説明

電圧監視装置および電圧監視方法

【課題】
電子機器において電源装置の障害を正確且つ確実に検出する電圧監視装置等を提供する。
【解決手段】
DC/DCコンバータの出力電圧によって動作する演算処理装置から出力された制御信号に基づいて、閾値を算出する閾値演算手段と、
前記出力電圧を計測することによって取得した第1の電圧値が前記閾値の範囲内であるか否かを判定する比較手段と、
を備えることを特徴とする電圧監視装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の電源を監視する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サーバやパーソナルコンピュータ等の電子機器は、安定して稼動することだけでなく、より少ない電力で稼動することが求められている。
【0003】
特にサーバは、24時間、365日休むことなく稼動することを要求される。そのため、サーバが消費する電力は、稼動する時間に比例して増大する。また、サーバの処理能力が向上したことに伴い、消費する電力は、さらに増大している。
【0004】
このような背景から、サーバの消費する電力を低減したいという要求があるので、サーバが消費する電力を低減する技術は、多岐にわたり存在する。
【0005】
例えば、サーバを構成する部品の中で最も電力を消費するのは、演算処理装置であることが知られている。このため、演算処理装置には、負荷状況に応じて電力を動的に変更し、これにより、電力消費量を低減する技術がある。
【0006】
より具体的には、演算処理装置は、プログラム等の処理を行う際、負荷状況に応じて処理に必要となる電力を電源装置に要求する。電源装置は、要求に対して電力を演算処理装置に供給する。そこで、電源装置には、安定した電力を供給するために、電圧を監視する装置が接続されている。例えば、特許文献1は、電源の異常を監視する電源監視装置について開示する。
【0007】
以下、特許文献1に記載された電源監視装置50について図10を参照して説明する。
【0008】
この電源監視装置50において、CPU(Central Processing Unit)57は、ユーザの操作などに応じて予め設定した閾値を示す情報を監視制御部51に出力する。出力された閾値は、閾値格納部53に格納される。
【0009】
さらに、CPU57は、ユーザの操作に応じて電源の監視を開始することを指示するために制御信号を監視制御部51に出力する。監視制御部51は、出力された制御信号により電源の監視を開始する。
【0010】
電圧値記憶装置55は、電源56から出力された電圧値をアナログの電圧信号からデジタル信号に変換して、電圧値取得部52に出力する。電圧値取得部52は、電圧値記憶装置55より出力された電圧値を格納する。
【0011】
比較部54は、閾値格納部53に格納された閾値と電圧値取得部52に格納された電圧値とを比較する。比較部54は、電圧値が閾値未満(または所定値以上)であるとき、電源の異常を検出する機能を備える。これにより、係る電源監視装置50は、電源の電圧値が所定の閾値未満に低下するか否かを判断した結果を基に異常を検出する。
【0012】
このように、特許文献1は、電源装置より出力された電圧と予め設定された閾値とを比較することにより異常を検出する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2010−146278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1は、予め閾値を設定するとあるが閾値をどのように設定するのか具体的には開示していないので、容易に閾値を設定することができない。
【0015】
さらに、電源監視装置50では、電圧の低下が生じて閾値未満となった場合に電源の異常を検出する。このため、測定した電圧値が閾値未満に低下することを監視するのでは、上述した演算処理装置の負荷状況に応じて動的に出力される電圧を細やかに監視するこが考慮されておらず、確実に異常を検出することができない。
【0016】
例えば、電源監視装置50は、CPU57に対して過電圧が出力された場合、電圧値が閾値よりも下回らないため、異常電圧として検出することができない。
【0017】
さらに、特許文献1において、電源監視を開始する指示については、CPUは、上位装置からの指示やユーザの操作に応じて電源監視を開始する指示を行う。そのため、上位装置からの指示やユーザの操作に応じて電源監視を開始するのでは、動的に出力される毎に電圧値を監視することができないため、正常に出力されているか否か正確に監視することができない。
【0018】
本発明の主たる目的は、上述した課題である電源装置の障害を正確且つ確実に検出する電圧監視装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を達成すべく、本発明に係る電圧監視装置は、以下の構成を備えることを特徴とする。
【0020】
即ち、本発明に係る電圧監視装置は、
