説明

電動操作型油圧アクチュエータユニット及び油圧四輪駆動作業車輌

【課題】電動モータによる容積調整機構の作動を許容しつつ、容積調整機構や油圧アクチュエータに加わった外力によって油圧アクチュエータの容積が意に反して変化するのを防止できる電動操作型油圧アクチュエータユニット及び油圧四輪駆動作業車輌を提供する。
【解決手段】電動モータにより軸線周りに回転される駆動側アーム361と、駆動側アームよって軸線周りに回転され且つ容積調整機構に作動連結された従動側アーム363と、前記両アームを囲繞するクラッチケース362と、駆動側アームにより従動側アームとともに軸線周りに回転されるようにクラッチケースに収容されたコンタクト部材364とを有し、電動モータの出力停止時に容積調整機構からの力により従動側アームが軸線周りに押圧されると従動側アームがコンタクト部材をクラッチケースに押し付けて従動側アームの回転がロックされるクラッチ機構を容積調整機構と電動モータとの間に介挿した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変容積型油圧アクチュエータと、前記可変容積型油圧アクチュエータの容積調整機構を作動させる操作力を発生する電動モータと、前記電動モータの作動制御を司る制御装置とを備えた電動操作型油圧アクチュエータユニット、及び、該油圧アクチュエータユニットを搭載する油圧四輪駆動作業車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧モータや油圧ポンプなどの油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータの容積を変更する容積調整機構とを備えた可変容積型油圧アクチュエータユニットにおいて、前記容積調整機構を作動させる操作力を電動モータで生成するように構成されているものがある。
【0003】
この種の可変容積型油圧アクチュエータユニットにおいては、前記油圧アクチュエータの現在の容積(以下、現在容積という)と目標の容積(以下、目標容積という)との偏差に基づき電動モータを作動させて前記現在容積を前記目標容積に一致させ、その一致した状態を維持するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−322360号公報
【特許文献2】特開昭62−237165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記容積調整機構は、常時、作動油圧によって中立側に付勢されている。さらに、前記容積調整機構を中立側に付勢する中立付勢機構が可変容積型油圧アクチュエータユニットに備えられている場合もある。このように、前記容積調整機構には中立側への付勢力が外力として加わる。また、前記付勢力以外にも、何らかの要因によって中立側への外力が前記容積調整機構や油圧アクチュエータに加わることも考えられる。
【0006】
このような外力が前記容積調整機構に加わると、前記油圧アクチュエータの容積が意に反して目標容積からずれるという不都合が生じる。したがって、該不都合の発生を防止して前記油圧アクチュエータの容積が目標容積に一致した状態を維持するため、前記外力に対抗できる力(以下、対抗力という)が必要となる。
【0007】
前記対抗力を得る手段として、前記油圧アクチュエータの容積が目標容積に一致した後も電動モータに所要の電力を供給し続ける手段と、電動モータへの電力供給を停止して電動モータの慣性力(内部抵抗)を前記対抗力として得る手段とが考えられる。
【0008】
しかしながら、前者の手段を採用すると、大きな電力を消費することとなり、また、電動モータの発熱によって異常動作や故障等が発生する虞もある。
【0009】
一方、後者の手段を採用すると、前記慣性力を超える外力が前記容積調整機構に加わった場合は、依然として前記不都合が生じることとなる。
【0010】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みてなされたものであり、電動モータによる容積調整機構の作動を許容しつつ、容積調整機構や油圧アクチュエータに加わる外力によって油圧アクチュエータの容積が意に反して変化するのを防止することができる電動操作型油圧アクチュエータユニット及び油圧四輪駆動作業車輌を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、可変容積型油圧アクチュエータと、前記可変容積型油圧アクチュエータの容積調整機構を作動させる操作力を発生する電動モータと、前記電動モータの駆動制御を司る制御装置とを備えた電動操作型油圧アクチュエータユニットであって、前記容積調整機構と前記電動モータとの間に介挿されたクラッチ機構を備え、前記クラッチ機構は、前記電動モータからの回転動力によってクラッチ基準軸周りに回転される駆動側部材と、前記駆動側部材によって前記クラッチ基準軸周りに回転され且つ前記容積調整機構に作動連結された従動側部材と、前記駆動側部材及び前記従動側部材を囲繞するクラッチケースと、前記駆動側部材によって前記従動側部材とともに前記クラッチ基準軸周りに回転されるように前記クラッチケースに収容されたコンタクト部材とを有し、前記電動モータの出力停止時に前記容積調整機構からの力によって前記従動側部材が前記クラッチ基準軸周りに押圧されると前記従動側部材が前記コンタクト部材を前記クラッチケースに向けて押し付けることで前記従動側部材の回転がロックされ、これにより前記従動側部材から前記駆動側部材への回転動力の伝達が防止されるように構成され、前記制御装置は、前記電動モータに予め定められた周期の駆動信号を出力する駆動信号出力部と、前記駆動信号出力部に出力させる駆動信号のデューティを設定するデューティ設定部とを備え、前記デューティ設定部は、前記容積調整機構を中立側に作動させる必要が生じたとき、前記中立側への作動の開始時を起点とする予め定められた時間の中立側始動期間に前記電動モータへ出力すべき第1駆動信号のデューティと、前記中立側始動期間後の中立側通常作動期間に前記電動モータへ出力すべき第2駆動信号のデューティとを設定し、前記容積調整機構を高容積側に作動させる必要が生じたとき、前記高容積側への作動の開始時を起点とする予め定められた時間の高容積側始動期間に前記電動モータへ出力すべき第3駆動信号のデューティと、前記高容積側始動期間後の高容積側通常作動期間に前記電動モータへ出力すべき第4駆動信号のデューティとを設定するものであって、前記第1及び第4駆動信号のデューティが前記第2駆動信号のデューティより大きくなり、前記第3駆動信号のデューティが前記第4の駆動信号のデューティより大きくなり、前記高容積側始動期間に出力される前記第3駆動信号のオン時間の積算値が、前記中立側始動期間に出力される第1駆動信号のオン時間の積算値より大きくなるように、前記第1乃至第4駆動信号のデューティを設定するものである。
【0012】
この発明によれば、前記容積調整機構に作動連結された従動側部材が前記駆動側部材によって前記クラッチ基準軸周りに回転されるようにしたので、電動モータによる容積調整機構の作動が許容される。
【0013】
また、前記電動モータの出力停止時に前記容積調整機構からの力によって前記従動側部材が前記クラッチ基準軸周りに押圧されると前記従動側部材が前記コンタクト部材を前記クラッチケースに向けて押し付けることで前記従動側部材の回転がロックされることにより前記従動側部材から前記駆動側部材への回転動力の伝達が防止されるように構成したので、前記容積調整機構に加わる中立側への外力や前記可変容積型油圧アクチュエータに加わる可能性のある中立側への外力によって、油圧アクチュエータの容積が意に反して変化するのを防止することができる。
【0014】
これに加えて、本発明では、前記可変容積型油圧アクチュエータの容積が目標容積となるまで前記容積調整機構を中立側へ作動させるための電動モータの作動期間と、前記容積調整機構を高容積側へ作動させるための電動モータの作動期間とのそれぞれについて、停止状態から動かし始める際の始動期間と前記始動期間後の通常作動期間とに分け、前記期間ごとに前記電動モータの作動を制御するようにしたので、前記容積調整機構を適切に作動させることができる。
【0015】
すなわち、本発明では、前記容積調整機構が中立側に付勢されている点を考慮して、高容積側通常作動期間に出力される第4駆動信号のデューティを、中立側通常作動期間に出力される第2駆動信号のデューティより大きく設定したので、前記容積調整機構を高容積側に駆動する場合に、仮に前記中立側通常作動期間に出力される第2駆動信号のデューティと同じデューティの駆動信号を高容積側通常作動期間にも電動モータへ出力することにより前記高容積側通常作動期間で前記容積調整機構に付与すべき操作力が不足するのを防止することができる。
【0016】
また、本発明では、前述のとおり、前記電動モータの出力停止時に前記容積調整機構からの力によって前記従動側部材の回転がロックされるため、容積調整機構を作動させる際には、前記ロックを解除する必要がある。
【0017】
この点を考慮して、本発明では、前記始動期間に出力される駆動信号のデューティを、通常作動期間に出力される駆動信号のデューティより大きく設定した。
【0018】
具体的には、容積調整機構を中立側に作動させる場合、中立側始動期間に出力される第1駆動信号のデューティを、中立側通常作動期間に出力される第2駆動信号のデューティより大きく設定し、また、容積調整機構を高容積側に作動させる場合、高容積側始動期間に出力される第3駆動信号のデューティを、高容積側通常作動期間に出力される第4駆動信号のデューティより大きく設定した。
【0019】
更に、前述したように、容積調整機構を高容積側に作動させる場合には、容積調整機構を中立側に作動させる場合に比して、前記容積調整機構に働く中立側への付勢力の分だけ作動トルクが余計に必要となる。これは、前記ロックを解除するときも同様である。
【0020】
この点を考慮して、本発明では、前記高容積側始動期間に出力される第3駆動信号のオン時間の積算値を、前記中立側始動期間に出力される第1駆動信号のオン時間の積算値より大きく設定した。これにより、容積調整機構を中立側及び高容積側に作動させる際の前記ロック解除に必要な作動トルクが確実に得られ、もって前記ロックを確実に解除することができる。
【0021】
前記高容積側始動期間に出力される第3駆動信号のオン時間の積算値を、前記中立側始動期間に出力される第1駆動信号のオン時間の積算値より大きく設定する形態としては、例えば請求項2に記載の発明のように、前記高容積側始動期間を、前記中立側始動期間より長い時間を有する期間とし、前記第1駆動信号のデューティ以上のデューティを前記第3駆動信号のデューティとして設定する形態が想定される。
【0022】
この他、例えば請求項3に記載の発明のように、前記高容積側始動期間を、前記中立側始動期間と同一の時間を有する期間とし、前記第1駆動信号のデューティより大きなデューティを前記第3駆動信号のデューティとして設定する形態も想定される。
【0023】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニットにおいて、前記可変容積型油圧アクチュエータの現在の容積を検出する現在容積検出部と、前記可変容積型油圧アクチュエータの目標の容積を検出する目標容積検出部と、前記現在容積検出部により検出された現在の容積と前記目標容積検出部により検出された目標の容積との偏差を算出する偏差算出部とを備え、前記デューティ設定部は、前記偏差算出部により算出された偏差に基づいて、前記容積調整機構を作動させるべき方向が高容積側であるか中立側であるかを判断し、その判断結果に応じて前記第1及び第2駆動信号のデューティ又は第3及び第4駆動信号のデューティのいずれか一方を設定するものである。
【0024】
この発明によれば、前記容積調整機構を作動させるべき方向が高容積側であるか中立側であるか、延いては、前記第1及び第2駆動信号のデューティと第3及び第4駆動信号のデューティとのうちデューティを設定すべき方を適切に決定することができる。
【0025】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニットにおいて、前記デューティ設定部は、前記第1乃至第4駆動信号についてそれぞれ予め設定されたデューティの初期値を基準デューティとして予め記憶する基準デューティ記憶部と、前記基準デューティを前記偏差算出部により算出された偏差に応じて補正するための補正値を予め記憶する補正値記憶部と、前記偏差算出部により偏差が算出されると、その偏差に対応する補正値を前記補正値記憶部から読み出し、前記各期間のうち現在の期間に対応する基準デューティを、読み出した補正値を用いて補正する第1デューティ補正部とを更に備えるものである。
【0026】
