、この実施形態の電動パワーステアリング装置1は、比較装置の外歯間距離よりも小さい基準歯間距離を有する。
【0053】
他方、図4に示される電動パワーステアリング装置1において、外部から振動が入力されたとき、例えば内歯58の基端方向ZA2の端部が外歯43に対して接近方向ZB2に移動することもある。すなわち、振動が入力される直前までは互いに接触していた内歯58および外歯43の関係が離間した関係に変化することもある。
【0054】
このとき、内歯58の基端方向ZA2の端部は、外歯43から離間した後、押付リング60の力により外歯43に向けて移動し、再び外歯43と接触する。このとき、外歯43に対する内歯58の接触により歯打音が生じる。この歯打音は、周方向における外歯43に対する内歯58の移動量が大きくなるにつれて大きくなる。なお、この歯打音の発生については、比較装置においても同様のことがいえる。
【0055】
電動パワーステアリング装置1は、基準歯間距離が比較装置の外歯間距離よりも小さいため、周方向における外歯43に対する内歯58の移動量(図4参照)が比較装置の外歯210に対する内歯58の移動量(図5参照)よりも小さい。このため、電動パワーステアリング装置1および比較装置のそれぞれに対して同じ大きさの振動が入力された状況を仮定したとき、電動パワーステアリング装置1の内歯58および外歯43の歯打音は、比較装置の内歯58および外歯210の歯打音よりも小さくなる。
【0056】
(実施形態の効果)
本実施形態の電動パワーステアリング装置1は、以下の効果を奏する。
(1)電動モータ40の出力軸41は、各外歯43を有する。各外歯43は、歯先端面43A側に傾斜部分44を有する。この構成によれば、外歯43および内歯58が傾斜部分44を有していない構成と比較して、外歯43および内歯58の相対的な傾斜角度が大きくなる。すなわち、出力軸41に対するウォームシャフト50の傾斜角度変化範囲が大きくなる。このため、ウォームシャフト50およびウォームホイール90のバックラッシュをより小さくすることができる。また、噛合部分KCの基準歯間距離が噛合部分200の外歯間距離よりも小さいため、外歯43および内歯58の衝突により生じる歯打音が外歯210および内歯58の衝突により生じる歯打音よりも小さくなる。
【0057】
(2)ウォームシャフト50および第1軸受20は、すきま嵌めの関係を有する。この構成によれば、ウォームホイール90の回転にともないウォームシャフト50に対して軸方向ZAの反力が作用するとき、ウォームシャフト50が内輪21に対して軸方向ZAに移動する。これにより、ステアリングシャフト2が回転しはじめるときの同シャフト2の回転に対する抵抗が小さくなるため、操舵感の低下を抑制することができる。
【0058】
(3)外歯43は、クラウニング加工により形成された傾斜部分44を有する。このため、押付リング60の力によりウォームシャフト50が出力軸41に対して傾斜した状態において、内歯58の先端方向ZA1の端部と外歯43の歯側面43Dとの間に隙間が形成される。これにより、ウォームシャフト50が出力軸41に対して軸方向ZAに移動するとき、内歯58が外歯43に対して引っ掛かりにくい。
【0059】
(4)各外歯43は、傾斜部分44を有する。一方、各内歯58は、傾斜部分44を有していない。この構成によれば、各外歯43および各内歯58が傾斜部分44を有する構成と比較して、噛合部分KCを形成するための作業時間が短くなる。
【0060】
(5)各外歯43は、歯先端面43A側に傾斜部分44を有する。一方、各外歯43は、歯基端面43B側に傾斜部分44を有していない。この構成によれば、各外歯43が歯幅方向の両端部に傾斜部分44を有する構成と比較して、噛合部分KCを形成するための作業時間が短くなる。
【0061】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態以外の実施形態を含む。以下、本発明のその他の実施形態としての上記実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
【0062】
・上記実施形態(図4)の電動モータ40の各外歯43は、クラウニング加工により形成された傾斜部分44を有する。一方、変形例の各外歯43は、クラウニング加工に代えてエンドレリーフ加工により形成された傾斜部分44を有する。
【0063】
・上記実施形態(図1)の噛合部分KCは、セレーション加工により形成された外歯部分42および内歯部分57を有する。一方、変形例の噛合部分KCは、セレーション加工に代えてスプライン加工により形成された外歯部分42および内歯部分57を有する。
【0064】
・上記実施形態(図4)の噛合部分KCは、歯先端面43A側に傾斜部分44が形成された外歯43を有する。また、傾斜部分44が形成されていない内歯58を有する。一方、変形例の噛合部分KCは、以下の(A)〜(N)に示される形状の外歯43および内歯58を有する。
【0065】
