説明

電子カードの製造方法

【課題】 EP特許第1,559,068号明細書に開示された電子カード製造方法の主要な欠点を解決する。
【解決手段】 本発明の電子カード製造方法は、電子カードの製造に先立って、即ち、固体層及び電子カードの本体を構成するその他の材料が実装される前に、電子カードの固体層中のウインドウ内に配設される少なくとも第1の電子ユニットにより形成され、かつ、前記電子カードの内層又は本体内に配列される第2の電子ユニットにより形成される電子アセンブリ又は電子デバイスを最初に製造することを特徴とする。従って、各電子カードに実装される電子デバイスは常用のプロセスに従って前置工程で製造される。この前置工程を実施するために、本発明によれば、保護フィルムは少なくとも1個のスリットを有する数個のパーツ又は1個のパーツを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の電子ユニットと第2の電子ユニットを有する複合型電子カードの製造方法に関する。第1の電子ユニットはカードの固体層のウインドウ内に少なくとも部分的に配列されており、第2の電子ユニットは第1の電子ユニットに電気的に接続されており、かつ、前記第2の電子ユニットの表面の少なくとも一部を被覆する充填材により形成された内層内に組込まれている。特に、充填材は、製造処理中は非固体状態の樹脂であるか又は、カードの内層を形成するために少なくとも部分的に溶融されたホットメルトシートの形状をした樹脂である。充填材で形成される内層はその他の固体構造物又は素子類を特定の位置又は前記内層の充填材構造物中に含むことができる。
【0002】
本明細書における「電子カード」という用語は、銀行系カード及び様々な形状のその他のデバイス類(特に、電子タグ又は可搬性電子デバイス)を意味する。
【背景技術】
【0003】
従来、電子モジュールの製造方法は特許文献1に記載されており、公知である。この電子モジュールは、該モジュールの外面を画成する2枚の絶縁シートと、電子モジュールの複数の外面のうちの一つに実質的に接触する外面を有する少なくとも1個の電子素子と、2枚の絶縁シート間に配列され、かつ、電子素子に接続された電子回路を有する。前記特許文献1に記載された電子モジュールの製造方法は次ぎの工程からなる。
(a)電子素子を収容するためのウインドウを含む少なくとも第1の絶縁シートを供給するステップと、
(b)前記第1の絶縁シートのウインドウ内に電子素子を挿入するステップと、
前記電子素子はその外面に対向する内面上に配列された導電接続パッドが配設されている、
(c)少なくとも、電子素子とウインドウの縁との間の領域に拡がる接着性保護フィルムを重ねるステップと、
前記保護フィルムは電子素子をウインドウ内に保持し、そして、前記電子素子と前記ウインドウの側壁との間の全てのスリット(隙間)を閉鎖する、
(d)電子回路をウインドウに近いゾーン内に配置し、そして、保護フィルム内に配設されるか又は形成され、かつ、前記導電接続パッドの反対側に配置されたウインドウを通して電子素子を電子回路に接続するステップと、
(e)既に配設された素子類セット上に充填材を堆積し、そして、前記充填材上に第2の絶縁シートを重ねるステップと、
(f)前記ステップにより形成されたアセンブリー(組立体)を押圧又は貼り合わせるステップとからなり、
充填材は電子モジュールの組立により生じる全ての表面輪郭を埋め合わせる層を生成する。
【0004】
前記特許文献1に記載された製造方法は、重要な問題点を解決する。即ち、電子モジュールを製造するために圧力が印加される時に、充填材(一般的に粘稠な液体状態の樹脂により形成される)が電子素子と、この電子素子が配列されるウインドウの側壁との間の全てのスリット(隙間)に流れ込むことを抑止する。その結果、樹脂が電子素子の目視可能な外面上に少なくとも部分的に拡がることが阻止される。しかし、この従来方法は一連のステップに関連する別の問題を惹起する。特に、電子素子が被製造電子カードの外部絶縁層内のウインドウに挿入され、そして接着保護層が適所に配置されてから、目視可能な電子素子と内部電子ユニットとの間の電気的接続が行われることである。この一連のステップは、各種電子ユニットを溶接又は組み立てるための装置を一般的に具備しない電子カード製造機器又は設備に深刻な問題を引き起こす。実際、一般的に電子デバイスを製造するために、先ず各種電子回路及び電子素子が組み立てられ、次いで、これらの電子デバイスは常用の電子カード製造機器又は設備に供給される。ここで、電子デバイスがそれぞれ実装される高品質な電子カードを製造するために、電子カード製造用の各種材料が供給され、そして適当な方法で加工される。前記特許文献1は、電子デバイスの製造を、これら電子デバイスを組込む電子カードの製造から時間的に分離することを提案していない。前記特許文献1に記載された製造方法は実施することができ、しかも、複雑な電子カードを製造するために使用できるが、最終製品の電子カード又はインレットを製造する専門の当業者に多大な不利益をもたらす。これらの当業者は電子デバイスの製造を電子カード製造プロセスから分離することを望んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ヨーロッパ特許第1,559,068号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前記した従来技術の製造方法の主要な欠点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、電子カードの製造に先立って、即ち、固体層及び電子カードの本体を構成するその他の材料が加えられる前に、電子カードの固体層中のウインドウ内に配設される少なくとも第1の電子ユニットにより形成され、かつ、前記電子カードの内層又は本体内に配列される第2の電子ユニットにより形成される電子アセンブリ又は電子デバイスを最初に製造することを特徴とする本発明の電子カード製造方法を提供する。従って、各電子カードに実装される電子デバイスは常用のプロセスに従って前置工程で製造される。この前置工程を実施するために、電子カード製造方法を実行する各種方法が提案される。特に、本発明によれば、保護フィルムは少なくとも1個のスリットを有する数個のパーツ又は1個のパーツを構成する。
