説明

電子デバイスを有する断熱ガラスユニット及びその製造方法

封止されている断熱ガラスユニットは、スペーサによって離間して保持される2枚のガラスシートから成り、任意選択的にはスペーサの外側のガラスシートの縁部間に封止剤を有する。断熱ガラスユニットは、電子デバイスを含み、当該電子デバイスは、断熱ガラスユニットの外部から起動される手段によって当該デバイスから読み取ることができる、断熱ガラスユニットの出所、製造及び/又は特性に関する情報を有する。デバイスは、断熱ガラスユニット内に隠れるようにスペーサ内又は封止剤内に埋め込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサによって離間して保持される2枚のガラスシートから成る断熱ガラスユニット、及びそのような断熱ガラスユニットの製造に関する。この断熱ガラスユニットは概して少なくとも2枚のガラスシートから成り、また2枚以上のガラスパネル(glass pane:板ガラス)、例えば、スペーサによって2枚の外側パネルから分離される中央パネルを備える三重パネルユニットを含み得る。
【背景技術】
【0002】
断熱ガラスユニット及びそれらの製造は、例えば米国特許第5961759A号、欧州特許第805254B号及び欧州特許第714964B号に記載されている。スペーサは、中空の形材(section)であってもよく、一般的に乾燥剤を含有し、1つ又は複数の封止材料によってガラスシート間に保持される。このような中空の形材は、金属、例えば米国特許第4817354A号に記載されるようなアルミニウムボックススペーサであってもよく、又は米国特許第5460862A号若しくは欧州特許第852280B号に記載されるようなプラスチック、若しくはプラスチック/金属の複合体であってもよい。スペーサは、例えば米国特許第5270091A号に記載されるように、乾燥剤を含有すると共に、波形金属補強材等の補強材の周りに形成される樹脂層(mastic layer)であり得る。スペーサは代替的に、例えば米国特許第5156894A号若しくは米国特許第4994309A号に記載されるように、乾燥剤を含有すると共に封止剤によってガラスシート間に保持される発泡プラスチック材料であってもよく、又は、乾燥剤を含有する熱可塑性スペーサであって、スペーサ及び封止剤の両方として使用され得るか、若しくは欧州特許第916801B号に記載されるような、ガラスシートの縁部において外側封止剤層と共に使用され得る熱可塑性スペーサであってもよい。
【0003】
遮断ガラスユニットは、建築、運輸及び製造された器具(manufactured appliances)において広く用いられており、また多くの場合、中間販売者を介して、広く輸出及び貿易されている。遮断ガラスユニット製造業者は、ユニットが本当に自身の製品であるのかどうか確かめるため、又は欠陥があるユニットの原因を特定するために、特に建築において使用されるユニットの現場で、又は断熱ガラスユニットを含む製造物品から、自身の製品を追跡することができることを必要としている。国際公開第00/36261A号は、ガラスプレートのうちの1枚の内壁に固定されている、ガラスに関するデジタルデータをメモリに含む電子ラベル(「チップ」)を有するガラスユニットを記載している。
【0004】
そのようなチップを使用する場合、IGユニットが窓枠にグレージングされていない場合であっても、チップを視覚的に見つからないように隠すことが重要である。チップを隠すこと及び手の届かない場所にチップを配置することの重要性は、国際公開第00/36261A号によって認識されており、この文献では、チップを、1枚のガラスパネルの内面の、動作位置において外側からは見えない周辺位置に配置することによってチップを隠すことを詳細に論じている。この文献はさらに、グレージングがさね接ぎ(the rabbet)で行なわれる場合に、スマートチップを見えなくするようにスマートチップを配置することを教示している。RFIDデバイスを手の届かない位置に配置する条件に関して、Catrame特許は2つの選択肢を教示している。すなわち、チップは、外周近くのガラスユニット内にあるか、又は合わせガラスパネルを備えるガラスユニットの場合、合わせガラスパネルの熱可塑性の中間層内に埋め込まれる。いずれの位置においても、チップは、ユニットが窓枠のさね接ぎにグレージングされる前に容易に視覚的に見つかる可能性がある。さらに、両方の選択肢は、ガラスユニットが枠に設置される従来のグレージングにおいてのみ実行可能である。構築物グレージング又は点支持式の(point-supported)グレージングにおけるように、カーテン壁構造において端封(edge seal)が自由に露出されている、断熱ガラスユニットの重要市場が存在する。
【0005】
