説明

電動ミラー装置

【課題】2個のモータを使用した場合であっても、低消費電力であって、且つデザイン上の制約を受けることのない電動ミラー装置を提供する。
【解決手段】ミラーハウジング内にケースKを固設するとともに、そのケースKとミラー12とを連結部材Hを介して駆動連結した。そして、ケースK内には、ミラー12の上下方向への偏向位置を調整する第1駆動モータM1、左右方向への偏向位置を調整する第2駆動モータM2を備えた。また、第2駆動モータM2によって回転制御される第2ウォームギアG2の回転力を、ケースKの位置を格納位置・通常位置に制御するケース駆動ギアG5とミラー12の左右方向への偏向位置を制御する左右調整ギアG4とに切り替えて伝達する切替レバー25を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーの上下方向及び左右方向の角度調整と、ミラーハウジングの通常位置から格納可能とした電動ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両に取り付けられる電動ミラー装置は、ミラーを支持するミラーハウジング内に、該ミラーハウジングを格納位置及び通常位置に回動制御するための格納用駆動モータと、ミラーの偏向位置を調整するための2つの偏向用駆動モータを内蔵したものが知られている。この2つのミラー偏向用駆動モータのうちの一方は、ミラーの上下方向への偏向位置を調整する上下偏向用駆動モータであり、他方はミラーの左右方向への偏向位置を調整する左右偏向用駆動モータである。そして、各偏向用駆動モータは、それぞれ独立して駆動制御されるようにしている。
【0003】
また、近年、ミラーハウジングの格納及び通常位置の制御と、ミラーの左右方向への偏向位置の調整を一つの駆動モータで制御するようにした電動ミラーが提案されている。この電動ミラーでは、従来の電動ミラー装置に比べて駆動モータの数を1つ減らすことができることから、部品点数を少なくする上で有利である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−238320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記電動ミラー装置では、左右偏向用駆動モータを駆動させると、ミラーハウジングもミラーと一体に回動しながらミラーの左右方向への偏向位置が調整される。このため、左右偏向用駆動モータには、ミラーの負荷に加えてさらにミラーハウジングの分の負荷が加わることから、左右偏向用駆動モータは高トルクのモータを使用する必要が生じる。この結果、モータの大型化及び消費電力の増大を招いてしまうという問題があった。また、ミラーの左右方向の偏向位置を調整すると、それに伴ってミラーハウジングも回動することから、デザイン上の制約も受けてしまう。
【0005】
本発明では、このような事情に鑑みてなされたものであって、2個のモータを使用した場合であっても、低消費電力であって、且つデザイン上の制約を受けることのない電動ミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る電動ミラー装置は、ミラーベース上に設けられミラーを連結支持するミラーハウジングを通常位置と格納位置とに回動制御する回動制御機構と、前記ミラーの上下方向への偏向位置を調整する第1調整機構と、前記ミラーの左右方向への偏向位置を調整する第2調整機構とを備えた電動ミラー装置において、前記ミラーハウジング内にケースを備え、そのケース内に前記第1の調整機構を制御して前記ミラーの上下方向への偏向位置を調整する第1駆動モータと、前記回動制御機構及び前記第2調整機構を制御して、前記ミラーハウジングの回動位置及び前記ミラーの左右方向への偏向位置をそれぞれ調整する第2駆動モータと、前記第2駆動モータの回転駆動力を前記回動制御機構及び前記第2調整機構に切り替えて伝達させる切替機構とを備えたこと要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動ミラー装置において、前記回動制御機構は、前記ミラーベースに固設されたウォームギアと、前記ケースに回転可能に支持され
たウォーム軸と、前記第2駆動モータの駆動に基づいて回転制御されるケース駆動ギアを備え、前記第2調整機構は、前記ミラーに連結されたスクリューと、前記第2駆動モータの駆動に基づいて回転制御される左右調整ギアを備え、前記切替機構は、その基端部が前記ケースに回動可能に支持され、前記第2駆動モータの回転駆動力を前記ケース駆動ギア及び前記左右調整ギアに切り替えて伝達させる切替レバーを備えていることを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電動ミラー装置において、前記切替機構は、前記ケースに設けられ、前記切替レバーを所定方向に回動させて前記第2駆動モータの回転駆動力を前記ケース駆動ギアに伝達させる第1テーパピンと、前記ケースに設けられ、前記切替レバーを前記所定方向とは異なる方向に回動させて前記第2駆動モータの回転駆動力を前記左右調整ギアに伝達させる第2テーパピンとを備えていることを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の電動ミラー装置において、前記切替機構は、前記切替レバーを前記第2駆動モータの回転駆動力が前記ケース駆動ギアに伝達される位置、及び、前記第2駆動モータの回転駆動力が前記左右調整ギアに伝達される位置に、それぞれ固定するためのラチェットを備えていることを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の電動ミラー装置において、前記切替機構は、前記ミラーベース上に設けられた作動レバーと、前記ケースに、前記通常位置にて前記左右方向への偏向位置を調整制御するときは前記作動レバーを前記第2テーパピンに当接させて前記第2テーパピンを固定支持させ、前記通常位置にて前記ケースを格納するときは前記作動レバーを前記第2テーパピンから離間させて前記第2テーパピンを支持しないようにする制御レバーとを備えていることを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の電動ミラー装置において、前記ミラーの左右方向への偏向位置を制御するための第1制御信号と、前記第1制御信号に比べて大きな回転トルクで前記第2駆動モータを駆動させて前記ケースを前記通常位置から前記格納位置へ回動させるための第2制御信号とを出力する制御部を備えていることを要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一つに記載の電動ミラー装置において、調整された後の前記ミラーの左右方向への偏向位置を与える位置情報を検出して記憶し、前記ミラーハウジングが前記格納位置から前記通常位置に回動した後に、前記ミラーの左右方向への偏向位置を、記憶した前記調整をした後のミラーの左右方向への偏向位置と一致するように前記第2駆動モータを駆動制御する制御装置を備えたことを要旨とする。
【0013】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、第1駆動モータによってミラーの上下方向への偏向位置が調整される。また、第2駆動モータによってミラーハウジングが回動制御されるとともに、ミラーの左右方向への偏向位置が調整される。従って、2個の駆動モータを使用して、ミラーの上下方向及び左右方向の各偏向位置をミラーハウジングの回動制御と独立して調整することができる。
【0014】
この結果、第2駆動モータには、ミラーの左右方向への偏向位置が調整時においては、ミラーの負荷のみが加わることから高トルクのモータを使用する必要がない。また、ミラーの上下方向及び左右方向の各偏向位置は、ミラーハウジングと独立して調整されることから、デザイン上の制約を受けることはない。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、切替レバーを切り替えることによって第2駆動モータの回転駆動力がケース駆動ギアまたは左右調整ギアに伝達される。従って、第2駆動モータはミラーハウジングの回動を制御するとともにミラーの左右方向への偏向位置を制御することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、切替レバーを第1テーパピンまたは第2テーパピンに当接させることで、第2駆動モータの回転駆動力をケース駆動ギアまたは左右調整ギアに切り替えて伝達させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、第2駆動モータの回転駆動力はケース駆動ギアまたは左右調整ギアにそれぞれ確実に伝達される。
請求項5に記載の発明によれば、通常位置にて前記左右方向への偏向位置を駆動制御するとき、第2テーパピンは支持される。従って、第2テーパピンによって切替レバーは確実に回動されて左右調整ギアに第2駆動モータの回転駆動力が伝達される。また、ケースを格納するときは、第2テーパピンは支持されない。従って、第1テーパピンによって切替レバーは確実に回動されてケース駆動ギアに第2駆動モータの回転駆動力が伝達される。この結果、ケースを通常位置から格納位置へ回動させるときの切替動作をスムーズに行うことができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、ケースは、通常位置から格納位置へ回動させる場合、大きな回転トルクで回動される。従って、ミラーを偏向位置の制御から確実に格納動作に切り替えることができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、ケースは格納位置から通常位置に回動した後にミラーの偏向位置が調整後のミラーの偏向位置に制御される。従って、ミラーハウジングを格納位置から通常位置に回動した後に、再度、ミラーの偏向位置を調整する必要のない電動ミラー装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、2個のモータを使用した場合であっても、低消費電力であって、且つデザイン上の制約を受けることのない電動ミラー装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を自動車の電動ミラー装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態に係る電動ミラーを車体後方よりみたときの斜視図であり、図2は、その電動ミラーを車体前方よりみたときの斜視図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、電動ミラー10は、車体Cに固設されたミラーベース11上に支持されている。ミラーベース11上には、ミラー12を連結支持するケースKを備えている。ケースKの外周には、図示しないミラーハウジングがケースKを覆うようにしてケースKに対して固定されている。そして、電動ミラー10は、そのケースKの下側部にて前記ミラーベース11に連結されている。
