説明

電圧発生回路及び超音波診断装置

【課題】超音波振動子を駆動する電圧を発生する電圧発生回路及びこの電圧発生回路を備えた超音波診断装置であって、従来のフライバックコンバータと同様に、比較的低電圧の入力電圧から高電圧の出力電圧を発生することができ、なおかつ前記フライバックコンバータでは困難であった実装基板の小型薄型化を図ることができる電圧発生回路、及び超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波振動子を駆動させる電圧を発生する電圧発生回路321であって、トランスを使用しない電源回路として、ブーストコンバータ回路3211とSEPIC回路3212を2段接続して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動子を駆動させる電圧を発生する電圧発生回路及び超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置においては、圧電材料からなる超音波振動子に電圧を印加してこれを振動させることにより、超音波の送波を行なっている。このため、超音波診断装置は、超音波振動子を駆動させるための電圧を発生する電圧発生回路を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、電圧発生回路の電源として、例えば電池を使用するような場合、電池からの供給電圧は、比較的低電圧(具体的には、15V以下)になる。従って、電圧発生回路は、比較的低電圧から高電圧(具体的には、20V〜50V)の出力電圧を発生することが要求されることもある。これらの条件を満たす電圧発生回路として、従来、トランスを用いたスイッチングコンバータであるフライバックコンバータが用いられている。
【特許文献1】特開2004−236869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フライバックコンバータはトランスを用いているため、スイッチング周波数を、所定周波数以上に上げることが困難である。ここで、実装基板においてコンデンサの静電容量を含めた回路部品の必要容量は、周波数のルートに反比例するという性質がある。従って、スイッチング周波数が大きくなるほど必要容量が少なくなり、回路部品の容積を小さくすることができる。しかし、上述のようにフライバックコンバータにおいては、スイッチング周波数を所定周波数以上に上げることが困難であるため、回路部品の容積を小さくすることができず、実装基板の小型化が困難である。また、フライバックコンバータは、トランスの高さのため、実装基板の薄型化の点で難点がある。以上より、フライバックコンバータを用いた場合、実装基板の小型薄型化には限界があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、超音波振動子を駆動する電圧を発生する電圧発生回路及びこの電圧発生回路を備えた超音波診断装置であって、従来のフライバックコンバータと同様に、比較的低電圧の入力電圧から高電圧の出力電圧を発生することができ、なおかつ前記フライバックコンバータでは困難であった実装基板の小型薄型化を図ることができる電圧発生回路、及び超音波診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、第1の観点の発明は、超音波振動子を駆動させる電圧を発生する電圧発生回路であって、トランスを使用しない電源回路を複数段接続したことを特徴とする電圧発生回路である。
【0007】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、前記複数の電源回路のうち、少なくとも一の電源回路が、出力電圧を所望の電圧にする出力電圧調節部を有していることを特徴とする電圧発生回路である。
【0008】
第3の観点の発明は、第1,2の観点の発明において、前記電源回路を2段有することを特徴とする電圧発生回路である。
【0009】
第4の観点の発明は、第3の観点の発明において、2段接続された前記電源回路のうち、1段目の電源回路は、該1段目の出力電圧が入力電圧よりも高くなる定電圧回路であり、また2段目の電源回路は、前記出力電圧調節部を有することを特徴とする電圧発生回路である。
【0010】
第5の観点の発明は、第1〜4のいずれか一の観点の発明において、入力電圧に対し、最大で20倍の出力電圧を得ることを特徴とする電圧発生回路である。
【0011】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、入力電圧が15V以下であり、出力電圧の絶対値が10〜70Vであることを特徴とする電圧発生回路である。