(A)図6(a)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯先端面43A側に傾斜部分44を有する。また、内歯58の歯先端面58A側に傾斜部分44に相当する傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離と等しい。
【0066】
(B)図6(b)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯先端面43A側に傾斜部分44を有する。また、内歯58の歯基端面58B側に傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離よりも小さい。
【0067】
(C)図6(c)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯先端面43A側に傾斜部分44を有する。また、内歯58の歯先端面58A側および歯基端面58B側に傾斜部分59を有する。このとき、各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離よりも小さい。
【0068】
(D)図7(a)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯先端面43A側および歯基端面43B側に傾斜部分44を有する。また、傾斜部分59を内歯58に有していない。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離よりも小さい。
【0069】
(E)図7(b)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯先端面43A側および歯基端面43B側に傾斜部分44を有する。また、内歯58の歯先端面58A側に傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離よりも小さい。
【0070】
(F)図7(c)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯先端面43A側および歯基端面43B側に傾斜部分44を有する。また、内歯58の歯基端面58B側に傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離よりも小さい。
【0071】
(G)図7(d)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯先端面43A側および歯基端面43B側に傾斜部分44を有する。また、内歯58の歯先端面58A側および歯基端面58B側に傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離よりも小さい。
【0072】
(H)図8(a)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43に傾斜部分44を有していない。また、内歯58の歯基端面58B側に傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離と等しい。
【0073】
(I)図8(b)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43に傾斜部分44を有していない。また、内歯58の歯先端面58A側に傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離と等しい。
【0074】
(J)図8(c)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43に傾斜部分44を有していない。また、内歯58の歯先端面58A側および歯基端面58B側に傾斜部分59を有する。このとき、各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離よりも小さい。
【0075】
(K)図9(a)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯基端面43B側に傾斜部分44を有する。また、内歯58に傾斜部分59を有していない。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離と等しい。
【0076】
(L)図9(b)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯基端面43B側に傾斜部分44を有する。また、内歯58の歯基端面58B側に傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離と等しい。
【0077】
(M)図9(c)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯基端面43B側に傾斜部分44を有する。また、内歯58の歯先端面58A側に傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離よりも小さい。