【0023】
詳述すると、ミラーベース11から突出形成された支持軸13に対してケースKの基端部側の底壁部が回動可能に支持連結されている。そして、ケースKは、支持軸13の中心軸を中心に回動し、図1及び図2に示す通常位置(使用位置)と、その通常位置から矢印方向に略90度回動した格納位置との間を回動するようになっている。
【0024】
ミラー12とケースKは、連結部材Hによって連結されている。連結部材Hは、その一端が球形状のジョイントを介してミラー12の裏面12aの略中央部に連結されるとともに、他端がケースKに連結されている。そして、連結部材Hによってミラー12はケースKに対して上下方向及び左右方向に傾動可能に支持連結されるようになっている。
【0025】
ケースKには、第1駆動モータM1が固設されている。第1駆動モータM1の出力軸は、第1ウォーム軸14で構成され、その第1ウォーム軸14は、第1ウォームギアG1と噛合している。
【0026】
第1ウォームギアG1は、ケースKに対して回転可能かつ回転中心軸線に沿って移動不能に支持されている。従って、第1ウォームギアG1は、第1駆動モータM1が正逆回転すると、支持された箇所で正逆回転する。
【0027】
第1ウォームギアG1は、その中心部が連結部材HとケースKとの連結位置の直上位置となるように配置され、その中心部にはネジ孔が形成され、そのネジ孔にはスクリューネジ15が螺合されている。そのスクリューネジ15は、その一端が継ぎ手(図示せず)を介してミラー12の裏面12aに対して上下方向に傾動可能かつ回転不能に連結されている。従って、第1ウォームギアG1が第1駆動モータM1によって正逆回転すると、スクリューネジ15は第1ウォームギアG1の回転力にて、ケースKに対して相対移動する。詳述すると、スクリューネジ15は、ミラー12の裏面12aの中心部(連結部材H)を傾動中心に、ミラー12を前方(ケースKから離間する方向)へ押し出したり、後方(ケースKに接近する方向)へ引き戻したりする。その結果、第1駆動モータM1を正逆回転させることによって、ミラー12はケースKに対して上下方向に傾動するようになっている。
【0028】
そして、本実施形態では、第1駆動モータM1、第1ウォーム軸14、第1ウォームギアG1、スクリューネジ15とで第1調整機構を構成する。
ケースKには、第2駆動モータM2が固設されている。第2駆動モータM2の出力軸は、第2ウォーム軸21で構成され、その第2ウォーム軸21は、第2ウォームギアG2と噛合している。
【0029】
図2に示すように、第2ウォームギアG2は、ケースKにその基端部が固着された支軸S1に対して回転可能に支持されている。従って、第2ウォームギアG2は、第2駆動モータM2が正逆回転すると、第2ウォーム軸21を介して正逆回転する。
【0030】
支軸S1であって、第2ウォームギアG2よりミラー12側には、図3(a)〜(c)に示すように、制御カム22が固着されており、その制御カム22の先端側の側面は第1谷部22a及び第2谷部22bからなるカム面を有する。
【0031】
支軸S1であって、制御カム22よりミラー12側には、ラチェット23が回転可能に支持されている。ラチェット23の制御カム22側の側面には、前記第1谷部22a、第2谷部22bと嵌合する山部23aが形成されている。また、ラチェット23の先端側には、切替レバー25が固着されている。従って、切替レバー25は、ラチェット23とともに支軸S1に対して回動可能になっている。
【0032】
前記支軸S1の先端には、係止片26が固着されている。係止片26とラチェット23の間の支軸S1には、スプリングSPが配設され、スプリングSPの弾性力にてラチェット23を常に制御カム22に押圧させるようになっている。詳述すると、制御カム22の第1谷部22a及び第2谷部22bのいずれか一方に、ラチェット23の山部23aが第1谷部22aと第2谷部22bとの間に形成される突部領域を乗り越えるだけの力を切替
レバー25に加えて回動させることによって、ラチェット23の山部23aを第1谷部22aから第2谷部22bに、反対に第2谷部22bから第1谷部22aに嵌合させることができる。
【0033】
そして、山部23aが第1谷部22aと嵌合する切替レバー25の回動位置を、第1位置といい、山部23aが第2谷部22bと嵌合する切替レバー25の回動位置を、第2位置という。
【0034】
図2に示すように、切替レバー25の略中間位置には支軸S2が固着され、その支軸S2には前記第2ウォームギアG2と噛合する切替ギアG3が回転可能に支持されている。従って、切替ギアG3は、第2ウォームギアG2が正逆回転すると、それに伴って正逆回転する。また、切替ギアG3は第2ウォームギアG2と噛合しながら回動する。
【0035】
そして、切替レバー25が第1位置にある時、切替ギアG3は、左右調整ギアG4と噛合する。従って、切替レバー25が第1位置にある時、第2駆動モータM2が正逆回転すると、第2ウォームギアG2、切替ギアG3を介して左右調整ギアG4は正逆回転する。
【0036】
左右調整ギアG4は、その中心部が前記連結部材HとケースKの連結位置の真横位置となるように配置され、その中心部にはネジ孔が形成され、そのネジ孔にはスクリューネジ27が螺合されている。そのスクリューネジ27は、その一端が継ぎ手(図示せず)を介してミラー12の裏面12aに対して左右方向に傾動可能かつ回転不能に連結されている。