2006年9月6日に公開された欧州特許第1698455A号は、合わせガラスパネルのシート間に配置される電子タグを記載している。光の透過を妨げる遮蔽層がガラスシートのうちの1枚の上に形成されている。電子タグは、他のガラスシートを通して見たときに遮蔽層の色と区別するのが難しいように着色されている。
【0006】
[発明の概要]
本発明による封止されている断熱ガラスユニットは、スペーサによって離間して保持される2枚のガラスシートから成り、任意選択的には前記スペーサの外側の前記ガラスシートの縁部間に封止剤を有し、該断熱ガラスユニットは、電子デバイスを含み、該電子デバイスは、該断熱ガラスユニットの外部から起動される手段によって該デバイスから読み取ることができる、該断熱ガラスユニットの出所、製造及び/又は特性に関する情報を有し、該断熱ガラスユニット内に隠れるように前記スペーサ内又は前記封止剤内に埋め込まれる。
【0007】
本発明の一態様による断熱ガラスユニットのようなものの製造方法であって、スペーサはホットメルト(a hot melt)としてガラスシートに塗布され、前記デバイスは、前記スペーサが溶融している間に該スペーサ内に埋め込まれる。
【0008】
本発明の他の態様による断熱ガラスユニットの製造方法であって、封止剤は、流体状態でガラスシートに塗布され、前記デバイスは、前記封止剤が流体である間に該封止剤内に埋め込まれる。
【0009】
[発明の詳細な説明]
情報担持電子デバイスは、「スマートチップ」として既知のタイプのものであり得る。このようなデバイスは一般的に、メモリ部分、信号制御回路部分及び通信回路部分を備える。1つの好適なデバイスは、例えば米国特許第4730188A号に記載されているような受動集積トランスポンダ(passive integrated trasnponder)等の無線周波数識別デバイス(RFID)である。そのようなデバイスを読み取る手段は、例えば米国特許第4730188A号又は米国特許第6476708A号に記載されているような無線周波数リーダユニットであり得る。これは、RFIDと共に無線周波数トランポンダシステムを形成する。無線周波数リーダユニットは、断熱ガラスユニットの外部から起動されて、RFIDから情報を読み取ることができる。他のRFID及びリーダユニットを用いることができる。
【0010】
RFトランスポンダシステムの動作は概して、励起モード、応答モード及び読み取りモードを含む複数の動作モードを特徴とする。RFリーダユニットは、励起モード及び読み取りモードの間、給電される。受動トランスポンダは、応答モード中に給電されるように、そのアンテナが電磁界、例えば励起モードのRFリーダユニットによって生成される電磁界に曝されると電圧AC信号によって起動されることができる。
【0011】
電子デバイスのメモリに記録されている情報は、最も単純なものでは、偽の商品に対して保護するための、断熱ガラスユニット製造業者の識別情報であり得るが、断熱ガラスユニットのタイプ、例えば、ガラスのタイプ及び/又は製造業者、サイズ、スペーサの幅、ガラスコーティングのタイプ、ガス充填のタイプ、スペーサのタイプ、使用される封止剤のタイプ(一次封止剤及び/又は二次封止剤)、断熱ガラスユニットの構成要素材料に関して得られた任意の品質試験結果、断熱値(「U値」)等のガラスユニットの性能等級、日射遮蔽係数若しくは透過率、及び/又はバッチ番号に関する重要な情報(key information)を含むことができる。記憶されている情報は、断熱ガラス製造機(equipment)の動作パラメータ設定(例えば、ユニットを押圧している間の保持期間、加えられる圧力、ガス充填作業の期間、ガス含量)、及び任意選択的には、製造中の周囲温度又は圧力等の他の環境パラメータを含むことができる。
【0012】
本発明の一態様によると、記録される唯一の情報は製造時に得られ、この場合、電子デバイスは、情報の改ざんを回避するために一回書き込み動作のみを可能にするチップであることが好ましい。代替的には、電子デバイスは、より詳細に後述するように、書き換え可能チップ、好ましくは許可ユーザのみが書き換えることを可能にするセキュリティコードを有するチップであってもよく、製造後及び保管又は使用中に測定される断熱ガラスユニットの特性を記録するのに使用してもよい。情報は、許可されていない人物が情報を気軽に(casual:偶発的に)読み取ることを回避するために、暗号化形態でデバイスのメモリに記憶することができる。電子デバイスは、この存在が許可されていない人物によって容易に見つからないように、断熱ガラスユニットの構成要素のうちの1つの内部に隠すことができる。
【0013】
