説明

電子制御可能なセルフロック差動部を備えた後輪駆動の車両

【課題】セルフロック差動部には、後輪によって路面に伝えられる駆動トルクを最大にできないものもあり、さらには、セルフロック差動部の存在により、後輪の一方が一時的にグリップをなくしたときに、車両が後端部で急にそれてしまう可能性がある。したがって、安価かつ製造が簡単であると同時に、上述した欠点を無くすことのできるセルフロック差動部を備えた後輪駆動の車両を提供する。
【解決手段】後輪駆動の車両は、セルフロック差動部9と、この差動部のロックパーセンテージ%Lを調整する調整装置24と、車両の動的パラメータをリアルタイムで検出するための複数のセンサーと、車両の動的パラメータの関数として差動部9のロックパーセンテージを調整するように調整装置を制御する中央制御ユニット15とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフロック差動部を備えた後輪駆動の車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高性能のロードスポーツカーは、通常、後輪駆動であり、後輪によって路面に伝えられる駆動トルクを増すためのセルフロック差動部を有している。
【0003】
しかしながら、テストは、現在市販されているセルフロック差動部には、後輪によって路面に伝えられる駆動トルクを最大にできないものもあることを示した。さらには、セルフロック差動部の存在により、後輪の一方が一時的にグリップをなくしたときに、セルフロック差動部が駆動トルクの一部を他方の後輪にほぼ即座に伝えるため、車両が後端部で急にそれてしまう可能性があり、この車両の回転を防ぐようにドライバーが車両制御に即座に作用することによって上手く対抗されなくてはならないという点で、車両の安全運転がより難しくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】US4741407
【特許文献2】US5152362
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、安価かつ製造が簡単であると同時に、上述した欠点を無くすことのできるセルフロック差動部を特徴とする後輪駆動の車両を提供することである。
【0006】
本発明に関われば、請求項1のような、セルフロック差動部を特徴とする後輪駆動の車両が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の非制限的な1実施形態が、添付図面を参照して単なる例として説明されている。
【図2】図2は、図1の車両のセルフロック差動部の動作図を示している。
【図3】図3は、図1の車両の中央制御ユニットによって行なわれる制御方法を示している。
【図4】図4は、図1の車両の中央制御ユニットによって行なわれる更なる制御方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の非制限的な実施形態が、添付図面を参照しながらあくまでも例として説明される。
【0009】
図1の参照符号1は、2つの前輪2および2つの後輪3と、これら駆動後輪3へと伝動機構(power train)5によって伝えられる駆動トルクを発生させる前方の内燃エンジン4とを有する車両を示している。伝動機構5は、エンジン4と一体のケーシング内に収容されていて、後方の機械力ギアボックス内で終端するプロペラシャフト7にエンジン4の駆動シャフトを接続するためのクラッチ6を有している。セルフロック差動部9が、ギアボックス8にカスケード接続されており、この差動部からは2つのアクスルシャフト10が延び、シャフトは夫々に駆動後輪3と結合されている。
【0010】
車両1のパッセンジャーコンパートメントは、前輪2に回転角Dvolを与えるためにステアリング・ホイール12と、車輪2,3にブレーキトルクを発生させるようにブレーキシステムを制御するブレーキペダル13と、エンジン4によって発生される駆動トルクTmを調整するための加速ペダル14とを収容している。
【0011】
車両1は、車両1の様々のパラメータをリアルタイムで検出するために車両1内に分配された複数のセンサー16に接続された中央制御ユニット15を有している。車両1の様々のパラメータには、車両1の走行速度V、車両1の回転角Dvol、車両1のヨーイング(yaw)速度Psip、車両1の横方向加速度Ay、車両1の長手方向加速度Ax、各駆動後輪3の回転速度WrearLおよびWrearR、加速ペダル14の位置Pacc、ブレーキペダル13の位置Pbra、およびエンジン4によって発生される駆動トルクTmがある。中央制御ユニット15は、明らかに、例えばデータバス(data BUS)によって互いに接続された複数の物理的に分かれた処理ユニットによって形成され得る。また、物理的センサー16とは対照的に、予測アルゴリズム(estimation algorithm)が、車両1の1つ以上のパラメータを決定するために中央制御ユニット15によって実行され得る。
