説明

電動作業機

【課題】バッテリユニットの機体への安全で確実な装着と取り外しが可能な電動作業機を提供することである。
【解決手段】電動モータを支持する機体と、機体に離脱可能に装着されるとともに電動モータに給電線を介して給電するバッテリユニットと、当該バッテリユニット内の給電線に設けられた給電スイッチと、信号線を介して得られる操作スイッチのスイッチ状態に基づいて給電スイッチの開閉を制御するモータ給電制御部と、バッテリユニット側の信号線及び給電線と機体側の信号線及び給電線とを接続する端子群を有するコネクタユニット9とを備え、バッテリユニットの装着時には給電線の端子が信号線の端子より先に接続し、バッテリユニットの離脱時には給電線の端子が信号線の端子より後から接続解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリから給電される電動モータの回転力を耕耘作業などに利用する電動作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電動作業機用制御装置は、操縦部に設けられた、操作レバーや操作スイッチである操作デバイスを操作してバッテリから電動モータへの給電を制御する。このような制御装置を搭載した歩行型電動耕耘機が特許文献1から知られている。この特許文献1に記載された歩行型電動耕耘機は、モータによって動作する耕耘部と、このモータの駆動を操作するためのメインスイッチと、レバーによってON・OFFされるレバースイッチを有するハンドルとを備えている。さらに、メインスイッチがONされたときに視覚的に通報するインジケータも備えられている。ケース内に備えられたバッテリの陽極は、インジケータ、メインスイッチ、レバースイッチを介して制御部に接続されているとともに、直接、制御部とも接続されている。また、制御部はモータと接続されている。メインスイッチを回動してONにすると、インジケータが点灯する。ハンドルにあるレバーを握ってグリップ側に引き付けることでレバースイッチをONにするとモータに電力が供給されモータが回転し、耕耘部による耕耘作業が行われる。この特許文献1では、バッテリの取り外しに関しては特に記載されておらず、充電時にバッテリを取り外すような構造は示唆されていない。従って、バッテリ充電時は歩行型電動耕耘機を電力供給できる場所まで運んできて、そこで充電することになる。
【0003】
機体に対して着脱可能なバッテリを有する電動耕耘機は特許文献2から知られている。この電動耕耘機では、バッテリを収納したバッテリケースを機体にセットするときには位置固定用の凸部を位置固定用の凹部に挿入してそのまま下に下ろすと位置固定用の足が位置固定用の穴に挿入されて位置固定がなされ、取っ手を引き上げるだけでバッテリケースを取り出すことができる。さらに、このバッテリケースの後面にはバッテリケース内のバッテリとモータとを接続する配線の出力端子とバッテリに充電するための充電端子とが設けられている。出力端子と充電端子は機体背面視でハンドルフレームの左右両側にそれぞれ設けられ、作業者が操作側の機体後ろ側からハンドルフレームに邪魔されずに配線の着脱が行えるように構成されている。しかしながらこのような構成では、バッテリケースの装着や取り外しと、出力端子や充電端子の着脱が別作業となり、バッテリケースの装着・取り外し作業時の負担が大きくなる。
【0004】
また、このような電動作業機に用いられるバッテリとして、自動車などに採用されているバッテリを流用する場合ではその容量が12ボルト程度なので、バッテリの接続に特別な注意が払われないが、より大きき電力を確保するためその容量を大きくしたバッテリを用いる場合には、バッテリの接続に注意を払わなければならない。そのようなバッテリに採用される電気接続構造の改善技術が特許文献3に記載されている。この電気接続構造では、オス型端子とメス型端子に対応させて、オス型ダミー端子とメス型ダミー端子とが設けられており、オス型端子及びメス型端子の接続に際し、先ず、オス型ダミー端子とメス型ダミー端子とが接続され、続いてオス型端子とメス型端子とが接続されるように構成されている。また、逆にオス型端子とメス型端子の離脱時には、先ず、オス型端子及びメス型端子が切り離された後、オス型ダミー端子とメス型ダミー端子とが切り離されるように構成されている。この構成により、アーク放電は両ダミー端子間にのみ発生し、本回路であるオス型端子及びメス型端子間には発生しないので、オス型端子及びメス型端子の間は、放電の影響から保護される。しかしながら、この電気接続構造は、バッテリからの電力線と機体側からの電力線の間の設けられたコネクタに採用されているだけであり、電力線(給電線)だけでなく制御線もバッテリの機体への装着時に同時的に接続する必要があるような接続構造にはそのまま適用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006‐55102号公報(段落番号〔0017−0026〕、図5)
