電子ビーム基盤型システム内の収差を補正する装置及び方法
【課題】電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する。
【解決手段】
一実施形態は、電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する装置に関する。内部電極は、パターン生成装置を取り囲み、その内部電極の周りには、少なくとも1つの外部電極がある。内部電極及び外部電極の各々は、パターン生成装置の平面内に、平坦な表面を有する。回路は、内部電圧レベルを内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを少なくとも1つの外部電極に印加するように構成されている。電圧レベルは、電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反りを補正するように設定され得る。別の実施形態は、電子ビーム検査システム又は再検査システム又は計量システム等の電子ビーム基盤型システム内で利用される収差を補正する装置に関する。他の実施形態、態様及び特徴も開示される。
【解決手段】
一実施形態は、電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する装置に関する。内部電極は、パターン生成装置を取り囲み、その内部電極の周りには、少なくとも1つの外部電極がある。内部電極及び外部電極の各々は、パターン生成装置の平面内に、平坦な表面を有する。回路は、内部電圧レベルを内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを少なくとも1つの外部電極に印加するように構成されている。電圧レベルは、電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反りを補正するように設定され得る。別の実施形態は、電子ビーム検査システム又は再検査システム又は計量システム等の電子ビーム基盤型システム内で利用される収差を補正する装置に関する。他の実施形態、態様及び特徴も開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DARPAにより査定された契約番号HR0011−07−9−0007号下の政府による支援で行われた。政府は、本発明の特定の権利を有する。
【0002】
本発明は、一般に、半導体製造技術及び関連技術に関する。より具体的に、本発明は、電子ビームリソグラフィーシステム及び他の電子ビーム基盤型システム(電子ビームを用いる電子ビームに基づくシステム)に関する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野でよく理解されるように、リソグラフィープロセスは、例えば、エッチング、材料堆積(デポジション)、異種物質の埋め込み(インプランテーション)等により選択的に処理するための下層領域を露曝(露出)するために、レジストの一部が選択的に取り除かれ得るような、レジストにパターン付けする(パターニングする)露光を含む。従来のリソグラフィープロセスは、レジストを選択的に露光するのに、紫外線形態の電磁エネルギーを利用する。電磁エネルギー(X線を含む)の代わりとして、帯電(荷電)粒子ビームが、高解像度リソグラフィーレジスト露光に利用されている。特に、電子ビームが利用されており、なぜなら、電子は質量が小さいので、比較的低い電力で、比較的高速で、比較的正確に電子ビームを制御することができるからである。
【0004】
一般に、電子ビームリソグラフィーシステムは、反射モード又は透過モードのどちらかで動作するように設計され得る。反射モードでは、電子ビームは、選択的に反射性を有するアレイからビームを反射することによりパターン付けされる。反射アレイ上のパターンが随時(ダイナミックに)変化し得る場合、そのアレイは、随時動作型(ダイナミック)パターン発生器(DPG)と呼ばれ得る。透過モードでは、電子ビームは、消去(ブランカ)アレイにビームを透過させることによりパターン付けされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子ビームリソグラフィーシステムは、その電子光学要素のために、結像収差(イメージング・アブレーション)が一般的に生じ、その収差は、補正される必要がある。収差の補正は、通常、多極型(マルチ・ポール)素子を利用して実行される。しかしながら、収差の補正に利用される多極型素子は、通常、大型で、高価であり、収差を補正可能な対象としては限定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
リソグラフィーシステムを改善することは、極めて望ましい。本開示は、電子ビームリソグラフィーシステム内で収差を補正する有利な装置及び方法を与える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態による反射モード電子ビームリソグラフィーシステムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態による、随時動作型パターン発生器用の多電極型反射構造の断面図である。
【図3A】本発明の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置の平面図である。
【図3B】本発明の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置の断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置の平面図である。
【図5】本発明の実施形態による透過モード電子ビームリソグラフィーシステムの簡略化されたブロック図である。
【図6A】本発明の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の平面図である。
【図6B】本発明の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の平面図である。
【図8】本発明の実施形態による、電子ビーム基盤型システム内で収差を補正するのに利用される装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態は、電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する装置に関する。内部電極は、パターン生成装置を取り囲み、その内部電極の周りには、少なくとも1つの外部電極がある。内部電極及び外部電極の各々は、パターン生成装置の平面内に、平坦な表面を有する。回路は、内部電圧レベルを内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを少なくとも1つの外部電極に印加するように構成されている。電圧レベルは、電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反り(curvature:曲率)を補正するように設定され得る。
【0009】
別の実施形態は、電子ビームリソグラフィーシステムに関する。そのシステムは、少なくとも1つの電子源、照明(illumination)電子光学系、パターン生成装置、投影電子光学系、及び標的(ターゲット)基板を含む。内部電極は、パターン生成装置を取り囲むように構成され、少なくとも1つの外部電極は、内部電極の周りに構成されている。各々の内部電極及び外部電極は、パターン生成装置の平面内に、平坦な表面を有する。回路は、内部電圧レベルを内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを少なくとも1つの外部電極に印加するように構成されている。
【0010】
