説明

電子放出ディバイスおよび電子放出表示ディバイス

【課題】寄生キャパシタのキャパシタンスを低くして信号遅延を抑制することができる電子放出ディバイスおよび電子放出表示ディバイスを提供する。
【解決手段】本発明によれば,基板上に形成される電子放出部12と,電子放出部の電子放出を制御する少なくとも一つの駆動電極10と,少なくとも一つの駆動電極10と電気的に絶縁されて形成される集束電極18とを含み,少なくとも一つの駆動電極のうちいずれか一つが,電子放出部の電子放出に実質的に関与する有効部101,および有効部に電気的に接続される第1電圧印加部102を含み,集束電極が,電子放出部から放出された電子を集束する集束部181,および集束部に電気的に接続される第2電圧印加部182を含み,有効部および集束部が互いに異なる層に設けられ,第1電圧印加部と第2電圧印加部とが重畳されずに形成される電子放出ディバイスおよび電子放出表示ディバイスが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子放出ディバイスおよび電子放出表示ディバイスに係り,特に,寄生キャパシタのキャパシタンスを低くすることができる構造を有する電子放出ディバイスおよび電子放出表示ディバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電子放出ディバイスは,所定の駆動信号によって電子源から電子を放出するので,放出された電子を利用する多様なディバイスに適用できる。例えば,電子放出ディバイスは,任意の画面を実現する電子放出表示ディバイスに適用できる。
【0003】
このような電子放出ディバイスは,電子源の種類によって熱陰極(hot cathode)を利用する方式と,冷陰極(cold cathode)を利用する方式とに分類することができる。
【0004】
ここで,冷陰極を利用する方式の電子放出ディバイスとしては,電界放出アレイ(Field Emitter Array:FEA)型,表面伝導エミッション(Surface−Conduction Emission:SCE)型,金属−絶縁層−金属(Metal−Insulator−Metal:MIM)型,および金属−絶縁層−半導体(Metal−Insulator−Semiconductor:MIS)型などが知られている。
【0005】
電子放出ディバイスは,電子源とこのような電子源の電子放出を制御する駆動電極とを含み,電子源から放出された電子を集束するために集束電極を含むことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし,集束電極と駆動電極とが互いの間に距離をおいて重なる部位で,比較的に大きなキャパシタンス(capacitance)を有する寄生キャパシタ(parasitic capacitor)が形成されることがある。このような寄生キャパシタは,駆動電極に印加される駆動信号を遅延させるなどの信号歪曲を誘発する恐れがある。
【0007】
また,上記のような大きなキャパシタンスを有する寄生キャパシタが形成される電子放出ディバイスを電子放出表示ディバイスに適用する場合,信号遅延によって電子放出表示ディバイスの表示品質が低下する問題がある。
【0008】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,駆動電極と集束電極との間に発生する寄生キャパシタのキャパシタンスを低くして信号遅延を抑制することが可能な,新規かつ改良された電子放出ディバイス,およびこの電子放出ディバイスを使用した,表示品質を改善することが可能な電子放出表示ディバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,基板上に形成される電子放出部と,上記の電子放出部の電子放出を制御する少なくとも一つの駆動電極と,上記少なくとも一つの駆動電極と電気的に絶縁されて形成される集束電極とを含み,上記少なくとも一つの駆動電極のうちいずれか一つが,上記電子放出部の電子放出に実質的に関与する有効部と,この有効部に電気的に接続される第1電圧印加部とを含み,上記の集束電極が,上記の電子放出部から放出された電子を集束する集束部と,この集束部に電気的に接続される第2電圧印加部とを含み,上記の有効部および集束部が互いに異なる層に設けられ,上記の第1電圧印加部と第2電圧印加部とが重畳することなく形成される電子放出ディバイスが提供される。
【0010】
上記の有効部と第1電圧印加部とが互いに異なる層に形成され,上記の第1電圧印加部と第2電圧印加部とが同一層上に互いに離隔して設けられてもよい。
【0011】