【特許文献2】特開2011‐5号公報(段落番号〔0006−0025〕、図1、図6)
【特許文献3】特開2001‐307839号公報(段落番号〔0006−0016〕、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記実情に鑑み、本発明の目的は、バッテリユニットの機体への確実な装着と取り外しが可能な電動作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の電動作業機は、作業ユニットと、前記作業ユニットに動力を伝達する電動モータと、前記電動モータと支持する機体と、前記機体に離脱可能に装着されるとともに前記電動モータに給電線を介して給電するバッテリユニットと、当該バッテリユニット内の前記給電線に設けられた給電スイッチと、前記機体に支持された操縦部に設けられた操作スイッチと、前記バッテリユニットに設けられるとともに信号線を介して得られる前記操作スイッチのスイッチ状態に基づいて前記給電スイッチの開閉を制御するモータ給電制御部と、前記バッテリユニット側の前記信号線及び前記給電線と前記機体側の前記信号線及び前記給電線とを接続する端子群を有するコネクタユニットとを備えている。さらに、前記バッテリユニットの装着時には前記給電線の端子が前記信号線の端子より先に接続し、前記バッテリユニットの離脱時には前記給電線の端子が前記信号線の端子より後から接続解除する。
【0008】
この構成では、電動モータへの給電を行う給電線を開閉する給電スイッチとこの給電スイッチの開閉を制御するモータ給電制御部とがバッテリユニットに組み込まれており、バッテリユニットを機体に装着(または取り外し)することで、コネクタユニットを介して、給電線のみならず、機体側に設けられている操作スイッチとモータ給電制御部との間の信号線も接続(又は遮断)される。しかもその際、コネクタユニットにおいて、給電線の端子が信号線の端子に比べて先入れ後出しとなるので、給電線の端子接続が行われてから信号線の端子接続か行われ、信号線の離脱が行われてから給電線の端子離脱が行われる。つまり、信号線の端子接続及び端子離脱は給電線の端子接続状態下で行われる。この構成により、給電線の端子によるコネクタの接続が少なくとも部分的に達成されている状態で、つまりコネクタが安定した状態で信号線の端子接続と端子離脱が行われる。また、この構成により、給電線の接続を確認した段階で、信号線に通電することができる。これにより、信号線の端子に不測のアーク発生などによって、モータ給電制御部に電気的負荷を与えることが抑制される。
【0009】
本発明の好適な実施形態の1つでは、前記バッテリユニットは前記機体に設けられた摺動案内体に沿って装着方向に摺動することで前記機体に装着され、前記コネクタユニットは機体側装着面に設けられた機体側コネクタ部とバッテリ側装着面に設けられたバッテリ側コネクタ部とからなり、前記バッテリユニットの第1装着摺動位置で前記給電線の端子が接続し、前記第1摺動位置よりさらに装着面側の第2装着摺動位置までの間前記給電線の端子が接続状態を保持し、前記第2装着摺動位置で前記信号線の端子が接続する。この構成では、バッテリユニットは摺動案内体に沿って摺動することで機体に装着され、摺動装着の最終段階において機体側コネクタ部とバッテリ側コネクタ部とからなるコネクタを介して給電線及び信号線の接続が完了する。この摺動装着の最終段階の第1装着摺動位置でまず給電線の端子接続が完了し、その後第2装着摺動位置で信号線の端子接続が完了する。重量のあるバッテリユニットの機体への装着を摺動式で行うことで、作業者の負担を軽減するとともに、機体側コネクタ部とバッテリ側コネクタ部との位置関係を安定的に導くことができる。そのような安定的に導かれる位置関係を利用して、所定の順序で給電線と信号線の端子接続が構築される。
【0010】