別の実施形態は、電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する方法に関する。パターン生成装置の周りの内部電極に内部電圧レベルを印加することで調節が行われ、その内部電極は、パターン生成装置の平面内に、平坦な表面を有する。同様に、内部電極の周りの少なくとも1つの外部電極に少なくとも1つの外部電圧レベルを印加することで調節が行われ、同様に、その少なくとも1つの外部電極は、パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する。
【0011】
別の実施形態は、電子ビーム基盤型システム内で収差を補正する装置に関する。内部電極は、開口部又は反射装置を取り囲む。その内部電極の周りには、少なくとも1つの外部電極がある。内部電極及び外部電極の各々は、開口部又は反射装置の平面内に、平坦な表面を有する。回路は、内部電圧レベルを内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを少なくとも1つの外部電極に印加するように構成されている。電圧レベルは、電子ビーム基盤型システム内の像面の反りを補正するように設定され得る。
【0012】
別の実施形態は、電子ビームシステム内の収差を補正する方法に関する。開口部又は反射装置の周りの内部電極に内部電圧レベルを印加することで調節が行われ、その内部電極は、開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する。同様に、内部電極の周りの少なくとも1つの外部電極に少なくとも1つの外部電圧レベルを印加することで調節が行われ、同様に、その少なくとも1つの外部電極は、開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する。
【0013】
他の実施形態、態様及び特徴も開示される。
【0014】
本開示は、電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を有利に補正する装置及び方法を与える。本発明の実施形態によれば、像面の反り及び高次の収差は、電子光学経路長を追加せずに補正され得る。これにより、そのシステムの投影範囲内のクーロン相互作用を低くすることができる。
【0015】
本発明の実施形態によれば、装置及び方法は、有利には、反射モードで動作する電子ビーム投影システムに用いられ得る。本発明の別の実施形態によれば、装置及び方法は、有利には、透過モードで動作する電子ビーム投影システムに用いられ得る。
【0016】
「反射モードシステム」
図1に、反射モードで動作する電子ビームリソグラフィーシステムの実施例が示される。図1は、反射モード電子ビームシステムの一実施例を示しているが、本発明の装置及び方法は、多岐にわたる反射モード電子ビームシステムに適用され得ると考えられる。
【0017】
図1に示されるように、例示の反射モード電子ビームリソグラフィーシステム100は、電子源102、照明電子光学系104、ビーム分離器106、対物電子レンズ110、随時動作型パターン発生器(DPG)112、投影電子光学系114、及び、リソグラフィーでパターン付けされる半導体基板又は他の標的基板118を保持する基台(ステージ)116を含む。
【0018】
照明電子光学系104は、電子源102からの電子ビームを集束させ、平行にするように構成されている。照明電子光学装置104は、磁気レンズ及び/又は静電レンズの配置を備えている場合があり、DPG112を照明する電流を設定することができる。
【0019】
ビーム分離器106は、照明電子光学系104から入射電子ビーム105を受け入れるように構成され得る。一実装では、ビーム分離器106は、磁気プリズムを含む。入射ビーム105が、プリズムの磁場を通過する際、その軌跡は、対物電子光学系110に向かって曲がる。対物電子光学系110は、ビーム分離器106から入射ビームを受け入れ、入射電子がDPG112に近づくにつれて、入射電子を減速させ、集束させる。
【0020】
DPG112は、2次元画素アレイを含み得る。一実施例として、そのアレイの大きさは、4096×248画素であり得る。様々な他の大きさのアレイが、実装されてもよい。図2に関して以下に更に記載されるように、各々の画素は、電圧レベルが制御可能に印加される多電極型電子反射装置を含み得る。印加電圧レベルを設定することにより、各々の画素は、2つのモードのうちの1つに設定され得る。第1モードでは、画素は、集束された電子小ビームを反射し得る。第2モードでは、画素は、集束された電子小ビームが画素から反射されないように、電子を吸収又は散乱し得る。選択画素のみを設定して、集束された小ビームを反射させることにより、パターン付けされた電子ビーム113が、DPG112からの選択的反射により生成され得る。
【0021】
対物電子光学系110は、パターン付けされた電子ビーム113を、そのビームがビーム分離器106を通過するように加速させる。ビーム分離器106は、パターン付けされた電子ビーム113の軌跡を、投影電子光学系114に向かって曲げる。投影電子光学系114は、磁気レンズ及び/又は静電レンズの配置を含み得る。投影電子光学系114は、パターン付けされた電子ビーム113が、半導体ウェーハ上に、又は、他の標的基板118上に投影されるように、その電子ビームを集束させ、縮小(収縮)するように構成され得る。
【0022】
基台116は、標的半導体ウェーハ又は他の標的基板118を保持する。実装に依存して、基台116は、リソグラフィー投影の間、静止していてもよく、動いてもよい。基台116が移動する事例では、DPG112上のパターンは、投影されたパターンがウェーハの動きに対応して移動するように随時調節され、その動きを補償し得る。
【0023】
図1は、本発明の実施形態が実装され得る範囲内の例示の反射モードシステムを示すが、本発明の実施形態は、他の反射モードシステムで実装されてもよい。
【0024】
更に、DPG112の画素に利用され得る多電極型電子反射装置に関して、図2に、例示の反射構造を示す断面図が与えられる。図示されるように、各々の画素ウェル(カップ)202の開口部を取り囲む側壁は、絶縁層210により分離された複数の導電層又は電極(例えば、211、212、213、及び214)の積み重ね(スタック)を含む。加えて、各々のウェルは、各々のウェル202の底部にベース電極220を含む。
【0025】
ウェル202は、頂部での開口部及び底部でのベース電極220が円形であるように、円筒形のものであり得る。例えば、各々のウェル202は、直径が、1.5ミクロンであり、深さが、4ミクロンであり得る。積み重ねられた電極ウェル構造は、基板上に酸化膜層234を備えたシリコン基板232上に作製され得る。ウェル202の下のCMOS回路を利用して、複数の電極層に電圧を印加し得る。
【0026】
「反射モードシステム用の収差補正装置」
図3Aは、本発明の実施形態による、反射モードシステム100用の収差補正装置300の平面図である。より具体的には、その平面図は、反射モードシステム100のDPG112の像平面での収差補正装置300を示す。図示されるように、その像平面(イメージ・プレーン)では、DPG112は、内部電極302により取り囲まれ、内部電極302は、次に、外部電極304により取り囲まれる。第1電圧レベル(内部電圧レベル)Vinnerが、内部電極302に印加され、第2電圧レベル(外部電圧レベル)Vouterが、外部電極304に印加され得る。
【0027】
図3Aに示される実施形態では、像平面内の内部電極302の外周は、円形であり、そのシステムの電子光軸を中心として配置され得る。更に図示されるように、像平面内の外部電極304の外周は、四角形であり、そのシステムの電子光軸を中心として配置され得る。像平面内の内部電極302及び外部電極304の他の形も、現時点で開示された本発明の範囲内にあると考えられる。例えば、別の実施形態では、両方の電極の外周が、円形であり得る。更に別の実施形態では、両方の電極の外周が、四角形であり得る。更に別の実施形態では、内部電極302の外周が四角形であり、外部電極304の外周が円形であり得る。
【0028】