【0012】
図2に示されているように、セルフロック差動部9は、ボックスボディ17と、このボックスボディ17内に収容され、夫々のアクスルシャフト10を通して2つの駆動後輪3へ駆動トルクTmを伝えるベベルギアの対18と、一方のアクスルシャフト10をボックスボディ17に対して部分的にロックするためのロック装置19とを有している。更に詳細には、ロック装置19は、加圧されたオイル22で満たされたスラストチャンバ21を備えたクラッチ20と、アクスルシャフト10の一方と一体的にされた複数のディスク23とを有している。スラストチャンバ21が加圧されたオイル22で満たされている時、ディスク23は、スラストチャンバ21中のオイル22の圧力Pと実質的に比例する軸方向のスラスト力に晒される。
【0013】
差動部9のロック装置19は、スラストチャンバ21中のオイル22の圧力Pを調整することによって差動部9のロックパーセンテージ%Lを0(ゼロ)と最大値(例えば50%)との間で調整するための調整装置24に接続されている。実際の使用では、中央制御ユニット15は、車両1の動的パラメータの関数として差動部9のロックパーセンテージ%Lを調整するように調整装置24に命令する。
【0014】
調整装置24は、常圧のオイル22用のタンク25を有しており、このタンクから、加圧されたオイル22を蓄圧器(hydraulic accumulator)29に供給するためにポンプ27および逆止め弁28が設けられたパイプ26が延びている。蓄圧器29は、パイプ30に沿って比例ソレノイド弁31の入口と連通されている。パイプ32が、このソレノイド弁から延びてスラストチャンバ21内で終端し、パイプ33がタンク25内で終端している。実際の使用では、ソレノイド弁31は、タンク25から離間されたスラストチャンバ21がオイル22の一定の圧力Pを維持するようにさせ、スラストチャンバ21中のオイル22の圧力Pを減じるようにスラストチャンバ21をタンク25に接続し、そして、スラストチャンバ21中のオイル22の圧力Pを増すようにスラストチャンバ21を蓄圧器29に接続する。
【0015】
ソレノイド弁31は、電流Iが制御コイル35を通って流れるようにソレノイド弁31の制御コイル35の端子に可変の電圧を供給するために、中央制御ユニット15を用いて制御可能な電源34によって駆動される。ソレノイド弁31が正しく駆動されるように確実にするために、調整装置24は、スラストチャンバ21中のオイル22の圧力Pの値を検出するためのセンサー36と、ソレノイド弁31の制御コイル35を通って流れる電流Iの値を検出するためのセンサー37とを有している。
【0016】
実際の使用では、中央制御ユニット15は、上述したようにスラストチャンバ21中のオイル22の圧力Pを調整するように電源34を制御することによって調整装置24を制御して、クラッチ20のディスク23に働かされる軸方向スラスト力と、かくして、差動部9のロックパーセンテージ%Lとを調整する。図3に示されているように、差動部9のロックパーセンテージの目標値%Lrifが、後述するように中央制御ユニット15内で確立され、スラストチャンバ21中のオイル22の圧力Pの等価目標値Prifに変換される。この目標値Prifは、センサー36で測定された圧力Pの実際の値と比較されて、圧力エラーEを生じ、この圧力エラーから、コイル35を通って流れる電流Iの目標値が、PID調整器38によって決定される。この目標値Irifは、センサー37によって検出された電流Iの実際の値と比較され、電流エラーEを生じ、この電流エラーは、電源34を制御するためにPID調整器39によって利用される。即ち、中央制御ユニット15は、スラストチャンバ21中のオイル22の圧力Pの値をフィードバック変数として使用する第1の制御ループと、この第1の制御ループ内にありソレノイド弁31のコイル35を通って流れる電流Iの値をフィードバック変数として使用する第2の制御ループとによって、スラストチャンバ21中のオイル22の圧力Pの値を制御する。
【0017】
他の実施形態は、夫々のアクスルシャフト10を通して夫々の後輪3へとセルフロック差動部9によって伝えられるトルクの値をリアルタイムで検出するように、中央制御ユニット15に夫々接続されていて夫々のアクスルシャフト10に取り付けられた2つのトルクセンサー16を有している。各トルクセンサー16は、好ましくは、電磁的なセンサーであり、アクスルシャフト10によって夫々の後輪3へ伝えられるトルクの値を決定するために夫々のアクスルシャフト10のねじれ変形(torsional deformation)を電磁的に測定する。
