説明

電動送風機

【課題】高速回転をしても、振動が小さく信頼性が高く、送風性能の高い電動送風機を提供する。
【解決手段】環状壁の一端側を開口し他端側に底壁を有する有底筒状に形成されたブラケットBと、軸受保持部と腕状のブリッジ部を有するブラケットAを結合し、その結合した内部に界磁鉄心と、一対の軸受で保持される電機子とを配置した電動送風機であって、
前記ブラケットAと前記ブラケットBを結合する一対の結合部を結ぶ投影線上に、ブラケットAのブリッジ部が位置するようにし、かつ前記結合部の近傍に前記界磁鉄心の外周角部が位置するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掃除機などの電気機器等に用いられる電動送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電動送風機は、吸い込み力を得るために回転ファンを高速回転させている。回転ファンで吸引した空気は、エアガイドによって構成された通風路を経て、モータ内部を通過して外部に排出される。高速回転を可能とするため、界磁鉄心を内蔵し、回転子の一端をささえる軸受保持部を有するブラケットBと、回転ファン側に設けらて、回転子の他端の軸受保持部を有するブラケットAが結合されている。このブラケットAは界磁鉄心の間を径方向に横断する形でブリッジ状になっており、中央に軸受保持部が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、別の例として、略90度間隔にブラケットAとブラケットBとの結合部を配置することで、回転ファンの持つアンバランスによる径方向の振れを抑制しているものがある(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−153097号公報
【特許文献2】特開2000−14070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成では、ブラケットAとブラケットBとの結合部をブリッジ状の両端に配置することで帯状の形状とし材料費の削減を可能としている。しかしながら、ブラケットAの中央の軸受保持部に保持され回転軸に取り付けられる回転ファンの持つアンバランスにより、ブラケットAは径方向に振れが生じる。横断部の方向に対しては剛性が確保されているので振れを抑制することが出来るが、横断方向と略90度方向には振れが大きくなり、電動機の振動が大きくなるという課題を有していた。
【0006】
特許文献第2の構成では、略90度間隔に配置された結合部により回転ファンの持つアンバランスによる径方向の振れを抑制することが出来る。しかしながら、ブラケットAの中央の軸受保持部と結合部の間は湾曲したブリッジ状になっているため、径方向のアンバランス荷重によりブリッジ状部分は歪みが生じやすく、電動機の振動が大きくなるという課題を有していた。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、回転ファンの持つアンバランス荷重による振れ、歪みを抑制するとともに、送風性能の良いブラケット構造を有する電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明の電動機は、環状壁の一端側を開口し他端側に底壁を有する有底筒状に形成されたブラケットBと、軸受保持部と腕状のブリッジ部を有するブラケットAを結合し、その結合した内部に界磁鉄心と、一対の軸受で保持される電機子とを配置した電動送風機であって、前記ブラケットAと前記ブラケットBを結合する一対の結合部を結ぶ投影線上に、ブラケットAのブリッジ部が位置するようにし、かつ前記結合部の近傍に前記界磁鉄心の外周角部が位置するように構成している。
【0009】
こ構成によれば、一対の結合部を結ぶ投影線上にブラケットAのブリッジ部が位置するので、特許文献2のようなブラケットAの開口がなく剛性が高くなる。さらに結合部の近傍に重量の重い界磁鉄心を配置しているため、軸受保持部の保持強度が強くなり、電機子回転危険速度を高くすることが出来るため、高速運転時の振動増加を抑制することが出来る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一対のブラケットの剛性強度が強くなり、電機子の高速運転時の振動増加を抑制することが出来る。また、通風路を遮蔽することなく空気流を均等化することにより、通風損失の少ない電動送風機を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1における電動送風機の半断面の側面図
【図2】同電動送風機の回転ファンなどを削除してブラケットA側から見た正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、環状壁の一端側を開口し他端側に底壁を有する有底筒状に形成されたブラケットBと、軸受保持部と腕状のブリッジ部を有するブラケットAを結合し、その結合した内部に界磁鉄心と、一対の軸受で保持される電機子とを配置した電動送風機であって、前記ブラケットAと前記ブラケットBを結合する一対の結合部を結ぶ投影線上に、ブラケットAのブリッジ部が位置するようにし、かつ前記結合部の近傍に前記界磁鉄心の外周角部が位置するようにしたことを特徴とする。これにより剛性強度が強くなり高速運転時の振動増加を抑制することが出来る。
【0013】
第2の発明は、前記ブラケットAの反界磁鉄心側に回転ファンおよびエアガイドを備え、前記ブリッジ部には、一対の結合部から軸受保持部に沿ってエアガイド側に突出する補強リブを備えたことことを特徴とする。これによりさらに剛性強度が強くなり高速運転時の振動増加を抑制することが出来る。
