電動作業車両
【課題】車両の漏電時における感電防止を図るとともに、漏電箇所を特定可能として、迅速に復旧作業できる安全性を向上させた電動作業車両を提供する。
【解決手段】車両を構成する機台4上に搭載したバッテリーBから、車両に設けたインバータI1〜I6を介してアクチュエータM1〜M6に電力を供給するとともに、これらアクチュエータM1〜M6によって、車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動し、バッテリーBを収容するバッテリーケースと、インバータI1〜I6を収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケース103とを機台4にアース接続するとともに、バッテリーBのマイナス端子を、漏電抵抗105を介して機台4に接続した。
【解決手段】車両を構成する機台4上に搭載したバッテリーBから、車両に設けたインバータI1〜I6を介してアクチュエータM1〜M6に電力を供給するとともに、これらアクチュエータM1〜M6によって、車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動し、バッテリーBを収容するバッテリーケースと、インバータI1〜I6を収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケース103とを機台4にアース接続するとともに、バッテリーBのマイナス端子を、漏電抵抗105を介して機台4に接続した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を構成する機台上にバッテリーを搭載し、前記バッテリーは、前記車両に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記アクチュエータによって、前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動作業車両に関し、より詳細には、バッテリーを収容するバッテリーケースと、インバータを収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケースとを機台にアース接続するとともに、バッテリーのマイナス端子を、漏電抵抗を介して機台に接続したことで、感電を防止でき、安全性を高めたコンバインなどの電動作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバイン(電動作業車両)は、車体に搭載した原動機としてのエンジンの駆動力により、各種機械式の動力伝達機構を介してクローラなどの車両の走行部や、刈取、脱穀など複数の処理部からなる作業部を駆動させていた。しかし、近年、環境問題が重視される中で、大気汚染の軽減や燃費節約の機運が高まっており、動力源として、車両にエンジンと電動モータを搭載したハイブリッド型のコンバインが提唱されている。これは、車両が、エンジンと電動モータの二つの駆動源を持ち、それを使い分けることによって排ガスの低減と燃費を稼ぐものである。その一例として、車両にエンジンや発電機、バッテリー、処理部に設けた電動モータなどを搭載し、エンジンの動力で車両の走行部を駆動させるとともに、このエンジンの駆動により発電機を作動させ、発電した電力を、バッテリーを介して電動モータに供給し、刈取装置や脱穀装置など作業部を駆動させるもの(例えば、特許文献1)がある。
【0003】
また、作業部として、脱穀部の扱胴を駆動するエンジンとは別個に、扱胴に補助出力用モータを設け、扱胴の駆動に連動させた車速を減少するなどした際、既に刈り取られている穀桿がそのまま脱穀部に搬送されるために搬送量が低減されず、扱胴に過負荷が生じた場合には、補助出力用モータを作動させて、補助出力用モータがエンジンと協働して扱胴を駆動し、扱胴のアシスト制御を行うようにしたもの(例えば、特許文献2)がある。
【0004】
さらには、走行装置、刈取装置および脱穀装置を駆動させる電動モータを各別に備え、走行負荷が増大し走行用電動モータのトルク不足が生じたときは、脱穀用電動モータの無段変速装置から各ギヤの噛合連動を経て伝動クラッチを入切させて、脱穀用電動モータを走行用電動モータに連動させることにより、脱穀用電動モータの余裕出力を利用して走行用電動モータのトルク不足を補助するもの(特許文献3)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−095057号公報
【特許文献2】特開2007−111012号公報
【特許文献3】特開2003−000035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3に示すようなコンバインでは、車両の動力源としてエンジンのほかに、走行装置や刈取装置、脱穀装置などに電動モータを用いており、これら走行部や作業部は、車体重量や作業性による大きな駆動力を要するため、それらを駆動させる電動モータには高圧電力が必要となり、バッテリーから車体全体に配設されている電動モータには、エンジンを主動力源としていた従来にはないほどの高圧電力が供給されている。
【0007】
そのため、例えば、車両が、湿田などで水に浸かり絶縁不良となったり、車体が障害物に衝突し、電動モータへ向かう配線が機台に接触するなどした場合、高圧電流の漏電により作業者が感電してしまう恐れを生じる。
【0008】
そこで、この発明の目的は、車両の漏電時における感電防止を図るとともに、漏電箇所を特定可能として、迅速に復旧作業できる安全性を向上させた電動作業車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、請求項1に記載の発明は、車両を構成する機台上にバッテリーを搭載し、 前記バッテリーは、前記車両に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記アクチュエータによって、前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動作業車両において、前記バッテリーを収容するバッテリーケースと、前記インバータを収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケースとを前記機台にアース接続するとともに、前記バッテリーのマイナス端子を、漏電抵抗を介して前記機台に接続したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動作業車両において、前記バッテリーと、前記アクチュエータとは、前記インバータを介した電気回路を形成し、前記電気回路内には、漏電を検知する漏電検知回路を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1〜2に記載の電動作業車両において、前記電気回路内には、前記バッテリーからの供給電力の通電を遮断可能とするコンダクタを、前記バッテリー側に設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の電動作業車両において、前記漏電検知回路は、前記コンダクタによる前記バッテリーからの通電遮断後に、前記インバータの入力コンデンサから電力を得て、電圧を計測可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、車両を構成する機台上にバッテリーを搭載し、バッテリーは、車両に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、アクチュエータによって、車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動作業車両において、バッテリーを収容するバッテリーケースと、インバータを収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケースとを機台にアース接続するとともに、バッテリーのマイナス端子を、漏電抵抗を介して機台に接続したので、バッテリーからインバータや配線を介して車体に設けた各アクチュエータに、車体が障害物に衝突したり、絶縁不良などにより漏電した高圧電力が機台を介して作業者へ感電することを防止できる。従って、安全性を向上させた電動作業車両を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、バッテリーと、アクチュエータとは、インバータを介した電気回路を形成し、電気回路内には、漏電を検知する漏電検知回路を設けたので、この漏電検知回路により電気回路内の電圧を常時測定し、漏電検知回路による電圧の検出結果に基づき、電圧が基準電圧より低下した場合に、コントローラが漏電を認識することで、漏電を迅速に検出することができる。従って、安全性を向上させた電動作業車両を提供することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、電気回路内には、バッテリーからの供給電力の通電を遮断可能とするコンダクタを、バッテリー側に設けたので、車体が障害物に衝突したり、絶縁不良などにより漏電した場合、コンダクタによって一時的にバッテリーからの電力供給を遮断するとともに、電動モータで駆動される各作業部の駆動を停止させて、感電の防止および安全の確保を行うことができる。従って、安全性を向上させた電動作業車両を提供することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、漏電検知回路は、コンダクタによるバッテリーからの通電遮断後に、インバータの入力コンデンサから電力を得て、電圧を計測可能としたので、漏電箇所が、バッテリー主配線側か、モータ動力配線側かを判断でき、漏電箇所を特定することで、迅速な対応処置を行うことができる。従って、安全性を向上させた電動作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電動作業車両の一例としての電動コンバインを示した左側面図である。
【図2】電動コンバインの平面図。
【図3】穀稈搬送装置の左側面図である。
【図4】脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【図5】電動コンバインの動力伝達構成図である。