【0037】
左右調整ギアG4は切替ギアG3の回転力にて、ケースKに対して相対移動する。詳述すると、スクリューネジ27は、ミラー12の裏面12aの中心部(連結部材H)を傾動中心に、ミラー12を前方(ケースKから離間する方向)へ押し出したり、後方(ケースKに接近する方向)へ引き戻したりする。その結果、第2駆動モータM2を正逆回転させることによって、ミラー12はケースKに対して左右方向に傾動するようになっている。
【0038】
そして、本実施形態では、第2駆動モータM2、第2ウォーム軸21、第2ウォームギアG2、切替ギアG3、左右調整ギアG4、スクリューネジ27とで第2調整機構を構成する。
【0039】
一方、切替レバー25が第2位置にある時、切替ギアG3は、ケース駆動ギアG5と噛合する。従って、ケース駆動ギアG5が第2位置にある時、第2駆動モータM2が正逆回転すると、第2ウォームギアG2、切替ギアG3を介してケース駆動ギアG5が正逆回転する。
【0040】
ケース駆動ギアG5は、ケースKに対して回動可能に支持されたウォーム軸28に固着されている。ウォーム軸28は、ミラーベース11から突出形成された支持軸13の先端外周部に固着したウォームギアとしての第3ウォームギアG6と噛合している。ウォーム軸28が正逆回転すると、その回転力が第3ウォームギアG6に伝達される。この時、第3ウォームギアG6は、支持軸13に回転不能に固着されているので、反作用により、ウォーム軸28は第3ウォームギアG6と噛合しながら、同第3ウォームギアG6の外周を回動するようになっている。即ち、切替レバー25が第2位置にある時、第2駆動モータM2が正逆回転すると、ケースKは、支持軸13の中心軸を中心に回動し、通常位置(使用位置)と格納位置とを間を回動する。
【0041】
そして、本実施形態では、第2駆動モータM2、第2ウォーム軸21、第2ウォームギアG2、切替ギアG3、ケース駆動ギアG5、第3ウォームギアG6、ウォーム軸28と
で回動制御機構を構成する。
【0042】
次に、前記切替レバー25の第1位置と第2位置との切り替えを行う切替機構について説明する。
図4及び図5に示すように、前記切替レバー25の先端部の付近に介在するように、切替レバー25の先端部の下側に第2テーパピンとしての下側テーパピン33、上側に第1テーパピンとしての上側テーパピン34が配設されている。
【0043】
下側テーパピン33は、ケースKに設けた図示しない支持部材にて図4においてケース内を軸方向に移動可能に支持されている。下側テーパピン33には、円錐台形状にテーパ部33aが形成されそのテーパ面がミラー12側に向くように形成され、そのテーパ部33aのテーパ面に、前記切替レバー25の先端部下面が摺接するようになっている。
【0044】
下側テーパピン33がケース内をミラー12側に移動すると、切替レバー25の先端部下面がテーパ部33aの小径部から大径部の面と摺動していき、同切替レバー25を上動、即ち、第2位置から第1位置に回動させるようになっている。反対に、下側テーパピン33がミラー12側から離間する方向に移動すると、切替レバー25の先端部下面と対向するテーパ部33aが大径部から小径部の面へと摺動することから、同切替レバー25の下動、即ち、第1位置から第2位置への回動が許可されるようになっている。
【0045】
また、下側テーパピン33の反ミラー側端面は、傾斜面33bになっており、その傾斜面33bがケースKの先端部側(連結部材H側)に向くように形成されている。さらに、下側テーパピン33のテーパ部33aよりミラー12側の端部には、スプリングSP1が巻回され、スプリングSP1の先端がミラー12側ケース内壁の裏面と当接するようになっている。
【0046】
図4に示すように、上側テーパピン34は、ケースKに設けた図示しない支持部材にて図4においてミラー12と内壁Kaの間を移動可能に支持されている。上側テーパピン34には、円錐台形状のテーパ部34aが形成されそのテーパ面が反ミラー側に向くように形成され、そのテーパ部34aのテーパ面に、前記切替レバー25の先端部上面が摺接するようになっている。
【0047】
上側テーパピン34がケースK内をミラー方向に移動すると、切替レバー25の先端部上面と対向するテーパ部34aが大径部から小径部の面へと摺動することから、同切替レバー25の上動、即ち、第2位置から第1位置への回動が許可されるようになっている。反対に、上側テーパピン34がケースK内を反ミラー方向に移動すると、切替レバー25の先端部上面がテーパ部34aが小径部から大径部の面へと摺接することから、同切替レバー25の下動、即ち、第1位置から第2位置に回動されるようになっている。
【0048】
従って、ミラー12側に移動する下側テーパピン33によって切替レバー25は第2位置から第1位置へ回動し、内壁Kaに移動(反ミラー側)する上側テーパピン34によって切替レバー25は第1位置から第2位置へ回動する。つまり、下側テーパピン33及び上側テーパピン34が協働して、切替レバー25を第1位置から第2位置の間を回動させるようになっている。
【0049】
図4に示すように、ミラーベース11に固着された支持軸13の先端面には、軸受40が固着され、その軸受40に設けた連結部41に対して作動レバー42が回動可能に支持されている。作動レバー42の基端には係止片42aが直交する方向に延出形成されている。そして、前記連結部41に巻回した捻りバネ(図示略)の一端が係止片42aに係合され、他端が支持軸13の先端面に係合され、常に捻りバネ力によって、係止片42aが