図3Bは、本発明の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置300の断面図を示す。図示される断面は、図3Aに示されるA−A’面の断面である。システムの光軸(OA)は、DPG112の中心を通るように示されている。図示されるように、内部電極及び外部電極(302及び304)は、半導体基板322上の酸化膜層324上に形成され得る。電圧レベルVinner及びVouterは、酸化膜層324を通り抜ける導電配線を介して、内部電極及び外部電極(302及び304)に印加され得る。加えて、DPG112と内部電極302との間には、絶縁境界(例えば、酸化膜の境界)305があり、内部電極と外部電極との(302と304との)間には、絶縁境界306があり得る。更に図3Bに示されるのは、DPG112上の遮蔽(シールド)電極308と、対物電子光学系110内の静電レンズの底部レンズ電極310である。遮蔽電圧レベルVshield、Vlensは、底部レンズ電極310に印加され得る。
【0029】
本発明の実施形態によれば、内部電圧レベル及び外部電圧レベル(それぞれ、Vinner及びVouter)は、電子光学系内の像面の反り及び収差を補正するように設定される。特に、Vinner及びVouterは、底部レンズ電極310、遮蔽電極308、及びDPG112の頂部電極211により形成されるレンズの場の分布を変更するように設定される。場の分布は、電子光学システム全体の収差を低減するように変更される。
【0030】
図4は、本発明の別の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置400の平面図である。この実施形態では、1つの内部電極302及び1つの外部電極304の代わりに、1つの内部電極302と4つの外部電極(402、404、406及び408)がある。この事例では、4つの外部電極(402、404、406及び408)が、内部電極302の周りに、4つの四分円で配置される。この実施形態では、5つの個別に制御可能な電圧(Vinner、Vouter1、Vouter2、Vouter3及びVouter4)が、5つの電極(それぞれ、302、402、404、406及び408)に印加される。5つの電圧は、電子光学系内の像面の反りと高次の収差とを補正するように設定され得る。
【0031】
「透過モードシステム」
図5は、本発明の実施形態による透過モード電子ビームリソグラフィーシステム500の簡略化されたブロック図である。図示されるように、システム500は、電子源502、集光電子光学系504、消去(ブランカ)アレイ506、投影電子光学系508、及び、標的基板512を保持する基台510を含み得る。
【0032】
集光(コンデンサ)(又は照明(イルミネーション))電子光学部品504は、電子源502からの電子ビームを集束し、平行にするような、磁気レンズ及び/又は静電レンズの配置であり得る。加えて、集光電子光学系504により、消去アレイ506を照明する電流を設定することができる。
【0033】
消去アレイ506は、2次元画素アレイを含み得る。様々な大きさのアレイが、実装され得る。各々の画素は、個別に制御され、電子小ビームの透過又は電子小ビームの透過阻止(即ち、画素に対する小ビームの「消去」)のどちらかが可能になり得る。選択画素のみが小ビームを透過させるように設定することにより、パターン付けされた電子ビームが、消去アレイ506により透過し得る。
【0034】
投影電子光学系508は、標的基板512の表面上に電子ビームを投影し、非拡大する(縮小する)ような、磁気レンズ及び/又は静電レンズの配置であり得る。標的基板512は、基台510により保持され得る。実装に依存して、基台510は、リソグラフィー投影の間、静止していてもよく、動いてもよい。基台510が移動する事例では、消去アレイ506上のパターンは、投影されたパターンが標的基板の動きに対応して移動するように随時(ダイナミックに)調節され、動きを補償し得る。
【0035】
「透過モードシステム用の収差補正装置」
図6Aは、本発明の別の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の平面図である。より具体的には、平面図は、反射モードシステム500の消去アレイ506の瞳平面での収差補正装置600を示す。
【0036】
図示されるように、瞳面では、消去アレイ506が、内部電極602により取り囲まれ得る。内部電極602は、次に、外部電極604により取り囲まれ得る。第1電圧レベルVinnerが、内部電極602に印加され、第2電圧レベルVouterが、外部電極604に印加され得る。
【0037】
図6Aに示される実施形態では、瞳面内の内部電極602の外周は、円形であり、そのシステムの電子光軸を中心として配置され得る。更に図示されるように、瞳面内の外部電極604の外周は、四角形であり、そのシステムの電子光軸を中心として配置され得る。瞳面内の内部電極602及び外部電極604の他の形も、現時点で開示された本発明の範囲内にあると考えられる。例えば、別の実施形態では、両方の電極の外周が、円形であり得る。更に別の実施形態では、両方の電極の外周が、四角形であり得る。更に別の実施形態では、内部電極602の外周が四角形であり、外部電極604の外周が円形であり得る。
【0038】
図6Bは、本発明の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の断面図である。図示される断面は、図6Aに示されるA−A’面の断面である。システムの光軸(OA)は、消去アレイ506の中心を通り抜けるように示されている。図示されるように、消去アレイ506と内部電極602との間には、絶縁境界(例えば、酸化膜の境界)605があり、内部電極と外部電極との(602と604との)間には、絶縁境界606があり得る。加えて、電圧レベルVinner及びVouterは、それぞれ、内部電極及び外部電極(602及び604)に印加され得る。
【0039】
図7は、本発明の別の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の平面図である。この実施形態では、1つの内部電極602及び1つの外部電極604の代わりに、1つの内部電極602と4つの外部電極(702、704、706及び708)がある。この事例では、4つの外部電極(702、704、706及び708)が、内部電極602の周りに、4つの四分円で配置されている。この実施形態では、5つの個別に制御可能な電圧(Vinner、Vouter1、Vouter2、Vouter3及びVouter4)が、5つの電極(それぞれ、602、702、704、706及び708)に印加される。5つの電圧は、電子光学系内の像面の反りと高次の収差とを補正するように設定され得る。
【0040】
別の実施形態では、収差補正システムは、一般に、電子ビーム検査に利用されるシステムを含む、電子ビーム基盤型システムに利用され得る。そのような装置では、内部電極は、(上記のリソグラフィーシステム内の、それぞれ、消去アレイ506又はDPG112の代わりに)電子ビームが通過する開口部、又は、電子ビームを反射する鏡電極型反射装置のどちらかを取り囲み得る。その装置を操作して、電子ビーム基盤型システム内の収差を低減し得る。図8には、そのような装置800の実施例が示され、円形開口部又は反射装置805が、内部電極内802に示され、4つの外部電極812、814、816、及び818が、内部電極802の周りに示される。図示される平面は、内部電極が開口部を取り囲む場合、瞳面になり、内部電極が反射装置を取り囲む場合、像平面になり得る。
【0041】
上記の図は、必ずしも縮尺を合わせておらず、説明のためのものであり、特定の実施形態に限定することを意図していない。上の記述では、本発明の実施形態を完全に理解するために、数値についての特定の詳細事項が与えられている。しかしながら、本発明の説明の実施形態の上の記述は、他を排除することを、又は、本発明を開示された正確な形態に限定することを意図していない。当業者は、本発明が、1つ以上の特定の詳細事項を用いずに、又は、他の方法、部品等を用いて実施され得ると認識することになる。他の事例では、本発明の態様が曖昧になるのを回避するために、周知の構造又は動作が詳細に示されていない、又は、記述されていない。本発明の特定の実施形態及び実施例は、本明細書に説明目的のために記載されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で、様々に、均等に変更することができる。