【0078】
(N)図9(d)に示されるように、変形例の噛合部分KCは、外歯43の歯基端面43B側に傾斜部分44を有する。また、内歯58の歯先端面58A側および歯基端面58B側に傾斜部分59を有する。各外歯43の基準歯間距離は、図4の基準歯間距離よりも小さい。
【0079】
上記(A)〜(G)および(L)〜(N)の噛合部分KCは、上記実施形態の(1)〜(3)に準じた効果を奏する。また、上記(H)、(I)、および(K)の噛合部分KCは、上記実施形態の(1)〜(5)に準じた効果を奏する。また、上記(J)の噛合部分KCは、上記実施形態の(1)〜(4)に準じた効果を奏する。
【0080】
・上記実施形態(図4)の各内歯58の歯幅および各外歯43の歯幅は、互いに等しい。一方、変形例の各内歯58の歯幅は、各外歯43の歯幅よりも小さい。この場合、噛合部分KCは、上記(A)〜(J)に示される噛合部分KCのいずれかの構成を有する。
【0081】
・上記実施形態(図1)の電動パワーステアリング装置1は、ウォームシャフト50の挿入穴56Aに電動モータ40の出力軸41が挿入されている。一方、変形例の電動パワーステアリング装置1は、挿入穴56Aに出力軸41が挿入される構成に代えて、図10に示される構成を有する。この変形例の電動パワーステアリング装置1は、上記実施形態の(1)〜(5)の効果に準じた効果を奏する。
【0082】
図10に示されるように、ウォームシャフト100の基端方向ZA2の端部は、内輪ストッパー73よりも基端方向ZA2に突出する突出部分101を有する。突出部分101の外周部分は、セレーション加工により形成された複数の外歯102を有する。各外歯102は、先端方向ZA1の端部に傾斜部分(図示略)を有する。
【0083】
ウォームシャフト100は、挿入穴56Aを有していない点、および突出部分101を有する点において上記実施形態のウォームシャフト50と相違している。なお、ウォームシャフト100において、ウォームシャフト50と共通する部分については、ウォームシャフト50と同じ符号を付してその説明を省略する。
【0084】
電動モータ110の出力軸111は、ウォームシャフト50と接続する筒状の継手120を有する。継手120は、ウォームシャフト100の突出部分101が挿入される挿入部分121を有する。挿入部分121は、セレーション加工により形成された複数の内歯122を有する。なお、出力軸111の構成は、出力軸41から外歯部分42を省略した構成に相当する。なお、外歯102は「第1歯」に相当する。また、内歯122は「第2歯」に相当する。
【0085】
・上記実施形態(図1)の電動パワーステアリング装置1は、移動機構70を有する。一方、変形例の電動パワーステアリング装置1は、移動機構70を省略している。この電動パワーステアリング装置1も上記実施形態の(1)〜(5)の効果に準じた効果を奏する。
【0086】
・上記実施形態(図1)の電動パワーステアリング装置1は、第1軸受20として玉軸受を有する。一方、変形例の電動パワーステアリング装置1は、第1軸受20としてころ軸受を有する。
【0087】
・上記実施形態(図1)の電動モータ40の出力軸41は、外歯部分42を有する。一方、変形例の電動モータ40は、出力軸41の外歯部分42を省略している。また、出力軸41は、ウォームシャフト50と接続する継手(図示略)を有する。継手は、ウォームシャフト50の第1端部56に挿入される。継手において第1端部56に挿入される部分の外周部分は、外歯部分42に相当する部分を有する。
【0088】
・上記実施形態(図1)の電動パワーステアリング装置1は、芯間調整機構として押付リング60を有する。一方、変形例の電動パワーステアリング装置1は、押付リング60に代えて、第2軸受30の外輪32を接近方向ZB2に押すコイルばね(図示略)と、コイルばねをハウジング10に固定するねじ部材とを有する。
【符号の説明】
【0089】
1…電動パワーステアリング装置、2…ステアリングシャフト、10…ハウジング、11…第1収容部分、12…第2収容部分、20…第1軸受、21…内輪、21A…先端面、21B…基端面、22…外輪、22A…先端面、22B…基端面、23…転動体、30…第2軸受、31…内輪、32…外輪、33…転動体、40…電動モータ、41…出力軸、42…外歯部分、43…外歯(第2歯)、43A…歯先端面、43B…歯基端面、43C…歯先面、43D…歯側面、44…傾斜部分、45…直線部分、46…境界部分、50…ウォームシャフト、51…第1取付部分、51A…段差部分、51B…基端面、52…第2取付部分、53…第3取付部分、54…第2端部、55…ウォーム歯部、55A…第1ウォーム歯、56…第1端部、56A…挿入穴、57…内歯部分、58…内歯(第1歯)、58A…歯先端面、58B…歯基端面、58C…歯先面、58D…歯側面、59…傾斜部分、60…押付リング(芯間調整機構)、61…リング本