【0008】
保護フィルムが数個のパーツを構成する場合、これらのパーツは補完的プロファイルを有する。即ち、第1の電子ユニットの外縁又は背面をカバーすることができ、一方、前記第1の電子ユニットの周縁領域全体に及び、かつ、第1及び第2の電子ユニット間の電気的接続を通過させることができるウインドウを画成することもできる。従って、このウインドウは第1の電子ユニットの寸法よりも小さな寸法を有する。従って、電子デバイスがカード製造機器又は設備に供給され、そして、第1の電子ユニットが第1の固体層内のウインドウに少なくとも部分的に挿入されたとき、保護フィルムは、ウインドウの側壁と第1の電子ユニットとの間の全てのスリットを適切に被覆することができる。
【0009】
保護フィルムが少なくとも1個のスリットを有する単一のパーツを構成する場合、このスリットはフィルム内の中心ウインドウとその外縁との間のスルースリットである。従って、前記スリットは、電気的接続が前記中心ウインドウ内部に進入することを可能にするために、脇に動かすことができる。若しくは、このスリットがスルースリットでない場合、このスリットは、前記ウインドウの端部に配置された前記保護フィルムのパーツを脇に動かすことにより第1又は第2の電子ユニットが保護フィルム内の中心ウインドウを通過できるようにアレンジされる。
【0010】
本発明の電子カード製造方法は3つの主要な実行モードを有する。請求項1に記載される本発明の第1の実行モードでは、電子デバイス(少なくとも第1及び第2の事前組立電子ユニットから構成される)が先ず最初にカード製造機器又は設備に供給され、ここで、第1の電子ユニットは第1の固体層中のウインドウ内に配置される。次ぎに、前記のようなタイプの保護フィルムを供給し、そして、第1の電子ユニットとウインドウの側壁との間に存在する殆ど全てのスリットを被覆するように配列させる。
【0011】
請求項2に記載される第2の実行モードによれば、先ず最初に電子アセンブリ又はデバイスが製造され、次いで、電子デバイスが第1の固体層上に実装され、かつ、第1の電子ユニットが前記固体層中のウインドウ内に配列される前に、保護フィルムを前記電子デバイスに実装し、前記保護フィルムにより画成されるウインドウ内に電気的接続を配置させ、かつ、これにより電気的接続を第1及び第2の電子ユニット間に配置させる。次ぎに、事前組立電子デバイス及び保護フィルムをカード製造機器又は設備に供給される。ここで、前記固体層が実装され、第1の電子ユニットが固体層中に設けられた開口内に良い具合に挿入され、そして、保護フィルムがウインドウ周囲の領域全体に被覆され、そして、これが事前に行われない場合、少なくとも側壁面又は第1の電子ユニットの背面の外縁に対して貼付される。この第2の実施態様の変形例として、前記保護フィルムを前記第1の電子ユニットの背面の少なくとも外縁に貼付することにより、先ず最初に保護フィルムを前記第1の電子ユニットに実装し、次いで、保護フィルムが予め実装された電子デバイスを第1の固体層が加えられるカード製造機器又は設備に供給する前に、前記保護フィルム内の開口を通して第2の電子ユニットと電気的接続を行う。
【0012】
請求項6に記載される第3の実行モードによれば、先ず最初に、少なくとも第1及び第2の電気的に接続された電子ユニットから構成される電子アセンブリ又はデバイスを製造し、次いで、少なくとも1個のウインドウ(このウインドウは第1の電子ユニットのサイズよりも小さな寸法を有し、かつ、その周囲にスリットにより分離されるフラップを有する)を有する保護フィルムと、第1の電子ユニットを少なくとも部分的に収容するための少なくとも1個のウインドウを有する第1の固体層を含む構造体を製造する。保護フィルムは、前記少なくとも1個のウインドウの中心に置かれた少なくとも1個の開口を有する第1の固体層に実装される。次ぎに、前記構造体及び前記電子デバイスをカード製造機器又は設備に供給し、第1の電子ユニットを前記開口の反対側に配置し、次いで、前記第1の電子ユニットを前記ウインドウ内に押し込む。前記第1の電子ユニットの前記ウインドウ内への押し込みは、前記フラップがリリースされ、そして、保護フィルムの一般平面の方向に向かって少なくとも部分的にバックアップ移動するまで、フラップを開口部の側壁に向かって折り曲げることにより行われる。次いで、第1の電子ユニットを前記開口の方向に向かってバックアップ移動させ、そして、前記フラップを前記第1の電子ユニットの側面又は背面に対して少なくとも部分的に適用し、これにより、前記電気的接続が前記開口を通過する、ウインドウの側壁と前記第1の電子ユニットとの間の全てのスリットを閉鎖する。
【0013】
最後に、本発明の方法において、充填材(特に樹脂)を保護フィルム上に実装する。電子カードの層又は本体が充填材により少なくとも部分的に形成され、充填材が前記電子アセンブリ又はデバイスの前記電気的接続を少なくとも部分的に被覆する場合、充填材は少なくとも部分的には非固体状態である。
【0014】
