説明

電子モジュール

【課題】基板の厚み内部に部品が存在するため、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限されている内層配線層があることを前提として、この内層配線層を除いた各配線層が、回路形成の上で十分に活かせるように配置されている電子モジュールを提供する。
【解決手段】部品が実装された内層配線層22、23、24、25、26を含めて内層配線層から、表面実装部品を有する側の外層配線層21、27を含めてこの外層配線層までの間に存在する、非完全な内層配線層を除いた配線層の数が、部品が実装された内層配線層を含めず内層配線層から、外部接続端子部を有する側の外層配線層を含めてこの外層配線層までの間に存在する、非完全な内層配線層を除いた配線層の数より多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線パターンを有する基板を介して電子部品が搭載された電子モジュールに係り、特に、基板の厚み内部にも部品が実装、埋設されている電子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
配線パターンを有する基板を介して電子部品が搭載された電子モジュールは、一般に、次のようなものが代表的な形態である。すなわち、一方の面が他の大型の基板(マザーボードなど)に実装するための、BGA(ball grid array)やLGA(land grid array)の実装面になっていて、他方の面上に半導体部品等の電子部品が実装、搭載されている。電子モジュールの基板には、多層配線技術が用いられることも多く、これにより、多数の電気的ノードが必要になる電気的に複雑な電子モジュールでもこれを小面積で構成できる。
【0003】
近年は、さらに、電子モジュールの基板の厚み内部にも部品を実装、埋設することにより、一層小面積化を進め、かつ、電気的に一層複雑な回路にも対応した電子モジュールも製造されるようになってきている。しかしながら、このように基板の厚み内部にも部品が実装されている電子モジュールでは、必要な配線を形成しこれを多層配線の各配線層に割り振ることを考えたとき、内部に実装した部品が消費している空間は自由な割り振りを阻害する要因になっている。
【0004】
したがって、多層配線板を用い、板厚み内部にも部品が実装、埋設されている電子モジュールでは、必要な配線を形成する上で、内部に実装した部品が消費している空間からの影響を受けない配線層をいかに設け用意するかは、影響を受ける配線層の場合のそれより重要度が非常に高い。そこで、その重要度の高い配線層が、回路形成の上で十分に活かせるように構成されている構造が好ましいことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−197849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、基板の厚み内部にも部品が実装、埋設されている電子モジュールにおいて、基板の厚み内部に部品が存在するため、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限されている内層配線層があることを前提として、この内層配線層を除いた各配線層が、回路形成の上で十分に活かせるように構成されている構造の電子モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である電子モジュールは、上面と該上面に対向する下面とを有する板状絶縁層と、前記板状絶縁層の前記下面上に設けられた、外部接続端子部を有する第1の外層配線層と、前記板状絶縁層の前記上面上に設けられた第2の外層配線層と、前記板状絶縁層の厚み内部に設けられた複数の内層配線層と、前記複数の内層配線層のうちのひとつの内層配線層に対して電気的に実装されて前記板状絶縁層中に埋設された第1の部品と、前記第2の外層配線層に対して電気的に実装されて前記板状絶縁層上に設けられた第2の部品と、を具備し、前記ひとつの内層配線層を除く前記複数の内層配線層の中に、前記板状絶縁層中に前記第1の部品が存在するため、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限されている非完全な内層配線層があり、前記第1の部品が実装された前記内層配線層を含めて該内層配線層から、前記第2の外層配線層を含めて該第2の外層配線層までの間に存在する、前記非完全な内層配線層を除いた配線層の数が、前記第1の部品が実装された前記内層配線層を含めず該内層配線層から、前記第1の外層配線層を含めて該第1の外層配線層までの間に存在する、前記非完全な内層配線層を除いた配線層の数より多いことを特徴とする。
【0008】
