説明

電子回路およびヒートシンク装着検出方法

【課題】ヒートシンクが部品に適切に装着されているか否かを容易に検出すること。
【解決手段】導電性のヒートシンク20がIC11に装着された場合にヒートシンク20と接続可能な位置に配置され、所定の電圧が印加されるヒートシンク接続部14aと、ヒートシンク20がIC11に装着された場合にヒートシンク20と接続可能な位置に配置され、電位が接地電位に維持されるヒートシンク接続部14bとを電子回路1の基板10が有し、接続判定部15が、ヒートシンク接続部14aの電位を検出し、その電位の検出結果に基づいてヒートシンク20がヒートシンク接続部14a、14bと接続されたか否かを判定し、判定した結果を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクの装着を検出する電子回路、および、ヒートシンク装着検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱する部品の放熱を促進するため、ヒートシンクが用いられている。ヒートシンクは、発熱する部品に取り付けられ、ヒートシンクが熱を放散することにより部品の温度を低下させる。このヒートシンクには、熱伝導率の大きいアルミや銅などの金属が一般に用いられる。
【0003】
金属製のヒートシンクは、部品の温度を下げるだけでなく、静電気や磁気の影響を除去することもできる。例えば、特許文献1には、導電性のヒートシンクをアース線により接地して、回路基板への静電気の侵入を防止することが開示されている。特許文献2には、金属からなるヒートシンクに接地片を結合し、接地することが開示されている。また、特許文献3には、コイルやトランスを接地電位と等電位にされたヒートシンクで囲うことにより、周囲の回路素子がコイルやトランスにより発せられる磁気の影響を受けないようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−180891号公報
【特許文献2】特開2010−16323号公報
【特許文献3】特開平6−60989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術を用いたとしても、ヒートシンクが部品に適切に装着されていない場合は、ヒートシンクの放熱機能や、静電気、磁気の影響を除去する除去機能が十分に発揮されないという問題がある。例えば、ヒートシンクがIC(Integrated Circuit)に適切に装着されていない場合、ICが熱暴走し、破損あるいは発火する危険性がある。
【0006】
本発明は、ヒートシンクが部品に適切に装着されているか否かを容易に検出することができる電子回路、および、ヒートシンク装着検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、本発明の第1の技術手段は、導電性のヒートシンクが部品に装着された場合に該ヒートシンクと接続可能な位置に配置され、所定の電圧が印加される1つ以上の第1のヒートシンク接続部と、前記ヒートシンクが前記部品に装着された場合に該ヒートシンクと接続可能な位置に配置され、電位が接地電位に維持される第2のヒートシンク接続部とを有する基板と、前記第1のヒートシンク接続部の電位を検出し、該電位の検出結果に基づいて前記ヒートシンクが前記第1のヒートシンク接続部および前記第2のヒートシンク接続部と接続されたか否かを判定し、判定した結果を出力する接続判定部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記接続判定部は、前記第1のヒートシンク接続部が複数ある場合に、各第1のヒートシンク接続部における前記電位の検出結果に基づいて、当該電子回路、当該電子回路に組み込まれる部品、または、当該電子回路が組み込まれる装置の設定信号を出力することを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の技術手段は、第1または第2の技術手段において、前記接続判定部は、前記電位の検出結果に基づいて、前記ヒートシンクが正常な方向に装着されたか否かをさらに判定することを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の技術手段は、導電性のヒートシンクが部品に装着された場合に該ヒートシンクと接続可能な位置に配置される1つ以上の第1のヒートシンク接続部と、該ヒートシンクが前記部品に装着された場合に該ヒートシンクと接続可能な位置に配置され、接地電位に維持される第2のヒートシンク接続部とを有する電子回路におけるヒートシンク装着検出方法であって、前記第1のヒートシンク接続部に所定の電圧を印加した場合に、該第1のヒートシンク接続部の電位を検出する電位検出ステップと、前記電位検出ステップにおける前記電位の検出結果に基づいて、前記ヒートシンクが前記第1のヒートシンク接続部および前記第2のヒートシンク接続部と接続されたか否かを判定する接続判定ステップと、前記接続判定ステップにおける判定結果を出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、導電性のヒートシンクが部品に装着された場合にヒートシンクと接続可能な位置に配置される1つ以上の第1のヒートシンク接続部に所定の電圧を印加し、ヒートシンクが部品に装着された場合にヒートシンクと接続可能な位置に配置される第2のヒートシンク接続部の電位を接地電位に維持し、第1のヒートシンク接続部と第2のヒートシンク接続部とにヒートシンクが接続されたか否かを、第1のヒートシンク接続部の電位を検出することにより判定することとしたので、ヒートシンクが部品に適切に装着されているか否かを容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係る電子回路を示す図である。