【図6】電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図である。
【図7】各ケースを機台を介してバッテリーのマイナス端子にアース接続した車両下部の左側面図である。
【図8】各ケースを機台を介してバッテリーのマイナス端子にアース接続した車両下部の正面図である。
【図9】アース接続を示す電動コンバインの概略的な電気回路図である。
【図10】漏電検知および電力供給遮断の回路を備える電動コンバインの概略的な電気回路図である。
【図11】コントローラによる電気回路の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1はこの発明の一例としての電動コンバインの右側面図、図2は電動コンバインの左側面図、図3は穀稈搬送装置の左側面図、図4は脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【0019】
まず、電動コンバイン1は、図1〜3に示すように、左右一対の機体フレーム2に、左右一対のクローラ式走行装置である走行部3を装設し、これら左右機体フレーム2に機台4が架設される。また、機台4上には、引起機構8、刈刃9、収穫物搬送手段10などを備える刈取部7や、フィードチェーン18を機体左側に張架し、扱胴6を内蔵する脱穀装置である脱穀部5、排藁チェーン終端を臨ませる排藁処理部11、脱穀部5からの籾を、揚穀筒を介して搬入するグレンタンク12、このグレンタンク12の籾を機外に搬出する搬送部16としての排出オーガ13などが設置される。
【0020】
さらに、機体前部の機台4上には、ハンドル14や運転席15、および運転席15下方には、エンジン(原動機)Eや、後述する発電機DおよびバッテリーBなどが設けられており、これら構成により自脱型の電動コンバイン1が連続的に稲などの農作物を刈取って脱穀するように構成されている。
【0021】
そして、機台3の後部には、グレンタンク12内の籾を外部へ排出するための排出オーガ13の縦オーガ13aが立設されるとともに、この縦オーガ16aの上端部には横オーガ13bが連設されている。この縦オーガ13aを中心として、グレンタンク12が左右回動可能に設けられて、グレンタンク12の前側を外方に回転させて開放可能に構成されている。また、機台3の後部には、脱穀部5に連続して穀稈搬送装置17が内設されている。
【0022】
刈取部7で刈り取られた穀稈は、収穫物搬送手段10にて後部へ搬送され、収穫物搬送手段10の上端から株元側が穀稈搬送装置17のフィードチェーン18に受け継がれ、扱胴6の供給始端部を介して脱穀部5および選別部19からなる脱穀装置内に穀稈が搬送される。そして、フィードチェーン18後端には、排藁搬送チェーン20が配設され、この排藁搬送チェーン20後部下方には、カッター,結束機などからなる図示しない排藁処理部が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
【0023】
脱穀部5は、コンバイン1の進行方向左側に配置され、脱穀部4の右側には選別後の精粒を貯留するグレンタンク12が配設されている。そして、グレンタンク12の前方には運転席15が配設されている。つまり、運転席15は、機体の進行方向右前部に配置されている。一方、グレンタンク12の後方には、排出オーガ13の縦オーガ13aが立設され、縦オーガ16を中心にして排出オーガ13およびグレンタンク12が側方へ回動可能とし、グレンタンク12を側方へ回動することにより機体内側のメンテナンスを容易にしている。
【0024】
そして、グレンタンク12の底部には、後述する排出コンベア12aが前後方向に配設され、該排出コンベアの後部が縦オーガ13aの下部に連通されるとともに、排出コンベア16後部から排出オーガ13に動力が伝達されて、横オーガ13bの先端よりトラックなどに、グレンタンク12内の穀粒を排出できるようにしている。さらに、脱穀部5の下方には、選別部19が配設され、脱穀部5から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別し、精粒をグレンタンク12に搬送したり、藁屑などを機外に排出するようにしている。
【0025】
穀稈搬送装置17は、上述の脱穀部5において、刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、刈取部7で刈り取った穀稈を排藁搬送チェーン20まで搬送するフィードチェーン18と、フィードチェーン18上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆21と、挟扼杆21を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体22などとから構成されている。
【0026】
この穀稈搬送装置17においては、対向配置される挟扼杆21とフィードチェーン18とによって、刈取部7で刈り取った穀稈の株元側を挟扼し、扱室31内の扱胴6によって脱穀する構成となっており、この挟扼杆21とフィードチェーン18とが対向した部分を搬送経路としている。そして、脱穀部5にて脱粒された排藁は、フィードチェーン18の後端部(下流側端部)において、排藁搬送チェーン20へと受け継がれ、この排藁搬送チェーン20によって、前記排藁処理部へと搬送される。
【0027】
挟扼杆21は、ステー23などによって固設される支持杆24と、支持杆24に複数の弾性支持体22を介して弾性支持して設けられている。この挟扼杆21は、フィードチェーン18に沿うように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、フィードチェーン18による搬送方向断面視逆U字状に形成されている。
【0028】
支持杆24は、中空の柱状部材であり、図示しない扱室カバー内の左側において前後方向に長く、挟扼杆21と並列的に配置されるように形成されている。そして、この支持杆24の側面には、一定間隔ごとに弾性支持体22が、その上部が支持されるとともに配設され、これら弾性支持体22の下部に挟扼杆21が弾性支持されている。この弾性支持体22の下部は、挟扼杆21に連結ピンで枢支されており、弾性支持体22の上部は支持杆24よりも上方に延出されている。
【0029】
次に、脱穀部5について説明する。図4に示すように、脱穀部5に形成された扱室31には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴6が設けられ、この扱胴6の外周面には複数の扱歯32が植設されている。そして、扱胴6の下部周辺を覆うように半円形状の受網33が着脱可能に周設されている。
【0030】
一方、フィードチェーン18により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端側が扱胴6の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴6の回転により脱粒が行われ、受網33から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0031】
続いて、選別部19について説明する。選別部19は、揺動選別装置41による揺動選別と唐箕42による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
【0032】
揺動選別装置41は、機枠43内に収納される。揺動選別装置41の前端部は、扱胴6の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置41前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には後述の揺動駆動機構44が設けられ、この揺動駆動機構44によって揺動選別装置41が機枠43に対して揺動するように構成されている。なお、揺動駆動機構44の後下方には燃料タンク(不図示)が配置されている。
【0033】
揺動選別装置41の前部には、流穀板45が設けられるとともに、この流穀板45の後下方に搬送板46が設けられる。これら流穀板45および搬送板46は、板状の部材を波形に成形したものであり、受網33を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は、流穀板45および搬送板46上に落下し、揺動選別装置41の揺動により機体後方に搬送される。
【0034】
そして、搬送板46後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ(篩分装置)47が連設されるとともに、このグレンシーブ47と搬送板46の上方、かつ流穀板45の後方には、第一選別部であるチャフシーブ48が被装されている。さらに、チャフシーブ48の後方には、ストローラック49が配設される。
【0035】
チャフシーブ48は、複数のチャフフィンから構成され、投入される処理物の量に応じてチャフフィンの開度を調節することを可能としている。すなわち、チャフフィンの上下一側端部が揺動選別装置41に枢支されて、チャフシーブ48左右両側に設けられた揺動板に枢結され、また、他側端部がチャフシーブ48の左右両側に設けられた不図示の摺動板に枢結されている。
【0036】
上記摺動板は、揺動選別装置41と一体的に揺動されるとともに、この摺動板には図示しない調節レバーが枢結されており、該調節レバーに連結された図示しないワイヤの弛緩又は牽引により、この摺動板が前後に摺動される。なお、前記調節レバーは、上述のワイヤと反対側に設けられた図示しないバネによって各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とする方向に付勢されている。
【0037】
そして、前記摺動板の摺動によりチャフフィンの角度が変更され、このチャフフィンの傾斜角を大(立てる)とさせるとき、チャフシーブ48の開度を大として穀粒の漏下量を増大させ、各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とさせるときチャフシーブ48の開度を小として穀粒の漏下量を減少させるように構成している。
【0038】