断熱ガラスユニットは概して、少なくとも2枚のガラスシートから成り、また2枚以上のガラスパネル、例えば、スペーサによって2枚の外側パネルから分離される中央パネルを備える三重パネルユニットを含み得る。断熱ガラスユニット内のガラスシートは、同一のパネルであっても又は異なるものであってもよく、例えば、1つのパネルは他のモノリシックガラスとの合わせガラスであってもよい。ガラスパネルは通常同じサイズであるが、「段付きの(stepped)」断熱ガラスユニットにおいて既知のように異なっていてもよい。
【0014】
本発明の断熱ガラスユニットは、多種多様なタイプのスペーサのうちのいずれかを使用することができる。例えば、断熱ガラスユニットは、熱可塑性スペーサによって離間して保持されると共に互いに接着(adhered)されるガラスシート(パネル)から成り得る。このようなユニットの組み立て時には、スペーサは、例えば2枚のガラスパネルの第1のものに、その縁部に沿って押出成形することによってストランドとして適用される。ストランドの前端(beginning)及び後端(end)は接合される。ガラスパネルは次いで、組み立てられて、離間した所定の距離、すなわち、断熱ガラスユニット内にスペーサを有する幅と等しい距離まで互いに押圧されることで、熱可塑性材料から成るストランドがガラスパネルに対して押圧されてパネルを互いに結合する。このプロセスは、欧州特許第433386A号、欧州特許第805254A号、国際公開第95/11363A号、国際公開第95/11364A号及び米国特許第5961759A号により詳細に記載されている。
【0015】
熱可塑性材料は、例えばポリオレフィン、例えばポリイソブチレン、水素化ポリブタジエン、又はブチルゴム等のポリ(α−オレフィン)熱可塑性材料及び/又はエラストマー熱可塑性材料であり得る。熱可塑性材料は任意選択的に、ガラスへの接着を促す反応基、例えばシラノール基又はアルコキシシリル基で修飾され得る。二成分型の組成物を用いることができ、この場合、1つの構成成分は、例えば、末端基又はペンダントアルコキシシリル基を有する、ポリイソブチレン、水素化ポリブタジエン、又はポリ(α−オレフィン)等のポリオレフィンであり、他の構成成分は、非修飾ポリイソブチレン、水素化ポリブタジエン、又はポリ(α−オレフィン)、及び2つの構成成分がガラスに塗布される直前に混合されるときにアルコキシシリル基を硬化させるのに十分な水分を含有するフィラーを含有する。そのような熱可塑性スペーサは通常、ゼオライトモレキュラーシーブのような乾燥剤を、熱可塑性スペーサ組成の例えば10重量%〜50重量%含有し、且つ、例えば、粘着剤、ワックス及び/又はUV吸収剤のような安定剤等の他の添加剤も含有し得る。
【0016】
そのような熱可塑性スペーサは、スペーサとして働くように単独で用い、ガラスシート(glass sheets)同士を互いに結合すると共にユニットを封止することができるか、又は補助(二次)封止剤層と共に用いることができる。熱可塑性スペーサを単独で用いる場合、デバイスはスペーサ内に埋め込まれる。熱可塑性スペーサは一般的にホットメルトとしてガラスシートに塗布されるので、デバイスは、スペーサが溶融している間にスペーサ内に埋め込むことができる。デバイスはこのように、スペーサ内部に隠される。断熱ガラス製造業者は、ユニットが自身の製品であるかどうかを追跡するために、デバイスを明らかにすることなく、建設場所又は販売店でユニットにRFリーダを適用できる。
【0017】
補助封止剤層は、欧州特許第916801B号に記載されるように、例えば封止剤の層がスペーサの外面と接触するように、断熱ガラスユニットの外周の、ガラスパネルの縁部間に位置する、シリコーンエラストマーの層であり得る。代替的な補助封止剤は、ポリスルフィド、ポリウレタン、又は任意の他の好適な液体塗布(liquid applied)断熱ガラス二次封止剤を含む。補助封止剤層が存在する場合、電子デバイスは例えば、上述のようにスペーサ内に埋め込むことができるか、又は封止剤が断熱ガラスユニットに塗布されるときに封止剤層内に埋め込むことができる。例えば、封止剤は流体状態でガラスシートに塗布することができ、上記デバイスは、封止剤が流体である間に封止剤内に埋め込むことで、封止剤の内部に隠れるようにすることができる。
【0018】
スペーサは代替的に、例えばエチレンプロピレンジエン三元共重合体発泡体のようなシリコーン発泡体又はポリオレフィン発泡体等の発泡プラスチック材料であってもよく、好ましくは上述のような乾燥剤を含有する。そのような発泡スペーサは一般的に、感圧接着剤等の接着剤によってガラスシート間に固定され、封止剤は通常、断熱ガラスユニットの外周の、スペーサの外側のガラスパネルの縁部間に適用される。そのような構造において用いられる封止剤は、ホットメルト封止剤、シリコーンエラストマー封止剤、ポリウレタン封止剤、ポリスルフィド封止剤、又は任意の他の好適な液体塗布二次封止剤であり得る。電子デバイスは、発泡体の製造中に発泡体内に埋め込むことができる。