この発明によれば、前記偏差算出部により算出される偏差に応じた補正値を用いて、前記各期間のうち現在の期間に対応する基準デューティを補正する第1デューティ補正部を備えたので、前記補正値を適宜設定することにより、前記偏差に応じた電動モータの作動トルクを適宜設定することができる。ひいては前記可変容積型油圧アクチュエータの容積を目標の容積に一致するまでに要する時間を適宜変更することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニットにおいて、前記補正値は、前記偏差算出部により算出される偏差が大きいほど大きな値を有するものとされているものである。
【0028】
この発明によれば、前記補正値は、前記偏差算出部により算出される偏差が大きいほど大きな値を有するものとすることで、前記偏差が大きいほど電動モータの作動トルクを大きくすることができ、前記偏差に応じた基準デューティの補正を行わない場合に比して、前記可変容積型油圧アクチュエータの現在の容積を速やかに目標の容積に一致させることが可能となる。
【0029】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニットにおいて、前記デューティ設定部は、前記電動モータの電力源となるバッテリーの電圧に応じて、前記第1デューティ補正部による補正後のデューティを補正する第2デューティ補正部を更に備えるものである。
【0030】
前記バッテリーの電圧が変化すると、前記電動モータに出力される前記第1乃至第4駆動信号の電圧も変化し、その結果、電動モータに供給される電力が変化する。
【0031】
このように電動モータに供給される電力が変化すると、前記第1乃至第4駆動信号のデューティを適切に設定したとしても、電動モータの作動トルクが変化して、すなわち前記作動トルクが過大となったり過小となったりして、前記可変容積型油圧アクチュエータの容積を目標の容積に一致させることができなくなる。
【0032】
そこで、本発明のように、バッテリーの電圧に応じて前記第1デューティ補正部による補正後のデューティを補正する、具体的には、請求項8に記載の発明のように、前記バッテリーの電圧の増大に比例して前記デューティを小さくする補正を行うことで、前記のような不具合を防止することができる。
【0033】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至4の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニットにおいて、前記デューティ設定部は、前記第1乃至第4駆動信号についてそれぞれ予め設定されたデューティの初期値を基準デューティとして予め記憶する基準デューティ記憶部と、前記電動モータの電力源となるバッテリーの電圧に応じて、前記第1乃至第4駆動信号のうち現在の期間で出力すべき駆動信号についての基準デューティを補正する基準デューティ補正部を更に備えるものである。
【0034】
この発明によれば、前記バッテリーの電圧が変化すると、前記電動モータに出力される前記第1乃至第4駆動信号の電圧も変化し、その結果、電動モータに供給される電力が変化する。
【0035】
このように電動モータに供給される電力が変化すると、前記第1乃至第4駆動信号のデューティを適切に設定したとしても、電動モータの作動トルクが変化して、すなわち前記作動トルクが過大となったり過小となったりして、前記可変容積型油圧アクチュエータの容積を目標容積に一致させることができなくなる。
【0036】
そこで、本発明のように、バッテリーの電圧に応じて、前記第1乃至第4駆動信号のうち現在の期間で出力すべき駆動信号についての基準デューティを補正する、具体的には、請求項10に記載の発明のように、前記バッテリーの電圧の増大に比例して前記デューティを小さくする補正を行うことで、前記のような不具合を防止することができる。
【0037】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニットにおいて、前記駆動側部材は、前記クラッチ基準軸の軸線を基準にして周方向を向く側面が前記従動側部材及び前記コンタクト部材の双方における周方向を向く側面を周方向に押圧し得るように構成され、前記クラッチ基準軸の軸線に沿って視た際に、前記軸線位置から前記従動側部材の径方向外方を向く外端面は、前記軸線位置までの距離が前記コンタクト部材から前記軸線位置までの距離Lより小さい周方向中心部と前記距離Lより大きい周方向外側部とを有するものである。
【0038】
この発明によれば、前記従動側部材の前記外端面が、前記軸線位置までの距離が前記コンタクト部材から前記軸線位置までの距離Lより小さい周方向中心部と前記距離Lより大きい周方向外側部とを有するように前記従動側部材を構成したので、前記従動側部材の前記周方向中心部が前記コンタクト部材に正対する位置を基準(揺動中心)として前記従動側部材を前記クラッチ基準軸周りに回転可能にすることで、前記従動側部材とコンタクト部材とが前記駆動側部材によって前記クラッチ基準軸周りに回転され、且つ、前記電動モータの出力停止時に前記容積調整機構からの力によって前記従動側部材が前記クラッチ基準軸周りに押圧され前記従動側部材が前記コンタクト部材を前記クラッチケースに向けて押し付けて前記従動側部材の回転がロックされる構成を実現することができる。
【0039】
請求項12に記載の発明は、車輌フレームと、前記車輌フレームに支持された駆動源と、前記車輌フレームの前後方向一方側及び他方側に支持された第1及び第2車輪と、前記駆動源によって作動的に駆動される油圧ポンプユニットと、前記油圧ポンプユニットに流体接続され且つ前記第1及び第2車輪を作動的に駆動する第1及び第2油圧モータユニットとを備え、前記第1車輪を作動的に駆動する第1油圧モータユニットは請求項1乃至11の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニットである油圧四輪駆動作業車輌である。
【0040】
この発明によれば、油圧四輪駆動作業車輌において、請求項1乃至11の何れか一項に記載の作用が得られる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、電動モータによる容積調整機構の作動を許容しつつ、前記容積調整機構に加わる中立側への外力や前記可変容積型油圧アクチュエータに加わる可能性のある中立側への外力によって、油圧アクチュエータの容積が意に反して変化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットの一実施形態が適用された油圧四輪駆動作業車輌の平面図であり、(a)は、前記作業車輌の直進状態を示し、(b)は、前記作業車輌の旋回状態を示す図である。
【図2】図1に示す前記作業車輌の油圧回路図である。
【図3A】前記作業車輌に備えられた可変容積型の油圧モータユニットの横断平面図である。
【図3B】前記可変容積型の油圧モータユニットの変形例の部分横断平面図である。
【図4】図3AにおけるIV-IV線に沿った断面図である。
【図5】図3AにおけるV-V線に沿った断面図である。
【図6】図3AにおけるVI-VI線に沿った端面図である。
【図7】図3AにおけるVII-VII線に沿った断面図である。
【図8】図3AにおけるVIII-VIII線に沿った断面図である。
【図9】図8の分解図である。
【図10】図6におけるX-X線に沿った断面図である。
【図11】図10におけるXI-XI線に沿った断面図である。
【図12】電動操作型油圧アクチュエータユニットの電気的な構成を示すブロック図である。
【図13】中立側始動期間P1、中立側通常駆動期間P2、高容積側始動期間P3、高容積側通常駆動期間P4で生成すべき電動モータ300の駆動信号(駆動パルス)の波形の一例を示す図である。
【図14】基準デューティ記憶部が予め記憶している、各期間P1〜P4と基準デューティDtb1〜Dtb4との対応関係が規定されたテーブルを示す図である。
【図15】補正値記憶部が予め記憶している、偏差Dと補正値αとの対応関係が規定されたテーブルを示す図である。
【図16】高容積側の駆動時において、基準デューティ記憶部に記憶されている基準デューティの時間的変化の一例(矢印X1)と、第1デューティ補正部による補正後のデューティの時間的変化の一例(矢印X2)を示す図である。
【図17】バッテリー電圧Vsと制限処理部から出力されるデューティ情報が示すデューティを補正するための補正係数βとの関係を示す図である。
【図18】制御装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットの一実施の形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0044】
図1に、本実施の形態に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットが適用された油圧四輪駆動作業車輌(以下、作業車輌という)1の平面図を示す。なお、図1(a)は、前記作業車輌1の直進状態を示し、図1(b)は、前記作業車輌1の旋回状態を示している。図2に、前記作業車輌1の油圧回路図を示す。
【0045】
図1及び図2に示すように、本実施の形態に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットは、油圧モータユニットとして用いられている。具体的には、本実施の形態に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットは、前記作業車輌1における車輌前後方向一方側及び他方側に配設された第1及び第2車輪10,20の一方を作動的に駆動する油圧モータユニットとして作用する。
【0046】
まず、前記作業車輌1の概要について説明する。
前記作業車輌1は、図1及び図2に示すように、車輌フレーム30と、前記車輌フレーム30の前後方向一方側及び他方側にそれぞれ支持された左右一対の前記第1車輪10(ここでは前輪)及び左右一対の前記第2車輪20(ここでは後輪)と、前記車輌フレーム30に支持された駆動源40と、前記駆動源40によって作動的に駆動される可変容積型の油圧ポンプユニット50と、前記油圧ポンプユニット50に流体接続され且つ前記第1車輪10を作動的に駆動する為の第1油圧モータユニットとして作用する本実施の形態に係る電動操作型油圧アクチュエータユニット100と、前記油圧ポンプユニット50に流体接続され且つ前記第2車輪20を作動的に駆動する為の第2油圧モータユニット200とを備えている。
【0047】
前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100は、車輌旋回時に生じる前記第1及び第2車輪10,20間の旋回半径差を補償する為に可変容積型とされている。
詳しくは、前記作業車輌1は、図1(a),(b)に示すように、前記第1車輪10の旋回半径R1が前記第2車輪20の旋回半径R2よりも小さく、且つ、車輌旋回角度が大きくなるに従って前記第1及び第2車輪10,20間の旋回半径差が大きくなるように構成されている。
【0048】
本実施の形態においては、前記作業車輌1は、図1(a)及び(b)に示すように、前記車輌フレーム30として略垂直に沿った枢支軸35回り揺動可能に連結された第1及び第2フレーム31,32を有するアーティキュレート型とされている。
【0049】
前記第2車輪20は前記第2フレーム32に支持され、且つ、前記第1車輪10は前記枢支軸35との間の車輌前後方向長さL1が前記第2車輪20及び前記枢支軸35の間の車輌前後方向長さL2よりも長くなるように前記第1フレーム31に支持されている。
斯かる構成においては、前記第1車輪10の旋回半径R1が前記第2車輪20の旋回半径R2よりも小さく、且つ、車輌旋回角度が大きくなるに従って前記第1及び第2車輪10,20間の旋回半径差が大きくなる。
【0050】
なお、車輌前後方向一方側の車輪及び他方側の車輪の間に旋回半径差が生じる作業車輌には、前記アーティキュレート型の作業車輌1に加えて、剛性の車輌フレームの前部分及び後部分にそれぞれ前輪及び後輪が支持され且つ前記前輪及び後輪の一方が操舵輪とされている作業車輌も含まれる。
【0051】
前記油圧ポンプユニット50は、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100及び第2油圧モータユニット200と共働してHSTを形成している。
詳しくは、図2に示すように、前記油圧ポンプユニット50,前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100及び前記第2油圧モータユニット200は直列的に流体接続されている。
【0052】