こうして、穀粒および細かい藁屑は、チャフシーブ48を通過して下方に落下し、チャフシーブ48の開口よりも大きい藁屑などは後方に搬送される。このとき、チャフシーブ48とグレンシーブ47との間には、唐箕42により選別部19の前方から後方への気流が発生しており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0039】
この唐箕42は、揺動選別装置19における前流穀板45の後部下方かつ後流穀板46の前部下方に配置され、チャフシーブ48やグレンシーブ47に選別風を送風するようにしている。
【0040】
そして、揺動選別装置41の後端部近傍には、吸引ファン50が全幅に横設され、唐箕42から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃などを、吸引ファン50により吸引して機外へと排出するようにしている。
【0041】
選別部19内に投入され、前流穀板45上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、チャフシーブ48上に漏下される過程において、唐箕42により発生する選別部19の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。
【0042】
そして、チャフシーブ48上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、揺動選別装置41の揺動により、後方に搬送される、このとき、これら穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、チャフシーブ48の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ48の後方まで搬送され、ストローラック49を経て機外に排出される。
【0043】
また、チャフシーブ48の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、後流穀板46およびグレンシーブ47上に漏下される。このときも唐箕42からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0044】
さらに、グレンシーブ47上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などのうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑などは、グレンシーブ47を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は一番回収部51に回収され、後述する一番コンベア51aから図示しない揚穀コンベアを経て、グレンタンク12に搬送される。
【0045】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒などが混じった未処理粒は、唐箕42からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部52に回収され、後述する二番コンベア52aから図示しない二番還元コンベアを経て、前流穀板45上(またはチャフシーブ48上)に再投入される。
【0046】
次に、本願発明の電動コンバインの動力伝達構成について説明する。図5は電動コンバインの動力伝達構成図、図6は電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図である。
【0047】
本願発明の電動コンバイン1は、走行部3および脱穀部5や刈取部7など複数の処理部からなる作業部61を構成した駆動系の駆動源を、電動モータM(アクチュエータ)とエンジン(原動機)Eとを併用し、作業部61の一部の駆動源を、エンジンEの動力にしたものである。
【0048】
図1にも示したように、車両左側部の、例えば、フィードチェーン18と、走行部3との間であって、車両前後方向の機台4上には、詳細を後述するバッテリーBが複数並設(図例では7個だが、設置数は限定されない)される。
【0049】
また、エンジンE近傍の機台4上には、エンジンEの図示しないクランク軸などに接続した発電機Dが設置されており、この発電機DはバッテリーBに接続されている。従って、エンジンEの動力により駆動させた発電機Dによって発電した比較的電圧の高い電力が、バッテリーBに充電され、後述する車両の駆動系の駆動源に用いられる。
【0050】
なお、エンジンEには、上述した発電機Dの他に、図示しない周知のオルタネータも設置されており、エンジンEの動力により駆動させたオルタネータによって発電した比較的電圧の低い電力が、別途設置した図示しないバッテリーを介して車両のライト、あるいはキャビンを装備する車両においてはエアコンなどの電源に用いられる。
【0051】
これらエンジンEおよび発電機Dを用いた電動コンバイン1の動力伝達構成は、図5に示すように、まず、エンジンEには、発電機Dおよび作業部61を構成する脱穀部5の扱胴6のみが接続される。そして、発電機Dには、バッテリーBが接続されている。
【0052】
また、バッテリーBには、車両の上記扱胴6以外の作業部61であって、刈取部7を駆動させる各駆動部に設置した、刈取部電動モータM1と、脱穀部5を駆動させる扱胴6以外の各駆動部に設置した脱穀部電動モータM2と、選別部19を駆動させる各駆動部に設置した選別部電動モータM3と、排藁処理部11を駆動させる各駆動部に設置した排藁処理部電動モータM4と、搬送部16を駆動させる各駆動部に設置した搬送部電動モータM5とが、それぞれインバータI1〜I5および図示しないドライバを介して接続されている。
【0053】
さらに、バッテリーBには、走行部3を駆動させる駆動部に、走行部電動モータM6が、インバータI6や図示しないドライバを介して接続されている。なお、各電動モータM1〜M6は、アクチュエータの例示であって、その構成は限定されない。
【0054】
つまり、作業部61には、エンジンEの動力により駆動(扱胴6)させる、原動機駆動部62と、バッテリーBの電力により各モータM1〜M5の動力により駆動させる、扱胴6を除いた脱穀部5を含むアクチュエータ駆動部63とを有する構成とされる。
【0055】
なお、これらバッテリーBは、例えば、車両進行方向の機体右側に配設したグレンタンク12とは左右対称位置の機体左側の機台4上に配設させてもよい。また、このバッテリーBは二次電池であり、リチウムイオン電池や、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池など適宜使用することができる。
【0056】
そして、これらエンジンEおよび各電動モータM1〜M6から各駆動系への動力伝達は、図6に示すように、まず、エンジン駆動部62においては、エンジンEの動力は、脱穀クラッチcおよび変速ギアgなどを介してVベルトvにより扱胴6の駆動軸6aに伝達され、扱胴6はエンジンEの動力により駆動する。
【0057】
一方、エンジンEの動力は、発電機Dも駆動させるため、この発電機Dにより発電した電力が、後述する各インバータI1〜I6に接続したバッテリーBに充電される。
【0058】
そして、刈取部7では、例えば、刈取部7全体を駆動させる刈取入力軸7aにインバータI1に接続した刈取部電動モータM1の出力軸を連結する。なお、刈取部7は、引起タインチェン64を備える穀稈引起装置65や、掻込ベルト66を備える穀稈搬送装置67、刈刃駆動ユニット68を有する刈刃装置69などからなる周知の構成であり、これら装置間にはベルトやギアなど周知の機械式伝達機構で動力を中継することができるが、この発明は上記に限定されず、例えば、刈取部7内における各装置を駆動する入力軸にそれぞれインバータを介して電動モータを設置してもよい。
【0059】
また、脱穀部5のフィードチェーン18を駆動する入力軸18aには、インバータI2に接続した脱穀部電動モータM2が連結されるとともに、選別部19における揺動選別装置41の揺動駆動機構44および唐箕42、揚穀コンベアに連動する一番コンベア51a、二番還元コンベアに連動する二番コンベア52aなどを駆動する各入力軸には、それぞれインバータI3を構成するインバータI3a,I3b,I3c,I3dに接続した選別部電動モータM3を構成する選別部電動モータM3a,M3b,M3c,M3dが連結される。
【0060】
また、排藁処理部11の排藁搬送チェーン20や吸引ファン50などを駆動する入力軸には、インバータI4を構成するインバータI4a,I4bに接続した脱穀部電動モータM4を構成する脱穀部電動モータM4a,M4bが連結されるとともに、搬送部16では、縦オーガ13aおよび横オーガ13bに連動する排出コンベア12aを駆動する入力軸に、インバータI5に接続した脱穀部電動モータM5が連結される。
【0061】
次に、本願発明の走行部3は、上述の図6に示すように、クローラ式走行装置における左右駆動スプロケット3a,3bに、インバータI6を構成するインバータI6a,I6bに接続した走行部電動モータM6を構成する走行部電動モータM6a,M6bが連結される。
【0062】
このような構成にすることで、エンジン動力を作業部61の一部の駆動源に限定して用いることで、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化できるとともに、走行部3は、エンジン動力を伝達する機械式の動力伝達部材を必要とせず、走行部3の構成を簡素化することができる。
【0063】
特に、車両の駆動系の中で最も出力を要する扱胴6のみをエンジン動力にすることで、大量の穀稈を扱歯に巻き付けたり、挟むなどして回転に大きな負荷がかかる扱胴6でも、円滑に回転駆動させることができるとともに、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化し、排ガスの低減と燃費を向上させることができる。
【0064】
次に、本願発明の漏電に対する車両の安全機構について、その具体的構成を説明する。図7は各ケースを機台を介してバッテリーのマイナス端子にアース接続した車両下部の左側面図、図8は各ケースを機台を介してバッテリーのマイナス端子にアース接続した車両下部の正面図、図9はアース接続を示す電動コンバインの概略的な電気回路図である。