【0042】
これらの変更は、上の詳細な記述に照らして、本発明に対して行うことができる。以下の請求項で用いられる用語は、明細書及び請求項で開示された特定の実施形態に本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の請求項により定められるべきであり、それらの請求項は、請求項の解釈で設けられる教示内容に従って解釈されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、DARPAにより査定された契約番号HR0011−07−9−0007号下の政府による支援で行われた。政府は、本発明の特定の権利を有する。
【0002】
本発明は、一般に、半導体製造技術及び関連技術に関する。より具体的に、本発明は、電子ビームリソグラフィーシステム及び他の電子ビーム基盤型システム(電子ビームを用いる電子ビームに基づくシステム)に関する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野でよく理解されるように、リソグラフィープロセスは、例えば、エッチング、材料堆積(デポジション)、異種物質の埋め込み(インプランテーション)等により選択的に処理するための下層領域を露曝(露出)するために、レジストの一部が選択的に取り除かれ得るような、レジストにパターン付けする(パターニングする)露光を含む。従来のリソグラフィープロセスは、レジストを選択的に露光するのに、紫外線形態の電磁エネルギーを利用する。電磁エネルギー(X線を含む)の代わりとして、帯電(荷電)粒子ビームが、高解像度リソグラフィーレジスト露光に利用されている。特に、電子ビームが利用されており、なぜなら、電子は質量が小さいので、比較的低い電力で、比較的高速で、比較的正確に電子ビームを制御することができるからである。
【0004】
一般に、電子ビームリソグラフィーシステムは、反射モード又は透過モードのどちらかで動作するように設計され得る。反射モードでは、電子ビームは、選択的に反射性を有するアレイからビームを反射することによりパターン付けされる。反射アレイ上のパターンが随時(ダイナミックに)変化し得る場合、そのアレイは、随時動作型(ダイナミック)パターン発生器(DPG)と呼ばれ得る。透過モードでは、電子ビームは、消去(ブランカ)アレイにビームを透過させることによりパターン付けされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子ビームリソグラフィーシステムは、その電子光学要素のために、結像収差(イメージング・アブレーション)が一般的に生じ、その収差は、補正される必要がある。収差の補正は、通常、多極型(マルチ・ポール)素子を利用して実行される。しかしながら、収差の補正に利用される多極型素子は、通常、大型で、高価であり、収差を補正可能な対象としては限定される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
リソグラフィーシステムを改善することは、極めて望ましい。本開示は、電子ビームリソグラフィーシステム内で収差を補正する有利な装置及び方法を与える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態による反射モード電子ビームリソグラフィーシステムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態による、随時動作型パターン発生器用の多電極型反射構造の断面図である。
【図3A】本発明の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置の平面図である。
【図3B】本発明の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置の断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置の平面図である。
【図5】本発明の実施形態による透過モード電子ビームリソグラフィーシステムの簡略化されたブロック図である。
【図6A】本発明の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の平面図である。
【図6B】本発明の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の断面図である。
【図7】本発明の別の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の平面図である。
【図8】本発明の実施形態による、電子ビーム基盤型システム内で収差を補正するのに利用される装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態は、電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する装置に関する。内部電極は、パターン生成装置を取り囲み、その内部電極の周りには、少なくとも1つの外部電極がある。内部電極及び外部電極の各々は、パターン生成装置の平面内に、平坦な表面を有する。回路は、内部電圧レベルを内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを少なくとも1つの外部電極に印加するように構成されている。電圧レベルは、電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反り(curvature:曲率)を補正するように設定され得る。
【0009】
別の実施形態は、電子ビームリソグラフィーシステムに関する。そのシステムは、少なくとも1つの電子源、照明(illumination)電子光学系、パターン生成装置、投影電子光学系、及び標的(ターゲット)基板を含む。内部電極は、パターン生成装置を取り囲むように構成され、少なくとも1つの外部電極は、内部電極の周りに構成されている。各々の内部電極及び外部電極は、パターン生成装置の平面内に、平坦な表面を有する。回路は、内部電圧レベルを内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを少なくとも1つの外部電極に印加するように構成されている。
【0010】
別の実施形態は、電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する方法に関する。パターン生成装置の周りの内部電極に内部電圧レベルを印加することで調節が行われ、その内部電極は、パターン生成装置の平面内に、平坦な表面を有する。同様に、内部電極の周りの少なくとも1つの外部電極に少なくとも1つの外部電圧レベルを印加することで調節が行われ、同様に、その少なくとも1つの外部電極は、パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する。
【0011】
別の実施形態は、電子ビーム基盤型システム内で収差を補正する装置に関する。内部電極は、開口部又は反射装置を取り囲む。その内部電極の周りには、少なくとも1つの外部電極がある。内部電極及び外部電極の各々は、開口部又は反射装置の平面内に、平坦な表面を有する。回路は、内部電圧レベルを内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを少なくとも1つの外部電極に印加するように構成されている。電圧レベルは、電子ビーム基盤型システム内の像面の反りを補正するように設定され得る。
【0012】