【0012】
第7の観点の発明は、第1〜6のいずれか一の観点の発明において、電源として電池を用いたことを特徴とする電圧発生回路である。
【0013】
第8の観点の発明は、第3〜7のいずれか一の観点の発明において、前記1段目の電源回路がブーストコンバータ回路であり、前記2段目の電源回路がSEPIC回路であることを特徴とする電圧発生回路である。
【0014】
第9の観点の発明は、第3〜7のいずれか一の観点の発明において、前記1段目及び前記2段目の電源回路が、ともにSEPIC回路であることを特徴とする電圧発生回路である。
【0015】
第10の観点の発明は、第8又は9のいずれかの観点の発明において、前記2段目のSEPIC回路は、出力電圧として絶対値が等しい正と負の電圧を発生させることを特徴とする電圧発生回路である。
【0016】
第11の観点の発明は、第3〜7のいずれか一の観点の発明において、前記1段目の電源回路がSEPIC回路であり、前記2段目の電源回路がブーストコンバータ回路であることを特徴とする電圧発生回路である。
【0017】
第12の観点の発明は、第3〜7のいずれか一の観点の発明において、前記1段目及び前記2段目の電源回路が、ともにブーストコンバータ回路であることを特徴とする電圧発生回路である。
【0018】
第13の観点の発明は、第3〜12のいずれか一の観点の発明において、前記2段目の電源回路は、複数の回路を有することを特徴とする電圧発生回路である。
【0019】
第14の観点の発明は、第13の観点の発明において、前記2段目の電源回路における複数の回路は、それぞれ絶対値の異なる電圧を発生させるものであることを特徴とする電圧発生回路である。
【0020】
第15の観点の発明は、第3〜14のいずれか一の観点の発明において、前記1段目の電源回路で発生した電圧は、前記2段目の電源回路のほか、超音波診断装置における前記超音波振動子以外の他の負荷に供給されることを特徴とする電圧発生回路である。
【0021】
第16の観点の発明は、第2〜15のいずれか一の観点の発明において、前記電圧調節部は、超音波の送信モードの種類に応じて出力電圧を調節することを特徴とする電圧発生回路である。
【0022】
第17の観点の発明は、第1〜16のいずれか一の観点の発明に係る電圧発生回路を有することを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0023】
第1の観点の発明によれば、トランスを使用しない電源回路が複数段接続される。トランスを使用しない電源回路は、トランスを使用した電源回路ほど、入力電圧に対して出力電圧を大きくすることはできないが、複数段接続することにより、トランスを使用した電源回路と少なくとも同程度の大きさの出力電圧を確保することができる。従って、従来のフライバックコンバータと同様に、比較的低電圧の入力電圧から高電圧の出力電圧を発生することができる。さらに、前記電源回路は、トランスを使用しない回路であるため、従来のフライバックコンバータよりも薄型化を図ることができ、またトランスを使用しないのでスイッチング周波数を高くすることができ、回路部品の容積を小さくすることができる。以上により、実装基板の小型薄型化を図ることができる。
【0024】
第2の観点の発明によれば、前記出力電圧調節部により、所望の出力電圧を得ることができる。
【0025】
第3の観点の発明によれば、2段の電源回路により、比較的低電圧の入力電圧から高電圧の出力電圧を得ることができる。
【0026】
第4の観点の発明によれば、1段目の電源回路の出力電圧が入力電圧よりも高電圧になり、2段目の電源回路の出力電圧が所望の電圧になる。
【0027】
第5,6の観点の発明によれば、前記1段目の電源回路に入力される低電圧の入力電圧から、前記2段目の電源回路の出力電圧として、高電圧の出力電圧を得ることができる。
【0028】
第7の観点の発明によれば、前記電池の電圧が入力電圧として供給される。
【0029】
第8の観点の発明によれば、前記1段目のブーストコンバータ回路及び前記2段目のSEPIC回路により、比較的低電圧の入力電圧から高電圧の出力電圧を得ることができる。また、前記ブーストコンバータ回路及び前記SEPIC回路は、トランスを用いない回路なので、実装基板の小型化を図ることができる。
【0030】
第9の観点の発明によれば、前記1段目のSEPIC回路及び前記2段目のSEPIC回路により、比較的低電圧の入力電圧から高電圧の出力電圧を得ることができる。また、前記SEPIC回路は、トランスを用いない回路なので、実装基板の小型薄型化を図ることができる。
【0031】
第10の観点の発明によれば、前記超音波振動子に印加する電圧として、絶対値が等しい正と負の電圧を得ることができる。
