電動送風機
【課題】従来の電動送風機は、十数枚の翼からなるディフューザ上面の一枚一枚に正確に弾性体を設ける必要があるので、組立性・作業性が悪いといった欠点があった。
【解決手段】ファンケーシングとディフューザ上面との間に円環部を構成し、その円環部は前記ディフューザ上面に接合して一体化した構成とした。
【解決手段】ファンケーシングとディフューザ上面との間に円環部を構成し、その円環部は前記ディフューザ上面に接合して一体化した構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、前記遠心ファンと同軸に配置されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有する電動送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電動送風機について図11を用いて説明する。
【0003】
電動送風機は主に、整流子電動機と整流子電動機の回転軸に直結された遠心ファン12と、遠心ファンの外周側に遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザ13と、ディフューザと一体に成形されるリターンガイド14と、遠心ファン12とディフューザ13を覆うファンケーシング15からなる。ファンケーシング15は、ディフューザ13の上面に接触する位置まで電動機のハウジングに圧入して組み立てられディフューザを挟持する。
【0004】
整流子電動機が運転を始めると、空気は整流子電動機の回転軸に直結された遠心ファンの回転で空気取り入れ口16から遠心ファンに流入して遠心力によって動圧が与えられ、ディフューザに流入して流速を落として静圧へと圧力回復し、リターンガイドで整流子電動機内に導かれて整流子電動機内部を通り外界へ放出される。
【0005】
一般にファンケーシングはプレス加工により複雑な形状をなし、またディフューザは複雑な形状の多数のブレード翼を有する成型品で作られる。そのためファンケーシングのディフューザ上面と接触する面には、プレス加工のばらつきによる板厚の不均一やひずみによる凹凸が生じ、またディフューザ上面にもひけや変形のため同じく凹凸が生じる。そのため、電動送風機を組み立てたとき、ファンケーシングとディフューザ上面が接する面には隙間ができ、遠心ファンからディフューザに流入した空気流の一部がその隙間を円周方向に流れ、この翼間の漏れ流れにより、その分電動送風機の性能を低下させる。
【0006】
そこでこの隙間をふさぎ、円周方向に空気が流れるのを防止する手段として例えば実開平3−13499号公報には次のような技術が開示されている。
1)ディフューザ上面に弾性体を設けてファンケーシングと接する面を密着させる。
2)ファンケーシングの、ディフューザ上面と接する面に弾性を持ったコーティング材を付着させて、ファンケーシングとディフューザ上面を密着させる。
【0007】
また、特開平6−193595号公報に以下のような技術が開示されている。
1)ファンケーシングのディフューザ上面と接する面に、ディフューザ上面と同じ形状の溝を設けてディフューザ上面とファンケーシングの溝を嵌合させ、ファンケーシングとディフューザ上面の間の隙間の流体抵抗を大きくし、空気が隙間を円周方向に流れにくくする。
2)ディフューザ上面とファンケーシングの間にシート(実施例では厚さ0.1〜0.3mmの剛性を有するゴムを介在させて隙間をシールし、空気が隙間を円周方向に流れるのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−193595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記実開平3−13499号公報に開示されているような技術においては、ディフューザ上面が十数枚の翼からなり、その一枚一枚に正確に弾性体を設ける必要があるので、組立性・作業性が悪いといった欠点があった。
【0010】
また、ディフューザ上面と接するファンケーシングの面に弾性を持ったコーティング材を付着させる技術においては、不必要な部分にコーティング材が付着するのを防ぐためマスキングをしなくてはならず、ファンケーシングは複雑な形状をしているので非常に作業性が悪いといった欠点があった。
【0011】
また、特開平6−193595号公報に開示されているような技術においては、ファンケーシングの溝とディフューザ上面の位置を正確に合わせるのが困難であり、組立性・作業性が悪いといった欠点があった。
【0012】
さらに、ディフューザの上面とファンケーシングの間にシートを介在させる技術においては、介在させるシートがファンケーシングのプレス加工のばらつきによる凹凸とディフューザのひけや変形によって生じる隙間をシールしなくてはならないので、シートを厚くしなければならず、この場合隙間の小さい箇所ではディフューザ上面のシートへのくい込み量が大きくなって図10のようにディフューザの流路19の面積を低下させ性能の低下を引き起こしてしまうといった欠点がある。またくい込み量を小さくするためにシートを薄くした場合、ディフューザの流路を流れる空気流によってシートがはためいて、騒音の発生や空気抵抗を増加させ電動送風機の性能低下を引き起こすことがある。