バッテリユニットの機体への摺動式の装着時に所定の順序で給電線と信号線の端子接続を簡単な構成で実現する具体的な構成として、本発明では、前記給電線の端子の接点位置を前記信号線の端子の接点位置より装着方向で近い位置に設定することが提案される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による電動管理機の外観を示す斜視図である。
【図2】電動作業機の側面図である。
【図3】電動作業機の機体部分の側面図である。
【図4】電動作業機の機体へのバッテリユニットの装着を示す側面図である。
【図5】電動作業機の機体へのバッテリユニットの装着を断面で示す正面図である。
【図6】電動作業機の制御電子系の機能ブロック図である。
【図7】機体側コネクタ部とバッテリ側コネクタ部とからなるコネクタユニットの展開斜視図である。
【図8】機体側コネクタ部とバッテリ側コネクタ部の接続過程を段階的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の具体的な実施の形態を、電動作業機を歩行型耕耘機に適用した例をとって説明する。
図1と図2とに示すように、この実施の形態で例示する歩行型耕耘機(以下単に耕耘機と略称する)1は、機体10の下部に耕耘ロータ2、前後揺動による姿勢変更が可能な操縦部としての操縦ハンドル3、耕耘ロータ2に回転動力を伝達するモータ5、モータ5の電源となるバッテリユニット4を備えている。バッテリユニット4は、機体10の後部から後方斜めに立ち上がっているハンドル支持枠14に対して、上方からの装着、上方への抜き出しが可能なように載置されている。バッテリユニット4の上面には、持ち運びに便利なように取っ手4aが設けられている。操縦ハンドル3は、いずれもアーム状の右ハンドル部3Aと左ハンドル部3Bからなり、その基端側でハンドル支持枠14の後方突出端部に揺動可能に連結されている。これにより、非使用時には操縦ハンドル3を機体前側に折り畳むことができる。モータ5の全て及びバッテリユニット4の下半分を覆う人工樹脂製のカバー11がこの耕耘機1の上面輪郭を曲面状に形作っている。二点鎖線で輪郭だけを示されている載置台100は、耕耘機1の下部が挿入されるボックス体であり、非使用時の耕耘機1の安定性と運搬性を高めるものである。
【0013】
図3から理解できるように、機体10は、実質的に、主フレーム15と伝動ケース17とから構成されている。主フレーム15はモータ5を支持するモータ支持面領域とバッテリユニット4を支持するバッテリ支持面領域を作り出しており、モータ支持面領域とバッテリ支持面領域との間は約30度の角度で屈曲している。主フレーム15の後端部には機体横断方向の水平軸回りで揺動可能な揺動アーム16が取り付けられており、揺動アーム16は、下向き姿勢(図2では実線で示す)と後向き姿勢(図2では二点鎖線で示す)との間で揺動するが、それぞれの姿勢において揺動アーム16を主フレーム15に対して固定する固定手段が設けられている。この固定手段は、簡単にはロックピンとロック孔である。
【0014】
揺動アーム16の自由端側に移動輪12が装備されており、揺動アーム16の中間部に抵抗棒13が取り付けられている。移動輪12は揺動アーム16の下向き姿勢で接地し、抵抗棒13は揺動アーム16の後向き姿勢で接地する。抵抗棒13の揺動アーム16に対する取り付け位置をピン連結法によって変更することで機体10の持ち上げ高さを変更することができる。
【0015】
伝動ケース17は、ウォーム減速機18を内蔵する側面視略L字状の左右二分割構造であり、その上端部に形成したフランジ部にモータ5がボルト連結されている。モータ5の出力軸とウォーム減速機18の入力軸は図3で点線描画されている中間伝動軸でつながれており、中間伝動軸は伝動ケース17内を垂直に延びている。ウォーム減速機18の出力は、伝動ケース17の下端部から左右に延出する耕耘ロータ2の駆動軸20に伝達される。伝動ケース17の上部には、この耕耘機1を持ち運ぶ際の把持部に使用可能なループ状で前向きに延出形成した丸パイプ鋼材からなるフロントガード19がボルト連結されている。
【0016】
図1に示すように、操縦ハンドル3を構成する右ハンドル部3A及び左ハンドル部3Bは、丸パイプ材からなり、その自由端領域にグリップ3a、3bが設けられている。操縦ハンドル3とハンドル支持枠14との間の揺動連結部30には操縦ハンドル3をハンドル支持枠14に締め付け固定するノブ付きナット締め付け機構が設けられている。この構成から、操縦ハンドル3は、ノブ付きナットを操作することで、操縦ハンドル3をハンドル支持枠14に対する任意の姿勢に設定することができる。
