説明

電子デバイスおよび電子デバイスを形成する方法

【課題】電子デバイスおよび電子デバイスを形成する方法を提供する。
【解決手段】電子デバイスは、基板および第1画素を含む。第1画素は、この基板の上に重なる第1画素駆動回路、および第1電子コンポーネントを含む。第1電子コンポーネントは、第1電極および第1有機層を含む。第1電極は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。第1画素内で、第1有機層は第1電極の上に重なり、第1有機層はウェル構造に接触せず、第1有機層は中央部分および縁部分を含む。第1有機層の縁部分の厚さは、第1有機層の中央部分と大きく異なり、平面図では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子デバイスおよび電子デバイスを形成する方法に関し、より詳細には、少なくとも部分的に画素駆動回路の上に重なる有機層を有する、電子デバイスおよびこのような電子デバイスを形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業者は、有機発光ダイオード(OLED)などの有機電子コンポーネントを含む電子デバイスにますます目を向けつつある。有機電子コンポーネントの1つのタイプは、アノードおよびカソードという2つの電極間に配置された有機活性層を含む。表示コンポーネントの場合、電極間に電位を印加すると、有機活性層が励起され、その結果、可視光などの電磁放射が放出される。センサコンポーネントの場合には、有機活性層によって電磁放射が吸収され、その結果、電位が生じる。一般に、有機電子コンポーネントは、列を成して配置され、いくつかの列が、電子デバイスの一部を形成する。
【0003】
【特許文献1】米国特許第4356429号明細書
【特許文献2】米国特許第4539507号明細書
【特許文献3】米国特許第6459199号明細書
【特許文献4】米国特許第5247190号明細書
【特許文献5】米国特許第5408109号明細書
【特許文献6】米国特許第5317169号明細書
【特許文献7】国際公開第02/02714号パンフレット
【特許文献8】米国特許出願公開第2001/0019782号明細書
【特許文献9】欧州特許出願公開第1191612号明細書
【特許文献10】国際公開第02/15645号パンフレット
【特許文献11】国際公開第02/31896号パンフレット
【特許文献12】欧州特許出願公開第1191614号明細書
【非特許文献1】CRC Handbook of Chemistry and Physics, 81st Edition (2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、OLEDなどの有機電子コンポーネントを有する電子デバイスを製造する従来の方法はコストがかかる。1つには、このコストは、インクジェット印刷などの時間のかかる製造方法によるものである。通常、インクジェット印刷は、ウェル構造(well structure)内に有機液体組成物の液滴を、列に沿ってコンポーネントごとに配置し、コンポーネント構造のアレイ全体にわたって列ごとにステップ動作することを必要とする。インクジェットプリントヘッドは、40mm/秒というゆっくりした速度でコンポーネント間を移動する。その結果、このような方法は時間がかかり、そのため、デバイスのスループットが制限される。
【0005】
さらに、このような方法では、液体組成物の被着(deposition)を誘導する構造を使用する。ウェル構造などのこれらの構造は一般に、有機電子コンポーネントの形成に使用する、基礎となる電極を部分的に覆い、アクティブマトリックスOLEDデバイスでは、これらの電極に関連する画素駆動回路を覆う。画素駆動回路内の電子コンポーネントは通常、光および電磁放射の影響を受けやすく、TFTなどの電子コンポーネントは、放射にさらされることによって経時的に劣化する。しかし、この構造によって電極が部分的に覆われると、有機電子コンポーネントの有機層の被着に有用な表面積が減少する。さらに、この構造の壁付近の厚さの変動によって、有用な表面積はさらに減少する。このような厚さの変動により、表示デバイスなどの有機電子コンポーネントにおける実効放出面積が減少する。このように、影響を受けやすい電子コンポーネントが露光(exposure)されないようにすることと、有用な表面積に関連するコンポーネントの性能とは相反するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電子デバイスは、基板および第1画素を含む。第1画素は、この基板の上に重なる第1画素駆動回路、および第1電子コンポーネントを含む。第1電子コンポーネントは、第1電極および第1有機層を含む。第1電極は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。第1画素内で、第1有機層は第1電極の上に重なり、第1有機層はウェル構造に接触せず、第1有機層は中央部分および縁部分を含む。第1有機層の縁部分の厚さは、第1有機層の中央部分と大きく異なり、平面図では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。
【0007】
電子デバイスを形成する方法は、基板の上で第1画素駆動回路を形成することと、この基板の上で第1電子コンポーネントの第1電極を形成することとを含む。この第1電極は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。この方法はさらに、第1電子コンポーネントの第1電極の上で第1有機層を形成することを含む。この基板は、第1有機層の部分を形成する間、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上ではウェル構造を含まない。第1有機層は、中央部分および縁部分を含み、第1有機層の縁部分は、第1有機層の中央部分と大きく異なる。平面図では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。
【0008】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単なる例および説明であり、添付の特許請求の範囲で定義される本発明を限定するものではない。
【0009】
添付の図では、本発明は、例として示されており、これらに限定されるものではない。
【0010】
図中の要素は、簡単かつ見やすいように示されており、必ずしも原寸に比例していないことが当業者には理解されよう。例えば、本発明の実施形態をよりよく理解するための助けとするために、図中の要素の一部の寸法は、他の要素に対して相対的に誇張されていることがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
一例示的実施形態では、電子デバイスは、基板および第1画素を含む。第1画素は、この基板の上に重なる第1画素駆動回路、および第1電子コンポーネントを含む。第1電子コンポーネントは、第1電極および第1有機層を含む。第1電極は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。第1画素内で、第1有機層は第1電極の上に重なり、第1有機層はウェル構造に接触せず、第1有機層は中央部分および縁部分を含む。第1有機層の縁部分の厚さは、第1有機層の中央部分と異なり、平面図では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。
【0012】
一実施形態では、第1画素駆動回路は、選択トランジスタおよび駆動トランジスタを含む。平面図では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、選択トランジスタ、駆動トランジスタ、またはこれらの組合せの上に重なる。一実施例では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、選択トランジスタの上に重なる。
【0013】
別の実施形態では、この電子デバイスは、第1電源ライン、第2電源ライン、データライン、および選択ラインを備える。平面図では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、第1電源ライン、第2電源ライン、データライン、選択ライン、またはこれらの任意の組合せの上に重なる。例えば、第1有機層の縁部分は、選択ラインの上に重なることがある。
【0014】
別の実施形態では、この電子デバイスはさらに、第2電極を含み、第1有機層は第1有機活性層であり、第2電極はこの第1有機活性層の上に重なる。この電子デバイスは、有機電子コンポーネントとすることができる。
【0015】