【0019】
スペーサは代替的に、断熱ガラスユニットを組み立てたときにガラスシートを必要な距離に離間して保つのを助ける補強材を含有する、例えばポリイソブチレンマスチック材等のマスチック材であり得る。このマスチック材は、上述のように乾燥剤を含有することができる。補強材は例えば、マスチック材内に保持される波形金属補強材であり得る。そのようなシステムは、封止剤の層が強化マスチック材の外面と接触するように、断熱ガラスユニットの外周の、ガラスパネルの縁部間に配置される、例えばシリコーンエラストマー、ポリウレタン、ポリスルフィド、ブチルホットメルト、又はポリウレタン反応性ホットメルトの層等の補助封止剤層と共に使用することができ、又はこれらを有せずに使用することができる。電子デバイスはマスチック材内に埋め込むことができる。
【0020】
スペーサは代替的に、一般的に乾燥剤を含有し、1つ又は複数の封止材料によってガラスシート間に保持される、例えばアルミニウム若しくはステンレス鋼の形材、又は硬質プラスチック材料等の中空の形材であってもよい。単一の封止剤を用いて中空の形材を囲んでもよく、又は第1の封止剤を用いて中空の形材及びガラスパネル間の接合部を封止してもよく、また、封止剤の層が中空の形材の外面と接触するように、断熱ガラスユニットの外周の、ガラスパネルの縁部間に配置される、例えばシリコーン、ポリウレタン若しくはポリスルフィドエラストマーの層、又はホットメルト二次封止剤等の補助封止剤層を用いてもよい。電子デバイスは、中空の形材が電磁遮蔽を提供しないのであれば、中空のスペーサ内に位置付けることができる。すなわち電子デバイスは通常、中空のプラスチックスペーサ内に位置付けられ得るが、通常は中空の金属スペーサ内には位置付けられない。
【0021】
発泡スペーサ、強化マスチック材スペーサ及び中空の形材のスペーサを含む全ての構成(この場合、補助封止剤層又は二次封止剤層はスペーサの外部のガラスシートの縁部間に存在する)において、電子デバイスは封止剤内に埋め込むことができ、封止剤は例えば流体状態でガラスシートに塗布することができ、当該デバイスは、封止剤が流体である間に封止剤内に埋め込むことができる。
【0022】
スペーサが、中空の形材スペーサのように固体の予備成形されたスペーサであるか、又は発泡プラスチックスペーサである場合、電子デバイスは、例えば室温で加硫可能なシリコーン接着剤、ホットメルト接着剤、感圧接着剤等の好適な接着剤によって、スペーサの適所に取り付けることができ、それによって、このデバイスは封止剤内に埋め込まれる。デバイスは好ましくは、スペーサといずれかのガラスシートとの間には位置付けられるべきではなく、これは、この位置付けによってスペーサとガラスとの間のシールに悪影響を及ぼす可能性があるためである。
【0023】
本発明は、中央ユニットによって制御される、現場(in-situ)で適用される自動化されたスペーサシステムによって製造される断熱ガラスユニットにおいて最も十分に使用することができ、これは、この場合、断熱ガラスユニットの品質に関連する重要な製品パラメータを、製造中に中央制御ユニットから情報デバイスへ転送することができるためである。
【0024】
記録する対象となり得る1つの特性は、製造時の断熱ガラスユニットのガス含量(ガス充填の程度)である。ガス含量は、さまざまな手段によって測定することができ、例えば、ガス充填が上述の自動システムの一部である場合、製造中に測定することができる。代替的には、完成した断熱ガラスユニット内のガス含量(通常はアルゴンガス)は、例えば、Sparklike, Ltd.(ヘルシンキ(フィンランド))からの「Sparklike」センサ、又はGas Sensor Solutions Ltd.(ダブリン(アイルランド))からの酸素計(oxygen analyser)によって測定することができ、且つ電子デバイスに記録される。製造時に測定されると共に記録され得る断熱ガラスユニットの他の特性は、例えば、製造中の湿度及び/又は温度、ガラスユニットの断熱値(「U値」)、日射遮蔽係数若しくは透過率である。電子デバイスが書き換え可能チップである場合、環境暴露特性又は他の特性も、断熱ガラスユニットの保管及び使用中に続いて測定することができ、測定が行われた日付と共にデバイスによって記録することができる。
【0025】
ここで、本発明は、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】1つのタイプの断熱ガラスユニットの概略的な断面図である。
【図2】代替的なタイプの断熱ガラスユニットの概略的な断面図である。