支持軸13の先端面と当接する。即ち、図2に示すように、作動レバー42が立設する位置に保持する。また、作動レバー42は、捻りバネ力に抗して係止片42aとは反対方向に回動させることができる。
【0050】
図4に示すように、作動レバー42の先端部であって前記下側テーパピン33と対向する面には、半球状の作動突起44が形成され、作動突起44が前記下側テーパピン33の傾斜面33bに当接するように配置されている。そして、第2駆動モータM2が駆動してケースKが格納位置から通常位置へ回動するとき、作動レバー42と下側テーパピン33が相対回動する。このとき、下側テーパピン33の傾斜面33bに当接している作動レバー42の作動突起44は、傾斜面33bに対して同下側テーパピン33をミラー12側に押し出す力を付与するようになっている。
【0051】
従って、ケースKが格納位置から通常位置へ回動したとき、下側テーパピン33はケースK内をミラー12側に移動して切替レバー25を上動、即ち、前記第2位置から第1位置に回動させる。
【0052】
前記内壁Kaであって、前記上側テーパピン34の近傍位置に支軸51が固着され、その支軸51にはL字状の制御レバー52が回動可能に支持されている。図4に示すように、一方の第1制御片52aは前記上側テーパピン34の傾斜面34bに摺動可能に係合し、他方の第2制御片52bは前記作動レバー42の先端部と係合するようになっている。上側テーパピン34には、スプリングSP2が巻回され、一端が同上側テーパピン34に係合し、他端が反ミラー側の内壁と当接するようになっている。そして、支軸51の巻回したねじりバネ(図示略)の一端が第1制御片52aと係合され制御レバー52は、第1制御片52aが常に上側テーパピン34の傾斜面34bに当接するように弾性力が付与されている。
【0053】
そして、上側テーパピン34がケースK内を反ミラー方向に移動すると、上側テーパピン34の傾斜面34bが第1制御片52aを下側に押し下げる。その結果、図5に示すように、第1制御片52aが下側に押し下げられることによって第2制御片52bは回動して、作動レバー42を捻りバネ力に抗して係止片42aとは反対方向に回動させる。この制御レバー52による作動レバー42の回動により、下側テーパピン33はミラー12側からケースK内を反ミラー側への移動を許容するようになっており、下側テーパピン33の端部に巻回されたスプリングSP1のバネ力によりケース内を反ミラー側方向へ移動する。つまり、下側テーパピン33の傾斜面33bに当接している作動レバー42の作動突起44が退避しその押圧力を解放するようになっている。
【0054】
従って、上側テーパピン34がケースK内反ミラー側方向に移動するとき、下側テーパピン33もケースK内反ミラー側に移動し、切替レバー25を下動、即ち、第1位置から第2位置に回動させる。
【0055】
また、図1及び図2に示すように、ケースKの内壁Ka上には、制御装置としての制御部60が取り付けられている。制御部60は、駆動信号制御回路60a及び制御装置60bを具備している。
【0056】
駆動信号制御回路60aは、第1駆動モータM1及び第2駆動モータM2を駆動制御する回路であって、外部から供給される外部制御信号に基づいて第1駆動モータM1及び第2駆動モータM2を正逆回転させる。従って、駆動信号制御回路60aが第1駆動モータM1を正逆回転させることによって、ミラー12がケースKに対して上下方向に傾動する。
【0057】
また、駆動信号制御回路60aは、第1制御信号又は第2制御信号のいずれかを第2駆動モータM2に出力し同モータM2を正逆回転させる。第1制御信号は、ミラー12を左右方向に回動させる際に第2駆動モータM2を正逆回転させるための信号である。第2制御信号は、ケースKを格納位置すると通常位置との間で回動させる際に第2駆動モータM2を正逆回転させるための信号であって、第1制御信号にて第2駆動モータM2を駆動させる際の回転トルクより大きい回転トルクで回転するようにした信号である。
【0058】
制御装置60bは、左右調整ギアG4の回転量を検出する図示しない検出センサからの検出信号を入力し、その検出信号に応じた左右調整ギアG4の回転量を記憶するようになっている。
【0059】
制御装置60bは、ケースK(ミラー12)が格納位置から通常位置に回動した後に、左右調整ギアG4の回転位置を、記憶した検出信号に基づいて左右調整ギアG4の回転位置と一致させる制御信号を出力する。
【0060】
次に、前記のように構成された電動ミラー10の作用について、図6〜図10に従って説明する。
今、図6に示すように、ケースK(ミラー12)が通常位置に配置されるとき、下側テーパピン33はミラー12側にあり、上側テーパピン34はミラー側の端部34cがケースよりミラー側に突出した位置にある。その結果、切替レバー25は第1位置に配置され、その切替レバー25に設けた切替ギアG3が左右調整ギアG4に噛合している。
【0061】
この状態から、外部制御信号に基づいて制御部60から第2駆動モータM2に第1制御信号が出力されて第2駆動モータM2が回転すると、第2ウォームギアG2、切替ギアG3を介して左右調整ギアG4が正逆回転する。
【0062】
これによって、ケースKが通常位置にある状態で、そのケースKに対してミラー12は左右方向に回動する。このようにして、第2駆動モータM2を回動制御してミラー12の左右方向への偏向位置を適切に調整する。この時、車両に設けた図示しない設定スイッチを操作してその最適な偏向位置における左右調整ギアG4の回転量を制御部60に出力するようにすれば、制御部60はその最適回動量を記憶するようになっている。