【0013】
さらに、組み立てる際にディフューザの中心とシートの中心がずれた場合、シート内周側と遠心ファンの外周側が接触して電動送風機の破損を引き起こす危険性がある。
【0014】
そこで本発明の目的は、上記課題を解決してファンケーシングとディフューザ上面の接する面での隙間を効果的になくし、効率の高い電動送風機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の特徴とするところは、整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、該遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、前記ファンケーシングと前記ディフューザ上面との間に円環部を構成し、その円環部は前記ディフューザ上面に接合一体化した構成としたことにある。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の特徴とするところは、整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、該遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、前記ファンケーシングと前記ディフューザとの間に円環部を構成し、その円環部に前記ディフューザのブレードを一体的に形成し前記ディフューザのブレード下面と接する前記ディフューザのシラウド板との間で接合一体化した構成としたことにある。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の特徴とするところは、整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、前記遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、前記ファンケーシングと前記ディフューザとの間に円環部を構成し、その円環部に前記ディフューザのブレード上部を一体的に形成し、前記ディフューザのブレード下部と前記ディフューザのシラウド板とを一体的に形成し、前記ブレード上部と前記ブレード下部との間で接合一体化した構成としたことにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ファンケーシングとディフューザ上面との間に円環部を構成し、この円環部をディフューザ上面に接合し一体化することにより、ファンケーシング側との間は、広い面でシールすることになり、またディフューザ側とは、一体化によるシールをすることができ、遠心ファンからディフューザに流入した空気の一部が隙間を円周方向に流れるのを防いで高効率の電動送風機を実現できる。また、円環部は単純な形状であり、円環部の軸心とディフューザの軸心を容易に一致させて事前に組み立てておくことができ、円環部内周側と遠心ファンの外周側が接触して電動送風機の破損を引き起こす危険性を回避できる。
【0019】
また本発明の第二の手段では円環部をディフューザのブレードと一体的に形成する構成とすることにより、同一のディフューザのシラウド側部品に対して複数種のディフューザのブレード側とを組み合わせることが可能であり、複数種の電動送風機とすることができる。
【0020】
また本発明の第三の手段によれば、ディフューザのブレードの上半分と下半分をそれぞれ円環部、とディフューザのシラウド板側と一体的に形成することによって各々のブレード端面を突き合わせて接合する構成とすることにより、金型内で合成樹脂等で成形する場合、実現不可能な立体構造も接合面の位置を選ぶことにより自在に設計可能となる。事例の如くブレード先端部形状やブレード断面形状選択や、ブレード中間部に貫通穴や、凹凸,溝を設けることが可能であり空力性能の向上、流体騒音の低減設計に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の手段の実施例である電動送風機の断面図である。
【図2】本発明の第1の手段の実施例である電動送風機の部分断面図である。
【図3】本発明の第1の手段の実施例であるディフューザと円環部の組立体図である。
【図4】本発明の第2の手段の実施例である電動送風機の部分断面図である。
【図5】本発明の第3の手段の実施例である電動送風機の部分断面図である。
【図6】本発明の第3の手段の1実施例である送風機部分の斜視図である。
【図7】本発明の第3の手段の1実施例である電動送風機の部分断面図である。
【図8】本発明の第3の手段の1実施例である送風機部分の斜視図である。
【図9】本発明の第3の手段の1実施例である送風機部分の斜視図である。
【図10】従来の技術の問題点を示す電動送風機の部分断面図である。
【図11】従来の技術の問題点を示す電動送風機の断面図である。