保護フィルムは、当該保護フィルムを適所に保持し、また、電気的接続を少なくとも部分的に被覆する充填材を堆積する後工程において、前記充填材が保護フィルムの下部に浸透し、その結果、ウインドウ内に流入することを阻止する接着面を有する。保護フィルムを適所に保持するその他の変形例は当業者であれば予想できる。例えば、固体層は保護フィルムが実装される領域の上面に接着性の上面を有することもできる。別の変形例として、保護フィルムを固体層に、特に幾つかの特定領域に、熱的に溶着させることもできる。
【発明の効果】
【0015】
以上述べたように、本発明の電子カード製造方法によれば、特許文献1に記載された従来技術の製造方法の主要な欠点を解決することができる。
【0016】
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の方法により製造される電子カード内に組込まれる電子デバイスの第1の実施態様を示す概要断面図である。
【図2】保護フィルムが実装された図1の電子アセンブリ又はデバイスを示す概要断面図である。
【図3】本発明の製造方法における中間状態の本発明の電子カードの平面図である。
【図4】完成状態又は半完成状態における電子カードの図3におけるIV-IV線に沿った部分拡大断面図である。
【図5】完成状態又は半完成状態における電子カードの図3におけるV-V線に沿った部分拡大断面図である。
【図6A】本発明による保護フィルムの或る実施態様を示す平面図である。
【図6B】本発明による保護フィルムの別の実施態様を示す平面図である。
【図7】本発明の方法により製造される電子カード内に組込まれる電子デバイスの第2の実施態様を示す概要断面図である。
【図8】図7に示される電子デバイスを組込み、本発明の方法により製造される電子カードの概要断面図である。
【図9A】本発明による方法の第2の実行モードの一工程を模式的に示す部分概要断面図である。
【図9B】図9Aに示された模式的工程から得られる中間製品を示す部分概要断面図である。
【図10】本発明の方法により得られる電子カードの或る実施態様の概要断面図である。
【図11】本発明の方法の第3の実行モードより一群の電子カードを製造するための保護フィルムの部分平面図である。
【図12A】本発明の方法の第3の実行モードで行われる一連のステップの一部を示す部分概要断面図である。
【図12B】本発明の方法の第3の実行モードで行われる一連のステップの一部を示す部分概要断面図である。
【図12C】本発明の方法の第3の実行モードで行われる一連のステップの一部を示す部分概要断面図である。
【図12D】本発明の方法の第3の実行モードで行われる一連のステップの一部を示す部分概要断面図である。
【図12E】本発明の方法の第3の実行モードで行われる一連のステップの一部を示す部分概要断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【0019】
図1〜図5を参照しながら、本発明による電子カード製造方法の第1の実行モードについて以下説明する。
【0020】
本発明による電子カード製造方法の予備的ステップにおいて、第1の電子ユニット4は第2の電子ユニット10に実装され、電子アセンブリ又は電子デバイス40を形成する。電子ユニット10はPCBタイプの支持体12から形成され、支持体12の表面には各種の構成部品(コンポーネント)14,15及び16が配設されている。これらの電子回路は任意のタイプの構成部品から形成でき、また、各種の機能を有することもできる。例えば、構成部品14はマイクロプロセッサであり、構成部品15はディスプレイであり、構成部品16はバッテリであることができる。第2の電子ユニット10も、或る変形例において、バッテリを構成することができ、更に別の変形例ではアンテナを構成することができる。第1の電子ユニット4は、電子カードの内部電子ユニットに接続される単一の外部電気接点により形成することもできる。
【0021】
PCB12は硬質であるか又は軟質であることができる。この支持体12はトング18により延伸されている。トング18は軟質であるか、又は少なくとも弾性変形に耐えることができる。電子ユニット10と電子ユニット4との間を電気的に接続するための導電パス20及び21がトング18上に配設されている。この目的のために、電子ユニット4は電気的接続パッド22を有する。この電気的接続パッド22には、導電パス20のエンドパッド20A及び導電パス21のエンドパッド21Aが電気的に接続されており、特に、スズ(錫)溶接によるか又は導電性接着剤を使用することにより接続されている。スズは接続パッド22の表面に薄膜を形成する前に付着させておくことができる。導電パス20に装着されたトング18は第1の電子ユニット4と第2の電子ユニット10との間の電気的接続を形成する。ここに記載した電気的接続は好ましい一例であり、この2個の電子ユニット間の接続には当業者に公知の全てのタイプの電気的接続を使用することができる。特に、3個以上の導電パスを2個の電子ユニット間に配設することもできる。トング18は2個の電子ユニット間の多数の電気的接続パスの支持体として機能することができる。
【0022】
電子デバイス40が形成された後、2個の導電パス24及び26内に保護フィルムを配設する。組立てられると、前記2個の導電パスの各断面は中心開口32を画成する。中心開口32内には電気的接続18が挿入される。前記開口32は第1の電子ユニット4のサイズよりも小さなサイズを有する。2個のパーツの保護フィルムは、電気的接続18が開口32を通過する、第1の電子ユニット4と第2の電子ユニット10との間に配設される。図示された実施態様では、2個のパーツは略U字形の形状をしている。別の実施態様では、2個のパーツのうちの一方だけがU字形の形状をしているか又は両方のパーツともL字形の形状をしている。保護フィルムは開口32の周辺ゾーンを有し、第1の電子ユニット4の背面の外縁5に対して貼付される。次いで、保護フィルム24及び26を図2に示されるように第1の電子ユニット4の周辺ゾーンに延ばす。保護フィルムの機能については下記に説明する。