別の実施形態では、この電子デバイスはさらに、第2画素を含む。この第2画素は、基板の上に重なる第2画素駆動回路、および第2電子コンポーネントを含む。第2電子コンポーネントは、第1電極および第2有機層を含む。第1有機層は、第2有機層と異なる組成を有する第1有機活性層である。第2電子コンポーネントの第1電極は、第2画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。第2画素内で、第2有機層は第2電子コンポーネントの第1電極の上に重なり、第2有機層はウェル構造に接触せず、第2有機層は中央部分および縁部分を含む。第2有機層の縁部分の厚さは、第2有機層の中央部分と異なる。平面図では、第2有機層の縁部分の少なくとも一部は、第2画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。一実施形態では、第2画素駆動回路は選択トランジスタを含み、平面図では、第2有機活性層の縁部分の少なくとも一部は、第2画素駆動回路の選択トランジスタの上に重なる。別の実施形態では、この電子コンポーネントは、第1画素駆動回路に接続されない選択ラインを含み、平面図では、第2有機活性層の縁部分の少なくとも一部は、この選択ラインの上に重なる。
【0016】
別の例示的実施形態では、電子デバイスを形成する方法は、基板の上で第1画素駆動回路を形成することと、この基板の上で第1電子コンポーネントの第1電極を形成することとを含む。この第1電極は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。この方法はさらに、第1電子コンポーネントの第1電極の上で第1有機層を形成することを含む。この基板は、第1有機層を形成する間、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上ではウェル構造を含まない。第1有機層は、中央部分および縁部分を含み、第1有機層の縁部分は、第1有機層の中央部分よりもかなり厚い。平面図では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。
【0017】
別の実施形態では、第1画素駆動回路は、選択トランジスタおよび駆動トランジスタを含み、平面図では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、選択トランジスタ、駆動トランジスタ、またはこれらの組合せの上に重なる。別の実施形態では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、選択トランジスタの上に重なる。
【0018】
別の実施形態では、この電子デバイスは、第1電源ライン、第2電源ライン、データライン、および選択ラインを備え、平面図では、第1有機層の縁部分の少なくとも一部は、第1電源ライン、第2電源ライン、データライン、選択ライン、またはこれらの任意の組合せの上に重なる。別の実施形態では、第1有機層の縁部分は、選択ラインの上に重なる。
【0019】
別の実施形態では、第1有機層は第1有機活性層であり、この方法はさらに、この第1有機活性層の上で第2電極を形成することを含む。追加の実施形態では、この電子デバイスは、有機電子コンポーネントである。
【0020】
別の実施形態では、第1画素駆動回路を形成することは、基板の上で第2画素駆動回路を形成することを含み、第1電極を形成することは、この基板の上で第2電子コンポーネントの第1電極を形成することを含む。第2電子コンポーネントの第1電極は、第2画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。この方法はさらに、第2電子コンポーネントの第1電極の上で第2有機活性層を形成することを含む。第1有機層は、第2有機活性層と異なる組成を有する第1有機活性層である。第2有機活性層は、中央部分および縁部分を含む。第2有機活性層の縁部分は、第2有機活性層の中央部分よりもかなり厚く、平面図では、第2有機活性層の縁部分の少なくとも一部は、第2画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なる。追加の実施形態では、第2画素駆動回路は選択トランジスタを含み、平面図では、第2有機活性層の縁部分の少なくとも一部は、第2画素駆動回路の選択トランジスタの上に重なる。別の実施形態では、この電子デバイスは、第2画素駆動回路に接続されない選択ラインを含み、平面図では、第2有機活性層の縁部分の少なくとも一部は、この選択ラインの上に重なる。
【0021】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。詳細な説明では、まず、「用語の定義および説明」を取り扱い、その後、「層の形成および層の厚さ」、「電子デバイスおよびこのような電子デバイスを形成するプロセス」、「代替実施形態および利点」を取り扱う。
【0022】
1.用語の定義および説明
以下で説明する実施形態の細部に取りかかる前に、いくつかの用語を定義し、および説明する。「アレイ」、「周辺回路」、および「遠隔回路」という用語は、電子デバイスの異なる区域またはコンポーネントを意味するためのものである。例えば、アレイは、(通常、列および行によって指定される)規則的な配置内の画素、セル、またはその他の構造を含み得る。アレイ内の画素、セル、またはその他の構造は、周辺回路によって局所的に制御し得る。周辺回路は、アレイと同じ基板上であるが、アレイ自体の外側に存在し得る。遠隔回路は通常、周辺回路から離れたところに存在し、(典型的には、周辺回路を介して)アレイと信号の送受信を行うことができる。遠隔回路は、アレイに無関係な機能を実施することもできる。遠隔回路は、アレイを有する基板上にあってもよいし、なくてもよい。
【0023】
「チャネル領域」という用語は、電界効果トランジスタのソース/ドレイン領域間に存在する領域を意味するためのものである。電界効果トランジスタにバイアスをかけると、電界効果トランジスタのゲート電極を介して、ソース/ドレイン領域間のキャリアの流れ、またはキャリアの欠乏が影響を受ける。
【0024】
「回路」という用語は、適切に接続され、1つ(または複数)の適切な電位が供給されたときに、集合的にある機能を実施する電子コンポーネントの集合体を意味するためのものである。有機電子コンポーネントに関するTFT画素駆動回路は、回路の例である。
【0025】
電子コンポーネント、回路、またはこれらの一部に関して、「接続される」という用語は、2つ以上の電子コンポーネント、回路、または少なくとも1つの電子コンポーネントおよび少なくとも1つの回路の任意の組合せが、これらの間に介在するいかなる電子コンポーネントも含まないことを意味するためのものである。この定義では、寄生抵抗、または寄生容量、あるいはその両方は、電子コンポーネントとはみなさない。一実施形態では、電子コンポーネントが接続されているのは、それらが電気的に互いに短絡され、ほぼ同じ電圧状態にあるときである。電子コンポーネントは、光ファイバラインを使用して互いに接続して、このような電子コンポーネント間で光信号を送信し得ることに留意されたい。
【0026】
「結合する」という用語は、2つ以上の電子コンポーネント、回路、システム、あるいは、(1)少なくとも1つの電子コンポーネント、(2)少なくとも1つの回路、または(3)少なくとも1つのシステムの任意の組合せが、信号(例えば、電流、電圧、または光信号)を相互に転送し得るように、接続、連結、または関連させることを意味するためのものである。「結合された」状態の非限定的な例は、1つ(または複数)の電子コンポーネント、1つ(または複数)の回路、あるいは1つ(または複数)のスイッチ(例えば、1つ(または複数)のトランジスタ)が間に接続された、1つ(または複数)の電子コンポーネント間の直接接続などを含み得る。
【0027】
「データライン」という用語は、情報を含む1つまたは複数の信号を送信するという主要機能を有する、信号ラインを意味するためのものである。
【0028】
「駆動トランジスタ」という用語は、電子デバイスの異なる部分を駆動する信号に応答して動作するトランジスタを意味するためのものである。一実施形態では、制御電極(例えば、ゲート電極またはベース領域)は、異なる電子コンポーネントに印加される電圧、電源ラインと異なる電子コンポーネントとの間を流れる電流、またはこれらの組合せを制御する信号を受け取る。
【0029】
「電子コンポーネント」という用語は、電気的または電気放射的な(例えば、電気光学的な)機能を実施する回路の最も低いレベルのユニットを意味するためのものである。電子コンポーネントは、トランジスタ、ダイオード、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、半導体レーザ、光スイッチなどを含み得る。電子コンポーネントは、寄生抵抗(例えば、導線の抵抗)または寄生容量(例えば、異なる電子コンポーネントに接続された2つの導体間の静電結合であり、導体間のコンデンサは意図されないもの、または偶発的なものである)を含まない。
【0030】
「電子デバイス」という用語は、適切に接続され、1つ(または複数)の適切な電位が供給されたときに、集合的にある機能を実施する回路、電子コンポーネント、またはこれらの組合せの集合体を意味するためのものである。電子デバイスは、システムを含むこともあるし、システムの一部とすることもできる。電子デバイスの例には、ディスプレイ、センサアレイ、コンピュータシステム、航空電子装置、自動車、携帯電話、あるいは消費者向けまたは産業用の他の電子製品が含まれる。
【0031】
