説明

電子内視鏡および電子内視鏡システム

【課題】 簡易な操作で内視鏡先端位置の検出を可能にし、さらには、内視鏡の細径化を図りつつも検出信号に混入するノイズを低減し、正確な内視鏡先端位置を検出することができる電子内視鏡および電子内視鏡システムを提供すること。
【解決手段】 電子内視鏡は、体腔内を撮像し該体腔内の画像に関する画像信号を生成する撮像素子と、外部に配置された磁場発生手段より発生する、複数の方向の各磁場を検出することにより、磁場発生手段との相対距離に関する検出信号を生成する検出センサと、を可撓管先端に備える構成にした。また、該電子内視鏡は、画像信号および検出信号が、共通の信号線により伝送され、かつそれぞれ一方が伝送されない期間にのみ伝送される構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡、特に医療用内視鏡における可撓管の管腔内挿入時における形状を検出する電子内視鏡および電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野において、体腔内に挿入された医療用挿入具の形状を検出するシステムが様々提案されている。該提案としては、例えば、下記の特許文献1に開示される。
【0003】
【特許文献1】特開2001−145630号公報
【0004】
特許文献1には、磁場を発生する磁場発生部と、該磁場発生部により発生した磁場をコイル等により検出する磁気センサを先端に備えるプローブとを有する内視鏡における先端位置検出システムが開示されている。特許文献1に記載のシステムは、該プローブを内視鏡の鉗子チャンネル内に挿通した状態で、磁場発生部により磁場を発生させる。そして、該磁場を磁気センサによって検出することにより、該検出信号に基づいて内視鏡の体腔内における先端位置を検知することができる。
【0005】
上記のように、特許文献1に記載のシステムによれば、内視鏡先端位置を検知する場合、術者は、まず上記プローブを鉗子チャンネル内に挿通する。そして、該プローブ先端にある磁気センサを該内視鏡先端位置で正確に保持した状態で磁場を発生する必要がある。そのため、術者は、内視鏡観察、処置において操作が煩雑となり、作業負担が増大するおそれがあった。
【0006】
また、内視鏡の先端部位は、被検者にかかる負担を軽減するために、少しでも径を細くしたいという要望がある。該要望に応えるべく、内視鏡の細径化を図ると、撮像素子を駆動するための駆動信号の信号線や、該撮像素子により生成される画像信号の信号線と、磁気センサ付きプローブ(より具体的には検出信号の信号線)は必然的に近接することになる。一般に、上記磁気センサから生じる検出信号は、駆動信号や画像信号よりも微弱である。そのため細径化を図ると、画像信号が検出信号にノイズとして影響を与えるおそれがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、以上の事情に鑑み、簡易な操作で内視鏡先端位置の検出を可能にし、さらには、内視鏡の細径化を図りつつも検出信号に混入するノイズを低減し、正確な内視鏡先端位置を検出することができる電子内視鏡および該電子内視鏡を有する電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の電子内視鏡は、体腔内を撮像し該体腔内の画像に関する画像信号を生成する撮像素子と、外部に配置された磁場発生手段より発生する、複数の方向の各磁場を検出することにより、磁場発生手段との相対距離に関する検出信号を生成する検出センサと、を可撓管先端に備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、可撓管先端に該先端の位置を検出するための検出センサを備えることにより、従来内視鏡の先端位置を検出する際に術者が行っていた、磁気センサ付きプローブを鉗子チャンネル内に挿通する操作や、磁気センサが内視鏡先端位置にある状態で該プローブを保持する操作等が不要となる。従って、操作の煩雑さが解消され、術者の作業負担を軽減することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の電子内視鏡は、画像信号および検出信号が、共通の信号線により伝送され、かつそれぞれ一方が伝送されない期間にのみ伝送されることを特徴とする。上記のように構成することにより、一方の信号(例えば、画像信号)が他方の信号(例えば、検出信号)にノイズとして影響を与えることなく内視鏡の細径化を実現することができる。
【0011】
なお、該信号線としては、シールドケーブルであることが望ましい(請求項3)。これにより、他の信号線を伝送する信号、例えば撮像素子用の駆動信号が伝送中の検出信号にノイズとして影響を与えることがなくなる。
【0012】
より具体的には、上記電子内視鏡は、撮像素子および検出手段と信号線との間に配設され、画像信号と検出信号のいずれか一方が信号線を伝送するように、所定のタイミングで切り替えを行う信号切り替え手段を有する(請求項4)。
【0013】
