説明

電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法

【課題】電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法において、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷可能とする。
【解決手段】表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置12によって帯電されたトナーが付着される感光体11と、磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与されるトナー除去装置14と、トナー除去装置14により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置71を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス、プリント基板、セラミック、厚紙、フィルムなどの任意の厚さを有する板状部材へ印刷を行う板状部材の印刷装置であって、特に、電子写真方式を利用し電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真印刷装置においては、一様に帯電された感光体にレーザやLED(Light Emitting Diode)等の光源から光を当て、光が当たる画線部を除電させて感光体に静電潜像を形成し、この画線部に感光体の帯電極性と同極性に帯電したトナーを付着させて画像を形成している。
【0003】
トナーを感光体に付着させる方法として、下記特許文献1、2に開示されている2成分現像方式が知られている。この2成分現像方式は,多極磁石で構成される現像ロール上で磁力により磁性粒子であるキャリヤ(粒径40〜120μm)の磁気ブラシを形成し、このブラシで感光体表面を擦ることでキャリヤ表面に付着しているトナー(粒径6〜20μm)を感光体上に現像する方法である。これらは、キャリヤとトナーを一定の比率で混合した現像剤をマグネットローラ全面に付着させ、規制ブレードの隙間によって付着量を一定とし、感光体と現像ローラ間に形成された隙間に供給し感光体に擦りつける。
【0004】
このとき、感光体には、画像データに応じた静電潜像が形成されており、帯電されたトナーとの電位差により生じる静電気力を利用して、画線部ではキャリヤからトナーが引き剥がされ感光体側に付着させられ、非画線部では反発力で感光体にトナーが付着しないようにされる。このようにして、感光体上には静電潜像に応じたトナー像(画像)が形成される。
【0005】
また、下記特許文献3には、電子写真方式でトナー画像を形成する感光体と、この感光体上に形成されたトナー画像を1次転写して板状の被転写体へ2次転写する中間転写体と、この中間転写体上に1次転写したトナー画像が2次転写位置へ至るタイミングに合わせて被転写体を搬送する手段とを設けたものが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特許第2517188号公報
【特許文献2】特公平03−030136号公報
【特許文献3】特開2006−091733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来の電子写真印刷装置にて、現像領域では、キャリヤが感光体にこすり付けられ、または、キャリヤ同士が擦れあうため、キャリヤ表面に静電気力で付着したトナーがこのキャリヤから脱落し、または、静電気力が十分でないトナーがキャリヤから脱落し、感光体の非画線部にもトナーが付着する、所謂、「地かぶり」が発生する。通常の印刷物の場合、この「地かぶり」があっても、視認されない程度であれば許容されるものの、工業製品で導電性のパターンなどを印刷する場合には、電気的なノイズや耐圧などの機能劣化の原因となる可能性が高いため、目に見えない場合でも地かぶりを無くす必要がある。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するものであり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷可能とする電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するための請求項1の発明の電子写真印刷装置は、移動自在であると共に表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置によって帯電されたトナーが付着される感光体と、該感光体の表面の移動方向における前記現像装置よりも下流側に該感光体に対向して配置されて磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与される非画線部トナー除去手段と、前記非画線部トナー除去手段により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離手段とを具えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2の発明の電子写真印刷装置では、前記非画線部トナー除去手段は、前記感光体に接近して配置される担持体と、該担持体に対するキャリヤの供給及び回収を行うキャリヤ循環ラインを有し、前記担持体と前記キャリヤ循環ラインと前記トナー脱離手段は共通のケーシング内に格納され、前記トナー脱離手段は、前記ケーシング内で前記担持体または前記キャリヤ循環ラインにより吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離することを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー脱離手段は、前記キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤを攪拌してトナーを脱離させるキャリヤ攪拌手段を有することを特徴としている。
【0012】
請求項4の発明の電子写真印刷装置では、前記非画線部トナー除去手段は、前記担持体としての回転自在な捕集ローラと、前記キャリヤ循環ラインとしての前記捕集ローラからキャリヤを除去する除去プレート、該除去プレートにより除去されたキャリヤを滞留させるキャリヤ滞留部、該キャリヤ滞留部のキャリヤを上方に搬送するキャリヤ搬送手段、該キャリヤ搬送手段により搬送されたキャリヤを前記捕集ローラに供給するキャリヤ供給手段とを有し、前記キャリヤ攪拌手段は、前記滞留部に滞留するキャリヤを攪拌してトナーを脱離させることを特徴としている。
【0013】
請求項5の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー脱離手段は、前記キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤに流体を噴射してトナーを脱離させる流体噴射手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項6の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー脱離手段は、前記キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与手段を有することを特徴としている。
【0015】
請求項7の発明の電子写真印刷装置では、前記非画線部トナー除去手段は、前記担持体としての回転自在な捕集ローラと、前記キャリヤ循環ラインとしての前記捕集ローラからキャリヤを除去する除去プレート、該除去プレートにより除去されたキャリヤを滞留させるキャリヤ滞留部、該キャリヤ滞留部のキャリヤを上方に搬送するキャリヤ搬送手段、該キャリヤ搬送手段により搬送されたキャリヤを前記捕集ローラに供給するキャリヤ供給手段とを有し、前記キャリヤ振動付与手段は、前記キャリヤ搬送手段により上方に搬送されるキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させることを特徴としている。
【0016】
請求項8の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー脱離手段は、前記キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤに対してイオンを照射してトナーを脱離させるイオン照射手段を有することを特徴としている。
【0017】
請求項9の発明の電子写真印刷装置では、前記非画線部トナー除去手段は、前記感光体に接近して配置されて回転することで磁力によりキャリヤを吸着搬送する担持体を有し、前記トナー脱離手段は、前記担持体により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離することを特徴としている。
【0018】
請求項10の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー脱離手段は、前記担持体により吸着搬送されるキャリヤに流体を噴射してトナーを脱離する流体噴射手段を有することを特徴としている。
【0019】
請求項11記載の電子写真印刷装置では、前記担持体は、前記感光体に接近して配置されて回転することで磁力によりキャリヤを吸着搬送する第1担持体と、該第1担持体と対向する第2の担持体とを有し、前記流体噴射手段は、前記第1担持体と前記第2担持体とが対向する位置に向けて流体を噴射してトナーを離脱することを特徴としている。
【0020】
請求項12の発明の電子写真印刷装置では、前記トナー脱離手段によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー回収手段を有することを特徴としている。
【0021】
請求項13の発明の電子写真印刷装置では、前記担持体または前記キャリヤ循環ラインに対してキャリヤを補給するキャリヤ補給手段を有することを特徴としている。
【0022】
請求項14の発明の電子写真印刷装置では、前記担持体に付与される所定の電位は、前記静電潜像の非画線部の電位と画線部の電位との中間の大きさとされていることを特徴としている。
【0023】
また、請求項15の発明の電子写真印刷方法は、感光体が移動するときにその表面に静電潜像を形成し、現像装置によってこの静電画像の画線部に帯電したトナーを付着して画像を形成し、前記感光体に所定の電位が付与された担持体を近接することで、該担持体に磁力で吸着されたキャリヤにより静電潜像の非画線部に付着したトナーを除去し、このキャリヤからトナーを脱離して回収することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明の電子写真印刷装置によれば、表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置によって帯電されたトナーが付着される感光体と、磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与される非画線部トナー除去手段と、非画線部トナー除去手段により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離手段とを設ける。従って、非画線部トナー除去手段は、磁力によって稲穂状にキャリヤを吸着して移動させており、この稲穂状のキャリヤの先端部が感光体の表面に当接し、ここに存在するトナーをこするためにトナーは移動し易くなり、付与された所定の電圧により静電潜像の非画線部から電界が形成されることで、移動し易くなった非画線部に存在するトナーがこの電界により移動させられて回収され、また、このとき、トナー脱離手段は、吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するため、繰り返し使用されるキャリヤへのトナーの蓄積が抑制されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができる。
【0025】
請求項2の発明の電子写真印刷装置によれば、非画線部トナー除去手段として、感光体に接近して配置される担持体と、担持体に対するキャリヤの供給及び回収を行うキャリヤ循環ラインを設け、担持体とキャリヤ循環ラインとトナー脱離手段を共通のケーシング内に格納し、トナー脱離手段はこのケーシング内で担持体またはキャリヤ循環ラインにより吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するので、担持体とキャリヤ循環ラインとトナー脱離手段をケーシング内に格納することで、装置のコンパクト化を可能とすることができると共に、このケーシング内でキャリヤからトナーを脱離するため、トナーの回収を容易としてキャリヤへの再不着を抑制することができる。