【0032】
第11の観点の発明によれば、前記1段目のSEPIC回路及び前記2段目のブーストコンバータ回路により、比較的低電圧の入力電圧から高電圧の出力電圧を得ることができる。また、前記SEPIC回路及び前記ブーストコンバータ回路は、トランスを用いない回路なので、実装基板の小型薄型化を図ることができる。
【0033】
第12の観点の発明によれば、前記1段目のブーストコンバータ回路及び前記2段目のブーストコンバータ回路により、比較的低電圧の入力電圧から高電圧の出力電圧を得ることができる。また、前記ブーストコンバータ回路は、トランスを用いない回路なので、実装基板の小型化を図ることができる。
【0034】
第13の観点の発明によれば、2段目の電源回路は複数の回路を有している場合であっても、各回路は前記1段目の電源回路を共用しているので、実装基板の大きさを抑制することができる。
【0035】
第14の観点の発明によれば、前記2段目の電源回路における複数の回路において、絶対値の異なる出力電圧を得ることができる。
【0036】
第15の観点の発明によれば、前記1段目の電源回路を、前記超音波診断装置における前記超音波振動子以外の他の負荷に供給される電圧を発生する電源回路としても利用することができ、実装基板の大きさを抑制することができる。
【0037】
第16の観点の発明によれば、超音波振動子を駆動させる電圧として、Bモードやドップラモード等、送信モードの種類に応じて異なる出力電圧を得ることができる。
【0038】
第17の観点の発明によれば、第1〜16のいずれか一の観点の発明と同一の効果を有する超音波診断装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る電圧発生回路を有する超音波診断装置の全体構成の一例を示すブロック図、図2は、図1に示す超音波診断装置の画像取得部の構成を示すブロック図、図3は、図2に示す画像取得部における送信部の構成を示すブロック図、図4は、図3に示す送信部における電圧発生回路の構成を示すブロック図、図5は、図4に示す電圧発生回路におけるブーストコンバータ回路の回路構成を示す図、図6は、図4に示す電圧発生回路におけるSEPIC回路の回路構成を示す図である。
【0040】
図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ(probe)2、画像取得部3、画像メモリ(memory)部4、画像表示制御部5、表示部6、入力部7及び制御部8を含む。
【0041】
前記超音波プローブ2は、超音波振動子のアレイ(array)を有し(図示省略)、超音波の送受信を行なう。被検体Pの表面に密着された前記超音波プローブ2は、撮像断面に超音波を照射し、被検体Pの内部からその都度反射された超音波エコー(echo)を時系列的な音線として受信する。また、前記超音波プローブ2は、超音波の照射方向を順次切り替えながら電子走査を行なう。
【0042】
前記画像取得部3は、前記超音波振動子を駆動する電気信号を発生するとともに、前記超音波振動子で受信された電気信号からBモード処理或いはドップラ(doppler)処理を行い、Bモード画像情報或いはドップラ画像情報を形成する。前記画像取得部3の詳細については後述する。
【0043】
前記画像メモリ部4は、大容量メモリからなり、二次元断層画像情報や、時間変化する二次元断層画像情報であるシネ(cine)画像情報等が保存される。
【0044】
前記画像表示制御部5は、Bモード処理で生成されたBモード画像情報及びドップラ処理で生成された血流画像情報等の表示フレームレート(frame rate)変換、並びに画像表示の形状や位置制御を行なう。
【0045】
前記表示部6は、LCD(Liquid Crystal Display)等からなり、Bモード画像或いは血流画像等が表示される。
【0046】
前記入力部7は、キーボード(keyboard)等からなり、この入力部7により、オペレータ(operator)が操作情報を入力するようになっている。前記入力部7からは、例えばBモード処理の表示或いはドップラ処理の表示を選択するための操作情報及びドップラ処理を行うドップラ撮影領域の設定を行なう操作情報等が入力される。
【0047】
前記制御部8は、前記入力部7から入力された操作情報及び予め記憶されたプログラム(program)やデータ(data)に基づいて、前記超音波プローブ2を含む超音波撮像装置1各部の動作を制御する。
【0048】
前記画像取得部3について、図2を参照して詳細に説明する。この画像取得部3は、送信ビームフォーマ(beamformer)31、送信部32、受信部33、受信ビームフォーマ34、Bモード処理部35及びドップラ処理部36を含む。