【0017】
右ハンドル部3Aのグリップ3aのすぐ機体側に操作スイッチとしてレバースイッチ装置31が設けられ、左ハンドル部3Bのグリップ3bのすぐ機体側に操作スイッチとして押しボタンスイッチ装置32が設けられている。レバースイッチ装置31には、グリップ3aを握っている手で操作可能なレバーの操作変位によってON/OFFされる副スイッチ82が組み込まれている。押しボタンスイッチ装置32には、押し操作によってON/OFFされる主スイッチ81が組み込まれている。この押しボタンスイッチ装置32は、操作部を回しながら押すことで主スイッチ81がON状態となるとともに、そのON状態が保持され、押し込まれた操作部をさらに押すことで操作部がホームポジションに復帰して主スイッチ81がOFF状態となる機械式的にON保持を行うタイプである。レバースイッチ装置31に組み込まれている副スイッチ82はよく知られているように、レバーをハンドル側に引き寄せ揺動させることでOFF状態からON状態となるリミットスイッチまたはその種のスイッチである。
【0018】
図3、図4、図5から明らかなように、主フレーム15のバッテリ支持面領域において、カバー11は、ボックス状の収容スペース60を作り出すバッテリ収容壁体11aを形成している。バッテリユニット4は矩形横断面を有しており、当該矩形横断面はバッテリ収容壁体11aが作り出す収容スペース60の矩形横断面よりも同一かやや大きな面積となるような寸法をもっている。従って、このバッテリ収容壁体11aの収容スペース60に挿入されたバッテリユニット4は、バッテリ収容壁体11aの弾性により、しっかりと保持される。この収容スペース60は、図4から明らかなように、その挿入口を機体後方に傾斜されており、その結果、収容スペース60も後方に傾斜した姿勢となっている。このため、バッテリ収容壁体11aの収容スペース60の後面を作り出している壁面部分が、バッテリユニット4が収容スペース60に挿入される際の摺動案内体61となっている。バッテリユニット4はこの摺動案内体61に重量をかけながら案内されながら収容スペース60に摺動挿入され、充電時には再び収容スペース60から摺動案内体61に案内されて収容スペース60から取り出される。
【0019】
バッテリ収容壁体11aとバッテリユニット4との間で電気的接続を行うためのコネクタユニット9が備えられている。このコネクタユニット9は、バッテリユニット4の底面中央に設けられたバッテリ側コネクタ部9aと、バッテリ収容壁体11aの底面中央に設けられた機体側コネクタ部9bとからなる。ここでは、バッテリ側コネクタ部9aがソケット形で、機体側コネクタ部9bがプラグ形であるが、互いに逆であってもよい。バッテリユニット4はバッテリ収容壁体11aの弾性によって正確に中心がずれないようにバッテリ収容壁体11aによって案内されるので、重力の助けを借りたバッテリユニット4の収容スペース60への挿入により確実にバッテリ側コネクタ部9aと機体側コネクタ部9bとが接続されることになる。収容スペース60に収容されたバッテリユニット4はハンドル支持枠14に設けられた、クランプ式固定具14aによって上面から押さえ付け固定される。
【0020】
コネクタユニット9は、収容スペース60の底面である機体側装着面62の中央に設けられた機体側コネクタ部9bと、バッテリユニット4の底面であるバッテリ側装着面4bの中央に設けられたバッテリ側コネクタ部9aとからなる。バッテリ側コネクタ部9aと機体側コネクタ部9bとには後で詳しく説明するように、バッテリユニット4からモータ5への給電を行う給電線のための端子、主スイッチ81や副スイッチ82などの信号線のための端子、さらにはアース端子など、ピンとピンソケットからなる複数の接続端子が形成されている。
【0021】
次に、バッテリユニット4の内部構造、及び機体10におけるモータ5への給電配線やモータ5の駆動制御のための信号配線を、図6の機能ブロック図を用いて説明する。
バッテリユニット4は、バッテリ本体40、充電・給電スイッチユニット41、コントローラ42、電源部43、バッテリ本体40のプラス側に接続される給電線44、バッテリ本体40のマイナス側に接続されるアース線45、各種信号線46、電流切替部7を備えている。
【0022】