【0065】
上述してきたバッテリーBや、インバータI1〜I6およびこれらインバータI1〜I6の作動を制御するコントローラCなどを介して各電動モータM1〜M6には、従来にないほど多くの高圧電力が供給されているため、例えば、車両が、湿田などで水に浸かり絶縁不良となったり、車体が障害物に衝突し、電動モータM1〜M6へ向かう配線が機台2に接触するなどし、高圧電流が漏電した場合に、本願発明の電動コンバイン1では、作業者が感電しないよう、漏電防止手段が設けられている。
【0066】
この漏電防止手段は、図7〜8に示すように、まず、機体フレーム2を介して機台4の後部上に載置された複数のバッテリーB(図例では7個)を収納した金属製などのバッテリーケース101と、機台4とをアース線102でアース接続する。具体的には、例えば、バッテリーケース101から突設させたピンと、バッテリーケース101近傍の機台4から突設させたピンとをアース線102で接続する。なお、このアース線102は、例えば周知である黄銅をニッケルメッキ処理したものなどを用いることができる。
【0067】
次いで、機体内適宜位置(図例では機台4上)に設置された、後述のコントローラCを収納する金属製などの制御ケース103と、制御ケース103近傍の機台2とを上述同様に、それぞれに突設した図示しないピンを介してアース線102でアース接続する。
【0068】
さらに、例えば、機体内適宜位置(図例では機台4の前部上に載置)に設けた各インバータI1〜I6を収納するインバータケース104と、インバータケース104近傍の機台4とを上述同様に、それぞれに突設した図示しないピンを介してアース線102でアース接続する。
【0069】
そして、バッテリーケース101内における、例えば複数のバッテリーBのうち、適宜1個のバッテリーBのプラス端子を、コンダクタ106に接続し、バッテリーBのマイナス端子と、機台4との間には、漏電抵抗105(漏電検出手段)が接続され、バッテリーBのマイナス端子は、直接機台4とは接続しない。
【0070】
上述の電気回路100は、例えば図9に示すように、バッテリーBのプラス端子を、コンダクタ106およびインバータケース104内の各インバータI1〜I6を介して各電動モータM1〜M6に電気配線で接続する。
【0071】
そして、インバータケース104および制御ケース103が機台4にアース線102でアース接続される。なお、アース線102の接続先は機台4に限定されず、機体フレーム2などであってもよい。
【0072】
ここで、例えば、車両が、湿田などで水に浸かり絶縁不良となったり、車体が障害物に衝突などして、バッテリーケース101を介していずれかのバッテリーBから高圧電流が漏電、または、制御ケース103を介してコントローラCなどから高圧電流が漏電、あるいはインバータケース104を介していずれかのインバータI1〜I6から高圧電流が漏電した場合、漏電漏電抵抗105が発生する。
【0073】
次いで、これら漏電した高圧電流は、漏電漏電抵抗105を介して機台4(または機体フレーム2)に流れ込む。
【0074】
このような構成にすることで、バッテリーBやコントローラC、インバータI1〜I6から突発的に不慮の漏電が機体に生じた場合でも、その漏電した高圧電流は瞬時に電位が変化するため、作業者への高圧電流の漏電を検出することができる。
【0075】
さらに、本願発明の電動コンバイン1は、漏電により電動モータM1〜M6への電流供給を遮断するコンダクタを設けたものである。図10は漏電検知回路およびコンダクタを備える電動コンバインの概略的な電気回路図、図11はコントローラによる電気回路の制御ブロック図である。
【0076】
この場合の漏電防止手段を有する電気回路100´は、上述の図9に示す電気回路100に加えて、例えば図10に示すように、バッテリーB(各バッテリーBであっても全てのバッテリーBであってもよい)のプラス端子と、各インバータI1〜I6(インバータケース104)とを接続する電気配線の中途部には、バッテリーBに近い位置に周知のコンダクタ106および、プリチャージ回路107が接続される。なお、符号108はヒューズである。
【0077】
プリチャージ回路107は、コンダクタ106およびインバータケース104間に設けられた、それぞれ周知のコンデンサ109、抵抗器110、電磁スイッチ111、レギュレータとしてのバッテリーb(例えば12V低電圧用)および電圧計112から構成される。なお、これらコンデンサ109、電磁スイッチ111、電圧計112は、図11に示すように、それぞれ制御ケース103内のコントローラCに接続されている。なお、制御ケース103の電源は、バッテリーbから取ることができる。そして、電圧計112を中心とした漏電検知回路112が構成される。
【0078】
また、プリチャージ回路107においても、例えばバッテリーbおよび電圧計112間の電気配線を、機台4などにアース線102でアース接続しておく。なお、このプリチャージ回路107は、電動コンバイン1の電源投入時(スタートスイッチON)に、コンデンサ109に電荷を溜めるために抵抗110と電磁スイッチ111に先に電流を流して、ある程度チャージ(電圧レベルが上昇)したら、コンダクタ106をONにしてメイン回路電源を接続する、電源投入時の過電流防止(コンダクタの溶着防止)を目的とするものである。
【0079】
まず、漏電検知回路112では、電圧計112がバッテリーbを基準電源とし、常時漏電検知回路112内の電圧(測定箇所107)を測定し、その検知電圧を基準電圧、閾値としてコントローラCに送信する。ここで、電気回路100´内に漏電が生じた場合には、その漏電した回路間に抵抗が生じるため、電気回路100´内および漏電検知回路112内の電圧は分圧される結果、漏電検知回路112の電圧計112による検知電圧が低下する。
【0080】
このとき、コントローラCは、電圧計112から送信されてきた漏電時の検知電圧 が、閾値と比較して下がっている場合には、電気回路100´内で漏電が生じているものと判断し、コンダクタ106を開放する。
【0081】
このコンダクタ106の開放により、バッテリーBからの電気回路100´内への電流供給は、コンダクタ106で遮断される。この結果、電動モータMで駆動される各作業部の駆動を停止させて、安全の確保を行うことができる。一方、コンダクタ106から下流の電気回路100´内へは、コンデンサ109に蓄えられた電力から下流の電流回路100´内に供給される。
【0082】
そして、電圧計112が、上述同様にバッテリーbを基準電源とし、コンダクタ106から下流の回路100´内における漏電検知回路112内の電圧を測定し、その検知電圧をコントローラCに送信する。
【0083】
上述同様に、コンダクタ106より下流の電気回路100´内に漏電が生じた場合には、その漏電した回路間に抵抗が生じるため、コンダクタ106より下流の電気回路100´内および漏電検知回路112内の電圧は分圧される結果、漏電検知回路112内の電圧計112による検知電圧が低下する。
【0084】
そこで、コントローラCは、このコンダクタ106から下流の回路100´内における漏電検知回路112内の測定した電圧値を、上述の閾値と比較し、両者が同じ場合には、コンダクタ106から下流の回路100´内では漏電が生じていないものと判断し、電気回路100´全体内の漏電箇所を、バッテリーB主配線側であるバッテリーBからコンダクタ106までの間と特定する。なお、コントローラCは、上記漏電箇所を図示しない警報装置で周囲に知らせてもよい。
【0085】
一方、測定した電圧値が閾値よりも低い場合には、コントローラCは、コンダクタ106から下流の回路100´内で漏電が発生しているものと判断し、電気回路100´全体内の漏電箇所を、電動モータ動力線側であるコンダクタ106から下流の回路100´内と特定する。なお、同様にコントローラCは、上記漏電箇所を図示しない警報装置で周囲に知らせてもよい。
【0086】
このような構成により、電気回路100´内で漏電を生じた場合、漏電検知回路112およびコントローラCが、その漏電の発生を判断でき、コンダクタ106の遮断により電気回路100´内への通電を遮断するため、作業者の感電を防止することができる。そして、漏電検知回路112およびコントローラCが、漏電箇所をバッテリー主配線側あるいは電動モータ動力線側かを特定することで、作業者は漏電箇所を回路100´内全てに亘って探す必要がなく、作業者により迅速に漏電箇所のメンテナンスを行うことができる。
【0087】
なお、コントローラCは、漏電箇所のメンテナンスが終了し、例えば作業者がリセットスイッチ(あるいはコンダクタ106および電磁スイッチ111)を操作して、電磁スイッチ111によるプリチャージからコンダクタ106を閉じることで、バッテリーBの電流がインバータIや電動モータMを含む電気回路100´全体内に供給再開される。
【0088】
以上詳述したように、この例の電動コンバイン(電動作業車両)1は、車両を構成する機台4上に搭載したバッテリーBから、車両に設けたインバータI1〜I6を介してアクチュエータM1〜M6に電力を供給するとともに、これらアクチュエータM1〜M6によって、車両の走行部3と、複数の処理部からなる作業部61とを駆動し、バッテリーBを収容するバッテリーケース101と、インバータI1〜I6を収容するインバータケース104と、コントローラCを内装する制御ケース103とを機台4にアース接続するとともに、バッテリーBのマイナス端子と、機台4との間に漏電抵抗105(漏電検知手段)を設けたものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
なお、この発明は、車両に搭載したバッテリーからの供給電力により駆動するアクチュエータを車両の駆動源に用いたあらゆる電動作業車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
2 機体フレーム
4 機台
100,100´ 電気回路図
101 バッテリーケース
102 アース線
103 制御ケース
104 インバータケース
105 漏電抵抗
106 コンダクタ
107 漏電検知回路
109 コンデンサ
110 抵抗器
111 電磁スイッチ
112 電圧計
B,b バッテリー
C コントローラ
M1〜M6 アクチュエータ(電動モータ)