【0023】
その後、保護フィルムが装着された電子デバイス40を電子カード製造機器又は設備に供給する。一般的に、電子カード製造機器又は設備では、数種類のカード又はインレットが板状又はシート状で同時に製造される。この電子カード製造機器又は設備において、第1の固体層が配設される。この固体層は、各カードに配設され、かつ、電子デバイス40の第1の電子ユニット4の少なくとも一部を収容するように設計された少なくとも1個のウインドウ6を有する。従って、各電子ユニット4は固体層8のウインドウ6内に配置される。次いで、保護フィルムをウインドウ6の周辺ゾーンに貼付し、前記ウインドウの側壁30と第1の電子ユニット4との間の全てのスリット28を閉鎖する。スリット28が保護フィルムにより完全に閉鎖されることを確保するために、保護フィルムの2個のパーツ24及び26は、パーツ同士が積重するゾーン34を有する。パーツ26はパーツ24を部分的に被覆する区域を有する。しかし、別の実施態様では、積重ゾーン34を省略し、パーツ間に如何なる空隙も残さないように2個のパーツを適切に並べて組み立てることもできる。
【0024】
次ぎのステップにおいて、充填材42を第1の固体層8及び保護フィルムの上面に配設し、そして、例えば、非固体状態の充填材に圧力を印加し、充填材が電気的接続18を包囲するように被製造電子カードの層を形成する。
【0025】
図4及び図5に示される実施態様では、充填材42に圧力を印加する前に、第2の固体層44を前記充填材の上面に配設する。好ましくは、保護フィルムは接着性又は熱反応性表面を有する。これにより、前記保護フィルムを第1の電子ユニット4の背面に最初に固着させることができ、又は、前記保護フィルムを固体層8の上面に接着させることができる。保護フィルムが2個以上のパーツを有するということは、保護フィルムを電子ユニット4の背面の外縁に容易に配列させることができ、しかも、電気的接続18を通過させることができる開口32を画成することもできることを意味する。この特徴により、電子デバイス40が製造された後から保護フィルムを適切に配設することができる。
【0026】
電子ユニットを目視可能にするために、電子デバイスは2個又は3個以上の電子ユニット(特に、少なくとも2個の電子ユニット)を、1個又は2個の固体層内の各ウインドウ内に少なくとも部分的に配設させることができる。
【0027】
図6A及び図6Bは、本発明の目的も満たす保護フィルムの別の実施態様の2つの変形例を示す。図6Aの保護フィルム50は中心開口32を画成し、スリット52を有する単一のパーツから構成されている。スリット52は開口32から前記フィルムの外縁までフィルム50を貫通している。従って、この保護フィルム50はスリットリングタイプである。また、電子ユニット4の背面の外縁に対して保護フィルム50の開口32の周辺領域を配列させることができるようにするため、開口32は電子ユニット4の寸法よりも小さな寸法を有する。電気的接続18をスリット52内に挿入し、その後、電気的接続18が開口32内に配置されるまで電気的接続18を移動させることにより、電気的接続18を容易に開口32内に配設させることができる。次いで、図2及び図4に示される配列と同様な態様で、電子ユニット4の背面に対して保護フィルム50を正しく配置させる。
【0028】
図6Bに示される実施態様の保護フィルム54は開口32の周囲に複数本のスリット56a〜56dが配設されている点で異なる。これらのスリットは、フィルムの外縁にまで達していない。従って、これらのスリットは開口32の周縁のパーツを画成する。これにより、保護フィルム54の一般平面を外方へ簡単に折り曲げることができ、その結果、開口32の寸法よりも大きな寸法の電子ユニットも開口32を通過することができる。本発明により電子デバイス40の第1の電子ユニット4及び第2の電子ユニット10との間に保護フィルム54を配設するために、電子ユニット4を開口32を通して押し込み、スリット56a〜56dの間に配置された開口32の周縁のパーツを脇に移動させる。従って、これら周縁パーツは弾性変形し、そして、電子ユニット4が貫通したら、保護フィルム54の一般平面に戻る。次いで、電気的接続18が開口32内に挿入される。電子カード本体が製造されるとき堆積される樹脂又は充填材が出来るだけスリット内に流れ込まないようにするため、スリットの幅は最小又はゼロであることが好ましい。従って、「スリット」という用語は、特に保護フィルム内に単なる切れ目(特に直線部分に沿った切れ目)を形成することを意味する。
【0029】
電子カードのコア又は前記電子カードの内層を形成するために配設される充填材は、粘稠な液体状態で、又はホットメルト固体の形状で付着される樹脂により形成することが好ましい。充填材がホットメルト固体の樹脂の場合、第2の電子ユニット10を被覆するために、その後に少なくとも部分的に溶融される。電子カードのコア又は内層を形成するステップの好ましい実施態様によれば、先ず電気的接続18を弾性的に折り曲げることにより第2の電子ユニット10を回転させ、次いで、最終電子カードの中心にこれらの電子ユニットが配設される側に対して開口6のその他の側上のその上面に電子ユニット10をひっくり返す。別の実施態様では、電子ユニット10は適当な手段により単に上昇させ、そして、概ね垂直な位置に例えば、一時的に配置させる。次ぎに、充填材の最初の部分を底部の固体シート8上に配置する。これにより、樹脂の最初の部分は、電子ユニット10が終局的に配列される前記固体シート8の区域を少なくとも部分的に被覆する。次いで、電子ユニット10を折り曲げるか又は固体シート8の底面上に再び回転させ、事前に付着された充填材の最初の部分に配置させる。その後、充填材の第2の部分を電子ユニット10の上に配置する。これにより、充填材は電子ユニット10及び電気的接続18の大部分を完全に被覆する。この方法は、電子ユニット10の構成部品14〜16の下部に充填材が存在することを確保する。従って、この方法は、固体層8の底面の幾つかの部分が樹脂で被覆されないという事態の発生を防止する。樹脂で被覆されない部分が存在すると、その後に、最終電子カードの事後的な表面変形問題を引き起こすことがある。
