説明

電子機器、およびこれを備えた携帯端末に関する。

【課題】使用者に対して振動体が視認されてしまう可能性を低減することができる電子機器、およびこれを備えた携帯端末を提供する。
【解決手段】電子機器は、ッチパネル3と、タッチパネル3の下面3bよりも上面3a側に設けられた遮光膜5と、タッチパネル3を振動させる振動体4と、を備え、タッチパネル3全反射される臨界角をθ、およびタッチパネル3の上面3aから振動体4の下面までの厚みをTとするとき、振動体4は、遮光膜5の端部51からT×tanθ以上離れた位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、およびこれを備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを備えた電子機器において、使用者がタッチパネルを操作した場合に、操作した使用者に対して、押圧感、なぞり感、肌触り感等の様々な触感を伝達する触覚伝達技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような触覚伝達技術を適用した電子機器は、表示パネルと、表示パネルと空間を介して対向して配置されたタッチパネルと、タッチパネルの背面に設けられた振動体と、タッチパネルを支持する支持体と、を備えている。電子機器では、振動体の伸縮運動に従ってタッチパネルが湾曲振動することにより、使用者に対して様々な触感を伝達することができる。
【0004】
しかしながら、上記の電子機器では、タッチパネルは、表示パネルと空間を介して対向して配置されているので、例えば、使用者が電子機器を斜めから覗き込んだ場合に、タッチパネルの背面に設けられた振動体が使用者に視認されてしまう可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−122507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者に対して振動体が視認されてしまう可能性を低減することができる電子機器、およびこれを備えた携帯端末に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器における一態様は、作部と、前記操作部の下面よりも上面側に設けられた遮光膜と、前記操作部を振動させる振動体と、を備え、前記操作部全反射される臨界角をθ、および前記操作部の上面から前記振動体の下面までの厚みをTとするとき、記振動体は、記遮光膜の端部からT×tanθ以上離れた位置に設けられている。
【0008】
本発明の電子機器における他の態様は、操作部と、前記操作部の上面よりも下面側に設けられた遮光膜と、前記操作部を振動させる振動体と、を備え、前記操作部全反射される臨界角をθ、および前記振動体の厚みをT2とするとき、記振動体は、記遮光膜の端部からT2×tanθ以上離れた位置に設けられている。
【0009】
本発明の携帯端末における一態様は、本発明に係る電子機器を筐体に備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の電子機器、およびこれを備えた携帯端末は、使用者に対して振動体が視認されてしまう可能性を低減することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子機器の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1中に示した切断線I−Iに沿って切断した断面図である。
【図3】図1中に示した切断線II−IIに沿って切断した断面図である。
【図4】図3中に示したA1の部分を拡大した図である。
【図5】電子機器の動作例を示すフローチャートである。
【図6】携帯端末の概略構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る電子機器の概略構成を示す平面図である。
【図8】図7中に示した切断線III−IIIに沿って切断した断面図である。
【図9】図7中に示した切断線IV−IVに沿って切断した断面図である。
【図10】図9中に示したA2の部分を拡大した図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る電子機器の概略構成を示す平面図である。
【図12】図11中に示した切断線V−Vに沿って切断した断面図である。
【図13】図12中に示したA3の部分を拡大した図である。
【図14】本発明の第4の実施形態に係る電子機器の概略構成を示す平面図である。
