説明

電動調理器

【課題】サラダ野菜の水切り時の振動が大きかった。
【解決手段】電動機2を内蔵した製品本体1と、前記電動機2への通電を制御する制御部7と、前記製品本体1の上に載置される容器8と、前記容器8内に収容されると共に減速機構20を介して前記電動機2により回転駆動される食材用籠容器10を備え、前記電動機2に断続通電して前記食材用籠容器10を断続回転させるようにしたもので、食材用籠容器10の回転速度が下がり、振動・騒音を抑制すると共に、回転速度が速すぎることによる食材13のつぶれを確実に防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動調理器に関するもので、特に、電動機による動力にてサラダ野菜等の水を切る電動調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動調理器においては、図3に示すように、電動機101の回転動力により高速回転する食材用籠容器102に、千切りキャベツやサラダ用のレタス等の食材103を投入し、食材用籠容器102を高速回転させて、食材103の水を切るようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−33389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の電動調理器の構成では、水切り時の食材用籠容器102の回転が速いため、製品の振動・騒音が激しすぎるという課題を有していた。また、回転が速すぎるため食材用籠容器102内の食材103がつぶれてしまい食感が悪くなるいという課題も有していた。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、振動・騒音が少なく、食材をつぶしてしまうことなく確実に水切りをおこなうことができる電動調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電動調理器は、電動機を内蔵した製品本体と、前記電動機への通電を制御する制御部と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記電動機に断続通電して前記食材用籠容器を断続回転させるようにしたもので、食材用籠容器の回転速度が下がり、振動・騒音を抑制すると共に、回転速度が速すぎることによる食材のつぶれを確実に防ぐことができる。
【0006】
また、本発明の電動調理器は、電動機を内蔵した製品本体と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記食材用籠容器の内面に凸部を設けたもので、水切り回転中の食材用籠容器内での食材の移動を防止し、それに起因する回転アンバランス振動を防ぐことができる。
【0007】
また、本発明の電動調理器は、電動機を内蔵した製品本体と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記食材用籠容器の側面に複数の孔を設けると共に、前記食材用籠容器の底面に孔を設けないようにしたもので、水切り時に食材用籠容器から排出され容器内に溜まった水が、水切り回転停止時に食材用籠容器の底面から再び食材用籠容器内に戻ってくることを防止することができるため、食材用籠容器底面と容器との間の距離を少なくして、機器をコンパクトにすることができる。
【0008】
また、本発明の電動調理器は、電動機を内蔵した製品本体と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記食材用籠容器の内面中央に略円筒形状部を設けたもので、使用者は略円筒形状部をつかみ容器から食材用籠容器を容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電動調理器は、振動・騒音が少なく、食材をつぶしてしまうことなく確実に水切りができるので、千切りキャベツや野菜サラダ等を美味しく調理することができ、使用者が安全に安心して快適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、電動機を内蔵した製品本体と、前記電動機への通電を制御する制御部と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記電動機に断続通電して前記食材用籠容器を断続回転させるようにしたもので、食材用籠容器の回転速度が下がり、振動・騒音を抑制すると共に、回転速度が速すぎることによる食材のつぶれを確実に防ぐことができる。
【0011】
第2の発明は、特に、第1の発明の断続通電時のOFF時間を、ON時に回転した食材用籠容器が一旦停止する時間以上に設定したもので、より確実に食材用籠容器の回転速度を下げることができ、振動・騒音を抑制し、また、より確実に回転速度が速すぎることによる食材のつぶれを防ぐことができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の断続通電時のON時間を0.03〜0.1秒の間とし、OFF時間を0.4〜1秒の間としたもので、より確実に食材用籠容器の回転速度が下げられ、振動・騒音をより抑制すると共に、回転速度が速すぎることによる食材のつぶれをより確実に防ぐことができる。