【0063】
尚、制御部60から出力される第1制御信号に基づく第2駆動モータM2の回転トルクが小さい。従って、上側テーパピン34のスプリングSP2のバネ力が上側テーパピン34をミラー側に押し出し、ミラー12の裏面12aに当接してミラー12をケースKに対して所定の内側まで傾けた状態でさらに上側テーパピン34をケース側に移動させてミラー12を内側に傾けようとしても、第2駆動モータM2の回転トルクが小さくてミラー12に傾けることはできない。この結果、上側テーパピン34は、スプリングSP2のバネ力によりミラー12の裏面12aに当接した状態から、さらにケース側に移動することはない。従って、上側テーパピン34のケース側への接近は阻止される。
【0064】
また、外部制御信号に基づいて制御部60から第1駆動モータM1に制御信号が出力されて第1駆動モータM1が回転すると、第1ウォームギアG1が正逆回転する。
これによって、ケースKが通常位置にある状態で、そのケースKに対してミラー12は上下方向に回動する。
【0065】
次に、ケースKを通常位置から格納位置に回動する場合について説明する。
今、ケースKが使用状態にあって、ミラー12がケースKに対して最適な位置に配置された状態において、外部制御信号に基づいて制御部60から第2駆動モータM2に対して第2制御信号が出力されて第2駆動モータM2を回転させる。この時、第2制御信号は、
第2駆動モータM2に大きな回転トルクを付与するとともに、左右調整ギアG4を回転させてミラー12を内側に向く方向の回転させるように第2駆動モータM2を回転させる。
【0066】
そして、第2ウォームギアG2、切替ギアG3を介して左右調整ギアG4は回転し、やがてミラー12によって上側テーパピン34の端部34cがケース内に押し込まれる。すると、第1制御片52aが下側に押し下げられることから第2制御片52bが回動して作動レバー42が押し倒される。この結果、下側テーパピン33のケースK内の反ミラー側への移動が許容され、下側テーパピン33がケース内反ミラー側に移動する。このさらなる移動で、図7に示すように、切替レバー25は速やかに第2位置へ回動する。
【0067】
切替レバー25が第2位置へ回動すると、切替ギアG3は左右調整ギアG4から外れてケース駆動ギアG5と噛合する。従って、第2ウォームギアG2、切替ギアG3を介してケース駆動ギアG5は回動する。図8に示すように、ケース駆動ギアG5によって、ウォーム軸28が回転し、その回転力によってウォーム軸28は第3ウォームギアG6と噛合しながら、同第3ウォームギアG6の外周を回動する。これによって、ケースKは、支持軸13の中心軸を中心に回動し、通常位置から格納位置に回動する。また、ケースKの回動により、作動レバー42は第2制御片52bより外れ、連結部41に巻回したねじりバネにより通常位置に戻される。
【0068】
次に、ケースKを格納位置から通常位置に回動する場合について説明する。
今、ケースKが格納位置において、外部制御信号に基づいて制御部60から第2駆動モータM2に対して第2制御信号が出力されて第2駆動モータM2が回転する。この時、第2制御信号は、第2駆動モータM2に大きな回転トルクを付与するとともに、ケース駆動ギアG5を前記格納位置にする時とは逆に回転させるように第2駆動モータM2を回転させる。そして、第2ウォームギアG2、切替ギアG3を介してケース駆動ギアG5は前記とは逆回転する。これによって、ケースKは、支持軸13の中心軸を中心に回動し、格納位置から通常位置に回動する。
【0069】
ケースKが格納位置から通常位置に回動するとき、作動レバー42の作動突起44が下側テーパピン33の傾斜面33bを介して同下側テーパピン33をミラー12側に押し出す。これによって、図9に示すように、下側テーパピン33をミラー12側に移動することによって、切替レバー25が第1位置へ回動すると、切替ギアG3はケース駆動ギアG5から外れて左右調整ギアG4と噛合する。従って、第2ウォームギアG2、切替ギアG3を介して左右調整ギアG4は回転する。そして、この時点でケースKは通常位置に配置され、次にケースKに対するミラー12の左右方向における最適位置の制御に移動する。
【0070】
そして、図10に示すように、左右調整ギアG4の回転が前記記憶した最適回転量に達したことを検出センサで検出すると、制御部60は、第2駆動モータM2を停止させる。この結果、ミラー12の左右方向への偏向位置が調整した位置に自動的に調整される。このとき、ミラー12の上下方向の調整は、格納の際には変動しないので、第1駆動モータM1を駆動して調整を行わない。
【0071】
上記したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)本実施形態によれば、ミラーハウジング内にケースKを固設するとともに、そのケースKとミラー12とを連結部材Hを介して駆動連結した。そして、ケースK内には、ミラー12の上下方向への偏向位置を調整する第1駆動モータM1、左右方向への偏向位置を調整する第2駆動モータM2を備えた。また、第2駆動モータM2によって回転制御される第2ウォームギアG2の回転力を、ケースKの位置を格納位置・通常位置に制御するケース駆動ギアG5とミラー12の左右方向への偏向位置を制御する左右調整ギアG4とに切り替えて伝達する切替レバー25を備えた。