上記信号切り替え手段は、撮像素子を駆動するための駆動信号が送信されているときには画像信号が信号線に伝送され、駆動信号が送信されていないときには検出信号が信号線に伝送されるように切り替えを行う(請求項5)。
【0014】
また、請求項6に記載の電子内視鏡によれば、信号切り替え手段は、撮像素子と信号線間、または検出手段と信号線間のいずれか一方を絶縁状態にすることにより、信号の切り替えを行うことができる。
【0015】
また、請求項7に記載の電子内視鏡システムは、上述した種々の特徴を有する電子内視鏡と、互いに直交する少なくとも第一の方向および第二の方向に磁場を発生させる磁場発生手段と、異なる方向の磁場が順次連続して発生するように磁場発生手段を駆動制御する磁場発生用制御手段と、上記電子内視鏡の撮像素子に駆動信号を送信することにより、撮像素子を駆動制御する撮像素子用制御手段と、信号線を介して伝送される画像信号に基づいて体腔内の画像を生成し、信号線を介して伝送される検出信号に基づいて磁場発生手段に対する可撓管先端の相対的位置情報を生成する信号処理手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の電子内視鏡システムによれば、信号処理手段は、撮像素子用制御手段が駆動信号を送信するタイミングに基づいて、信号線を介して伝送される信号が画像信号であるか検出信号であるかを判別することができる。
【0017】
請求項9に記載の電子内視鏡システムによれば、磁場発生手段は、さらに、第一の方向および第二の方向に直交する第三の方向にも磁場を発生させることができる。
【0018】
請求項10に記載の発明によれば、信号処理手段により生成された体腔内の画像および可撓管先端の相対的位置情報を表示する表示手段をさらに有することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電子内視鏡および該電子内視鏡を備える電子内視鏡システムによれば、位置検出センサを予め電子内視鏡の可撓管先端に取り付けられたことにより、先端位置検出のための煩雑な操作が不要となり、術者の負担を軽減することができる。また、従来のように、磁気センサ付きのプローブが不要となるため、鉗子チャンネルに鉗子プローブ等の処置具を挿入して内視鏡処置を実行中であっても、任意のタイミングで内視鏡先端位置の検出が可能になる。
【0020】
さらに、本発明によれば、画像信号と検出信号を同一の信号線により伝送する構成にすることにより、内視鏡の細径化を図ることができる。しかも、切り替え手段によって画像信号と検出信号のいずれか一方のみが該信号線によって伝送されることにより、例えば画像信号や駆動信号が検出信号にノイズとして影響を与える現象が低減される。従って、本発明によれば、精度の高い内視鏡先端位置の検出が可能になると同時に、体腔内に関する高精細な画像が生成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態の電子内視鏡システム1を示す図である。電子内視鏡システム1は、磁場発生器2、電子内視鏡3、プロセッサ5、モニタ9を有する。
【0022】
磁場発生器2は、内視鏡観察および内視鏡処置を行うにあたり、予め、被検者の周囲に設置される。磁場発生器2は、互いに直交するX、Y、Zの各方向に磁場を発生させる三つのコイルを持つ。各コイルは、交流電流が流れることにより、X、Y、Zの各方向に交流の磁場を発生させる。
【0023】
電子内視鏡3は、図示しない操作部材が配設された把持部を有する本体3a、被検者の体腔内に挿入される可撓管3bからなる。つまり、可撓管3bの先端が電子内視鏡3の先端となる。電子内視鏡3は、プロセッサ5から可撓管3bに照射光を伝送するライトガイド11、電子内視鏡3固有の情報(例えば、ロットナンバ等の識別情報や可撓管3bの仕様に関する情報等)が格納されたROM12、ライトガイド射出端11aから射出された光を被検者の体腔内に照射するための配光レンズ13、被検者の体腔内からの光を集光する対物レンズ15、対物レンズ15を介して被検者の体腔内を撮像し該体腔内の画像に関する画像信号を生成する撮像素子17、鉗子チャンネル18、を有する。
【0024】
また、電子内視鏡3は、可撓管3bの先端に位置検出センサ4を備える。位置検出センサ4は一軸のコイルを有し、磁場発生器2で発生した磁場の強度に対応するレベルの検出信号を生成するように構成される。さらに、電子内視鏡3は、画像信号や検出信号のいずれか一方が信号線20を介してプロセッサ5に伝送されるように信号の切り替えを行うスイッチ部19を有する。
【0025】
プロセッサ5は、電子内視鏡システム1全体の制御を行うシステムコントローラ23や、システムコントローラ23により制御され、各部位の駆動タイミングを制御するタイミングコントローラ27、可撓管3bの先端位置検出に関する制御を主として行う制御演算部37、制御演算部37の制御の下、磁場発生器2を駆動させる駆動回路部41、画像信号や検出信号に所定の処理を施す前段信号処理部31等を有している。
【0026】
電子内視鏡システム1を用いた、被検者に対する内視鏡観察や処置および可撓管3bの先端位置の検出は以下のようにして実行される。