【0014】
第3の発明は、前記ブリッジ部の外周側近傍に複数の通風孔を備えたことを特徴とする。これにより通風路を遮蔽することなく空気流を均等化することにより、通風損失の少ない電動送風機を得ることが出来る。
【0015】
(実施の形態)
以下、本発明の電動送風機の実施形態を図1および図2で説明する。図1は本発明の実施形態1における電動送風機の側面図であり、上半分を断面している。図2は同電動送風機の正面図であり、回転ファンやエアガイドなどを削除して、ブラケットA側から見た図である。
【0016】
図1、図2に示すように、有底筒状に形成されたブラケットB2と、ブラケットB2との結合部3を有し、円周平面部7と共に中央には軸受保持部4を配置した一対のブリッジ部8を有するブラケットA1が、ブラケットB2の開口側に結合されている。
【0017】
互いに対向する一対の磁極を有し略方形状に形成された界磁鉄心11と、この界磁鉄心11に巻装された界磁巻線12とからなる界磁13がブラケットB2内に収納されている。界磁鉄心11の角部外周は、ブラケットB2の内周面に圧入されている。
【0018】
ブラケットB2の底壁およびブラケットA1に設けられた軸受9に、回転軸5を支持されて界磁13の磁極間に配置された電機子14がささえられている。
【0019】
ブラケットB2の開口側に設けられ回転軸5の一端に回転ファン6が取り付けられ、回転ファン6の下流側にエアガイド10が配置され、回転ファン6およびエアガイド10を覆い、吸入口を有するファンケース16がブラケットA1に取り付けられている。
【0020】
電機子14の回転軸5に固定された回転ファン6の回転によって、ファンケース16の吸入口から吸引された空気流がエアガイド10とブラケットA1の円周平面部7に沿って形成される通風路に通じてブラケットB2の排出口へ流出させる。
【0021】
ここで、ブラケットA1とブラケットB2とは、一対の結合部3aと、その一対の結合部3aから約90度回転した位置にある他の一対の結合部3bにより、かしめにて結合されている。
【0022】
一対の結合部3aを結ぶ投影線上に、ブラケットA1のブリッジ部8が位置する関係になっており、軸受保持部4以外の開口は設けられていない。他の一対の結合部3bを結ぶ投影線上には、通風路形成や界磁巻線12との絶縁確保の為の開口部が配置されており、界磁巻線12近辺ではエアガイド10側に突出した補強リブ17を有している。
【0023】
上記構成により、軸受保持部4の保持強度が強くなり回転軸5の危険速度を高くすることが出来るため、高速運転時の振動増加が少ない電動送風機が得られる。
【0024】
またブラケットA1のブリッジ部8と円周平面部7との連結近辺、すなわちブリッジ部8の外周面側に複数の通風孔18が設けられている。これによりファンケース16の吸入口から吸引された空気流がエアガイド10とブラケットA1の円周平面部7に沿って形成される通風路に通じてブラケットB2へ流入する際、遮断する領域がなくなり、均等に流入することが出来、送風性能の損失を少なくすることが出来る。
【0025】
なお上記実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、ブラケットA1とブラケットB2とはネジ締結によって結合されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように本発明によれば、高速回転をしても、振動が小さく信頼性が高く、送風性能の高い電動送風機を提供することができるので、電気掃除機などの家庭用電気機器や設備機器などに適用可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 ブラケットA
2 ブラケットB
3a、3b 結合部
4 軸受保持部
5 回転軸
7 円周平面部
8 ブリッジ部
9 軸受
10 エアガイド
11 界磁鉄心
12 界磁巻線
13 界磁
14 電機子
17 補強リブ
18 通風孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状壁の一端側を開口し他端側に底壁を有する有底筒状に形成されたブラケットBと、軸受保持部と腕状のブリッジ部を有するブラケットAを結合し、その結合した内部に界磁鉄心と、一対の軸受で保持される電機子とを配置した電動送風機であって、
前記ブラケットAと前記ブラケットBを結合する一対の結合部を結ぶ投影線上に、ブラケットAのブリッジ部が位置するようにし、かつ前記結合部の近傍に前記界磁鉄心の外周角部が位置するようにした電動送風機。
【請求項2】
前記ブラケットAの反界磁鉄心側に回転ファンおよびエアガイドを備え、前記ブリッジ部には、一対の結合部から軸受保持部に沿ってエアガイド側に突出する補強リブを備えたことことを特徴とする請求項1に記載の電動送風機。
【請求項3】
前記ブリッジ部の外周側近傍に複数の通風孔を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電動送風機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−87640(P2013−87640A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226429(P2011−226429)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】