【図12】本発明の実施例に係る電動送風機の正面図である。
【図13】本発明の実施例に係る電動送風機の下面図である。
【図14】本発明の実施例に係る電動送風機の側面図である。
【図15】本発明の実施例に係る電動送風機の上面図である。
【図16】本発明の実施例に係るディフューザ及びリターンガイドを示す図である。
【図17】本発明の実施例に係るディフューザの下面図である。
【図18】本発明の実施例に係るディフューザの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明について図を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は電動送風機1の内部構造を示したものである。
【0024】
電動送風機1はハウジング2とハウジング2に固定された固定子3,ハウジング2に設けられた軸受け4aとエンドブラケット17に設けられた軸受け4bによって保持される回転軸5,回転軸5に固定された回転子6,回転軸5に固定された整流子7,整流子7との電気的接続を行うブラシ8とそれを保持するとともにハウジング2に固定するためのホルダ9,ねじ18により回転軸5の一端に固定される遠心ファン12,遠心ファン12から出た空気流の流速を落とし圧力回復するディフューザ13,ディフューザと一体に成形され空気流を電動機内部へ導くリターンガイド14,遠心ファン12とディフューザ13を覆うファンケーシング15によって構成される。
【0025】
整流子7は、その円周面に整流子片を有し、各整流子片は回転子6内のコイルと接続されている。ブラシ8は、ばね10により整流子7に押し付けられ、整流子7に摺接している。11はブラシ8と外部電極を接続するためブラシ8と電気的に接続されたリード線であり、ホルダ9に設けられた端子(図示せず)と接続されている。
【0026】
電動送風機1が回転を開始すると回転子6が回転し、回転子6と同軸に固定された遠心ファン12も回転する。遠心ファン12が回転するとケーシング15の空気取り入れ口16から空気が流入し、遠心ファン12,ディフューザ13,リターンガイド14を通り電動機内部へと流れ込み電動機の排気口から外界へ放出される。
【0027】
このときファンケーシングとディフューザ上面の接触する面に隙間があると、その隙間を遠心ファンからディフューザに流入した空気の一部が円周方向に流れ、この漏れ空気流により電動送風機の効率を低下させる。
【0028】
そこで本発明の第一の手段では、図2のようにファンケーシングとディフューザ上面との間に、円環部24を構成し、その円環部24はディフューザ上面に接合し一体化した構成とすることにより、ファンケーシングの凹凸による隙間はファンケーシングに接する平面22によりシールし、ディフューザのひけや変形による隙間はディフューザ上面に接合してシールすることにより、性能の低下を最小限に抑えられる。
【0029】
またこの手段によれば、円環部24をディフューザと同一材料または類似の合成樹脂等で形成し、剛性を有する構造とすれば、シートを介在させる場合のようにディフューザ流路を流れる空気流によってはためくことがなく、騒音の発生や空気抵抗の増加による電動送風機の性能低下を防ぐことができる。
【0030】
さらに図3のように本発明によれば、円環部の軸心とディフューザの軸心のずれδがないように事前に接合しておくことができ、組み立ての際には従来通りディフューザの組立体を組み付けることにより半径方向の位置が規定されて円環部の中心と遠心ファンおよびファンケーシングの中心が一致し、円環内周側と遠心ファンの外周側が接触して電動送風機の破損を引き起こす危険性を回避できる。
【0031】
次に本発明の第二の手段では、図4のように円環部24をディフューザのブレード23と一体的に形成し、このディフューザのブレード下面25と接するディフューザのシラウド板26との間で接合するようにしてもよく、同一のディフューザのシラウド26に対して複数種のディフューザのブレード側とを組み合わせることも可能であり、複数種の電動送風機とすることができる。
【0032】
また図5に示す第三の手段によれば、ディフューザのブレードの上半分23aと下半分23bをそれぞれ円環部24とディフューザのシラウド板26と一体的に形成することによって、各々のブレード端面を突き合わせて接合する構成としたもので、図6の如く空気流の入り口側のブレード先端部29の形状や図7の如くブレード断面30の形状を自在に選ぶことができる。また、図8,図9の如くブレード中間部に一つまたは複数個の穴27や溝28、を設けることが可能であり空力性能の向上、流体騒音の低減設計に活用することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
2…ハウジング、12…遠心ファン、13…ディフューザ、14…リターンガイド、15…ファンケーシング、24…円環部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、前記遠心ファンと同軸に配置されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有する電動送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電動送風機について図11を用いて説明する。
