説明

電子安定器一体形蛍光ランプおよび照明装置

【課題】予熱形電極予熱の適正化を図りつつ電子安定器の配線板の小形化を図ってよりコンパクトな電子安定器一体形蛍光ランプおよびこの蛍光ランプを用いた照明装置を提供すること
【解決手段】配線板31の一面を発光管8の一対の電極に対向させて基体20内に収納する。電子安定器30は、予熱形電極9X、9Yと並列接続され温度変化に応じた抵抗変化により予熱形電極の予熱電流を制御する感温抵抗素子10、11を含んでおり、この感温抵抗素子を前記配線板の一面側であって、各電極への給電用導体を接続するために互いに接近して形成されたランド34a、34b、34c、34d間に配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電球形蛍光ランプのように発光管およびこの発光管を付勢する電子安定器を一体的を備えている電子安定器一体形蛍光ランプおよび照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子安定器一体形蛍光ランプの一形態である電球形蛍光ランプとして、特許文献1のものが提案されている。この特許文献1のものは、組立てた状態での外形が略一般電球と同じとなるグローブ、カバーおよび口金を有し、さらに、主としてグローブ内に発光管を、カバー内に電子安定器を収容している。発光管はフィラメント電極側端部をカバーに支持されている。電子安定器は、配線板に電気部品を実装してなり、配線板の一面を発光管のフィラメント電極側端部に対向させてカバー内に配設されている。
【0003】
また、文献1のものは、フィラメント電極の予熱を適正に行い、かつ、通常点灯時における電力損失を低減するために、以下の構成としている。すなわち、フィラメント電極に温度負特性抵抗素子を並列接続し、かつ、この温度負特性抵抗素子を配線板のフィラメント電極側に対向する一面に実装している。
【0004】
これにより、電源投入時(放電開始以前)は温度負特性抵抗素子の温度が低く抵抗値が大きいため、並列接続されたフィラメント電極に予熱電流を流して予熱の適正化を図っている。放電開始以後は、他の電気部品からの熱および発光管からの熱を受けて温度負特性抵抗素子の温度は上昇し、その抵抗値は小さくなるため、フィラメント電極には殆ど加熱電流が流れなくなる。このため、フィラメント電極での電力損失を低減できる。
【0005】
また、温度負特性抵抗素子を配線板のフィラメント電極側に対向する一面に実装しているため、発光管特にフィラメント電極からの熱を受けやすく、温度負特性抵抗素子の温度を高い状態に維持することができる。これにより、温度負特性抵抗素子の抵抗値をより小さくして、自己およびフィラメント電極における電力損失を少なくしている。
【特許文献1】特開2004-119114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように特許文献1のものは、フィラメント電極予熱の適正化を図れるとともに、温度負特性抵抗素子およびフィラメント電極における電力損失を低減できて有効なものである。
【0007】
しかし、温度負特性抵抗素子の実装構成については、フィラメント電極側に対向する一面に実装するという点以外は格別考慮されていないため、電子安定器の配線板の小形化については十分ではなかった。
【0008】
この発明は、このような従来不足していた点を改善し、電子安定器の配線板の小形化を図ってよりコンパクトな電子安定器一体形蛍光ランプおよびこの蛍光ランプを用いた照明装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の電子安定器一体形蛍光ランプは、放電路の各端部が互いに接近するように屈曲形成されたバルブおよび放電路の各端部に設けられた少なくとも一方が予熱形電極である一対の電極を有する発光管と;発光管の放電路の各端部側を支持するとともに電源からの電力を受電するための電気接続部を有している基体と;配線板およびこの配線板に実装された電気部品を有し、かつ、配線板の一面を発光管の一対の電極に対向させて基体内に収納され、電気接続部を介して電源から給電された電力を高周波電力に変換し、一対の電極間に印加して発光管を付勢する電子安定器と;を具備し、前記電子安定器は、一対の電極の少なくとも予熱形電極と並列または一対の電極のいずれかの端部間に電気的に接続され温度変化に応じた抵抗変化により予熱形電極の予熱電流を制御する感温抵抗素子を含んでおり、この感温抵抗素子を配線板の電極に対向する一面側であって、各電極への給電用導体を接続するために互いに接近して形成されたランド間に配設していることを特徴とする。
【0010】
本発明および以下の発明において、各構成はつぎのように定義され、または、変形を許容する。
【0011】
発光管のバルブは、放電路の各端部が互いに接近するように屈曲形成されたもので、たとえばU字状、U字状のものを複数個連結したもの、各端部を同じ向きにして中間部を螺旋形状としたもの等である。このようにバルブ形状は各種のものを含み、したがって、放電路の各端部が互いに接近するようにとは、密着する程度と厳密に解釈されるのではなく、幅広い範囲のものである。