【図15】図14中に示した切断線VI−VIに沿って切断した断面図である。
【図16】図15中に示したA4の部分を拡大した図である。
【図17】本発明の第5の実施形態に係る電子機器の概略構成を示す平面図である。
【図18】図17中に示した切断線VII−VIIに沿って切断した断面図である。
【図19】図17中に示した切断線VIII−VIIIに沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、本発明の一実施形態の構成部材のうち、本発明を説明するために必要な主要部材を簡略化して示したものである。したがって、本発明に係る電子機器、およびこれを備えた携帯端末は、本明細書が参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。
【0013】
[実施の形態1]
図1〜図3に示すように、本実施形態に係る電子機器X1は、操作領域E0、および操作領域E0の外側に位置する非操作領域E1を有している。操作領域E0は、使用者によって入力操作をすることができる領域である。非操作領域E1は、使用者によって入力操作をすることができない領域である。
【0014】
電子機器X1は、液晶パネル2、タッチパネル3、振動体4、遮光膜5、基体6、枠体7、および支持体8を備えている。
【0015】
液晶パネル2は、表示のために液晶組成物を利用した表示パネルである。具体的には、液晶パネル2は、一方基板と、一方基板に対向して配置される他方基板と、一方基板と他方基板との間に介在した液晶層と、一方基板と他方基板との間に介在しかつ表示に寄与する表示部材層と、一方基板および他方基板に対して光を照射するバックライトと、を備えている。ここで、説明の便宜上、一方基板、他方基板、液晶層、表示部材層、およびバックライトの図示は省略している。なお、表示部材層としては、例えば、画素電極、配向膜、カラーフィルタ等が挙げられる。液晶パネル2の駆動方式としては、単純マトリクス駆動方式であってもよいし、アクティブマトリクス駆動方式であってもよい。
【0016】
なお、液晶パネル2の代わりに、プラズマパネル、有機ELパネル、電子ペーパ等の表示パネルを用いてもよい。ここで、有機ELパネルは、電圧を印加すると発光する物質を利用した表示パネルである。具体的には、有機ELパネルは、ジアミン類等の有機物を用いた発光体を基板に蒸着し、5〜10Vの直流電圧を印加することで表示が行われる。なお、液晶パネル2の代わりに有機ELパネルを用いた場合には、バックライトは不要とな
る。
【0017】
タッチパネル(操作部)3は、使用者が指あるいはペン等で操作した箇所を入力位置として検出する入力デバイスである。タッチパネル3は、第1主面3a、および第1主面3aの反対側に位置する第2主面3bを有している。すなわち、操作領域E0に対応するタッチパネル3の第1主面3aが、使用者により指あるいはペン等で直接操作される面となる。また、図2および図3に示すように、タッチパネル3は、液晶パネル2と空間S1を介して対向して配置されている。また、図1に示すように、タッチパネル3は、平面視して矩形状をなしているが、これに限らず、その形状については任意である。
【0018】
本実施形態では、タッチパネル3は、検出感度向上の観点から、静電容量方式のタッチパネルを用いているが、静電容量方式のタッチパネルに代えて、抵抗膜方式のタッチパネル、表面弾性波方式のタッチパネル、赤外線方式のタッチパネル、あるいは電磁誘導方式のタッチパネル等を用いてもよい。本実施形態では、タッチパネル3は、静電容量方式のタッチパネルであることから、基体と、基体上に設けられておりかつ入力位置を検出するための検出電極と、基体上に設けられておりかつ検出電極と電気的に接続された検出電極用配線と、を備えている。ここで、基体の構成材料としては、例えば、ガラス、プラスチック、あるいはアクリル等が挙げられる。
【0019】
なお、本明細書においてタッチパネル3は、タッチパネル3を保護する保護部材を含んだ状態のことであってもよいし、保護部材を含んでいない状態のことであってもよい。タッチパネル3として保護部材を含んだ状態である場合、タッチパネル3の第1主面3aは、保護部材の上面を意味していてもよいし、保護部材を除いた状態でのタッチパネル3を構成する基体の上面を意味していてもよい。また、タッチパネル3の第2主面3bは、タッチパネル3を構成する基体の下面を意味していてもよいし、タッチパネル3を構成する基体の下面に設けられた絶縁膜の下面を意味していてもよい。
【0020】