【0027】
システムコントローラ23は、電子内視鏡3がプロセッサ5に接続されると、ROM12から電子内視鏡3固有の情報を読み出して、該固有の情報に基づいて可撓管3bの先端位置の検出に関するイニシャライズを実行する。イニシャライズには、例えば、電子内視鏡3の構成に対応した強度の磁場を発生させるための信号レベルの調整処理等が挙げられる。
【0028】
システムコントローラ23は、光源部21を駆動制御して体腔内を照明する。詳しくは、光源部21は、白色光を発するランプである光源47、光源47から出力される光量を調整する略円盤状の調光用絞り49、調光用絞り49を回転駆動するモータ51、モータ51を駆動・制御するモータ駆動・制御部53、光源47に電力を供給する光源用電源55、光源47から照射された光をライトガイド入射端11bに導くレンズ57、を有する。なお、光源47と調光用絞り49の間にはRGBカラーフィルタ59、RGBカラーフィルタ59を回転駆動するモータ61、モータ61を駆動・制御するモータ駆動・制御部63が設けられ、照射光は順次、赤、緑、青の色となるように調整されている。図2は、システムコントローラ23により駆動制御される電子内視鏡システム1の各部位に関するタイミングチャートである。図2(1)は、光源部21から照射される赤、緑、青の光の照明期間を示す。図2(1)において、Hの期間が赤、緑、青の各光で照明される期間を示す。
【0029】
ライトガイド入射端11bに順次入射した各色の光は、ライトガイド11、配光レンズ13を介して体腔内を照明する。照明された体腔内で反射した光は、対物レンズ15を介して撮像素子17の受光面に光学像を結ぶ。
【0030】
撮像素子17は、タイミングコントローラ27から送信されるタイミング信号に同期して撮像素子制御・駆動部29により駆動制御される。図3は、電子内視鏡システム1の画像信号と検出信号の処理に関するブロック図である。図3に示すように、撮像素子制御・駆動部から送信された駆動信号は、スイッチ部19の駆動信号検知回路19aを介して撮像素子17に入力される。撮像素子17は、該駆動信号に同期して、上記光学像に対応する各色の画像信号を順次生成する。生成された画像信号は、順次スイッチ部19の第一バッファ19bに送信される。図2(2)は、撮像素子制御・駆動部29から送信される撮像素子17用の駆動信号の送信期間を示す。図2(2)において、Hの期間が駆動信号の送信期間、換言すれば画像信号の生成期間である。つまり、図2(2)におけるLの期間が撮像素子17の電荷蓄積期間に相当する。
【0031】
上記の撮像素子17による体腔内の撮像処理中に、フロントパネル25等を操作して術者が可撓管3bの先端位置の検出を指示すると、システムコントローラ23は、制御演算部37に磁場を発生させるための制御信号を送信する。
【0032】
制御演算部37は、該制御信号を受信すると、磁場発生器駆動回路41を介して交流電流を供給することにより磁場発生器2を駆動して磁場を発生させる。ここで、磁場発生器駆動回路41は、磁場発生器2におけるX、Y、Zの各方向に対応するコイルそれぞれに独立して交流電流を供給できるように構成されている。そして制御演算部37は、制御信号を受信すると、磁場発生器2から異なる方向の磁場が連続して発生するように、各コイルに対して順次交流電流を供給する。なお、連続して磁場を発生させるといっても、各磁場発生時のずれは非常に微少に設定されており、実際には略同一タイミングとみなすことができる。
【0033】
磁場が発生すると、位置検出センサ4は、該磁場の影響を受けて誘導電流を発生させる。該誘導電流は検出信号として、スイッチ部19の第二バッファ19cに送信される。
【0034】
スイッチ部19は、信号線20により伝送される信号を切り替える回路部である。より具体的には、スイッチ部19は、撮像素子制御・駆動部29から送信される駆動信号を駆動信号検知回路19aが検知すると、第二バッファ19cをハイインピーダンス(つまり絶縁状態)にして、撮像素子17から送信される画像信号のみが第一バッファ19bを介して信号線20に導かれるようにする。また、駆動信号検知回路19aが該駆動信号を検知しない期間は、第一バッファ19bをハイインピーダンスにして、位置検出センサ4から送信される検出信号のみが第二バッファ19cを介して信号線20に導かれるようにする。
【0035】