【0012】
一対の電極は少なくとも一方が予熱形電極であることを要し、他方は冷陰極であっても、予熱形電極であってもよい。また、予熱形電極であってもその両端を短絡して用いるものであってもよい。
【0013】
基体の電気接続部は、たとえばE26に代表されるようなねじ込み形の口金、ピンを有する差込み形の口金であるが、基体から導出されたリード線の先端にプラグを有しているような形態でもよい。
【0014】
電子安定器は、電源電力を高周波電力に変換するために、たとえば整流装置およびインバータを有する。インバータとしては、一石式インバータ、直列形インバータ、並列形インバータ等を用いることができる。しかし、商用電源電圧を直接高周波でスイッチングして高周波電力を出力するものであってもよい。
【0015】
電子安定器の感温抵抗素子は、正特性のもの、または負特性のものを電子安定器の主回路構成との関係で適宜使用可能である。すなわち、電子安定器がいわゆるハーフブリッジインバータと称される直列形インバータを有していて、発光管の一対の電極の非電源側端子間に共振用兼始動用のコンデンサが接続されている場合、予熱形電極と並列に用いるのは負特性のものである。この構成により、負特性抵抗素子の温度が上昇するまでは予熱形電極に予熱電流を流して適正予熱を図り、負特性抵抗素子の温度が上昇した後は予熱形電極に流れる電流を低減ないしは無くして自己および/または予熱形電極での電力損失を低減できる。
【0016】
また、上記インバータにおいて、発光管の一対の電極の非電源側端子間に共振用兼始動用のコンデンサと並列に用いる場合には、正特性のものである。この構成により、正特性の温度が上昇するまでは抵抗成分が加わることにより共振のQを下げて、強制始動することなく適正予熱を図り、正特性の温度が上昇に伴い共振のQを上げて始動電圧を印加可能となる。
【0017】
以上は、直列形インバータとの組合せ例を示したが、他の構成の電子安定器でも当業者であればその構成に応じて適宜構成可能である。
【0018】
なお、感温抵抗素子としては、温度に応じた抵抗値変化特性がどのようなものでもよく、使用目的に応じて常温時または通常点灯時に所要の抵抗値が得られるものを選定すればよい。
【0019】
配線板は、発光管が複数個のU字状管をその各端部が円周上に位置するように連結されたようなものである場合には、ランドを配線板の外寄りで一対の電極になるべく対向するように有することが望ましい。このようにすると、ランド間の感温抵抗素子は電極の熱を受け易く、かつ、電極に接続された給電用導体を伝導した熱を受易い。
【0020】
一方、各端部を接近させて同じ向きとし中間部を螺旋形状としたもののような場合には、ランドを配線板の中央寄りで一対の電極になるべく対向するように有することが望ましい。この場合も、ランド間の感温抵抗素子は電極の熱を受け易く、かつ、電極に接続された給電用導体を伝導した熱を受易い。
【0021】
本発明によれば、電子安定器と感温抵抗素子と好適な組合せにより、発光管の始動前においては、感温抵抗素子の抵抗値が作用して予熱形電極の予熱の適正化を図れる。感温抵抗素子の温度が上昇すると、そのときの抵抗値の作用により、自己および/または予熱形電極での電力損失が低減する。あるいは、発光管に所要の電圧を印加して発光管の始動を容易にする。
【0022】
また、感温抵抗素子は発光管側に対向する一面側で、かつ、各電極への給電用導体を接続するために互いに接近して形成されたランド間に配設されているため、発光管からの対流または輻射熱を受易い。さらに、各電極への給電用導体を伝導する熱も受易い。したがつて、通常点灯時には、所定の抵抗値を得易くなる。すなわち、負特性のものにあっては小さい抵抗値を、正特性のものにあっては大きい抵抗値を得ることができ、電力損失を一層小さくしたり、回路動作を設計どおりにしたりする。
【0023】
請求項2に記載の照明装置は、電源に接続されるソケットを有する照明器具本体と;照明器具本体のソケットに電気接続部を装着されることにより電気的および機械的に接続される請求項1または2記載の電子安定器一体形蛍光ランプと;を具備していることを特徴とする。
【0024】
本発明における照明器具本体は、特に用途、形態を限定されるものでなく、屋外用、屋内用、固定形、可動形のいずれでもよい。また、照明器具本体のソケットは電子安定器一体形蛍光ランプの電気接続部の形態に対応したものであればよい。
【0025】
本発明によれば、請求項1に記載の作用を有する照明装置となり、蛍光ランプを強制始動させることを無くすか程度を軽減するので、ランプ寿命を損なわずランプ交換回数が減少する。
【発明の効果】
【0026】
請求項1記載の発明は、発光管の予熱形電極の予熱を適正化でき、かつ、通常点灯時において感温抵抗素子の温度を十分高くして電力損失を低減したり、所要の回路動作を得たりすることができる。また、発光管の各電極への給電用導体を接続するために互いに接近して形成されたランド間に感温抵抗素子を配設して空きスペースを有効活用しているので、配線板の小形化、ひいては電子安定器一体形蛍光ランプの小形化を図れる。