【0026】
請求項3の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー脱離手段として、キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤを攪拌してトナーを脱離させるキャリヤ攪拌手段を設けたので、キャリヤを攪拌することで、このキャリアに機械的な手段で付着しているトナーを容易に脱離することができる。
【0027】
請求項4の発明の電子写真印刷装置によれば、非画線部トナー除去手段として、担持体としての回転自在な捕集ローラと、キャリヤ循環ラインとしての捕集ローラからキャリヤを除去する除去プレート、除去プレートにより除去されたキャリヤを滞留させるキャリヤ滞留部、キャリヤ滞留部のキャリヤを上方に搬送するキャリヤ搬送手段、キャリヤ搬送手段により搬送されたキャリヤを捕集ローラに供給するキャリヤ供給手段を設け、キャリヤ攪拌手段が滞留部に滞留するキャリヤを攪拌してトナーを脱離させるので、滞留部にある多量のキャリアを攪拌することで、このキャリヤに機械的に付着しているトナーを短時間で容易に脱離することができる。
【0028】
請求項5の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー脱離手段として、キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤに流体を噴射してトナーを脱離させる流体噴射手段を設けるので、キャリヤに流体を噴射することで、このキャリアに機械的にまたは静電気力で付着しているトナーを容易に脱離することができる。
【0029】
請求項6の発明の電子写真印刷装置によれば、前記トナー脱離手段として、キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与手段を設けるので、キャリヤを振動させることで、このキャリアに機械的にまたは静電気力で付着しているトナーを容易に脱離することができる。
【0030】
請求項7の発明の電子写真印刷装置によれば、非画線部トナー除去手段として、担持体としての回転自在な捕集ローラと、キャリヤ循環ラインとしての捕集ローラからキャリヤを除去する除去プレート、除去プレートにより除去されたキャリヤを滞留させるキャリヤ滞留部、キャリヤ滞留部のキャリヤを上方に搬送するキャリヤ搬送手段、キャリヤ搬送手段により搬送されたキャリヤを捕集ローラに供給するキャリヤ供給手段を設け、キャリヤ振動付与手段がキャリヤ搬送手段により上方に搬送されるキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるので、搬送中のキャリアを振動させることで、このキャリアに機械的にまたは静電気力で付着しているトナーを落下させて短時間で容易に脱離することができる。
【0031】
請求項8の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー脱離手段として、キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤに対してイオンを照射してトナーを脱離させるイオン照射手段を設けるので、キャリヤにイオンを照射することで、このキャリアに静電気力で付着しているトナーの電荷を除去して容易に脱離することができる。
【0032】
請求項9の発明の電子写真印刷装置によれば、非画線部トナー除去手段として、感光体に接近して配置されて回転することで磁力によりキャリヤを吸着搬送する担持体を設け、トナー脱離手段が担持体により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するので、トナー脱離手段が担持体のキャリヤから直接トナーを脱離することで、装置のコンパクト化を可能とすることができる。
【0033】
請求項10の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー脱離手段として、担持体により吸着搬送されるキャリヤに流体を噴射してトナーを脱離する流体噴射手段を設けるので、キャリヤに流体を噴射することで、このキャリヤに機械的にまたは静電気力で付着しているトナーを容易に脱離することができる。
【0034】
請求項11に記載の電子写真印刷装置によれば、担持体として、感光体に接近して配置されて回転することで磁力によりキャリヤを吸着搬送する第1担持体と、第1担持体と対向する第2の担持体とを設け、流体噴射手段は、第1担持体と第2担持体とが対向する位置に向けて流体を噴射してトナーを離脱するので、第1担持体と第2担持体とが対向した位置で、磁場が強く、且つ、穂は磁力線に沿って形成されるため、流体に飛ばされにくい穂が担持体間を架橋するように真直ぐに形成されることとなり、流体噴射手段がこの第1担持体と第2担持体とが対向する位置に向けて流体を噴射するため、トナーを適正に脱離することができる。
【0035】
請求項12の発明の電子写真印刷装置によれば、トナー脱離手段によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー回収手段を設けるので、キャリヤから脱離したトナーのキャリヤへの再不着を防止することができる。
【0036】
請求項13の発明の電子写真印刷装置によれば、担持体またはキャリヤ循環ラインに対してキャリヤを補給するキャリヤ補給手段を設けたので、キャリヤが劣化したら所定量のキャリヤを補給することで、劣化したキャリアの増加による非画線部からのトナーの回収効率の低下を防止することができる。
【0037】
請求項14の発明の電子写真印刷装置によれば、担持体に付与される所定の電位を、静電潜像の非画線部の電位と画線部の電位との中間の大きさに設定するので、非画線部では、非画線部から担持体へ向かう電界の作用力が付与され、画線部では、担持体から画線部へ向かう電界の作用力が付与されることとなり、この電界の作用力によって非画線部のトナーが回収されて地かぶりを防止することができる。
【0038】
また、請求項15の発明の電子写真印刷方法によれば、感光体が移動するときにその表面に静電潜像を形成し、現像装置によってこの静電画像の画線部に帯電したトナーを付着して画像を形成し、感光体に所定の電位が付与された担持体を近接することで、担持体に磁力で吸着されたキャリヤにより静電潜像の非画線部に付着したトナーを除去し、このキャリヤからトナーを脱離して回収するようにする。従って、磁力によって稲穂状にキャリヤを吸着して移動することで、感光体の表面に存在するトナーをこすって移動し易くなり、付与された所定の電圧により静電潜像の非画線部から電界が形成されることで、移動し易くなった非画線部に存在するトナーがこの電界により移動させられて回収され、また、このとき、吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するため、繰り返し使用されるキャリヤへのトナーの蓄積が抑制されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電子写真印刷装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0040】
図1は、本発明の実施例1に係る電子写真印刷装置の概略構成図、図2は、実施例1の電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図、図3は、捕集ローラの横断面図、図4は、捕集ローラの縦断面図、図5は、捕集ローラにおける軸受部の断面図、図6は、捕集ローラの周囲に形成される電場の分布を表す概略図、図7は、トナー脱離装置を表す概略図、図8は、トナー脱離装置の支持構造を表すキャリヤ搬送ロールの断面図、図9は、捕集ローラ上に形成された磁気ブラシを表す概略図、図10は、感光体と捕集ローラとの間で移動するキャリヤ及びトナーを表す概略図である。
【0041】
実施例1では、電子写真印刷装置によりガラス板上に所定形状の金属配線を形成するものに適用して説明する。この実施例で用いられるトナーは、銀の粉とガラスの粉を樹脂に練り込み、細かく粉砕したものである。樹脂としては、スチレンやスチレンアクリルなどを例示でき、粉砕後の大きさとしては直径が10μmから20μm程度のものを例示できる。また、トナーには静電付与剤が混ぜられていることが望ましい。ガラスの粉は、トナーをガラス板に固定する接着剤の働きを示すものである。キャリヤは、フェライトや鉄などの強磁性体をコア材とし、表面を樹脂でコーティングした磁性材料を用いる。コーティング剤としては、例えば、アクリル系コーティング剤が用いられる。本実施形態で用いる2成分現像剤にはトナーがキャリヤに対して約6wt%混合され、トナーとキャリヤとは静電気力により結合している。
【0042】
実施例1の電子写真印刷装置は、図1に示すように、トナーを選択的に吸着して像を形成するOPC(Organic Photoconductor)感光体11と、トナーとキャリヤとからなる現像剤のうちトナーをOPC感光体11に供給する現像装置12と、OPC感光体11上に吸着されたトナーをガラス板Gに転写する中間体13と、非画線部のトナー除去装置(非画線部トナー除去手段)14とから概略構成されている。
【0043】
このOPC感光体11は、略円柱状をなすドラム型に形成され、その中心軸線回りに回転駆動されるように配置されている。このOPC感光体11の周囲には、中間体13に対する対向領域から回転方向に向かって、クリーニング装置15と、除電装置16と、帯電装置17と、露光装置18と、上述の現像装置12と、トナー除去装置14とが配置されている。
【0044】
帯電装置17は、スコロトロン(scorotron)などのコロナ放電器から構成されており、この帯電装置17は、OPC感光体11における円周面の全面に負の静電気を帯電させ、OPC感光体11が所定の負の電位、例えば、約−1000Vを帯びるように構成されている。
【0045】
露光装置18は、OPC感光体11の中心軸線方向に配列されたLED(Light Emitting Diode)から構成され、このLEDから出射された光がOPC感光体11の円周面に照射されるように配置されている。LEDは、画像信号に基づいて光の出射が制御され、所定の像を描くように構成されており、OPC感光体11における光が照射された領域では、負の帯電が抜けることで、電位の違いによる像が形成される。
【0046】
現像装置12は、筐体21と、多極磁石で構成される現像ローラ(マグネットローラ)22と、スクリュー羽根等を有した撹拌・搬送ローラ23,24から構成され、トナーとキャリヤを一定比率で混合した現像剤を内包している。従って、トナーは、現像剤の撹拌搬送によりキャリヤとの摩擦帯電で負極性に帯電しキャリヤ表面に静電気力で付着し、現像ローラ22は、トナーが付着したキャリヤを磁力で付着保持し、その回転によってOPC感光体11の円周面と対向した現像領域にトナーを搬送供給する。
【0047】
クリーニング装置15は、OPC感光体11の円周面上に付着した転写残りトナーを除去するファーブラシ25とブレード26とから概略構成されている。ファーブラシ25は、毛ブラシであり、毛により転写残りトナーを掻き落とすように構成されている。ブレード26は、板状に形成されたゴムなどの弾性体からなり、転写残りトナーを擦り落とすように配置されている。
【0048】
除電装置16は、OPC感光体11の中心軸線方向に配列されたLEDから構成され、LEDから出射された光がOPC感光体11における円周面の全面に照射されるように配置されている。この円周面の全面に光が照射されることにより、トナーの転写後もOPC感光体11に残る電位の違いによる像を消去することができる。
【0049】
中間体13は、OPC感光体11と略平行に配置され、中心軸線回りに回転自在に支持されたドラム状の回転体である。この中間体13には、OPC感光体11と対向する位置とは反対側にローラ27が設けられ、ローラ27と中間体13との間にトナーが転写されるガラス板Gが挟み込まれるようになっている。
【0050】
ここで、本実施例の非画線部のトナー除去装置14について詳細に説明する。
【0051】