【0030】
本発明の方法の別の実施態様によれば、特に、図1〜図5に関連して説明した状態において、樹脂は何らかの単独ステップ中に実質的に塗布され、そして、その後に、ローラ又はブレードにより一方向に展延される。ローラ又はブレードにより樹脂を一方向に展延することにより、展延された樹脂の一部が電子ユニット10の支持体12の下部に確実に浸透する。これは簡単に行われる。なぜなら、電子ユニット10の電子構成部品類は前記支持体の下部に配置されているからである。従って、支持体12は最初から固体層8から或る程度離して配置する。これにより、粘稠な液状の樹脂はその下部に容易に浸透し、また、樹脂層の形成ステップ中に前記支持体の上にも部分的に浸透する。第2の電子ユニット10の構成部品類が支持体12上に配置されるように電子デバイス40が製造される実施態様では、第1の電子ユニット4が底部層の開口内に配設されたら、支持体12の下部に樹脂の一部が流れ込むことをアシストする手段を配設することができる。例えば、この支持体は小さな突出部分を有することができ、これにより、前記支持体と底部固体層との間に空隙を創出させる。また、支持体12内に開口を配設し、樹脂の一部が前記支持体の下部に流れ込むことを促進させる。別の実施態様では、支持体12は隆起された末端部分、特に傾斜面を画成する末端部分を有することができる。次いで、第2の内部電子ユニットを持ち上げる方向にローラ又はブレードにより樹脂を展延する。水平に押された樹脂はこれら支持体12の一般平面に対して隆起されたこれらの部分を圧迫し、そして、上方への推力を働かせる。別の実施態様では、樹脂は2つの固体層8及び44の間に、特に、モールド内に注入することにより、横方向から導入される。
【0031】
本発明の方法の更に別の実施態様によれば、第2の電子ユニットの電子構成部品類の下部に第2の電子ユニット10Aの支持体12が配設される前記事例において、樹脂フィルム60を支持体12の下部に予め貼着させておく。この樹脂フィルムは保護フィルム50の下部に貼着される樹脂フィルム62(図7参照)と同様な特性を有する。
【0032】
図7の電子デバイス40Aの実施態様によれば、電子ユニット4Aと電子ユニット10Aとの間の電気的接続64はモジュール14Aから出てくる金属トングにより形成されている。これらの金属トングは変形させることができ、その結果、保護フィルム50を電子ユニット4Aの背面に簡単に実装することができる。電子ユニット4Aは陥凹部を伴う側壁を有する。図8に示されるように、その後、電子デバイス40Aは開口6Aを有する固体層8A上に実装される。開口6Aは階段状になっており、この階段部分に電子ユニット4Aの頂部が係止される。固体層8Aは互いに積層された2層構造体から形成できる。積層体の各層は異なる寸法の開口を有し、電子ユニット4Aの断面輪郭に適合する断面輪郭を有するハウジングを画成する。図8に示された本発明による電子カードの実施態様において、2枚の透明な外装フィルム66及び68が最後に加えられる。透明フィルム66は電子ユニット4Aを被覆する。電子ユニット4Aは例えば、光センサ、ソーラーセンサ、又は発光源(特に、赤外領域内の発光源)を形成する。電子ユニット4Aはまた、透明フィルム66を通して目視可能な電子ディスプレイを画成することもできる。
【0033】
固体層8A及び支持体12との間に配設された樹脂フィルム60は電子カードの内層を形成する樹脂42と同一物であることができる。接着フィルム60は前記層を通して加熱することにより下部層に接着させることができる。
【0034】
図9A、図9B及び図10を参照しながら本発明による電子カード製造方法の第2の実行モードについて説明する。この第2の実行モードと前記の第1の実行モードとの間の本質的相違点は、本発明の製造方法の一連のステップの変動である。図9Aに模式的に示されるように、電子アセンブリ又はデバイス40Bが最初に下部固体層8上に配設され、そして、前記固体層に設けられた開口6内に電子ユニット4Bが挿入される。電子ユニット10Bが組込まれる内層を形成するために使用される樹脂の第1の部分42Aが電子デバイス40Bより前に配設される。別法として、この樹脂部分42Aは、電子ユニット10が前記のように上昇又はひっくり返される間に添加される。第1の電子ユニット4Bが固体層8の開口6の内部に部分的に収容されたら、保護フィルム50を配設し、前記保護フィルム内に設けられたスリット52(図6A参照)を通して、保護フィルム50の開口32内に電気的接続64Aを挿入することにより、図9Bに示されるように適所に固定する。保護フィルムが実装される前に少量の接着剤により電子ユニット4Bを固体層8に固着させることができる。この実施態様では、保護フィルムは単一のパーツを有する。この単一のパーツは、当該パーツ内に形成される開口から出発する少なくとも1本のスリットを有し、前記開口の寸法は第1の電子ユニット4Bの寸法よりも小さい。保護フィルム50が適所に固定されると、当該保護フィルム50はウインドウ6の周縁領域と、電気的接続パッド22が配置されている第1の電子ユニット4Bの背面の外縁とを被覆する。本発明によりこの配列は、固体層8内に設けられた各ウインドウの側壁及び前記ウインドウ内に配置された第1の電子ユニット4Bとの間の全ての隙間を閉塞することができる。第1の実行モードにおけるように、保護フィルムはそれぞれの輪郭を有する数個のパーツから構成することもできる。この数個のパーツは、保護フィルムが下部固体層8上に実装されるとき、電気的接続64Aが通する開口を形成する。