【0027】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果と同様の効果を得られ、ランプ交換回数を減少でき、電子安定器一体形蛍光ランプが小形化した分小形の照明装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。図1は電子安定器の一例を示す回路図、図2は電子安定器一体形蛍光ランプの一実施形態を示す平面図、図3は同じく要部の分解斜視図、図4は配線板の一例を示す底面図である。
【0029】
図1において、1は商用電源、2は整流装置、3は平滑用コンデンサ、4はハーフブリッジインバータである。ハーフブリッジインバータ4は、相補形に構成された一対のスイッチング素子Q1、2を有し、スイッチング素子Q2には、帰還用の変流器5、バラスト用のインダクタ6、直流カット用のコンデンサ7、発光管8の直列回路が並列接続されている。そして、発光管8の各予熱形電極9X、9Yには負特性の感温抵抗素子10、11がそれぞれ並列接続されている。また、各予熱形電極9X、9Yの非電源側端子間には共振用のコンデンサ12が接続されている。
【0030】
前記一対のスイッチング素子Q1、2は、帰還用の変流器5の二次巻線Sの出力により交互にオンオフされるように構成されている。
【0031】
なお、一対のツェナーダイオードZD1、ZD2は一対のスイッチング素子Q1、2の保護用であり、抵抗R1、R2、R3は始動回路を構成するものである。また、コンデンサC5は、変流器5の二次巻線Sと共振して所要のゲート電圧を得るものである。
【0032】
図2、3において、8は発光管であり、U字状のバルブ8a、8b、8cを連結して構成されている。また、20は基体であり、非透光性の樹脂にて形成されている。この基体20は、一端側でホルダ21を介して発光管8を支持するとともに、他端側に電気接続部22を有している。前記ホルダ21はU字状のバルブ8a、8b、8cの各端部を挿入する孔23を有していて、この孔23に各端部を挿入した状態でシリコーン等で接着固定する。そしてこのホルダ21は基体20の一端側開口から基体20内に挿入される。
【0033】
電子安定器30は配線板31に複数の電気部品32を実装して構成されている。配線板31にはその両面に電気部品32を実装可能である。そして、図4に示すように配線板31の発光管8に対向する一面には発光管8の電極に給電する導電体33を接続するランド34a、34b、34c、34dが形成されている。ランド34a、34bは電極9Xに対応し、ランド34c、34dは電極9Yに対応するものである。本実施形態において導電体33は、発光管8から導出されるリード線35と配線板31に立設されたラッピングピン36とからなる。なお、図4では簡略化するために他の電気部品および配線の図示を省略してある。
【0034】
そして、感温抵抗素子10、11はチップ状の面実装部品として形成されたもので、ランド34a、34b、34c、34dに実装されている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】電子安定器の一例を示す回路図。
【図2】図2は電子安定器一体形蛍光ランプの一実施形態を示す平面図。
【図3】図3は同じく要部の分解斜視図。
【図4】図4は配線板の一例を示す底面図。
【符号の説明】
【0036】
8…発光管、20…基体、10、11…感温抵抗素子、30…電子安定器、34a、34b、34c、34d…ランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電路の各端部が互いに接近するように屈曲形成されたバルブおよび放電路の各端部に設けられた少なくとも一方が予熱形電極である一対の電極を有する発光管と;
発光管の放電路の各端部側を支持するとともに電源からの電力を受電するための電気接続部を有している基体と;
配線板およびこの配線板に実装された電気部品を有し、かつ、配線板の一面を発光管の一対の電極に対向させて基体内に収納され、電気接続部を介して電源から給電された電力を高周波電力に変換し、一対の電極間に印加して発光管を付勢する電子安定器と;
を具備し、
前記電子安定器は、一対の電極の少なくとも予熱形電極と並列または一対の電極のいずれかの端部間に電気的に接続され温度変化に応じた抵抗変化により予熱形電極の予熱電流を制御する感温抵抗素子を含んでおり、この感温抵抗素子を配線板の電極に対向する一面側であって、各電極への給電用導体を接続するために互いに接近して形成されたランド間に配設していることを特徴とする電子安定器一体形蛍光ランプ。
【請求項2】
電源に接続されるソケットを有する照明器具本体と;
照明器具本体のソケットに電気接続部を装着されることにより電気的および機械的に接続される請求項1または2記載の電子安定器一体形蛍光ランプと;
を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−107785(P2006−107785A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289233(P2004−289233)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】