トナー除去装置14は、図1及び図2に示すように、感光体11に接近して配置される担持体としての捕集ローラ31と、この捕集ローラ31に対するキャリヤの供給及び回収を行うキャリヤ循環ラインを有しており、この捕集ローラ31とキャリヤ循環ラインが共通のケーシング32内に格納されている。そして、このキャリヤ循環ラインは、捕集ローラ31からキャリヤを除去する除去プレート33と、除去プレート33により除去されたキャリヤを滞留させるキャリヤ滞留部34と、キャリヤ滞留部34のキャリヤを上方に搬送するキャリヤ搬送装置35と、キャリヤ搬送装置35により搬送されたキャリヤを捕集ローラ31に供給するキャリヤ供給装置36とから構成されている。
【0052】
即ち、ケーシング32内には、OPC感光体11に接近して捕集ローラ31が駆動回転可能に支持されており、この捕集ローラ31に接近して供給ローラ37が駆動回転可能に支持されている。そして、捕集ローラ31の上方には、吸着されるキャリヤの高さを規制する穂高さ規制ブレード38が設けられている。また、捕集ローラ31の下方には、捕集ローラ31からキャリヤを除去する除去プレート33が設けられており、捕集ローラ31における弱い磁場にあるキャリヤを除去する。
【0053】
捕集ローラ31は、OPC感光体11と供給ローラ37との間に配置され、OPC感光体11と供給ローラ37との間には、所定間隔、例えば、1mmから10mmの間隔の隙間が設けられている。捕集ローラ31は、外周側に配置される略円筒状のスリーブ41内に磁力形成部42が配置されて構成されており、このスリーブ41には、所定の負の電圧、例えば、約−800Vが印加されるように構成されている。
【0054】
この磁力形成部42には、複数の永久磁石43が周方向に沿って配置されており、この場合、複数の永久磁石43は、そのS極とN極が交互になるように配置されることで、図6に示すように、所定の分布の磁場が形成されている。図6にて、線B1は、磁場の法線成分の強度を示す線であり、線B2は、磁場の接線成分の強度を示す線であり、線B3は、これら法線成分及び接線成分の合成を示す線である。
【0055】
この複数の永久磁石43は、磁力形成部42の略6時方向から12時方向を経て略3時方向までの間に並んで配置されている。そのため、図6の線B3のように、磁場も捕集ローラ31の略6時方向から略3時方向までの間に分布するように形成されている(略3時方向から略6時方向までの間には弱い磁場しか形成されていない。)。なお、図6にて、供給ローラ37は、略3時方向に配置され、OPC感光体11は略9時方向に配置されている。
【0056】
また、捕集ローラ31は、図4に示すように、スリーブ41の一端に軸部44が形成され、その軸部44に従動歯車45が固定され、この従動歯車45に、スリーブ41を回転駆動する駆動歯車が噛み合っている。また、スリーブ41の軸部44は、軸受部46によりケーシング32に回転可能に支持されている。更に、スリーブ41の軸部44には、OPC感光体11との間隔を規制する規制部47が設けられている。
【0057】
捕集ローラ31のスリーブ41内には、その他端部から支持軸48が挿入されており、この支持軸48に磁力形成部42が設けられている。そして、この支持軸48は、端部がケーシング32に固定される一方、一対の軸受部49によりスリーブ41と相対回転自在となっている。また、捕集ローラ31は、スリーブ41の他端に円筒部50が形成され、この円筒部50は、軸受部46によりケーシング32に回転可能に支持され、この円筒部50には、規制部47が設けられている。
【0058】
上述した軸受部46は、図5に示すように、スリーブ41の軸部44(または円筒部50)を回転可能に支持する軸受51と、軸受51を移動可能に支持する支持体52と、軸受51をOPC感光体11に向けて付勢するバネ53とから構成されている。支持体52は、軸受51をOPC感光体11に対して接近離間させる方向に移動可能に支持するように構成されている。バネ53は、軸受51と支持体52との間であって、OPC感光体11に対して反対側に配置されている。
【0059】
また、上述した規制部51は、円板状に形成された部材であり、その外径はスリーブ41の外径より大きく、OPC感光体11と接触させることにより、捕集ローラ31とOPC感光体11との間隔が常に一定になるように構成されている。
【0060】
ケーシング32には、図2に示すように、OPC感光体11から離間するに伴って下方に傾斜するキャリヤ下降部55が形成され、このキャリヤ下降部55に連続してキャリヤ滞留部34が形成されている。そして、このキャリヤ滞留部34から上方に向けてキャリヤ搬送装置35が配置され、このキャリヤ搬送装置35から供給ローラ37に向けてキャリヤ供給装置36が配置されている。
【0061】
キャリヤ搬送装置35は、下部搬送ロール56と上部搬送ロール57と各ロール56,57に掛け回される搬送ベルト58とから構成されている。この場合、下部搬送ロール56は、下方180度の領域に磁性体が設けられた支持軸に回転自在に支持され、図示しない駆動装置により、図2にて反時計回り方向に駆動回転する。上部搬送ロール57は、上方180度の領域に磁性体が設けられた支持軸に回転自在に支持されると共に、搬送ベルト58の張力を調整する張力調整機構を有している。搬送ベルト58は、無端の磁性ベルトの表面にフッ素樹脂がコーティングされて構成されている。
【0062】
キャリヤ供給装置36は、ドクタブレード59と規制ブレード60と上述した供給ローラ37とから構成されている。ドクタブレード59は、上部搬送ロール57から下方に傾斜して表面にフッ素樹脂がコーティングされた傾斜板からなり、下端部に規制ブレード60が固定されている。この規制ブレード60は、供給ローラ37に接近してそのギャップを調整することで、稲穂状となったキャリヤの通過を規制し、供給ローラ37の表面のキャリヤの分布を均一化する。供給ローラ37は、周方向の所定の位置に永久磁石が配置されており、この永久磁石の磁力分布によりキャリヤをすくい上げて捕集ローラ31に供給するものである。
【0063】
また、ケーシング32に隣接してキャリヤ補給手段としてのキャリヤ供給ホッパ61が設けられている。このキャリヤ供給ホッパ61内には、新しいキャリヤが貯留されており、下部に設けられたロータリ式開閉弁62を開放することで、キャリヤ滞留部34にキャリヤを補給することができる。
【0064】
本実施例では、トナー除去装置14に、吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置(トナー脱離手段)71が設けられている。このトナー脱離装置71は、ケーシング32内に捕集ローラ31やキャリヤ循環ラインと共に配置されている。このトナー脱離装置71は、キャリヤ循環ラインを構成するキャリヤ滞留部34のキャリヤを攪拌してトナーを脱離させるキャリヤ攪拌装置72と、キャリヤ循環ラインを構成するキャリヤ搬送装置35の搬送ベルト58のキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与装置73とを有している。
【0065】
キャリヤ攪拌装置72において、図7及び図8に示すように、下部搬送ロール56は、支持軸74とこの支持軸74の外周部に軸受部75を介して相対回転自在に支持されるロール部76とから構成されている。支持軸74は、一端部がケーシング32に軸受77により回転自在に支持され、第1従動歯車78が固定されている。ロール部76は、ロール軸79がケーシング32に軸受80により回転自在に支持され、第2従動歯車81が固定され、この第2従動歯車81に下部搬送ロール56(ロール部76)を駆動回転する駆動歯車が噛み合っている。
【0066】
そして、支持軸74には第1支持部材82が固定される一方、ロール軸79には第2支持部材83が相対回転自在に嵌合しており、各支持部材82,83には支持アーム84,85を介してパドル86が支持されている。そして、第1従動歯車78に支持軸74を介してパドル86を所定の回動領域にわたって往復回動する駆動歯車が噛み合っている。従って、このパドル86が揺動することで、キャリヤ滞留部34のキャリヤを攪拌し、キャリヤに機械的に付着しているトナーを脱離させる。
【0067】
一方、キャリヤ振動付与装置73は、図2に示すように、搬送ベルト58の内側に所定間隔をもって配置されており、機械的な振動、または、超音波振動により搬送ベルト58を振動させることで、搬送ベルト58で搬送されるキャリヤに静電気力で付着しているトナーを脱離させる。
【0068】
また、図2に示すように、キャリヤ攪拌装置72によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー排出装置(トナー回収手段)87が設けられると共に、キャリヤ振動付与装置73によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー回収装置(トナー回収手段)88が設けられている。
【0069】
トナー排出装置87において、図7に示すように、キャリヤ滞留部34は、底部が下部搬送ロール56の外周面に沿った円弧形状をなし、ここに凹部形状をなすトナー貯留部89が形成され、このトナー貯留部89には、排出口90を介してトナー回収箱91が連結され、排出口90にロータリ開閉弁92が設けられている。一方、トナー回収装置88は、図2に示すように、搬送ベルト58の表面側の下方に配置されている。
【0070】
なお、キャリヤ振動付与装置73に代えて、または、キャリヤ振動付与装置73に加えて、キャリヤ循環ラインを構成するキャリヤ搬送装置35の搬送ベルト58のキャリヤに対してイオンを照射してトナーを脱離させるイオン照射装置としてもよい。この場合、キャリヤにイオンを照射することで、キャリヤに静電気力で付着しているトナーの電荷を除去して脱離させる。
【0071】
ここで、上述のように構成された本実施例の電子写真印刷装置における作用について詳細に説明する。
【0072】
本実施例の電子写真印刷装置において、図1に示すように、OPC感光体11の円周面は、帯電装置17により約−1000Vの電位が印加される。その後、約−1000Vとされたこの円周面に対して、露光装置18から出射された光が照射される。光が照射された円周面の領域においては、電位の一部が抜けてこの領域の電位が約−150Vに低下する。露光装置18は、図示しない制御装置から送られる画像信号に基づいて光の出射が制御され、所定の像をOPC感光体11上に描いている。そのため、OPC感光体11の円筒面上に電位差による静電潜像が形成される。
【0073】
この静電潜像には、電位差により現像装置12の現像ローラ22からトナーが付着する。つまり、OPC感光体11の円筒面における電位は約−1000Vであり、静電潜像における電位は約−150Vであり、現像ローラ22の電位は約−800Vであるため、負に帯電したトナーは、静電潜像の上にのみ付着する。しかしながら、特に、帯電が弱いトナーがOPC感光体11の画線部から離れ、非画線部に対して僅かながら付着する。本実施形態においては、非画線部のトナー除去装置14により、非画線部のトナーが除去される。
【0074】
即ち、非画線部のトナー除去装置14にて、図2に示すように、供給ローラ37により、ケーシング32内のキャリヤが捕集ローラ31に供給されて付着し、図9に示すように、捕集ローラ31の表面全体にキャリヤCが積み重なった磁気ブラシBが形成される。そして、図9に示すように、OPC感光体11及び捕集ローラ31の回転によって磁気ブラシBがOPC感光体11の表面に接触し、非画線部3AのトナーTをこすり、移動し易くする。なお、OPC感光体11の表面と磁気ブラシBとに速度差を与えると、磁気ブラシBが非画線部3AのトナーTをこづく力が生じ、機械的な作用力でトナーを取れ易くする効果がある。また、そのとき、キャリヤCとトナーTとの機械的摩擦によって非画線部3AのトナーTを帯電させ、例えば、帯電が弱いために非画線部3Aに飛んだトナーTを所定の帯電量に帯電させることができる。
【0075】
このとき、捕集ローラ31に対して、OPC感光体11の非画線部3Aと画線部3Bの中間の電位が与えられているので、非画線部3Aでは、非画線部3Aから捕集ローラ31へ向かう電界の作用力が付与され、一方、画線部3Bでは、捕集ローラ31から画線部3Bへ向かう電界の作用力が付与される。この作用力によってトナーTは非画線部3Aでは電気的に磁気ブラシBに引き付けられ、キャリヤCと共に捕集される。一方、画線部3BではOPC感光体11側に対する付着力が強められる。
【0076】