【0072】
従って、2個の駆動モータを使用して、ミラー12の上下方向及び左右方向の各偏向位置をミラーハウジングの回動制御と独立して調整することができる。この結果、2個の駆動モータを使用した場合であっても、低消費電力であって、且つデザイン上の制約を受けることのない電動ミラー装置を実現することができる。
【0073】
(2)本実施形態によれば、さらに、調整後のミラー12の左右方向への偏向位置に対応した駆動モータM2の回転量を検出して記憶する制御部60を備えた。従って、ミラー12の偏向位置を調整しても前記ミラーハウジングは移動しない。この結果、駆動モータM2で、再度、ミラー12の偏向位置を調整する必要のない電動ミラーを実現することができる。
【0074】
(3)本実施形態によれば、ミラー12の偏向位置を調整しても前記ミラーハウジングは移動しないことから、ミラーハウジングのデザイン設計において、ミラー12の偏向位置の調整範囲を考慮する必要はない。この結果、ミラーハウジングのデザインの自由度を向上させることができる。
【0075】
(4)本実施形態によれば、第2駆動モータM2によって回転制御される第2ウォームギアG2の回転力を、ケースKの位置を格納位置・通常位置に制御するケース駆動ギアG5とミラー12の左右方向への偏向位置を制御する左右調整ギアG4とに切り替えて伝達する切替レバー25を備えた。従って、一つの駆動モータでケースKの位置を格納位置・通常位置の制御と、ミラー12の左右方向への偏向位置の制御を行うことができる。
【0076】
(5)本実施形態によれば、ミラー12に上側テーパピン34を設けるとともに、ケースKに上側テーパピン34よりも下方向にずらして下側テーパピン33を設けた。そして、上側テーパピン34と下側テーパピン33との間に切替レバー25を配置した。従って、ケースKに対してミラー12を内側に傾けることによって切替レバー25を下側テーパピン33側のポジションに移動させて、第2ウォームギアG2の回転力をケース駆動ギアG5に伝達することができる。また、上側テーパピン34をミラー12の裏面12a側にずらすことで切替レバー25を上側テーパピン34側のポジションに移動させて、第2ウォームギアG2の回転力を左右調整ギアG4に伝達することができる。この結果、ミラー12の左右方向への偏向位置を制御することによって、格納位置・通常位置の制御と、ミラー12の左右方向への偏向位置の制御とを切り替えることができる。
【0077】
(6)本実施形態によれば、切替レバー25にラチェット23を設けた。また、ラチェット23を該ラチェット23の山部23aと嵌合する制御カム22側に押圧するスプリングSPを設けた。従って、切替レバー25が上側テーパピン34に押し上げられると、第1位置に安定して固定される。また、切替レバー25が押し下げられ下側テーパピン33に押し下げられると、第2位置に安定して固定される。
【0078】
(7)本実施形態によれば、ケースKにL字状の制御レバー52を設けた。そして、上側テーパピン34の端部34cがミラー12の裏面12aに当接した後にさらにミラー12をケースKに対して内側に傾けた場合、制御レバー52が回動されることによって作動レバー42を下側テーパピン33に当接させない位置に移動させるようにした。従って、切替レバー25を第2位置に確実に移動させることができる。この結果、ケースK(ミラー12)を通常位置から格納位置へ回動させるときの切替動作をスムーズに行うことができる。
【0079】
(8)本実施形態によれば、第2駆動モータM2は、ケースK(ミラー12)を通常位置から格納位置へ回動させる場合では、通常位置でのミラー12の左右方向への偏向位置
を制御するための第1制御信号に比べて高い電圧信号である第2制御信号に基づいて大きな回転トルクで回転制御されるようにした。従って、上側テーパピン34の端部34cがミラー12の裏面12aに当接した後にさらにスプリングSP2の付勢力に打ち勝ってミラー12をケースKに対して内側に傾けて格納動作を行うことが可能となる。この結果、ミラー12を左右方向への偏向位置の制御から確実に格納動作に切り替えることができる。
【0080】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○上記実施形態では、本発明の電動ミラー装置を自動車の電動ミラー装置に具体化したが、本発明はこれに限定されない。自動車以外の車両等に具体化してもよい。要は、ミラーベース上に設けられた電動ミラーであれば、どんなものであってもよい。
【0081】
○上記実施形態では、駆動信号制御回路60a及び制御装置60bを一つの制御部60としてケースK内に設けたが、本発明はこれに限定されない。駆動信号制御回路60a及び制御装置60bをそれぞれ別々の箇所に設けてもよい。このようにすることによっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0082】
○上記実施形態では、制御部60をケースK内に設けたが、本発明はこれに限定されることはなく、ケースKの外部に設けてもよい。このようにすることによっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る電動ミラー装置を車体後方より観たときの斜視図。
【図2】本実施形態に係る電動ミラー装置を車体前方より観たときの斜視図。
【図3】(a),(b),(c)は、それぞれ、電動ミラー装置の内部構造を説明するための図。