また、タッチパネル3が、上側基板と、上側基板に設けられた第1抵抗膜と、上側基板と対向して配置された下側基板と、下側基板に設けられた第2抵抗膜とを備えた抵抗膜方式のタッチパネルである場合、タッチパネル3の第1主面3aは、上側基板の上面を意味する。また、タッチパネル3の第2主面3bは、下側基板の下面を意味する。また、本発明の「操作部」は、抵抗膜方式のタッチパネルにおける下側基板のみを意味していてもよい。この場合、「操作部の第1主面」とは、下側基板の上面を意味し、「操作部の第2主面」とは、下側基板の下面を意味する。
【0021】
振動体4は、使用者による所定の入力操作を検知した場合に、タッチパネル3を湾曲振動させる役割を担う部材である。具体的には、振動体4は、タッチパネル3の短辺方向(図1を紙面上から見た場合の左右方向)に伸縮運動を繰り返すことにより、タッチパネル3の厚み方向(以下、当該方向を「上下方向」と称する)に、タッチパネル3を湾曲振動させる。なお、詳細は後述するように、振動体4は、タッチパネル3への押圧荷重を検出する役割も有している。振動体4は、非操作領域E1に対応するタッチパネル3の第2主面3bに図示しない接着部材を介して設けられている。本実施形態では、振動体4は、例えば、印加される電圧に基づいて伸縮運動を行う圧電素子であるが、これに限定されない。圧電素子の代わりに、電磁式振動体、バネ、モータ等を用いてもよい。
【0022】
本実施形態では、振動体4は、圧電素子であるので、次のような構成を有している。すなわち、振動体4は、略直方体状をなしており、その内部に、電極と活性層とが交互に積層されており、タッチパネル3の第2主面3bの近傍に位置する活性層の上には不活性層が設けられている。ここで、活性層は、分極処理された圧電材料から構成されている。また、不活性層は、分極処理されていない圧電材料、金属材料、絶縁材料から構成されてい
る。
【0023】
本実施形態では、図1に示すように、振動体4は、タッチパネル3の両方の短辺の近傍に、それぞれの短辺に沿って2つ設けられている。なお、振動体4の配置位置、個数等については、特に限定されない。例えば、振動体4は、タッチパネル3の両方の長辺の近傍に、それぞれの長辺に沿って2つ設けられていてもよいし、タッチパネル3の両方の長辺および短辺の近傍に、それぞれの長辺および短辺に沿って4つ設けられていてもよい。
【0024】
遮光膜5は、光を遮光する遮光性を有した部材である。遮光膜5は、例えば、黒色の顔料をタッチパネル3の第1主面3aに印刷することにより形成される。なお、これに代えて、遮光膜5は、遮光性を有したテープであってもよい。遮光膜5は、非操作領域E1に対応するタッチパネル3の第1主面3a上に設けられている。本実施形態では、遮光膜5は、図1に示すように、平面視において液晶パネル2を取り囲むように枠状に設けられている。
【0025】
ここで、遮光膜5に対する振動体4の配置位置について説明する。図4は、図3中に示したA1の部分を拡大した図である。まず、図4に示すように、タッチパネル3の第2主面3bで全反射される臨界角をθ、およびタッチパネル3の厚みT1と振動体4の厚みT2との和をTとする。なお、全反射とは、屈折率が大きい媒質から屈折率が小さい媒質に光が入るときに、入射光が境界面を透過せず、全て反射することを言う。全反射は、入射光がある一定の角度(臨界角)以上の場合に起こる。本実施形態では、タッチパネル3における基体の構成材料が、ガラス、プラスチック、あるいはアクリルであるので、全反射は、入射光が臨界角θ以上の場合に、タッチパネル3の第2主面3bで起こる。空気の屈折率がほぼ1であるのに対して、ガラスの屈折率は概ね1.5〜1.9、プラスチックの屈折率は概ね1.5〜1.7、アクリルの屈折率は概ね1.4〜1.5であるからである。また、ガラスの臨界角θは概ね42°、アクリルの臨界角θも概ね42°である。
【0026】
すなわち、図4中のL1を使用者の視線方向(入射光)と仮定した場合、使用者の視線方向L1が臨界角θ以上であれば、タッチパネル3の第2主面3bで全反射が起こるため、タッチパネル3の第2主面3bに設けられた振動体4は視認し難くなる。一方、使用者の視線方向L1が臨界角θ未満であれば、タッチパネル3の第2主面3bに設けられた振動体4は、その配置位置によって視認されてしまうことになる。つまり、使用者の視線方向L1が臨界角θ未満である場合に、振動体4が視認されないように、振動体4の配置位置を工夫することが重要となる。
【0027】