捕集ローラ31により非画線部3AからキャリヤCと共に捕集されたトナーは、ケーシング32内を循環する間に、トナー離脱装置71によりキャリヤから離脱されて回収される。即ち、図2に示すように、トナーが付着したキャリヤは、除去ブレード33により捕集ローラ31から除去され、キャリヤ下降部55を通ってキャリヤ滞留部34に至る。このキャリヤ滞留部34では、図7に示すように、キャリヤ攪拌装置72のパドルが往復回動することで、主に、キャリヤに機械的に付着しているトナーがこのキャリヤから脱離し、自然に沈降してトナー貯留部89に溜まる。そして、所定時間ごとにロータリ開閉弁92を開放することで、トナー貯留部89のトナーを排出口90を通してトナー回収箱91に回収する。
【0077】
そのため、キャリヤ攪拌装置72により、主に、キャリヤに機械的に付着しているトナーがこのキャリヤから脱離すると、トナー貯留部89のキャリヤは、キャリヤ搬送装置35により上方に搬送される。そして、図2に示すように、キャリヤが搬送ベルト58により上昇する過程で、キャリヤ振動付与装置73によりキャリヤに対して振動が付与されることで、主に、キャリヤに静電気力で付着しているトナーがこのキャリヤから離脱し、落下してトナー回収装置88に回収される。その後、トナーが脱離されたキャリヤは、キャリヤ供給装置36により再び捕集ローラ31に供給される。そのため、キャリヤを繰り返し使用することができると共に、脱離したトナーのキャリヤへの再付着が防止され、捕集ローラ31によるOPC感光体11の非画線部のトナーの除去を適正に行うことができる。
【0078】
その後、図2に示すように、OPC感光体11の潜像上に付着したトナーは、中間体13と対向する領域にOPC感光体11の回転により搬送される。この領域において、OPC感光体11に形成された負に帯電したトナーは中間体13の上に転写される。
【0079】
トナーが転写された後のOPC感光体11では、クリーニング装置15により転写せずに残ったトナーが除去される。具体的には、ファーブラシ25により転写残りトナーを掻き落とし、ブレード26により擦り落としている。その後、除電装置16によりOPC感光体11上に残る潜像が消される。
【0080】
そして、ガラス板Gに転写されたトナーは、後工程で加熱焼成され、接着剤として働くガラス粉によりガラス板Gに固定される。トナーには、導電性を有する銀の粉が含まれているため、例えば、所定パターンのトナーを転写することで、ガラス板G上に曇り取り用熱線などの配線を形成することができる。
【0081】
このように実施例1の電子写真印刷装置にあっては、表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置12によって帯電されたトナーが付着される感光体11と、磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与されるトナー除去装置14と、トナー除去装置14により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置71を設けている。
【0082】
従って、トナー除去装置14は、磁力によって稲穂状にキャリヤを吸着して移動させており、この稲穂状のキャリヤの先端部が感光体の表面に当接し、ここに存在するトナーをこするためにトナーは移動し易くなり、付与された所定の電圧により静電潜像の非画線部から電界が形成されることで、移動し易くなった非画線部に存在するトナーがこの電界により移動させられて回収することができる。また、このとき、トナー脱離装置71は、吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するため、繰り返し使用されるキャリヤへのトナーの蓄積が抑制されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができる。
【0083】
また、実施例1の電子写真印刷装置では、トナー除去装置14として、OPC感光体11に接近して配置される捕集ローラ31とこの捕集ローラ31に対するキャリヤの供給及び回収を行うキャリヤ循環ラインとして除去プレート33、キャリヤ滞留部34、キャリヤ搬送装置35、キャリヤ供給装置36を設け、これらを共通のケーシング32内に格納し、このケーシング32内でキャリヤからトナーを脱離している。従って、トナー除去装置14のコンパクト化を可能とすることができると共に、このケーシング32内でキャリヤからトナーを脱離するため、トナーの回収を容易としてキャリヤへの再不着を抑制することができる。
【0084】
また、実施例1の電子写真印刷装置では、トナー脱離装置71として、キャリヤ滞留部34に滞留するキャリヤを攪拌してトナーを脱離させるキャリヤ攪拌装置72を設けており、キャリヤ滞留部34にある多量のキャリアを攪拌することで、主に、このキャリアに機械的に付着しているトナーを短時間で容易に脱離することができる。
【0085】
一方、トナー脱離装置71として、キャリヤ搬送装置35により上方に搬送されるキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与装置73を設けており、搬送中のキャリヤを振動させることで、主に、このキャリアに静電気力で付着しているトナーを落下させて短時間で容易に脱離することができる。
【0086】
また、実施例1の電子写真印刷装置では、トナー脱離装置71としてのキャリヤ攪拌装置72及びキャリヤ振動付与装置73によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー排出装置87及びトナー回収装置88を設けるており、キャリヤから脱離したトナーのキャリヤへの再不着を防止することができる。
【0087】
更に、実施例1の電子写真印刷装置では、キャリヤ循環ラインに対してキャリヤを補給するキャリヤ供給ホッパ61を設けており、キャリヤが劣化したら所定量のキャリヤを補給することで、劣化したキャリアの増加による非画線部からのトナーの回収効率の低下を防止することができる。
【実施例2】
【0088】
図11は、本発明の実施例2に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図である。なお、本実施例の電子写真印刷装置における全体構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0089】
実施例2の電子写真印刷装置は、図1及び図11に示すように、OPC感光体11と、現像装置12と、中間体13と、非画線部のトナー除去装置14とから概略構成され、OPC感光体11の周囲に、クリーニング装置15と、除電装置16と、帯電装置17と、露光装置18と、現像装置12と、トナー除去装置14とが配置され、このトナー除去装置14に、吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置71が設けられている。このトナー脱離装置71は、ケーシング32内に捕集ローラ31やキャリヤ循環ラインと共に配置されている。このトナー脱離装置71は、キャリヤ循環ラインを構成するキャリヤ搬送装置35の下部搬送ロール56のキャリヤに流体としてのエア(または、窒素、不活性ガスなど)を噴射してトナーを脱離させるエア噴射装置101と、キャリヤ循環ラインを構成するキャリヤ搬送装置35の搬送ベルト58のキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与装置73とを有している。
【0090】
エア噴射装置101は、エア噴射ノズル102と、エア供給装置103とを有し、下部搬送ロール56の外周部に向けてエアを噴射することで、この下部搬送ロール56(搬送ベルト58)の外周面に吸着されて搬送されるキャリヤに付着したトナーを脱離させる。この場合、ケーシング32のキャリヤ下降部55は、下部搬送ロール56に向かって傾斜し、下部搬送ロール56の外周面とキャリヤ滞留部34との隙間が狭めるように形成されることで、キャリヤ下降部55を移動するキャリヤは、下部搬送ロール56にし支持されて磁化された搬送ベルト58に吸着され易くしている。そのため、搬送ベルト58が磁化されていることから、キャリヤがその磁力によって搬送ベルト58上に保持され、エア噴射ノズル102による気流に逆らってうまく搬送ベルト58上を搬送される。また、キャリヤ振動付与装置73は、搬送ベルト58の内側に配置され、搬送ベルト58を振動させることで、この搬送ベルト58に吸着されて上方に搬送されるキャリヤに付着したトナーを脱離させる。
【0091】
また、エア噴射装置101によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー排出装置87が設けられると共に、キャリヤ振動付与装置73によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー回収装置88が設けられている。
【0092】
従って、本実施例の電子写真印刷装置にて、OPC感光体11の円周面は、帯電装置17により電位が印加され、この円周面に対して露光装置18から光が照射され、この光が照射された円周面の領域においては、電位の一部が抜けて低下し、所定の像がOPC感光体11上に描かれることとなり、OPC感光体11の円筒面上に電位差による静電潜像が形成される。
【0093】
そして、静電潜像に対して現像装置12によりトナーが付着する。しかし、帯電が弱いトナーがOPC感光体11の画線部から離れ、非画線部に対して僅かながら付着する。本実施形態においては、非画線部のトナー除去装置14により、非画線部のトナーが除去される。即ち、供給ローラ37によりキャリヤが捕集ローラ31に供給されて付着し、捕集ローラ31の表面全体にキャリヤが積み重なった磁気ブラシが形成される。そして、OPC感光体11及び捕集ローラ31の回転によって磁気ブラシがOPC感光体11の表面に接触し、非画線部のトナーをこすって移動し易くする。
【0094】
このとき、捕集ローラ31に対して、OPC感光体11の非画線部と画線部の中間の電位が与えられているので、非画線部では、非画線部から捕集ローラ31へ向かう電界の作用力が付与され、画線部では、捕集ローラ31画線部へ向かう電界の作用力が付与されることとなり、この作用力によってトナーは、非画線部から電気的に磁気ブラシに引き付けられ、キャリヤと共に捕集される。そして、捕集ローラ31により非画線部からキャリヤと共に捕集されたトナーは、ケーシング32内を循環する間に、トナー離脱装置71によりキャリヤから離脱されて回収される。
【0095】
即ち、トナーが付着したキャリヤは、除去ブレード33により捕集ローラ31から除去され、キャリヤ下降部55を通ってキャリヤ滞留部34に至り、キャリヤ搬送装置35の下部搬送ロール56に吸着されて上方に搬送される。このとき、エア供給装置103によりエア噴射ノズル102から下部搬送ロール56の外周部に向けてエアを噴射することで、この下部搬送ロール56(搬送ベルト58)の外周面に吸着されて搬送されるキャリヤに付着したトナーを脱離させる。キャリヤから離脱したトナーは、トナー貯留部89に溜まり、所定時間ごとに開閉弁92を開放することで、トナー貯留部89のトナーを排出口90を通してトナー回収箱91に回収される。
【0096】
エア噴射装置101により下部搬送ロール56に吸着されたキャリヤからトナーが脱離されると、キャリヤが搬送ベルト58により上昇する過程で、キャリヤ振動付与装置73によりキャリヤに対して振動が付与されることで、キャリヤに付着しているトナーが離脱し、落下してトナー回収装置88に回収される。その後、トナーが脱離されたキャリヤは、キャリヤ供給装置36により再び捕集ローラ31に供給される。そのため、キャリヤを繰り返し使用することができると共に、脱離したトナーのキャリヤへの再付着が防止され、捕集ローラ31によるOPC感光体11の非画線部のトナーの除去を適正に行うことができる。
【0097】
一方、OPC感光体11の潜像上に付着したトナーは、中間体13と対向する領域にOPC感光体11の回転により搬送され、OPC感光体11に形成された負に帯電したトナーは中間体13を介してガラス板Gに転写される。このガラス板Gに転写されたトナーは、後工程で加熱焼成され、接着剤として働くガラス粉によりガラス板Gに固定される。
【0098】
このように実施例2の電子写真印刷装置にあっては、表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置12によって帯電されたトナーが付着される感光体11と、磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与されるトナー除去装置14と、トナー除去装置14により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置71を設け、トナー脱離装置71として、キャリヤ搬送装置35の下部搬送ロール56のキャリヤにエアを噴射してトナーを脱離させるエア噴射装置101と、搬送ベルト58のキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与装置73を設けている。