【図2】ヒートシンクとヒートシンク接続部との接続について説明する図である。
【図3】本発明の実施例2に係る電子回路を示す図である。
【図4】接続判定部による判定処理の一例について説明する図である。
【図5】図3に示したヒートシンクの取り付け方向について説明する図である。
【図6】変形例における接続判定部による判定処理について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態に係る電子回路について説明する。以下では、例として、ヒートシンクが装着される部品がIC(Integrated Circuit)である場合について説明する。ICには、CPU(Central Processing Unit)やSOC(System-On-a-Chip)、DSP(Digital Signal Processor)、マイクロコンピュータなどが含まれる。なお、IC以外の部品にヒートシンクを装着する場合にも本発明を適用することができる。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係る電子回路1を示す図である。図1に示すように、この電子回路1は、基板10、IC11、電源電圧印加端子12、抵抗13、ヒートシンク接続部14a、14b、接続判定部15を備える。
【0015】
基板10は、IC11などの各部品が搭載される基板である。なお、図1の例では、IC11などの各部品が1つの基板10上に搭載されることとしたが、必ずしも各部品が1つの基板10上に搭載される必要は無い。IC11は、他のデバイスの制御や演算などを行う集積回路である。例えば、このIC11は、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されたか否かの判定結果を示す信号を接続判定部15から受信する。そして、IC11は、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されていない場合に、表示装置(図示せず)を制御して、表示装置に警告を表示させる。あるいは、IC11は、スピーカー装置(図示せず)を制御して、スピーカー装置に警告音を出力させる。
【0016】
電源電圧印加端子12は、電源電圧Vinが印加される端子である。抵抗13は、電源電圧印加端子12とヒートシンク接続部14aとの間に設けられる抵抗である。ヒートシンク接続部14a、14bは、導電性のヒートシンク20がIC11に装着された場合に、ヒートシンク20と接続可能となるように配置された端子である。ここで、ヒートシンク接続部14aは、電源電圧印加端子12と接続され、その電位レベルが「High」(Vin)に設定される。また、ヒートシンク接続部14bは接地され、その電位レベルが「Low」(GND(グラウンド))に設定される。
【0017】
図2は、ヒートシンク20とヒートシンク接続部14a、14bとの接続について説明する図である。図2には、ヒートシンク20の構成(図1の点線A−A’でヒートシンク20を切断した断面)の一例が示されている。このヒートシンク20は、放熱フィン21a〜21f、ベース部22、取り付けピン23a、23b、メタルガスケット24a、24bを備える。
【0018】
放熱フィン21a〜21fは、空気中に熱を放散する放熱板である。放熱フィン21a〜21fは、ベース部22上に互いに平行に設けられる。この放熱フィン21a〜21fは、例えば、アルミや銅などの熱伝導率が大きい金属により形成される。ベース部22は、放熱フィン21a〜21fが設置される土台となる部分である。このベース部22は、導電性を有する材料により形成される。例えば、ベース部22は、放熱フィン21a〜21fと同様に、アルミや銅などの熱伝導率が大きい金属により形成される。
【0019】
取り付けピン23a、23bは、ヒートシンク20を基板10に取り付けるためのピンである。この取り付けピン23a、23bは、プラスチックなどの非導電性の材料により形成される。メタルガスケット24a、24bは、導電性を有する金属材料により形成されたガスケットである。このメタルガスケット24a、24bは、ヒートシンク20がIC11に装着された場合に、ベース部22とヒートシンク接続部14a、14bとに接触し、ベース部22とヒートシンク接続部14a、14bとの間を電気的に接続する。
【0020】