DC/DCコンバータの出力電圧によって動作する演算処理装置から出力された制御信号に基づいて、閾値を算出する閾値演算手段と、
前記出力電圧を計測することによって取得した第1の電圧値が前記閾値の範囲内であるか否かを判定する比較手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電源装置の障害を正確且つ確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態における電圧監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における電圧監視装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における電圧監視装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施形態における電圧監視装置が行う処理を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第3の実施形態における電圧監視装置が行う閾値算出処理を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における電圧監視装置が行う電圧値算出処理を示すフローチャート図である。
【図7】本発明に係る第3の実施形態の実施例における電圧監視装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る第3の実施形態の実施例における記憶装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明に係る第3の実施形態の実施例における電圧センサユニットの構成をブロック図である。
【図10】特許文献1における電源監視装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態における電圧監視装置1の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1において、電圧監視装置1は、閾値演算部4、比較器5を有する。
【0026】
より具体的に、演算処理装置2は、プログラム等の処理に必要な電圧値を、制御信号としてDC/DC(Direct Current/Direct Current)コンバータ3および閾値演算部4に対して出力する。
【0027】
DC/DCコンバータ3は、演算処理装置2によって出力された制御信号を基に、この演算処理装置2が所望する第1の電圧値を演算処理装置2および電圧測定部6に出力する。
【0028】
以下の説明において、電圧測定部6が測定した電圧値を第1の電圧値と称する(以下の実施形態においても同様)。電圧測定部6は、DC/DCコンバータ3によって出力された第1の電圧値を測定する。電圧測定部6は、測定した第1の電圧値を比較器5に出力する。ここでは、説明の便宜上、DC/DCコンバータ3の出力電圧と電圧測定部6が出力する測定値の間に差異は無く、何れも第1の電圧値を表すこととする。
【0029】
以下の説明において、説明の便宜上、閾値算出部4が算出した電圧値を第2の電圧値と称する(以下の実施形態においても同様)。閾値演算部4は、当該制御信号に基づいて演算処理装置2が所望する第2の電圧値を算出する。次に、閾値演算部4は、第2の電圧値に基づいて上限閾値と下限閾値とを許容範囲として算出する。閾値演算部4は、算出した閾値を比較器5に出力する。
【0030】
比較器5は、第1の電圧値が閾値(上限閾値と下限閾値)の許容範囲であるか否かを判定する。
【0031】
比較器5は、第1の電圧値が閾値の許容範囲を超えると判断した場合、閾値演算部4に第1の電圧値が閾値の許容範囲を超えたことを通知する。一方、比較器5は、第1の電圧値が閾値の許容範囲内であると判断した場合、閾値演算部4に第1の電圧値が閾値の許容範囲内であることを通知する。
【0032】
閾値演算部4は、比較器5によって第1の電圧値が閾値の許容範囲を超えたことを通知された場合、DC/DCコンバータ3によって出力された第1の電圧値を異常と判断する。一方、閾値演算部4は、比較器5によって第1の電圧値が閾値の許容範囲内であることを通知された場合、DC/DCコンバータ3によって出力された第1の電圧値を正常と判断する。閾値演算部4は、異常と判断した場合、異常処理を実行する。
【0033】
この異常処理は、例えば異常と判断したDC/DCコンバータ3をサーバから切り離す処理等、一般的な手法を採用することができるので、実施形態における詳細な説明は省略する。
【0034】
上記電圧を監視する処理は、所定の時間周期毎、且つ演算処理装置2によって出力された制御信号を閾値演算部4が取得することにより、自動的に開始されるように構成すればよい。尚、所定の時間周期については、ユーザの使用環境に応じて任意に決めればよい。
【0035】