【0003】
電動送風機は主に、整流子電動機と整流子電動機の回転軸に直結された遠心ファン12と、遠心ファンの外周側に遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザ13と、ディフューザと一体に成形されるリターンガイド14と、遠心ファン12とディフューザ13を覆うファンケーシング15からなる。ファンケーシング15は、ディフューザ13の上面に接触する位置まで電動機のハウジングに圧入して組み立てられディフューザを挟持する。
【0004】
整流子電動機が運転を始めると、空気は整流子電動機の回転軸に直結された遠心ファンの回転で空気取り入れ口16から遠心ファンに流入して遠心力によって動圧が与えられ、ディフューザに流入して流速を落として静圧へと圧力回復し、リターンガイドで整流子電動機内に導かれて整流子電動機内部を通り外界へ放出される。
【0005】
一般にファンケーシングはプレス加工により複雑な形状をなし、またディフューザは複雑な形状の多数のブレード翼を有する成型品で作られる。そのためファンケーシングのディフューザ上面と接触する面には、プレス加工のばらつきによる板厚の不均一やひずみによる凹凸が生じ、またディフューザ上面にもひけや変形のため同じく凹凸が生じる。そのため、電動送風機を組み立てたとき、ファンケーシングとディフューザ上面が接する面には隙間ができ、遠心ファンからディフューザに流入した空気流の一部がその隙間を円周方向に流れ、この翼間の漏れ流れにより、その分電動送風機の性能を低下させる。
【0006】
そこでこの隙間をふさぎ、円周方向に空気が流れるのを防止する手段として例えば実開平3−13499号公報には次のような技術が開示されている。
1)ディフューザ上面に弾性体を設けてファンケーシングと接する面を密着させる。
2)ファンケーシングの、ディフューザ上面と接する面に弾性を持ったコーティング材を付着させて、ファンケーシングとディフューザ上面を密着させる。
【0007】
また、特開平6−193595号公報に以下のような技術が開示されている。
1)ファンケーシングのディフューザ上面と接する面に、ディフューザ上面と同じ形状の溝を設けてディフューザ上面とファンケーシングの溝を嵌合させ、ファンケーシングとディフューザ上面の間の隙間の流体抵抗を大きくし、空気が隙間を円周方向に流れにくくする。
2)ディフューザ上面とファンケーシングの間にシート(実施例では厚さ0.1〜0.3mmの剛性を有するゴムを介在させて隙間をシールし、空気が隙間を円周方向に流れるのを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−193595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記実開平3−13499号公報に開示されているような技術においては、ディフューザ上面が十数枚の翼からなり、その一枚一枚に正確に弾性体を設ける必要があるので、組立性・作業性が悪いといった欠点があった。
【0010】
また、ディフューザ上面と接するファンケーシングの面に弾性を持ったコーティング材を付着させる技術においては、不必要な部分にコーティング材が付着するのを防ぐためマスキングをしなくてはならず、ファンケーシングは複雑な形状をしているので非常に作業性が悪いといった欠点があった。
【0011】
また、特開平6−193595号公報に開示されているような技術においては、ファンケーシングの溝とディフューザ上面の位置を正確に合わせるのが困難であり、組立性・作業性が悪いといった欠点があった。
【0012】
さらに、ディフューザの上面とファンケーシングの間にシートを介在させる技術においては、介在させるシートがファンケーシングのプレス加工のばらつきによる凹凸とディフューザのひけや変形によって生じる隙間をシールしなくてはならないので、シートを厚くしなければならず、この場合隙間の小さい箇所ではディフューザ上面のシートへのくい込み量が大きくなって図10のようにディフューザの流路19の面積を低下させ性能の低下を引き起こしてしまうといった欠点がある。またくい込み量を小さくするためにシートを薄くした場合、ディフューザの流路を流れる空気流によってシートがはためいて、騒音の発生や空気抵抗を増加させ電動送風機の性能低下を引き起こすことがある。
【0013】
さらに、組み立てる際にディフューザの中心とシートの中心がずれた場合、シート内周側と遠心ファンの外周側が接触して電動送風機の破損を引き起こす危険性がある。
【0014】