図1の説明に戻ると、接続判定部15は、ヒートシンク接続部14aの電位レベルを検出し、その電位レベルの検出結果を用いて、ヒートシンク20がヒートシンク接続部14aおよびヒートシンク接続部14bと接続されたか否かを判定し、判定した結果を出力する処理部である。接続判定部15は、例えば、ICなどにより構成される。この接続判定部15は、ヒートシンク接続部14aの電位レベルを検出する電位レベル検出部15aを備える。
【0021】
ヒートシンク20がIC11に適切に装着された場合、ヒートシンク20のメタルガスケット24a、24bが、ベース部22とヒートシンク接続部14a、14bとに接触し、ヒートシンク接続部14aの電位レベルは、ヒートシンク接続部14bの電位レベルと同じく、「Low」(GND(グラウンド))となる。
【0022】
一方、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されていない場合、すなわち、ヒートシンク20のメタルガスケット24a、24bが、ベース部22あるいはヒートシンク接続部14a、14bに接触していない場合、ヒートシンク接続部14aの電位レベルは、電源電圧印加端子12の電位レベルと同じく、「High」(Vin)となる。
【0023】
このようなことから、接続判定部15は、電位レベル検出部15aによりヒートシンク接続部14aの電位レベルが「Low」であると検出された場合、ヒートシンク20がヒートシンク接続部14aおよびヒートシンク接続部14bと接続されたと判定する。すなわち、接続判定部15は、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されたと判定する。そして、接続判定部15は、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されたことを示す信号をIC11に出力する。
【0024】
一方、接続判定部15は、電位レベル検出部15aによりヒートシンク接続部14aの電位レベルが「High」であると検出された場合、ヒートシンク20がヒートシンク接続部14aあるいはヒートシンク接続部14bと接続されていないと判定する。すなわち、接続判定部15は、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されていないと判定する。そして、接続判定部15は、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されていないことを示す信号をIC11に出力する。
【0025】
このように、本実施例1では、接続判定部15が、ヒートシンク接続部14a、14bにヒートシンク20が接続されたか否かを、ヒートシンク接続部14aの電位を測定することにより判定し、判定した結果を出力するので、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されているか否かを容易に検出することができる。
【0026】
なお、上記実施例1では、取り付けピン23a、23bが非導電性の材料により形成し、取り付けピン23a、23bにメタルガスケット24a、24bを備えることによりヒートシンク20とヒートシンク接続部14a、14bとを電気的に接続することとしたが、他の方法を用いてヒートシンク20とヒートシンク接続部14a、14bとを電気的に接続することとしてもよい。
【0027】
例えば、取り付けピン23a、23bを導電性を有する金属材料により形成することとしてもよい。この場合、取り付けピン23a、23bは、ヒートシンク20がIC11に装着されると、ベース部22とヒートシンク接続部14a、14bとに接触し、ベース部22とヒートシンク接続部14a、14bとの間を電気的に接続する。そして、ヒートシンク接続部14aの電位レベルは「Low」となる。
【0028】
一方、取り付けピン23a、23bがヒートシンク20あるいは電子回路10から脱落している場合など、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されていない場合、ヒートシンク接続部14aの電位レベルは「High」となる。よって、接続判定部15は、ヒートシンク接続部14aの電位レベルを検出することにより、ヒートシンク接続部14a、14bにヒートシンク20が接続されたか否か、すなわち、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されているか否かを適切に検出することができる。
【0029】
また、ヒートシンク接続部14a、14bにヒートシンク20を接続するために、必ずしも取り付けピン23a、23bを用いる必要は無く、ヒートシンク20をIC11に装着した場合に、ヒートシンク接続部14a、14bがヒートシンク20と導通するような構造をヒートシンク20やヒートシンク接続部14a、14bが有していればよい。
【0030】
例えば、ヒートシンク20をIC11に装着した場合に、ヒートシンク接続部14a、14bに接触し、ヒートシンク20とヒートシンク接続部14a、14bとを導通させる導電性の脚部をヒートシンク20のベース部22に設けることとしてもよい。この場合、ヒートシンク20とIC11とは、例えば、接着剤により接着することとすればよい。