【0049】
前記送信ビームフォーマ31は、前記制御部8からの情報に基づいて、前記超音波プローブ2によって、焦点深度位置に電子フォーカス(focus)が行なわれるように、所定の遅延時間を有する電気信号を発生する。
【0050】
前記送信部32は、前記送信ビームフォーマ31からの電気信号に基づいて、前記超音波プローブ2の超音波振動子を駆動するバースト波形を形成する。この送信部32については、後で詳細に説明する。
【0051】
前記受信部33は、前記超音波振動子で受信された電気信号の初段増幅を行なう。前記受信ビームフォーマ34は、前記受信部33で受信された電気信号に、送信時と同様の所定の遅延時間を加えた遅延加算を行い、音線上の電気信号を形成する。
【0052】
前記Bモード処理部35は、遅延加算された音線上の電気信号に、対数変換、フィルタ(filter)処理等の処理を行ってBモード画像情報を形成する。また、前記ドップラ処理部36は、遅延加算された音線上の電気信号に、直交検波、フィルタ処理等を行い、被検体P内の血流情報を、周波数スペクトル(spectrum)情報或いはCFM(color Flow Mapping)情報として表示する。
【0053】
前記送信部32について、図3に基づいて詳細に説明する。前記送受信部32は、電圧発生回路321と駆動部322とを含む。前記電圧発生回路321は、前記超音波プローブ2の超音波振動子を駆動させる電圧として、前記駆動部322へ供給する正負の電圧±HVを発生する。また、前記駆動部322は、前記送信ビームフォーマ31からの電気信号に基づいて、前記超音波振動子を駆動するバースト波形の駆動信号を発生させる。そして、前記電圧発生回路321から前記駆動部322へ供給される±HVは、前記超音波振動子を駆動するバースト波形の駆動信号の振幅に相当する電圧になっている。
【0054】
前記電圧発生回路321について、図4に基づいて詳細に説明する。この電圧発生回路321は、トランスを使用しない電源回路として、ブーストコンバータ回路3211とSEPIC(Single Ended Primary Converter)回路3212とを2段接続、すなわち直列接続して構成されている。本例では、1段目がブーストコンバータ回路3211であり、2段目がSEPIC回路3212になっている。前記1段目のブーストコンバータ回路3211は、この1段目の出力電圧Vo1が入力電圧Vi1よりも高くなる定電圧回路である。また、前記2段目のSEPIC回路3212は、この2段目の出力電圧Vo2を所望の電圧にすることができる回路になっている。以下、具体的に説明する。
【0055】
前記ブーストコンバータ回路3211は昇圧型の電源回路であり、前記SEPIC回路3212も、昇圧型の電源回路を用いる。そして、2段目のSEPIC回路3212の出力電圧Vo2として、1段目のブーストコンバータ回路3211の入力電圧Vi1に対して最大で20倍の出力電圧を得ることができるようになっている。具体的には、入力電圧Vi1は15V以下であり、この入力電圧Vi1から出力電圧Vo2として±10V〜±70Vが得られるようになっている。ちなみに、前記SEPIC回路3212の出力電圧Vo2としては、絶対値が等しい正負の電圧±Vo2が得られるようになっている。
【0056】
ここで、本例では、前記電圧発生回路321の電源として、電池(図示省略)が用いられる。前記ブーストコンバータ回路3211には、この電池の電圧が入力電圧Vi1として供給される。本例では、入力電圧Viは10V以下である。
【0057】
ちなみに、仮に前記電圧発生回路321として、例えばSEPIC回路を単独で用いるとすると、このSEPIC回路においては、出力電圧は入力電圧の5倍程度が最大電圧になる。ここで、出力電圧が低くなると、得られる超音波画像の深度が浅くなるため、十分な深度を確保するためには、50V以上の出力電圧が必要になる場合がある。この場合、例えば電池がリチウムイオン電池であるとすると、3つ以上のリチウムイオン電池を直列接続することにより、10V以上の入力電圧を確保する必要がある。しかし、本例では、2段の電源回路、具体的には前記ブーストコンバータ回路3211と前記SEPIC回路3212を接続することにより、入力電圧に対して最大で20倍の出力電圧Vo2を得ることができる。これにより、直列接続される電池の数を減らすことができ、装置の小型化に寄与することができる。
【0058】