即ち、車輌前進時を基準にして(即ち、前記油圧ポンプユニット50が正転方向に駆動される場合を基準にして)、前記油圧ポンプユニット50から吐出された圧油が前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100及び第2油圧モータユニット200の一方(ここでは前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100)に供給され、前記一方の油圧モータユニットからの戻り油が前記電動操作型油圧アクチュエータユニット電動操作型油圧アクチュエータユニット100及び第2油圧モータユニット200の他方(ここでは前記第2油圧モータユニット200)に供給され、前記他方の油圧モータユニットからの戻り油が前記油圧ポンプユニット50に戻るように、前記油圧ポンプユニット50,前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100及び前記第2油圧モータユニット200が流体接続されている。
【0053】
この場合、車輌後進時(即ち、前記油圧ポンプユニット50が逆転方向に駆動される場合)には、前記油圧ポンプユニット50から吐出された圧油は前記他方の油圧モータユニット(ここでは前記第2油圧モータユニット200)に供給され、前記他方の油圧モータユニットからの戻り油が前記一方の油圧モータユニット(ここでは前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100)に供給され、前記一方の油圧モータユニットからの戻り油が前記油圧ポンプユニット50へ戻される。
【0054】
前記油圧ポンプユニット50は、前述の通り、可変容積型とされており、前記作業車輌1の主変速装置として作用している。
詳しくは、図2に示すように、前記油圧ポンプユニット50は、前記駆動源40に作動連結されたポンプ軸51と、前記ポンプ軸51に相対回転不能に支持された油圧ポンプ52と、前記油圧ポンプ52を収容し且つ前記ポンプ軸51を軸線回り回転自在に支持するポンプハウジング53と、外部操作に基づき前記油圧ポンプ52の容積を変更するポンプ側容積調整機構54とを備えている。
【0055】
前記ポンプハウジング53には、図2に示すように、一端部が前記油圧ポンプ52に流体接続され且つ他端部が外表面に開口して一対のポンプ側接続ポート500Pを形成する一対のポンプ側作動油ライン500が形成されている。
【0056】
前記ポンプハウジング53には、図2に示すように、さらに、前記一対のポンプ側作動油路500の間を連通するポンプ側バイパスライン510と、一端部が前記ポンプ側バイパスライン510に流体接続され且つ他端部が前記ポンプハウジング53の内部空間に開口されたポンプ側ドレンライン520と、ポンプ側バイパス弁515とが設けられている。
【0057】
前記ポンプ側バイパス弁515は、前記ポンプ側バイパスライン510を遮断し且つ前記ポンプ側ドレンライン520を前記ポンプ側バイパスライン510に対して遮断する遮断位置と、前記ポンプ側バイパスライン510を連通させ且つ前記ポンプ側ドレンライン520を前記ポンプ側バイパスライン510に流体接続させるバイパス・ドレン位置とを選択的にとり得る。
【0058】
さらに、前記ポンプハウジング53には、チャージライン530が設けられている。
詳しくは、図2に示すように、前記油圧ポンプユニット50は、前記構成部材に加えて、前記ポンプ軸51によって作動的に駆動されるチャージポンプ55を有している。
そして、前記チャージライン530は、一端部が前記チャージポンプ55の吐出側に流体接続され且つ他端部が一対のチェック弁535を介して前記一対のポンプ側作動油ライン500にそれぞれ流体接続されている。
【0059】
なお、図2中の符号536は、前記チャージライン530の油圧を設定するチャージリリーフ弁であり、符号95は前記チャージポンプ55の油源として作用する油タンクであり、符号545は前記油タンク95及び前記チャージポンプ55の吸引側を流体接続するチャージ吸引ライン540に介挿されたフィルタである。
又、符号550は、前記油タンク95及び前記ポンプハウジング53の内部空間を流体接続するドレンラインである。
【0060】
前記ポンプ側容積調整機構54は、前記作業車輌1に備えられる変速操作部材60への人為操作に応じて作動される。
例えば、前記変速操作部材60への人為操作量を機械リンク機構61(図2参照)を介して前記ポンプ側容積調整機構54に伝達させることが可能である。
【0061】
これに代えて、前記油圧ポンプユニット50に前記ポンプ側容積調整機構54を作動させる電動モータ等のポンプ側アクチュエータを備えると共に、前記作業車輌1に前記変速操作部材への人為操作量を検出する変速操作側検出部と前記ポンプ側アクチュエータの作動状態を検出する変速作動側検出部と後述する制御装置90とを備え、前記変速操作部材60への操作量に応じて前記ポンプ側容積調整機構54が作動するように前記制御装置90が前記変速操作側検出部及び前記変速作動側検出部からの信号に基づき前記ポンプ側アクチュエータの作動制御を行うように構成することも可能である。
【0062】
前記ポンプ側容積調整機構54は、例えば、軸線回り回転自在とされたポンプ側制御軸(図示せず)と前記ポンプ側制御軸の軸線回りの回転に応じて揺動軸線回りに傾転するように前記ポンプ側制御軸に作動連結されたポンプ側可動斜板(図示せず)とを有し得る。
【0063】
前記第2油圧モータユニット200について説明する。
詳しくは、前記第2油圧モータユニット200は、図2に示すように、第2油圧モータ220と、前記第2油圧モータ220を相対回転不能に支持する第2モータ軸210と、前記第2油圧モータ220を収容し且つ前記第2モータ軸210を軸線回り回転自在に支持する第2モータハウジング230とを備えており、ここでは、前記第2油圧モータ220の容積が固定とされた固定容積型とされている。
【0064】
前記第2モータハウジング230には、一端部が前記第2油圧モータ220に流体接続され且つ他端部が外表面に開口して一対の第2モータ側接続ポート240Pを形成する一対の第2モータ側作動油ライン240が設けられている。
【0065】
前記第2モータハウジング230には、図2に示すように、さらに、前記一対の第2モータ側作動油路240の間を連通する第2モータ側バイパスライン245と、一端部が前記第2モータ側バイパスライン245に流体接続され且つ他端部が前記第2モータハウジング230の内部空間に開口された第2モータ側ドレンライン255と、第2モータ側バイパス弁250とが設けられている。
【0066】
前記第2モータ側バイパス弁250は、前記第2モータ側バイパスライン245を遮断し且つ前記第2モータ側ドレンライン255を前記第2モータ側バイパスライン245に対して遮断する遮断位置と、前記第2モータ側バイパスライン245を連通させ且つ前記第2モータ側ドレンライン255を前記第2モータ側バイパスライン245に流体接続させるバイパス・ドレン位置とを選択的にとり得る。
又、符号260は、前記油タンク及び前記第2モータハウジング230の内部空間を流体接続するドレンラインである。
【0067】
なお、図2に示すように、ここでは、前記第2油圧モータユニット200は、前記第2車輪20を駆動する第2車軸駆動装置21を形成している。
【0068】
詳しくは、前記第2車軸駆動装置21は、前記第2油圧モータユニット200に加えて、前記一対の第2車輪20にそれぞれ連結された左右一対の第2車軸22と、第2減速ギヤトレーン23を介して前記第2モータ軸210から回転動力を入力し且つ前記一対の第2車軸22へ差動伝達する第2ディファレンシャルギヤ機構24と、前記第2減速ギヤトレーン23及び前記第2ディファレンシャルギヤ機構24を収容し且つ前記一対の第2車軸22を軸線回り回転自在に支持する第2アクスルハウジング25とを有している。
なお、前記第2アクスルハウジング25及び前記第2モータハウジング230は一体形成されている。
【0069】
次に、前記第1油圧モータユニットとして作用する本実施の形態に係る前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100について説明する。
【0070】
前述したように、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100は、可変容積型とされており、前記作業車輌1における前記第1及び第2車輪10,20間に生じる旋回半径差に応じて対応する前記第1車輪10の駆動速度を変化させ得るようになっている。
【0071】
詳しくは、前記作業車輌1においては、図1(a)及び(b)に示すように、前記第1及び第2車輪10,20は、車輌旋回角度に応じて前記第1車輪10の旋回半径が前記第2車輪20の旋回半径より小さくなるように配置されている。
そして、前記第1車輪10を作動的に駆動する前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100が、対応する前記第1車輪10の駆動速度を前記旋回半径差に応じて変化させる変速装置として作用する為に、可変容積型とされている。本実施形態に係る電動操作型油圧アクチュエータユニット100は、このように作用する第1油圧モータユニットとして用いられている。
【0072】
図3Aに、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の横断平面図を示す。図4に、図3AにおけるIV-IV線に沿った断面図を示す。
【0073】
図2〜図4に示すように、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100は、モータ側容積調整機構135を含む第1油圧モータ120(可変容積型油圧アクチュエータに相当)と、前記第1油圧モータ120のモータ側容積調整機構135を作動させる操作力を発生する直流モータなどの電動モータ300と、前記電動モータ300の作動制御を司る制御装置90とを備えて構成されている。
【0074】
また、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100は、前記第1油圧モータ120を相対回転不能に支持する第1モータ軸110と、前記第1油圧モータ120を収容し且つ前記第1モータ軸110を軸線回り回転自在に支持する第1モータハウジング130とを備えている。
【0075】
前記第1モータハウジング130には、一端部が前記第1油圧モータ120に流体接続され且つ他端部が外表面に開口して一対の第1モータ側接続ポート140Pを形成する一対の第1モータ側作動油ライン140が設けられている。
【0076】
図2に示すように、前記一対の第1モータ側接続ポート140Pの一方はポンプ/第1モータライン410を介して前記一対のポンプ側接続ポート500Pの一方に流体接続され、前記一対の第1モータ側接続ポート140Pの他方は第1モータ/第2モータライン420を介して前記一対の第2モータ側接続ポート240Pの一方に流体接続され、且つ、前記一対の第2モータ側接続ポート240Pの他方はポンプ/第2モータライン430を介して前記一対のポンプ側接続ポート500Pの他方に流体接続されている。
【0077】
即ち、ここでは、前記油圧ポンプ52,前記第1油圧モータ120及び前記第2油圧モータ220が直列的に流体接続されており、これにより、前記第1車輪10を作動的に駆動する前記第1油圧モータ120及び前記第2車輪20を作動的に駆動する前記第2油圧モータ220が互いに対して同期状態で前記油圧ポンプ52によって流体的に駆動される。
【0078】
前記第1モータハウジング130には、図2及び図4に示すように、さらに、前記一対の第1モータ側作動油路140の間を連通する第1モータ側バイパスライン145と、一端部が前記第1モータ側バイパスライン145に流体接続され且つ他端部が前記第1モータハウジング130の内部空間に開口された第1モータ側ドレンライン155と、第1モータ側バイパス弁150とが設けられている。
【0079】
前記第1モータ側バイパス弁150は、前記第1モータ側バイパスライン145を遮断し且つ前記第1モータ側ドレンライン155を前記第1モータ側バイパスライン145に対して遮断する遮断位置と、前記第1モータ側バイパスライン145を連通させ且つ前記第1モータ側ドレンライン155を前記第1モータ側バイパスライン145に流体接続させるバイパス・ドレン位置とを選択的にとり得る。
又、符号160は、前記油タンク95及び前記第1モータハウジング130の内部空間を流体接続するドレンラインである。
【0080】
図5に図3AにおけるV-V線に沿った断面図を示す。
図3A及び図5に示すように、前記モータ側容積調整機構135は、一端部が前記第1モータハウジング130より外方へ延在された状態で前記第1モータハウジング130に直接又は間接的に軸線回り回転自在に支持されたモータ側制御軸136を有しており、前記モータ側制御軸136が軸線回りに回転されることにより前記第1油圧モータ120の容積を変更させるように構成されている。