【0031】
また、上記実施例1では、ヒートシンク接続部14a、14bが2つである場合について説明したが、ヒートシンク接続部は2つ以上であってもよい。この場合、例えば、ヒートシンクの各取り付けピンにメタルガスケットを設けておき、ヒートシンク接続部の電位レベルがすべて「Low」とならない場合に、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されていないと接続判定部15が判定することとすればよい。
【実施例2】
【0032】
上記実施例1では、ヒートシンク20がIC11に適切に装着されているか否かを電子回路1が検出する場合について説明したが、電子回路が組み込まれる装置の設定を電子回路がさらに行うこととしてもよい。本実施例2では、ヒートシンクの装着状態の検出に加えて、電子回路が組み込まれる装置の設定を行う処理について説明する。
【0033】
図3は、本発明の実施例2に係る電子回路2を示す図である。図3に示すように、この電子回路2は、基板30、IC31、電源電圧印加端子32、抵抗33a〜33c、ヒートシンク接続部34a〜34d、接続判定部35を備える。
【0034】
基板30は、IC31などの各部品が搭載される基板である。なお、図3の例では、IC31などの各部品が1つの基板30上に搭載されることとしたが、必ずしも各部品が1つの基板30上に搭載される必要は無い。IC31は、他のデバイスの制御や演算などを行う集積回路である。例えば、このIC31は、ヒートシンク40がIC31に適切に装着されたか否かの判定結果を示す信号を接続判定部35から受信する。そして、IC31は、ヒートシンク40がIC31に適切に装着されていない場合に、表示装置(図示せず)を制御して、表示装置に警告を表示させる。あるいは、IC31は、スピーカー装置(図示せず)を制御して、スピーカー装置に警告音を出力させる。
【0035】
電源電圧印加端子32は、電源電圧Vinが印加される端子である。抵抗33a〜33cは、それぞれ電源電圧印加端子32とヒートシンク接続部34a〜34cとの間に設けられる抵抗である。ヒートシンク接続部34a〜34dは、導電性のヒートシンク40がIC31に装着された場合に、ヒートシンク40と接続可能となるよう配置された端子である。ここで、ヒートシンク接続部34dは接地され、その電位レベルが「Low」(GND(グラウンド))に設定される。また、ヒートシンク接続部34a〜34cは、電源電圧印加端子12と接続され、その電位レベルが「High」(Vin)に設定される。
【0036】
ここで、ヒートシンク40は、図2で説明したヒートシンク20と同様に、取り付けピン41a〜41dを備える。取り付けピン41a〜41dは、ヒートシンク40を電子回路30に取り付けるためのピンである。この取り付けピン41a〜41dは、プラスチックなどの非導電性の材料により形成される。
【0037】
また、後に説明するように、電子回路2が組み込まれる装置の設定を行うため、取り付けピン41a〜41dには、それぞれメタルガスケット42a〜42dが設けられたり設けられなかったりする。図3の例では、すべての取り付けピン41a〜41dにメタルガスケット42a〜42dが設けられている。
【0038】
メタルガスケット42a〜42dは、導電性を有する金属材料により形成されたガスケットである。このメタルガスケット42a〜42dは、ヒートシンク40がIC31に装着された場合に、導電性のヒートシンク40とヒートシンク接続部34a〜34dとに接触し、ヒートシンク40とヒートシンク接続部34a〜34dとの間を電気的に接続する。
【0039】
接続判定部35は、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルを検出し、その電位レベルの検出結果を用いて、ヒートシンク40がヒートシンク接続部34a〜34dと接続されたか否かを判定するとともに、電子回路2が組み込まれる装置に対してどのような設定がなされたかを判定し、判定した結果を出力する処理部である。接続判定部35は、例えば、ICなどにより構成される。この接続判定部35は、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルをそれぞれ検出する電位レベル検出部35a〜35cを備える。
【0040】
図4は、接続判定部35による判定処理の一例について説明する図である。図4には、電位レベル検出部35a〜35cにより検出されるヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルと、接続判定部35による判定結果が示されている。なお、ヒートシンク40の取り付けピン34dにはメタルガスケット42dが設けられ、また、取り付けピン41a〜41cの少なくとも1つにメタルガスケット42a〜42cが設けられているものとする。そのため、ヒートシンク40がIC31に適切に装着されている場合、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルの少なくとも1つが「Low」となる。