前記ブーストコンバータ回路3211及び前記SEPIC回路3212の回路構成について詳細に説明する。先ず、前記ブーストコンバータ回路3211について、図5を参照して説明する。図5に示す前記ブーストコンバータ回路3211は、インダクタL1、ダイオードD1、抵抗R11,R12,R13及びコンデンサC1を含む。また、前記ブーストコンバータ回路3211は、トランジスタTr1とコントロールIC100とを含んでいる。前記トランジスタTr1は、NチャネルMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transister)によって構成され、ゲート端子が前記コントロールIC100に接続され、ドレイン端子が前記インダクタL1と接続され、ソース端子が前記抵抗R11を介して接地されている。前記トランジスタTr1は、前記コントロールIC100によって、出力電圧Vo1が一定になるように、オン又はオフの状態を繰り返すスイッチング動作を行なうようになっている。
【0059】
ちなみに、前記コントロールIC100は、前記トランジスタTr1のソース端子と前記抵抗R11の間にも接続されており、前記抵抗R11の両端電圧を検出することにより、出力電流Io1が過電流にならないよう、前記トランジスタTr1のスイッチングを制御するようになっている。
【0060】
次に、前記SEPIC回路3212について図6を参照して説明する。この図6に示す前記SEPIC回路3212は、インダクタL21,L22,L23、ダイオードD21,D22、抵抗R21,R22,R23及びコンデンサC21,C22,C23,C24を含んでいる。また、前記SEPIC回路3212は、トランジスタTr2、コントロールIC200及びフィードバック演算器201を含んでいる。そして、前記SEPIC回路3212は、出力電圧として正負の電圧±Vo2を得ることができ、出力電力として正負の電力±W2を得ることができる回路になっている。
【0061】
前記トランジスタTr2も、前記トランジスタTr1と同様にNチャネルMOS−FETによって構成されている。そして、前記トランジスタTr2は、ゲート端子が前記コントロールIC200と接続され、ドレイン端子が前記インダクタL21と接続され、ソース端子が前記抵抗R21を介して接地されている。前記フィードバック演算器201は、出力電圧±Vo2を所望の電圧にするためのフィードバック回路である。前記トランジスタTr2は、前記フィードバック演算器201からの信号を受けた前記コントロールIC200によって、出力電圧±Vo2が所望の電圧になるように、オン又はオフの状態を繰り返すスイッチング動作を行なうようになっている。前記コントロールIC200、前記フィードバック演算器201及び前記トランジスタTr2は、本発明における出力電圧調節部の実施の形態の一例である。
【0062】
ちなみに、前記コントロールIC200は、前記トランジスタTr2のソース端子と前記抵抗R21の間にも接続され、前記抵抗R21の両端電圧を検出することにより、出力電流Io2が過電流にならないよう、前記トランジスタTr1のスイッチングを制御するようになっている。
【0063】
ここで、従来の電圧発生回路であるフライバックコンバータにおいて、トランスの高さは低くても15mmであるが、本例の前記ブーストコンバータ回路3211及び前記SEPIC回路3212において、インダクタの高さは5mmあれば十分である。従って、本例の電圧発生回路321は、従来のフライバックコンバータよりも薄型化を図ることができる。
【0064】
さて、前記ブーストコンバータ回路3211及び前記SEPIC回路3212からなる前記電圧発生回路321では、Bモードやドップラモード等の送信モードの種類に応じた所望の出力電圧を発生する。すなわち、前記SEPIC回路3212からの出力電圧Vo2は可変であり、送信モードに応じて設定された電圧になる。以下、具体的に前記ブーストコンバータ回路3211及び前記SEPIC回路3212の作用について説明する。
【0065】
先ず、1段目の前記ブーストコンバータ回路3211には、図示しない電源から入力電圧Vi1が与えられる。具体的には、入力電圧Vi1は、15V以下である。前記ブーストコンバータ回路3211では、前記コントロールIC100により、前記トランジスタTr1のスイッチングが制御され、一定の出力電圧Vo1(Vo1>Vi1)が得られる。
【0066】
2段目の前記SEPIC回路3212には、前記ブーストコンバータ回路3211の出力電圧Vo1が入力電圧Vi2として与えられる。前記SEPIC回路3212では、前記コントロールIC200により、前記トランジスタTr2のスイッチングが制御され、所望の出力電圧Vo2(Vo2>Vi2)が得られる。出力電圧Vo2としては、正負の出力電圧±Vo2が得られ、この出力電圧±Vo2は、前記超音波プローブ2の超音波振動子を駆動させる電圧±HVとして、前記駆動部322へ供給される。
【0067】