別の実施形態は、電子ビームシステム内の収差を補正する方法に関する。開口部又は反射装置の周りの内部電極に内部電圧レベルを印加することで調節が行われ、その内部電極は、開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する。同様に、内部電極の周りの少なくとも1つの外部電極に少なくとも1つの外部電圧レベルを印加することで調節が行われ、同様に、その少なくとも1つの外部電極は、開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する。
【0013】
他の実施形態、態様及び特徴も開示される。
【0014】
本開示は、電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を有利に補正する装置及び方法を与える。本発明の実施形態によれば、像面の反り及び高次の収差は、電子光学経路長を追加せずに補正され得る。これにより、そのシステムの投影範囲内のクーロン相互作用を低くすることができる。
【0015】
本発明の実施形態によれば、装置及び方法は、有利には、反射モードで動作する電子ビーム投影システムに用いられ得る。本発明の別の実施形態によれば、装置及び方法は、有利には、透過モードで動作する電子ビーム投影システムに用いられ得る。
【0016】
「反射モードシステム」
図1に、反射モードで動作する電子ビームリソグラフィーシステムの実施例が示される。図1は、反射モード電子ビームシステムの一実施例を示しているが、本発明の装置及び方法は、多岐にわたる反射モード電子ビームシステムに適用され得ると考えられる。
【0017】
図1に示されるように、例示の反射モード電子ビームリソグラフィーシステム100は、電子源102、照明電子光学系104、ビーム分離器106、対物電子レンズ110、随時動作型パターン発生器(DPG)112、投影電子光学系114、及び、リソグラフィーでパターン付けされる半導体基板又は他の標的基板118を保持する基台(ステージ)116を含む。
【0018】
照明電子光学系104は、電子源102からの電子ビームを集束させ、平行にするように構成されている。照明電子光学装置104は、磁気レンズ及び/又は静電レンズの配置を備えている場合があり、DPG112を照明する電流を設定することができる。
【0019】
ビーム分離器106は、照明電子光学系104から入射電子ビーム105を受け入れるように構成され得る。一実装では、ビーム分離器106は、磁気プリズムを含む。入射ビーム105が、プリズムの磁場を通過する際、その軌跡は、対物電子光学系110に向かって曲がる。対物電子光学系110は、ビーム分離器106から入射ビームを受け入れ、入射電子がDPG112に近づくにつれて、入射電子を減速させ、集束させる。
【0020】
DPG112は、2次元画素アレイを含み得る。一実施例として、そのアレイの大きさは、4096×248画素であり得る。様々な他の大きさのアレイが、実装されてもよい。図2に関して以下に更に記載されるように、各々の画素は、電圧レベルが制御可能に印加される多電極型電子反射装置を含み得る。印加電圧レベルを設定することにより、各々の画素は、2つのモードのうちの1つに設定され得る。第1モードでは、画素は、集束された電子小ビームを反射し得る。第2モードでは、画素は、集束された電子小ビームが画素から反射されないように、電子を吸収又は散乱し得る。選択画素のみを設定して、集束された小ビームを反射させることにより、パターン付けされた電子ビーム113が、DPG112からの選択的反射により生成され得る。
【0021】
対物電子光学系110は、パターン付けされた電子ビーム113を、そのビームがビーム分離器106を通過するように加速させる。ビーム分離器106は、パターン付けされた電子ビーム113の軌跡を、投影電子光学系114に向かって曲げる。投影電子光学系114は、磁気レンズ及び/又は静電レンズの配置を含み得る。投影電子光学系114は、パターン付けされた電子ビーム113が、半導体ウェーハ上に、又は、他の標的基板118上に投影されるように、その電子ビームを集束させ、縮小(収縮)するように構成され得る。
【0022】
基台116は、標的半導体ウェーハ又は他の標的基板118を保持する。実装に依存して、基台116は、リソグラフィー投影の間、静止していてもよく、動いてもよい。基台116が移動する事例では、DPG112上のパターンは、投影されたパターンがウェーハの動きに対応して移動するように随時調節され、その動きを補償し得る。
【0023】
図1は、本発明の実施形態が実装され得る範囲内の例示の反射モードシステムを示すが、本発明の実施形態は、他の反射モードシステムで実装されてもよい。
【0024】
更に、DPG112の画素に利用され得る多電極型電子反射装置に関して、図2に、例示の反射構造を示す断面図が与えられる。図示されるように、各々の画素ウェル(カップ)202の開口部を取り囲む側壁は、絶縁層210により分離された複数の導電層又は電極(例えば、211、212、213、及び214)の積み重ね(スタック)を含む。加えて、各々のウェルは、各々のウェル202の底部にベース電極220を含む。
【0025】
ウェル202は、頂部での開口部及び底部でのベース電極220が円形であるように、円筒形のものであり得る。例えば、各々のウェル202は、直径が、1.5ミクロンであり、深さが、4ミクロンであり得る。積み重ねられた電極ウェル構造は、基板上に酸化膜層234を備えたシリコン基板232上に作製され得る。ウェル202の下のCMOS回路を利用して、複数の電極層に電圧を印加し得る。
【0026】
「反射モードシステム用の収差補正装置」
図3Aは、本発明の実施形態による、反射モードシステム100用の収差補正装置300の平面図である。より具体的には、その平面図は、反射モードシステム100のDPG112の像平面での収差補正装置300を示す。図示されるように、その像平面(イメージ・プレーン)では、DPG112は、内部電極302により取り囲まれ、内部電極302は、次に、外部電極304により取り囲まれる。第1電圧レベル(内部電圧レベル)Vinnerが、内部電極302に印加され、第2電圧レベル(外部電圧レベル)Vouterが、外部電極304に印加され得る。
【0027】
図3Aに示される実施形態では、像平面内の内部電極302の外周は、円形であり、そのシステムの電子光軸を中心として配置され得る。更に図示されるように、像平面内の外部電極304の外周は、四角形であり、そのシステムの電子光軸を中心として配置され得る。像平面内の内部電極302及び外部電極304の他の形も、現時点で開示された本発明の範囲内にあると考えられる。例えば、別の実施形態では、両方の電極の外周が、円形であり得る。更に別の実施形態では、両方の電極の外周が、四角形であり得る。更に別の実施形態では、内部電極302の外周が四角形であり、外部電極304の外周が円形であり得る。
【0028】
図3Bは、本発明の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置300の断面図を示す。図示される断面は、図3Aに示されるA−A’面の断面である。システムの光軸(OA)は、DPG112の中心を通るように示されている。図示されるように、内部電極及び外部電極(302及び304)は、半導体基板322上の酸化膜層324上に形成され得る。電圧レベルVinner及びVouterは、酸化膜層324を通り抜ける導電配線を介して、内部電極及び外部電極(302及び304)に印加され得る。加えて、DPG112と内部電極302との間には、絶縁境界(例えば、酸化膜の境界)305があり、内部電極と外部電極との(302と304との)間には、絶縁境界306があり得る。更に図3Bに示されるのは、DPG112上の遮蔽(シールド)電極308と、対物電子光学系110内の静電レンズの底部レンズ電極310である。遮蔽電圧レベルVshield、Vlensは、底部レンズ電極310に印加され得る。
【0029】