【0041】
図4に示すように、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルがすべて「High」の場合、接続判定部35は、ヒートシンク40がヒートシンク接続部34a〜34dに接続されていない接続異常が発生していると判定する。すなわち、接続判定部35は、ヒートシンク40がIC31に適切に装着されていないと判定する。この場合、接続判定部35は、IC31に対してヒートシンク40がIC31に適切に装着されていないことを示す信号を出力する。
【0042】
ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルが、それぞれ「High」、「High」、「Low」の場合、「High」、「Low」、「Low」の場合、「High」、「Low」、「High」の場合、「Low」、「Low」、「High」の場合、「Low」、「Low」、「Low」の場合、「Low」、「High」、「Low」の場合、あるいは、「Low」、「High」、「High」の場合、接続判定部35は、所定の装置に対して、その装置を「model1」、「model2」、「model3」、「model4」、「model5」、「model6」、あるいは、「model7」の設定情報を用いて設定することを示す設定信号を出力する。
【0043】
設定情報「model1」〜「model7」としては、例えば、電子回路2が組み込まれるコピー機の紙送り間隔などが挙げられる。この場合、「model1」はa枚/分、「model2」はb枚/分、「model3」はc枚/分などというように、「model1」〜「model7」と紙送り間隔との間の対応関係を予めコピー機が記憶しておくこととする。そして、接続判定部35により出力された設定信号を受信したコピー機は、受信した設定信号に応じて、コピー機の紙送り間隔をa枚/分、b枚/分、c枚/分などに設定する。
【0044】
なお、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルを、それぞれ「High」、「High」、「Low」にするには、取り付けピン41c、41dにメタルガスケット42c、42dを設けることとすればよい。また、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルを、それぞれ「High」、「Low」、「Low」にするには、取り付けピン41b、41c、41dにメタルガスケット42b、42c、42dを設けることとすればよい。
【0045】
以下同様に、取り付けピン41a〜41dにメタルガスケット42a〜42dを設けたり設けなかったりすることにより、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルをさまざまな組み合わせに設定でき、それに応じて接続判定部35に設定情報「model1」〜「model7」のいずれかを選択させることができる。
【0046】
なお、ここでは、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルの検出結果により、電子回路2が組み込まれるコピー機の紙送り速度を設定することとしたが、例えば、IC31や電子回路2の動作周波数の設定など、電子回路2に組み込まれる部品や電子回路2の設定を行うこととしてもよい。この場合も、「model1」はaGHz、「model2」はbGHz、「model3」はcGHzなどというように、「model1」〜「model7」と動作周波数との間の対応関係を予め外部デバイス(図示せず)が記憶しておくこととする。
【0047】
接続判定部35は、ヒートシンク接続部34a〜34cによる電位レベルの検出により、設定情報が「model1」〜「model7」のいずれであるかを判定し、判定した結果を設定信号として外部デバイスに出力する。この設定信号を受信した外部デバイスは、受信した設定信号に応じて、IC31あるいは電子回路2の動作周波数をaGHz、bGHz、cGHzなどに設定する。
【0048】
このように、本実施例2では、接続判定部15が、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルを検出することにより、ヒートシンク40の装着状態の検出に加えて、コピー機やIC31、電子回路2の設定を行うこととしたので、ヒートシンク40の装着状態検出用の電子部品以外にコピー機やIC31、電子回路2の設定を行うための電子部品を電子回路2に別途設けなくとも、それらの設定を行うことができる。また、コピー機やIC31、電子回路2の設定を行うための電子部品を別途設けないため、電子部品の実装面積が大きくなることが無い。
【0049】
また、コピー機などの製品開発時に、抵抗などからなる電位レベルの検出のための電子部品を電子回路2に別途設けてコピー機の設定を行うこととすると、設定を変更する際、抵抗を付け替えるためのはんだ作業に時間を要する可能性がある。しかし、実施例2の電子回路2では、ヒートシンク40の取り付けピン41a〜41cにメタルガスケット42a〜42cを設けたり設けなかったりすることにより容易に設定情報を変更することができるので、作業効率を高めることができる。