また,上記の有効部を覆うように絶縁層が形成され,絶縁層上に第1電圧印加部が形成され,絶縁層に形成されたビアホールを介して第1電圧印加部と有効部とが電気的に接続されてもよい。
【0012】
また,上記の有効部と第1電圧印加部とが互いに重なる部分に対応するように,上記の絶縁層にビアホールが形成され,有効部と第1電圧印加部とがビアホールを介して電気的に接続されてもよい。
【0013】
上記の第1電圧印加部,集束部,および第2電圧印加部が,上記の絶縁層上にそれぞれ設けられてもよい。
【0014】
また,上記の第1電圧印加部と第2電圧印加部とが,電子放出部を隔てて互いに反対側に位置してもよい。また,上記の第1電圧印加部と第2電圧印加部とが,互いに平行に形成されてもよい。
【0015】
また,上記の有効部と第1電圧印加部とが同一層上に設けられ,上記の集束部および第2電圧印加部が,有効部および第1電圧印加部と異なる層に形成されてもよい。
【0016】
上記の第1電圧印加部と第2電圧印加部とが,電子放出部を隔てて互いに反対側に設けられてもよい。また,上記の第1電圧印加部と第2電圧印加部とが,互いに平行に形成されてもよい。
【0017】
上記の少なくとも一つの駆動電極のうちいずれか一つを,櫛の歯形状とすることも可能である。
【0018】
上記の有効部は,基板上に設けられる単位画素領域に対応するように別個に形成される複数の有効部を含み,第1電圧印加部は,複数の有効部に電気的に接続され,集束部は,基板上に設けられる単位画素領域に対応するように別個に形成される複数の集束部を含み,第2電圧印加部は,複数の集束部に電気的に接続され,上記の複数の有効部と複数の集束部とが各々互いに対応するように形成されてもよい。
【0019】
また,上記の少なくとも一つの駆動電極が複数の駆動電極を含み,この複数の駆動電極は,基板上に第1の方向に沿って形成される第1電極と,絶縁層を隔てて第1電極の上部に形成される第2電極とを含み,この第2電極が,有効部と第1電圧印加部とを含んでもよい。
【0020】
上記の電子放出部は,第1電極上の基板上に設けられる単位画素領域ごとに形成され,第2電極の有効部には,電子放出部に対応する開口部が形成されてもよい。
【0021】
また,上記の電子放出部が,カーボンナノチューブ,黒鉛,黒鉛ナノファイバー,ダイアモンド,ダイアモンド状カーボン,C60,およびシリコンナノワイヤーからなる群より選択された少なくとも一つの物質を含んでもよい。
【0022】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,互いに対向配置される第1基板および第2基板と,第1基板上に形成される電子放出部と,電子放出部の電子放出を制御する少なくとも一つの駆動電極と,上記少なくとも一つの駆動電極と電気的に絶縁されて形成される集束電極と,第2基板上に形成される蛍光層と,この蛍光層の一面に形成されるアノード電極とを含み,上記少なくとも一つの駆動電極のうちいずれか一つが,電子放出部の電子放出に実質的に関与する有効部と,この有効部に電気的に接続される第1電圧印加部とを含み,上記の集束電極が,電子放出部から放出された電子を集束する集束部と,この集束部に電気的に接続される第2電圧印加部とを含み,上記の有効部および集束部が互いに異なる層に設けられ,上記の第1電圧印加部と第2電圧印加部とが重畳することなく形成される電子放出表示ディバイスが提供される。
【0023】
上記の有効部と第1電圧印加部とが互いに異なる層に形成され,上記の第1電圧印加部と第2電圧印加部とが,同一層上に互いに離隔して設けられてもよい。
【0024】
上記の有効部と第1電圧印加部が同一層に位置し,上記の集束部および第2電圧印加部が,有効部および第1電圧印加部と互いに異なる層に形成されてもよい。
【0025】
上記の有効部は,第1基板上に設けられる単位画素領域に対応するように別個に形成される複数の有効部を含み,第1電圧印加部は,複数の有効部に電気的に接続され,上記の集束部は,基板上に設けられる単位画素領域に対応するように別個に形成される複数の集束部を含み,第2電圧印加部は,複数の集束部に電気的に接続され,複数の有効部と複数の集束部とが各々互いに対応するように形成されてもよい。
【0026】
上記の第1電圧印加部と第2電圧印加部とが,電子放出部を隔てて互いに反対側に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば,電極の形状を改善することで電極間の重畳領域を最小化することができ,電極によって形成された寄生キャパシタのキャパシタンス値を低くすることが可能な電子放出ディバイスおよび電子放出表示ディバイスを提供することができる。
【0028】