上記スイッチ部19の作用により、画像信号と検出信号は時間的に重複することなく送信される。換言すれば、信号線20により伝送される信号は、常に画像信号または検出信号のいずれか一方のみである。図2(3)は、生成された画像信号が信号線20を伝送する期間を示す。図2(3)において、Lの期間が画像信号の伝送期間である。ここで、上述したスイッチ部19の作用によって撮像素子17から出力された画像信号は、駆動信号を受信している間だけ、信号線20を伝送する。従って、駆動信号送信期間(図2(2)中Hの期間)と画像信号の伝送期間(図2(3)に示すLの期間)は一致する。また、図2(4)は、生成された検出信号が信号線20を伝送する期間を示す。図2(4)において、Hの期間が検出信号の伝送期間である。上述したスイッチ部19の作用により、検出信号が信号線20を伝送する期間は、画像信号が信号線20を伝送する期間と一致していないことがわかる。このように本実施形態では、検出信号と画像信号の伝送期間をずらしている。そのため、画像信号の影響を受けて検出信号のS/N比が低下することを有効に回避することができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、信号線20として、従来の電子内視鏡において撮像素子から出力される画像信号を伝送するために用いられているシールドケーブルを想定する。従って、各信号、特に検出信号のS/N比が、信号線20外部を伝送する信号、例えば駆動信号の影響を受けて低下することを有効に回避している。なお、可撓管3bの先端近傍に配設される各部位は、信号線20を介して後述の前段信号処理部31に接地されている。
【0037】
信号線20を伝送する信号(画像信号または検出信号)は、プロセッサ5の前段信号処理部31に入力する。図3に示すように、前段信号処理部31は、第一プリアンプ31a、ビデオフィルタ31b、第一A/Dコンバータ31c、第二プリアンプ31d、実信号検出部31e、第二A/Dコンバータ31fを有する。前段信号処理部31において、第一プリアンプ31a、ビデオフィルタ31b、第一A/Dコンバータ31cが画像信号に関する信号処理を実行し、第二プリアンプ31d、実信号検出部31e、第二A/Dコンバータ31fが検出信号に関する信号処理を実行する。
【0038】
信号線20を伝送する信号は、画像信号、検出信号いずれであっても、各プリアンプ31a、31dに入力する。従って、前段信号処理部31は、以下のようにして信号線20を伝送する信号が画像信号と検出信号のいずれであるか判断し、それぞれに適切な信号処理を実行する。前段信号処理部31が上記判断を行えるように、タイミングコントローラ27は、撮像素子制御・駆動部29に対する駆動信号を送信するためのタイミング信号を送信すると同時に、前段信号処理部31にもタイミング信号を送信する。
【0039】
前段信号処理部31は、タイミングコントローラ27から送信されたタイミング信号を受信している間に信号線20を介して入力する信号を画像信号であると判断する。そして該画像信号を、第一プリアンプ31aで増幅し、ビデオフィルタ31bで帯域制限等の画像処理を行い、第一A/Dコンバータ31cを介してデジタルの画像データとして第二画像メモリ33に格納する。
【0040】
第二画像メモリ33に格納された画像データは、タイミングコントローラ27から送信されるタイミング信号に同期して後段信号処理部45に出力される。該タイミング信号は、例えばモニタ9の周期に対応して送信される。後段信号処理部45は、画像データにD/A変換等の処理を施し、モニタ9に動画像として出力する。術者は、モニタ9に表示される画像を確認しつつ病変部を特定したり、鉗子を用いた生体組織の採取等の処置を実行する。
【0041】
また、前段信号処理部31は、タイミングコントローラ27からタイミング信号を受信していない間に信号線20を介して入力する信号を検出信号であると判断する。そして該検出信号を、第二プリアンプ31dで増幅し、実信号処理部でノイズ除去等の処理を行い、第二A/Dコンバータ31eを介して制御演算部37に送信される。
【0042】
位置検出センサ4で発生した誘導電流は磁場発生器2と位置検出センサ4間の距離に対応して変化する。つまり、X、Y、Zの各方向の磁場発生時における生成された検出信号に基づいて、該磁場発生時における位置検出センサ4の磁気発生器2に対する相対的位置を検出することができる。そこで、制御演算部37は、発生中の磁場の各方向と前段信号処理部31から送信される検出信号のレベルをそれぞれ関連づけ、磁場発生器2に対する位置検出センサ4の相対的位置情報を生成する。つまり、相対的位置情報は、X方向の磁場発生時における誘導電流量(X方向の距離情報)、Y方向の磁場発生時における誘導電流量(Y方向の距離情報)、Z方向の磁場発生時における誘導電流量(Z方向の距離情報)からなる。
【0043】
制御演算部37は、生成した相対的位置情報を文字データもしくは画像データとして第一画像メモリ43に格納する。格納されたデータは、所定のタイミング、例えばモニタ9のフレーム周期に対応して、後段画像信号処理部45によって読み出され、モニタ9に出力される。これにより、術者は、現在の体腔内における可撓管3b先端位置の確認を容易に行うことができる。さらに、本実施形態によれば、従来のように鉗子チャンネルを使用して可撓管3bの先端位置を検出する構成を採っていないため、鉗子付きプローブ等を用いた内視鏡処置を実行しつつも該先端位置の検出を可能にしている。
【0044】
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく以下に例示するように、様々な範囲で変形が可能である。
【0045】