【0035】
次いで、第1の実行モードにおけるように、充填材(特に樹脂)を第1の固体層8及び保護フィルム50上に堆積させ、電子カード層を形成するために非固体状態の充填材を展延させ、その後、充填材で第2の電子ユニット10Bを被覆する。
【0036】
図10に示される電子カードの実施態様は図8に示された電子カードの実施態様と特に次ぎの点で異なる。すなわち、図10における下部透明フィルム70は第1の電子ユニット4Bの外面と向かい合うように配列されたウインドウ72を有する。ここで電子ユニット4Bは例えば、指紋センサを構成する。この実施態様の利点は、電子ユニット4Bと、固体層8の外面の側面上のウインドウ6の側壁との間の全ての隙間を閉塞することである。
【0037】
前記した各種電子カードの実施態様において、保護フィルムは樹脂層内に組込まれた第2の電子ユニットの全体の下部に延びないように、その寸法が制限されている。特に、保護フィルムは小さな寸法を有し、その結果、樹脂層内に組込まれた第2の電子ユニットには重ならない。従って、これにより、フィルムが下部固体層の大部分を被覆することが避けられ、その結果、樹脂層と下部固体層との間に界面を形成することが避けられる。保護フィルムが接着剤又は熱反応性表面を有していても、フィルムの下部固体層への接着は抑制される。従って、電子カードを貫通する保護フィルムが下部固体層から剥離する問題を起こすこともあり得る。
【0038】
図11及び図12A〜図12Eを参照しながら、本発明の電子カード製造方法の第3の実行モードを下記に説明する。この実行モードは自動化された製造に特に適しており、かつ、保護フィルムの剥離リスク無しに極めて高品質な電子カードを提供する。
【0039】
製造後に電子カードを切り出せるような板状の保護フィルム76を数バッチの被製造電子カード用に準備する。この保護フィルム76は、電子カード内に組込まれる電子アセンブリ又はデバイス40Cの電気的接続64を貫通させるための開口32Aを有する。好ましくは、第2の電子ユニット10Cのために用意された区域内に開口78を有する。各開口32Aは、当該開口32Aの角部に設けられた4個のスリット82により画成される4個のフラップ80a〜80dを有する。ここで使用される保護フィルムは非常に薄いフィルムである。
【0040】
電子カード製造方法の最初のステップは、保護フィルム76をラミネーション、好ましくはホットラミネーションにより、予め製造された電子デバイス又はアセンブリ40Cの第1の電子ユニット4をそれぞれ収容するための開口6を有する固体層8と貼り合わせる。従って、この固体層と保護フィルムは互いにしっかりと接着する。開口32Aの中心を開口6の中心と一致させる。次いで、フラップ80a〜80dを保護フィルム76の一般平面内の各開口6の周囲に沿って配置させる。スリット82は、特にホットラミネーションの場合、ラミネーションステップの後に形成することもできる。
【0041】
次いで、固体層8及び保護フィルム76から構成される構造体(図12A参照)上に電子デバイス40Cを配置させ、第1の電子ユニット4を開口6内に押し込む。この押し込みは、開口6の側壁30に対してフラップ80a〜80dを折り曲げることにより行われる(図12B参照)。前記フラップが解放されるところまで電子ユニット4が十分に押し下げられたら、電子ユニット4を保護フィルム76の一般平面に向けて少なくとも部分的に上方に向けて押し戻す(図12C参照)。最後に、電子ユニット4を最終の電子カードについて設計されたレベルにまで開口6の内側を上昇させる(図12D参照)。次いで、フラップ80a〜80dを電子ユニット4の側壁面に接触させる。電子ユニット4と、当該電子ユニット4が挿入される開口6の壁面30との間の空隙をしっかりと閉鎖するために、フラップ80a〜80dの末端部を電子ユニット4の背面の外縁に対して折り曲げることが好ましい(図12E参照)。これら折り曲げ末端部は前記電子ユニット4の背面に接着させることが好ましい。再度述べるが、スリット82の幅は殆どゼロであることもできる。従って、その後、保護フィルム76、電子ユニット10C及び電子ユニット10Cに対する各電気的接続64の上に樹脂が堆積されたとき、樹脂はウインドウ6の壁面に沿って流れることは無い。その後のステップは本発明のその他の実行モードのステップ及び当該ステップの変型例と同様である。従って、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0042】
図示されていない実施態様として、第1の電子ユニットはその内側部分に狭い部分を有する。この狭い部分は、固体層の内側上面に、前記内側上面の平面と概ね同一平面の、前記第1の電子ユニットの水平な周面を画成し、一方、第1の電子ユニットの高さは固体層の厚さよりもかなり大きいもであることができる。第1の電子ユニットがその最終位置に上昇されるとき、保護フィルムのフラップは前記第1の電子ユニットの前記周面上に水平な位置に配置される。従って、フラップは保護フィルムの一般平面内に配置されるので、開口の角部のスリットは適切に閉塞され、これにより、充填材が非固体状態で注入される場合、特に粘稠な液体状態の樹脂が注入される場合、非常に高度なシーリング性が保証される。
【0043】
図12Aに示された実施態様では、内部電子ユニット10Cの底面は突起部又は浮上部分84a〜84cを有し、この突起部又は浮上部分84a〜84cにより内部電子ユニット10Cと固体層8の上面との間に空間が形成され、その結果、電子カードの内層が形成されるときに樹脂をこの空間内に充填することができ、かつ、電子ユニット10Cと固体層8をしっかりと固着させる樹脂フィルムを形成することができる。