以上説明した本例によれば、前記電圧発生回路321は、前記ブーストコンバータ回路3211と前記SEPIC回路3212とを2段接続しているので、入力電圧15V以下の低電圧に対し、最大で20倍の高電圧の出力電圧を得ることができる。従って、従来のフライバックコンバータと同様に、比較的低電圧の入力電圧から高電圧の出力電圧を発生することができる。さらに、前記ブーストコンバータ回路3211及び前記SEPIC回路3212は、トランスを使用しない回路であるため、従来のフライバックコンバータよりも薄型化を図ることができ、またトランスを使用しないのでスイッチング周波数を高くすることができ、回路部品の容積を小さくすることができる。以上により、実装基板の小型薄型化を図ることができる。
【0068】
また、本例によれば、Bモードやドプラモード等、送信モードの種類に応じて、出力電圧を変えることができる。
【0069】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について説明する。図7は、本発明に係る電圧発生回路の実施形態の第一変形例を示す図であり、2段目の電源回路として2つのSEPIC回路3212−1,3212−2を有している。それぞれのSEPIC回路3212−1,3212−2では、絶対値の異なる正負の出力電圧として、±HVHと±HVLとが得られるようになっている。
【0070】
この第一変形例において、2段目の電源回路の数は2つに限られるものではない。すなわち、図8に示すように、2段目の電源回路として、並列にn個(nは1より大きい自然数)のSEPIC回路3212−1,3212−2,・・・,3212−nが、前記ブーストコンバータ回路3211に接続されていてもよい。この場合にあっても、各SEPIC回路の出力電圧は、絶対値の異なる出力電圧±HV1,±HV2,・・・,±HVNになっていることが好ましい。
【0071】
この第一変形例によれば、前記電圧発生回路321において、2段目のSEPIC回路3212において、絶対値の異なる複数の出力電圧を得る場合においても、1段目のブーストコンバータ回路3211を共用することができ、実装基板の大きさを抑制することができる。
【0072】
次に、第二変形例について説明する。図9は、本発明に係る電圧発生回路の第二変形例を示す図である。この図9に示す第二変形例のように、1段目のブーストコンバータ回路3211の出力電圧を、2段目のSEPIC回路に供給するとともに、前記表示部6を構成するLCDなど、前記超音波診断装置1における前記超音波振動子以外の他の負荷に供給するようになっていてもよい。このようにすることで、1段目のブーストコンバータ回路3211を、前記超音波振動子以外の他の負荷に供給される電圧を発生する電源回路としても利用することができ、実装基板の大きさを抑制することができる。
【0073】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、前記電圧発生回路321を構成する電源回路が、図10に示すように、1段目及び2段目ともにSEPIC回路3212a,3212bであってもよい。ただし、この場合、特に図示しないが、1段目のSEPIC回路3212aの出力ラインとしては、1本のみでよい。
【0074】
また、特に図示しないが、前記電圧発生回路321が、負電圧を必要としない超音波診断装置に用いられる場合、前記電圧発生回路321を構成する電源回路として、1段目の電源回路をSEPIC回路とし、2段目の電源回路をブーストコンバータ回路としてもよい。さらに、前記電圧発生回路321を構成する電源回路を、1段目及び2段目ともにブーストコンバータ回路としてもよい。
【0075】
さらに、前記実施形態では、2段目のSEPIC回路3212が前記フィードバック演算器201を備え、出力電圧が可変となっているが、1段目の電源回路において、出力電圧が可変となっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る電圧発生回路を有する超音波診断装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置の画像取得部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す画像取得部における送信部の構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示す送信部における電圧発生回路の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す電圧発生回路におけるブーストコンバータ回路の回路構成を示す図である。
【図6】図4に示す電圧発生回路におけるSEPIC回路の回路構成を示す図である。