このように本実施の形態に係る電圧監視装置1によれば、演算処理装置2によって出力された制御信号を取得することによって、ユーザが指示をすることなく制御信号が出力される毎に電圧を監視するため、確実に異常を検出することができる。また、本実施の形態によれば、演算処理装置2より出力された制御信号に基づいて算出した閾値とDC/DCコンバータによって出力された電圧値とを比較することで、より正確に電圧値の異常を検出することができる。
【0036】
<第2の実施の形態>
次に、上述した第1の実施形態に係る電圧監視装置1を基本とする第2の実施形態について説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明する。その際、上述した第1の実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0037】
図2は、本発明の第2の実施形態における電圧監視装置1aの構成を示すブロック図である。
【0038】
本実施形態では、第1の実施形態において説明した電圧監視装置1に、格納部7、閾値演算部8を適用した場合について説明する。
【0039】
より具体的に、演算処理装置2は、プログラム等の処理に必要な電圧値を制御信号としてDC/DCコンバータ3および格納部7に出力する。
【0040】
以下の説明において、本実施形態では、説明の便宜上、格納部7に既に格納された制御信号を第1の制御信号と称し、新たな制御信号を第2の制御信号と称する(以下の実施形態においても同様)。格納部7は、演算処理装置2によって新たな制御信号(第2の制御信号)が出力されると、既に格納されていた制御信号(第1の制御信号)を読み出す。次に、格納部7は、読み出した第1の制御信号と第2の制御信号とを比較する(即ち、格納部7は、演算処理装置2によって新たな制御信号(第2の制御信号)が出力されるのに応じて、既に格納されていた制御信号(第1の制御信号)を読み出す。次に、格納部7は、読み出した第1の制御信号と第2の制御信号とを比較する訳である)。
【0041】
格納部7は、比較した結果、制御信号が変動した(第1の制御信号と第2の制御信号とが異なる)と判断した場合、第2の制御信号を格納する。さらに、格納部7は、制御信号が変動したことを閾値演算部8に通知する。
【0042】
また、サーバが初期化された場合、制御信号を比較することなく第2の制御信号を格納する。そしてこの場合、格納部7は、制御信号が変動したことを閾値演算部8に通知する。
【0043】
閾値演算部8は、通知を取得すると格納部7に格納された制御信号を読み出す。
【0044】
閾値演算部8は、読み出した制御信号に基づいて、演算処理装置2が所望する第2の電圧値を算出する(尚、詳細については、実施例において後述する)。次に、第2の電圧値に基づいて上限閾値と下限閾値とを許容範囲として算出する。ここで一例として、閾値演算部8は、第2の電圧値の+5%を上限閾値と設定し、第2の電圧値の−5%を下限閾値と設定してもよい。尚、一例として設定方法を示したがこの設定方法には限らずユーザが任意に設定すればよい。閾値演算部8は、算出した閾値を比較器5に出力する。
【0045】
このように本実施の形態に係る電圧監視装置1aによれば、第1の実施形態において説明した効果を享受できると共に、さらに、演算処理装置によって出力された制御信号の比較を行い、制御信号が変動したことをトリガとして監視を開始するため、より効率的な監視をすることができる。
<第3の実施形態>
次に、上述した各実施形態に係る電圧監視装置1、電圧監視装置1aを基本とする第3の実施形態について、図3乃至図6を参照して説明する。以下の説明においては、本実施形態に係る特徴的な部分を中心に説明する。その際、上述した各実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0046】
本実施形態では、各実施形態において説明した電圧監視装置1、電圧監視装置1aに、閾値格納部9、電圧値格納部10を適用した場合について説明する。
【0047】
図3は、本発明の第3の実施形態の電圧監視装置1bの構成を示すブロック図である。
【0048】
より具体的に、閾値格納部9は、閾値演算部8によって出力された上限閾値と下限閾値とを格納する。
【0049】
電圧値格納部10は、電圧測定部6によって計測した第1の電圧値を格納する。
【0050】
図4は、第3の実施形態の電圧監視装置1bが行う処理を示すフローチャートである。係るフローチャートに沿って電圧監視装置1bの処理手順を説明する。
【0051】
電圧監視装置1bは、演算処理装置2から出力された制御信号を格納部7およびDC/DCコンバータ3が取得することで、それぞれの処理を並列的に行う。
【0052】
演算処理装置2は、新たな制御信号(第2の制御信号)を格納部7に出力する(ステップS1)。
【0053】
格納部7は、演算処理装置2によって新たな制御信号(第2の制御信号)が出力されると、既に格納されていた制御信号(第1の制御信号)を読み出す。次に、格納部7は、読み出した第1の制御信号と第2の制御信号とを比較する(ステップS2)。
【0054】
格納部7は、制御信号が変動したと判断した場合(ステップS2において「YES」)、第2の制御信号を格納する。さらに、格納部7は、制御信号が変動したことを閾値演算部8に通知する。一方、格納部7は、制御信号が同じであると判断した場合、電圧の監視を待機する(ステップS2において「NO」)。
