説明

電動工具のスイッチ装置

【課題】電動工具において、操作性が良く、視認性、防塵性および質感が低下しないスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置13は、内部に電気接点を備え、かつ該電気接点を切替えるため切替部材回動軸13cを中心として回動する切替部材13aを備えたスイッチ本体13bと、軟質弾性材料からなり、少なくとも切替部材13aを覆うカバー14と、硬質材料からなり、少なくともカバー14を覆う形状に成形されたスイッチ操作部材15とを有して構成されている。スイッチ操作部材15は、ヘッド部12の壁面12aから外部に突出して取付けられており、スイッチ操作部材回動軸16を中心に回動することで、カバー14と共に切替部材13aを押下し、電気接点を切替えるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具のスイッチ装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電動工具としては、例えば、特許文献1のものが公知である。以下に従来の集塵機の構成の概要を説明する。
【0003】
集塵機の本体は、図5の如く、吸引した粉塵等を溜めるためのタンク部51と、モータ等を収納し、タンク部51に着脱可能なヘッド部52と、ヘッド部52に設けられモータを制御するためのスイッチ53が設けられている。
【0004】
スイッチ53は、図6の如く、スイッチ操作部材53aとフランジ部53bを備え、それらはヘッド部52の外壁52aから外部に突出するようにヘッド部52の外壁52aに固定されている。ヘッド部52の外壁52aから外部に突出したスイッチ操作部材53aとフランジ部53bは、スイッチ操作部材53aを目視できるように透明であり、かつ弾性材料からなるカバー54に覆われている。カバー54は、箱形状をしており、箱形状の一面には全周に端部54aを残して開口が設けられている。カバー54は、端部54aをフランジ部53bとヘッド部52の外壁により挟持されることで固定されており、スイッチ操作部材53aとフランジ部53bへの塵および液体の進入に対する防塵性が保たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−74097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような集塵機では、操作者がスイッチ53を操作する場合、すなわち、スイッチ操作部材53aを押す場合、透明の弾性材料からなるカバー54を変形させながら押すことになるため、強く押す必要があり、操作性が悪かった。また、操作者がスイッチ53を操作する場合、操作者は、スイッチ操作部材53aの表面に表示された記号を確認する必要があるが、カバー54を通して確認するため、カバー54表面の反射光により視認性が悪かった。
【0007】
さらに、カバー54は、透明の弾性材料からなるため、耐候性が低く、UV光による劣化が進むと、操作時の変形や物品の衝突により破損や亀裂が発生していた。破損や亀裂が発生すると、防塵性の低下により、塵および液体がスイッチ操作部材53aとフランジ部53bに到達し、スイッチ53内部に侵入することで不具合を引き起こしていた。さらに、劣化によるカバー54の変色で透明性が低下することにより、スイッチ操作部材53aの視認性の更なる低下および質感の低下が問題となっていた。
【0008】
それゆえに本発明は上記問題を解決するためになされたもので、その目的は、操作性が良く、視認性、防塵性および質感が低下しない電動工具のスイッチ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るスイッチ装置は、内部に電気接点を備え、かつ該電気接点を切替えるための切替部材を備えたスイッチ本体と、軟質弾性材料からなり、少なくとも該切替部材を覆うカバーと、硬質材料からなり、少なくとも該カバーを覆う形状に成形されており、該カバーと共に該切替部材を押下することで該電気接点を切替えるスイッチ操作部材とを備えたものである。
【0010】
また、該切替部材は切替部材回動軸を中心として回動し、該スイッチ操作部材はスイッチ操作部材回動軸を中心として回動し、該切替部材回動軸の中心軸と該スイッチ操作部材回動軸の中心軸は一致するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作性および操作感が良く、視認性、防塵性および質感が低下しない電動工具のスイッチ装置を提供することができる。
【0012】
また、本発明によれば、スイッチ装置全体がコンパクトになり、狭い場所にも設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明における集塵機の実施形態を示す概観図。
【図2】図1の要部拡大断面図。
【図3】図1の要部拡大断面図。
【図4】図1の要部拡大断面図。
【図5】従来の集塵機を示す概略正面図。
【図6】図5の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の集塵機の実施形態について図1〜図4を参酌しつつ説明する。図1は本発明における集塵機の実施形態を示す概観図、図2〜図4は図1に示す集塵機の要部拡大断面図である。
【0015】