I1〜I6 インバータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を構成する機台上にバッテリーを搭載し、前記バッテリーは、前記車両に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記アクチュエータによって、前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動作業車両に関し、より詳細には、バッテリーを収容するバッテリーケースと、インバータを収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケースとを機台にアース接続するとともに、バッテリーのマイナス端子を、漏電抵抗を介して機台に接続したことで、感電を防止でき、安全性を高めたコンバインなどの電動作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバイン(電動作業車両)は、車体に搭載した原動機としてのエンジンの駆動力により、各種機械式の動力伝達機構を介してクローラなどの車両の走行部や、刈取、脱穀など複数の処理部からなる作業部を駆動させていた。しかし、近年、環境問題が重視される中で、大気汚染の軽減や燃費節約の機運が高まっており、動力源として、車両にエンジンと電動モータを搭載したハイブリッド型のコンバインが提唱されている。これは、車両が、エンジンと電動モータの二つの駆動源を持ち、それを使い分けることによって排ガスの低減と燃費を稼ぐものである。その一例として、車両にエンジンや発電機、バッテリー、処理部に設けた電動モータなどを搭載し、エンジンの動力で車両の走行部を駆動させるとともに、このエンジンの駆動により発電機を作動させ、発電した電力を、バッテリーを介して電動モータに供給し、刈取装置や脱穀装置など作業部を駆動させるもの(例えば、特許文献1)がある。
【0003】
また、作業部として、脱穀部の扱胴を駆動するエンジンとは別個に、扱胴に補助出力用モータを設け、扱胴の駆動に連動させた車速を減少するなどした際、既に刈り取られている穀桿がそのまま脱穀部に搬送されるために搬送量が低減されず、扱胴に過負荷が生じた場合には、補助出力用モータを作動させて、補助出力用モータがエンジンと協働して扱胴を駆動し、扱胴のアシスト制御を行うようにしたもの(例えば、特許文献2)がある。
【0004】
さらには、走行装置、刈取装置および脱穀装置を駆動させる電動モータを各別に備え、走行負荷が増大し走行用電動モータのトルク不足が生じたときは、脱穀用電動モータの無段変速装置から各ギヤの噛合連動を経て伝動クラッチを入切させて、脱穀用電動モータを走行用電動モータに連動させることにより、脱穀用電動モータの余裕出力を利用して走行用電動モータのトルク不足を補助するもの(特許文献3)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−095057号公報
【特許文献2】特開2007−111012号公報
【特許文献3】特開2003−000035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜3に示すようなコンバインでは、車両の動力源としてエンジンのほかに、走行装置や刈取装置、脱穀装置などに電動モータを用いており、これら走行部や作業部は、車体重量や作業性による大きな駆動力を要するため、それらを駆動させる電動モータには高圧電力が必要となり、バッテリーから車体全体に配設されている電動モータには、エンジンを主動力源としていた従来にはないほどの高圧電力が供給されている。
【0007】
そのため、例えば、車両が、湿田などで水に浸かり絶縁不良となったり、車体が障害物に衝突し、電動モータへ向かう配線が機台に接触するなどした場合、高圧電流の漏電により作業者が感電してしまう恐れを生じる。
【0008】
そこで、この発明の目的は、車両の漏電時における感電防止を図るとともに、漏電箇所を特定可能として、迅速に復旧作業できる安全性を向上させた電動作業車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、請求項1に記載の発明は、車両を構成する機台上にバッテリーを搭載し、 前記バッテリーは、前記車両に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記アクチュエータによって、前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動作業車両において、前記バッテリーを収容するバッテリーケースと、前記インバータを収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケースとを前記機台にアース接続するとともに、前記バッテリーのマイナス端子を、漏電抵抗を介して前記機台に接続したことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動作業車両において、前記バッテリーと、前記アクチュエータとは、前記インバータを介した電気回路を形成し、前記電気回路内には、漏電を検知する漏電検知回路を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1〜2に記載の電動作業車両において、前記電気回路内には、前記バッテリーからの供給電力の通電を遮断可能とするコンダクタを、前記バッテリー側に設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の電動作業車両において、前記漏電検知回路は、前記コンダクタによる前記バッテリーからの通電遮断後に、前記インバータの入力コンデンサから電力を得て、電圧を計測可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、車両を構成する機台上にバッテリーを搭載し、バッテリーは、車両に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、アクチュエータによって、車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動作業車両において、バッテリーを収容するバッテリーケースと、インバータを収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケースとを機台にアース接続するとともに、バッテリーのマイナス端子を、漏電抵抗を介して機台に接続したので、バッテリーからインバータや配線を介して車体に設けた各アクチュエータに、車体が障害物に衝突したり、絶縁不良などにより漏電した高圧電力が機台を介して作業者へ感電することを防止できる。従って、安全性を向上させた電動作業車両を提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、バッテリーと、アクチュエータとは、インバータを介した電気回路を形成し、電気回路内には、漏電を検知する漏電検知回路を設けたので、この漏電検知回路により電気回路内の電圧を常時測定し、漏電検知回路による電圧の検出結果に基づき、電圧が基準電圧より低下した場合に、コントローラが漏電を認識することで、漏電を迅速に検出することができる。従って、安全性を向上させた電動作業車両を提供することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、電気回路内には、バッテリーからの供給電力の通電を遮断可能とするコンダクタを、バッテリー側に設けたので、車体が障害物に衝突したり、絶縁不良などにより漏電した場合、コンダクタによって一時的にバッテリーからの電力供給を遮断するとともに、電動モータで駆動される各作業部の駆動を停止させて、感電の防止および安全の確保を行うことができる。従って、安全性を向上させた電動作業車両を提供することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、漏電検知回路は、コンダクタによるバッテリーからの通電遮断後に、インバータの入力コンデンサから電力を得て、電圧を計測可能としたので、漏電箇所が、バッテリー主配線側か、モータ動力配線側かを判断でき、漏電箇所を特定することで、迅速な対応処置を行うことができる。従って、安全性を向上させた電動作業車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る電動作業車両の一例としての電動コンバインを示した左側面図である。
【図2】電動コンバインの平面図。
【図3】穀稈搬送装置の左側面図である。
【図4】脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【図5】電動コンバインの動力伝達構成図である。
【図6】電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図である。
【図7】各ケースを機台を介してバッテリーのマイナス端子にアース接続した車両下部の左側面図である。
【図8】各ケースを機台を介してバッテリーのマイナス端子にアース接続した車両下部の正面図である。
【図9】アース接続を示す電動コンバインの概略的な電気回路図である。
【図10】漏電検知および電力供給遮断の回路を備える電動コンバインの概略的な電気回路図である。
【図11】コントローラによる電気回路の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1はこの発明の一例としての電動コンバインの右側面図、図2は電動コンバインの左側面図、図3は穀稈搬送装置の左側面図、図4は脱穀部および選別部の左側面模式図である。
【0019】
まず、電動コンバイン1は、図1〜3に示すように、左右一対の機体フレーム2に、左右一対のクローラ式走行装置である走行部3を装設し、これら左右機体フレーム2に機台4が架設される。また、機台4上には、引起機構8、刈刃9、収穫物搬送手段10などを備える刈取部7や、フィードチェーン18を機体左側に張架し、扱胴6を内蔵する脱穀装置である脱穀部5、排藁チェーン終端を臨ませる排藁処理部11、脱穀部5からの籾を、揚穀筒を介して搬入するグレンタンク12、このグレンタンク12の籾を機外に搬出する搬送部16としての排出オーガ13などが設置される。