【0013】
第4の発明は、電動機を内蔵した製品本体と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記食材用籠容器の内面に凸部を設けたもので、水切り回転中の食材用籠容器内での食材の移動を防止し、それに起因する回転アンバランス振動を防ぐことができる。
【0014】
第5の発明は、特に、第4の発明の食材用籠容器の上面を覆う籠蓋を備え、前記籠蓋下面に凸部を設けたもので、より確実に水切り回転中の食材用籠容器内での食材の移動およびそれに起因する回転アンバランス振動を防ぐことができる。
【0015】
第6の発明は、電動機を内蔵した製品本体と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記食材用籠容器の側面に複数の孔を設けると共に、前記食材用籠容器の底面に孔を設けないようにしたもので、水切り時に食材用籠容器から排出され容器内に溜まった水が、水切り回転停止時に食材用籠容器の底面から再び食材用籠容器内に戻ってくることを防止することができるため、食材用籠容器底面と容器との間の距離を少なくして、機器をコンパクトにすることができる。
【0016】
第7の発明は、特に、第6の発明の孔を、食材用籠容器の側面の下部以外の部分に配したもので、水切り時に食材用籠容器から排出され容器内に溜まった水が、水切り回転停止時に食材用籠容器の側面下部および底面から再び食材用籠容器内に戻ってくるのを防止できるので、食材用籠容器底面と容器との間の距離をより少なくして、より機器をコンパクトにすることができる。
【0017】
第8の発明は、電動機を内蔵した製品本体と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記食材用籠容器の内面中央に略円筒形状部を設けたもので、使用者は略円筒形状部をつかみ容器から食材用籠容器を容易に取り出すことができる。
【0018】
第9の発明は、特に、第8の発明の食材用籠容器の上面を覆うと共に外周端部が食材用籠容器の上端部と係合する籠蓋を備え、前記籠蓋と前記食材用籠容器のそれぞれの中心を合わせる位置決め部を前記籠蓋および前記食材用籠容器に設けたもので、水切り回転時の食材用籠容器の回転軸からの偏心と変形およびそれに起因する回転アンバランス振動を防ぐことができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における電動調理器の断面図、図2は、同電動調理器の食材用籠容器と籠蓋の斜視図である。
【0021】
図1、図2において、1は、本実施の形態における電動調理器の製品本体で、電動機2が内蔵されている。電動機2の回転動力は、小プーリ3と、ベルト4と、大プーリ5から構成された減速機構20を介して、減速されながら駆動軸6に伝達され、駆動軸6が回転する。
【0022】
電動機2への通電のON/OFFは、制御部7により制御される。製品本体1の上には、容器8が着脱自在に載置され、容器8の上方は、容器蓋9で開閉自在に覆われている。容器8内には、千切りキャベツ、レタス、オニオンスライス等のサラダ野菜や、茹でたほうれん草等の水を切りたい食材13を入れる食材用籠容器10が駆動軸6に着脱自在に装着される。食材用籠容器10の上方は籠蓋11で蓋をしている。食材用籠容器10の側面10aに複数の孔12が設けられている。
【0023】
食材用籠容器10の内面には、食材用籠容器10内での食材13の移動を防止するための凸部としてリブ14が設けられている。
【0024】
食材用籠容器10は、駆動軸6により回転し、回転遠心力により中の食材13の水が孔12を通り容器8内に排出され食材13の水が脱水される。
【0025】
本実施の形態では、食材13の水切り時に、制御部7の制御により電動機2をON/OFFの断続通電して、食材用籠容器10を断続回転させるようにしている。これにより、食材用籠容器10の回転速度が下げられ、振動・騒音を抑制することができると共に、回転速度が速すぎることによる食材13のつぶれを防ぐことができる。
【0026】
電動機2として、一般的に、安価な整流子モーターを用いる場合が多いが、食材用籠容器10の回転数を下げるために、小プーリ3と大プーリ5の直径比率で大きく減速すればよいが、それでは減速機構が大きくなり機器のコンパクト化の妨げとなるため、本実施の形態のように、電動機2のON/OFF制御で減速させることにより、コンパクトな電動調理器を実現することができる。
【0027】
また、ON/OFF断続通電時のOFF時間を、ON時に回転した食材用籠容器10が一旦停止する時間以上に設定することにより、より確実に食材用籠容器10の回転速度を下げることができ、振動・騒音を抑制することができる。また、回転速度が速すぎることによる食材13のつぶれをより確実に防ぐことができる。
【0028】
また、ON時間を0.03秒から0.1秒の間とし、OFF時間を0.4秒から1秒の間とすることにより、最適な振動の抑制と水切り性能のバランスを図ることができ、より確実に食材用籠容器10の回転速度を下げることができ、振動・騒音を抑制することができる。また、回転速度が速すぎることによる食材13のつぶれをより確実に防ぐことができる。
【0029】