充電・給電スイッチユニット41は、給電線44に直列配置された給電スイッチ41aと充電スイッチ41bとを含み、それぞれはよく知られているようにFETとダイオードとで構成されている。給電スイッチ41aは、OFF状態で給電線44を遮断し、ON状態で給電線44を接続して、外部負荷に対してバッテリ本体40からの給電を可能にする。充電スイッチ41bは、充電時に給電線44を介して、図示されていない電源アダプタからの電力をバッテリ本体40に供給することを可能にする。
【0023】
コントローラ42は、実質的にはワンチップマイコンから構成されており、ハードウエア及びプログラムの実行によって、モータ5に対する給電制御を行うモータ給電制御部50Aと、バッテリ本体40に対する充電制御を行う充電制御部50Bとを作り出している。モータ給電制御部50Aは、主スイッチ81のON状態と副スイッチ82のON状態とに基づいて給電スイッチ41aをON状態にして、バッテリ本体40からモータ5への給電を許可し、モータ5を駆動させる。このモータ給電制御部50Aは、主スイッチ81のON状態に続く副スイッチ82のON状態が発生したときのみモータ5への給電を許可する牽制制御を行う機能を有する。この牽制制御の基本は、主スイッチ81がOFF状態における副スイッチ82からのON状態信号に基づいてモータ5に対する給電、つまり始動を保留する無視状態が設定され、この無視状態が副スイッチ82からのOFF状態信号によって解除されることである。また、無視状態設定されていない場合では、主スイッチ81と副スイッチ82の両者のON状態が確認された場合に、給電スイッチ41aを閉鎖してモータ5への給電を可能にする制御信号を給電スイッチ41aに出力する。
【0024】
電源部43は、バッテリユニット4の内部電源として機能し、コントローラ42や電流切替部7に給電する。また、コントローラ42には、給電線44やアース線45などを流れる電流を監視し、異常な電流が流れた場合に、コントローラ42に異常電流が入力することを阻止する電流監視部50Cが備えられている。、
【0025】
バッテリユニット4に設けられたバッテリ側コネクタ部9aには、給電線44のための給電端子としての給電ソケット91a、第1信号線46aのためのバッテリ側端子である第1ソケット92a、第2信号線46bのためのバッテリ側端子である第2ソケット93a、第3信号線46cのためのバッテリ側端子である第3ソケット94a、第4信号線46dのためのバッテリ側端子である第4ソケット95a、第5信号線46eのためのバッテリ側端子である第5ソケット96a、アース線45のアース端子としてのアースソケット97aが設けられている。
【0026】
バッテリ側コネクタ部9aに対応するように機体10側に設けられた機体側コネクタ部9bには、給電線44のための給電端子としての給電ピン91b、第1信号線46aのためのバッテリ側端子である第1ピン92b、第2信号線46bのためのバッテリ側端子である第2ピン93b、第3信号線46cのためのバッテリ側端子である第3ピン94b、第4信号線46dのためのバッテリ側端子である第4ピン95b、第5信号線46eのためのバッテリ側端子である第5ピン96b、アース線45のアース端子としてのアースピン97bが設けられている。
【0027】
電流切替部7は、耕耘機1の非作業時においてコントローラ42が省エネ目的でスリープ状態になっている時には信号線に微弱電流を流しておき、コントローラ42がウエイクアップすると信号線に微弱電流より大きな大電流を流す機能を有する。
【0028】
機体側では、モータ5のプラス接点に給電線44が接続され、モータ5のマイナス接点にアース線45が接続される。モータ5には、モータ5の過熱を検知するために、所定値以上の過熱状態でスイッチOFFする過熱スイッチ83が設けられている。この過熱スイッチ83は、副スイッチ82は、一方を第2信号線46bと接続され、他方を第1信号線46aの過熱スイッチ83より上流側に接続されている。これにより、モータ過熱により過熱スイッチ8が動作した場合、副スイッチ82がON状態であっても、コントローラ42は副スイッチ82をOFF状態であるとみなすことができ、モータ5への給電を停止することができる。主スイッチ81は、一方を第3信号線46cと接続され、他方をアース線である第5信号線46eに接続されている。
【0029】