【0044】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。
【符号の説明】
【0045】
4,4A,4B 第1の電子ユニット
5 第1の電子ユニットの背面外縁
6,6A ウインドウ
8 固体層
10,10A,10B 第2の電子ユニット
12 支持体
14,14A,15,15A,16,16A 構成部品
18 トング
20,21 導電パス
20A,21A エンドパッド
22 電気的接続パッド
24,26 保護フィルム
28 スリット
30 ウインドウ側壁
32,32A 開口
34 積重ゾーン
40,40A,40B,40C 電子デバイス
42,42A 充填材
44 第2の固体層
50,54 保護フィルム
52,56a〜56d スリット
60,62 樹脂フィルム
64,64A 電気的接続
66,68 外装フィルム
70 下部透明フィルム
72 ウインドウ
76 保護フィルム
78 開口
80a〜80d フラップ
82 スリット
84a〜84c 突起部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子カードの固体層(8,8A)のウインドウ(6,6A)内に少なくとも部分的に配設された第1の電子ユニット(4,4A)と、前記第1の電子ユニットに電気的に接続される第2の電子ユニット10,10A,10B)を少なくとも有する電子カードの製造方法であって、下記の一連のステップ、
(a)少なくとも前記第1の電子ユニットと前記第2の電子ユニットとの間に電気的接続(18,64,64A)を生成することにより電子デバイス又はアセンブリ(40,40A,40B)を形成するステップと、
(b)前記第1の電子ユニットを少なくとも部分的に収容する少なくとも1個のウインドウ(6,6A)を有する第1の固体層(8,8A)を提供し、そして、前記ウインドウ内に配置される第1の電子ユニットを有する前記電子デバイス又はアセンブリを提供するステップと、
(c)組立てられたときに、前記電気的接続が通される開口(32)(当該開口は第1の電子ユニットの寸法よりも小さな寸法を有する)を画成する各断面を有する幾つかのパーツ(24,26)から構成されるか、又は単一のパーツ内に形成される開口(32)(当該開口は第1の電子ユニットの寸法よりも小さな寸法を有する)から発する少なくとも1本のスリット(52,56a〜56d)を有する単一のパーツ(50,54)から構成される保護フィルムを提供し、そして、前記保護フィルムが前記ウインドウの周縁領域内の固体層と、少なくとも第1の電子ユニットの側面又は背面の外縁を被覆し、ウインドウと前記第1の電子ユニットの側壁との間の隙間を閉塞するように前記保護フィルムを配置するステップと、
(d)少なくとも保護フィルム上に充填材(42)を提供するステップと、
前記充填材は、カード層が前記充填材により少なくとも部分的に形成されているときに少なくとも部分的に非固体状態であり、前記充填材は前記電子デバイス又はアセンブリの前記電気的接続を少なくとも部分的に被覆する、
からなることを特徴とする電子カードの製造方法。
【請求項2】
電子カードの固体層(8,8A)のウインドウ(6,6A)内に少なくとも部分的に配設された第1の電子ユニット(4,4A)と、前記第1の電子ユニットに電気的に接続される第2の電子ユニット10,10A,10B)を少なくとも有する電子カードの製造方法であって、下記の一連のステップ、
(a)少なくとも前記第1の電子ユニットと前記第2の電子ユニットとの間に電気的接続(18,64,64A)を生成することにより電子デバイス又はアセンブリ(40,40A,40B)を形成し、第1の電子ユニットの寸法よりも小さな寸法を有する開口を有するか又は該開口を画成するように配列された保護フィルムを提供し、そして、前記開口を通過する前記電気的接続を有する前記第1及び第2の電子ユニット間に保護フィルムを配置するステップと、
(b)前記第1の電子ユニットを少なくとも部分的に収容する少なくとも1個のウインドウ(6,6A)を有する第1の固体層(8,8A)を提供し、前記保護フィルムを有する前記予め組立てられた電子デバイス又はアセンブリを提供し、そして、前記ウインドウ内に第1の電子ユニットを配置し、かつ、前記保護フィルムを配置するステップと、
前記保護フィルムは前記ウインドウの周縁の前記固体層上に部分的に配置されるか、又は、事前に行われない場合、ウインドウの側壁と前記第1の電子ユニットとの間の隙間を閉塞するために、第1の電子ユニットの側面又は背面の外縁に対して部分的に配置される、
(c)少なくとも保護フィルム上に充填材(42)を提供するステップと、
前記充填材は、カード層が前記充填材により少なくとも部分的に形成されているときに少なくとも部分的に非固体状態であり、前記充填材は前記電子デバイス又はアセンブリの前記電気的接続を少なくとも部分的に被覆する、
からなることを特徴とする電子カードの製造方法。
【請求項3】
前記保護フィルムは、組立てられたときに、前記電気的接続が通される開口(32)(当該開口は第1の電子ユニットの寸法よりも小さな寸法を有する)を画成する各断面を有する幾つかのパーツ(24,26)から構成されるか、又は単一のパーツ内に形成される開口(32)(当該開口は第1の電子ユニットの寸法よりも小さな寸法を有する)から発する少なくとも1本のスリットを有する単一のパーツ(50,54)から構成されることを特徴とする請求項2記載の電子カードの製造方法。
【請求項4】
前記保護フィルム(50)はスリットリングの一般的形状を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電子カードの製造方法。