また,このような電子放出ディバイスが適用された本発明の電子放出表示ディバイスは,信号遅延を抑制することができるので良好な表示品質を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0030】
図1は,本発明の第1の実施形態に係る電子放出表示ディバイスの部分分解斜視図であり,図2は,図1に示した電子放出表示ディバイスの部分断面図である。そして,図3は,図1に示した電子放出表示ディバイスの部分平面図である。
【0031】
図1〜図3を参照すれば,本実施形態による電子放出表示ディバイスは,所定の間隔をおいて互いに平行に対向配置される第1基板2と第2基板4とを含む。この基板のうちの第1基板2には,電子放出のための構造物が設けられ,第2基板4には,電子によって可視光を放出して任意の発光又は表示を行う構造物が設けられる。
【0032】
まず,第1基板2上には,カソード電極6が一方向(図1中のy軸方向)に沿って形成され,カソード電極6を覆うように,第1基板2の全体に第1絶縁層8が形成される。
【0033】
第1絶縁層8上には,ゲート電極10の有効部101が,第1基板2上に設定される単位画素(サブ−ピクセル)領域ごとに個別に形成される。本実施形態では,ゲート電極10の有効部101が,各単位画素領域に別個に形成される場合について説明したが,本発明がこれに限定されるわけではなく,一つの有効部が複数の単位画素領域にわたって形成されることも可能である。
【0034】
カソード電極6上に,各単位画素に一つ以上の電子放出部12が形成され,第1絶縁層8とゲート電極10の有効部101とには,各電子放出部12に対応する開口部14が形成されて,電子放出部12が露出されるようにする。
【0035】
電子放出部12は,真空中で電界が加えられると電子を放出する物質,例えば,炭素系の物質又はナノメートルサイズの物質からなる。電子放出部12は,カーボンナノチューブ,黒鉛,黒鉛ナノファイバー,ダイアモンド,ダイアモンド状カーボン,C60,シリコンナノワイヤー,およびこれらの組み合わせ物質からなることができる。このような電子放出部12は,スクリーン印刷,直接成長,化学気相蒸着又はスパッタリングなどの方法で製造することができる。
【0036】
図1においては,電子放出部12が円形に形成され,各単位画素領域で,カソード電極6の長さ方向に沿って一列に配列される構成を示した。しかし,電子放出部12の平面形状,単位画素当りの個数,および配列形態などは,図1に示した例に限定されず,多様に変形することができる。
【0037】
そして,第1絶縁層8とゲート電極10の有効部101との上に第2絶縁層16が形成され,第2絶縁層16上に,ゲート電極10の第1電圧印加部102と集束電極18とが形成される。
【0038】
第1電圧印加部102は,有効部101の一側の周縁部に沿って,カソード電極6と直交する方向(図1中のx軸方向)に形成される。この時,第1電圧印加部102は有効部101と電気的に接続されて,有効部101に駆動電圧を印加する。このために,有効部101と第1電圧印加部102とが,第2絶縁層16において,これら有効部101と第1電圧印加部102とが互いに重なる部位に形成されたビアホール(via hole)20を介して,相互に電気的に接続される。
【0039】
集束電極18は,第1基板2上に設定される単位画素ごとに個別的に備えられ,電子放出部12から放出された電子を集束させる集束部181と,集束部181アレイの一側の周縁部に沿って,カソード電極6と直交する方向(図1中のx軸方向)に形成されて集束部181に接続される第2電圧印加部182とからなる。本実施形態では,集束電極18の集束部181が各単位画素領域に別個に形成される場合について説明したが,本発明はこれに限定されるものではなく,一つの集束部が複数の単位画素領域にわたって形成されることも可能である。
【0040】
第2絶縁層16および集束部181には,電子ビーム通過のための開口部22が形成されるが,この開口部22は,例えば,単位画素ごとに一つの開口部22が備えられて,各単位画素から放出される電子を包括的に集束させる。
【0041】
この時,平面的にみれば,ゲート電極10の第1電圧印加部102と集束電極18の第2電圧印加部182とは,電子放出部12を隔てて互いに反対側に平行に形成される。つまり,図1中のx軸方向に沿って設けられる単位画素アレイごとに,その一側にゲート電極10の第1電圧印加部102が設けられ,反対側の他側に集束電極18の第2電圧印加部182が設けられる。このように,集束電極18の集束部181と第2電圧印加部182とは,第2絶縁層16上で,ゲート電極10の電圧印加部102と離隔されて設けられるので,相互に電気短絡が起こる問題は発生しない。
【0042】