【0020】
さらに、機体前部の機台4上には、ハンドル14や運転席15、および運転席15下方には、エンジン(原動機)Eや、後述する発電機DおよびバッテリーBなどが設けられており、これら構成により自脱型の電動コンバイン1が連続的に稲などの農作物を刈取って脱穀するように構成されている。
【0021】
そして、機台3の後部には、グレンタンク12内の籾を外部へ排出するための排出オーガ13の縦オーガ13aが立設されるとともに、この縦オーガ16aの上端部には横オーガ13bが連設されている。この縦オーガ13aを中心として、グレンタンク12が左右回動可能に設けられて、グレンタンク12の前側を外方に回転させて開放可能に構成されている。また、機台3の後部には、脱穀部5に連続して穀稈搬送装置17が内設されている。
【0022】
刈取部7で刈り取られた穀稈は、収穫物搬送手段10にて後部へ搬送され、収穫物搬送手段10の上端から株元側が穀稈搬送装置17のフィードチェーン18に受け継がれ、扱胴6の供給始端部を介して脱穀部5および選別部19からなる脱穀装置内に穀稈が搬送される。そして、フィードチェーン18後端には、排藁搬送チェーン20が配設され、この排藁搬送チェーン20後部下方には、カッター,結束機などからなる図示しない排藁処理部が形成され、排藁を切断して藁片にした後、拡散しながら圃場に均一放出し、或いは切断せずに放出するようにしている。
【0023】
脱穀部5は、コンバイン1の進行方向左側に配置され、脱穀部4の右側には選別後の精粒を貯留するグレンタンク12が配設されている。そして、グレンタンク12の前方には運転席15が配設されている。つまり、運転席15は、機体の進行方向右前部に配置されている。一方、グレンタンク12の後方には、排出オーガ13の縦オーガ13aが立設され、縦オーガ16を中心にして排出オーガ13およびグレンタンク12が側方へ回動可能とし、グレンタンク12を側方へ回動することにより機体内側のメンテナンスを容易にしている。
【0024】
そして、グレンタンク12の底部には、後述する排出コンベア12aが前後方向に配設され、該排出コンベアの後部が縦オーガ13aの下部に連通されるとともに、排出コンベア16後部から排出オーガ13に動力が伝達されて、横オーガ13bの先端よりトラックなどに、グレンタンク12内の穀粒を排出できるようにしている。さらに、脱穀部5の下方には、選別部19が配設され、脱穀部5から流下する穀粒や藁屑等から穀粒を選別し、精粒をグレンタンク12に搬送したり、藁屑などを機外に排出するようにしている。
【0025】
穀稈搬送装置17は、上述の脱穀部5において、刈り取った穀稈の一端(株元側)を挟扼しながら搬送するためのものであり、刈取部7で刈り取った穀稈を排藁搬送チェーン20まで搬送するフィードチェーン18と、フィードチェーン18上方に配設され、搬送されている穀稈を挟扼する挟扼杆21と、挟扼杆21を本機側に対して弾性支持する複数の弾性支持体22などとから構成されている。
【0026】
この穀稈搬送装置17においては、対向配置される挟扼杆21とフィードチェーン18とによって、刈取部7で刈り取った穀稈の株元側を挟扼し、扱室31内の扱胴6によって脱穀する構成となっており、この挟扼杆21とフィードチェーン18とが対向した部分を搬送経路としている。そして、脱穀部5にて脱粒された排藁は、フィードチェーン18の後端部(下流側端部)において、排藁搬送チェーン20へと受け継がれ、この排藁搬送チェーン20によって、前記排藁処理部へと搬送される。
【0027】
挟扼杆21は、ステー23などによって固設される支持杆24と、支持杆24に複数の弾性支持体22を介して弾性支持して設けられている。この挟扼杆21は、フィードチェーン18に沿うように左右平行状に一対の板状部材が配置された形状となっており、フィードチェーン18による搬送方向断面視逆U字状に形成されている。
【0028】
支持杆24は、中空の柱状部材であり、図示しない扱室カバー内の左側において前後方向に長く、挟扼杆21と並列的に配置されるように形成されている。そして、この支持杆24の側面には、一定間隔ごとに弾性支持体22が、その上部が支持されるとともに配設され、これら弾性支持体22の下部に挟扼杆21が弾性支持されている。この弾性支持体22の下部は、挟扼杆21に連結ピンで枢支されており、弾性支持体22の上部は支持杆24よりも上方に延出されている。
【0029】
次に、脱穀部5について説明する。図4に示すように、脱穀部5に形成された扱室31には、機体の前後方向に軸架された略円柱形状の扱胴6が設けられ、この扱胴6の外周面には複数の扱歯32が植設されている。そして、扱胴6の下部周辺を覆うように半円形状の受網33が着脱可能に周設されている。
【0030】
一方、フィードチェーン18により、穀桿の株元側が拘束されつつ、穀桿の先端側が扱胴6の下方に挿入されて穀稈が機体後方に搬送される。このとき、扱胴6の回転により脱粒が行われ、受網33から穀粒や藁屑等が漏下するようにしている。
【0031】
続いて、選別部19について説明する。選別部19は、揺動選別装置41による揺動選別と唐箕42による風選別とが行われ、一番物と二番物と藁屑等に分別される。
【0032】
揺動選別装置41は、機枠43内に収納される。揺動選別装置41の前端部は、扱胴6の前端部の下方まで延出され、揺動選別装置41前下部には図示せぬ揺動軸が設けられるとともに、後部には後述の揺動駆動機構44が設けられ、この揺動駆動機構44によって揺動選別装置41が機枠43に対して揺動するように構成されている。なお、揺動駆動機構44の後下方には燃料タンク(不図示)が配置されている。
【0033】
揺動選別装置41の前部には、流穀板45が設けられるとともに、この流穀板45の後下方に搬送板46が設けられる。これら流穀板45および搬送板46は、板状の部材を波形に成形したものであり、受網33を通過した処理物(穀粒および藁屑等との混合物)は、流穀板45および搬送板46上に落下し、揺動選別装置41の揺動により機体後方に搬送される。
【0034】
そして、搬送板46後部には、第二選別部である網状のグレンシーブ(篩分装置)47が連設されるとともに、このグレンシーブ47と搬送板46の上方、かつ流穀板45の後方には、第一選別部であるチャフシーブ48が被装されている。さらに、チャフシーブ48の後方には、ストローラック49が配設される。
【0035】
チャフシーブ48は、複数のチャフフィンから構成され、投入される処理物の量に応じてチャフフィンの開度を調節することを可能としている。すなわち、チャフフィンの上下一側端部が揺動選別装置41に枢支されて、チャフシーブ48左右両側に設けられた揺動板に枢結され、また、他側端部がチャフシーブ48の左右両側に設けられた不図示の摺動板に枢結されている。
【0036】
上記摺動板は、揺動選別装置41と一体的に揺動されるとともに、この摺動板には図示しない調節レバーが枢結されており、該調節レバーに連結された図示しないワイヤの弛緩又は牽引により、この摺動板が前後に摺動される。なお、前記調節レバーは、上述のワイヤと反対側に設けられた図示しないバネによって各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とする方向に付勢されている。
【0037】
そして、前記摺動板の摺動によりチャフフィンの角度が変更され、このチャフフィンの傾斜角を大(立てる)とさせるとき、チャフシーブ48の開度を大として穀粒の漏下量を増大させ、各チャフフィンの傾斜角を小(寝かせる)とさせるときチャフシーブ48の開度を小として穀粒の漏下量を減少させるように構成している。
【0038】
こうして、穀粒および細かい藁屑は、チャフシーブ48を通過して下方に落下し、チャフシーブ48の開口よりも大きい藁屑などは後方に搬送される。このとき、チャフシーブ48とグレンシーブ47との間には、唐箕42により選別部19の前方から後方への気流が発生しており、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて穀粒と分離される。
【0039】
この唐箕42は、揺動選別装置19における前流穀板45の後部下方かつ後流穀板46の前部下方に配置され、チャフシーブ48やグレンシーブ47に選別風を送風するようにしている。
【0040】
そして、揺動選別装置41の後端部近傍には、吸引ファン50が全幅に横設され、唐箕42から供給される選別風の流れに乗ってきた塵埃や脱穀時に発生する塵埃などを、吸引ファン50により吸引して機外へと排出するようにしている。
【0041】
選別部19内に投入され、前流穀板45上に漏下された穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、チャフシーブ48上に漏下される過程において、唐箕42により発生する選別部19の前方から後方への気流により、細かい藁屑の一部が後方へ吹き飛ばされる。
【0042】
そして、チャフシーブ48上に漏下した穀粒、枝梗付着粒、未熟穀粒および細かい藁屑などの混合物は、揺動選別装置41の揺動により、後方に搬送される、このとき、これら穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、チャフシーブ48の開口部より下方に落下し、大きい藁屑はチャフシーブ48の後方まで搬送され、ストローラック49を経て機外に排出される。
【0043】
また、チャフシーブ48の開口部より下方に落下した穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などは、後流穀板46およびグレンシーブ47上に漏下される。このときも唐箕42からの選別風により、細かい藁屑の一部は後方に吹き飛ばされて分離される。
【0044】
さらに、グレンシーブ47上に漏下された穀粒、未熟穀粒、枝梗付着粒および細かい藁屑などのうち、穀粒、未熟穀粒、細かい藁屑などは、グレンシーブ47を通過して下方に落下する。このとき、重量が大きい穀粒(一番)は一番回収部51に回収され、後述する一番コンベア51aから図示しない揚穀コンベアを経て、グレンタンク12に搬送される。
【0045】
一方、重量が小さい未熟穀粒や細かい藁屑の一部や穂切り粒や穀粒などが混じった未処理粒は、唐箕42からの選別風により後方に吹き飛ばされ、二番回収部52に回収され、後述する二番コンベア52aから図示しない二番還元コンベアを経て、前流穀板45上(またはチャフシーブ48上)に再投入される。