そこで、電子機器X1では、断面視して、振動体4は、非操作領域E1に対応するタッチパネル3の第2主面3b上において、操作領域E0側に位置する遮光膜5の端部51からT×tanθ以上離れた位置に設けられている。このようにすると、使用者の視線方向L1が臨界角θ未満であっても、臨界角θ未満で使用者がタッチパネル3の第2主面3bを覗き込める範囲に振動体4が設けられていないため、使用者に対して振動体4が視認されてしまう可能性を低減することができる。
【0028】
基体6および枠体7は、液晶パネル2を収容する役割を担う部材である。基体6は、第3主面6aを有している。基体6の第3主面6a上には、液晶パネル2が設けられている。枠体7は、図1に示すように、平面視において液晶パネル2を取り囲むように基体6の第3主面6a上に設けられている。基体6および枠体7の構成材料としては、例えば、ポリカーボネート等の樹脂、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム合金等の金属が挙げられる。ここで、基体6と枠体7とは、一体的に形成されていてもよいし、別個独立に形成されていてもよい。
【0029】
支持体8は、タッチパネル3を非操作領域E1で支持する役割を担う部材である。支持体8は、基体6の第3主面6a上に設けられている。本実施形態では、支持体8は、タッチパネル3の4つの角部C1〜C4と、角部C1,C2間と、角部C3,C4間との合計6個所に位置している。支持体8の形状は、例えば、円柱状であるが、角柱状等であってもよい。支持体8の構成材料としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、発泡ウレタン、その他のゴム類、プラスチック等が挙げられる。
【0030】
次に、電子機器X1の動作例について、図5を参照しながら説明する。
【0031】
なお、以下では、触覚伝達のうち使用者に対して押圧感を伝達する場合の電子機器X1の動作例について説明するが、電子機器X1は、押圧感以外の、例えば、なぞり感、肌触り感等の様々な触感を伝達する場合にも適用できることは勿論である。
【0032】
図5に示すように、使用者が、タッチパネル3の第1主面3aを押圧した場合に、振動体4は、タッチパネル3への押圧荷重を検出する(Op1)。ここで、振動体4の荷重検出機能について説明する。すなわち、使用者が、タッチパネル3の第1主面3aを押圧すると、タッチパネル3が下方向に湾曲する。タッチパネル3が下方向に湾曲すると、振動体4も下方向に湾曲する。つまり、タッチパネル3の第1主面3aへの押圧荷重に応じて、振動体4の湾曲量が変移する。本実施形態では、振動体4は、圧電素子であるので、湾曲量に応じた電圧に変換することができる。この結果、振動体4によりタッチパネル3への押圧荷重を検出することができる。なお、上記では、荷重検出機能を振動体4で実現している例について説明したが、これに限らず、例えば、歪みセンサ等の荷重センサによって実現してもよい。
【0033】
そして、図示しない触覚伝達ドライバは、使用者による入力操作が、表示画面に表示された入力オブジェクトに対する押圧操作である場合に、Op1にて検出された押圧荷重が閾値以上であるか否かを判定する(Op2)。なお、触覚伝達ドライバは、例えば、タッチパネル3と接続されたFPC(Flexible Printed Circuit)上に、タッチパネル3を制御するタッチパネルドライバとともに設けられている。
【0034】
そして、触覚伝達ドライバは、Op1にて検出された押圧荷重が閾値以上であると判定すれば(Op2にてYES)、振動体4をタッチパネル3の短辺方向に伸縮運動させる(Op3)。そして、Op3にて伸縮運動された振動体4によりタッチパネル3が上下方向に湾曲振動する(Op4)。これにより、タッチパネル3の第1主面3aを押圧した使用者に対して押圧感が伝達される。一方、触覚伝達ドライバは、Op1にて検出された押圧荷重が閾値未満であると判定すれば(Op2にてNO)、図5の処理を終了する。
【0035】
以上より、上記の電子機器X1は、使用者に対して振動体4が視認されてしまう可能性を低減することができる。
【0036】
次に、電子機器X1を備えた携帯端末Y1について、図6を参照しながら説明する。
【0037】
図6に示すように、携帯端末Y1は、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA等であって、上記の電子機器X1と、音声入力部101と、音声出力部102と、キー入力部103と、筐体104とを備えている。
【0038】
音声入力部101は、例えば、マイク等により構成されており、使用者の音声等が入力される。音声出力部102は、スピーカ等により構成されており、相手方からの音声等が出力される。キー入力部103は、例えば、機械的なキーにより構成される。なお、キー入力部103は、表示画面に表示された操作キーであってもよい。筐体104は、電子機