この電子モジュールは、内部に埋設された部品に起因して、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限されている内層配線層(非完全な内層配線層)が存在することを前提として、その非完全な内層配線層を除いた配線層の層方向の配置位置およびその数に特徴がある。すなわち、埋設の部品が実装された内層配線層を含めてこの内層配線層から、外側の実装部品を有する外層配線層を含めてこの外層配線層までの間に存在する、非完全な内層配線層を除いた配線層の数が、埋設の部品が実装された内層配線層を含めずこの内層配線層から、外部接続端子部を有する外層配線層を含めてこの外層配線層までの間に存在する、非完全な内層配線層を除いた配線層の数より多くなるように構成されている。
【0009】
ここで、埋設の部品が実装された内層配線層を含めてこの内層配線層から、外側の実装部品を有する外層配線層を含めてこの外層配線層までの間に存在する、非完全な内層配線層を除いた配線層は、埋設の部品の干渉を受けずに十分な配線形成ができる、埋設の部品と外側の実装部品との間の配線層である。この配線層は、埋設の部品が実装された配線層と外側の実装部品が実装された配線層との間の配線層であるから、電気的に多くの配線パターンを要すると考えられる。
【0010】
一方、埋設の部品が実装された内層配線層を含めずこの内層配線層から、外部接続端子部を有する外層配線層を含めてこの外層配線層までの間に存在する、非完全な内層配線層を除いた配線層は、埋設の部品の干渉を受けずに配線形成ができる、埋設の部品と外部接続端子部との間の配線層である。この配線層は、埋設の部品が実装された配線層と外部接続端子部が含まれる配線層との間の配線層であるから、外部接続端子に接続するための電気的には単純な配線パターンを用意できればよいと考えられる。
【0011】
したがって、前者の配線層の数が後者の配線層の数より多いという構成よれば、必要な配線パターンが適宜用意できるという意味で、理に適った構成になる。よって、内部に実装した部品が消費している空間の影響を受けない配線層が、回路形成の上で十分に活かせるように構成されていることになる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板の厚み内部にも部品が実装、埋設されている電子モジュールにおいて、基板の厚み内部に部品が存在するため、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限されている内層配線層があることを前提として、この内層配線層を除いた各配線層が、回路形成の上で十分に活かせるように構成されている構造の電子モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態である電子モジュールの構成を模式的に示す断面図。
【図2】別の実施形態である電子モジュールの構成を模式的に示す断面図。
【図3】さらに別の実施形態である電子モジュールの構成を模式的に示す断面図。
【図4】さらに別の(第4の)実施形態である電子モジュールの構成を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施態様として、前記第1の部品と前記第2の部品とのうちの少なくとも一方が、IC部品である、とすることができる。いずれの部品も、それがIC部品である場合は、その端子数が受動素子部品より相当に多く、基板が用意すべき配線パターンの数が非常に増加する。したがって、このような場合は、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限されている内層配線層を除いた各配線層の配置およびその数を上記のように設定することの意味が一層大きくなる。
【0015】
また、実施態様として、前記第1の部品が、前記ひとつの内層配線層より前記第1の外層配線層の側に位置して前記板状絶縁層中に埋設されている、とすることができる。このような場合、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限されている内層配線層は、上記ひとつの内層配線層よりも、上記第1の外層配線層の側に位置することになる。つまりは、埋設の部品が実装された配線層と外側の実装部品が実装された配線層との間には、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限されている内層配線層がなく、その分だけそれらの間を物理的に近くすることができる。よって、短い配線で電気的特性の向上した電子モジュールとすることができる。
【0016】
以上を踏まえ、以下では本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態である電子モジュールの構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、この電子モジュールは、絶縁層(板状絶縁層)11〜16、配線層(配線パターン)21〜27、層間接続体31〜36、表面実装型受動素子部品41、IC部品42、アンダーフィル樹脂42U、表面実装型受動素子部品43〜45、接続部材(はんだ)51、53〜55、スタッドバンプ52、はんだレジスト61、62を有する。
【0017】
概略として、この電子モジュールは、部品を内蔵(埋設)可能な多層配線板を用いて、その一方の面(図で下面)上に外部接続端子部を設け、他方の面(図で上面)に内蔵部品とは別にさらに部品を表面実装、搭載したものである。外部接続端子部のある面は他の大型の基板(マザーボードなど)への実装面であり、図示するようなLGAの端子を設ける以外に、ランド上にはんだボールを設けたBGAの端子とすることもできる。