また、食材用籠容器10の内面には、図2に示すようにリブ14を設けているため、回転のON/OFFによる水切り回転中に、食材用籠容器10内での食材13の移動およびそれに起因する回転アンバランス振動を防ぐことができる。したがって、より振動の少ない機器を実現することが可能となる。
【0030】
また、食材用籠容器10の上面を覆う籠蓋11の下面にも、図2に示すように凸部として籠蓋リブ15を設けているので、食材用籠容器10内の食材13の上部が籠蓋リブ15により移動しにくくなる。したがって、より確実に、水切り回転中の食材用籠容器10内での食材13の移動およびそれに起因する回転アンバランス振動を防ぐことができる。
【0031】
また、水を排出する孔12を食材用籠容器10の側面10aに設け、食材用籠容器10の底面10bには容器8と連通する孔を一切設けないようにすることで、水切り時に食材用籠容器10から排出され容器8内に溜まった水が、水切り回転停止時に、底面10bから再び食材用籠容器10に戻ってくることを防止することができる。
【0032】
したがって、食材用籠容器10底面と容器8との間の距離を少なくして、製品本体1をコンパクトにすることができる。また、孔12を、食材用籠容器10の側面10aの下部に設けないようにすることで、食材用籠容器10底面と容器8との間の距離をより少なくすることができ、その分、製品本体1をよりコンパクトにすることができる。
【0033】
また、図1に示すように、食材用籠容器10の内面中央に円筒形状部16を設けることにより、使用者は円筒形状部16をつかみ容器8から食材用籠容器10を容易に取り出すことができ使い勝手が良い。
【0034】
また、図1に示すように、食材用籠容器10の上面を覆う籠蓋11の内面中央より軸ボス17を垂下させ、一方、食材用籠容器10の円筒形状部16の上部に軸ボス17が挿入される軸穴18を設けており、籠蓋11で食材用籠容器10の上面を覆う際に、その外周端部11aを外側から食材用籠容器10の上端部にぶせると、籠蓋11の中央の軸ボス17と円筒形状16の上部に設けられた軸穴18が位置決め部となって、回転軸と中心を合わせる位置決めが行われ、水切り回転時の食材用籠容器10の回転軸からの偏心と変形およびそれに起因する回転アンバランス振動を防ぐことができ、振動が少ないスムースな水切り回転をおこなうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上のように、本発明にかかる電動調理器は、サラダ野菜等の水切りを静粛かつスムースにでき、かつ食材がつぶれることがないもので、家庭用、業務用の電動調理器に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1における電動調理器の断面図
【図2】同電動調理器の食材用籠容器及び籠蓋の斜視図
【図3】従来の電動調理器の断面図
【符号の説明】
【0037】
1 製品本体
2 電動機
7 制御部
8 容器
10 食材用籠容器
11 籠蓋
12 孔
13 食材
14 リブ(凸部)
15 籠蓋リブ(凸部)
16 円筒形状部
17 軸ボス(位置決め部)
18 軸穴(位置決め部)
20 減速機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を内蔵した製品本体と、前記電動機への通電を制御する制御部と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記電動機に断続通電して前記食材用籠容器を断続回転させるようにした電動調理器。
【請求項2】
断続通電時のOFF時間を、ON時に回転した食材用籠容器が一旦停止する時間以上に設定した請求項1に記載の電動調理器。
【請求項3】
断続通電時のON時間を0.03〜0.1秒の間とし、OFF時間を0.4〜1秒の間とした請求項1又は2に記載の電動調理器。
【請求項4】
電動機を内蔵した製品本体と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記食材用籠容器の内面に凸部を設けた電動調理器。
【請求項5】
食材用籠容器の上面を覆う籠蓋を備え、前記籠蓋下面に凸部を設けた請求項4に記載の電動調理器。
【請求項6】
電動機を内蔵した製品本体と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記食材用籠容器の側面に複数の孔を設けると共に、前記食材用籠容器の底面に孔を設けないようにした電動調理器。
【請求項7】
孔を、食材用籠容器の側面の下部以外の部分に配した請求項6に記載の電動調理器。
【請求項8】
電動機を内蔵した製品本体と、前記製品本体の上に載置される容器と、前記容器内に収容されると共に減速機構を介して前記電動機により回転駆動される食材用籠容器を備え、前記食材用籠容器の内面中央に略円筒形状部を設けた電動調理器。
【請求項9】
食材用籠容器の上面を覆うと共に外周端部が食材用籠容器の上端部と係合する籠蓋を備え、前記籠蓋と前記食材用籠容器のそれぞれの中心を合わせる位置決め部を前記籠蓋および前記食材用籠容器に設けた請求項8に記載の電動調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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