【0099】
従って、トナー除去装置14は、磁力によって稲穂状にキャリヤを吸着して移動させており、この稲穂状のキャリヤの先端部が感光体の表面に当接し、ここに存在するトナーをこするためにトナーは移動し易くなり、付与された所定の電圧により静電潜像の非画線部から電界が形成されることで、移動し易くなった非画線部に存在するトナーがこの電界により移動させられて回収することができる。また、このとき、エア噴射装置101は、下部搬送ロール56に吸着されたキャリヤにエアを噴射してトナーを脱離させ、キャリヤ振動付与装置73は、搬送ベルト58に吸着されたキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させ、繰り返し使用されるキャリヤへのトナーの蓄積が抑制されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができる。
【0100】
また、実施例2の電子写真印刷装置では、エア噴射装置101のエア噴射ノズルから下部搬送ロール56にエアを噴射するだけで、この下部搬送ロール56に吸着されたキャリヤからトナーを容易に脱離させることができ、装置のコンパクト化及び処理の簡素化を可能とすることができると共に、作業性を向上することができる。
【実施例3】
【0101】
図12は、本発明の実施例3に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図である。なお、本実施例の電子写真印刷装置における全体構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0102】
実施例3の電子写真印刷装置は、図1及び図12に示すように、OPC感光体11と、現像装置12と、中間体13と、非画線部のトナー除去装置14とから概略構成され、OPC感光体11の周囲に、クリーニング装置15と、除電装置16と、帯電装置17と、露光装置18と、現像装置12と、トナー除去装置14とが配置され、このトナー除去装置14に、吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置71が設けられている。このトナー脱離装置71は、ケーシング32内に捕集ローラ31やキャリヤ循環ラインと共に配置されている。このトナー脱離装置71は、キャリヤ循環ラインを構成するケーシング32のキャリヤ下降部55を振動させてトナーを脱離させるケーシング振動装置111と、キャリヤ循環ラインを構成するキャリヤ搬送装置35の搬送ベルト58のキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与装置73とを有している。
【0103】
ケーシング振動装置111は、ケーシング32におけるキャリヤ下降部55の外面部に設けられており、このケーシング32のキャリヤ下降部55自体を振動することで、このキャリヤ下降部55を移動するキャリヤを振動して付着したトナーを脱離させる。また、キャリヤ振動付与装置73は、搬送ベルト58の内側に配置され、搬送ベルト56を振動させることで、この搬送ベルト58に吸着されて上方に搬送されるキャリヤに付着したトナーを脱離させる。
【0104】
また、ケーシング振動装置111によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー排出装置87が設けられると共に、キャリヤ振動付与装置73によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー回収装置88が設けられている。
【0105】
従って、本実施例の電子写真印刷装置にて、OPC感光体11の円周面は、帯電装置17により電位が印加され、この円周面に対して露光装置18から光が照射され、この光が照射された円周面の領域においては、電位の一部が抜けて低下し、所定の像がOPC感光体11上に描かれることとなり、OPC感光体11の円筒面上に電位差による静電潜像が形成される。
【0106】
そして、静電潜像に対して現像装置12によりトナーが付着する。しかし、帯電が弱いトナーがOPC感光体11の画線部から離れ、非画線部に対して僅かながら付着する。本実施形態においては、非画線部のトナー除去装置14により、非画線部のトナーが除去される。即ち、供給ローラ37によりキャリヤが捕集ローラ31に供給されて付着し、捕集ローラ31の表面全体にキャリヤが積み重なった磁気ブラシが形成される。そして、OPC感光体11及び捕集ローラ31の回転によって磁気ブラシがOPC感光体11の表面に接触し、非画線部のトナーをこすって移動し易くする。
【0107】
このとき、捕集ローラ31に対して、OPC感光体11の非画線部と画線部の中間の電位が与えられているので、非画線部では、非画線部から捕集ローラ31へ向かう電界の作用力が付与され、画線部では、捕集ローラ31画線部へ向かう電界の作用力が付与されることとなり、この作用力によってトナーは、非画線部から電気的に磁気ブラシに引き付けられ、キャリヤと共に捕集される。そして、捕集ローラ31により非画線部からキャリヤと共に捕集されたトナーは、ケーシング32内を循環する間に、トナー離脱装置71によりキャリヤから離脱されて回収される。
【0108】
即ち、トナーが付着したキャリヤは、除去ブレード33により捕集ローラ31から除去され、キャリヤ下降部55を通ってキャリヤ滞留部34に至り、キャリヤ搬送装置35の下部搬送ロール56に吸着されて上方に搬送される。このキャリヤがキャリヤ下降部55を移動するとき、ケーシング振動装置111により振動させことで、移動中のキャリヤに付着したトナーを脱離させる。キャリヤから離脱したトナーは、トナー貯留部89に溜まり、所定時間ごとに開閉弁92を開放することで、トナー貯留部89のトナーを排出口90を通してトナー回収箱91に回収される。
【0109】
ケーシング振動装置111によりキャリヤ下降部55を移動するキャリヤからトナーが脱離されると、キャリヤが搬送ベルト58により上昇する過程で、キャリヤ振動付与装置73によりキャリヤに対して振動が付与されることで、キャリヤに付着しているトナーが離脱し、落下してトナー回収装置88に回収される。その後、トナーが脱離されたキャリヤは、キャリヤ供給装置36により再び捕集ローラ31に供給される。そのため、キャリヤを繰り返し使用することができると共に、脱離したトナーのキャリヤへの再付着が防止され、捕集ローラ31によるOPC感光体11の非画線部のトナーの除去を適正に行うことができる。
【0110】
一方、OPC感光体11の潜像上に付着したトナーは、中間体13と対向する領域にOPC感光体11の回転により搬送され、OPC感光体11に形成された負に帯電したトナーは中間体13を介してガラス板Gに転写される。このガラス板Gに転写されたトナーは、後工程で加熱焼成され、接着剤として働くガラス粉によりガラス板Gに固定される。
【0111】
このように実施例3の電子写真印刷装置にあっては、表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置12によって帯電されたトナーが付着される感光体11と、磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与されるトナー除去装置14と、トナー除去装置14により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置71を設け、トナー脱離装置71として、キャリヤ搬送装置35のキャリヤ下降部55のキャリヤを振動させてトナーを脱離させるケーシング振動装置111と、搬送ベルト58のキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与装置73を設けている。
【0112】
従って、トナー除去装置14は、磁力によって稲穂状にキャリヤを吸着して移動させており、この稲穂状のキャリヤの先端部が感光体の表面に当接し、ここに存在するトナーをこするためにトナーは移動し易くなり、付与された所定の電圧により静電潜像の非画線部から電界が形成されることで、移動し易くなった非画線部に存在するトナーがこの電界により移動させられて回収することができる。また、このとき、ケーシング振動装置は、キャリヤ下降部55を移動するキャリヤを振動させてトナーを脱離させ、キャリヤ振動付与装置73は、搬送ベルト58に吸着されたキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させ、繰り返し使用されるキャリヤへのトナーの蓄積が抑制されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができる。
【0113】
また、実施例3の電子写真印刷装置では、キャリヤを振動させるケーシング振動装置111及びキャリヤ振動付与装置73を設けることにより、トナーの除去に使用されていないキャリヤ循環ラインも効率的に利用し、キャリヤからトナーを効率的に脱離させることができ、装置のコンパクト化及び処理の簡素化を可能とすることができると共に、作業性を向上することができる。
【実施例4】
【0114】
図13は、本発明の実施例4に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図、図14は、トナー脱離装置を表す概略図である。なお、本実施例の電子写真印刷装置における全体構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0115】
実施例4の電子写真印刷装置は、図1及び図13に示すように、OPC感光体11と、現像装置12と、中間体13と、非画線部のトナー除去装置121とから概略構成され、OPC感光体11の周囲に、クリーニング装置15と、除電装置16と、帯電装置17と、露光装置18と、現像装置12と、トナー除去装置121とが配置されている。
【0116】
このトナー除去装置121は、図13及び図14に示すように、感光体11に接近して配置される第1、第2担持体としての捕集ローラ122、供給ローラ128と、この捕集ローラ122に対するキャリヤの供給及び回収を行うキャリヤ循環ラインを有しており、この捕集ローラ122、供給ローラ128、キャリヤ循環ラインが共通のケーシング123内に格納されている。そして、このキャリヤ循環ラインは、キャリヤを貯留するキャリヤ供給ホッパ124と、このキャリヤ供給ホッパ124から供給されたキャリヤを滞留させるキャリヤ滞留部125と、キャリヤ滞留部125のキャリヤを上方に搬送するキャリヤ搬送装置126と、キャリヤ搬送装置126により搬送されたキャリヤを捕集ローラ122に供給するキャリヤ供給装置127とから構成されている。
【0117】
即ち、ケーシング123内には、OPC感光体11に接近して捕集ローラ122が駆動回転可能に支持されており、この捕集ローラ122に接近して供給ローラ128が駆動回転可能に支持されている。そして、捕集ローラ122の下方には、OPC感光体11側へのエアの流出を防止する遮蔽板130が設けられている。
【0118】
捕集ローラ122は、OPC感光体11と供給ローラ128との間に配置され、OPC感光体11と供給ローラ128との間に、所定間隔の隙間が設けられている。この捕集ローラ122は、前述した実施例1で説明したものとは磁力形成部の配置が異なっている。つまり、捕集ローラ122は、外周側に配置される略円筒状のスリーブ内に磁力形成部が配置されて構成されているものの、この磁力形成部には、複数の永久磁石が周方向均等間隔で、S極とN極が交互となるように配置されることで、全周に強い磁場が形成される。また、捕集ローラ122のスリーブには、所定の負の電圧が印加されるように構成されている。
【0119】
キャリヤ供給ホッパ124は、内部に新しいキャリヤが貯留されており、下部に設けられたロータリ式開閉弁131を開放することで、キャリヤ滞留部125にキャリヤを補給することができる。そして、このキャリヤ滞留部125から上方に向けてキャリヤ搬送装置126が配置され、このキャリヤ搬送装置126から供給ローラ128に向けてキャリヤ供給装置127が配置されている。
【0120】