「電界効果トランジスタ」という用語は、ゲート電極にかかる電圧が電流搬送特性に影響を及ぼすトランジスタを意味するためのものである。電界効果トランジスタには、接合型電界効果トランジスタ(JFET)および金属絶縁物半導体電界効果トランジスタ(MISFET)が含まれる。これらには、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、金属窒酸化膜半導体(MNOS)電界効果トランジスタ、またはこれらの組合せが含まれる。電界効果トランジスタは、(n型キャリアがチャネル領域内を流れる)nチャネル型または(p型キャリアがチャネル領域内を流れる)pチャネル型とし得る。電界効果トランジスタは、(チャネル領域が、同じトランジスタのソース/ドレイン領域と比較して異なる導電率タイプを有する)エンハンスメント型トランジスタ、または(同じトランジスタのチャネルおよびソース/ドレイン領域が、同じ導電率タイプを有する)ディプリーション型電界効果トランジスタとし得る。
【0032】
「有機活性層」という用語は、1つまたは複数の有機層を意味するためのものである。これらの有機層の少なくとも1つは、単独で、または異種材料と接触すると、整流接合部を形成し得る。
【0033】
「有機電子デバイス」という用語は、1つまたは複数の半導体の層または材料を含むデバイスを意味するためのものである。有機電子デバイスには、(1)電気エネルギーを放射に変換するデバイス(例えば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザ、または照明パネル)、(2)電子的なプロセスを介して信号を検出するデバイス(例えば、光検出器、光導電セル、光抵抗器、光スイッチ、フォトトランジスタ、光電管、赤外(「IR」)検出器、またはバイオセンサ)、(3)放射を電気エネルギーに変換するデバイス(例えば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、および(4)1つまたは複数の有機半導体層を含む1つまたは複数の電子コンポーネントを含むデバイス(例えば、トランジスタまたはダイオード)が含まれる。
【0034】
「画素」という用語は、1つの電子コンポーネントに対応するアレイの一部、および、特定の1つの電子コンポーネント専用の、このアレイの一部の対応する1つ(または複数)の電子コンポーネントが存在する場合にはその1つ(または複数)の電子コンポーネントを意味するためのものである。一実施形態では、画素は、OLEDおよびその対応する画素駆動回路を有する。本明細書で用いる画素は、本明細書以外で当業者が用いるように、画素または副画素とし得ることに留意されたい。
【0035】
「画素回路」という用語は、画素内の回路を意味するためのものである。一実施形態では、画素回路は、ディスプレイまたはセンサアレイ内で使用し得る。
【0036】
「画素駆動回路」という用語は、画素内の回路であって、このような回路によって駆動されるただ1つの電子コンポーネント用の1つ(または複数)の信号を制御する回路を意味するためのものである。
【0037】
「電源ライン」という用語は、電力を伝送するという主要機能を有する信号ラインを意味するためのものである。
【0038】
「整流接合部」という用語は、半導体層内の接合部、または半導体層と異種材料の界面によって形成された接合部を意味するためのものである。この接合部を通って、1つのタイプの電荷キャリアが1方向に、その反対方向よりも流れやすい。pn接合部は、ダイオードとして使用し得る整流接合部の例である。
【0039】
「選択ライン」という用語は、1組の信号ラインのうちの特定の信号ラインを意味するためのものである。特定の信号ラインは、この特定の信号ラインがアクティブになったときに、1つまたは複数の電子コンポーネント、1つまたは複数の回路、またはこれらの任意の組合せを活動化させるのに使用する1つまたは複数の信号を送信するという主要機能を有する。この1組の信号ラインの別の信号ラインに関連する他の1つ(または複数)の電子コンポーネント、1つ(または複数)の回路、またはこれらの任意の組合せは、特定の信号ラインがアクティブになっても活動化(activate)されない。この1組の信号ラインのうちの複数の信号ラインは、時間の関数としてアクティブにすることもできるし、そうしないようにすることもできる。
【0040】
「選択トランジスタ」という用語は、選択ライン上の信号によって制御されるトランジスタを意味するためのものである。
【0041】
「半導体」という用語は、材料を指す場合には、(1)材料内の不純物の1つ(または複数)の濃度に応じて、絶縁体、抵抗器、または導体のいずれかとすることができる材料を意味し、(2)特定のタイプの異種材料と接触する場合には、整流接合部を形成し得る材料を意味し、(3)トランジスタの活性領域になる材料を意味し、または、(4)これらの任意の組合せを意味するためのものである。
【0042】
「信号」という用語は、電流、電圧、光信号、またはこれらの任意の組合せを意味するためのものである。信号は、電源からの電圧または電流とすることもできるし、単独で、または1つ(または複数)の他の信号と組み合わせて、データその他の情報を表すこともできる。光信号は、パルス、強度、またはこれらの組合せに基づくものとすることができる。信号は、実質的に一定(例えば、電源電圧)とすることもできるし、時間とともに変化する(例えば、1つの電圧はオンであり、別の電圧はオフである)ものとすることもできる。
【0043】
「信号ライン」という用語は、1つまたは複数の信号を送信し得るラインを意味するためのものである。送信される信号は、実質的に一定とすることもできるし、変化するものとすることもできる。信号ラインは、制御ライン、データライン、走査ライン、選択ライン、電源ライン、またはこれらの任意の組合せを含み得る。信号ラインは、1つまたは複数の主要な機能を果たし得ることに留意されたい。
【0044】
「ソース/ドレイン領域」という用語は、チャネル領域に電荷キャリアを注入し、または、チャネル領域から電荷キャリアを受け取る、電界効果トランジスタの領域を意味するためのものである。ソース/ドレイン領域は、電界効果トランジスタを通る電流の流れに応じて、ソース領域またはドレイン領域を含み得る。ソース/ドレイン領域は、電流が電界効果トランジスタを通って1方向に流れるときはソース領域として動作し、電流が電界効果トランジスタを通って反対方向に流れるときはドレイン領域として動作し得る。
【0045】
「ウェル構造」という用語は、基板の上に重なる構造を意味するためのものである。この構造は、基板内の、または基板の上に重なる領域が、基板内の、または基板の上に重なる異なる物体または異なる領域と接触することから分離するという主要機能を果たす。
【0046】
本明細書では、「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」という用語、またはこれらの他の任意の変形は、非排他的に含めることを扱うためのものである。例えば、列挙された要素を備えるプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素だけに限定されず、明示的に列挙されていないか、またはこのようなプロセス、方法、物品、または装置に本来備わっていない他の要素を含み得る。さらに、特に明示的に述べられていない限り、「または」は、包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指すものではない。例えば、AまたはBという条件は、Aが真(または、存在する)でBが偽(または、存在しない)、Aが偽(または、存在しない)でBが真(または、存在する)、およびAもBも真(または、存在する)のいずれか1つによって満足される。
【0047】
さらに、本明細書で説明する実施形態の範囲を明確にし、その一般的な意味を示すために、「ある」は、「ある」が指す1つまたは複数の物品を説明するために用いることとする。したがって、この説明は、「ある」が使用されるときはいつでも、1つまたは少なくとも1つを含むと読むべきであり、単数は、特に明示されていない限り、複数も含む。
【0048】
元素周期表中の列に対応する族の番号には、「新表記法」の規約を用いる(例えば、非特許文献1参照)。
【0049】
特に定義する場合を除いて、本明細書で用いるすべての技術的かつ学術的な用語は、本発明が属する技術分野の技術者が一般に理解しているのと同じ意味であることを意図するものである。本発明の実施形態、あるいはそれを作製または使用する方法として適切な方法および材料を本明細書で説明するが、本発明の範囲から逸脱することなく、ここで説明する方法および材料に類似の、または等価な他の方法および材料を用いることができる。さらに、これらの材料、方法、および実施例は、単なる例であり、限定するためのものではない。
【0050】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0051】
本明細書で説明しない限り、特定の材料、処理動作、および回路に関する細部の多くは従来方式のものであり、有機発光ダイオードディスプレイ、光検出器、光起電力、および半導体の技術分野の教科書およびその他の情報源において知ることができる。
【0052】
2.層の形成および層の厚さ
有機層は、基板または加工中の製品(workpiece)の上に液体組成物を分注することによって形成することができる。液体組成物が分注された後で、この液体組成物中の1種または複数種の液体媒体が蒸発して液体組成物の粘度が大きくなり、有機層が形成される。液体組成物における表面張力、濡れ角、表面エネルギー、および粘度により、有機層の厚さが有機層全体にわたって変動することになる。