【0055】
また、サーバが初期化された場合、制御信号を比較することなく第2の制御信号を格納する。そしてこの場合、格納部7は、制御信号が変動したことを閾値演算部8に通知する。
【0056】
制御信号が変動したと判断した場合(ステップS2において「YES」)、以下に説明する閾値算出処理(ステップS3)および電圧値算出処理(ステップS4)を実行する。
【0057】
図5は、本実施形態の閾値算出処理を示すフローチャートである。係るフローチャートに沿ってステップ3における閾値算出処理の詳細な手順を説明する。
【0058】
閾値演算部8は、格納部7によって出力された通知を取得すると、格納部7に格納された制御信号を読み出す。閾値演算部8は、読み出した制御信号に基づいて、演算処理装置2が所望する第2の電圧値を算出する。次に、閾値演算部8は、第2の電圧値を基に上限閾値と下限閾値とを許容範囲として算出する。閾値演算部8は、算出した閾値を閾値格納部9に出力する(ステップS31)。
【0059】
閾値格納部9は、閾値演算部8によって出力された閾値を格納する(ステップS32)。
【0060】
図6は、本実施形態の電圧値算出処理を示すフローチャートである。係るフローチャートに沿ってステップS4における電圧値算出処理の詳細な手順を説明する。
【0061】
DC/DCコンバータ3は、取得した制御信号を基に、演算処理装置2が所望する電圧を演算処理装置2および電圧測定部6に出力する(ステップS41)。尚、ここでは、DC/DCコンバータ3が出力する動作は、一般的なので詳細な説明は省略する。
【0062】
電圧測定部6は、DC/DCコンバータ3によって出力された第1の電圧値を測定する。次に、測定した第1の電圧値を電圧値格納部10に出力する(ステップS42)。
【0063】
電圧値格納部10は、電圧測定部6から出力された第1の電圧値を格納する(ステップS43)。
【0064】
比較器5は、閾値算出処理を実施することにより格納された閾値を読み出す。次に、比較器5は、電圧値算出処理を実施することにより格納された第1の電圧値を読み出す。さらに、比較器5は、第1の電圧値が閾値の許容範囲であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0065】
比較器5は、第1の電圧値が閾値(上限閾値と下限閾値)の許容範囲を超えると判断した場合(ステップS6において「NO」)、閾値演算部8に第1の電圧値が閾値の許容範囲を超えたことを通知する(ステップS8)。一方、比較器5は、第1の電圧値が閾値の許容範囲内であると判断した場合(ステップS6において「YES」)、閾値演算部8に第1の電圧値が閾値の許容範囲内であることを通知する(ステップS7)。
【0066】
閾値演算部8は、比較器5によって第1の電圧値が閾値の許容範囲を超えたことを通知された場合、DC/DCコンバータ3によって出力された第1の電圧値を異常と判断する(ステップS9において「NO」)。一方、閾値演算部8は、比較器5によって第1の電圧値が閾値の許容範囲内であることを通知された場合、DC/DCコンバータ3によって出力された第1の電圧値を正常と判断する(ステップS9において「YES」)。閾値演算部8は、比較器5によって異常の発生を通知された場合、所定の異常処理(不図示)を実行する(ステップS10)。
【0067】
このように本実施の形態に係る電圧監視装置1bによれば、第1乃至第2の実施形態において説明した効果を享受できると共に、さらに、閾値格納部および電圧値格納部を有することで閾値および電圧値を保持することができるため、効率的に閾値と電圧値とを比較することができる。
<実施例>
次に、上述した第3の実施形態に係るより具体的な実施例として、電圧監視装置1cについて、図7乃至図9を参照して説明する。以下の説明においては、本実施例に係る特徴的な部分を中心に説明する。その際、上述した各実施形態と同様な構成については、同一の参照番号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0068】
図7は、本発明の実施例に係る電圧監視装置1cの構成を示すブロック図である。
【0069】
図7において、電圧監視装置1cは、記憶装置31、システム管理コントローラ32、電圧センサユニット33を有する。
【0070】
記憶装置31について、図8を参照して説明する。
【0071】
図8において、記憶装置31は、記憶部34を有する。記憶部31は、第3の実施形態における格納部7に相当する。一例として、記憶装置31は、汎用レジスタやI2C(Inter Integrated Circuit)レジスタ(登録商標)や不揮発性の半導体メモリでもよいが、これら記憶媒体に限定されない。
【0072】
システム管理コントローラ32は、第3の実施形態における閾値演算部8に相当する。例えば、システム管理コントローラ32は、BMC(Baseboard Management Controller)でもよい。
【0073】