キャリヤ搬送装置126は、下部搬送ロール132と上部搬送ロール133と各ロール132,133に掛け回される搬送ベルト134とから構成されている。この場合、下部搬送ロール132は、下方180度の領域に磁性体が設けられた支持軸に回転自在に支持され、図示しない駆動装置により、図13にて反時計回り方向に駆動回転する。上部搬送ロール133は、上方180度の領域に磁性体が設けられた支持軸に回転自在に支持されると共に、搬送ベルト134の張力を調整する張力調整機構を有している。搬送ベルト134は、無端の磁性ベルトの表面にフッ素樹脂がコーティングされて構成されている。このキャリヤ搬送装置126には、搬送ベルト58のキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与装置73がもうけられている。キャリヤ振動付与装置73は、機械的な振動、または、超音波振動により搬送ベルト134を振動させることで、搬送ベルト134で搬送されるキャリヤに静電気力で付着しているトナーを脱離させる。
【0121】
キャリヤ供給装置127は、ドクタブレード135と規制ブレード136と上述した供給ローラ128とから構成されている。ドクタブレード135は、上部搬送ロール133から下方に傾斜して表面にフッ素樹脂がコーティングされた傾斜板からなり、下端部に規制ブレード136が固定されている。この規制ブレード136は、供給ローラ128に接近してそのギャップを調整することで、稲穂状となったキャリヤの通過を規制し、供給ローラ128の表面のキャリヤの分布を均一化する。供給ローラ128は、磁力分布によりキャリヤをすくい上げて捕集ローラ122に供給するものである。
【0122】
また、キャリヤ循環ラインには、ケーシング123に、捕集ローラ122に接近してキャリヤ回収装置137が設けられている。このキャリヤ回収装置137は、基端部が支持軸138に回動自在に支持されたスクレーパブレード139を有し、図示しない駆動装置により先端部が捕集ローラ122の外周面に接近したキャリヤ回収位置(図14に、二点鎖線で表す位置)と、捕集ローラ122の外周面から離間した待機位置(図14に、実線で表す位置)とに移動可能となっている。従って、スクレーパブレード139がキャリヤ回収位置にあると、捕集ローラ122の外周面に吸着しているキャリヤをかき取ることができ、かき取ったキャリヤは落下し、キャリヤ下降部55を通ってキャリヤ滞留部34に回収される。
【0123】
そして、本実施例では、トナー除去装置121に、吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置(トナー脱離手段)151が設けられている。このトナー脱離装置151は、捕集ローラ122に吸着搬送されるキャリヤに流体としてのエア(または、窒素、不活性ガスなど)を噴射してトナーを脱離させるエア噴射装置である。
【0124】
このトナー脱離装置151は、外部からケーシング123を貫通して捕集ローラ122まで延出されるエア噴射ノズル152と、このエア噴射ノズル152に配管153を介して連結されるエア供給装置154とを有している。この場合、エア噴射ノズル152は、先端部が捕集ローラ122と供給ローラ128が対向する位置まで延びている。このエア噴射ノズル152の位置は、規制ブレード136の上流側で捕集ローラ122の外周部に向かった位置であればよいが、特に、供給ローラ128との対向位置では、この供給ローラ128の磁力の影響を受けてキャリヤの穂が最も高く形成されるため、対向位置にエアを吹き付けることで大きなトナー分離効果が得られる。このようにしてエア噴射ノズル152から捕集ローラ122の外周部に向けてエアを噴射することで、この捕集ローラ122の外周面に吸着されて搬送されるキャリヤに付着したトナーを脱離させる。
【0125】
また、ケーシング123には、エア噴射装置151によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー排出装置155が設けられている。このトナー排出装置155は、捕集ローラ122の下方に配置された湾曲形状をなす受け皿部156を貫通して形成された吸引口157と、この吸引口157に配管158を介して連結されたトナー回収箱159とから構成されている。このトナー回収箱159は、吸引装置を内蔵しており、トナー脱離装置151によりキャリヤから脱離されたトナーを吸引口157から配管158を通して吸引して回収する。
【0126】
なお、図13にて、トナー排出装置155の配管158がケーシング123内を上下に貫通して表されているが、キャリヤ回収装置137のスクレーパブレード139が、捕集ローラ122に吸着しているキャリヤをかき取ったとき、このかき取ったキャリヤは落下し、配管158の両側を通ってキャリヤ滞留部34に回収される。
【0127】
従って、本実施例の電子写真印刷装置にて、図13に示すように、まず、供給ホッパ124からキャリヤ滞留部125にキャリヤを供給し、キャリヤ搬送装置126によりこのキャリヤ滞留部125のキャリヤを上方に搬送し、キャリヤ供給装置127により回転する捕集ローラ122に供給する。この場合、供給ローラ128の下方にキャリヤが貯留されており、供給ローラ128が回転することで、キャリヤを捕集ローラ122に供給している。すると、捕集ローラ122に所定量のキャリヤが供給されることで、図14に示すように、その外周面が多数のキャリヤにより被覆される。このとき、供給ローラ128の回転量を制御することで、その回転量に応じたキャリヤの供給量を捕集ローラ122に供給できる。なお、捕集ローラ122に所定量のキャリヤが供給された後は、キャリヤ搬送装置126及びキャリヤ供給装置127を停止し、供給ローラ128によるキャリヤの供給を停止する。
【0128】
そして、図1に示すように、OPC感光体11を回転駆動し、OPC感光体11の円周面を、帯電装置17により電位を印加し、この円周面に対して露光装置18から光を照射すると、この光が照射された円周面の領域においては、電位の一部が抜けて低下し、所定の像がOPC感光体11上に描かれることとなり、OPC感光体11の円筒面上に電位差による静電潜像が形成される。
【0129】
そして、静電潜像に対して現像装置12によりトナーが付着する。しかし、帯電が弱いトナーがOPC感光体11の画線部から離れ、非画線部に対して僅かながら付着する。本実施形態においては、非画線部のトナー除去装置121により、非画線部のトナーが除去される。即ち、図13に示すように、捕集ローラ122の表面全体にキャリヤが積み重なった磁気ブラシが形成され、OPC感光体11及び捕集ローラ122の回転によって磁気ブラシがOPC感光体11の表面に接触し、非画線部のトナーをこすって移動し易くする。
【0130】
このとき、捕集ローラ122に対して、OPC感光体11の非画線部と画線部の中間の電位が与えられているので、非画線部では、非画線部から捕集ローラ122へ向かう電界の作用力が付与され、画線部では、捕集ローラ122から画線部へ向かう電界の作用力が付与されることとなり、この作用力によってトナーは、非画線部3Aから電気的に磁気ブラシに引き付けられ、キャリヤと共に捕集される。
【0131】
そして、捕集ローラ122により非画線部からキャリヤと共に捕集されたトナーは、この捕集ローラ122と共に移動し、増加していく。捕集ローラ122上のトナーが増えると、キャリヤによる非画線部からのトナーの捕集効率が低下するため、トナー離脱装置151により捕集ローラ122上のキャリヤからトナーを離脱して回収する。
【0132】
即ち、図14に示すように、トナー離脱装置151によりエア噴射ノズル152から捕集ローラ122と供給ローラ128が対向した位置に向けてエアを噴射することで、この捕集ローラ122の外周面に吸着されて搬送されるキャリヤに付着したトナーを脱離させる。キャリヤから離脱したトナーは、吸引口157からトナー回収箱159に回収される。その後、トナーが脱離されたキャリヤは、捕集ローラ122上を移動することから、キャリヤを繰り返し使用することができると共に、脱離したトナーのキャリヤへの再付着が防止され、捕集ローラ122によるOPC感光体11の非画線部のトナーの除去を適正に行うことができる。
【0133】
一方、図1に示すように、OPC感光体11の潜像上に付着したトナーは、中間体13と対向する領域にOPC感光体11の回転により搬送され、OPC感光体11に形成された負に帯電したトナーは中間体13を介してガラス板Gに転写される。このガラス板Gに転写されたトナーは、後工程で加熱焼成され、接着剤として働くガラス粉によりガラス板Gに固定される。
【0134】
また、トナー離脱装置151により捕集ローラ122上のキャリヤからトナーを脱離させることで、キャリヤを繰り返し使用することができるものの、このトナー離脱装置151によりキャリヤからトナーを十分に脱離することができないときは、このキャリヤをキャリヤ循環ラインに移動してトナーを除供する。即ち、図13に示すように、キャリヤ回収装置137にて、スクレーパブレード139を先端部が捕集ローラ122の外周面に接近したキャリヤ回収位置に移動する。すると、捕集ローラ122の外周面に付着しているキャリヤは、スクレーパブレード139によりかき取られて下方に落下し、キャリヤ下降部55を通ってキャリヤ滞留部34に回収される。
【0135】
そして、キャリヤ回収装置137にて、スクレーパブレード139を先端部が捕集ローラ122の外周面から離間した待機位置に移動した後、キャリヤ供給装置127を作動する。すると、キャリヤ滞留部34のキャリヤが搬送ベルト134で搬送されると共に、この搬送中に、キャリヤ振動付与装置73により搬送ベルト134を振動させることで、搬送ベルト134で搬送されるキャリヤに付着しているトナーを脱離させ、トナー回収箱88に回収する。一方、供給ローラ128により新しいキャリヤが捕集ローラ122に供給される。
【0136】
このように実施例4の電子写真印刷装置にあっては、表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置12によって帯電されたトナーが付着される感光体11と、磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与されるトナー除去装置121と、トナー除去装置121により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置151を設け、トナー脱離装置151として、捕集ローラ122のキャリヤにエアを噴射してトナーを脱離させるエア噴射ノズル152を設けている。
【0137】
従って、トナー除去装置121は、磁力によって稲穂状にキャリヤを吸着して移動させており、この稲穂状のキャリヤの先端部が感光体の表面に当接し、ここに存在するトナーをこするためにトナーは移動し易くなり、付与された所定の電圧により静電潜像の非画線部から電界が形成されることで、移動し易くなった非画線部に存在するトナーがこの電界により移動させられて回収することができる。また、このとき、トナー脱離装置151は、捕集ローラ122に吸着されたキャリヤにエアを噴射してトナーを脱離させ、繰り返し使用されるキャリヤへのトナーの蓄積が抑制されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができる。
【0138】
また、実施例4の電子写真印刷装置では、捕集ローラ122によりキャリヤを吸着搬送することで、非画線部からトナーを除去するようにし、トナー脱離装置151によりこの捕集ローラ122に吸着されたキャリヤからトナーを脱離させている。そのため、キャリヤ循環ラインを常時作動させる必要はなく、キャリヤの供給制御の簡素化を可能とすることができる。
【実施例5】
【0139】
図15は、本発明の実施例5に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図、図16乃至図20は、実施例5の電子写真印刷装置における作用を表す概略図である。なお、本実施例の電子写真印刷装置における全体構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0140】
実施例5の電子写真印刷装置は、図1及び図15に示すように、OPC感光体11と、現像装置12と、中間体13と、非画線部のトナー除去装置161とから概略構成され、OPC感光体11の周囲に、クリーニング装置15と、除電装置16と、帯電装置17と、露光装置18と、現像装置12と、トナー除去装置161とが配置されている。
【0141】
このトナー除去装置161は、図15に示すように、感光体11に接近して配置される担持体としての捕集ローラ162と、この捕集ローラ162に対してキャリヤの補給を行うキャリヤ補給ラインを有しており、この捕集ローラ162とキャリヤ補給ラインが共通のケーシング163内に格納されている。そして、このキャリヤ補給ラインは、供給口164と、この供給口164に連結されるキャリヤ供給装置165とから構成されている。