【0053】
図1および図2はそれぞれ、例示的な有機層の平面図および断面図である。例示的な有機層の100の厚さは、中央部分102内の場所と、縁部分104内の場所とでは大きく異なる。図2に示すように、縁部分104付近の場所における有機層100は、中央部分102内の場所における有機層100よりも厚い。
【0054】
一例示的実施形態では、中央部分102内の場所における有機層100の厚さは、比較的均一である。有機層の厚さは、有機層の表面に沿って縁部分104に向かうにつれ急激に増加して最大になり、有機層100の最も外側の縁に向かうときに、この最大値から減少して下にある接触面に至る。あるいは、有機層100の中央部分は比較的均一であり、縁部分は不均一である。例えば、縁部分がより厚いか、縁部分がより薄い。
【0055】
このような有機層が電子コンポーネントに組み込まれる場合、この層の厚さが、電子コンポーネントの性能特性に影響を及ぼし得る。有機層内のより厚い領域では、有機層を通る電荷の流れが減少し得る。放射放出型(radiation-emitting)コンポーネントの有機活性層内のより薄い領域では、有機活性層の外で電子と正孔が再結合し、それによって有機活性層から放出される放射が減少する。放射応答型(radiation-responsive)コンポーネントの有機活性層内のより薄い領域では、有機活性層から生成される電子および正孔の量が不十分であることがある。
【0056】
特定の一実施形態では、有機層100は有機活性層である。この有機活性層の中央部分102の厚さは、約30から100nmである。この有機活性層の縁部分104の厚さは、約5000nmと厚くすることができる。一実施形態では、縁部分104の厚さは、4000nm以下である。別の実施形態では、この厚さは3000nm以下であり、別の実施形態では、この厚さは2000nm以下である。例えば、縁部分104の厚さは、約100から5000nmとすることができ、例えば、約100から4000nm、約100から3000nm、または約100から2000nmとすることができる。一例示的実施形態では、中央部分の厚さに対する縁部分の厚さの比は、3:1から10:1である。別の例示的実施形態では、中央部分の厚さに対する縁部分の厚さの比は、1:3から1:10である。あるいは、有機層100は、有機活性層、電荷搬送層、電荷遮蔽層、電荷注入層、またはこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0057】
ある実施形態では、液体組成物は、少なくとも1つの有機溶媒および少なくとも1つの材料を含む。例えば、この液体組成物は、溶媒と、約0.5%から5%の固体、例えば約1%から2%の固体とを含み得る。これらの固体は、小有機分子、ポリマー、またはこれらの組合せを含み得る。
【0058】
放射放出型有機活性層では、適切な放射放出型材料には、1つまたは複数の小分子材料、1つまたは複数のポリマー材料、またはこれらの組合せが含まれる。小分子材料には、次の文献に記載されているものを含み得る。例えば、特許文献1(「Tang」)、特許文献2(「Van Slyke」)、米国特許出願第2002/0121638号明細書(「Grushin」)、および特許文献3(「Kido」)である。また、ポリマー材料には、次の文献に記載されているものを含み得る。例えば、特許文献4(「Friend」)、特許文献5(「Heeger」)、および特許文献6(「Nakano」)である。例示的な材料は、半導体共役ポリマーである。このようなポリマーの例には、ポリ(パラフェニレンビニレン)(PPV)、PPV共重合体、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン、ポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)などが含まれる。特定の一実施形態では、いかなるゲスト材料も含まない放射放出型活性層は、青色光を放出し得る。
【0059】
放射応答型有機活性層では、適切な放射応答型材料は、共役ポリマーまたはエレクトロルミネセンス材料を含み得る。このような材料には、例えば、共役ポリマー、またはエレクトロルミネセンスおよびフォトルミネセンス型の材料が含まれる。特定の例は、ポリ(2−メトキシ,5−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(「MEH−PPV」)またはMEH−PPVとCN−PPVの複合物である。
【0060】
あるいは、電荷搬送層、電荷注入層、電荷遮蔽層、またはこれらの任意の組合せなどの有機層が形成され得る。例えば、この有機層は、正孔注入層、正孔搬送層、電子遮蔽層、電子注入層、電子輸送層、正孔遮蔽層、またはこれらの任意の組合せとすることができる。
【0061】
正孔注入層、正孔搬送層、電子遮蔽層、またはこれらの任意の組合せでは、適切な材料は、ポリアニリン(「PANI」)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタン(TTF−TCQN)などの有機電荷搬送化合物、Kidoの文献に記載されている正孔搬送材料、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0062】
電子注入層、電子搬送層、正孔遮蔽層、またはこれらの任意の組合せでは、適切な材料は、金属キレート化オキシノイド化合物(例えば、Alq3)、フェナントロリン系化合物(例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DPA」))、アゾール化合物(例えば、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」)、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」)、Kidoの文献に記載されている電子搬送材料、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0063】
抵抗器、トランジスタ、コンデンサなどの電子コンポーネントでは、有機層は、1つまたは複数のチオフェン(例えば、ポリチオフェン、ポリ(アルキルチオフェン)、アルキルチオフェン、ビス(ジチエンチオフェン)、アルキルアントラジチオフェンなど)、ポリアセチレン、ペンタセン、フタロシアニン、またはこれらの任意の組合せを含み得る。
【0064】
有機色素の例には、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、クマリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、これらの誘導体、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0065】
有機金属材料の例には、少なくとも1つの金属に配位結合した官能基を含む機能性ポリマーが含まれる。使用を企図されている例示的な官能基には、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸基、スルホン酸塩、OH部分を有する基、アミン、イミン、ジイミン、N−オキシド、ホスフィン、ホスフィンオキシド、β−ジカルボニル基、またはこれらの任意の組合せが含まれる。使用を企図されている例示的な金属には、ランタニド金属(例えば、Eu、Tb)、第7属金属(例えば、Re)、第8属金属(例えば、Ru、Os)、第9属金属(例えば、Rh、Ir)、第10属金属(例えば、Pd、Pt)、第11属金属(例えば、Au)、第12属金属(例えば、Zn)、第13属金属(例えば、Al)、またはこれらの任意の組合せが含まれる。このような有機金属材料には、トリ(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物、シクロメタレート型イリジウム、および、刊行物に開示されているイリジウムとフェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジンリガンドの複合物などの白金エレクトロルミネセンス化合物(例えば、特許文献7参照)、あるいは、刊行物に記載されている有機金属錯体(例えば、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、および特許文献12参照)のいずれか、またはこれらの任意の混合物が含まれる。
【0066】
共役ポリマーの例には、ポリ(フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリ(スピロビフルオレン)、これらの共重合体、またはこれらの任意の混合物が含まれる。
【0067】
1つまたは複数の液体媒体の選択も、液体組成物の適切な特性を実現する要素になり得る。1つ(または複数)の液体媒体を選択する際に考慮すべき要素は、例えば、得られる溶液、乳濁液、懸濁液、または分散液(dispersion)の粘度、ポリマー材料の分子量、固体の使用量、液体媒体のタイプ、液体媒体の蒸気圧、下にある基板の温度、ゲスト材料を受ける有機層の厚さ、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0068】