体、62…押付部分、70…移動機構、71…第1弾性体(弾性部材)、72…第2弾性体(弾性部材)、73…内輪ストッパー、73A…先端面、74…外輪ストッパー、80…カバー、90…ウォームホイール、91…第2ウォーム歯、100…ウォームシャフト、101…突出部分、102…外歯(第1歯)、110…電動モータ、111…出力軸、120…継手、121…挿入部分、122…内歯(第2歯)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の一端に設けられて内周面に前記軸方向に沿って延びた複数の第1歯が形成された筒状の第1端部、前記軸方向の他端に設けられた第2端部、および前記第1端部と前記第2端部との間に設けられて外周面に第1ウォーム歯が形成されたウォーム歯部を有するウォームシャフトと、
外周面に軸方向に沿って延びた複数の第2歯が形成されて、前記複数の第1歯と前記複数の第2歯とが嵌合されるように前記第1端部の内側に挿入された出力軸を有する電動モータと、
ステアリングシャフトに固定されて、外周面に前記第1ウォーム歯と噛み合った第2ウォーム歯が形成されたウォームホイールと、
前記ウォームシャフトおよび前記ウォームホイールを収容するハウジングと、
前記ハウジングの内面と前記第1端部の外周面との間に設けられて、前記ウォームシャフトを軸支する第1軸受と、
前記ハウジングの内面と前記第2端部の外周面との間に設けられて、前記ウォームシャフトを軸支する第2軸受と、
前記第1端部を支点として前記第2端部を前記ウォームホイールに向けて付勢する芯間調整機構と
を備え、前記電動モータの回転力が前記ウォームシャフトおよび前記ウォームホイールを介して減速されて前記ステアリングシャフトに伝達される電動パワーステアリング装置において、
前記第1歯および前記第2歯の少なくとも一方は、前記軸方向の少なくとも一端に設けられて該一端に向かうにつれて歯厚が小さくなる傾斜部分を有する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
軸方向の一端に設けられて外周面に前記軸方向に沿って延びた複数の第1歯が形成された第1端部、前記軸方向の他端に設けられた第2端部、および前記第1端部と前記第2端部との間に設けられて外周面に第1ウォーム歯が形成されたウォーム歯部を有するウォームシャフトと、
内周面に軸方向に沿って延びた複数の第2歯が形成されて、前記複数の第1歯と前記複数の第2歯とが嵌合されるように前記第1端部を挿入する筒状の出力軸を有する電動モータと、
ステアリングシャフトに固定されて、外周面に前記第1ウォーム歯と噛み合った第2ウォーム歯が形成されるウォームホイールと、
前記ウォームシャフトおよび前記ウォームホイールを収容するハウジングと、
前記ハウジングの内面と前記第1端部の外周面との間に設けられて、前記ウォームシャフトを軸支する第1軸受と、
前記ハウジングの内面と前記第2端部の外周面との間に設けられて、前記ウォームシャフトを軸支する第2軸受と、
前記第1端部を支点として前記第2端部を前記ウォームホイールに向けて付勢する芯間調整機構と
を備え、前記電動モータの回転力が前記ウォームシャフトおよび前記ウォームホイールを介して減速されて前記ステアリングシャフトに伝達される電動パワーステアリング装置において、
前記第1歯および前記第2歯の少なくとも一方は、前記軸方向の少なくとも一端に設けられて該一端に向かうにつれて歯厚が小さくなる傾斜部分を有する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電動パワーステアリング装置において、
互いに周方向に隣接して対向した前記第1歯の歯側面と前記第2歯の歯側面との間に歯隙間が形成されている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記ウォームシャフトは前記軸方向に移動可能に弾性支持されている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記第1軸受は前記第1端部に対して隙間嵌めされている
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記ハウジングに内嵌固定された前記第1軸受に対して前記ウォームシャフトを弾性支持する弾性部材を備えた
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記第1歯および前記第2歯の少なくとも一方は、歯底から歯先に向かうにつれて歯厚が小さくなる
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−91386(P2013−91386A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234050(P2011−234050)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】