【図3A】別の代替的なタイプの断熱ガラスユニットの概略的な断面図である。
【図3B】図3Aの断熱ガラスユニットの概略的な側部断面図である。
【図4】別の代替的なタイプの断熱ガラスユニットの概略的な断面図である。
【図5】別の代替的なタイプの断熱ガラスユニットの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1の断熱ガラスユニットは、熱可塑性タイプのスペーサ13によって分離されるガラスパネル11、12から成り、当該スペーサ13は現場で形成され、且つ例えば乾燥剤で充填されるポリイソブチレンを含む。例えばシリコーンエラストマーから成る二次シール14は、スペーサ13の外面と接触してパネル11、12の縁部に形成される。そのようなユニットの縁部封止システムは「Lenhardt TPS System」の商標で市販されている。電子情報担持デバイスは、熱可塑性スペーサ13が第1のガラスパネル11に適用されるときに熱可塑性スペーサ13に、又は封止剤14がユニットに適用されるときに封止剤14に組み込むことができる。
【0028】
図2の断熱ガラスユニットは、例えば乾燥剤を含有するシリコーン発泡体又はエチレンプロピレンジエン三元共重合体等のプラスチック発泡体から形成されるスペーサ23によって分離されるガラスパネル21、22を備える。発泡スペーサ23は、例えばアクリル系圧感接着剤等の接着剤層24によって適所に固定される。発泡スペーサ23の外面は、例えば「Mylar」(商標)ポリエステルから成るガスバリアフィルム25によって覆われる。封止剤26、例えばホットメルト封止剤は、パネル21、22の縁部においてフィルム25の外側に塗布される。そのようなユニットの縁部封止システムは、「Edgetech Super Spacer」の商標で市販されている。電子情報担持デバイスは、封止剤26がユニットに適用されるときに封止剤26に組み込むことができる。
【0029】
図3A及び図3Bの断熱ガラスユニットは、ガラスパネル31及び32を備える。パネル31、32を分離するスペーサは、例えば乾燥剤で充填されるポリイソブチレンマスチック材等のマスチック材34によって囲まれる波形金属補強シート33から構成される。例えばシリコーンエラストマーから成る二次シール35は、マスチック材34の外面と接触してパネル31、32の縁部に形成される。そのようなユニットの縁部封止システムは、「TruSeal Swiggle Strip」の商標で市販されている。電子情報担持デバイスは、スペーサを形成するためにマスチック材34が補強体33の周りに適用されるときにマスチック材34に組み込むことができ、又は封止剤35がユニットに適用されるときに封止剤35に組み込むことができる。
【0030】
図4の断熱ガラスユニットは、乾燥剤44を含有するアルミニウムの中空の形材43から成るアルミニウムボックススペーサによって分離される、ガラスパネル41、42を備える。図4は、単一のシールユニットを示し、この場合、単一の封止剤45がアルミニウムボックス43をパネル41、42に結合し、ボックス43の外側でパネル41、42の外縁部を封止する。電子情報担持デバイスは、封止剤45がユニットに適用されるときに封止剤45に組み込むことができる。
【0031】
図5の断熱ガラスユニットも、乾燥剤54を含有するアルミニウムの中空の形材53から成るアルミニウムボックススペーサによって分離される、ガラスパネル51、52を備える。図5は、二重封止ユニットを示し、この場合、一次封止剤55がアルミニウムボックス53をパネル51、52に結合し、二次封止剤56がボックス53の外側でパネル51、52の外縁部を封止する。電子情報担持デバイスは、二次封止剤56がユニットに適用されるときに二次封止剤56に組み込むことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止されている断熱ガラスユニットであって、スペーサによって離間して保持される2枚のガラスシートから成り、任意選択的には前記スペーサの外側の前記ガラスシートの縁部間に封止剤を有し、
該断熱ガラスユニットは、電子デバイスを含み、
該電子デバイスは、該断熱ガラスユニットの外部から起動される手段によって該デバイスから読み取ることができる、該断熱ガラスユニットの出所、製造及び/又は特性に関する情報を有し、該断熱ガラスユニット内に隠れるように前記スペーサ内又は前記封止剤内に埋め込まれることを特徴とする、封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項2】
前記デバイスは前記スペーサ内に埋め込まれることを特徴とする、請求項1に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項3】