【請求項5】
前記保護フィルムは2つのパーツから構成されており、少なくとも一方のパーツは略U字形の形状をしているか、又は両方のパーツとも略L字形の形状をしていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電子カードの製造方法。
【請求項6】
各電子カードは、該カードの固体層(8)のウインドウ(6)内に少なくとも部分的に配置された少なくとも第1の電子ユニット(4)と、第1の電子ユニットと電気的に接続された第2の電子ユニット(10C)とを有する電子カードの製造方法であって、下記の一連のステップ、
(a)少なくとも前記第1の電子ユニットと前記第2の電子ユニットとの間に電気的接続(64)を生成することにより電子デバイス又はアセンブリ(40C)を形成するステップと、
(b)第1の電子ユニットの寸法よりも小さな寸法を有し、周囲にフラップ(80a〜80d)を有する少なくとも1個の開口(32)を具備する保護フィルム(76)と、第1の電子ユニットを少なくとも部分的に収容する少なくとも1個のウインドウを有する第1の固体層(8)を含む構造体を形成するステップと、
前記保護フィルムは、前記少なくとも1個の開口の中心が前記少なくとも1個のウインドウの中心に合致するように、前記固体層上に取付られる、
からなる第1のステップ群と、前記第1のステップ群に続く下記の一連のステップ、
(c)前記構造体及び前記電子デバイス又はアセンブリをカード製造機器又は設備に提供し、そして、第1の電子ユニットを前記開口の反対側に配置し、次いで、前記フラップを開口の側壁の方向に向けてフラップが解放されるまで折り曲げ、次いで、保護フィルムの一般平面に向かって少なくとも部分的に上方に向けて移動させることにより、前記第1の電子ユニットを前記ウインドウ内に押し込むステップと、
(d)ウインドウの側壁と第1の電子ユニットとの間の隙間を閉塞するために、前記フラップが前記第1の電子ユニットの側面又は背面に貼り付くように、第1の電子ユニットを前記開口に向かって上方に移動させるステップと、
前記電気的接続は前記開口を通過する、
(e)少なくとも保護フィルム上に充填材(42)を提供するステップと、
前記充填材は、カード層が前記充填材により少なくとも部分的に形成されているときに少なくとも部分的に非固体状態であり、前記充填材は前記電子デバイス又はアセンブリの前記電気的接続を少なくとも部分的に被覆する、
からなることを特徴とする電子カードの製造方法。
【請求項7】
前記保護フィルムと前記固体層は互いに貼合わされることを特徴とする請求項6記載の電子カードの製造方法。
【請求項8】
前記保護フィルムは初めは複数個の開口を有し、各開口の中心は前記保護フィルムが貼合わされる固体層のウインドウの中心と合致し、前記構造体は電子デバイス又はアセンブリがそれぞれ組込まれる一群の電子カードの形成のために提供されることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子カードの製造方法。
【請求項9】
充填材の第1の部分(42A)は、第2の電子ユニット(この電子ユニットは第1の固体層から相対的に上昇されているか又はその上面に向きを変えられている)下部に提供された樹脂により形成されており、充填材の第2の部分は、前記第2の電子ユニット上に提供され、前記第2の電子ユニットは、前記充填材の第1の部分上に配置されるために、固体層の底部に折り曲げられているか又は向きを変えられていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の電子カードの製造方法。
【請求項10】
充填材は少なくとも一つの樹脂により形成されており、前記樹脂はローラ又はブレードにより展延されるか又は横から注入され、前記層が前記充填材により少なくとも部分的に形成される場合、前記樹脂の一部が前記第2の電子ユニットの下部に浸透するように、前記第2の電子ユニットが配置されていることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の電子カードの製造方法。
【請求項11】
樹脂層(60)は最初に第2の電子ユニットの支持体(12)の下面に堆積されることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の電子カードの製造方法。
【請求項12】
前記充填材に圧力が印加される前に、第2の固体層が前記充填材の上に提供される請求項1〜10の何れかに記載の電子カードの製造方法。
【請求項13】
前記保護フィルムは、第1の電子ユニットの背面に塗布されたら、その背面に接着する接着剤又は熱反応性表面(62)を有することを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の電子カードの製造方法。
【請求項14】
前記保護フィルムは、前記保護フィルムが第2の電子ユニットの大部分の下部に延びないような限られた寸法を有することを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の電子カードの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【公開番号】特開2011−138508(P2011−138508A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287048(P2010−287048)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(509220080)ナグラアイディー エス.エイ. (3)
【Fターム(参考)】