【0081】
図3A及び図4に示すように、本実施の形態においては、前記第1油圧モータ120はアキシャルピストン型とされている。
従って、前記モータ側容積調整機構135は、図3A〜図5に示すように、前記モータ側制御軸136に加えて、揺動軸線回りに傾転可能なモータ側可動斜板137であって、前記揺動軸線回りの傾転位置に応じて前記第1油圧モータ120の容積を増減させるモータ側可動斜板137を有している。
前記モータ側可動斜板137は、前記モータ側制御軸136の軸線回りの回転に応じて前記揺動軸線回りに傾転するように前記モータ側制御軸136に連結されている。
【0082】
図2及び図3Aに示すように、本実施の形態に係る前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100は、前記一対の第1車輪10を駆動する第1車軸駆動装置11を形成している。
【0083】
詳しくは、前記第1車軸駆動装置11は、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100に加えて、前記一対の第1車輪10にそれぞれ連結された左右一対の第1車軸12と、第1減速ギヤトレーン13を介して前記第1モータ軸110から回転動力を入力し且つ前記一対の第1車軸12へ差動伝達する第1ディファレンシャルギヤ機構14と、前記第1減速ギヤトレーン13及び前記第1ディファレンシャルギヤ機構14を収容し且つ前記一対の第1車軸12を軸線回り回転自在に支持する第1アクスルハウジング15とを有している。
なお、前記第1アクスルハウジング15及び前記第1モータハウジング130は一体形成されて単一の第1ハウジングを形成している。
【0084】
さらに、本実施の形態においては、図2及び図3Aに示すように、前記第1車軸駆動装置11には、前記第1モータ軸110から前記第1車軸12へ至る走行系伝動経路に選択的に制動力を付加し得るブレーキ機構16が備えられている。
【0085】
好ましくは、前記ブレーキ機構16は、前記第1減速ギヤトレーン13より伝動方向上流側に位置する部材に制動力を付加し得るように構成される。
斯かる好ましい構成によれば、前記ブレーキ機構16の小型化を図ることができる。
本実施形態においては、図3Aに示すように、前記ブレーキ機構16は前記第1モータ軸110に制動力を付加し得るように構成されている。
【0086】
例えば、図3Bに示すように、前記第1モータ軸110の一端部を前記第1ハウジング130から外方へ延在させて、前記第1モータ軸110の外方延在部に冷却ファン17を支持させることも可能である。
斯かる構成によれば、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100を含む前記第1車軸駆動装置11を効率的に冷却させることができる。
【0087】
図6に、図3AにおけるVI-VI線に沿った端面図を示す。
又、図7及び図8に、それぞれ、図3AにおけるVII-VII線及びVIII-VIII線に沿った断面図を示す。
【0088】
前記電動モータ300は、前記モータ側制御軸136を作動的に駆動するものであり、図6及び図7に示すように、電気的に駆動制御される電動モータ本体301と、前記電動モータ本体301を収容する電動モータケース305と、前記電動モータ本体301によって軸線回りに回転される電動モータ本体出力軸310とを含んでいる。
【0089】
前記電動モータケース305は、直接的又は間接的に前記第1モータハウジング130に着脱可能に装着される。
本実施形態においては、前記電動モータケース305は電動モータカバー315を介して前記第1モータハウジング130に連結されている。
【0090】
詳しくは、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100は、図6及び図8に示すように、さらに、前記電動モータケース305が連結可能とされ且つ前記第1モータハウジング130に連結される前記電動モータカバー315を有している。
【0091】
本実施形態においては、図3A及び図6〜図8に示すように、前記モータ側制御軸136の前記一端部が挿通される開口を有するプレート部材170がボルト等の締結部材171を介して前記第1モータハウジング130に着脱可能に連結されている。
【0092】
そして、前記電動モータカバー315は、前記電動モータケース305がボルト等の締結部材306を介して連結された状態で前記プレート部材170にボルト等の締結部材316を介して着脱可能に連結されている。
【0093】
本実施の形態においては、前記電動モータ300が前記第1モータハウジング130に装着されると前記電動モータ本体出力軸310が前記モータ側制御軸136の前記一端部に作動連結されるように構成されている。
即ち、前記電動モータ本体出力軸310の回転に応じて前記モータ側制御軸136が軸線回りに回転し、これにより、前記第1油圧モータ本体120の容積が変更されるようになっている。
【0094】
斯かる構成の前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100によれば、前記操向操作部材65と前記モータ側容積調整機構135とを機械的に作動連結させることなく、前記操向操作部材65への人為操作量に応じて前記電動モータ本体301を電気的に制御することにより前記操向操作部材65への人為操作に応じた前記モータ側容積調整機構135の作動を実現することができる。
従って、複雑な機械的リンク構造を備えることなく、前記操向操作部材65への人為操作に応じた前記第1油圧モータ本体120の容積の変更を実現することができる。
【0095】
図9に、前記電動モータ300を前記電動モータカバー315から分離させた分解断面図を示す。
図6〜図9に示すように、前記電動モータ300は、前記モータ側容積調整機構135に連結された操作軸340及び前記操作軸340に連結されたセクタギヤ335を介して、前記モータ側容積調整機構135に連結されている。
【0096】
詳しくは、前記操作軸340は、前記モータ側制御軸136の前記一端部に軸線回り相対回転不能に連結されている。
前記セクタギヤ335は、基端部が前記操作軸340に連結された状態で前記モータ側制御軸136とは直交する方向へ延び且つ自由端部にギヤが設けられている。
【0097】
一方、前記電動モータ300は、図6に示すように、前記構成要素に加えて、前記電動モータ本体出力軸310に作動連結されたウォーム軸320と、前記ウォーム軸320と噛合する伝動ギヤ325と、前記伝動ギヤ325を相対回転不能に支持する伝動軸326と、前記伝動軸326に相対回転不能に支持された伝動モータ出力ギヤ330とを有しており、前記電動モータケース305を前記電動モータカバー315に連結させることにより前記伝動モータ出力ギヤ330が前記セクタギヤ335と噛合するようになっている。
【0098】
斯かる構成によれば、前記電動モータ300を前記電動モータカバー315へ装着させた際には前記電動モータ本体出力軸310が前記モータ側制御軸136に確実に作動連結されることを可能としつつ、前記電動モータ300を前記電動モータカバー315に対して容易に脱着させることができる。
【0099】
好ましくは、図6に示すように、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100には、先端部が前記セクタギヤ335に当接して前記セクタギヤ335の前記操作軸340回り一方側の揺動端を画するように前記電動モータカバー315等の固定部材に螺着される第1調整ネジ341と、先端部が前記セクタギヤ335に当接して前記セクタギヤ335の前記操作軸340回り他方側の揺動端を画するように前記固定部材に螺着される第2調整ネジ342とを設けることができる。
前記第1及び第2調整ネジ341,342を設けることにより、追加部材を可及的に不要としつつ、前記第1油圧モータ120の可変容積範囲を正確に設定することができる。
【0100】
本実施形態においては、図6に示すように、前記固定部材として前記電動モータカバー315が用いられているが、当然ながら、前記固定部材として前記第1モータハウジング130又は前記第1モータハウジング130に固定される前記プレート部材170を用いることも可能である。
【0101】
本実施形態においては、図6〜図9に示すように、前記セクタギヤ335に前記操作軸340の軸線方向に貫通する貫通孔336aが形成され、且つ、前記電動モータカバー315には前記セクタギヤ335が前記操作軸340回り所定位置に位置した際に前記貫通孔336aと対向する位置に固定用孔336bが形成されている。
【0102】
斯かる構成によれば、前記電動モータ300の故障時等においては、図9に示すように、前記電動モータ300を前記電動モータカバー315から取り外し且つ前記貫通孔336a及び前記固定用孔336bに固定ピン336cを挿通させることにより、前記セクタギヤ335を前記操作軸340回りに関し所定位置に固定して前記第1油圧モータ本体120を前記所定位置に対応した所定容積に固定することができる。
好ましくは、前記固定ピン336cとして前記締結部材306を用いることができる。即ち、前記電動モータ300を前記電動モータカバー315から取り外す際に締結解除させた前記締結部材306を前記貫通孔336a及び前記固定用孔336bに挿通させる前記固定ピン336cとして用いることができる。
【0103】
本実施形態に係る電動操作型油圧アクチュエータユニット100は、さらに、図3A,図8及び図9に示すように、前記操作軸340の軸線回りの回転量を検出するセンサユニット350を有している。
【0104】
詳しくは、前記センサユニット350は、図6〜図9に示すように、前記電動モータカバー315に装着されるセンサハウジング351と、前記電動モータカバー315が前記第1モータハウジング130に連結された状態において前記操作軸340と同軸上に位置するように前記センサハウジング351に軸線回り回転自在に支持されたセンサ軸352と、基端部が前記センサ軸352に連結された状態で前記操作軸340とは直交する方向に延びるセンサアーム353と、前記センサ軸352及び前記センサアーム353によって形成される被検出体を前記センサ軸352の軸線回り一方側へ付勢する付勢部材(図示せず)と、前記センサ軸352の軸線回りの回転量を検出するセンサ本体(図示せず)とを有している。
【0105】
そして、前記セクタギヤ335には、前記操作軸340と平行に延びる係合ピン337であって、前記センサユニット350付きの前記電動モータカバー315が前記第1モータハウジング130に連結された際に前記付勢部材によって前記センサ軸352の軸線回り一方側へ付勢される前記センサアーム353が係合する係合ピン337が設けられている。
【0106】
斯かる構成によれば、前記電動モータ300及び前記センサユニット350が装着された状態の前記電動モータカバー315を前記第1モータハウジング130に連結させた際に、前記セクタギヤ335の前記操作軸340回りの回転に応じて前記センサアーム353が前記センサ軸352回りに回転するように前記センサアーム353を前記係合ピン337に係合させることができる。
【0107】
さらに、前記電動モータ300及び前記センサユニット350が装着された状態の前記電動モータカバー315を前記第1モータハウジング130から取り外す際には、前記センサアーム353が前記係合ピン337に対して前記センサ軸352の軸線方向に沿って相対移動することを許容できる。
従って、前記セクタギヤ335の前記操作軸340回りの位置(即ち、前記モータ側制御軸136の軸線回り位置)を前記センサユニット350によって検出しつつ、前記電動モータ300及び前記センサユニット350が装着された状態のままで前記電動モータカバー315を前記第1モータハウジング130から容易に取り外すことができる。
【0108】
本実施形態に係る電動操作型油圧アクチュエータユニット100においては、図6に示すように、さらに、前記電動モータ本体出力軸310から前記ウォーム軸320への回転動力の伝達を許容しつつ逆向きの回転動力の伝達を防止するように、前記電動モータ300とモータ側容積調整機構135との間、より詳細には前記電動モータ本体出力軸310と前記ウォーム軸320との間にクラッチ機構360が介挿されている。
【0109】
図10に図6におけるX-X線に沿った前記クラッチ機構360の縦断面図を示す。
又、図11に図10におけるXI-XI線に沿った前記クラッチ機構360の横断面図を示す。
【0110】
図10及び図11に示すように、前記クラッチ機構360は、前記電動モータ本体出力軸310の先端部に径方向外方へ延びるように設けられた駆動側アーム361(駆動側部材に相当)と、前記駆動側アーム361を囲繞するクラッチケース362と、前記ウォーム軸320における前記電動モータ本体出力軸310と対向する側の端部から径方向外方へ延在された従動側アーム363(従動側部材に相当)と、前記電動モータ本体出力軸310及び前記ウォーム軸320の軸線を基準にして径方向に関し前記従動側アーム363及び前記クラッチケース362の間に配置されたコンタクト部材364とを有している。