液体組成物は、少なくとも1つの有機溶媒を含み得る。例示的な有機溶媒には、ハロゲン化溶媒、炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、エーテル溶媒、環状エーテル溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、アセテート溶媒、ニトリル溶媒、スルホキシド溶媒、アミド溶媒、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0069】
ハロゲン化溶媒の例には、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ビス(2−クロロエチル)エーテル、クロロメチルエチルエーテル、クロロメチルメチルエーテル、2−クロロエチルエチルエーテル、2−クロロエチルプロピルエーテル、2−クロロエチルメチルエーテル、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0070】
炭化水素溶媒の例には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカヒドロナフタリン、石油エーテル、リグロイン、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0071】
芳香族炭化水素溶媒の例には、ベンゼン、ナフタリン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン(イソプロピルベンゼン)メシチレン(トリメチルベンゼン)、エチルトルエン、ブチルベンゼン、シメン(イソプロピルトルエン)、ジエチルベンゼン、イソブチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、アニソール、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0072】
エーテル溶媒の例には、ジエチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、グリム、ジグリム、ベンジルメチルエーテル、イソクロマン、2−フェニルエチルメチルエーテル、n−ブチルエチルエーテル、1,2−ジエトキシエタン、s−ブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、エチルn−プロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、n−ヘキシルメチルエーテル、n−ブチルメチルエーテル、メチルn−プロピルエーテル、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0073】
適切な環状エーテル溶媒の例には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、4メチル−1,3−ジオキサン、4−フェニル−1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、2,5−ジメトキシ−2,5−ジヒドロフラン、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0074】
アルコール溶媒の例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール(すなわち、イソブタノール)、2−メチル−2−プロパノール(すなわち、t−ブタノール)、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、シクロペンタノール、3−メチル−1−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、3−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチルブタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−ヘプタノール、1−ヘプタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0075】
アルコールエーテル溶媒も使用することができる。アルコールエーテル溶媒の例には、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−ブタノール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、1−エトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0076】
ケトン溶媒の例には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソプロピルメチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−ヘキサノン、ジイソプロピルケトン、2−ヘキサノン、シクロペンタノン、4−ヘプタノン、イソアミルメチルケトン、3−ヘプタノン、2−ヘプタノン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2−メチルシクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、5−メチル−2−オクタノン、3−メチルシクロヘキサノン、2−シクロヘキサン−1−オン、4−メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、4−t−ブチルシクロヘキサノン、イソホロン、ベンジルアセトン、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0077】
アセテート溶媒の例には、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0078】
ニトリル溶媒の例には、アセトニトリル、アクリロニトリル、トリクロロアセトニトリル、プロピオニトリル、ピバロニトリル、イソブチロニトリル、n−ブチロニトリル、メトキシアセトニトリル、2−メチルブチロニトリル、イソバレロニトリル、N−バレロニトリル、n−カプロニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、3−エトキシプロピオニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、n−ヘプタンニトリル、グリコニトリル、ベンゾニトリル、エチレンシアノヒドリン、サクシノニトリル、アセトンシアノヒドリン、3−n−ブトキシプロピオニトリル、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0079】
適切なスルホキシド溶媒の例には、ジメチルスルホキシド、ジ−n−ブチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0080】
適切なアミド溶媒の例には、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アシルアミド、2−アセトアミドエタノール、N,N−ジメチル−m−トルアミド、トリフルオロアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルドデカンアミド、イプシロン−カプロラクタム、N,N−ジエチルアセトアミド、N−t−ブチルホルムアミド、ホルムアミド、ピバルアミド、N−ブチルアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−ホルミルエチルアミド、アセトアミド、N,N−ジイソプロピルホルムアミド、1−ホルミルピペリジン、N−メチルホルムアニリド、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0081】
企図されるクラウンエーテルの例には、本発明に従って処理される組合せの一部として、エポキシ化合物開始剤の塩化物含有量を減少させる助けとなるように機能し得るすべてのクラウンエーテルが含まれる。クラウンエーテルの例には、ベンゾ−15−クラウン−5、ベンゾ−18−クラウン−6、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、シクロヘキサノ−15−クラウン−5、4’−4”(5”)−ジ−t−ブチルジベンゾ−18−クラウン−6、4’−4”(5”)−ジ−t−ブチルジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ−24−クラウン−8、4’−アミノベンゾ−15−クラウン−5、4’−アミノベンゾ−18−クラウン−6、2−(アミノメチル)−15−クラウン−5、2−(アミノメチル)−18−クラウン−6、4’−アミノ−5’−ニトロベンゾ−15−クラウン−5、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、ベンゾ−12−クラウン−4、ベンゾ−15−クラウン−5、ベンゾ−18−クラウン−6、ビス((ベンゾ−15−クラウン−5)−15−イルメチル)ピメレート、4−ブロモベンゾ−18−クラウン−6、(+)−(18−クラウン−6)−2,3,11,12−テトラ−カルボン酸、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−30−クラウン−10、ar−ar’−ジ−t−ブチルジベンゾ−18−クラウン−6、4’−ホルミルベンゾ−15−クラウン−5、2−(ヒドロキシメチル)−12−クラウン−4、2−(ヒドロキシメチル)−15−クラウン−5、2−(ヒドロキシメチル)−18−クラウン−6、4’−ニトロベンゾ−15−クラウン−5、ポリ−[(ジベンゾ−18−クラウン−6)ホルムアルデヒド共重合体]、1,1−ジメチルシラ−11−クラウン−4、1,1−ジメチルシラ−14−クラウン−5、1,1−ジメチルシラ−17−クラウン−5、シクラム、1,4,10,13−テトラチア−7,16−ジアザシクロオクタデカン、ポルフィン、またはこれらの任意の組合せが含まれる。