次に、電圧センサユニット33について、図9を参照して説明する。
【0074】
図9において、電圧センサユニット33は、比較器5、電圧測定部6、閾値格納部9、電圧値格納部10を有する。
【0075】
次に、本実施例において電圧監視装置1cが実行する動作について説明する。
【0076】
演算処理装置2は、第3の実施形態で説明した制御信号に相当するVID(Voltage Identification Digital)をDC/DCコンバータ3および記憶装置31に対して出力する。
【0077】
演算処理装置2は、VIDを出力することにより、記憶装置31に対しては、所望の電圧値を通知する。また、DC/DCコンバータ3に対しては、当該所望の電圧を出力するように指示する。
【0078】
以下の説明において、本実施例では、記憶装置31に既に格納された制御信号を第1のVIDと称し、新たに出力された制御信号を第2のVIDと称する。記憶装置31は、演算処理装置2によって新たな制御信号(第2のVID)が出力されると、既に格納されていた制御信号(第1のVID)を読み出す。記憶装置31は、読み出した第1のVIDと第2のVIDとを比較する。尚、第1のVIDは、第3の実施形態で説明した第1の制御信号に相当する。第2のVIDは、第3の実施形態で説明した第2の制御信号に相当する。
【0079】
記憶装置31は、制御信号が変動したと判断した場合、第2のVIDを記憶部34に格納する。さらに、記憶装置31は、制御信号が変動したことをシステム管理コントローラ32に通知する。一方、記憶装置31は、制御信号が同じであると判断した場合、電圧の監視を待機する。
【0080】
また、サーバが初期化された場合は、VIDを比較することなく第2のVIDを格納する。そしてこの場合、記憶装置31は、制御信号が変動したことをシステム管理コントローラ32に通知する。
【0081】
システム管理コントローラ32は、通知を取得すると、記憶部34に格納されたVIDを読み出す。
【0082】
システム管理コントローラ32は、VIDに基づいて演算処理装置2が所望する第2の電圧値を算出する。ここでは一例として、VIDは、1ビットの情報を有する。システム管理コントローラ32は、演算処理装置2によって出力されたt個のVIDをデコードすることにより第2の電圧値を算出する。より具体的には、演算処理装置2よりVID[1]=0、VID[2]=1の2個のVIDが出力された場合、VID[1]=0に対応する電圧値は、0.8Vとする。次に、VID[2]に対応する電圧値は、0Vとする。この場合、演算処理装置2が要求する電圧値は、次の式で求めることができる。VID[1](0.8V)+VID[2](0V)=0.8V。よって、演算処理装置2が必要とする電圧値は、0.8Vと算出することができる。尚、説明の便宜上、簡単な数値を例に説明したが、演算処理装置2の種類等によって異なるため、これに限定されない。
【0083】
次に、システム管理コントローラ32は、第2の電圧値に基づいて、上限閾値と下限閾値とを許容範囲として算出する。システム管理コントローラ32は、算出した閾値を、電圧センサユニット33に出力する。
【0084】
電圧センサユニット33は、システム管理コントローラ32によって算出した閾値を閾値格納部9に格納する。
【0085】
比較器5は、第1の電圧値が上限閾値と下限閾値との許容範囲内であるか否かを判定する。比較器5は、第1の電圧値が閾値(上限閾値と下限閾値)の許容範囲を超えると判断した場合、システム管理コントローラ32に第1の電圧値が閾値の許容範囲を超えたことを通知するために、アラーム信号を出力する。一方、比較器5は、第1の電圧値が閾値の許容範囲内であると判断した場合、システム管理コントローラ32に第1の電圧値が閾値の許容範囲内であることを通知するために、アラーム信号を出力する。より具体的には、比較器5から出力されるアラーム信号は、正常を通知する場合は、数値の0を出力する。一方、当該アラーム信号は、異常を通知する場合は、数値の1を出力する。尚、一例として、アラーム信号の数値を限定したが、この場合に限らず電圧値の異常と正常との判別することが可能であればよい。
【0086】
システム管理コントローラ32は、比較器5によって第1の電圧値が閾値の許容範囲を超えたことを通知するアラーム信号を取得した場合、DC/DCコンバータ3によって出力された第1の電圧値を異常と判断する。一方、システム管理コントローラ32は、比較器5によって第1の電圧値が閾値の許容範囲内であることを通知するアラーム信号を取得した場合、DC/DCコンバータ3によって出力された第1の電圧値を正常と判断する。システム管理コントローラ32は、異常と判断した場合、所定の異常処理(不図示)を実行する。
【0087】
このように本実施の形態に係る電圧監視装置によれば、第1乃至第3の実施形態において説明した効果を享受できると共に、さらに、第3の実施形態にて説明した電圧監視装置を集積回路等に利用して実現することができる。
【0088】