【0018】
配線層21、27は、それぞれ、主面上の配線層であり、上記のように、配線層21は、外部接続端子を設けるための配線層であり、配線層27は、その上に部品43〜45を実装するための配線層である。この実装ではんだ53〜55が載る配線層27のランド部分を除いてその主面上は、はんだ接続時に溶融したはんだ53〜55をランド部分に留めかつその後は保護層として機能するはんだレジスト62で被覆されている。配線層21が設けられた面上についても、非導電性の被覆の必要ない外部接続端子のための領域を除いてはんだレジスト61が形成されている。はんだレジスト62、61で被覆されない配線層27、21の表層には、耐腐食性の高いNi/Auのめっき層(不図示)を形成するようにしてもよい。
【0019】
各配線層21〜27は、それぞれ金属(銅)箔を所定のパターンに加工したものであり、絶縁層11〜16の板広がり方向に一致した層として形成されている。絶縁層11〜16は、配線層21〜27をそれぞれ電気的に隔てるように設けられた例えばエポキシ樹脂からなるリジッドな素材の層である。このうち絶縁層12〜14は、埋設された部品41、42に相当する位置部分が開口部になっており、これらの部品41、42を収容するための空間を提供する。絶縁層11、15は、埋設された部品41、42のための絶縁層12〜14の上記開口部の空間を埋めるように変形進入し、内部に空隙となる空間を生じさせないようにしている。
【0020】
各配線層については、まず配線層21と配線層22とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層11を貫通する層間接続体31により導通し得る。同様に、配線層22と配線層23とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層12を貫通して設けられた層間接続体32により導通し得る。配線層23と配線層24とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層13を貫通する層間接続体33により導通し得る。
【0021】
さらに同様に、配線層24と配線層25とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層14を貫通する層間接続体34により導通し得る。配線層25と配線層26とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層15を貫通する層間接続体35により導通し得る。配線層26と配線層27とは、それらのパターンの面の間に挟設されかつ絶縁層16を貫通する層間接続体36により導通し得る。
【0022】
絶縁層12〜14には、上記のように部品41、42を収容するための開口部が設けられているため、配線層についてもその一部のものは、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限される。すなわち、図示するように、配線層22〜25の4層は、部品41、42が占めている空間に影響された非完全な内層配線層になる。一方、残りの配線層21、26、27についてはこのような制限はなく、板広がりの方向への自由なパターン形成が可能である。配線層22〜25が受けるパターン形成の制限は、埋設の部品41、42を高密度に配置するほどに設計上顕著な制限になる。
【0023】
層間接続体31〜36は、それぞれ、導電性組成物のスクリーン印刷により形成される導電性バンプを由来とする柱状構造を有し、その製造工程に依拠して軸方向(図1の図示で上下の積層方向、貫通方向)に径の変化がある。これらの層間接続体31〜36は、小さな領域に高密度に設けることができ、基板設計のファイン化に資することができる。
【0024】
内蔵されている表面実装型受動素子部品41は、例えばチップ型キャパシタであり、その平面的な大きさは例えば0.6mm×0.3mm(0603型部品)である。両端に端子(電極)を有し、その上側の面が内層の配線層26が含む内蔵部品実装用ランド(配線パターン)に対向位置した姿勢で内蔵されている。部品41の端子と配線パターン26とは、はんだ51により電気的、機械的に接続されている。
【0025】
また、内蔵されているIC部品42は、例えば金(Au)のスタッドバンプ52を伴ったベアの半導体チップであり、内層の配線層26が含む接続パッド(配線パターン)に対向位置してスタッドバンプ52を介し配線層26にフリップ実装されている。このフリップ実装の信頼性向上のためIC部品42と絶縁層16との間にはアンダーフィル樹脂42Uが満たされている。
【0026】
外付けの表面実装型受動素子部品43〜45は、例えば、チップ型キャパシタ、チップ型抵抗、チップ型インダクタなどであり、周知の表面実装技術により、外層の配線層27が含む部品実装用ランド(配線パターン)にはんだ53〜55で実装されたものである。
【0027】