【0018】
中央制御ユニット15は、セルフロック差動部9によって各後輪3へ伝えられるトルクの値の関数として差動部9のロックパーセンテージ%Lを調整するように調整装置24を制御する。更に詳細には、中央制御ユニット15は、夫々のアクスルシャフト10によって伝えられるトルクの値を使用することによって各後輪3の角回転速度(angular rotation speed)の時間変化を予測し、また、各後輪3の角回転速度の未来の時間変化の関数として差動部9のロックパーセンテージ%Lを調整するように調整装置24を制御する。
【0019】
中央制御ユニット15は、車両1の動的パラメータの関数として差動部9のロックパーセンテージ%Lの目標値を予測するという利点と、差動部9のロックパーセンテージ%Lの目標値の関数として各アクスルシャフト10によって伝えられるトルクの目標値を予測するという利点と、各後輪3に伝えられるトルクの値をフィードバック変数として使用するフィードバック制御ループによって調整装置24を制御するという利点とを有している。明らかに、トルクの値の制御ループは、スラストチャンバ21中のオイルの圧力Pの値の制御ループ、および/又は、コイル35を通って流れる電流Iの値の制御ループを有することができる。
【0020】
更に詳細には、図4に示されているように、差動部9のロックパーセンテージの目標値%Lrifは、後述するように中央制御ユニット15内で確立され、アクスルシャフト10に取り付けられたトルクセンサー16によって測定された差動部9のロックパーセンテージ%Lの実際の値と比較され、ロックパーセンテージのエラーE%Lを生じる。PID調整器40により、ロックパーセンテージエラーE%Lから、制御信号Sが得られ、コイル35を通って流れる電流Iの対応する目標値Irifを決定するために制御ブロック41へ供給される。この目標値Irifは、センサー37によって測定された電流Iの実際の値と比較され、電流エラーEを生じる。この電流エラーは、PID調整器39により、電源34を制御するために使用される。好ましい1実施形態では、PID調整器40によって供給された制御信号Sに、差動部9のロックパーセンテージの目標値%Lrifに直接に基づいた更なる貢献が加えられ、計算ブロック42によって供給され、逆モデルを実行する。即ち、制御ブロック41に供給される信号は、差動部9のロックパーセンテージ%Lの値のエラー(クローズドループフィードバック制御)と、差動部9のロックパーセンテージの目標値%Lrif(ダイレクトオープンループ制御)との両方に左右される。この解決法は、全体的な制御応答速度を上げるために用いられる。
【0021】
即ち、中央制御ユニット15は、フィードバック変数として差動部9のロックパーセンテージ%Lの値を使用する第1の制御ループと、この第1の制御ループ内にありフィードバック変数としてソレノイド弁31のコイル35を通って流れる電流Iの値を使用する第2の制御ループとによって、差動部9のロックパーセンテージ%Lを制御する。
【0022】
車両1が走行しているとき、中央制御ユニット15は、車両1の動的パラメータ、加速ペダル14の位置Pacc、ブレーキペダル13の位置Pbra、駆動トルクTm、係合されたギア、および車両1への所定の他の電子装置(例えばABS,ASRおよびESP)の介入の関数として差動部9のロックパーセンテージ%Lの目標値を決定する。例えば、差動部9のロックパーセンテージ%Lの目標値を決定するために中央制御ユニット15によって使用される車両1の動的パラメータには、車両1の走行速度V、車両1の回転角Dvol、車両1のヨーイング速度Psip、車両1の横方向加速度Ay、車両1の長手方向加速度Ax、各後輪3の回転速度WrearL、WrearLがある。差動部9のロックパーセンテージ%Lの目標値を決定するために、中央制御ユニット15はまた、車両1のドライバーが選択した動作モード(通常、スポーツ、低グリップ)を考慮できる。
【0023】
ほぼ直線の道路に沿って走るときは、中央制御ユニット15が、通常の動作モードでは差動部9のロックパーセンテージ%Lをゼロ化し、スポーツ動作モードでは差動部9のロックパーセンテージ%Lを徐々に増す。ドライバーによって成されたモードの設定に加えて、通常のモードとスポーツモードとを区別する要素が、加速ペダル14の位置Pacc、車両1の長手方向加速度Axの値、および/又は、車両1の速度Vの値によって規定される。
【0024】
カーブを切るとき、中央制御ユニット15は、加速ペダル14が開放されている場合には差動部9のロックパーセンテージ%Lを徐々に増し、車両1を安定させる。