このように本実施形態では,ゲート電極10の有効部101が集束電極18の集束部181と互いに異なる層で対応する位置に形成されて,互いに重なりあう。一方,ゲート電極10の第1電圧印加部102と集束電極18の第2電圧印加部182とは,平面的にみて互いに異なる位置に形成されるので,互いに重なりあうことはない。
【0043】
つまり,本実施形態では,実質的に電子放出に関与する有効部101と,実質的に電子集束に関与する集束部181とを,互いに重畳させる。そして,電子放出又は電子集束に寄与する程度の小さい第1電圧印加部102と,第2電圧印加部182とは,互いに重ならないようにして,ゲート電極10と集束電極18の重畳領域を最小化する。このように,本実施形態では,ゲート電極10と集束電極18の重畳領域が最小化され,寄生キャパシタのキャパシタンスを効果的に減らすことができる。
【0044】
次に,第1基板2に対向する第2基板4の一面には,蛍光層24,例えば,赤色,緑色,および青色の蛍光層24が任意の間隔をおいて形成され,各蛍光層24の間に,画面のコントラスト向上のための黒色層26が形成される。
【0045】
蛍光層24および黒色層26上には,アルミニウム(Al)のような金属膜からなるアノード電極28が形成される。アノード電極28は,外部から電子ビームの加速に必要な電圧の印加を受け,蛍光層24から放射された可視光のうちの第1基板2に向かって放射された可視光を第2基板4側に反射させて,画面の輝度を高める役割を果たす。
【0046】
一方,このようなアノード電極は,ITO(Indium−Tin−Oxide)のような透明導電膜から形成することができる。この場合,アノード電極は,第2基板に向かった蛍光層および黒色層の一面に位置し,所定のパターンに区分されて複数に形成されることができる。
【0047】
前述の第1基板2および第2基板4は,その間にスペーサ30を配置した状態で,ガラスフリットのような密封材により周縁が一体に接合され,内部空間を排気させて真空状態に維持することによって,電子放出表示ディバイスを構成する。この時,スペーサ30は,黒色層26が位置する非発光領域に対応して配置される。
【0048】
上記のような構成の電子放出表示ディバイスは,外部からカソード電極6,ゲート電極10,集束電極18,およびアノード電極28に所定の電圧を印加することで駆動する。一例として,カソード電極6およびゲート電極10のうちのいずれか一つの電極に走査信号電圧を印加し,他の一つの電極にデータ信号電圧を印加し,集束電極18に数〜数十ボルトの負(−)電圧を印加し,アノード電極28に数百〜数千ボルトの正(+)電圧を印加する。
【0049】
これにより,カソード電極6とゲート電極10との間の電圧差が臨界値以上である単位画素において,電子放出部12の周囲に電界が形成され,電子放出部12から電子が放出される。放出された電子は集束電極18を通過しながら集束された後,アノード電極28に印加された高電圧に引き寄せられ,対応する蛍光層24に衝突して蛍光層24を発光させる。
【0050】
上記のように,本実施形態に係る電子放出ディバイスでは,ゲート電極10と集束電極18との重畳領域を減少させて,ゲート電極10と集束電極18との間の寄生キャパシタのキャパシタンス値を効果的に低くすることができる。したがって,本実施形態による電子放出表示ディバイスは信号遅延が抑制され,結果的に,画面の表示品質を向上させることができる。
【0051】
本実施形態で,第1基板に形成された電子放出部,および駆動電極(つまり,ゲート電極とカソード電極)は,電子放出のための電子放出ディバイスを構成し,このような電子放出ディバイスが電子放出表示ディバイスに適用された場合について説明した。しかし,本発明はこれに限定されるものではなく,電子放出を利用した多様なディバイスに本実施形態の電子放出ディバイスを適用することができる。
【0052】
図4は,本発明の第2の実施形態に係る電子放出ディバイスの部分斜視図である。
【0053】
図4を参照すれば,本実施形態に係る電子放出ディバイスでは,第1基板52上に形成されたカソード電極56を覆うように第1絶縁層58が形成され,第1絶縁層58上に,ゲート電極60の有効部601および第1電圧印加部602が形成される。図4においては,有効部601が単位画素ごとに個別に備えられ,第1電圧印加部602が一方向(図4中のx軸方向)に沿って形成されて,ゲート電極60が櫛の歯形状を有することを示したが,本発明はこのような形状に限定されない。
【0054】
そして,ゲート電極60を覆うように第2絶縁層66が形成され,第2絶縁層66上に,集束電極68の集束部681および第2電圧印加部682が形成される。図4においては,集束部681が単位画素ごとに個別に備えられ,第2電圧印加部682が一方向(図4中のx軸方向)に沿って形成されて,集束電極68が櫛の歯形状を有する場合を示したが,本発明はこのような形状に限定されない。