本発明の実施形態によれば、内部電圧レベル及び外部電圧レベル(それぞれ、Vinner及びVouter)は、電子光学系内の像面の反り及び収差を補正するように設定される。特に、Vinner及びVouterは、底部レンズ電極310、遮蔽電極308、及びDPG112の頂部電極211により形成されるレンズの場の分布を変更するように設定される。場の分布は、電子光学システム全体の収差を低減するように変更される。
【0030】
図4は、本発明の別の実施形態による、反射モードシステム用の収差補正装置400の平面図である。この実施形態では、1つの内部電極302及び1つの外部電極304の代わりに、1つの内部電極302と4つの外部電極(402、404、406及び408)がある。この事例では、4つの外部電極(402、404、406及び408)が、内部電極302の周りに、4つの四分円で配置される。この実施形態では、5つの個別に制御可能な電圧(Vinner、Vouter1、Vouter2、Vouter3及びVouter4)が、5つの電極(それぞれ、302、402、404、406及び408)に印加される。5つの電圧は、電子光学系内の像面の反りと高次の収差とを補正するように設定され得る。
【0031】
「透過モードシステム」
図5は、本発明の実施形態による透過モード電子ビームリソグラフィーシステム500の簡略化されたブロック図である。図示されるように、システム500は、電子源502、集光電子光学系504、消去(ブランカ)アレイ506、投影電子光学系508、及び、標的基板512を保持する基台510を含み得る。
【0032】
集光(コンデンサ)(又は照明(イルミネーション))電子光学部品504は、電子源502からの電子ビームを集束し、平行にするような、磁気レンズ及び/又は静電レンズの配置であり得る。加えて、集光電子光学系504により、消去アレイ506を照明する電流を設定することができる。
【0033】
消去アレイ506は、2次元画素アレイを含み得る。様々な大きさのアレイが、実装され得る。各々の画素は、個別に制御され、電子小ビームの透過又は電子小ビームの透過阻止(即ち、画素に対する小ビームの「消去」)のどちらかが可能になり得る。選択画素のみが小ビームを透過させるように設定することにより、パターン付けされた電子ビームが、消去アレイ506により透過し得る。
【0034】
投影電子光学系508は、標的基板512の表面上に電子ビームを投影し、非拡大する(縮小する)ような、磁気レンズ及び/又は静電レンズの配置であり得る。標的基板512は、基台510により保持され得る。実装に依存して、基台510は、リソグラフィー投影の間、静止していてもよく、動いてもよい。基台510が移動する事例では、消去アレイ506上のパターンは、投影されたパターンが標的基板の動きに対応して移動するように随時(ダイナミックに)調節され、動きを補償し得る。
【0035】
「透過モードシステム用の収差補正装置」
図6Aは、本発明の別の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の平面図である。より具体的には、平面図は、反射モードシステム500の消去アレイ506の瞳平面での収差補正装置600を示す。
【0036】
図示されるように、瞳面では、消去アレイ506が、内部電極602により取り囲まれ得る。内部電極602は、次に、外部電極604により取り囲まれ得る。第1電圧レベルVinnerが、内部電極602に印加され、第2電圧レベルVouterが、外部電極604に印加され得る。
【0037】
図6Aに示される実施形態では、瞳面内の内部電極602の外周は、円形であり、そのシステムの電子光軸を中心として配置され得る。更に図示されるように、瞳面内の外部電極604の外周は、四角形であり、そのシステムの電子光軸を中心として配置され得る。瞳面内の内部電極602及び外部電極604の他の形も、現時点で開示された本発明の範囲内にあると考えられる。例えば、別の実施形態では、両方の電極の外周が、円形であり得る。更に別の実施形態では、両方の電極の外周が、四角形であり得る。更に別の実施形態では、内部電極602の外周が四角形であり、外部電極604の外周が円形であり得る。
【0038】
図6Bは、本発明の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の断面図である。図示される断面は、図6Aに示されるA−A’面の断面である。システムの光軸(OA)は、消去アレイ506の中心を通り抜けるように示されている。図示されるように、消去アレイ506と内部電極602との間には、絶縁境界(例えば、酸化膜の境界)605があり、内部電極と外部電極との(602と604との)間には、絶縁境界606があり得る。加えて、電圧レベルVinner及びVouterは、それぞれ、内部電極及び外部電極(602及び604)に印加され得る。
【0039】
図7は、本発明の別の実施形態による、透過モードシステム用の収差補正装置の平面図である。この実施形態では、1つの内部電極602及び1つの外部電極604の代わりに、1つの内部電極602と4つの外部電極(702、704、706及び708)がある。この事例では、4つの外部電極(702、704、706及び708)が、内部電極602の周りに、4つの四分円で配置されている。この実施形態では、5つの個別に制御可能な電圧(Vinner、Vouter1、Vouter2、Vouter3及びVouter4)が、5つの電極(それぞれ、602、702、704、706及び708)に印加される。5つの電圧は、電子光学系内の像面の反りと高次の収差とを補正するように設定され得る。
【0040】
別の実施形態では、収差補正システムは、一般に、電子ビーム検査に利用されるシステムを含む、電子ビーム基盤型システムに利用され得る。そのような装置では、内部電極は、(上記のリソグラフィーシステム内の、それぞれ、消去アレイ506又はDPG112の代わりに)電子ビームが通過する開口部、又は、電子ビームを反射する鏡電極型反射装置のどちらかを取り囲み得る。その装置を操作して、電子ビーム基盤型システム内の収差を低減し得る。図8には、そのような装置800の実施例が示され、円形開口部又は反射装置805が、内部電極内802に示され、4つの外部電極812、814、816、及び818が、内部電極802の周りに示される。図示される平面は、内部電極が開口部を取り囲む場合、瞳面になり、内部電極が反射装置を取り囲む場合、像平面になり得る。
【0041】
上記の図は、必ずしも縮尺を合わせておらず、説明のためのものであり、特定の実施形態に限定することを意図していない。上の記述では、本発明の実施形態を完全に理解するために、数値についての特定の詳細事項が与えられている。しかしながら、本発明の説明の実施形態の上の記述は、他を排除することを、又は、本発明を開示された正確な形態に限定することを意図していない。当業者は、本発明が、1つ以上の特定の詳細事項を用いずに、又は、他の方法、部品等を用いて実施され得ると認識することになる。他の事例では、本発明の態様が曖昧になるのを回避するために、周知の構造又は動作が詳細に示されていない、又は、記述されていない。本発明の特定の実施形態及び実施例は、本明細書に説明目的のために記載されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で、様々に、均等に変更することができる。
【0042】
これらの変更は、上の詳細な記述に照らして、本発明に対して行うことができる。以下の請求項で用いられる用語は、明細書及び請求項で開示された特定の実施形態に本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の請求項により定められるべきであり、それらの請求項は、請求項の解釈で設けられる教示内容に従って解釈されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する装置であって、
前記装置が、
パターン生成装置を取り囲み、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極と、
前記内部電極の周りの、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極と、