前記スペーサは熱可塑性スペーサを含むことを特徴とする、請求項2に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項4】
前記スペーサは発泡プラスチック材料を含むことを特徴とする、請求項2に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項5】
前記スペーサの外側の前記ガラスシートの縁部間に封止剤を含み、前記デバイスは該封止剤内に埋め込まれることを特徴とする、請求項1に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項6】
前記スペーサは固体の予備成形されたスペーサであり、前記電子デバイスは接着剤によって該スペーサに取り付けられることを特徴とする、請求項5に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項7】
前記スペーサは中空のプラスチック形材であり、前記電子デバイスは該中空のスペーサ内に位置付けられることを特徴とする、請求項1に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項8】
前記デバイスは、メモリ部分、信号制御回路部分及び通信回路部分を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項9】
前記デバイスは無線周波数識別デバイスであり、該デバイスから読み取る前記手段は無線周波数トランスポンダシステムを形成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項10】
前記デバイスは、そのアンテナが電磁界に曝されると電圧AC信号によって起動されることができることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項11】
前記デバイスは、一回書き込み動作のみを可能にする電子チップであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項12】
前記デバイスは、セキュリティコードによって保護されている書き換え可能な電子チップであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項13】
前記情報は暗号化されていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の封止されている断熱ガラスユニット。
【請求項14】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱ガラスユニットを製造する方法であって、前記スペーサはホットメルトとして前記ガラスシートに塗布され、前記デバイスは、前記スペーサが溶融している間に該スペーサ内に埋め込まれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の断熱ガラスユニットを製造する方法。
【請求項15】
請求項5に記載の断熱ガラスユニットを製造する方法であって、前記封止剤は、流体状態で前記ガラスシートに塗布され、前記デバイスは、前記封止剤が流体である間に該封止剤内に埋め込まれることを特徴とする、請求項5に記載の断熱ガラスユニットを製造する方法。
【請求項16】
前記断熱ガラスユニットの品質に関連する製品パラメータに関する情報は、前記断熱ガラスユニットの製造中に前記デバイスに自動的に転送されることを特徴とする、請求項14又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記デバイスは書き換え可能な電子チップであり、前記断熱ガラスユニットの環境暴露歴に関する情報は、該断熱ガラスユニットの製造後に前記デバイスに自動的に転送されることを特徴とする、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−538812(P2009−538812A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512454(P2009−512454)
【出願日】平成19年5月19日(2007.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004479
【国際公開番号】WO2007/137719
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(590001418)ダウ コ−ニング コ−ポレ−ション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】