【0111】
前記駆動側アーム361は、前記電動モータ本体出力軸310(クラッチ基準軸に相当)CLを基準にして周方向を向く側面361aが前記従動側アーム363及び前記コンタクト部材364の双方における周方向を向く側面363a,364aを周方向に押圧し得るように構成されている。
【0112】
前記従動側アーム363における径方向外方を向く外端面363bは、前記電動モータ本体出力軸310及び前記ウォーム軸320の軸線CLに沿って視た際に、前記軸線CLの位置までの距離が前記コンタクト部材364から前記軸線CLの位置までの距離Lより小さい周方向中心部と前記距離Lより大きい周方向外側部とを有する。
【0113】
前記周方向中心部と前記周方向外側部とを有する前記外端面363bの形態には、前記外端面363bが前記外端面363bの周方向中心点及び前記軸線CLを結ぶ仮想線ILに対して略直交する形態が含まれる。
【0114】
斯かる構成の前記クラッチ機構360は、以下のように作動する。
前記電動モータ本体301が軸線回り一方側(例えば、前記作業車輌1を前進させる正転側)又は他方側(例えば、前記作業車輌1を後進させる逆転側)の何れかの方向(以下、第1方向D1という)に回転されると(図11(a)参照)、前記駆動側アーム361が前記従動側アーム363及び前記コンタクト部材364の双方を前記第1方向D1に押圧する。これにより、前記ウォーム軸320が前記第1方向D1と同一方向d1に回転し(図11(b)参照)し、前記可動斜板137が前記第1方向D1に対応した方向に傾転する。
【0115】
ところで、前記第1油圧モータ120が給排する作動油の油圧は前記可動斜板137に対して該可動斜板137を中立側(中立方向、低容積側)へ傾転させる力として作用する。さらに、所望により、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100には前記可動斜板137を中立側に付勢する中立バネが備えられる。
【0116】
従って、前記付勢力が前記電動モータ300の慣性力より大きいと、前記電動モータ300が作動停止状態(前記電動モータ本体出力軸310の回転停止状態)となった場合に、前記電動モータ300の慣性力に抗して前記可動斜板137が中立側へ若干量だけ傾転する。
これに応じて、図11(c)に示すように、前記可動斜板137に作動連結されている前記ウォーム軸320は前記中立側に対応した第2方向d2へ回転するが、フリー状態の前記コンタクト部材364の位置変化は生じない。
【0117】
ここで、前述の通り、前記従動側アーム363の前記外端面363bは、前記ウォーム軸320の軸線CLに沿って視た際に、前記外端面363bは、前記軸線CLの位置までの距離が前記コンタクト部材364から前記軸線CLの位置までの距離Lより小さい周方向中心部と前記距離Lより大きい周方向外側部とを有する為、前記従動アーム363の第2方向d2への回転によって前記コンタクト部材364が前記クラッチケース362の内周面に押し付けられ、これにより、前記ウォーム軸320が回転不能なロック状態となる(図11(c)参照)。
従って、前記電動モータ300によって前記可動斜板137が所定傾転位置に位置された後に、前記可動斜板137が所定傾転位置から意に反して傾転することを確実に防止することができる。
【0118】
ここで、前記制御装置90による前記電動モータ300の制御方法について説明する。
前述の通り、前記第1車輪10を作動的に駆動する前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100と前記第2車輪20を作動的に駆動する前記第2油圧モータユニット200とは互いに対して同期した状態で前記油圧ポンプユニット50によって油圧的に駆動され、且つ、車輌旋回角度が大きくなるに従って前記第1車輪10の旋回半径R1が前記第2車輪20の旋回半径R2に比して小さくなる。
【0119】
前記制御装置90は、前記第1及び第2車輪10,20間に生じる前記旋回半径差に応じて前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100による前記第1車輪10の駆動速度が変化するように前記電動モータ300の作動制御を行う。
【0120】
詳しくは、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100における前記モータ側容積調整機構135は、前記第1油圧モータ120の容積を、前記第1油圧モータ120によって作動的に駆動される前記第1車輪10の周速が前記第2油圧モータ220によって作動的に駆動される前記第2車輪20の周速と略同一となる際の基準容積と前記基準容積よりも大きな第1容積とを含む範囲で変化させ得るように構成されている。
【0121】
例えば、前記第1車輪10及び前記第2車輪20の直径が同一である場合には、前記基準容積は前記第2油圧モータ220の固定容積と同一となる。
【0122】
前記第1容積は、好ましくは、前記作業車輌1の最大旋回時に生じる第1及び第2車輪10,20間の旋回半径差に応じた速度だけ前記第1車輪10の周速を減速させるような容積とされる。
【0123】
前記制御装置90は、前記作業車輌1に備えられる旋回角度センサからの旋回角度信号に基づき、前記第1油圧モータ120の容積が前記基準容積及び前記第1容積の間において車輌旋回角度に応じた容積となるように前記電動モータ300を作動させる。
【0124】
より詳しくは、前記制御装置90は、前記車輌1の最大旋回時には前記第1油圧モータ120の容積が前記第1容積となり、前記車輌1が直進状態及び最大旋回状態の間の旋回状態の際には前記第1油圧モータ120の容積が前記基準容積及び前記第1容積の間において車輌旋回角度に応じた容積となるように、前記電動モータ300を作動させる。
【0125】
具体的には、前記制御装置90は、各種の演算処理を実行する制御演算手段を含む演算部(以下、CPUという)と、制御プログラムや制御データ等を記憶するROM,設定値等を電源を切っても失われない状態で保存し且つ前記設定値等が書き換え可能とされたEEPROM及び前記CPUによる演算中に生成されるデータを一時的に保持するRAM等を含む記憶部とを備えている。
【0126】
前記記憶部には、旋回角度に対する前記電動モータ300の作動状態に関する制御データが格納されており、前記CPUは、前記旋回角度センサ等のセンサから出力される旋回角度情報と前記制御データとに基づいて前記電動モータ300の作動制御を行うための演算処理を実行する。
前記制御データは、例えば、制御用換算式又はLUT(ルックアップテーブル)等の形態を採り得る。
【0127】
前記旋回角度センサは、前記操向操作部材65の操作角を検出する操作側旋回角度センサ66(図2参照)、又は、前記第2フレーム32に対する前記第1フレーム31の折れ角を検出する作動側旋回角度センサとされ得る。
【0128】
又、剛性の車輌フレームの前部分及び後部分にそれぞれ前輪及び後輪が支持され且つ前記前輪及び後輪の一方が操舵輪とされている作業車輌においては、前記作動側旋回角度センサは前記操舵輪の操舵角を検出するように構成される。
【0129】
図12は、前記第1油圧モータユニットとして作用する本実施の形態に係る電動操作型油圧アクチュエータユニット100の電気的な構成を示すブロック図である。
【0130】
図12に示すように、電動操作型油圧アクチュエータユニット100は、前記第1油圧モータ120、前記電動モータ300及び前記制御装置90に加えてセンサ部680を有する。前記センサ部680は、前記制御装置90と電気的に接続されており、現在容積センサ350と、目標容積センサ670と、バッテリー電圧センサ651とを有する。
【0131】
現在容積センサ350は、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の現在の容積(以下、現在容積という)を検出するためのものであり、前記現在容積に応じた信号を出力する。現在容積センサ350は、本実施形態では、例えば前記操作軸340の軸線回りの回転量を検出する前記センサユニット350である。ただし、現在容積センサ350は、前記センサユニット350に限定されるものではなく、前記現在容積と1対1で対応するパラメータ、例えば前記モータ側制御軸136の軸線回りの回転位置や、モータ側可動斜板137の前記揺動軸線回りの傾転位置を検出するものでもよい。
【0132】
目標容積センサ670は、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の目標の容積(以下、目標容積という)を検出するためのものであり、前記目標容積に応じた信号を出力する。目標容積センサ670は、本実施形態では、前記旋回操作側センサ66等の旋回角度センサであるが、これに限定されるものではない。バッテリー電圧センサ651は、作業車輌1に搭載されているバッテリー650(電動モータ300の電力源)の電圧(以下、バッテリー電圧という)を検出するためのものであり、前記バッテリー電圧に応じた信号を出力する。
【0133】
制御装置90は、前記CPUや記憶部を備えて構成され、前記センサ部680及び前記電動モータ300(前記モータ側容積調整機構135)の動作を以下のように関連付けて制御する。
【0134】
本実施形態では、前記モータ側容積調整機構135を電動モータ300で作動させる場合に、目標容積センサ670の出力信号が示す目標容積となるように電動モータ300を作動させる。ここで、前記モータ側容積調整機構135に対する作動開始時点から前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の容積が目標容積に達するまでの期間を作動期間というものとすると、前記モータ側容積調整機構135を中立側に作動させる場合の作動期間と、高容積側に作動させる場合の作動期間とを、それぞれ、作動開始時を起点とする所定の始動期間と通常の作動期間とに分け、各期間に相応しい作動制御を電動モータ300に対して行うようにしている。
【0135】
すなわち、本実施形態に係る電動操作型油圧アクチュエータユニット100においては、前記モータ側容積調整機構135に作用する中立側への付勢力の存在によって、前記モータ側容積調整機構135に出力すべき作動トルクが、中立側への作動時と高容積側への作動時とで異なる。
【0136】
また、前記モータ側容積調整機構135を作動させる際には、前記クラッチ機構360のロック状態を解除する必要があることによって、例えば同じ中立側への作動期間であっても、作動開始時から所定の微少期間(始動期間)と該始動期間後の通常作動期間とでは前記作動トルクが異なる。これは、高容積側への作動時においても同様である。
【0137】
以上の点を考慮して、本実施の形態では、図13に示すように、前記モータ側容積調整機構135の中立側への一連の作動期間を、前記中立側への作動の開始時を起点とする予め定められた長さ(時間)の中立側始動期間P1と、前記中立側始動期間P1後の中立側通常作動期間P2とに分け、また、高容積側への一連の作動期間を、前記高容積側への作動の開始時を起点とする予め定められた長さ(時間)の高容積側始動期間P3と、前記高容積側始動期間P3後の高容積側通常作動期間P4とに分け、前記各期間P1〜P4でそれぞれ必要な作動トルクを前記電動モータ300が生成するような駆動信号(駆動パルス)のデューティをそれぞれ設定するようにしている。
【0138】
なお、以下の説明においては、前記中立側始動期間P1、中立側通常駆動期間P2、高容積側始動期間P3及び高容積側通常駆動期間P4でそれぞれ電動モータ300に出力する駆動信号(駆動パルス)を第1〜第4駆動信号というものとする。
【0139】
制御装置90は、このような制御を実現するべく、前記記憶部に格納された本実施形態特有のプログラムを前記CPUが実行することによって、現在容積検出処理部901と、目標容積検出処理部902と、バッテリー電圧検出処理部903と、偏差算出部904と、デューティ設定部905と、駆動信号出力部906としての機能を有する。
【0140】
現在容積検出処理部901は、前記現在容積センサ350の出力信号から前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の現在容積を検出する処理を行うものである。現在容積センサ350及び現在容積検出処理部901は、現在容積検出部を構成する。
【0141】
目標容積検出処理部902は、目標容積センサ670の出力信号から前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の目標の容積(以下、目標容積という)を検出する処理を行うものである。目標容積センサ670及び目標容積検出処理部902は、目標容積検出部を構成する。