【0055】
平面的にみれば,ゲート電極60の第1電圧印加部602と集束電極68の第2電圧印加部682とは,電子放出部62を隔てて互いに反対側に平行に形成される。したがって,第1電圧印加部602と集束電極68の第2電圧印加部682とは,重畳することなく形成され,ゲート電極60と集束電極68との重畳領域を最小化することができる。そして,本実施形態では,ゲート電極60を成す有効部601および第1電圧印加部602を同一層上に形成することによって,より単純化された製造方法でゲート電極60を製造することができる。
【0056】
上記の実施形態では,ゲート電極が有効部および第1電圧印加部とを含む場合について説明したが,本発明はこれに限定されるものではない。したがって,電子放出部の電子放出を制御するゲート電極のうちの少なくともいずれか一つが,有効部および第1電圧印加部を含めば差し支えない。
【0057】
また,ゲート電極のうち一つの電極と,集束電極のうちの実質的な電子放出又は電子集束に寄与する程度の小さい部分との重畳を最小化する多様な構造を,本発明に適用することができる。
【0058】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は,電子放出ディバイスおよび電子放出表示ディバイスに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子放出表示ディバイスの部分分解斜視図である。
【図2】図1に示した電子放出表示ディバイスの部分断面図である。
【図3】図1に示した電子放出表示ディバイスの部分平面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る電子放出ディバイスの部分斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
2,52 第1基板
4 第2基板
6,56 カソード電極
8,58 第1絶縁層
10,60 ゲート電極
12,62 電子放出部
14,22 開口部
16,66 第2絶縁層
18,68 集束電極
20 ビアホール
24 蛍光層
26 黒色層
28 アノード電極
30 スペーサ
101,601 有効部
102,602 第1電圧印加部
181,681 集束部
182,682 第2電圧印加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成される電子放出部と;
前記電子放出部の電子放出を制御する少なくとも一つの駆動電極と;
前記少なくとも一つの駆動電極と電気的に絶縁されて形成される集束電極と;
を含み,
前記少なくとも一つの駆動電極のうちいずれか一つが,
前記電子放出部の電子放出に実質的に関与する有効部と;
前記有効部に電気的に接続される第1電圧印加部と;
を含み,
前記集束電極が,
前記電子放出部から放出された電子を集束する集束部と;
前記集束部に電気的に接続される第2電圧印加部と;
を含み,
前記有効部および前記集束部が,互いに異なる層に設けられ,
前記第1電圧印加部と前記第2電圧印加部とが,重畳することなく形成されることを特徴とする,電子放出ディバイス。
【請求項2】
前記有効部と前記第1電圧印加部とが,互いに異なる層に形成され,
前記第1電圧印加部と前記第2電圧印加部とが,同一層上に互いに離隔して設けられることを特徴とする,請求項1に記載の電子放出ディバイス。
【請求項3】
前記有効部を覆うように絶縁層が形成され,
前記絶縁層上に前記第1電圧印加部が形成され,
前記絶縁層に形成されたビアホールを介して,前記第1電圧印加部と前記有効部とが電気的に接続されることを特徴とする,請求項2に記載の電子放出ディバイス。
【請求項4】
前記有効部と前記第1電圧印加部とが,互いに重なる部分に対応するように,前記絶縁層にビアホールが形成され,前記有効部と前記第1電圧印加部とが,前記ビアホールを介して電気的に接続されることを特徴とする,請求項3に記載の電子放出ディバイス。
【請求項5】
前記第1電圧印加部,前記集束部,および前記第2電圧印加部が,前記絶縁層上にそれぞれ設けられることを特徴とする,請求項3に記載の電子放出ディバイス。
【請求項6】
前記第1電圧印加部と前記第2電圧印加部とが,前記電子放出部を隔てて互いに反対側に設けられることを特徴とする,請求項2に記載の電子放出ディバイス。
【請求項7】
前記第1電圧印加部と前記第2電圧印加部とが,互いに平行に形成されることを特徴とする,請求項6に記載の電子放出ディバイス。
【請求項8】
前記有効部と前記第1電圧印加部とが同一層上に設けられ,