【0050】
なお、上記実施例2では、ヒートシンク接続部34a〜34dが4つである場合について説明したが、ヒートシンク接続部は3つ以上であればよい。この場合も、各ヒートシンク接続部にメタルガスケットを設けたり設けなかったりすることにより、各ヒートシンク接続部の電位レベルをさまざまな組み合わせに設定でき、それに応じて接続判定部35にさまざまな設定情報を選択させることができる。
【0051】
また、上記実施例2では、ヒートシンクの装着状態の検出に加えて、電子回路、電子回路が組み込まれる装置、または、電子回路に組み込まれる部品の設定を行うこととしたが、ヒートシンクの取り付け方向を検出することとしてもよい。以下に、ヒートシンクの取り付け方向を検出する変形例について説明する。図5は、図3に示したヒートシンク40の取り付け方向について説明する図である。図5には、ヒートシンク40と、冷却ファン50が示されている。
【0052】
冷却ファン50は、電子回路2が組み込まれる装置の筺体に設けられ、筺体内部の高温の空気を筺体外部へ排出することにより、筺体内部を冷却するファンである。ヒートシンク40は、空気中に熱を放散する放熱フィン43a〜43fを備えている。放熱フィン43a〜43fは、図2に示したヒートシンク20と同様に、ヒートシンク40上に互いに平行に設けられている。
【0053】
冷却ファン50が排出する空気流の方向が、図5に示すように、各放熱フィン43a〜43fの互いに平行な面と平行な方向51である場合には、空気がヒートシンク40上をスムーズに流れるため、放熱効果が高くなる。これに対して、空気流の方向が、各放熱フィン43a〜43fの互いに平行な面と垂直な方向である場合には、空気流が各放熱フィン43a〜43fにより妨げられ、放熱効果が低くなる。
【0054】
この変形例では、図3に示す接続判定部35が、ヒートシンク40の取り付け方向を検出し、取り付け方向が誤っている場合に警告を発する処理を行う。すなわち、接続判定部35は、冷却ファン50の働きにより発生する空気流の方向が、各放熱フィン43a〜43fの互いに平行な面と垂直な方向51である場合に、ヒートシンク40の取り付け方向が誤っているものとして警告を発する。
【0055】
具体的には、接続判定部35は、以下のようにしてヒートシンク40の取り付け方向の検出を行う。例えば、図5に示すように、ヒートシンク40の取り付けピン41b、41c、41dにそれぞれメタルガスケット42b、42c、42dを設け、取り付けピン41aにはメタルガスケットを設けないこととする。そして、このようなヒートシンク40を図3に示した電子回路2のIC31に装着することとする。
【0056】
そして、接続判定部35は、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルを検出し、その電位レベルの検出結果を用いて、ヒートシンク40がヒートシンク接続部34a〜34dと接続されたか否かを判定するとともに、ヒートシンク40の取り付け方向が正常か否かを判定し、判定した結果をIC31に出力する。
【0057】
図6は、本変形例における接続判定部35による判定処理について説明する図である。図6に示すように、この変形例では、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルの組み合わせは7つある。なお、取り付けピン41aにはメタルガスケットを設けないので、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルがすべて「Low」になることはあり得ない。よって、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルがすべて「Low」となる場合は除外してある。
【0058】
まず、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルがすべて「High」となる場合がある。この場合、ヒートシンク40の取り付け方向を誤り、メタルガスケットが設けられていない取り付けピン41aがヒートシンク接続部34dの位置に配置されていることが考えられる。また、ヒートシンク40がヒートシンク接続部34a〜34dに適切に接続されていないことも考えられる。
【0059】
そのため、接続判定部35は、ヒートシンク40の取り付け方向が異常であるか、あるいは、ヒートシンク40がヒートシンク接続部34a〜34dに接続されていない接続異常が発生しているものと判定する。そして、接続判定部35は、ヒートシンク40の取り付け方向が異常であるか、あるいは、ヒートシンク40がIC31に適切に装着されていないかのいずれかの状況が発生していることを示す信号をIC31に出力する。
【0060】