内部電圧レベルを前記内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを前記少なくとも1つの外部電極に印加するように構成された回路と
を含む、装置。
【請求項2】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルの各々が、個別に制御される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、前記電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反りを補正するように設定される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記内部電極が、光軸を中心として配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記内部電極が、円形外周を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの外部電極が、光軸を中心として配置されている単一の外部電極である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの外部電極が、複数の外部電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの外部電極が、前記内部電極の周りに四分円で配置される4つの電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反りと高次の収差とを補正するように設定される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、反射モードで動作し、前記パターン生成装置が、前記装置の像平面内に随時動作型パターン発生器を含み、前記内部電極及び前記少なくとも1つの外部電極の前記平坦な表面が、前記像平面内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、透過モードで動作し、前記パターン生成装置が、前記装置の瞳面内に消去アレイを含み、前記内部電極及び前記少なくとも1つの外部電極の前記平坦な表面が、前記瞳面内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
電子を生成するように構成された電子源と、
前記電子を電子ビームに集束するように構成された照明電子光学系と、
前記電子ビームを受け入れ、パターン付けされた電子ビームを生成するように構成されたパターン生成装置と、
前記パターン付け電子ビームを受け入れ、減速されたパターン付け電子ビームを生成するように構成された投影電子光学系と、
前記減速されたパターン付け電子ビームがその上部に投影される、標的基板と、
前記パターン生成装置を取り囲み、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極と、
前記内部電極の周りの、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極と、
内部電圧レベルを前記内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを前記少なくとも1つの外部電極に印加するように構成された回路と
を含む、電子ビームリソグラフィーシステム。
【請求項13】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、像面の反りを補正するように設定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの外部電極が、前記内部電極の周りに、四分円で配置される4つの電極を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、反射モードで動作するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記パターン生成装置が、前記装置の像平面内に随時動作型パターン発生器を含み、前記内部電極及び前記少なくとも1つの外部電極の前記平坦な表面が、前記像平面内にある、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、透過モードで動作するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記パターン生成装置が、前記装置の瞳面内に消去アレイを含み、前記内部電極及び前記少なくとも1つの外部電極の前記平坦な表面が、前記瞳面内にある、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する方法であって、
前記方法が、
パターン生成装置を取り囲み、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極に印加される内部電圧レベルを調節することと、
前記内部電極の周りの、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極に印加される少なくとも1つの外部電圧レベルを調節することと
を含む、方法。
【請求項20】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、前記電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反りを補正するように選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの外部電極が、前記内部電極の周りを四分するように配置される4つの電極を含み、内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、前記システム内の像面の反りと高次の収差とを補正するように選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
電子ビーム基盤型システム内で収差を補正する装置であって、
前記装置が、
開口部又は反射装置を取り囲み、前記開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極と、
前記内部電極の周りの、前記開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極と、
内部電圧レベルを前記内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを前記少なくとも1つの外部電極に印加するように構成された回路と
を含む、装置。
【請求項23】
電子ビーム基盤型システム内の収差を補正する方法であって、
前記方法が、
開口部又は反射装置を取り囲み、前記開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極に印加される内部電圧レベルを調節することと、
前記内部電極の周りの、前記開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極に印加される少なくとも1つの外部電圧レベルを調節することと
を含む、方法。
【請求項1】
電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する装置であって、
前記装置が、
パターン生成装置を取り囲み、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極と、
前記内部電極の周りの、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極と、
内部電圧レベルを前記内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを前記少なくとも1つの外部電極に印加するように構成された回路と