【0142】
バッテリー電圧検出処理部903は、バッテリー電圧センサ651の出力信号からバッテリー電圧を検出する処理を行うものである。バッテリー電圧センサ651及びバッテリー電圧検出処理部903は、バッテリー電圧検出部を構成する。
【0143】
偏差算出部904は、前記現在容積と前記目標容積との偏差Dを算出するものである。本実施形態では、偏差算出部904は、(目標容積−現在容積)を前記偏差Dとして算出する。例えば、前記目標容積が、前記操作軸340を前記モータ側容積調整機構135が中立状態となる所定の基準位置から30度だけ軸線回りに回転させた位置であり、前記現在容積が、前記操作軸340を前記基準位置から10度だけ回転させた位置であるものとすると、前記偏差算出部904は、20(=30−10)度を前記偏差Dとして算出する。
【0144】
デューティ設定部905は、前記電動モータ300に出力する第1〜第4駆動信号のデューティを設定するものである。
【0145】
デューティ設定部905は、まず、前記偏差算出部904により算出された前記偏差Dに基づいて、前記モータ側容積調整機構135を作動させるべき方向が高容積側であるか中立側であるかを判断し、その判断結果に応じて前記第1及び第2駆動信号のデューティ又は第3及び第4駆動信号のデューティのいずれか一方を設定する。
【0146】
具体的には、デューティ設定部905は、前記のように偏差Dとして(目標容積−現在容積)を想定する場合、前記偏差Dの値が正の値であるときには、前記モータ側容積調整機構135を作動させるべき方向は高容積側であると判断する一方、前記偏差Dの値が負の値であるときには、前記モータ側容積調整機構135を作動させるべき方向は中立側であると判断する。
【0147】
そして、デューティ設定部905は、前記モータ側容積調整機構135を作動させるべき方向が中立側であると判断したときには、前記中立側始動期間P1に前記電動モータ300へ出力すべき第1駆動信号のデューティ(第1デューティ)Dt1と、前記中立側始動期間P1後の中立側通常駆動期間P2に前記電動モータ300へ出力すべき第2駆動信号のデューティ(第2デューティ)Dt2とを設定する。
【0148】
一方、デューティ設定部905は、前記モータ側容積調整機構135を駆動すべき方向が高容積側であると判断したときには、前記高容積側始動期間P3に前記電動モータ300へ出力すべき第3駆動信号のデューティ(第3デューティ)Dt3と、前記高容積側始動期間P3後の高容積側通常駆動期間P4に前記電動モータ300へ出力すべき第4駆動信号のデューティ(第4デューティ)Dt4とを設定する。
【0149】
デューティ設定部905は、図略のタイマを有し、作動開始時からタイマを作動して、現在のタイマの計測値(計測時間)に基づき現在の期間を判断する。すなわち、デューティ設定部905は、前記現在のタイマの計測値に基づき、前記モータ側容積調整機構135の中立側への作動時において現在が中立側始動期間P1であるのか中立側通常駆動期間P2であるのかを判断したり、高容積側への作動時において現在が高容積側始動期間P3であるのか高容積側通常駆動期間P4であるのかを判断したりする。
【0150】
前記中立側始動期間P1及び前記高容積側始動期間P3の長さ(時間)は予め定められている。また、本実施の形態では、図13に示すように、前記高容積側始動期間P3は、前記中立側始動期間P1の時間T1より長い時間T2を有する期間に設定されている。デューティ設定部905は、前述した現在の期間の判断や次に説明するデューティの設定を例えば所定の周期で行う。以下、前記第1〜第4デューティDt1〜Dt4の設定方法について説明する。
【0151】
図12に示すように、前記デューティ設定部905は、基準デューティ記憶部9051と、補正値記憶部9052と、第1デューティ補正部9053と、制限処理部9054と、第2デューティ補正部9055としての機能を有し、前記各部9051〜9055によって前記第1〜第4デューティDt1〜Dt4を設定する。
【0152】
基準デューティ記憶部9051は、前記第1乃至第4駆動信号について予め設定されたデューティの初期値を基準デューティとして予め記憶するものである。例えば、図14に示すように、中立側始動期間P1に出力される第1駆動信号の基準デューティとして「Dtb1」、中立側通常駆動期間P2に出力される第2駆動信号の基準デューティとして「Dtb2」、高容積側始動期間P3に出力される第3駆動信号の基準デューティとして「Dtb3」、高容積側通常駆動期間P4に出力される第4駆動信号の基準デューティとして「Dtb4」が予め設定されており、基準デューティ記憶部9051は、前記各期間P1〜P4と前記基準デューティDtb1〜Dtb4との対応関係をテーブル形式で予め記憶している。
【0153】
前記各基準デューティDtb1〜Dtb4の大小関係は、
Dtb1>Dtb2 ・・・(1)
Dtb3>Dtb4 ・・・(2)
Dtb4>Dtb2 ・・・(3)
Dtb3>Dtb1 ・・・(4)
に設定されている。
【0154】
前述したように、前記モータ側容積調整機構135に高容積側へ作動させる場合も中立側へ作動させる場合も作動開始時には前記クラッチ機構360のロック状態を解除する必要がある。このロック状態を解除するためには、通常の作動期間に要求される作動トルクよりも大きな作動トルクが必要となる。
【0155】
この点を考慮して、本実施形態では、前記関係式(1)のように、中立側始動期間P1に出力される第1駆動信号の基準デューティDtb1を、中立側通常駆動期間P2に出力される第2駆動信号の基準デューティDtb2より大きく設定し、また、前記関係式(2)のように、高容積側始動期間P3に出力される第3駆動信号の基準デューティDtb3を、高容積側通常駆動期間P4に出力される第4駆動信号の基準デューティDtb4より大きく設定している。
【0156】
また、前述したように、前記モータ側容積調整機構135は中立側に付勢されている。そのため、モータ側容積調整機構135に高容積側へ作動させる場合の方が中立側へ作動させる場合よりもより大きな作動トルクを要する。
【0157】
この点を考慮して、前記関係式(3)のように、高容積側通常駆動期間P4に出力される第4駆動信号の基準デューティDtb4を、中立側通常駆動期間P2に出力される第2駆動信号の基準デューティDtb2より大きく設定している。
【0158】
これにより、前記高容積側通常駆動期間P4において、仮に中立側通常駆動期間P2における第2駆動信号と同一の駆動信号(前記第2デューティと同じデューティの駆動信号)を電動モータ300へ出力した場合に、前記高容積側通常駆動期間P4で前記モータ側容積調整機構135に出力すべき作動トルクが不足するという事態が生じるのを防止することができる。
【0159】
また、前述したように、前記モータ側容積調整機構135を高容積側に作動させる場合の前記ロック解除に要する作動トルクは、前記モータ側容積調整機構135を中立側に作動させる場合の前記ロック解除に要する作動トルクに比して、前記モータ側容積調整機構135に働く中立側への付勢力の分だけ作動トルクが余計に必要となる。この点を考慮して、前記関係式(4)のように、高容積側始動期間P3に出力される第3駆動信号の基準デューティDtb3を、中立側始動期間P1に出力される第1駆動信号の基準デューティDtb1より大きく設定している。
【0160】
これにより、前記高容積側始動期間P3において、仮に中立側始動期間P1における第1駆動信号と同一の駆動信号(前記第1デューティと同じデューティの駆動信号)を電動モータ300へ出力した場合に、前記高容積側始動期間P3で前記モータ側容積調整機構135に出力すべき作動トルクが不足するという事態が生じるのを防止することができる。
【0161】
補正値記憶部9052は、前記基準デューティを前記偏差算出部904により算出された偏差Dに応じて補正するための補正値αを予め記憶するものである。例えば、図15に示すように、本実施形態では、前記偏差Dがとり得る範囲0〜DNが複数の範囲に分割されており、前記偏差Dの範囲「0〜D1」に対して補正値「α1」が、範囲「D1〜D2」に対して補正値「α2」が、範囲「D2〜D3」に対して補正値「α3」が、範囲「DN−1〜DN」に対して補正値「αN」が予め設定されており、補正値記憶部9052は、前記偏差Dの範囲0〜D1,・・・,DN−1〜DNと補正値α1,・・・,αNとの対応関係をテーブル形式で予め記憶している。
【0162】
第1デューティ補正部9053は、前記偏差算出部904により偏差Dが算出されると、その偏差Dに対応する補正値αを前記補正値記憶部9052から読み出し、前記各期間P1〜P4のうち現在の期間に対応する基準デューティを、読み出した補正値を用いて補正するものである。
【0163】
例えば、前記偏差算出部904により算出された偏差Dが「D21」(D2<D21<D3)であった場合、第1デューティ補正部9053は、この偏差「D21」に対応する補正値「α3」を前記補正値記憶部9052から読み出す。そして、現在の期間が例えば高容積側始動期間P3である場合には、第1デューティ補正部9053は、前記高容積側始動期間P3に対応付けられている基準デューティ「Dtb3」に前記補正値「α3」を加算する補正を行う。
【0164】
ここで、前記補正値αは、前記偏差Dが大きいほど大きな値を有するものとされている。すなわち、前記のように偏差Dとして(目標容積−現在容積)を想定する場合、現在容積が目標容積より小さい(前記偏差Dが大きい)ほどデューティの加算値(前記補正値α)が大きな値に設定され、現在容積が目標容積より大きい(前記偏差Dが小さい)ほどデューティの減算値(前記補正値α)の絶対値が大きな値に設定されている。図16は、高容積側への駆動時(現在容積が目標容積より小さい場合)において、前記基準デューティ記憶部9051に記憶されている基準デューティの時間的変化の一例(矢印X)と、前記第1デューティ補正部9053による補正後のデューティの時間的変化の一例(矢印Y)を示している。
【0165】
この図16において、斜線部分が前記基準デューティに対する加算値(補正値)を示している。
【0166】
このような補正値αを用いて前記基準デューティを補正することで、現在容積が目標容積から離れているほど電動モータ300に大きな作動トルクで作動させることができる。これにより、現在容積が目標容積から離れているほど電動モータ300の回転速度の上昇率を増大させることができ、ひいては、前記偏差Dの大小に関係なく一定の補正値を用いて前記基準デューティを補正する場合に比して、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の容積が目標容積に達するまでの時間を短縮することができる。
【0167】
第1デューティ補正部9053は、このようにして補正を行った後のデューティを示す情報をデューティ情報として生成し、前記デューティ情報を次段の制限処理部9054に出力する。
【0168】
制限処理部9054は、前記第1デューティ補正部9053から取得したデューティ情報が100(%)を超えるデューティを示すものである場合に、そのデューティを100(%)に変換(置換)し、変換後のデューティを示すデューティ情報を次段の第2デューティ補正部9055に出力するものである。すなわち、制限処理部9054は、次段の第2デューティ補正部9055に出力するデューティ情報が示すデューティを100(%)に制限する。
【0169】
なお、制限処理部9054は、前記第1デューティ補正部9053から取得したデューティ情報が100(%)を超えるデューティを示すものでない場合には、その取得したデューティ情報をそのまま次段の第2デューティ補正部9055に出力する。
【0170】
第2デューティ補正部9055は、前記制限処理部9054から出力されるデューティ情報が示すデューティに対し、前記バッテリー電圧検出処理部903で検出されたバッテリー電圧に応じた補正を行うものである。
【0171】
バッテリー電圧が変化すると、前記電動モータ300に出力される前記第1〜第4駆動信号の電圧値(信号レベル)が、バッテリー電圧が変化していない場合に対して異なる。このように前記第1〜第4駆動信号の電圧値が変化すると、デューティが同一であっても駆動信号自身が持つ電力値、つまり電動モータ300に供給される電力値が変化するため、電動モータ300による作動トルク等が設計値からずれる。すなわち、電動モータ300の制御性能が変化する。特に、バッテリー電圧が設計値より大きくなった場合に、前記作動トルクが設計値より大きくなり、前記油圧ポンプ52の容積が目標容積をオーバーすることになるため特に問題となる。
【0172】