【0025】
カーブを切るとき、中央制御ユニット15は、加速ペダル14が(急激に)押された場合には差動部9のロックパーセンテージ%Lを徐々に減じ、車両1の安定性とカーブ時の加速性能との両方を最大にする。更に詳細には、差動部9のロックパーセンテージ%Lの減少は、車両1の横方向加速度Ay、車両1の速度V、エンジン4の駆動トルクTm、および/又は、係合されたギアに比例する。この状況では、中央制御ユニット15がまた、パワーオーバーステアリング効果を制限するようにエンジン4の駆動トルクTmを減じることができる。
【0026】
ほぼ一定の速度でカーブを切るときは、中央制御ユニット15が、車輪2,3の路面グリップを予測し、従って、車輪2,3の路面グリップがグリップ制限値から離れているときは差動部9のロックパーセンテージ%Lをゼロ化し、また、車輪2,3の路面グリップがグリップ制限値に近いときは差動部9のロックパーセンテージ%Lを徐々に増し、また、車輪2,3の路面グリップがほぼグリップ制限値に達しているときは差動部9のロックパーセンテージ%Lをゼロまで減じる。車輪2,3の路面グリップがグリップ制限値に近いときは、中央制御ユニット15が、好ましくは、車両1の横方向加速度Ayの値と車両1の速度Vの値とに比例する形で、差動部9のロックパーセンテージ%Lを徐々に増す。
【0027】
車輪2,3の路面グリップは、車両1の回転角Dvolの値および車両1の横方向加速度Ayの値の関数として予測される。更に詳細には、中央制御ユニット15は、車両1の回転角Dvolが車両1の横方向加速度Ayの値と実質的に直接に比例するときは、差動部9のロックパーセンテージ%Lをゼロ化し、また、車両1の回転角Dvolの値と車両1の横方向加速度Ayの値との間に実質的に直接に比例した関係が全くないときは、ロックパーセンテージ%Lを徐々に増す。
【0028】
ほぼ一定した安全な速度でカーブを切るときに上述したように動作するので、車輪2,3の路面グリップがグリップ制限値から離れているときは(回転角Dvolと横方向加速度Ayとの線形の関係)、車両1のアンダーステアリングがなくされ、車輪2,3の路面グリップがグリップ制限値に近いときは、車両1が僅かにオーバーステアリングされ、車輪2,3の路面グリップがほぼグリップ制限値にあるときは、車両1がアンダーステアリングされる(即ち、より安全にかつ予測可能に実行する)。
【0029】
テストは、上述したように差動部9のロックパーセンテージ%Lを調整するための調整装置24が、性能、進路(directional)安定性、事故防止(active safety)(グリップ制限値であっても)、および運転の楽しみを向上させるという結果を示した。
【符号の説明】
【0030】
1…車両、3…後輪、9…セルフロック差動部、10…アクスルシャフト、15…中央制御ユニット、16…トルクセンサー、24…調整装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後輪駆動の車両(1)であって、
セルフロック差動部(9)と、
このセルフロック差動部(9)を夫々の後輪(3)に機械的に夫々接続する2つのアクスルシャフト(10)と、
この車両の夫々の動的パラメータをリアルタイムで検出するための複数のセンサー(16)と、
この車両の動的パラメータの関数として前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を制御するための調整装置(24)と、
この車両の動的パラメータの関数としてセルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を調整するように前記調整装置(24)を制御するための中央制御ユニット(15)とを具備している車両(1)において、
前記中央制御ユニット(15)に夫々接続され、夫々のアクスルシャフト(10)に取り付けられ、そして、前記セルフロック差動部(9)によって夫々のアクスルシャフト(10)を通して前記後輪(3)の夫々に伝えられるトルクの値をリアルタイムで検出する2つのトルクセンサー(16)とを更に具備し、
前記中央制御ユニット(15)は、セルフロック差動部(9)によって前記後輪(3)の夫々に伝えられるトルクの値の関数として前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を調整するように前記調整装置(24)を制御することを特徴とする、車両(1)。
【請求項2】
前記トルクセンサー(16)の各々は、電磁気的なセンサーであり、前記アクスルシャフト(10)によって前記後輪(3)の夫々に伝えられるトルクの値を決定するために、前記アクスルシャフト(10)の夫々のねじれ変形を電磁気的に測定する、請求項1の車両。