を含む、装置。
【請求項2】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルの各々が、個別に制御される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、前記電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反りを補正するように設定される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記内部電極が、光軸を中心として配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記内部電極が、円形外周を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの外部電極が、光軸を中心として配置されている単一の外部電極である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの外部電極が、複数の外部電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの外部電極が、前記内部電極の周りに四分円で配置される4つの電極を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反りと高次の収差とを補正するように設定される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が、反射モードで動作し、前記パターン生成装置が、前記装置の像平面内に随時動作型パターン発生器を含み、前記内部電極及び前記少なくとも1つの外部電極の前記平坦な表面が、前記像平面内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、透過モードで動作し、前記パターン生成装置が、前記装置の瞳面内に消去アレイを含み、前記内部電極及び前記少なくとも1つの外部電極の前記平坦な表面が、前記瞳面内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
電子を生成するように構成された電子源と、
前記電子を電子ビームに集束するように構成された照明電子光学系と、
前記電子ビームを受け入れ、パターン付けされた電子ビームを生成するように構成されたパターン生成装置と、
前記パターン付け電子ビームを受け入れ、減速されたパターン付け電子ビームを生成するように構成された投影電子光学系と、
前記減速されたパターン付け電子ビームがその上部に投影される、標的基板と、
前記パターン生成装置を取り囲み、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極と、
前記内部電極の周りの、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極と、
内部電圧レベルを前記内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを前記少なくとも1つの外部電極に印加するように構成された回路と
を含む、電子ビームリソグラフィーシステム。
【請求項13】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、像面の反りを補正するように設定される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの外部電極が、前記内部電極の周りに、四分円で配置される4つの電極を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、反射モードで動作するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記パターン生成装置が、前記装置の像平面内に随時動作型パターン発生器を含み、前記内部電極及び前記少なくとも1つの外部電極の前記平坦な表面が、前記像平面内にある、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、透過モードで動作するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記パターン生成装置が、前記装置の瞳面内に消去アレイを含み、前記内部電極及び前記少なくとも1つの外部電極の前記平坦な表面が、前記瞳面内にある、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
電子ビームリソグラフィーシステム内の収差を補正する方法であって、
前記方法が、
パターン生成装置を取り囲み、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極に印加される内部電圧レベルを調節することと、
前記内部電極の周りの、前記パターン生成装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極に印加される少なくとも1つの外部電圧レベルを調節することと
を含む、方法。
【請求項20】
前記内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、前記電子ビームリソグラフィーシステム内の像面の反りを補正するように選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの外部電極が、前記内部電極の周りを四分するように配置される4つの電極を含み、内部電圧レベル及び前記少なくとも1つの外部電圧レベルが、前記システム内の像面の反りと高次の収差とを補正するように選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
電子ビーム基盤型システム内で収差を補正する装置であって、
前記装置が、
開口部又は反射装置を取り囲み、前記開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極と、
前記内部電極の周りの、前記開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極と、
内部電圧レベルを前記内部電極に印加し、少なくとも1つの外部電圧レベルを前記少なくとも1つの外部電極に印加するように構成された回路と
を含む、装置。
【請求項23】
電子ビーム基盤型システム内の収差を補正する方法であって、
前記方法が、
開口部又は反射装置を取り囲み、前記開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する、内部電極に印加される内部電圧レベルを調節することと、
前記内部電極の周りの、前記開口部又は反射装置の平面内に平坦な表面を有する、少なくとも1つの外部電極に印加される少なくとも1つの外部電圧レベルを調節することと
を含む、方法。
【図1】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図2】
【図7】
【図8】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図2】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−98567(P2013−98567A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−239802(P2012−239802)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−239802(P2012−239802)
【出願日】平成24年10月31日(2012.10.31)
【出願人】(500049141)ケーエルエー−テンカー コーポレイション (126)
【Fターム(参考)】
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