この電子モジュールは、埋設の部品41、42が実装された内層配線層26を含めてこの内層配線層26から、外側に実装の部品43〜45を有する外層配線層27を含めてこの外層配線層27までの間に、配線層26、27の2層を備える。これらの配線層26、27は、いずれも、埋設された部品41、42の空間領域の影響を受けずに形成され得る配線層である。
【0028】
一方、埋設の部品41、42が実装された内層配線層26を含めずこの内層配線層26から、外部接続端子部を有する外層配線層21を含めてこの外層配線層21までの間には、配線層21〜25の5層あるが、このうち、埋設された部品41、42の空間領域の影響を受けずに形成され得る配線層は、配線層21のみである。配線層22〜25の4層は、部品41、42が占めている空間領域に影響された非完全な内層配線層である。
【0029】
このように、前者の配線層の数(配線層26、27の2層)が後者の配線層の数(配線層21のみの1層)より多いという構成よれば、必要な配線パターンが適宜用意できるという意味で、電子モジュールとして理に適った構成になる。すなわち、前者の配線層は、埋設の部品41、42が実装された配線層26と外側の部品43〜45が実装された配線層27との間に要する配線層であるから、電気的に多くの配線パターンが必要と考えられる。一方、後者の配線層は、埋設の部品41、42が実装された配線層26と外部接続端子部が含まれる配線層21との間の配線層であるから、外部接続端子に接続するための電気的には単純な配線パターンを用意できればよいと考えられるためである。
【0030】
後者の配線層の数として、埋設された部品41、42が占めている空間に影響された非完全な内層配線層の数を控除しているのは、すでに説明したように、それらの配線層22〜25が受けるパターン形成の制限が、埋設の部品41、42を高密度に配置するほどに設計上顕著になるからである。これらの配線層22〜25は、もともと自由な導電路形成には活かせないが、電子モジュールとして一層の小面積化を進めると、埋設の部品41、42の配置密度は必然的に相当に高くなりその傾向が強まる。
【0031】
以上の説明から分かるように、この電子モジュールでは、内部に実装した部品41、42が占めている空間に影響された非完全な内層配線層22〜25を除く各配線層21、26、27が、回路形成の上で十分に活かせるように配置されている。この結果、全体として配線層数をより少なくして電子モジュールとしての薄型化にも寄与できる。
【0032】
なお、上記のように構成することは、埋設の部品42がIC部品であることで一層有利にはたらく。これは、一般にIC部品では、その端子数が受動素子部品より相当に多く、基板が用意すべき配線パターンの数が非常に増加するためである。すなわち、このような場合、埋設の部品41、42と外側に実装の部品43〜45との間での自由な導電路形成の可能性を一層充実すべきだからである。
【0033】
次に、図2は、別の実施形態である電子モジュールの構成を模式的に示す断面図である。同図において、図1中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部分については、加えるべき事項がない限り説明を省略する。
【0034】
図2に示すように、この電子モジュールは、絶縁層(板状絶縁層)11〜16、配線層(配線パターン)21〜27、層間接続体31A〜36A、IC部品42A、表面実装型受動素子部品43、44A、接続部材(はんだ)52A、53、54A、はんだレジスト61、62を有する。
【0035】
この電子モジュールは、層間接続体として、導電性組成物を印刷することで形成した導電性バンプである図1中の層間接続体31〜36に代えて、別の工程により得られる層間接続体31A〜36Aを用いている。層間接続体31A〜36Aは、各絶縁層11〜16のそれぞれに開けた貫通孔に導電性組成物を充填することで形成できる。このような層間接続体31A〜36Aによる縦方向導電体の構成は、多層配線板を形成する場合のひとつの周知例である。
【0036】
また、埋設のIC部品として、はんだで実装ができるように表面実装用のグリッド配置の端子を備えた、例えば、チップスケールパッケージ化されたIC部品42Aを用いている。このようなIC部品42Aによれば、はんだ52Aにより内層の配線層26に表面実装技術で実装でき、低コスト化が可能である。
【0037】
なお、外側に実装の表面実装型受動素子部品44Aは、同43とはサイズの異なるチップ型の受動素子部品である。この部品44Aは、同43と同様に、周知の表面実装技術により、外層の配線層27が含む部品実装用ランド(配線パターン)にはんだ54Aで実装されている。
【0038】
この電子モジュールも、埋設の部品42Aが実装された内層配線層26を含めてこの内層配線層26から、外側に実装の部品43、44Aを有する外層配線層27を含めてこの外層配線層27までの間に、配線層26、27の2層を備える。これらの配線層26、27は、いずれも、埋設された部品42Aの空間領域の影響を受けずに形成され得る配線層である。
【0039】