【0082】
別の実施形態では、液体媒体は水を含む。基板の上に、水不溶性コロイド形成性ポリマー酸と錯体を形成する導電性ポリマーを被着させ、電荷搬送層として使用することができる。
【0083】
以上、液体媒体の多くの異なるクラス(例えば、ハロゲン化溶媒、炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、水など)を説明した。異なるクラスからの2つ以上の液体媒体の混合物も使用し得る。
【0084】
3.電子デバイスおよびこのような電子デバイスを形成する方法
電子デバイスは、画素アレイを含む。各画素は、アクティブマトリックスOLEDデバイス内になど、図3において示す回路300を含み得る。一実施形態では、回路300は、画素回路である。別の実施形態では、この電子デバイスは、単色ディスプレイを含み、したがって、各画素は、1つの回路300を含む。別の実施形態では、この電子デバイスは、3つで1組の画素を有するフルカラーディスプレイを含む。各画素は、1つの回路300を含む。
【0085】
極めて多くの画素回路を使用することができる。一実施形態では、図3に示すものなどの基本回路設計は、2トランジスタ−1コンデンサ(2T−1C)設計である。これらのトランジスタは、nチャネル型、またはpチャネル型、あるいはこれらの組合せとすることができる。一方のトランジスタは選択トランジスタであり、他方のトランジスタは駆動トランジスタである。典型的には、これらのトランジスタはTFTである。
【0086】
回路300は、選択トランジスタ306、容量性電子コンポーネント308、および駆動トランジスタ310を含む。選択ライン304は、選択トランジスタ306のゲート電極に結合され、データライン302は、選択トランジスタ306の第1端子に結合される。選択トランジスタ306の第2端子は、コンデンサなどの容量性電子コンポーネント308の第1電極および駆動トランジスタ310のゲート電極に結合される。
【0087】
DD電源ライン314は、コンデンサ308の第2電極および駆動トランジスタ310の第1端子に結合される。駆動トランジスタ310の第2端子は、電子コンポーネント312の第1電極に結合し得る。電子コンポーネント312は、第1電極と、VSS電源ライン316に接続される第2電極とを含む。一実施形態では、この第1電極はアノードであり、第2電極はカソードである。別の実施形態では、電極コンポーネント312は、OLEDなどの放射放出型有機電子コンポーネントである。
【0088】
選択ライン304がアクティブになると、トランジスタ306がアクティブになり、それによって、データライン302からデータを送ることができる。データライン302は、画素の所望の状態および駆動トランジスタ310のタイプ(すなわち、nチャネル型またはpチャネル型)に応じて、正の電圧、負の電圧、またはゼロ電圧の状態とすることができる。その結果、容量性電子コンポーネント308は、電荷を蓄積するか、電荷を放出するか、あるいは、その電流状態のままでいることができる。駆動トランジスタ310がアクティブになる度合いは、データライン302の電圧によって決まる。
【0089】
図4から図10は、電子デバイスを形成するプロセスの例を示す図である。図4は、アレイ400の一部を示す平面図である。一例示的実施形態では、アレイ400は、3つの画素460、462、および464を含む。一実施形態では、アレイ400の画素460、462、および464の電子コンポーネントは、完成した状態でアクティブになると、異なる波長において放出が最大になる放出プロフィールで、可視光などの放射を放出することができる。例えば、画素460は、赤色光を放出するように構成することができ、電子コンポーネント462は、緑色光を放出するように構成することができ、電子コンポーネント464は、青色光を放出するように構成することができる。代替実施形態では、各コンポーネントは、単色ディスプレイの場合などには、同じ色の光を放出するように構成することができる。
【0090】
特定の実施形態では、アレイ400には、上に重なるウェル構造がない。代替実施形態では、電極と、画素駆動回路の少なくとも一部とを露出させる開口を有するウェル構造を含むことができる。
【0091】
図4に示す実施形態の例では、各画素460、462、および464は、関連する画素駆動回路を有する。この画素駆動回路は、選択トランジスタ424、426、または428、容量性電子コンポーネント(図示せず)、ならびに駆動トランジスタ432、438、または440を有する。第1選択ライン402は、各画素460、462、および464の画素駆動回路、例えば、選択トランジスタ424、426、および428のゲート電極に接続される。さらに、データライン406、408、および410は、それぞれ画素460、462、および464の画素駆動回路の1つ、例えば、それぞれ選択トランジスタ424、426、および428の第1端子に接続される。さらに、VDD電源ライン412、414、および416は、それぞれ画素460、462、および464の画素駆動回路、例えば、駆動トランジスタ432、438、および440の第1端子に接続される。
【0092】
例えば、例示的な画素464は、選択トランジスタ428、容量性電子コンポーネント(図示せず)、および駆動トランジスタ440を有する画素駆動回路を含む。選択ライン402の一部は、選択トランジスタ428のゲート電極であり、データライン410は、選択トランジスタ428の第1端子に接続される。選択トランジスタ428の第2端子は、コンデンサ(図示せず)の第1電極および駆動トランジスタ440のゲート電極に接続される。VDD電源ライン416は、駆動トランジスタ440の第1端子に接続される。
【0093】
第1電極444は、駆動トランジスタ440の第2端子に接続される。例えば、第1電極444は、駆動トランジスタ440の第2端子に接続されるアノードである。
【0094】
この実施例では、第1選択ライン402は、アレイ400内の左右の他の画素および電子コンポーネントにも接続することができるが、これらは図4には示していない。図4に示すように、データライン406、408、および410、ならびにVDD電源ライン412、414、および416は、画素460、462、および464の上下の画素および電子コンポーネントにも接続し得る。例えば、データライン406、408、および410は、それぞれ選択トランジスタ450、452、および454に接続することができる。第2選択ライン404は、各選択トランジスタ450、452、および454のゲート電極に接続することができる。第2選択ライン404は、例示的な画素464の画素駆動回路には接続されない。
【0095】
図5は、選択トランジスタ428の断面図である。第1選択ライン402は、基板560の上に重なり、選択トランジスタ428のゲート電極572を含む。
【0096】
基板560は、剛体または可撓性のあるものとすることができ、有機、無機、あるいは有機および無機両方の材料の1つまたは複数の層を含み得る。一実施形態では、基板560は、基板560に入射する少なくとも70%の放射が透過し得る透明な材料を含む。
【0097】
ゲート電極572は、周期表の第4〜6族、第8族、および第10〜14族から選択される少なくとも1つの元素を含む、1つまたは複数の層を含み得る。一実施形態では、露出する導体は、Cu、Al、Ag、Au、Mo、またはこれらの任意の組合せを含み得る。ゲート電極572が2つ以上の層を含む別の実施形態では、これらの層の1つは、Cu、Al、Ag、Au、Mo、またはこれらの任意の組合せを含み、別の層は、Mo、Cr、Ti、Ru、Ta、W、Si、またはこれらの任意の組合せを含み得る。元素金属またはその合金のいずれかの代わりに、あるいはそれと組み合わせて、1つ(または複数)の導電性金属酸化物、1つ(または複数)の導電性金属窒化物、またはこれらの組合せを使用することができることに留意されたい。一実施形態では、ゲート電極572の厚さは、約0.2から5ミクロンの範囲である。
【0098】
層570は、選択ライン402の上に重なり、ゲート誘電体層として働く。層570は、二酸化シリコン、アルミナ、酸化ハフニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、酸窒化シリコン、半導体技術分野で使用する別の従来のゲート誘電体材料、またはこれらの任意の組合せを含む1つまたは複数の層を含み得る。一実施形態では、層570の厚さは、約50〜1000nmの範囲である。
【0099】