【図7】本発明に係る電圧発生回路の実施形態の第一変形例を示す図である。
【図8】図7に示す第一変形例の他例の電圧発生回路を示す図である。
【図9】本発明に係る電圧発生回路の第二変形例を示す図である。
【図10】本発明に係る電圧発生回路の実施形態の他例を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 超音波診断装置
321 電圧発生回路
3211 ブーストコンバータ回路
3212 SEPIC回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子を駆動させる電圧を発生する電圧発生回路であって、トランスを使用しない電源回路を複数段接続した
ことを特徴とする電圧発生回路。
【請求項2】
前記複数の電源回路のうち、少なくとも一の電源回路が、出力電圧を所望の電圧にする出力電圧調節部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の電圧発生回路。
【請求項3】
前記電源回路を2段有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電圧発生回路。
【請求項4】
2段接続された前記電源回路のうち、1段目の電源回路は、該1段目の出力電圧が入力電圧よりも高くなる定電圧回路であり、また2段目の電源回路は、前記出力電圧調節部を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の電圧発生回路。
【請求項5】
入力電圧に対し、最大で20倍の出力電圧を得ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項6】
入力電圧が15V以下であり、出力電圧の絶対値が10〜70Vであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項7】
電源として電池を用いたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項8】
前記1段目の電源回路がブーストコンバータ回路であり、前記2段目の電源回路がSEPIC回路である
ことを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項9】
前記1段目及び前記2段目の電源回路が、ともにSEPIC回路であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項10】
前記2段目のSEPIC回路は、出力電圧として絶対値が等しい正と負の電圧を発生させることを特徴とする請求項8又は9に記載の電圧発生回路。
【請求項11】
前記第1段目の電源回路がSEPIC回路であり、前記2段目の電源回路がブーストコンバータ回路であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項12】
前記1段目及び前記2段目の電源回路が、ともにブーストコンバータ回路であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項13】
前記2段目の電源回路は複数の回路を有することを特徴とする請求項3〜12のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項14】
前記2段目の電源回路における複数の回路は、それぞれ絶対値の異なる電圧を発生させるものであることを特徴とする請求項13に記載の電圧発生回路。
【請求項15】
前記1段目の電源回路で発生した電圧は、前記2段目の電源回路のほか、超音波診断装置における前記超音波振動子以外の他の負荷に供給されることを特徴とする請求項3〜14のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項16】
前記電圧調節部は、超音波の送信モードの種類に応じて出力電圧を調節することを特徴とする請求項2〜15のいずれか一項に記載の電圧発生回路。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の電圧発生回路を有することを特徴とする超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−29657(P2010−29657A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170896(P2009−170896)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】