また、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルが、それぞれ「High」、「High」、「Low」となる場合、「High」、「Low」、「High」となる場合、あるいは、「Low」、「High」、「High」となる場合がある。この変形例では、メタルガスケットを設けない取り付けピンは1つだけ(取り付けピン41a)であるので、電位レベルが「High」であるヒートシンク接続部34a〜34cが2つある場合は、ヒートシンク40がヒートシンク接続部34a〜34dに適切に接続されていないと考えられる。
【0061】
そのため、接続判定部35は、ヒートシンク40がヒートシンク接続部34a〜34dに接続されていない接続異常が発生していると判定する。そして、接続判定部35は、ヒートシンク40がIC31に適切に装着されていないことを示す信号をIC31に出力する。
【0062】
また、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルが、それぞれ「High」、「Low」、「Low」となる場合がある。この場合、メタルガスケットが設けられていない取り付けピン41aがヒートシンク接続部34aの位置に配置されていることになり、ヒートシンク40の取り付け方向は適切なものとなる。また、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルが、それぞれ「Low」、「Low」、「High」となる場合がある。この場合、メタルガスケットが設けられていない取り付けピン41aがヒートシンク接続部34cの位置に配置されていることになり、ヒートシンク40の取り付け方向は適切なものとなる。
【0063】
そのため、接続判定部35は、ヒートシンク40の取り付け方向が正常であると判定する。そして、接続判定部35は、ヒートシンク40の取り付け方向が正常であることを示す信号をIC31に出力する。
【0064】
また、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルが、それぞれ「Low」、「High」、「Low」となる場合がある。この場合、ヒートシンク40の取り付け方向を誤り、メタルガスケットが設けられていない取り付けピン41aがヒートシンク接続部34bの位置に配置されていることが考えられる。
【0065】
そのため、接続判定部35は、ヒートシンク40の取り付け方向が異常であると判定する。そして、接続判定部35は、ヒートシンク40の取り付け方向が異常であることを示す信号をIC31に出力する。
【0066】
IC31は、接続判定部35により出力された信号を受信し、受信した信号に応じて、ヒートシンク40の取り付け方向が異常であることを示す警告や、ヒートシンク40がIC31に適切に装着されていないことを示す警告を表示装置(図示せず)に表示させる。あるいは、ヒートシンク40の取り付け方向が異常であることを示す警告音や、ヒートシンク40がIC31に適切に装着されていないことを示す警告音をスピーカー装置(図示せず)に出力させる。
【0067】
なお、上記変形例では、ヒートシンクの装着状態の検出に加えて、ヒートシンクの取り付け方向を検出することとしたが、図3、4で説明したような電子回路が組み込まれる装置あるいは電子回路に組み込まれる部品の設定をさらに行うこととしてもよい。例えば、図6に示す例では、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルが、それぞれ「High」、「Low」、「Low」となる場合、および、「Low」、「Low」、「High」となる場合に、ヒートシンク40の取り付け方向が正常であると判定される。
【0068】
すなわち、正常な取り付け方向が2つあるので、そのうちの一方(例えば、電位レベルが、それぞれ「High」、「Low」、「Low」となる場合)を設定情報「model1」に対応付け、他方(例えば、電位レベルが、それぞれ「Low」、「Low」、「High」となる場合)を設定情報「model2」に対応付けることとしてもよい。
【0069】
なお、設定情報「model1」、「model2」としては、例えば、図4を用いて説明したように、電子回路2が組み込まれるコピー機の紙送り間隔などが挙げられる。具体的には、設定情報「model1」、「model2」は、それぞれa枚/分、b枚/分というような、紙送り間隔を示す情報であるものとする。
【0070】
この場合、接続判定部35は、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルの検出により、設定情報が「model1」または「model2」のいずれであるかを判定し、判定した結果を設定信号としてコピー機に出力する。この設定信号を受信したコピー機は、受信した設定信号に応じて、紙送り間隔をa枚/分、あるいは、b枚/分に設定する。これにより、ヒートシンクの装着状態の検出、ヒートシンクの取り付け方向の検出に加えて、電子回路、電子回路に組み込まれる部品、または、電子回路が組み込まれる装置の設定を行うことが可能となる。
【0071】
また、上記実施例1および2では、ヒートシンクが部品に適切に装着されているか否かを検出することとしたが、ヒートシンクが不要となった場合に、ヒートシンクが部品から適切に取り外されたことを図1あるいは図3に例示された電子回路1、2が検出することとしてもよい。