【図4】同じく、電動ミラー装置の内部構造を説明するための図。
【図5】同じく、電動ミラー装置の内部構造を説明するための図。
【図6】本実施形態に係る電動ミラー装置の作用を説明するための図である。
【図7】同じく、本実施形態に係る電動ミラー装置の作用を説明するための図である。
【図8】同じく、本実施形態に係る電動ミラー装置の作用を説明するための図である。
【図9】同じく、本実施形態に係る電動ミラー装置の作用を説明するための図である。
【図10】同じく、本実施形態に係る電動ミラー装置の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0084】
G4…左右調整ギア、G5…ケース駆動ギア、K…ケース、M1…第1駆動モータ、M2…第2駆動モータ、10…電動ミラー装置、11…ミラーベース、12…ミラー23…ラチェット、25…切替レバー、33…第2テーパピンとしての下側テーパピン、34…第1テーパピンとしての上側テーパピン、42…作動レバー、52…制御レバー、60…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーベース上に設けられミラーを連結支持するミラーハウジングを通常位置と格納位置とに回動制御する回動制御機構と、前記ミラーの上下方向への偏向位置を調整する第1調整機構と、前記ミラーの左右方向への偏向位置を調整する第2調整機構とを備えた電動ミラー装置において、
前記ミラーハウジング内にケースを備え、そのケース内に前記第1の調整機構を制御して前記ミラーの上下方向への偏向位置を調整する第1駆動モータと、
前記回動制御機構及び前記第2調整機構を制御して、前記ミラーハウジングの回動位置及び前記ミラーの左右方向への偏向位置をそれぞれ調整する第2駆動モータと、
前記第2駆動モータの回転駆動力を前記回動制御機構及び前記第2調整機構に切り替えて伝達させる切替機構と
を備えたことを特徴とする電動ミラー装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電動ミラー装置において、
前記回動制御機構は、前記ミラーベースに固設されたウォームギアと、前記ケースに回転可能に支持されたウォーム軸と、前記第2駆動モータの駆動に基づいて回転制御されるケース駆動ギアを備え、
前記第2調整機構は、前記ミラーに連結されたスクリューと、前記第2駆動モータの駆動に基づいて回転制御される左右調整ギアを備え、
前記切替機構は、その基端部が前記ケースに回動可能に支持され、前記第2駆動モータの回転駆動力を前記ケース駆動ギア及び前記左右調整ギアに切り替えて伝達させる切替レバーを備えていることを特徴とする電動ミラー装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電動ミラー装置において、
前記切替機構は、
前記ケースに設けられ、前記切替レバーを所定方向に回動させて前記第2駆動モータの回転駆動力を前記ケース駆動ギアに伝達させる第1テーパピンと、
前記ケースに設けられ、前記切替レバーを前記所定方向とは異なる方向に回動させて前記第2駆動モータの回転駆動力を前記左右調整ギアに伝達させる第2テーパピンと
を備えていることを特徴とする電動ミラー装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の電動ミラー装置において、
前記切替機構は、前記切替レバーを前記第2駆動モータの回転駆動力が前記ケース駆動ギアに伝達される位置、及び、前記第2駆動モータの回転駆動力が前記左右調整ギアに伝達される位置に、それぞれ固定するためのラチェットを備えていることを特徴とする電動ミラー装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電動ミラー装置において、
前記切替機構は、
前記ミラーベース上に設けられた作動レバーと、
前記ケースに、前記通常位置にて前記左右方向への偏向位置を調整制御するときは前記作動レバーを前記第2テーパピンに当接させて前記第2テーパピンを固定支持させ、前記通常位置にて前記ケースを格納するときは前記作動レバーを前記第2テーパピンから離間させて前記第2テーパピンを支持しないようにする制御レバーと
を備えていることを特徴とする電動ミラー装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つに記載の電動ミラー装置において、
前記ミラーの左右方向への偏向位置を制御するための第1制御信号と、前記第1制御信号に比べて大きな回転トルクで前記第2駆動モータを駆動させて前記ケースを前記通常位
置から前記格納位置へ回動させるための第2制御信号とを出力する制御部を備えていることを特徴とする電動ミラー装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一つに記載の電動ミラー装置において、
調整された後の前記ミラーの左右方向への偏向位置を与える位置情報を検出して記憶し、前記ミラーハウジングが前記格納位置から前記通常位置に回動した後に、前記ミラーの左右方向への偏向位置を、記憶した前記調整をした後のミラーの左右方向への偏向位置と一致するように前記第2駆動モータを駆動制御する制御装置を備えたことを特徴とする電動ミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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