そこで、本実施の形態では、第2デューティ補正部9055は、前記制限処理部9054から出力されるデューティ情報が示すデューティに対し、図略のテーブルを用いた補正を行う。前記テーブルには、前記バッテリー電圧検出処理部903で検出されたバッテリー電圧Vsと、前記制限処理部9054から出力されるデューティ情報が示すデューティに対して前記第2デューティ補正部9055の補正を行うための補正係数βとの関係が規定されており、前記テーブルに規定された前記バッテリー電圧Vsと前記補正係数βとの関係をグラフで表すと図17のようになる。なお、図17の横軸は、前記バッテリー電圧Vsであり、縦軸は、前記補正係数βである。
【0173】
図17に示すように、バッテリー電圧Vsが比較的小さい0〜Vs1の範囲に対する前記補正係数βは、「1」に設定されている。
【0174】
一方、Vs1〜Vs2の範囲のバッテリー電圧Vsに対する補正係数βは、矢印Zで示すグラフで表される値に設定されている。このときの補正係数βは、バッテリー電圧が設計値より大きくなった場合に、前記作動トルクが設計値より大きくなり、前記油圧ポンプ52の容積が目標容積をオーバーするという前述の不具合を回避するため、図17に示すように、前記バッテリー電圧Vsの増大に比例して小さくなるように設定されている。
【0175】
第2デューティ補正部9055は、前記バッテリー電圧検出処理部903により検出されたバッテリー電圧Vsに対応する補正係数βを前記テーブルから導出し、前記制限処理部9054から出力されるデューティ情報が示すデューティに前記補正係数βを乗算する。
【0176】
例えば、現在のバッテリー電圧Vsが15(V)と検出され、このバッテリー電圧に対応する補正係数βが0.6である場合において、前記制限処理部9054から出力されたデューティ情報が示すデューティが60(%)であったときには、第2デューティ補正部9055は、前記デューティ「60(%)」を「36(=60×0.6)」と補正する。
【0177】
このような処理により、電動モータ300の制御性能の変化を防止することができる。
【0178】
前記第2デューティ補正部9055は、前記バッテリー電圧Vsに応じた補正後のデューティが前記第1駆動信号についてのものである場合には、その補正後のデューティを前記第1デューティDt1とし、該デューティを示すデューティ情報を次段の駆動信号出力部906に出力する。
【0179】
同様に、前記第2デューティ補正部9055は、前記バッテリー電圧Vsに応じた補正後のデューティが前記第2駆動信号についてのものである場合には、その補正後のデューティを前記第2デューティDt2とし、該デューティを示すデューティ情報を次段の駆動信号出力部906に出力し、前記補正後のデューティが前記第3駆動信号についてのものである場合には、その補正後のデューティを前記第3デューティDt3とし、該デューティを示すデューティ情報を次段の駆動信号出力部906に出力し、前記補正後のデューティが前記第4駆動信号についてのものである場合には、その補正後のデューティを前記第4デューティDt4とし、該デューティを示すデューティ情報を次段の駆動信号出力部906に出力する。
【0180】
駆動信号出力部906は、前記第2デューティ補正部9055から出力されるデューティ情報に基づき、前記電動モータ300に予め定められた周期の駆動信号を生成して出力するものである。
【0181】
すなわち、駆動信号出力部906は、前記デューティ設定部905から取得したデューティ情報が前記第1駆動信号のデューティDt1を示す場合には、前記デューティDt1の第1駆動信号を生成して電動モータ300に出力し、前記デューティ情報が前記第2駆動信号のデューティDt2を示す場合には、前記デューティDt2の第2駆動信号を生成して電動モータ300に出力し、前記デューティ情報が前記第3駆動信号のデューティDt3を示す場合には、前記デューティDt3の第3駆動信号を生成して電動モータ300に出力し、前記デューティ情報が前記第4駆動信号のデューティDt4を示す場合には、前記デューティDt4の第4駆動信号を生成して電動モータ300に出力する。
【0182】
図18は、制御装置90の処理を示すフローチャートである。
【0183】
図18に示すように、前記操向操作部材65が操作されると(ステップ♯1でYES)、現在容積検出処理部901は、現在容積センサ350の出力信号に基づき、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の現在容積を検出する処理を行い、目標容積検出処理部902は、目標容積センサ670の出力信号に基づき、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の目標容積を検出する処理を行い、バッテリー電圧センサ651の出力信号に基づき、バッテリー電圧を検出する処理を行う(ステップ♯2)。
【0184】
次に、偏差算出部904は、ステップ♯2で検出された前記現在容積と前記目標容積との偏差Dを算出し(ステップ♯3)、第1デューティ補正部9053は、前記偏差Dが零になった(前記現在容積が前記目標容積に到達した)か否かを判断する(ステップ♯4)。
【0185】
第1デューティ補正部9053は、前記偏差Dが零になっていないと判断すると(ステップ♯4でNO)、前記偏差Dに対応する補正値αを前記補正値記憶部9052から読み出し(ステップ♯5)、また、前記各期間P1〜P4のうち現在の期間に対応する基準デューティを前記基準デューティ記憶部9051から読み出す(ステップ♯6)。そして、第1デューティ補正部9053は、ステップ♯6で読み出した基準デューティをステップ♯5で読み出した補正値を用いて補正する(ステップ♯7)。
【0186】
制限処理部9054は、ステップ♯7の前記第1デューティ補正部9053による補正後のデューティが100(%)を超える値になっているか否かを判断し(ステップ♯8)、前記デューティが100(%)を超える値になっていると判断すると(ステップ♯8でYES)、そのデューティを100(%)に変換(置換)する制限処理を行って、この変換後のデューティを示すデューティ情報を次段の第2デューティ補正部9055に出力する(ステップ♯9)。一方、前記制限処理部9054は、ステップ♯8において前記デューティが100(%)を超える値になっていないと判断すると(ステップ♯8でNO)、ステップ♯9の処理を飛ばし、前記第1デューティ補正部9053から取得したデューティ情報をそのまま次段の第2デューティ補正部9055に出力する。
【0187】
ステップ♯8又は♯9の処理後、第2デューティ補正部9055は、前記制限処理部9054から出力されるデューティ情報が示すデューティに対し、ステップ♯2で検出されたバッテリー電圧に応じた補正を行う(ステップ♯10)。
【0188】
そして、駆動信号出力部906は、前記第2デューティ補正部9055から出力されるデューティ情報に基づき、前記電動モータ300に予め定められた周期の駆動信号を出力し(ステップ♯11)、ステップ♯2の処理に戻る。
【0189】
その後、ステップ♯4において、第1デューティ補正部9053は、前記偏差Dが零になったと判断すると(ステップ♯4でYES)、デューティ設定部905は、デューティの設定を停止し、駆動信号出力部906による駆動信号の出力を停止する(ステップ♯12)。
【0190】
以上のように、本実施形態では、前記クラッチ機構360を備えたので、電動モータ300の作動停止状態で前記モータ側容積調整機構135に電動モータ300の慣性力を超える中立側への外力が加わっても、前記電動モータ300の出力停止時における前記従動側アーム363の回転ロック構造の存在により、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の容積が意に反して変化するのを防止することができる。
【0191】
その結果、電動モータ300によるモータ側容積調整機構135の作動を許容しつつ、モータ側容積調整機構135等に加わる外力によって前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の容積が意に反して変化するのを防止することができる。
【0192】
また、高容積側通常駆動期間P4に出力される第4駆動信号のデューティを、中立側通常駆動期間P2に出力される第2駆動信号のデューティより大きく設定したので、中立側に付勢されている前記モータ側容積調整機構135に高容積側への作動を開始させる場合に、作動トルクが不足することなく確実に前記モータ側容積調整機構135を作動させることができる。
【0193】
また、モータ側容積調整機構135に中立側へ作動させる場合に、前記駆動側アーム361が前記従動側アーム363及び前記コンタクト部材364の双方を回転させるのに必要な作動トルクを生成する通常の駆動期間(中立側通常駆動期間P2)とは別に前記中立側始動期間P1を設け、該中立側始動期間P1に出力される第1駆動信号のデューティを、中立側通常駆動期間P2に出力される第2駆動信号のデューティより所要量大きく設定するようにしたので、モータ側容積調整機構135に中立側への作動を開始させる場合に、前記クラッチ機構360のロック状態を解除することができる。
【0194】
また、高容積側に駆動する場合に、前記駆動側アーム361が前記従動側アーム363及び前記コンタクト部材364の双方を回転させるのに必要な作動トルクを生成する通常の駆動期間(高容積側通常駆動期間P4)とは別に前記高容積側始動期間P3を設け、該高容積側始動期間P3に出力される第3駆動信号のデューティを、高容積側通常駆動期間P4に出力される第4駆動信号のデューティより大きく設定するようにしたので、中立側に付勢されているモータ側容積調整機構135に高容積側への作動を開始させる場合に、前記クラッチ機構360のロック状態を解除することができる。
【0195】
また、前記電動操作型油圧アクチュエータユニット100の現在容積が目標容積から離れているほど大きな補正値を用いて前記基準デューティを補正することで、現在容積が目標容積から離れているほど電動モータ300の作動トルクを増大させることができる。これにより、電動モータ300の回転速度の上昇率を増大させることができ、その結果、電動操作型油圧アクチュエータユニット100が目標容積に達するまでの時間を短縮することができる。
【0196】
また、第2デューティ補正部9055は、前記制限処理部9054から出力されるデューティ情報が示すデューティを現在のバッテリー電圧に応じて補正するようにしたので、バッテリー電圧が変化しても電動モータ300の制御性能が変化するのを防止することができる。
【0197】
本実施の形態においては、前記油圧ポンプユニットと、前記第1及び第2車輪を駆動する第1及び第2油圧モータユニットとを備え、前記第1及び第2車輪間に旋回半径差が生じる作業車輌において、第1及び第2油圧モータユニットの一方に本発明に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットを適用した場合を例に説明したが、本発明に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットは、他の形態を採り得る。
【0198】
例えば、本発明に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットを、作業車輌において変速幅を広げる為の油圧モータユニットとして使用することも可能である。
【0199】
具体的には、車輌フレームと、駆動源と、作業車輌における車輌前後方向一方側及び他方側に配設された第1及び第2車輪と、前記駆動源によって作動的に駆動される可変容積型の油圧ポンプユニットと、前記油圧ポンプユニットと共働してHSTを形成し、前記第1及び第2車輪の少なくとも一方を駆動する油圧モータユニットとを備えた作業車輌において、前記油圧モータユニットとして本発明に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットを用いることも可能である。
【0200】
この場合において、前記電動操作型油圧アクチュエータユニットは副変速装置として作用する。すなわち、前記作業車輌には、更に、前記油圧ポンプユニットによる主変速動作の指示を入力する操作を行うための主変速操作部材と、電動操作型油圧アクチュエータユニットによる副変速動作の指示を入力する操作を行うための副変速操作部材と、前記副変速操作部材への人為操作量(前記電動操作型油圧アクチュエータユニットの目標容積)を検出する副変速操作側検出部と、前記電動操作型油圧アクチュエータユニットの作動状態(現在容積)を検出する副変速作動側検出部と、制御装置とが備えられ、前記電動操作型油圧アクチュエータユニットは、前記副変速操作部材への人為操作量に応じて前記電動操作型油圧アクチュエータユニットの容積調整機構が作動するように前記副変速操作側検出部及び前記副変速作動側検出部からの信号に基づき、前記制御装置によって前記副変速動作の制御が行われるものとして作用する。