【請求項3】
前記中央制御ユニット(15)は、前記アクスルシャフト(10)の夫々によって伝えられるトルクの値を利用して、各後輪(3)の角回転速度の時間変化を予測し、各後輪(3)の角回転速度の未来の時間変化の関数として前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を調整するように前記調整装置(24)を制御する、請求項1もしくは2の車両(1)。
【請求項4】
前記中央制御ユニット(15)は、車両(1)の動的パラメータの関数として前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)の目標値を予測し、セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)の値をフィードバック変数として使用するフィードバック制御ループによって前記調整装置(24)を制御する、請求項1ないし3のいずれか1の車両(1)。
【請求項5】
前記調整装置(24)は、前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を変えるように制御可能なソレノイド弁(31)と、このソレノイド弁(31)を通って流れる電流(I)の値を検出するための第2のセンサー(37)とを有し、また、前記中央制御ユニット(15)は、前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)の値をフィードバック変数として使用する第1の制御ループと、この第1の制御ループ内にありソレノイド弁(31)を通って流れる電流(I)の値をフィードバック変数として使用する第2の制御ループとによって前記調整装置(24)を制御する、請求項4の車両(1)。
【請求項6】
前記中央制御ユニット(15)は、車両(1)の動的パラメータの関数として前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)の目標値を予測し、セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)の値をフィードバック変数として使用するフィードバック制御ループと、前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)の目標値を制御変数として使用するダイレクトオープン制御ループとを加えることによって前記調整装置(24)を制御する、請求項1ないし3のいずれか1の車両(1)。
【請求項7】
前記調整装置(24)は、前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を変えるように制御可能なソレノイド弁(31)と、このソレノイド弁(31)を通って流れる電流(I)の値を検出するための第2のセンサー(37)とを有し、前記中央制御ユニット(15)は、フィードバック変数として前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)の値を使用する第1の制御ループと、この第1の制御ループ内にありフィードバック変数として前記ソレノイド弁(31)を通って流れる電流(I)の値を使用する第2の制御ループとによって、前記調整装置(24)を制御する、請求項6の車両(1)。
【請求項8】
後輪駆動の車両(1)であって、
セルフロック差動部(9)と、
このセルフロック差動部(9)によって2つの駆動後輪(3)に伝えられる駆動トルク(Tm)を発生するエンジン(4)と、
このエンジン(4)によって発生される駆動トルク(Tm)を修正する加速ペダル(14)と、
この車両に作用するブレーキトルクを修正するブレーキペダル(13)と、
この車両の夫々の動的パラメータをリアルタイムで検出するための複数のセンサー(16)と、
前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を調整する調整装置(24)と、
この車両の動的パラメータの関数として前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を調整するように前記調整装置(24)を制御する中央制御ユニット(15)とを具備している車両において、
実質的に安定した速度でカーブを切るとき、前記中央制御ユニット(15)は、車輪(2,3)の道路グリップを予測し、これら車輪(2,3)の道路グリップがグリップ制限値から離れているときに前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)をゼロ化し、車輪(2,3)の道路グリップがグリップ制限値に近づくのに従って前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を徐々に増すことを特徴とする、車両(1)。