上述したように、モータ5と主スイッチ81と副スイッチ82が機体側に配置されており、主スイッチ81や副スイッチ82からの信号に基づいてモータ5の駆動を制御する制御系デバイスは全てバッテリユニット4に配置されている。つまり、モータ5の駆動制御がバッテリユニット4の給電制御に置き換えられており、バッテリユニット4が本来備えている放電制御のための放電スイッチをモータ5の駆動制御のための給電スイッチユニット41に流用しているので、機体側の電子デバイスや配線は簡素となっている。
【0030】
次に、優先信号評価部51によって行われる、主スイッチ81からの信号と副スイッチ82からの信号の時系列評価に基づく給電ルーチンを、図8のフローチャートを用いて説明する。この時系列評価の基本は、主スイッチ81がOFF状態における副スイッチ82からのON状態信号に基づいてモータ5に対する給電、つまり始動を保留する無視状態が設定され、この無視状態が副スイッチ82からのOFF状態信号によって解除されることである。また、無視状態設定されていない場合では、主スイッチ81と副スイッチ82の両者のON状態が確認された場合に、給電スイッチ41aを閉鎖してモータ5への給電を可能にする制御信号を給電スイッチ41aに出力する。
【0031】
図7と図8に示されているように、コネクタユニット9のバッテリ側コネクタ部9aには、両端に給電ソケット91aとアースソケット97aとが形成されており、その間に第1ソケット92a、第2ソケット93a、第3ソケット94a、第4ソケット95a、第5ソケット96aが形成されている。各ソケットは一列状に並んでいる。つまり、モータ給電用の電線である給電線44とアース線45のためのソケット91a,97aが両端に配置され、その間に信号線用のソケット92a,93a,94a,95a,96aが配置されている。
バッテリ側コネクタ部9aに対応する機体側コネクタ部9bにも同様に、両端に給電ピン91bとアースピン97bとが形成されており、その間に第1ピン92b、第2ピン93b、第3ピン94b、第4ピン95b、第5ピン96bが形成されている。
【0032】
この構成により、バッテリユニット4を収容スペース60に完全に装着されると、バッテリ側コネクタ部9aの接当面と機体側コネクタ部9bの接当面とが接当し、互いの端子接続が完了する。つまり、給電ソケット91aが給電ピン91bに、アースソケット97aがアースピン97bに差し込まれる。同時に、第1ソケット92a、第2ソケット93a、第3ソケット94a、第4ソケット95a、第5ソケット96aに第1ピン92b、第2ピン93b、第3ピン94b、第4ピン95b、第5ピン96bが差し込まれる。
【0033】
図8から明らかなように、機体側コネクタ部9bの接当面からの各ピンの突出長さは同一である。しかしながら、バッテリ側コネクタ部9aの接当面からの各ソケットの接点深さまでの距離に関しては異なっている。つまり、互いには同一である給電ソケット91aとアースソケット97aの接点深さ:L1は、これまた互いに同一である第1ソケット92a、第2ソケット93a、第3ソケット94a、第4ソケット95a、第5ソケット96aの接点深さ:L2と異なっている。L2がL1より深くなっている。これにより、バッテリユニット4の装着時には給電線44のための端子である給電ソケット91aと給電ピン91b、及びアース線45のための端子であるアースソケット97aとアースピン97bは、信号線46の端子である各ソケットとピンより先に接続する。また、バッテリユニット4の離脱時には給電線44やアース線45のためのソケットとピンが信号線46の端子より後から接続解除する。
図8の(a)は、バッテリ側コネクタ部9aと機体側コネクタ部9bとが十分な距離をあけている段階である。図8の(b)は、バッテリユニット4の第1装着摺動位置:P1を示しており、給電線44やアース線45のためのソケットとピンが接している(接点接続)が、信号線46の端子である各ソケットとピンはまだ接していない。図8の(c)は、バッテリユニット4の第2装着摺動位置:P2を示しており、給電線44やアース線45のためのソケットとピンは接点接続を保持しており、さらに、信号線46の端子である各ソケットとピンも接している(接点接続)。図8の(d)は、バッテリ側コネクタ部9aと機体側コネクタ部9bとが完全に接続した状態である。
【0034】
〔別実施の形態〕
〔1〕上述した実施の形態では、ピンの接当面からの長さは同じにして、ソケットの接当面からの深さを相違させることで、端子接続のタイミングをずらせていたが、それ以外にピンの長さを相違させてもよいし、ピンの長さやソケットの深さを相違させてもよい。つまり、バッテリユニット4の装着に伴うバッテリ側コネクタ部9aと機体側コネクタ部9bとの相対的な変位と、ソケットとピンとが接するタイミングが相違するような形状を採用すればよい。