チャネル層422は、層570の上に重なる。チャネル層422は、電子コンポーネント内の半導体として従来から使用している1つまたは複数の材料を含み得る。一実施形態では、チャネル層422は、アモルファスシリコン(a−Si)、低温ポリシリコン(LTPS)、連続粒界シリコン(CGS)、またはこれらの任意の組合せとして形成される(例えば、被着される)。別の実施形態では、チャネル層422には、第14族の別の元素(例えば、炭素、ゲルマニウム)を、単独で、または組み合わせて(シリコンとともに、またはシリコンは含めずに)使用することができる。さらに別の実施形態では、チャネル層422は、1つまたは複数のIII−V族(第13族〜第15族)の半導体(例えば、GaAs、InP、GaAlAsなど)、1つまたは複数のII−VI族(第2族〜第16族または第12族〜第16族)の半導体(例えば、CdTe、CdSe、CdZnTe、ZnSe、ZnTeなど)、あるいはこれらの任意の組合せを含む。
【0100】
チャネル層422は、ドープしないか、あるいは、約1×1019原子/cm3以下の濃度でn型またはp型にドープする。従来型のn型ドーパント(リン、ヒ素、アンチモンなど)またはp型ドーパント(ホウ素、ガリウム、アルミニウムなど)を使用することができる。このようなドーパントは、被着中に組み込むこともできるし、別のドーピングシーケンス(例えば、注入処理およびアニール処理)中に添加することもできる。チャネル層422は、従来方式の被着技術およびドーピング技術を利用して形成される。一実施形態では、チャネル層422の厚さは、約30から550nmの範囲である。破線の部分がチャネル領域である。本明細書を読んだ後なら、当業者には、他の厚さを用いて、選択トランジスタ428の所望の電子的な特性を実現し得ることが理解されよう。
【0101】
ソース/ドレイン領域562および564は、チャネル層422の上に重なる。一実施形態では、ソース/ドレイン領域562および564は、後で形成する金属含有構造とのオーム接触を形成するために、n+またはp+にドープされる。別の実施形態では、ソース/ドレイン領域562および564内のドーパント濃度は1×1019原子/cm3未満であり、後で形成される金属含有構造と接触するときに、ショットキー接触が形成されることになる。従来型のn型ドーパント(リン、ヒ素、アンチモンなど)またはp型ドーパント(ホウ素、ガリウム、アルミニウムなど)を使用することができる。一例示的実施形態では、ソース/ドレイン領域562および564は、単一層から形成され、エッチングされて2つの要素を形成する。
【0102】
図4および図5に示す例示的な実施形態では、データライン410は、選択トランジスタ428のソース/ドレイン領域562に接続され、その上に重なる。相互接続層466は、選択トランジスタ428のソース/ドレイン領域564に接続され、その上に重なる。絶縁層568(図4には示されない)は、選択トランジスタ428の上に重なり、層570に関連して説明したものなどの絶縁材料を含み得る。相互接続層466は、容量性電子素子(図示せず)の電極および駆動トランジスタ440のゲート電極680に接続される。図6は、駆動トランジスタ440の断面図である。ゲート電極680は、基板560の上に重なる。チャネル層422は、層570およびゲート電極680の上に重なる。破線の部分がチャネル領域である。駆動トランジスタ440のソース/ドレイン領域682および684は、チャネル層422の一部の上に重なる。ソース/ドレイン領域562および564ならびにソース/ドレイン領域682および684は、同じ層から形成することもできるし、異なる層から形成することもできる。VDD電源ライン416は、ソース/ドレイン領域682の上に重なる。第1電極444に接続された相互接続層468は、ソース/ドレイン領域684の上に重なり、それに接続される。上述したように、駆動トランジスタ440の層は、従来の技術を利用して従来の材料から形成し得る。
【0103】
絶縁層568は、これらの層の上にのり、相互接続層468へのアクセス部が残るように、従来の材料を被着させ、パターン化することによって形成し得る。絶縁層568を貫通するアクセス部により、相互接続層468と電極444が接触し得る。一例示的実施形態では、第1電極444は、画素駆動回路の少なくとも一部、例えば、駆動トランジスタ440の一部に重なる。
【0104】
画素駆動回路が形成された後で、第1電極444の上に、および、少なくとも部分的に画素駆動回路の上に、有機層は被着される。任意選択層790は、電極444および画素駆動回路の上に重ねることができる。図7は、電極444および任意選択層790の上に有機層を分注するところを示す断面図である。任意選択層790は、従来技術を利用して従来の材料で形成された電荷搬送層、電荷遮蔽層、および電荷注入層の1つまたは複数を含み得る。代替実施形態では、任意選択層790は、連続分注法を利用して被着させることができる。
【0105】
任意選択層790を形成した後で、開口部または穴796を有する連続分注ノズル792により、電極444および任意選択層790の上で、液体組成物の連続流794を分注する。さらに、この液体組成物は、選択トランジスタ454および選択トランジスタ428の上に少なくとも部分的に重なるように分注することができる。代替実施形態では、液体組成物の連続流794は、図4に示す平面図で見た場合に、電極444および電極444の上下の電極の上など、電極の行または列に沿って分注することができる。ただし、液体組成物は、この実施形態における隣接する画素460および462内の電極430および436の上では分注されない。
【0106】
一例示的実施形態では、連続分注ノズル792は、電極444の上で、および選択トランジスタ454および428などの画素駆動回路の上で少なくとも部分的に、液体組成物の連続流794を印刷経路に沿って少なくとも100cm/秒の速度で分注するように構成される。例えば、分注時に、連続分注ノズル792は、液体組成物の連続流794が、少なくとも1m/秒、または少なくとも3m/秒、あるいは少なくとも6m/秒など、少なくとも約100cm/秒の速度で被着されるように移動するように構成される。
【0107】
別の例示的実施形態例では、連続分注ノズル792は、10μl/分よりも多い割合で液体を分注するように構成することができる。別の実施形態では、この割合は、約50μl/分以上である。さらに別の実施形態では、この割合は、約100μl/分以上である。開口796のサイズは、分注動作の条件およびパラメータに基づいて選択することができる。一般的に、開口796の直径は、約5ミクロンから30ミクロンである。一実施形態では、この直径は、約10ミクロンから20ミクロンである。
【0108】
液体組成物の1つまたは複数の液体媒体が蒸発するので、液体組成物の粘度が高くなり、有機層が形成される。例えば、図8および図9は、電極444を通る垂直軸に沿って示す断面図である。図8に示すように、液体組成物から形成された有機層810は、電極444の上に重なる中心部分812と、トランジスタ454および428の上に少なくとも部分的に重なる縁部分814とを有する。図9に示すように、有機層810は、データライン410およびトランジスタ440の上に少なくとも部分的に重なる。有機層810は、選択ライン402、データライン410、VDD電源ライン416、および選択ライン404を含む画素駆動回路の上に少なくとも部分的に重なり得る。
【0109】
この例示的実施形態では、縁部分814は、中央部分812よりも厚い。中央部分812の厚さは、比較的均一であり、電極444の上に完全に重なる。
【0110】
この例示的実施形態では、画素にはウェル構造がない。したがって、有機層810は、ウェル構造に接触しない。また、有機層810は、これらの構造から、図4に示す電子コンポーネント462などの隣接するコンポーネントにあふれ出ない。
【0111】
一例示的実施形態(図示せず)では、第1有機層810と異なる組成を有する第2有機層が、電極436などの別の電極の上に形成される。この第2有機層は、縁部分および中央部分を有する。第2有機層の縁部分の厚さは、中央部分と異なり、例えば縁部分のほうが厚い。例えば、中央部分の厚さは、約30〜100nmとし、縁部分の厚さは、約100〜5000nmとすることができる。第2有機層は、駆動トランジスタ432、選択トランジスタ426、選択トランジスタ452、駆動トランジスタ438、選択ライン402、選択ライン404、VDD電源ライン414、およびデータライン408を含む周辺回路の上に少なくとも部分的に重なることができる。
【0112】
図10は、実質的に完全な電子デバイスを形成する際のプロセスを示す断面図である。第2電極1002は、有機層810の上に重なる。図10には示されない場所において、乾燥剤1006を備えた蓋1008が、基板560に取り付けられる。第2電極1002と乾燥剤1006の間に隙間1004を設けることもできるし、そうしないこともできる。
【0113】
一般に、導電性ライン、電極、トランジスタ、およびコンデンサに関連して説明したものなどの層は、従来の技術を利用して従来の材料から形成される。
【0114】
4.代替実施形態
代替実施形態では、有機層の縁部分は、中央部分よりも厚くするのではなく、中央部分よりも薄くすることができる。このより薄い縁部分を、画素の画素駆動回路および周囲の画素の画素駆動回路の一部の上に重ねることができる。
【0115】