そこで本発明の目的は、上記課題を解決してファンケーシングとディフューザ上面の接する面での隙間を効果的になくし、効率の高い電動送風機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明の特徴とするところは、整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、該遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、前記ファンケーシングと前記ディフューザ上面との間に円環部を構成し、その円環部は前記ディフューザ上面に接合一体化した構成としたことにある。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の特徴とするところは、整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、該遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、前記ファンケーシングと前記ディフューザとの間に円環部を構成し、その円環部に前記ディフューザのブレードを一体的に形成し前記ディフューザのブレード下面と接する前記ディフューザのシラウド板との間で接合一体化した構成としたことにある。
【0017】
上記課題を解決するための本発明の特徴とするところは、整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、前記遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、前記ファンケーシングと前記ディフューザとの間に円環部を構成し、その円環部に前記ディフューザのブレード上部を一体的に形成し、前記ディフューザのブレード下部と前記ディフューザのシラウド板とを一体的に形成し、前記ブレード上部と前記ブレード下部との間で接合一体化した構成としたことにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ファンケーシングとディフューザ上面との間に円環部を構成し、この円環部をディフューザ上面に接合し一体化することにより、ファンケーシング側との間は、広い面でシールすることになり、またディフューザ側とは、一体化によるシールをすることができ、遠心ファンからディフューザに流入した空気の一部が隙間を円周方向に流れるのを防いで高効率の電動送風機を実現できる。また、円環部は単純な形状であり、円環部の軸心とディフューザの軸心を容易に一致させて事前に組み立てておくことができ、円環部内周側と遠心ファンの外周側が接触して電動送風機の破損を引き起こす危険性を回避できる。
【0019】
また本発明の第二の手段では円環部をディフューザのブレードと一体的に形成する構成とすることにより、同一のディフューザのシラウド側部品に対して複数種のディフューザのブレード側とを組み合わせることが可能であり、複数種の電動送風機とすることができる。
【0020】
また本発明の第三の手段によれば、ディフューザのブレードの上半分と下半分をそれぞれ円環部、とディフューザのシラウド板側と一体的に形成することによって各々のブレード端面を突き合わせて接合する構成とすることにより、金型内で合成樹脂等で成形する場合、実現不可能な立体構造も接合面の位置を選ぶことにより自在に設計可能となる。事例の如くブレード先端部形状やブレード断面形状選択や、ブレード中間部に貫通穴や、凹凸,溝を設けることが可能であり空力性能の向上、流体騒音の低減設計に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の手段の実施例である電動送風機の断面図である。
【図2】本発明の第1の手段の実施例である電動送風機の部分断面図である。
【図3】本発明の第1の手段の実施例であるディフューザと円環部の組立体図である。
【図4】本発明の第2の手段の実施例である電動送風機の部分断面図である。
【図5】本発明の第3の手段の実施例である電動送風機の部分断面図である。
【図6】本発明の第3の手段の1実施例である送風機部分の斜視図である。
【図7】本発明の第3の手段の1実施例である電動送風機の部分断面図である。
【図8】本発明の第3の手段の1実施例である送風機部分の斜視図である。
【図9】本発明の第3の手段の1実施例である送風機部分の斜視図である。
【図10】従来の技術の問題点を示す電動送風機の部分断面図である。
【図11】従来の技術の問題点を示す電動送風機の断面図である。
【図12】本発明の実施例に係る電動送風機の正面図である。
【図13】本発明の実施例に係る電動送風機の下面図である。
【図14】本発明の実施例に係る電動送風機の側面図である。
【図15】本発明の実施例に係る電動送風機の上面図である。
【図16】本発明の実施例に係るディフューザ及びリターンガイドを示す図である。
【図17】本発明の実施例に係るディフューザの下面図である。
【図18】本発明の実施例に係るディフューザの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明について図を用いて詳細に説明する。
【0023】
図1は電動送風機1の内部構造を示したものである。
【0024】