〔2〕バッテリ側コネクタ部9aと機体側コネクタ部9bの端子構造はピンとソケット以外の種々の形態を採用することができる。
〔3〕電動作業機としては、作業ユニット2に耕耘ロータを適用した電動耕耘機に限定されるのではなく、作業ユニットを適宜変更することで、電動芝刈機、電動除雪機など、種々の電動作業機に本発明は適用可能である。
〔4〕操縦部3や機体10の機械的構造は、本発明では限定されていないので、種々の形態を採用することができる。
〔5〕バッテリユニット4の断面形状も種々なものを採用可能であり、その形状に合わせて適合するような収容スペース60が作り出されるようにバッテリ収容壁体11aの形状を決定するとよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、バッテリユニット4を着脱自在に搭載し、モータ5で作業ユニット2を駆動する種々の電動作業機に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1:電動耕耘機(電動作業機)
2:耕耘ロータ(作業ユニット)
3:ハンドル(操縦部)
5:電動モータ
4:バッテリユニット
4b:バッテリ側装着面
9:コネクタユニット
9a:バッテリ側コネクタ部
9b:機体側コネクタ部
10:機体
40:バッテリ
41a:給電スイッチ
42:コントローラ
44:給電線
45:アース線
46:信号線
50A:モータ給電制御部
60:収容スペース
61:摺動案内体
62:機体側装着面
81:主スイッチ(操作スイッチ)
82:副スイッチ(操作スイッチ)
P1:第1装着摺動位置
P2:第2装着摺動位置
91a:給電ソケット(端子)
92a:第1ソケット(端子)
93a:第2ソケット(端子)
94a:第3ソケット(端子)
95a:4ソケット(端子)
96a:第5ソケット(端子)
97a:アースソケット(端子)
91b:給電ピン(端子)
92b:第1ピン(端子)
93b:第2ピン(端子)
94b:第3ピン(端子)
95b:第4ピン(端子)
96b:第5ピン(端子)
97b:アースピン(端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業ユニットと、前記作業ユニットに動力を伝達する電動モータと、前記電動モータと支持する機体と、前記機体に離脱可能に装着されるとともに前記電動モータに給電線を介して給電するバッテリユニットと、当該バッテリユニット内の前記給電線に設けられた給電スイッチと、前記機体に支持された操縦部に設けられた操作スイッチと、前記バッテリユニットに設けられるとともに信号線を介して得られる前記操作スイッチのスイッチ状態に基づいて前記給電スイッチの開閉を制御するモータ給電制御部と、前記バッテリユニット側の前記信号線及び前記給電線と前記機体側の前記信号線及び前記給電線とを接続する端子群を有するコネクタユニットとを備え、前記バッテリユニットの装着時には前記給電線の端子が前記信号線の端子より先に接続し、前記バッテリユニットの離脱時には前記給電線の端子が前記信号線の端子より後から接続解除する電動作業機。
【請求項2】
前記バッテリユニットは前記機体に設けられた摺動案内体に沿って装着方向に摺動することで前記機体に装着され、前記コネクタユニットは機体側装着面に設けられた機体側コネクタ部とバッテリ側装着面に設けられたバッテリ側コネクタ部とからなり、前記バッテリユニットの第1装着摺動位置で前記給電線の端子が接続し、前記第1摺動位置よりさらに装着面側の第2装着摺動位置までの間前記給電線の端子が接続状態を保持し、前記第2装着摺動位置で前記信号線の端子が接続する請求項1に記載の電動作業機。
【請求項3】
前記給電線の端子の接点位置は前記信号線の端子の接点位置より装着方向で近い位置に設定されている請求項2に記載の電動作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−63054(P2013−63054A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204690(P2011−204690)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】