【0201】
これに代えて、本発明に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットを、油圧ポンプユニットとして使用することも可能である。
【0202】
具体的には、車輌フレームと、駆動源と、作業車輌における車輌前後方向一方側及び他方側に配設された第1及び第2車輪と、前記駆動源によって作動的に駆動される油圧ポンプユニットと、前記油圧ポンプユニットと共働してHSTを形成し、前記第1及び第2車輪の少なくとも一方を駆動する油圧モータユニットとを備えた作業車輌において、前記油圧ポンプユニットとして本発明に係る電動操作型油圧アクチュエータユニットを用いることも可能である。
【0203】
この場合において、前記電動操作型油圧アクチュエータユニットは主変速装置として作用する。すなわち、前記作業車輌には、更に、前記油圧ポンプユニットによる主変速動作の指示を入力する操作を行うための主変速操作部材と、前記主変速操作部材への人為操作量(前記電動操作型油圧アクチュエータユニットの目標容積)を検出する主変速操作側検出部と、前記電動操作型油圧アクチュエータユニットの作動状態(現在容積)を検出する主変速作動側検出部と、制御装置とが備えられ、前記電動操作型油圧アクチュエータユニットは、前記主変速操作部材への人為操作量に応じて前記電動操作型油圧アクチュエータユニットの容積調整機構が作動するように前記主変速操作側検出部及び前記主変速作動側検出部からの信号に基づき、前記制御装置によって前記主変速動作の制御が行われるものとして作用する。
【0204】
前記第1の実施の形態においては、前記第1〜第4駆動信号のデューティの設定条件につき、高容積側始動期間P3の長さを中立側始動期間P1の長さより長く設定することを前提として、高容積側始動期間P3に出力する第3駆動信号のデューティDt3を、中立側始動期間P1に出力する第1駆動信号のデューティDt1より大きく設定したが、この形態に限定されるものではなく、高容積側始動期間P3の長さを中立側始動期間P1の長さより長く設定するのであれば、前記デューティDt3と前記デューティDt1とは同一でもよい。
【0205】
一方、高容積側始動期間P3の長さを中立側始動期間P1の長さと同一にすることが前提であれば、前記第3デューティDt3を第1デューティDt1より大きく設定する必要がある。
【0206】
要は、モータ側容積調整機構135が中立側に付勢されている点、及び、前記クラッチ機構360のロック状態を解除する必要がある点を考慮して、前記高容積側始動期間P3における電動モータ300の作動トルクを、前記中立側始動期間P1における電動モータ300の作動トルクより大きくしようとする場合は、前記高容積側始動期間P3の間に出力される前記第3駆動信号のオン時間の積算値が、前記中立側始動期間P1に出力される第1駆動信号のオン時間の積算値より大きくなるようにすればよい。
【0207】
前記第1の実施の形態では、前記偏差算出部904により算出された偏差に対応する補正値を用いて、前記各期間P1〜P4のうち現在の期間に対応する基準デューティを補正する第1デューティ補正部9053を設けたが、第1デューティ補正部9053は必須の構成要件ではなく、本発明には、第1デューティ補正部9053による補正を行わない形態も含まれる。
【0208】
この場合、電動操作型油圧アクチュエータユニットには、前記第2デューティ補正部9055に代えて、基準デューティ記憶部9051から読み出されたデューティを現在のバッテリー電圧に応じて補正し、該補正後のデューティを示すデューティ情報を駆動信号出力部906に出力する基準デューティ補正部が備えられる。
【符号の説明】
【0209】
1 油圧四輪駆動作業車輌(作業車輌)
10 第1車輪
20 第2車輪
30 車輌フレーム
31 第1フレーム
32 第2フレーム
35 枢支軸
40 駆動源
50 油圧ポンプユニット
52 油圧ポンプ
54 ポンプ側容積調整機構
90 制御装置
100 電動操作型油圧アクチュエータユニット(第1油圧モータユニット)
120 第1油圧モータ
135 モータ側容積調整機構
200 第2油圧モータユニット
300 電動モータ
340 操作軸
350 現在容積センサ
360 クラッチ機構
650 バッテリー
651 バッテリー電圧センサ
670 目標容積センサ
680 センサ部
901 現在容積検出処理部
902 目標容積検出処理部
903 バッテリー電圧検出処理部
904 偏差算出部
905 デューティ設定部
9051 基準デューティ記憶部
9052 補正値記憶部
9053 第1デューティ補正部
9054 制限処理部
9055 第2デューティ補正部
906 駆動信号出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変容積型油圧アクチュエータと、前記可変容積型油圧アクチュエータの容積調整機構を作動させる操作力を発生する電動モータと、前記電動モータの駆動制御を司る制御装置とを備えた電動操作型油圧アクチュエータユニットであって、
前記容積調整機構と前記電動モータとの間に介挿されたクラッチ機構を備え、
前記クラッチ機構は、前記電動モータからの回転動力によってクラッチ基準軸周りに回転される駆動側部材と、前記駆動側部材によって前記クラッチ基準軸周りに回転され且つ前記容積調整機構に作動連結された従動側部材と、前記駆動側部材及び前記従動側部材を囲繞するクラッチケースと、前記駆動側部材によって前記従動側部材とともに前記クラッチ基準軸周りに回転されるように前記クラッチケースに収容されたコンタクト部材とを有し、前記電動モータの出力停止時に前記容積調整機構からの力によって前記従動側部材が前記クラッチ基準軸周りに押圧されると前記従動側部材が前記コンタクト部材を前記クラッチケースに向けて押し付けることで前記従動側部材の回転がロックされ、これにより前記従動側部材から前記駆動側部材への回転動力の伝達が防止されるように構成され、
前記制御装置は、前記電動モータに予め定められた周期の駆動信号を出力する駆動信号出力部と、前記駆動信号出力部に出力させる駆動信号のデューティを設定するデューティ設定部とを備え、
前記デューティ設定部は、
前記容積調整機構を中立側に作動させる必要が生じたとき、前記中立側への作動の開始時を起点とする予め定められた時間の中立側始動期間に前記電動モータへ出力すべき第1駆動信号のデューティと、前記中立側始動期間後の中立側通常作動期間に前記電動モータへ出力すべき第2駆動信号のデューティとを設定し、
前記容積調整機構を高容積側に作動させる必要が生じたとき、前記高容積側への作動の開始時を起点とする予め定められた時間の高容積側始動期間に前記電動モータへ出力すべき第3駆動信号のデューティと、前記高容積側始動期間後の高容積側通常作動期間に前記電動モータへ出力すべき第4駆動信号のデューティとを設定するものであって、
前記第1及び第4駆動信号のデューティが前記第2駆動信号のデューティより大きくなり、前記第3駆動信号のデューティが前記第4の駆動信号のデューティより大きくなり、前記高容積側始動期間に出力される前記第3駆動信号のオン時間の積算値が、前記中立側始動期間に出力される第1駆動信号のオン時間の積算値より大きくなるように、前記第1乃至第4駆動信号のデューティを設定する電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項2】
前記高容積側始動期間は、前記中立側始動期間より長い時間を有する期間であり、
前記デューティ設定部は、前記第1駆動信号のデューティ以上のデューティを前記第3駆動信号のデューティとして設定する請求項1に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項3】
前記高容積側始動期間は、前記中立側始動期間と同一の時間を有する期間であり、
前記デューティ設定部は、前記第1駆動信号のデューティより大きなデューティを前記第3駆動信号のデューティとして設定する請求項1に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項4】
前記可変容積型油圧アクチュエータの現在の容積を検出する現在容積検出部と、
前記可変容積型油圧アクチュエータの目標の容積を検出する目標容積検出部と、
前記現在容積検出部により検出された現在の容積と前記目標容積検出部により検出された目標の容積との偏差を算出する偏差算出部と
を備え、
前記デューティ設定部は、前記偏差算出部により算出された偏差に基づいて、前記容積調整機構を作動させるべき方向が高容積側であるか中立側であるかを判断し、その判断結果に応じて前記第1及び第2駆動信号のデューティ又は第3及び第4駆動信号のデューティのいずれか一方を設定する請求項1乃至3の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項5】
前記デューティ設定部は、
前記第1乃至第4駆動信号についてそれぞれ予め設定されたデューティの初期値を基準デューティとして予め記憶する基準デューティ記憶部と、
前記基準デューティを前記偏差算出部により算出された偏差に応じて補正するための補正値を予め記憶する補正値記憶部と、
前記偏差算出部により偏差が算出されると、その偏差に対応する補正値を前記補正値記憶部から読み出し、前記各期間のうち現在の期間に対応する基準デューティを、読み出した補正値を用いて補正する第1デューティ補正部と
を更に備える請求項1乃至4の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項6】
前記補正値は、前記偏差算出部により算出される偏差が大きいほど大きな値を有するものとされている請求項5に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項7】
前記デューティ設定部は、前記電動モータの電力源となるバッテリーの電圧に応じて、前記第1デューティ補正部による補正後のデューティを補正する第2デューティ補正部を更に備える請求項5又は6に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項8】
前記第2デューティ補正部は、前記バッテリーの電圧の増大に比例して前記デューティを小さくする補正を行う請求項7に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項9】
前記デューティ設定部は、
前記第1乃至第4駆動信号についてそれぞれ予め設定されたデューティの初期値を基準デューティとして予め記憶する基準デューティ記憶部と、
前記電動モータの電力源となるバッテリーの電圧に応じて、前記第1乃至第4駆動信号のうち現在の期間で出力すべき駆動信号についての基準デューティを補正する基準デューティ補正部を更に備える請求項1乃至4の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項10】
前記基準デューティ補正部は、前記バッテリーの電圧の増大に比例して前記デューティを小さくする補正を行う請求項9に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項11】
前記駆動側部材は、前記クラッチ基準軸の軸線を基準にして周方向を向く側面が前記従動側部材及び前記コンタクト部材の双方における周方向を向く側面を周方向に押圧し得るように構成され、
前記クラッチ基準軸の軸線に沿って視た際に、前記軸線位置から前記従動側部材の径方向外方を向く外端面は、前記軸線位置までの距離が前記コンタクト部材から前記軸線位置までの距離Lより小さい周方向中心部と前記距離Lより大きい周方向外側部とを有する請求項1乃至10の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニット。
【請求項12】
車輌フレームと、
前記車輌フレームに支持された駆動源と、
前記車輌フレームの前後方向一方側及び他方側に支持された第1及び第2車輪と、
前記駆動源によって作動的に駆動される油圧ポンプユニットと、
前記油圧ポンプユニットに流体接続され且つ前記第1及び第2車輪を作動的に駆動する第1及び第2油圧モータユニットと
を備え、
前記第1車輪を作動的に駆動する第1油圧モータユニットは請求項1乃至11の何れか一項に記載の電動操作型油圧アクチュエータユニットである油圧四輪駆動作業車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−36774(P2012−36774A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175749(P2010−175749)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000125853)株式会社 神崎高級工機製作所 (210)
【Fターム(参考)】