一方、埋設の部品42Aが実装された内層配線層26を含めずこの内層配線層26から、外部接続端子部を有する外層配線層21を含めてこの外層配線層21までの間には、配線層21〜25の5層あるが、このうち、埋設された部品42Aの空間領域の影響を受けずに形成され得る配線層は、配線層21のみである。配線層22〜25の4層は、部品42Aが消費している空間領域に影響された非完全な内層配線層である。
【0040】
以上のように配線層が配置されることによる利点は、図1を参照した説明でのものと同様である。すなわち、この電子モジュールも、内部に実装した部品41Aが占めている空間に影響された非完全な内層配線層22〜25を除く各配線層21、26、27が、回路形成の上で十分に活かせるように配置されていると言える。
【0041】
次に、図3は、さらに別の実施形態である電子モジュールの構成を模式的に示す断面図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部分については、加えるべき事項がない限り説明を省略する。
【0042】
図3に示すように、この電子モジュールは、絶縁層(板状絶縁層)11〜17、配線層(配線パターン)21〜28、層間接続体31〜37、表面実装型受動素子部品41、IC部品42A、表面実装型受動素子部品43、45A、IC部品46、接続部材(はんだ)51、52A、53、55A、56、はんだレジスト61、62を有する。
【0043】
この電子モジュールは、図1に示したものと比較して配線層の数がひとつ増加している(配線層28)。そのため、絶縁層の数もひとつ増加している(絶縁層17)。またこの絶縁層17を貫通する層間接続体37が新たに設けられている。層間接続体37が配線層27、同28のパターンの面の間に挟設されることで、配線層27と配線層28とは導通し得る。
【0044】
また、外側に実装のIC部品として、はんだで実装ができるように表面実装用のグリッド配置の端子を備えた、例えば、チップスケールパッケージ化されたIC部品46を備えている。IC部品46は、はんだ56により外層の配線層28が含む部品実装用ランド(配線パターン)に実装されている。また、外側に実装の表面実装型受動素子部品45Aは、同43とはサイズの異なるチップ型の受動素子部品である。部品45Aは、外層の配線層27が含む部品実装用ランド(配線パターン)にはんだ55Aで実装されている。
【0045】
この電子モジュールでは、埋設の部品41、42Aが実装された内層配線層26を含めてこの内層配線層26から、外側に実装の部品43、45A、46を有する外層配線層28を含めてこの外層配線層28までの間に、配線層26、27、28の3層を備える。これらの配線層26、27、28は、いずれも、埋設された部品41、42Aの空間領域の影響を受けずに形成され得る配線層である。
【0046】
一方、埋設の部品41、42Aが実装された内層配線層26を含めずこの内層配線層26から、外部接続端子部を有する外層配線層21を含めてこの外層配線層21までの間には、配線層21〜25の5層あるが、このうち、埋設された部品41、42Aの空間領域の影響を受けずに形成され得る配線層は、配線層21のみである。配線層22〜25の4層は、部品41、42Aが消費している空間領域に影響された非完全な内層配線層である。
【0047】
以上のように配線層が配置されることによる利点は、図1を参照した説明でのものと同様である。この電子モジュールでは、埋設の部品にIC部品42Aを有し、外側に実装の部品にもIC部品46を有することから、埋設の部品41、42Aと外側に実装の部品43、45A、46との間で必要な配線パターンの数はより増大すると考えられる。よってこれらの間の自由な導電路形成の可能性を一層充実させるのが好ましい。その結果として、前者の配線層の数をより増加させたものと言える。
【0048】
次に、図4は、さらに別の実施形態である電子モジュールの構成を模式的に示す断面図である。同図において、すでに説明した図中に示した構成要素と同一または同一相当のものには同一符号を付してある。その部分については、加えるべき事項がない限り説明を省略する。
【0049】
図4に示すように、この電子モジュールは、絶縁層(板状絶縁層)10〜17、配線層(配線パターン)20〜28、層間接続体30〜37、表面実装型受動素子部品41、IC部品42A、表面実装型受動素子部品43、45A、IC部品46、接続部材(はんだ)51、52A、53、55A、56、はんだレジスト61、62を有する。
【0050】
この電子モジュールは、図3に示したものと比較して配線層の数がまたひとつ増加している(配線層20)。そのため、絶縁層の数もひとつ増加している(絶縁層10)。またこの絶縁層10を貫通する層間接続体30が新たに設けられている。層間接続体30が配線層20、同21のパターンの面の間に挟設されることで、配線層20と配線層21とは導通し得る。
【0051】
この電子モジュールでは、埋設の部品41、42Aが実装された内層配線層26を含めてこの内層配線層26から、外側に実装の部品43、45A、46を有する外層配線層28を含めてこの外層配線層28までの間に、配線層26、27、28の3層を備える。これらの配線層26、27、28は、いずれも、埋設された部品41、42Aの空間領域の影響を受けずに形成され得る配線層である。この点は図3に示した電子モジュールと同じである。