【請求項9】
前記中央制御ユニット(15)は、車輪(2,3)の道路グリップがほぼグリップ制限値にあるときは、前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)をゼロまで減じる、請求項8の車両(1)。
【請求項10】
前記車輪(2,3)の道路グリップがグリップ制限値に近くなるにつれて、前記中央制御ユニット(15)は、車両(1)の横方向加速度(Ay)の値と車両(1)の速度(V)の値とに比例して、前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を徐々に増す、請求項8もしくは9の車両(1)。
【請求項11】
前記中央制御ユニット(15)は、車両(1)の回転角(Dvol)の値が車両(1)の横方向加速度(Ay)の値にほぼ直接的に比例しているときは、前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)をゼロ化し、車両(1)の回転角(Dvol)の値と車両(1)の横方向加速度(Ay)の値との間のほぼ直接的に比例した関係が存在しないときは、前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を徐々に増す、請求項8ないし10のいずれか1の車両(1)。
【請求項12】
前記中央制御ユニット(15)は、車両(1)の横方向加速度(Ay)の値を予測することによって車輪(2,3)の道路グリップを予測する、請求項8ないし11のいずれか1の車両(1)。
【請求項13】
前記中央制御ユニット(15)は、車両(1)の回転角(Dvol)の値と車両(1)の横方向加速度(Ay)の値とを予測することによって車輪(2,3)の道路グリップを予測する、請求項8ないし11のいずれか1の車両(1)。
【請求項14】
実質的に直線の道路に沿って運転するとき、前記中央制御ユニット(15)は、通常運転モードで前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)をゼロ化し、スポーツ運転モードで前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を徐々に増す、請求項8ないし13のいずれか1の車両(1)。
【請求項15】
後輪駆動の車両(1)であって、
セルフロック差動部(9)と、
このセルフロック差動部(9)によって駆動後輪(3)に伝えられる駆動トルク(Tm)を発生するエンジン(4)と、
このエンジン(4)によって発生される駆動トルク(Tm)を修正する加速ペダル(14)と、
この車両に作用するブレーキトルクを修正するブレーキペダル(13)と、
この車両の夫々の動的パラメータをリアルタイムで検出するための複数のセンサー(16)と、
前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を調整する調整装置(24)と、
この車両の動的パラメータの関数として前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を調整するように前記調整装置(24)を制御する中央制御ユニット(15)とを具備している車両において、
実質的に直線の道路に沿って運転するとき、前記中央制御ユニット(15)は、通常運転モードで前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)をゼロ化し、スポーツ運転モードで前記セルフロック差動部(9)のロックパーセンテージ(%L)を徐々に増すことを特徴とする、車両(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−137549(P2011−137549A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37064(P2011−37064)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【分割の表示】特願2006−505519(P2006−505519)の分割
【原出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【出願人】(591046560)フェラーリ ソシエタ ペル アチオニ (10)
【氏名又は名称原語表記】FERRARI SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】