電動送風機1はハウジング2とハウジング2に固定された固定子3,ハウジング2に設けられた軸受け4aとエンドブラケット17に設けられた軸受け4bによって保持される回転軸5,回転軸5に固定された回転子6,回転軸5に固定された整流子7,整流子7との電気的接続を行うブラシ8とそれを保持するとともにハウジング2に固定するためのホルダ9,ねじ18により回転軸5の一端に固定される遠心ファン12,遠心ファン12から出た空気流の流速を落とし圧力回復するディフューザ13,ディフューザと一体に成形され空気流を電動機内部へ導くリターンガイド14,遠心ファン12とディフューザ13を覆うファンケーシング15によって構成される。
【0025】
整流子7は、その円周面に整流子片を有し、各整流子片は回転子6内のコイルと接続されている。ブラシ8は、ばね10により整流子7に押し付けられ、整流子7に摺接している。11はブラシ8と外部電極を接続するためブラシ8と電気的に接続されたリード線であり、ホルダ9に設けられた端子(図示せず)と接続されている。
【0026】
電動送風機1が回転を開始すると回転子6が回転し、回転子6と同軸に固定された遠心ファン12も回転する。遠心ファン12が回転するとケーシング15の空気取り入れ口16から空気が流入し、遠心ファン12,ディフューザ13,リターンガイド14を通り電動機内部へと流れ込み電動機の排気口から外界へ放出される。
【0027】
このときファンケーシングとディフューザ上面の接触する面に隙間があると、その隙間を遠心ファンからディフューザに流入した空気の一部が円周方向に流れ、この漏れ空気流により電動送風機の効率を低下させる。
【0028】
そこで本発明の第一の手段では、図2のようにファンケーシングとディフューザ上面との間に、円環部24を構成し、その円環部24はディフューザ上面に接合し一体化した構成とすることにより、ファンケーシングの凹凸による隙間はファンケーシングに接する平面22によりシールし、ディフューザのひけや変形による隙間はディフューザ上面に接合してシールすることにより、性能の低下を最小限に抑えられる。
【0029】
またこの手段によれば、円環部24をディフューザと同一材料または類似の合成樹脂等で形成し、剛性を有する構造とすれば、シートを介在させる場合のようにディフューザ流路を流れる空気流によってはためくことがなく、騒音の発生や空気抵抗の増加による電動送風機の性能低下を防ぐことができる。
【0030】
さらに図3のように本発明によれば、円環部の軸心とディフューザの軸心のずれδがないように事前に接合しておくことができ、組み立ての際には従来通りディフューザの組立体を組み付けることにより半径方向の位置が規定されて円環部の中心と遠心ファンおよびファンケーシングの中心が一致し、円環内周側と遠心ファンの外周側が接触して電動送風機の破損を引き起こす危険性を回避できる。
【0031】
次に本発明の第二の手段では、図4のように円環部24をディフューザのブレード23と一体的に形成し、このディフューザのブレード下面25と接するディフューザのシラウド板26との間で接合するようにしてもよく、同一のディフューザのシラウド26に対して複数種のディフューザのブレード側とを組み合わせることも可能であり、複数種の電動送風機とすることができる。
【0032】
また図5に示す第三の手段によれば、ディフューザのブレードの上半分23aと下半分23bをそれぞれ円環部24とディフューザのシラウド板26と一体的に形成することによって、各々のブレード端面を突き合わせて接合する構成としたもので、図6の如く空気流の入り口側のブレード先端部29の形状や図7の如くブレード断面30の形状を自在に選ぶことができる。また、図8,図9の如くブレード中間部に一つまたは複数個の穴27や溝28、を設けることが可能であり空力性能の向上、流体騒音の低減設計に活用することが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
2…ハウジング、12…遠心ファン、13…ディフューザ、14…リターンガイド、15…ファンケーシング、24…円環部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、該遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、
前記ファンケーシングと前記ディフューザ上面との間に円環部を構成し、その円環部は前記ディフューザ上面に接合一体化した構成としたことを特徴とする電動送風機。
【請求項2】
整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、該遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、
前記ファンケーシングと前記ディフューザとの間に円環部を構成し、その円環部に前記ディフューザのブレードを一体的に形成し前記ディフューザのブレード下面と接する前記ディフューザのシラウド板との間で接合一体化した構成としたことを特徴とする電動送風機。
【請求項3】