【0072】
具体的には、図1の例におけるヒートシンク20がIC11から適切に取り外された場合、ヒートシンク接続部14aの電位レベルは「High」となる。よって、その電位レベルを検出した接続判定部15は、ヒートシンク20がIC11から適切に取り外されたと判定する。また、図3の例におけるヒートシンク40がIC31から適切に取り外された場合、ヒートシンク接続部34a〜34cの電位レベルはすべて「High」となる。よって、それらの電位レベルを検出した接続判定部35は、ヒートシンク40がIC31から適切に取り外されたと判定する。
【0073】
一方、図1の例におけるヒートシンク接続部14aの電位レベルが「Low」である場合、その電位レベルを検出した接続判定部15は、ヒートシンク20がIC11から取り外されていないと判定する。また、図3の例におけるヒートシンク接続部34a〜34cのうち電位レベルが「Low」となるヒートシンク接続部34a〜34cがある場合、その電位レベルを検出した接続判定部35は、ヒートシンク20がIC11から取り外されていないと判定する。
【0074】
そして、図1あるいは図3の例における接続判定部15、35は、判定結果をIC11、31に出力する。この判定結果を受信したIC11、31は、ヒートシンク20、40がIC11、31から適切に取り外されていない場合に、表示装置(図示せず)を制御して、表示装置に警告を表示させる。あるいは、IC11、31は、スピーカー装置(図示せず)を制御して、スピーカー装置に警告音を出力させる。このようにして、図1あるいは図3の例における電子回路1、2は、ヒートシンク20、40がIC11、31から適切に取り外されていないことを検出することができる。
【0075】
以上本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1,2…電子回路、10,30…基板、11,31…IC(Integrated Circuit)、12,32…電源電圧印加端子、13,33a〜33c…抵抗、14a,14b,34a〜34d…ヒートシンク接続部、15,35…接続判定部、15a,35a〜35c…電位レベル検出部、20,40…ヒートシンク、21a〜21f,43a〜43f…放熱フィン、22…ベース部、23a,23b,41a〜41d…取り付けピン、24a,24b,42a〜42d…メタルガスケット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のヒートシンクが部品に装着された場合に該ヒートシンクと接続可能な位置に配置され、所定の電圧が印加される1つ以上の第1のヒートシンク接続部と、前記ヒートシンクが前記部品に装着された場合に該ヒートシンクと接続可能な位置に配置され、電位が接地電位に維持される第2のヒートシンク接続部とを有する基板と、
前記第1のヒートシンク接続部の電位を検出し、該電位の検出結果に基づいて前記ヒートシンクが前記第1のヒートシンク接続部および前記第2のヒートシンク接続部と接続されたか否かを判定し、判定した結果を出力する接続判定部と、
を備えることを特徴とする電子回路。
【請求項2】
前記接続判定部は、前記第1のヒートシンク接続部が複数ある場合に、各第1のヒートシンク接続部における前記電位の検出結果に基づいて、当該電子回路、当該電子回路に組み込まれる部品、または、当該電子回路が組み込まれる装置の設定信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記接続判定部は、前記電位の検出結果に基づいて、前記ヒートシンクが正常な方向に装着されたか否かをさらに判定することを特徴とする請求項1または2に記載の電子回路。
【請求項4】
導電性のヒートシンクが部品に装着された場合に該ヒートシンクと接続可能な位置に配置される1つ以上の第1のヒートシンク接続部と、該ヒートシンクが前記部品に装着された場合に該ヒートシンクと接続可能な位置に配置され、接地電位に維持される第2のヒートシンク接続部とを有する電子回路におけるヒートシンク装着検出方法であって、
前記第1のヒートシンク接続部に所定の電圧を印加した場合に、該第1のヒートシンク接続部の電位を検出する電位検出ステップと、
前記電位検出ステップにおける前記電位の検出結果に基づいて、前記ヒートシンクが前記第1のヒートシンク接続部および前記第2のヒートシンク接続部と接続されたか否かを判定する接続判定ステップと、
前記接続判定ステップにおける判定結果を出力する出力ステップと、
を含むことを特徴とするヒートシンク装着検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−114186(P2012−114186A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260893(P2010−260893)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】