【0142】
即ち、ケーシング163内には、OPC感光体11に接近して捕集ローラ162が駆動回転可能に支持されており、この捕集ローラ162の上方には、キャリヤ供給口164が形成され、このキャリヤ供給口164にキャリヤ供給装置165が連結されている。
【0143】
捕集ローラ162は、OPC感光体11との間に、所定間隔の隙間が設けられている。この捕集ローラ162は、前述した実施例4で説明したものと同様に、外周側に配置される略円筒状のスリーブ内に磁力形成部が配置され、この磁力形成部に複数の永久磁石が周方向均等間隔で、S極とN極が交互となるように配置されることで、全周に強い磁場が形成される。また、捕集ローラ122のスリーブには、所定の負の電圧が印加されるように構成されている。キャリヤ供給装置165は、図示しないキャリヤ供給ホッパ内の貯留されている新しいキャリヤを所定量だけ供給口164に供給し、捕集ローラ162に供給する。
【0144】
また、ケーシング163には、捕集ローラ162に接近してキャリヤ回収装置166が設けられている。このキャリヤ回収装置166は、基端部が支持軸167に回動自在に支持されたスクレーパブレード168を有し、図示しない駆動装置により先端部が捕集ローラ162の外周面に接近したキャリヤ回収位置と、捕集ローラ162の外周面から離間した待機位置とに移動可能となっている。また、キャリヤ回収装置166には、スクレーパブレード168により回収したキャリヤを排出する排出口169及びキャリヤ回収箱(図示略)が設けられている。
【0145】
そして、本実施例では、トナー除去装置161に、吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置(トナー脱離手段)171が設けられている。このトナー脱離装置171は、捕集ローラ162に吸着搬送されるキャリヤに流体としてのエア(または、窒素、不活性ガスなど)を噴射してトナーを脱離させるエア噴射装置である。
【0146】
このトナー脱離装置171は、ケーシング163に固定されて捕集ローラ162に対してその接線方向にエアを噴射するエア噴射ノズル172と、このエア噴射ノズル172にエアを供給する図示しないエア供給装置とを有している。従って、エア噴射ノズル172から捕集ローラ162の外周部に向けてエアを噴射することで、この捕集ローラ162の外周面に吸着されて搬送されるキャリヤに付着したトナーを脱離させる。
【0147】
また、ケーシング163には、トナー脱離装置171によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー排出装置173が設けられている。このトナー排出装置173は、捕集ローラ162の下方に位置してケーシング163に形成された吸引口174と、この吸引口174に連結された図示しないトナー回収箱とから構成されている。なお、このトナー回収箱は、吸引装置を内蔵しており、トナー脱離装置171によりキャリヤから脱離されたトナーを吸引口174から吸引して回収する。
【0148】
従って、本実施例の電子写真印刷装置にて、図15に示すように、まず、キャリヤ供給装置165によりキャリヤ供給口164にキャリヤが供給されることで、図16に示すように、捕集ローラ122に所定量のキャリヤCが供給され、その外周面が多数のキャリヤCにより被覆される。なお、捕集ローラ122に所定量のキャリヤが供給された後は、キャリヤ供給装置165によるキャリヤの供給を停止する。
【0149】
そして、図1に示すように、OPC感光体11を回転駆動し、OPC感光体11の円周面を、帯電装置17により電位を印加し、この円周面に対して露光装置18から光を照射すると、この光が照射された円周面の領域においては、電位の一部が抜けて低下し、所定の像がOPC感光体11上に描かれることとなり、OPC感光体11の円筒面上に電位差による静電潜像が形成される。
【0150】
そして、静電潜像に対して現像装置12によりトナーが付着する。しかし、帯電が弱いトナーがOPC感光体11の画線部から離れ、非画線部に対して僅かながら付着する。本実施形態においては、非画線部のトナー除去装置161により、非画線部のトナーが除去される。即ち、図17に示すように、捕集ローラ162の表面全体にキャリヤCが積み重なった磁気ブラシが形成され、OPC感光体11及び捕集ローラ162の回転によって磁気ブラシがOPC感光体11の表面に接触し、非画線部のトナーをこすって移動し易くする。
【0151】
このとき、捕集ローラ162に対して、OPC感光体11の非画線部3Aと画線部3Bの中間の電位が与えられているので、非画線部3Aでは、非画線部3Aから捕集ローラ162へ向かう電界の作用力が付与され、画線部3Bでは、捕集ローラ162から画線部3Aへ向かう電界の作用力が付与されることとなり、この作用力によってトナーTは、非画線部3Aから電気的に磁気ブラシに引き付けられ、キャリヤCと共に捕集される。
【0152】
そして、図18に示すように、捕集ローラ162により非画線部3AからキャリヤCと共に捕集されたトナーTは、この捕集ローラ162と共に移動し、増加していく。捕集ローラ162上のトナーTが増えると、キャリヤCによる非画線部3AからのトナーTの捕集効率が低下するため、トナー離脱装置171により捕集ローラ162上のキャリヤCからトナーTを離脱して回収する。
【0153】
即ち、図19に示すように、トナー離脱装置171によりエア噴射ノズル172から捕集ローラ162の外周部に向けてエアを噴射することで、この捕集ローラ162の外周面に吸着されて搬送されるキャリヤCに付着したトナーTを脱離させる。キャリヤCから離脱したトナーTは、吸引口174からトナー回収箱に回収される。その後、トナーが脱離されたキャリヤCは、捕集ローラ162上を移動することから、キャリヤCを繰り返し使用することができると共に、脱離したトナーTのキャリヤCへの再付着が防止され、捕集ローラ162によるOPC感光体11の非画線部3AのトナーTの除去を適正に行うことができる。
【0154】
一方、図1に示すように、OPC感光体11の潜像上に付着したトナーは、中間体13と対向する領域にOPC感光体11の回転により搬送され、OPC感光体11に形成された負に帯電したトナーは中間体13を介してガラス板Gに転写される。このガラス板Gに転写されたトナーは、後工程で加熱焼成され、接着剤として働くガラス粉によりガラス板Gに固定される。
【0155】
また、トナー離脱装置171により捕集ローラ162上のキャリヤからトナーを脱離させることで、キャリヤを繰り返し使用することができるものの、このキャリヤはいずれ劣化して交換が必要となる。この場合、図20に示すように、キャリヤ回収装置166にて、スクレーパブレード168を先端部が捕集ローラ162の外周面に接近したキャリヤ回収位置に移動する。すると、捕集ローラ162の外周面に付着しているキャリヤCは、スクレーパブレード168によりかき取られ、排出口170からキャリヤ回収箱に回収される。そして、スクレーパブレード168を捕集ローラ162の外周面から離間した待機位置に移動した後、キャリヤ供給装置165による捕集ローラ162へのキャリヤの供給を行う。
【0156】
このように実施例5の電子写真印刷装置にあっては、表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置12によって帯電されたトナーが付着される感光体11と、磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与されるトナー除去装置161と、トナー除去装置161により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置171を設け、トナー脱離装置171として、捕集ローラ162のキャリヤにエアを噴射してトナーを脱離させるエア噴射ノズル172を設けている。
【0157】
従って、トナー除去装置161は、磁力によって稲穂状にキャリヤを吸着して移動させており、この稲穂状のキャリヤの先端部が感光体の表面に当接し、ここに存在するトナーをこするためにトナーは移動し易くなり、付与された所定の電圧により静電潜像の非画線部から電界が形成されることで、移動し易くなった非画線部に存在するトナーがこの電界により移動させられて回収することができる。また、このとき、トナー脱離装置171は、捕集ローラ162に吸着されたキャリヤにエアを噴射してトナーを脱離させ、繰り返し使用されるキャリヤへのトナーの蓄積が抑制されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができる。
【0158】
また、実施例5の電子写真印刷装置では、捕集ローラ122によりキャリヤを吸着搬送することで、非画線部からトナーを除去するようにし、トナー脱離装置171によりこの捕集ローラ162に吸着されたキャリヤからトナーを脱離させている。そして、キャリヤ供給口164から捕集ローラ162にキャリヤを供給可能とする一方、補給ローラ162からスクレーパブレード168によりキャリヤをかき取り、排出口170から排出可能としている。そのため、キャリヤ循環ラインや供給ローラなどを不要として装置の簡素化を可能とすることができる。
【実施例6】
【0159】
図21は、本発明の実施例6に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図である。なお、本実施例の電子写真印刷装置における全体構成は、上述した実施例1とほぼ同様であり、図1を用いて説明すると共に、この実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0160】
実施例5の電子写真印刷装置は、図1及び図21に示すように、OPC感光体11と、現像装置12と、中間体13と、非画線部のトナー除去装置161とから概略構成され、OPC感光体11の周囲に、クリーニング装置15と、除電装置16と、帯電装置17と、露光装置18と、現像装置12と、トナー除去装置161とが配置されている。
【0161】
このトナー除去装置161は、感光体11に接近して配置される担持体としての捕集ローラ162と、この捕集ローラ162に対してキャリヤの補給を行うキャリヤ補給ラインを有しており、この捕集ローラ162とキャリヤ補給ラインが共通のケーシング163内に格納されている。そして、このキャリヤ補給ラインは、供給口164と、この供給口164に連結されるキャリヤ供給装置165とから構成されている。
【0162】
捕集ローラ162は、OPC感光体11との間に、所定間隔の隙間が設けられている。この捕集ローラ162は、外周側に配置される略円筒状のスリーブ181内に磁力形成部182が配置され、この磁力形成部182に複数の永久磁石が周方向均等間隔で、S極とN極が交互となるように配置されることで、全周に強い磁場が形成される。また、捕集ローラ122のスリーブには、所定の負の電圧が印加されるように構成されている。
【0163】
一方、ケーシング163には、捕集ローラ162に対向して磁力形成部183が配置され、この磁力形成部183に永久磁石が配置されて磁場が形成される。この場合、捕集ローラ162の磁力形成部183のN極に対向して磁力形成部183のS極が位置しており、捕集ローラ162は、磁力形成部183の磁力の影響を受けてキャリヤの穂が最も高く形成される。
【0164】
そして、本実施例では、トナー除去装置161にトナー脱離装置171が設けられており、このトナー脱離装置171は、捕集ローラ162に吸着搬送されるキャリヤに流体としてのエアを噴射するエア噴射ノズル172を有している。このエア噴射ノズル172は、捕集ローラ162と磁力形成部183が対向する位置に向けてエアを噴射する。捕集ローラ162と磁力形成部183との対向位置では、この磁力形成部183の磁力の影響を受けてキャリヤの穂が最も高く形成されるため、対向位置にエアを吹き付けることで大きなトナー分離効果が得られる。従って、エア噴射ノズル172から捕集ローラ162の外周部に向けてエアを噴射することで、この捕集ローラ162の外周面に吸着されて搬送されるキャリヤに付着したトナーを脱離させる。
【0165】
従って、本実施例の電子写真印刷装置にて、捕集ローラ162により非画線部からキャリヤと共に捕集されたトナーは、この捕集ローラ162と共に移動し、増加していく。捕集ローラ162上のトナーが増えると、キャリヤによる非画線部からのトナーの捕集効率が低下するため、トナー離脱装置171により捕集ローラ162上のキャリヤからトナーTを離脱して回収する。
【0166】