例えば、可撓管の挿入状態が二次元的で表現可能であることが予め分かっている場合、またはコストダウンを図る場合、磁場発生器は、互いに直交する二つの方向(上記実施形態でいえばX、Yの二方向)にのみ磁場を発生させ、二方向の相対的位置情報に基づいて可撓管3bの先端位置を検出してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態の電子内視鏡システムの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態のシステムコントローラにより駆動制御される電子内視鏡システムの各部位に関するタイミングチャートである。
【図3】本実施形態の電子内視鏡システムの画像信号と検出信号の処理に関するブロック図である。
【符号の説明】
【0047】
1 電子内視鏡システム
2 磁場発生器
3 電子内視鏡
3b 可撓管
4 位置検出センサ
5 プロセッサ
17 撮像素子
18 鉗子チャンネル
19 スイッチ部
20 信号線
21 光源部
23 システムコントローラ
31 前段信号処理部
37 制御演算部
41 駆動回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内を撮像し該体腔内の画像に関する画像信号を生成する撮像素子と、
外部に配置された磁場発生手段より発生する、複数の方向の各磁場を検出することにより、前記磁場発生手段との相対距離に関する検出信号を生成する検出センサと、
を可撓管先端に備えることを特徴とする電子内視鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の電子内視鏡において、
前記画像信号および前記検出信号は、共通の信号線により伝送され、かつそれぞれ一方が伝送されない期間にのみ伝送されることを特徴とする電子内視鏡。
【請求項3】
請求項2に記載の電子内視鏡において、
前記信号線は、シールドケーブルであることを特徴とする電子内視鏡。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電子内視鏡において、
前記撮像素子および前記検出手段と前記信号線との間に配設され、前記画像信号と前記検出信号のいずれか一方が前記信号線を伝送するように、所定のタイミングで切り替えを行う信号切り替え手段を有することを特徴とする電子内視鏡。
【請求項5】
請求項4に記載の電子内視鏡において、
前記信号切り替え手段は、前記撮像素子を駆動するための駆動信号が送信されているときには前記画像信号が前記信号線に伝送され、前記駆動信号が送信されていないときには前記検出信号が前記信号線に伝送されるように切り替えを行うことを特徴とする電子内視鏡。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の電子内視鏡において、
前記信号切り替え手段は、前記撮像素子と前記信号線間、または前記検出手段と前記信号線間のいずれか一方を絶縁状態にすることにより、信号の切り替えを行うことを特徴とする電子内視鏡。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の電子内視鏡と、
互いに直交する少なくとも前記第一の方向および前記第二の方向に磁場を発生させる磁場発生手段と、
異なる方向の磁場が順次連続して発生するように前記磁場発生手段を駆動制御する磁場発生用制御手段と、
前記電子内視鏡の前記撮像素子に前記駆動信号を送信することにより、前記撮像素子を駆動制御する撮像素子用制御手段と、
前記信号線を介して伝送される前記画像信号に基づいて体腔内の画像を生成し、前記信号線を介して伝送される前記検出信号に基づいて前記磁場発生手段に対する前記可撓管先端の相対的位置情報を生成する信号処理手段と、を有することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記信号処理手段は、前記撮像素子用制御手段が前記駆動信号を送信するタイミングに基づいて、前記信号線を介して伝送される信号が前記画像信号であるか前記検出信号であるかを判別することを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の電子内視鏡システムにおいて、
前記磁場発生手段は、さらに、前記第一の方向および前記第二の方向に直交する第三の方向にも磁場を発生させることを特徴とする電子内視鏡システム。
【請求項10】
前記信号処理手段により生成された体腔内の画像および前記可撓管先端の相対的位置情報を表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれかに記載の電子内視鏡システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−288800(P2006−288800A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114598(P2005−114598)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】