前記集束部および前記第2電圧印加部が,前記有効部および前記第1電圧印加部と異なる層に形成されることを特徴とする,請求項1に記載の電子放出ディバイス。
【請求項9】
前記第1電圧印加部と前記第2電圧印加部とが,前記電子放出部を隔てて互いに反対側に設けられることを特徴とする,請求項8に記載の電子放出ディバイス。
【請求項10】
前記第1電圧印加部と前記第2電圧印加部とが,互いに平行に形成されることを特徴とする,請求項9に記載の電子放出ディバイス。
【請求項11】
前記少なくとも一つの駆動電極のうちいずれか一つが,櫛の歯形状であることを特徴とする,請求項8に記載の電子放出ディバイス。
【請求項12】
前記有効部は,前記基板上に設けられる単位画素領域に対応するように別個に形成される複数の有効部を含み,
前記第1電圧印加部は,前記複数の有効部に電気的に接続され,
前記集束部は,前記基板上に設けられる前記単位画素領域に対応するように別個に形成される複数の集束部を含み,
前記第2電圧印加部は,前記複数の集束部に電気的に接続され,
前記複数の有効部と前記複数の集束部とが,各々互いに対応するように形成されることを特徴とする,請求項1に記載の電子放出ディバイス。
【請求項13】
前記少なくとも一つの駆動電極は複数の駆動電極を含み,
前記複数の駆動電極は,前記基板上に第1の方向に沿って形成される第1電極と,絶縁層を隔てて前記第1電極の上部に形成される第2電極とを含み,
前記第2電極が,前記有効部と前記第1電圧印加部とを含むことを特徴とする,請求項1に記載の電子放出ディバイス。
【請求項14】
前記電子放出部は,前記第1電極上の前記基板上に設けられる単位画素領域ごとに形成され,
前記第2電極の有効部には,前記電子放出部に対応する開口部が形成されることを特徴とする,請求項13に記載の電子放出ディバイス。
【請求項15】
前記電子放出部が,カーボンナノチューブ,黒鉛,黒鉛ナノファイバー,ダイアモンド,ダイアモンド状カーボン,C60,およびシリコンナノワイヤーからなる群より選択された少なくとも一つの物質を含むことを特徴とする,請求項1に記載の電子放出ディバイス。
【請求項16】
互いに対向配置される第1基板および第2基板と;
前記第1基板上に形成される電子放出部と;
前記電子放出部の電子放出を制御する少なくとも一つの駆動電極と;
前記少なくとも一つの駆動電極と電気的に絶縁されて形成される集束電極と;
前記第2基板上に形成される蛍光層と;
前記蛍光層の一面に形成されるアノード電極と;
を含み,
前記少なくとも一つの駆動電極のうちいずれか一つが,
前記電子放出部の電子放出に実質的に関与する有効部と;
前記有効部に電気的に接続される第1電圧印加部と;
を含み,
前記集束電極が,
前記電子放出部から放出された電子を集束する集束部と;
前記集束部に電気的に接続される第2電圧印加部と;
を含み,
前記有効部および前記集束部が,互いに異なる層に設けられ,
前記第1電圧印加部と前記第2電圧印加部とが,重畳することなく形成されることを特徴とする,電子放出表示ディバイス。
【請求項17】
前記有効部と前記第1電圧印加部とが,互いに異なる層に形成され,
前記第1電圧印加部と前記第2電圧印加部とが,同一層上に互いに離隔して設けられることを特徴とする,請求項16に記載の電子放出表示ディバイス。
【請求項18】
前記有効部と前記第1電圧印加部とが,同一層上に設けられ,
前記集束部および前記第2電圧印加部が,前記有効部および前記第1電圧印加部と互いに異なる層に形成されることを特徴とする,請求項16に記載の電子放出表示ディバイス。
【請求項19】
前記有効部は,前記第1基板上に設けられる単位画素領域に対応するように別個に形成される複数の有効部を含み,
前記第1電圧印加部は,前記複数の有効部に電気的に接続され,
前記集束部は,前記基板上に設定される単位画素領域に対応するように別個に形成される複数の集束部を含み,
前記第2電圧印加部は,前記複数の集束部に電気的に接続され,
前記複数の有効部と前記複数の集束部とが各々互いに対応するように形成されることを特徴とする,請求項16に記載の電子放出表示ディバイス。
【請求項20】
前記第1電圧印加部と前記第2電圧印加部とが,前記電子放出部を隔てて互いに反対側に設けられることを特徴とする,請求項16に記載の電子放出表示ディバイス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−286605(P2006−286605A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−804(P2006−804)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】