【0052】
一方、埋設の部品41、42Aが実装された内層配線層26を含めずこの内層配線層26から、外部接続端子部を有する外層配線層20を含めてこの外層配線層20までの間には、配線層20〜25の6層あり、このうち、埋設された部品41、42Aの空間領域の影響を受けずに形成され得る配線層は、配線層21、20の2層である。配線層22〜25の4層は、部品41、42Aが消費している空間領域に影響された非完全な内層配線層である。
【0053】
以上のように配線層が配置されることによる利点は、考え方として、図1を参照した説明でのものと同様である。この電子モジュールは、必要な外部接続端子の数がより多くなる場合の対応として、後者の配線層の数を増加させたものと言える。ただし、やはり、埋設の部品にIC部品42Aを有し、外側に実装の部品にもIC部品46を有することから、埋設の部品41、42Aと外側に実装の部品43、45A、46との間で必要な配線パターンの数がより増大する点は変わらない。よってこれらの間の自由な導電路形成の可能性を一層充実させるため、前者の配線層の数の方が後者の配線層の数より多い。
【0054】
なお、変形例として、前者の配線層(部品41、42Aが実装された内層配線層と、外側の部品43、45A、46が実装された配線層との間のそれらを含む配線層であって、埋設された部品41、42Aの空間領域の影響を受けずに形成され得る配線層)の数を維持した上で、埋設の部品41、42Aを配線層26の図示上側に実装して埋設した構成も考えられる。
【0055】
この構成の場合、配線層22〜25は省略して設けないようにすることにできるが、代わりに、配線層22〜25のような、埋設された部品41、42Aの空間領域に影響された非完全な内層配線層が、部品41、42Aが実装された内層配線層26と、外側の部品43、45A、46が実装された配線層28(厳密にはその下層の内層配線層27)との間に新たに配置された構成になる。よって、埋設の部品41、42Aと外付けの部品43、45A、46とを接続する導電路の長さはその分長くなる。したがって、短い配線で電気的特性を向上するという意味では一歩譲った構成になる。
【符号の説明】
【0056】
10,11,12,13,14,15,16,17…絶縁層(板状絶縁層)、20,21,22,23,24,25,26,27,28…配線層(配線パターン)、30,31,32,33,34,35,36,37…層間接続体(導電性組成物印刷による導電性バンプ)、31A,32A,33A,34A,35A,36A…層間接続体(導電性組成物充填)、41…表面実装型受動素子部品(埋設)、42…IC部品(埋設;フリップ実装)、42A…IC部品(埋設;表面実装)、42U…アンダーフィル樹脂、43,44,44A,45,45A…表面実装型受動素子部品(外付け)、46…IC部品(外付け;表面実装)、51,52A,53,54,54A,55,55A,56…接続部材(はんだ)、52…スタッドバンプ、61,62…はんだレジスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と該上面に対向する下面とを有する板状絶縁層と、
前記板状絶縁層の前記下面上に設けられた、外部接続端子部を有する第1の外層配線層と、
前記板状絶縁層の前記上面上に設けられた第2の外層配線層と、
前記板状絶縁層の厚み内部に設けられた複数の内層配線層と、
前記複数の内層配線層のうちのひとつの内層配線層に対して電気的に実装されて前記板状絶縁層中に埋設された第1の部品と、
前記第2の外層配線層に対して電気的に実装されて前記板状絶縁層上に設けられた第2の部品と、を具備し、
前記ひとつの内層配線層を除く前記複数の内層配線層の中に、前記板状絶縁層中に前記第1の部品が存在するため、板広がりの方向への自由なパターン形成が制限されている非完全な内層配線層があり、
前記第1の部品が実装された前記内層配線層を含めて該内層配線層から、前記第2の外層配線層を含めて該第2の外層配線層までの間に存在する、前記非完全な内層配線層を除いた配線層の数が、前記第1の部品が実装された前記内層配線層を含めず該内層配線層から、前記第1の外層配線層を含めて該第1の外層配線層までの間に存在する、前記非完全な内層配線層を除いた配線層の数より多いこと
を特徴とする電子モジュール。
【請求項2】
前記第1の部品と前記第2の部品とのうちの少なくとも一方が、IC部品であることを特徴とする請求項1記載の電子モジュール。
【請求項3】
前記第1の部品が、前記ひとつの内層配線層より前記第1の外層配線層の側に位置して前記板状絶縁層中に埋設されていることを特徴とする請求項1記載の電子モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−8821(P2013−8821A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140276(P2011−140276)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】