【0046】
次に、本願発明の電動コンバインの動力伝達構成について説明する。図5は電動コンバインの動力伝達構成図、図6は電動コンバインの各駆動系への動力伝達経路を示す模式図である。
【0047】
本願発明の電動コンバイン1は、走行部3および脱穀部5や刈取部7など複数の処理部からなる作業部61を構成した駆動系の駆動源を、電動モータM(アクチュエータ)とエンジン(原動機)Eとを併用し、作業部61の一部の駆動源を、エンジンEの動力にしたものである。
【0048】
図1にも示したように、車両左側部の、例えば、フィードチェーン18と、走行部3との間であって、車両前後方向の機台4上には、詳細を後述するバッテリーBが複数並設(図例では7個だが、設置数は限定されない)される。
【0049】
また、エンジンE近傍の機台4上には、エンジンEの図示しないクランク軸などに接続した発電機Dが設置されており、この発電機DはバッテリーBに接続されている。従って、エンジンEの動力により駆動させた発電機Dによって発電した比較的電圧の高い電力が、バッテリーBに充電され、後述する車両の駆動系の駆動源に用いられる。
【0050】
なお、エンジンEには、上述した発電機Dの他に、図示しない周知のオルタネータも設置されており、エンジンEの動力により駆動させたオルタネータによって発電した比較的電圧の低い電力が、別途設置した図示しないバッテリーを介して車両のライト、あるいはキャビンを装備する車両においてはエアコンなどの電源に用いられる。
【0051】
これらエンジンEおよび発電機Dを用いた電動コンバイン1の動力伝達構成は、図5に示すように、まず、エンジンEには、発電機Dおよび作業部61を構成する脱穀部5の扱胴6のみが接続される。そして、発電機Dには、バッテリーBが接続されている。
【0052】
また、バッテリーBには、車両の上記扱胴6以外の作業部61であって、刈取部7を駆動させる各駆動部に設置した、刈取部電動モータM1と、脱穀部5を駆動させる扱胴6以外の各駆動部に設置した脱穀部電動モータM2と、選別部19を駆動させる各駆動部に設置した選別部電動モータM3と、排藁処理部11を駆動させる各駆動部に設置した排藁処理部電動モータM4と、搬送部16を駆動させる各駆動部に設置した搬送部電動モータM5とが、それぞれインバータI1〜I5および図示しないドライバを介して接続されている。
【0053】
さらに、バッテリーBには、走行部3を駆動させる駆動部に、走行部電動モータM6が、インバータI6や図示しないドライバを介して接続されている。なお、各電動モータM1〜M6は、アクチュエータの例示であって、その構成は限定されない。
【0054】
つまり、作業部61には、エンジンEの動力により駆動(扱胴6)させる、原動機駆動部62と、バッテリーBの電力により各モータM1〜M5の動力により駆動させる、扱胴6を除いた脱穀部5を含むアクチュエータ駆動部63とを有する構成とされる。
【0055】
なお、これらバッテリーBは、例えば、車両進行方向の機体右側に配設したグレンタンク12とは左右対称位置の機体左側の機台4上に配設させてもよい。また、このバッテリーBは二次電池であり、リチウムイオン電池や、リチウムイオンポリマー電池、ニッケル・水素電池など適宜使用することができる。
【0056】
そして、これらエンジンEおよび各電動モータM1〜M6から各駆動系への動力伝達は、図6に示すように、まず、エンジン駆動部62においては、エンジンEの動力は、脱穀クラッチcおよび変速ギアgなどを介してVベルトvにより扱胴6の駆動軸6aに伝達され、扱胴6はエンジンEの動力により駆動する。
【0057】
一方、エンジンEの動力は、発電機Dも駆動させるため、この発電機Dにより発電した電力が、後述する各インバータI1〜I6に接続したバッテリーBに充電される。
【0058】
そして、刈取部7では、例えば、刈取部7全体を駆動させる刈取入力軸7aにインバータI1に接続した刈取部電動モータM1の出力軸を連結する。なお、刈取部7は、引起タインチェン64を備える穀稈引起装置65や、掻込ベルト66を備える穀稈搬送装置67、刈刃駆動ユニット68を有する刈刃装置69などからなる周知の構成であり、これら装置間にはベルトやギアなど周知の機械式伝達機構で動力を中継することができるが、この発明は上記に限定されず、例えば、刈取部7内における各装置を駆動する入力軸にそれぞれインバータを介して電動モータを設置してもよい。
【0059】
また、脱穀部5のフィードチェーン18を駆動する入力軸18aには、インバータI2に接続した脱穀部電動モータM2が連結されるとともに、選別部19における揺動選別装置41の揺動駆動機構44および唐箕42、揚穀コンベアに連動する一番コンベア51a、二番還元コンベアに連動する二番コンベア52aなどを駆動する各入力軸には、それぞれインバータI3を構成するインバータI3a,I3b,I3c,I3dに接続した選別部電動モータM3を構成する選別部電動モータM3a,M3b,M3c,M3dが連結される。
【0060】
また、排藁処理部11の排藁搬送チェーン20や吸引ファン50などを駆動する入力軸には、インバータI4を構成するインバータI4a,I4bに接続した脱穀部電動モータM4を構成する脱穀部電動モータM4a,M4bが連結されるとともに、搬送部16では、縦オーガ13aおよび横オーガ13bに連動する排出コンベア12aを駆動する入力軸に、インバータI5に接続した脱穀部電動モータM5が連結される。
【0061】
次に、本願発明の走行部3は、上述の図6に示すように、クローラ式走行装置における左右駆動スプロケット3a,3bに、インバータI6を構成するインバータI6a,I6bに接続した走行部電動モータM6を構成する走行部電動モータM6a,M6bが連結される。
【0062】
このような構成にすることで、エンジン動力を作業部61の一部の駆動源に限定して用いることで、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化できるとともに、走行部3は、エンジン動力を伝達する機械式の動力伝達部材を必要とせず、走行部3の構成を簡素化することができる。
【0063】
特に、車両の駆動系の中で最も出力を要する扱胴6のみをエンジン動力にすることで、大量の穀稈を扱歯に巻き付けたり、挟むなどして回転に大きな負荷がかかる扱胴6でも、円滑に回転駆動させることができるとともに、エンジンEを必要最小限の大きさに抑えて小型化し、排ガスの低減と燃費を向上させることができる。
【0064】
次に、本願発明の漏電に対する車両の安全機構について、その具体的構成を説明する。図7は各ケースを機台を介してバッテリーのマイナス端子にアース接続した車両下部の左側面図、図8は各ケースを機台を介してバッテリーのマイナス端子にアース接続した車両下部の正面図、図9はアース接続を示す電動コンバインの概略的な電気回路図である。
【0065】
上述してきたバッテリーBや、インバータI1〜I6およびこれらインバータI1〜I6の作動を制御するコントローラCなどを介して各電動モータM1〜M6には、従来にないほど多くの高圧電力が供給されているため、例えば、車両が、湿田などで水に浸かり絶縁不良となったり、車体が障害物に衝突し、電動モータM1〜M6へ向かう配線が機台2に接触するなどし、高圧電流が漏電した場合に、本願発明の電動コンバイン1では、作業者が感電しないよう、漏電防止手段が設けられている。
【0066】
この漏電防止手段は、図7〜8に示すように、まず、機体フレーム2を介して機台4の後部上に載置された複数のバッテリーB(図例では7個)を収納した金属製などのバッテリーケース101と、機台4とをアース線102でアース接続する。具体的には、例えば、バッテリーケース101から突設させたピンと、バッテリーケース101近傍の機台4から突設させたピンとをアース線102で接続する。なお、このアース線102は、例えば周知である黄銅をニッケルメッキ処理したものなどを用いることができる。
【0067】
次いで、機体内適宜位置(図例では機台4上)に設置された、後述のコントローラCを収納する金属製などの制御ケース103と、制御ケース103近傍の機台2とを上述同様に、それぞれに突設した図示しないピンを介してアース線102でアース接続する。
【0068】
さらに、例えば、機体内適宜位置(図例では機台4の前部上に載置)に設けた各インバータI1〜I6を収納するインバータケース104と、インバータケース104近傍の機台4とを上述同様に、それぞれに突設した図示しないピンを介してアース線102でアース接続する。
【0069】
そして、バッテリーケース101内における、例えば複数のバッテリーBのうち、適宜1個のバッテリーBのプラス端子を、コンダクタ106に接続し、バッテリーBのマイナス端子と、機台4との間には、漏電抵抗105(漏電検出手段)が接続され、バッテリーBのマイナス端子は、直接機台4とは接続しない。
【0070】
上述の電気回路100は、例えば図9に示すように、バッテリーBのプラス端子を、コンダクタ106およびインバータケース104内の各インバータI1〜I6を介して各電動モータM1〜M6に電気配線で接続する。
【0071】
そして、インバータケース104および制御ケース103が機台4にアース線102でアース接続される。なお、アース線102の接続先は機台4に限定されず、機体フレーム2などであってもよい。
【0072】
ここで、例えば、車両が、湿田などで水に浸かり絶縁不良となったり、車体が障害物に衝突などして、バッテリーケース101を介していずれかのバッテリーBから高圧電流が漏電、または、制御ケース103を介してコントローラCなどから高圧電流が漏電、あるいはインバータケース104を介していずれかのインバータI1〜I6から高圧電流が漏電した場合、漏電漏電抵抗105が発生する。
【0073】
次いで、これら漏電した高圧電流は、漏電漏電抵抗105を介して機台4(または機体フレーム2)に流れ込む。
【0074】
このような構成にすることで、バッテリーBやコントローラC、インバータI1〜I6から突発的に不慮の漏電が機体に生じた場合でも、その漏電した高圧電流は瞬時に電位が変化するため、作業者への高圧電流の漏電を検出することができる。
【0075】