図1〜図4において示されるように、集塵機は、図示しない駆動源であるモータおよび該モータによって回転される集塵ファンを内部に収容するヘッド部12と、ヘッド部12に設けられ、かつ前記モータを制御するためのスイッチ装置13と、スイッチ装置13を有するヘッド部12の下方に位置し、かつ前記集塵ファンにより搬送される粉塵を収納するためのタンク部11と、タンク部11に図示しないダクトホースを接続するための接続部11aを備えている。スイッチ装置13は、内部に電気接点を備え、かつ該電気接点を切替えるため切替部材回動軸13cを中心として回動する切替部材13aを備えたスイッチ本体13bと、軟質弾性材料(NBR等)からなり、少なくとも切替部材13aを覆うカバー14と、硬質材料(ABS等)からなり、少なくともカバー14を覆う形状に成形されたスイッチ操作部材15とを有して構成されている。スイッチ操作部材15は、ヘッド部12の壁面12aから外部に突出して取付けられており、スイッチ操作部材回動軸16を中心に回動することで、カバー14と共に切替部材13aを押下し、電気接点を切替えるようになっている。
なお、切替部材回動軸13cはスイッチ本体13b内部に設けられており、切替部材回動軸13cの中心軸とスイッチ操作部材回動軸16の中心軸とは一致している。
【0016】
スイッチ操作部材15は、スイッチ操作部材回動軸16を中心に所定角度両方向に回動し、第一の方向の回動では切替部材13aを介して電気接点は閉じ、第2の方向の回動では切替部材13aを介して電気接点は開くこととなる。
【0017】
上記構成により、操作者がスイッチ装置13のスイッチ操作部材15を押下すると、スイッチ操作部材15は第一の方向にスイッチ操作部材回動軸16を中心に回動し、カバー14と共に切替部材13aが押下げられ、切替部材13aを介して電気接点を閉じることになる。電気接点を閉じることでモータが起動し、集塵ファンが回転することになり、タンク部11を介してダクトホース内に吸引力発生する。粉塵等はこの吸引力により吸引され、ダクトホースを介してタンク部11内に搬送される。
【0018】
本実施形態においては、操作者がスイッチ装置13のスイッチ操作部材15を直接操作できるので、操作性および操作感が低下することがなく、また、スイッチ操作部材15を直接目視できるので視認性が良く、また視認性が低下することもない。
また、カバー14においては、その外部をスイッチ操作部材15が覆っているため、UV光による劣化がなく、よって劣化に起因する亀裂および破損の発生がなく、防塵性が維持される。さらに、カバー14の材質選定においては、耐候性、特に耐UV性が低い軟質弾性材料も選択可能となり、また透明性が必要ないため、さらに材料の選択肢が広がる。すなわち廉価な材料を選定することが可能となる。
【0019】
さらに、切替部材回動軸13cの中心軸とスイッチ操作部材回動軸16の中心軸を一致させたことにより、スイッチ操作部材15を操作した際、カバー14がスイッチ操作部材15と切替部材13aにより擦られることがないためカバー14の磨耗が防止でき、しいては、スイッチ装置13の防塵性を長年に渡って維持できる。
また、切替部材回動軸13cの中心軸とスイッチ操作部材回動軸16の中心軸を一致させたことにより、スイッチ装置全体がコンパクトになり、狭い場所にも設置することができる。
【0020】
本発明に係る電動工具のスイッチ装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、上述した実施形態において電動工具は集塵機であったが、これに限定されない。塵芥および液体の飛散下、および太陽光の照射下等劣悪な環境化で使用される電動工具に適用してもよい。
【符号の説明】
【0021】
11 タンク部、12 接続部、12a 外壁、13 スイッチ装置、13a 切替部材、13b スイッチ本体、13c 切替部材回動軸、14 カバー、15 スイッチ操作部材、16 スイッチ操作部材回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源であるモータを制御するための電動工具のスイッチ装置において、
該スイッチ装置は、内部に電気接点を備え、かつ該電気接点を切替えるための切替部材を備えたスイッチ本体と、
軟質弾性材料からなり、少なくとも該切替部材を覆うカバーと、
硬質材料からなり、少なくとも該カバーを覆う形状に成形されており、該カバーと共に該切替部材を押下することで該電気接点を切替えるスイッチ操作部材と、
を備えることを特徴とする電動工具のスイッチ装置。
【請求項2】
該切替部材は切替部材回動軸を中心として回動し、
該スイッチ操作部材はスイッチ操作部材回動軸を中心として回動し、
該切替部材回動軸の中心軸と該スイッチ操作部材回動軸の中心軸は一致するように構成されている請求項1記載の電動工具のスイッチ装置。
【請求項3】
該電動工具は、集塵機である請求項1又は請求項2記載の電動工具のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−228172(P2011−228172A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97978(P2010−97978)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000006943)リョービ株式会社 (471)
【Fターム(参考)】