他の電子デバイスを同様に形成することができる。例えば、本明細書で説明した考え方を利用して、パッシブマトリックスディスプレイ、アクティブマトリックスディスプレイ、センサアレイ、または光電池を形成することができる。さらに、層を印刷して、この印刷された材料を横方向に拡げることが問題である他の電子コンポーネントを形成する際に、考え方を拡張することができる。
【0116】
別の代替実施形態では、カソード、アノード、および電圧を切り替えることができる。本明細書で説明したデバイスは、上部放出型(top-emitting)または下部放出型(bottom-emitting)の電子デバイスとして形成することができる。
【0117】
5.利点
本明細書で説明したプロセスから得られる電子デバイスには、ウェル構造を含めないことが可能である。このようなプロセスでは、このような電子コンポーネントを形成することに関連する加工時間が短縮され、コストが下がる。
【0118】
基礎となる電極の上の中央部分における有機層の厚さは、比較的均一であり、放射を放出するための有用な実効表面積が大きくなる。さらに、有機層の縁部分が、電磁放射の影響を受けやすいことがあるトランジスタおよび他の画素駆動回路コンポーネントの上に重なり、それによって、このようなコンポーネントの電磁放射への暴露が少なくなる。
【0119】
既存の装置及びプロセスに対して行う改変は比較的容易である。既存のプロセスフローにこれらのプロセスを統合するのに、プロセスフローの根本的な変更を必要としない。
【0120】
全体的な説明または実施例において上述した作業がすべて必要とされるわけではなく、特定の作業の一部が必要とされないこともあり、また、説明したものに加えて別の作業が実施されることがあることにも留意されたい。さらに、各作業が列挙されている順序は、必ずしもそれらを実施する順序ではない。本明細書を読んだ後なら、当業者は、自分の特定の必要性または要望に、どんな作業を用いることができるかを決定することができよう。
【0121】
以上、本明細書では、特定の実施形態を参照して本発明を説明してきた。ただし、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改変および変更を加えることができることが、当業者には理解されよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考えるべきであり、このようなすべての改変が本発明の範囲に含まれることを意図している。
【0122】
以上、特定の実施形態に関して、問題に対する利益、他の利点、および解決策を説明してきた。ただし、問題に対するこれらの利益、利点、解決策、ならびに任意の利益、利点、または解決策をもたらし、あるいは、これらをより明白なものにすることができる1つ(または複数)の要素は、特許請求の範囲のいずれか、またはすべての必須の、所要の、または本質的な特徴または要素であると解釈すべきではない。
【0123】
わかりやすいように別々の実施形態の文脈において前後して説明される本発明のある種の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせて実現することもできることを理解されたい。逆に、簡単にするために1つの実施形態の文脈の中で説明される本発明の様々な特徴は、別々に、または組合せに準ずるものの中で実現することもできる。さらに、範囲において表した値を参照する場合には、その範囲内のすべての値を含む。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】有機層を示す平面図である。
【図2】有機層を示す断面図である。
【図3】例示的画素駆動回路の概略図である。
【図4】第1電極および画素駆動回路を含む例示的電子デバイスを形成する際のプロセスを示す平面図である。
【図5】図4に示す例示的電子デバイスを形成する際のプロセスを示す断面図である。
【図6】図4に示す例示的電子デバイスを形成する際のプロセスを示す断面図である。
【図7】第1電極の上、および少なくとも部分的に画素駆動回路の上に有機層が印刷される、例示的電子デバイスを形成する際のプロセスを示す断面図である。
【図8】第1電極の上、および少なくとも部分的に画素駆動回路の上に形成された有機層を含む、例示的電子デバイスを形成する際のプロセスを示す断面図である。
【図9】第1電極の上、および少なくとも部分的に画素駆動回路の上に形成された有機層を含む、例示的電子デバイスを形成する際のプロセスを示す断面図である。
【図10】有機層の上に形成された第2電極を含む例示的電子デバイスを形成する際のプロセスを示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
基板と、
第1画素と
を含み、前記第1画素は、
前記基板の上に重なる第1画素駆動回路と、
第1電極および第1有機層を含む第1電子コンポーネントと
を含み、
前記第1電極は、前記第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なり、
前記第1画素内で、
前記第1有機層は、前記第1電極の上に重なり、
前記第1有機層は、ウェル構造に接触せず、
前記第1有機層は、中央部分および縁部分を備え、
前記第1有機層の前記縁部分の厚さは、前記第1有機層の前記中央部分と大きく異なり、
平面図では、前記第1有機層の前記縁部分の少なくとも一部は、前記第1画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なること
を特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記第1画素駆動回路は、選択トランジスタおよび駆動トランジスタを備え、
平面図では、前記第1有機層の前記縁部分の前記少なくとも一部は、前記選択トランジスタ、前記駆動トランジスタ、またはこれらの組合せの上に重なること
を特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第1有機層の前記縁部分の前記少なくとも一部は、前記選択トランジスタの上に重なることを特徴とする請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
第1電源ライン、第2電源ライン、データライン、および選択ラインを備え、
平面図では、前記第1有機層の前記縁部分の前記少なくとも一部は、前記第1電源ライン、前記第2電源ライン、前記データライン、前記選択ライン、またはこれらの任意の組合せの上に重なること
を特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第1有機層は、有機活性層、電荷搬送層、電荷遮蔽層、電荷注入層、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項6】
第2電極をさらに含み、
前記第1有機層は、第1有機活性層であり、
前記第2電極は、前記第1有機活性層の上に重なること
を特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記電子デバイスは、有機電子デバイスであることを特徴とする請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
第2画素をさらに含み、前記第2画素は、
前記基板の上に重なる第2画素駆動回路と、
第1電極および第2有機層を含む第2電子コンポーネントと
を含み、
前記第1有機層は、前記第2有機層と異なる組成を有する第1有機活性層であり、
前記第2電子コンポーネントの前記第1電極は、前記第2画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なり、
前記第2画素内で、
前記第2有機層は、前記第2電子コンポーネントの前記第1電極の上に重なり、
前記第2有機層は、ウェル構造に接触せず、
前記第2有機層は、中央部分および縁部分を備え、
前記第2有機層の前記縁部分の厚さは、前記第2有機層の前記中央部分と大きく異なり、
平面図では、前記第2有機層の前記縁部分の少なくとも一部は、前記第2画素駆動回路の少なくとも一部の上に重なること
を特徴とする請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記第2画素駆動回路は選択トランジスタを含み、
平面図では、前記第2有機層の前記縁部分の前記少なくとも一部は、前記第2画素駆動回路の前記選択トランジスタの上に重なること
を特徴とする請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記第1画素駆動回路に接続されない選択ラインをさらに含み、平面図では、前記第2有機層の前記縁部分の前記少なくとも一部は、前記選択ラインの上に重なることを特徴とする請求項8に記載の電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−189853(P2006−189853A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375513(P2005−375513)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(500091357)デュポン ディスプレイズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】