尚、上述した各実施形態を例に説明した本発明は、説明の便宜上、複数の演算処理装置を有する場合について明記していないが、複数の演算処理装置を有する場合においてもシステム管理コントローラ32と電圧センサユニット33と演算処理装置と複数の記憶装置31とを設けることで電圧を監視することができる。さらに、複数の演算処理装置に対してシステム管理コントローラ32と電圧センサユニット33を共通で使用するため、製造コストを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、上述した各実施形態には限定されない。本発明は、パーソナルコンピュータ、POS(Point Of Sale)システム、サーバ、複写機、複合機等の演算処理装置や集積回路を搭載する各種の電子機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 電圧監視装置
1a 電圧監視装置
1b 電圧監視装置
1c 電圧監視装置
2 演算処理装置
3 DC/DCコンバータ
4 閾値演算部
5 比較器
6 電圧測定部
7 格納部
8 閾値演算部
9 閾値格納部
10 電圧値格納部
31 記憶装置
32 システム管理コントローラ
33 電圧センサユニット
34 記憶部
50 電源監視装置
51 監視制御部
52 電圧値取得部
53 閾値格納部
54 比較部
55 電圧値記憶装置
56 電源
57 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC/DCコンバータの出力電圧によって動作する演算処理装置から出力された制御信号に基づいて、閾値を算出する閾値演算手段と、
前記出力電圧を計測することによって取得した第1の電圧値が前記閾値の範囲内であるか否かを判定する比較手段と、
を備えることを特徴とする電圧監視装置。
【請求項2】
前記演算処理装置から、前記制御信号として新たな第2の制御信号が出力されるのに応じて、該第2の制御信号と、既に格納していた第1の制御信号とを比較し、それらの制御信号が互いに異なると判断した場合、該第1の制御信号の代わりに、該第2の制御信号を格納する格納手段と、
前記制御信号として前記第2の制御信号を格納したことを、前記閾値演算手段に通知する通知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電圧監視装置。
【請求項3】
前記閾値演算手段は、
前記制御信号を基に第2の電圧値を算出すると共に、算出した第2の電圧値に基づいて、前記閾値として、上限閾値および下限閾値を算出する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電圧監視装置。
【請求項4】
前記比較手段は、
前記第1の電圧値が前記上限閾値と前記下限閾値との範囲を外れたとき、
前記閾値演算手段に前記第1の電圧値が閾値の範囲を外れたことを通知する
ことを特徴とする請求項3記載の電圧監視装置。
【請求項5】
前記閾値演算手段は、
前記第1の電圧が前記上限閾値と前記下限閾値との範囲を外れたことを前記比較手段から通知されたときに、前記DC/DCコンバータの出力電圧を異常と判断する
ことを特徴とする請求項4記載の電圧監視装置。
【請求項6】
前記閾値を格納する閾値格納手段と、
前記第1の電圧値を格納する電圧格納手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の電圧監視装置。
【請求項7】
前記閾値演算手段は、
前記通知手段により、前記第1の制御信号と前記第2の制御信号とが異なることが通知されるのに応じて、前記閾値を再算出する
ことを特徴とする請求項2乃至請求項6の何れかに記載の電圧監視装置。
【請求項8】
DC/DCコンバータの出力電圧によって動作する演算処理装置から出力された制御信号を基に演算手段を用いて閾値を算出し、
前記出力電圧を計測することによって取得した第1の電圧値が前記閾値の範囲内であるか否かを比較器を用いて判定する
ことを特徴とする電圧監視方法。
【請求項9】
前記演算処理装置から、前記制御信号として新たな第2の制御信号が出力されるのに応じて、該第2の制御信号と、既に格納された第1の制御信号とを比較し、
その比較の結果、前記第1の制御信号と、前記第2の制御信号とが異なると判断した場合、該第1の制御信号の代わりに、該第2の制御信号を格納手段に格納し、
前記制御信号として前記第2の制御信号を格納したことを、前記演算手段に通知する
ことを特徴とする請求項8記載の電圧監視方法。
【請求項10】
前記閾値を算出するに際して、
前記制御信号を基に第2の電圧値を算出すると共に、算出した第2の電圧値に基づいて、前記閾値として、上限閾値および下限閾値を算出する
ことを特徴とする請求項8または請求項9記載の電圧監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−114456(P2013−114456A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260140(P2011−260140)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】