即ち、トナー離脱装置171によりエア噴射ノズル172から捕集ローラ162と磁力形成部183との対向する位置に向けてエアを噴射することで、この捕集ローラ162の外周面に吸着されて搬送されるキャリヤに付着したトナーを脱離させる。キャリヤから離脱したトナーは、吸引口174からトナー回収箱に回収される。その後、トナーが脱離されたキャリヤは、捕集ローラ162上を移動することから、キャリヤを繰り返し使用することができると共に、脱離したトナーのキャリヤへの再付着が防止され、捕集ローラ162によるOPC感光体11の非画線部3AのトナーTの除去を適正に行うことができる。
【0167】
このように実施例6の電子写真印刷装置にあっては、磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与されるトナー除去装置161と、トナー除去装置161により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離装置171を設け、トナー脱離装置171として、捕集ローラ162に対向する磁力形成部183と、捕集ローラ162と磁力形成部183の対向位置にエアを噴射してキャリヤからトナーを脱離させるエア噴射ノズル172を設けている。
【0168】
従って、トナー除去装置161は、磁力によって稲穂状にキャリヤを吸着して移動させており、この稲穂状のキャリヤの先端部が感光体の表面に当接し、ここに存在するトナーをこするためにトナーは移動し易くなり、付与された所定の電圧により静電潜像の非画線部から電界が形成されることで、移動し易くなった非画線部に存在するトナーがこの電界により移動させられて回収することができる。また、このとき、トナー脱離装置171は、捕集ローラ162と磁力形成部183の対向位置にエアを噴射してキャリヤからトナーを脱離させ、繰り返し使用されるキャリヤへのトナーの蓄積が抑制されることとなり、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷することができる。
【0169】
なお、上述した各実施例にて、本発明のトナー脱離手段を捕集ローラやキャリヤ循環ラインに1つまたは2つ設けたが、その数や配置箇所は各実施例に限定されるものではなく、トナー除去手段の構成などに応じて適宜設定すればよいものである。
【産業上の利用可能性】
【0170】
本発明に係る電子写真印刷装置及び電子写真印刷方法は、地かぶりを抑制して高品質の印刷物を印刷可能とするものであり、いずれの種類の電子写真印刷にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】本発明の実施例1に係る電子写真印刷装置の概略構成図である。
【図2】実施例1の電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図である。
【図3】捕集ローラの横断面図である。
【図4】捕集ローラの縦断面図である。
【図5】捕集ローラにおける軸受部の断面図である。
【図6】捕集ローラの周囲に形成される電場の分布を表す概略図である。
【図7】トナー脱離装置を表す概略図である。
【図8】トナー脱離装置の支持構造を表すキャリヤ搬送ロールの断面図である。
【図9】捕集ローラ上に形成された磁気ブラシを表す概略図である。
【図10】感光体と捕集ローラとの間で移動するキャリヤ及びトナーを表す概略図である。
【図11】本発明の実施例2に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図である。
【図12】本発明の実施例3に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図である。
【図13】本発明の実施例4に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図である。
【図14】トナー脱離装置を表す概略図である。
【図15】本発明の実施例5に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図である。
【図16】実施例5の電子写真印刷装置における作用を表す概略図である。
【図17】実施例5の電子写真印刷装置における作用を表す概略図である。
【図18】実施例5の電子写真印刷装置における作用を表す概略図である。
【図19】実施例5の電子写真印刷装置における作用を表す概略図である。
【図20】実施例5の電子写真印刷装置における作用を表す概略図である。
【図21】本発明の実施例6に係る電子写真印刷装置におけるトナー除去装置の概略図である。
【符号の説明】
【0172】
11 OPC感光体
12 現像装置
13 中間体
14,121,162 トナー除去装置(非画線部トナー除去装置)
17 帯電装置
18 露光装置
31,122,162 捕集ローラ(担持体、第1担持体)
32,123,163 ケーシング
33 除去ブレード(キャリヤ循環ライン)
34,125 キャリヤ滞留部(キャリヤ循環ライン)
35,126 キャリヤ搬送装置(キャリヤ循環ライン)
36,127,165 キャリヤ供給装置(キャリヤ循環ライン)
37,128 供給ローラ(担持体、第1担持体)
71,151,171 トナー脱離装置
72 キャリヤ攪拌装置
73 キャリヤ振動付与装置
101 エア噴射装置
111 ケーシング振動装置
137,166 キャリヤ回収装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動自在であると共に表面に形成される静電潜像の画線部に現像装置によって帯電されたトナーが付着される感光体と、該感光体の表面の移動方向における前記現像装置よりも下流側に該感光体に対向して配置されて磁力でキャリヤを吸着搬送すると共に静電潜像の非画線部からの電界が形成されるように所定の電位が付与される非画線部トナー除去手段と、前記非画線部トナー除去手段により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離するトナー脱離手段とを具えたことを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子写真印刷装置において、前記非画線部トナー除去手段は、前記感光体に接近して配置される担持体と、該担持体に対するキャリヤの供給及び回収を行うキャリヤ循環ラインを有し、前記担持体と前記キャリヤ循環ラインと前記トナー脱離手段は共通のケーシング内に格納され、前記トナー脱離手段は、前記ケーシング内で前記担持体または前記キャリヤ循環ラインにより吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離することを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子写真印刷装置において、前記トナー脱離手段は、前記キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤを攪拌してトナーを脱離させるキャリヤ攪拌手段を有することを特徴とする記載の電子写真印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子写真印刷装置において、前記非画線部トナー除去手段は、前記担持体としての回転自在な捕集ローラと、前記キャリヤ循環ラインとしての前記捕集ローラからキャリヤを除去する除去プレート、該除去プレートにより除去されたキャリヤを滞留させるキャリヤ滞留部、該キャリヤ滞留部のキャリヤを上方に搬送するキャリヤ搬送手段、該キャリヤ搬送手段により搬送されたキャリヤを前記捕集ローラに供給するキャリヤ供給手段とを有し、前記キャリヤ攪拌手段は、前記滞留部に滞留するキャリヤを攪拌してトナーを脱離させることを特徴とする記載の電子写真印刷装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電子写真印刷装置において、前記トナー脱離手段は、前記キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤに流体を噴射してトナーを脱離させる流体噴射手段を有することを特徴とする記載の電子写真印刷装置。
【請求項6】
請求項2に記載の電子写真印刷装置において、前記トナー脱離手段は、前記キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させるキャリヤ振動付与手段を有することを特徴とする記載の電子写真印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電子写真印刷装置において、前記非画線部トナー除去手段は、前記担持体としての回転自在な捕集ローラと、前記キャリヤ循環ラインとしての前記捕集ローラからキャリヤを除去する除去プレート、該除去プレートにより除去されたキャリヤを滞留させるキャリヤ滞留部、該キャリヤ滞留部のキャリヤを上方に搬送するキャリヤ搬送手段、該キャリヤ搬送手段により搬送されたキャリヤを前記捕集ローラに供給するキャリヤ供給手段とを有し、前記キャリヤ振動付与手段は、前記キャリヤ搬送手段により上方に搬送されるキャリヤに振動を付与してトナーを脱離させることを特徴とする記載の電子写真印刷装置。
【請求項8】
請求項2に記載の電子写真印刷装置において、前記トナー脱離手段は、前記キャリヤ循環ラインにより循環するキャリヤに対してイオンを照射してトナーを脱離させるイオン照射手段を有することを特徴とする記載の電子写真印刷装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電子写真印刷装置において、前記非画線部トナー除去手段は、前記感光体に接近して配置されて回転することで磁力によりキャリヤを吸着搬送する担持体を有し、前記トナー脱離手段は、前記担持体により吸着搬送されるキャリヤからトナーを脱離することを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電子写真印刷装置において、前記トナー脱離手段は、前記担持体により吸着搬送されるキャリヤに流体を噴射してトナーを脱離する流体噴射手段を有することを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項11】
請求項9に記載の電子写真印刷装置において、前記担持体は、前記感光体に接近して配置されて回転することで磁力によりキャリヤを吸着搬送する第1担持体と、該第1担持体と対向する第2の担持体とを有し、前記流体噴射手段は、前記第1担持体と前記第2担持体とが対向する位置に向けて流体を噴射してトナーを離脱することを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項12】
請求項2から11のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置において、前記トナー脱離手段によりキャリヤから脱離されたトナーを回収するトナー回収手段を有することを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項13】
請求項2から12のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置において、前記担持体または前記キャリヤ循環ラインに対してキャリヤを補給するキャリヤ補給手段を有することを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項14】
請求項2から13のいずれか一つに記載の電子写真印刷装置において、前記担持体に付与される所定の電位は、前記静電潜像の非画線部の電位と画線部の電位との中間の大きさとされていることを特徴とする電子写真印刷装置。
【請求項15】
感光体が移動するときにその表面に静電潜像を形成し、現像装置によってこの静電画像の画線部に帯電したトナーを付着して画像を形成し、前記感光体に所定の電位が付与された担持体を近接することで、該担持体に磁力で吸着されたキャリヤにより静電潜像の非画線部に付着したトナーを除去し、このキャリヤからトナーを脱離して回収することを特徴とする電子写真印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−250261(P2008−250261A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95142(P2007−95142)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】