整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、前記遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、
前記ファンケーシングと前記ディフューザとの間に円環部を構成し、その円環部に前記ディフューザのブレード上部を一体的に形成し、前記ディフューザのブレード下部と前記ディフューザのシラウド板とを一体的に形成し、前記ブレード上部と前記ブレード下部との間で接合一体化した構成としたことを特徴とする電動送風機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記接合は接着または溶着によることとしたことを特徴とする電動送風機。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
円環部の材質は、ディフューザと同一材またはほぼ同じ剛性を有する材料としたことを特徴とする電動送風機。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記接合部分には、それぞれが勘合する凹凸部またはどちらか一方に凸部を設けたことを特徴とする電動送風機。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記接合部分には、それぞれまたはどちらか一方に先端が薄肉となる断面形状の凸部を設けたことを特徴とする電動送風機。
【請求項1】
整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、該遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、
前記ファンケーシングと前記ディフューザ上面との間に円環部を構成し、その円環部は前記ディフューザ上面に接合一体化した構成としたことを特徴とする電動送風機。
【請求項2】
整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、該遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、
前記ファンケーシングと前記ディフューザとの間に円環部を構成し、その円環部に前記ディフューザのブレードを一体的に形成し前記ディフューザのブレード下面と接する前記ディフューザのシラウド板との間で接合一体化した構成としたことを特徴とする電動送風機。
【請求項3】
整流子電動機の回転軸に直結される遠心ファンと、前記遠心ファンの外周側に前記遠心ファンと同軸に配置され整流子電動機に固定されるディフューザと、前記遠心ファンと前記ディフューザを覆うファンケーシングとを有し、前記ファンケーシングを整流子電動機のハウジングに圧入して前記ディフューザを挟持する電動送風機において、
前記ファンケーシングと前記ディフューザとの間に円環部を構成し、その円環部に前記ディフューザのブレード上部を一体的に形成し、前記ディフューザのブレード下部と前記ディフューザのシラウド板とを一体的に形成し、前記ブレード上部と前記ブレード下部との間で接合一体化した構成としたことを特徴とする電動送風機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記接合は接着または溶着によることとしたことを特徴とする電動送風機。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
円環部の材質は、ディフューザと同一材またはほぼ同じ剛性を有する材料としたことを特徴とする電動送風機。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記接合部分には、それぞれが勘合する凹凸部またはどちらか一方に凸部を設けたことを特徴とする電動送風機。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記接合部分には、それぞれまたはどちらか一方に先端が薄肉となる断面形状の凸部を設けたことを特徴とする電動送風機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−156266(P2009−156266A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96663(P2009−96663)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【分割の表示】特願平10−244706の分割
【原出願日】平成10年8月31日(1998.8.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【分割の表示】特願平10−244706の分割
【原出願日】平成10年8月31日(1998.8.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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