さらに、本願発明の電動コンバイン1は、漏電により電動モータM1〜M6への電流供給を遮断するコンダクタを設けたものである。図10は漏電検知回路およびコンダクタを備える電動コンバインの概略的な電気回路図、図11はコントローラによる電気回路の制御ブロック図である。
【0076】
この場合の漏電防止手段を有する電気回路100´は、上述の図9に示す電気回路100に加えて、例えば図10に示すように、バッテリーB(各バッテリーBであっても全てのバッテリーBであってもよい)のプラス端子と、各インバータI1〜I6(インバータケース104)とを接続する電気配線の中途部には、バッテリーBに近い位置に周知のコンダクタ106および、プリチャージ回路107が接続される。なお、符号108はヒューズである。
【0077】
プリチャージ回路107は、コンダクタ106およびインバータケース104間に設けられた、それぞれ周知のコンデンサ109、抵抗器110、電磁スイッチ111、レギュレータとしてのバッテリーb(例えば12V低電圧用)および電圧計112から構成される。なお、これらコンデンサ109、電磁スイッチ111、電圧計112は、図11に示すように、それぞれ制御ケース103内のコントローラCに接続されている。なお、制御ケース103の電源は、バッテリーbから取ることができる。そして、電圧計112を中心とした漏電検知回路112が構成される。
【0078】
また、プリチャージ回路107においても、例えばバッテリーbおよび電圧計112間の電気配線を、機台4などにアース線102でアース接続しておく。なお、このプリチャージ回路107は、電動コンバイン1の電源投入時(スタートスイッチON)に、コンデンサ109に電荷を溜めるために抵抗110と電磁スイッチ111に先に電流を流して、ある程度チャージ(電圧レベルが上昇)したら、コンダクタ106をONにしてメイン回路電源を接続する、電源投入時の過電流防止(コンダクタの溶着防止)を目的とするものである。
【0079】
まず、漏電検知回路112では、電圧計112がバッテリーbを基準電源とし、常時漏電検知回路112内の電圧(測定箇所107)を測定し、その検知電圧を基準電圧、閾値としてコントローラCに送信する。ここで、電気回路100´内に漏電が生じた場合には、その漏電した回路間に抵抗が生じるため、電気回路100´内および漏電検知回路112内の電圧は分圧される結果、漏電検知回路112の電圧計112による検知電圧が低下する。
【0080】
このとき、コントローラCは、電圧計112から送信されてきた漏電時の検知電圧 が、閾値と比較して下がっている場合には、電気回路100´内で漏電が生じているものと判断し、コンダクタ106を開放する。
【0081】
このコンダクタ106の開放により、バッテリーBからの電気回路100´内への電流供給は、コンダクタ106で遮断される。この結果、電動モータMで駆動される各作業部の駆動を停止させて、安全の確保を行うことができる。一方、コンダクタ106から下流の電気回路100´内へは、コンデンサ109に蓄えられた電力から下流の電流回路100´内に供給される。
【0082】
そして、電圧計112が、上述同様にバッテリーbを基準電源とし、コンダクタ106から下流の回路100´内における漏電検知回路112内の電圧を測定し、その検知電圧をコントローラCに送信する。
【0083】
上述同様に、コンダクタ106より下流の電気回路100´内に漏電が生じた場合には、その漏電した回路間に抵抗が生じるため、コンダクタ106より下流の電気回路100´内および漏電検知回路112内の電圧は分圧される結果、漏電検知回路112内の電圧計112による検知電圧が低下する。
【0084】
そこで、コントローラCは、このコンダクタ106から下流の回路100´内における漏電検知回路112内の測定した電圧値を、上述の閾値と比較し、両者が同じ場合には、コンダクタ106から下流の回路100´内では漏電が生じていないものと判断し、電気回路100´全体内の漏電箇所を、バッテリーB主配線側であるバッテリーBからコンダクタ106までの間と特定する。なお、コントローラCは、上記漏電箇所を図示しない警報装置で周囲に知らせてもよい。
【0085】
一方、測定した電圧値が閾値よりも低い場合には、コントローラCは、コンダクタ106から下流の回路100´内で漏電が発生しているものと判断し、電気回路100´全体内の漏電箇所を、電動モータ動力線側であるコンダクタ106から下流の回路100´内と特定する。なお、同様にコントローラCは、上記漏電箇所を図示しない警報装置で周囲に知らせてもよい。
【0086】
このような構成により、電気回路100´内で漏電を生じた場合、漏電検知回路112およびコントローラCが、その漏電の発生を判断でき、コンダクタ106の遮断により電気回路100´内への通電を遮断するため、作業者の感電を防止することができる。そして、漏電検知回路112およびコントローラCが、漏電箇所をバッテリー主配線側あるいは電動モータ動力線側かを特定することで、作業者は漏電箇所を回路100´内全てに亘って探す必要がなく、作業者により迅速に漏電箇所のメンテナンスを行うことができる。
【0087】
なお、コントローラCは、漏電箇所のメンテナンスが終了し、例えば作業者がリセットスイッチ(あるいはコンダクタ106および電磁スイッチ111)を操作して、電磁スイッチ111によるプリチャージからコンダクタ106を閉じることで、バッテリーBの電流がインバータIや電動モータMを含む電気回路100´全体内に供給再開される。
【0088】
以上詳述したように、この例の電動コンバイン(電動作業車両)1は、車両を構成する機台4上に搭載したバッテリーBから、車両に設けたインバータI1〜I6を介してアクチュエータM1〜M6に電力を供給するとともに、これらアクチュエータM1〜M6によって、車両の走行部3と、複数の処理部からなる作業部61とを駆動し、バッテリーBを収容するバッテリーケース101と、インバータI1〜I6を収容するインバータケース104と、コントローラCを内装する制御ケース103とを機台4にアース接続するとともに、バッテリーBのマイナス端子と、機台4との間に漏電抵抗105(漏電検知手段)を設けたものである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
なお、この発明は、車両に搭載したバッテリーからの供給電力により駆動するアクチュエータを車両の駆動源に用いたあらゆる電動作業車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
2 機体フレーム
4 機台
100,100´ 電気回路図
101 バッテリーケース
102 アース線
103 制御ケース
104 インバータケース
105 漏電抵抗
106 コンダクタ
107 漏電検知回路
109 コンデンサ
110 抵抗器
111 電磁スイッチ
112 電圧計
B,b バッテリー
C コントローラ
M1〜M6 アクチュエータ(電動モータ)
I1〜I6 インバータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を構成する機台上にバッテリーを搭載し、
前記バッテリーは、前記車両に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記アクチュエータによって、前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動作業車両において、
前記バッテリーを収容するバッテリーケースと、前記インバータを収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケースとを前記機台にアース接続するとともに、前記バッテリーのマイナス端子を、漏電抵抗を介して前記機台に接続したことを特徴とする電動作業車両。
【請求項2】
前記バッテリーと、前記アクチュエータとは、前記インバータを介した電気回路を形成し、前記電気回路内には、漏電を検知する漏電検知回路を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の電動作業車両。
【請求項3】
前記電気回路内には、前記バッテリーからの供給電力の通電を遮断可能とするコンダクタを、前記バッテリー側に設けたことを特徴とする、請求項1〜2に記載の電動作業車両。
【請求項4】
前記漏電検知回路は、前記コンダクタによる前記バッテリーからの通電遮断後に、前記インバータの入力コンデンサから電力を得て、電圧を計測可能としたことを特徴とする、請求項1〜3に記載の電動作業車両。
【請求項1】
車両を構成する機台上にバッテリーを搭載し、
前記バッテリーは、前記車両に設けたインバータを介してアクチュエータに電力を供給するとともに、前記アクチュエータによって、前記車両の走行部と、複数の処理部からなる作業部とを駆動する電動作業車両において、
前記バッテリーを収容するバッテリーケースと、前記インバータを収容するインバータケースと、コントローラを内装する制御ケースとを前記機台にアース接続するとともに、前記バッテリーのマイナス端子を、漏電抵抗を介して前記機台に接続したことを特徴とする電動作業車両。
【請求項2】
前記バッテリーと、前記アクチュエータとは、前記インバータを介した電気回路を形成し、前記電気回路内には、漏電を検知する漏電検知回路を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の電動作業車両。
【請求項3】
前記電気回路内には、前記バッテリーからの供給電力の通電を遮断可能とするコンダクタを、前記バッテリー側に設けたことを特徴とする、請求項1〜2に記載の電動作業車両。
【請求項4】
前記漏電検知回路は、前記コンダクタによる前記バッテリーからの通電遮断後に、前記インバータの入力コンデンサから電力を得て、電圧を計測可能としたことを特徴とする、請求項1〜3に記載の電動作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−13185(P2013−13185A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143049(P2011−143049)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]