器X1、音声入力部101、音声出力部102、およびキー入力部103を収容する役割を担う部材である。
【0039】
他にも、携帯端末Y1は、必要な機能に応じて、デジタルカメラ機能部、ワンセグ放送用チューナ、赤外線通信機能部等の近距離無線通信部、および各種インタフェース等を備える場合もあるが、これらの詳細についての図示および説明は省略する。
【0040】
携帯端末Y1は、電子機器X1を備えているので、使用者に対して振動体4が視認されてしまう可能性を低減することができる。
【0041】
なお、上記では、携帯端末Y1に音声入力部101を備えている例について説明したが、これに限定されない。すなわち、携帯端末Y1には音声入力部101は備えられていなくともよい。
【0042】
[実施の形態2]
図7は、本実施形態に係る電子機器X2の概略構成を示す平面図である。図8は、図7中に示した切断線III−IIIに沿って切断した断面図である。図9は、図7中に示した切断線IV−IVに沿って切断した断面図である。図10は、図9中に示したA2の部分を拡大した図である。なお、図7〜図10において、図1〜図4と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
図7〜図10に示すように、電子機器X2では、遮光膜51が非操作領域E1に対応するタッチパネル3の第2主面3b上に設けられている点で、遮光膜5が非操作領域E1に対応するタッチパネル3の第1主面3a上に設けられている電子機器X1と比べて、異なっている。このため、電子機器X2では、振動体41は、遮光膜51上に設けられている。
【0044】
ここで、遮光膜51に対する振動体41の配置位置について説明する。図10に示すように、タッチパネル3の第2主面3bで全反射される臨界角をθ、および振動体41の厚みをT2とする。
【0045】
図10中のL1を使用者の視線方向(入射光)と仮定した場合、使用者の視線方向L1が臨界角θ以上であれば、タッチパネル3の第2主面3bで全反射が起こるため、遮光膜51上に設けられた振動体41は視認し難くなる。一方、使用者の視線方向L1が臨界角θ未満であれば、遮光膜51上に設けられた振動体41は、その配置位置によって視認されてしまうことになる。つまり、使用者の視線方向L1が臨界角θ未満である場合に、振動体41が視認されないように、振動体41の配置位置を工夫することが重要となる。
【0046】
そこで、電子機器X2では、断面視して、振動体41は、遮光膜51上において、操作領域E0側に位置する遮光膜51の端部511からT2×tanθ以上離れた位置に設けられている。このようにすると、使用者の視線方向L1が臨界角θ未満であっても、臨界角θ未満で使用者がタッチパネル3の第2主面3bを覗き込める範囲に振動体41が設けられていないため、使用者に対して振動体41が視認されてしまう可能性を低減することができる。
【0047】
また、電子機器X2では、非操作領域E1に対応するタッチパネル3の第2主面3bに遮光膜51が設けられており、この遮光膜51上に、振動体41が設けられている。このため、電子機器X2では、T2×tanθを、電子機器X1のT×tanθと比べて、短くすることができる。そのため、電子機器X2では、電子機器X1と比べて、非操作領域E1を小さくすることができる。この結果、電子機器X2では、小型化を実現することが
できる。
【0048】
以上より、上記の電子機器X2では、使用者に対して振動体41が視認されてしまう可能性を低減することができる。また、上記の電子機器X2では、電子機器X1と比べて、小型化を実現することができる。
【0049】
なお、上記の遮光膜51は、振動体41とタッチパネル3の第2主面3bとを接着させる接着部材を含んでなることが好ましい。ここで、接着部材の構成材料としては、例えば、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、シアノアクリレート樹脂、アクリル樹脂、クロロプレンゴム、スチレンブタジェンゴム等が挙げられる。遮光膜51が接着部材を含んでなると、遮光膜51とは別に接着部材を設ける必要がなく、振動体41とタッチパネル3の第2主面3bとを接着させることができる。すなわち、遮光膜を形成する工程および接着部材を形成する工程の2回の工程を経る必要がなく、遮光膜51を形成する1回の工程を経るだけで、振動体41とタッチパネル3の第2主面3bとを遮光膜51によって接着させることができる。つまり、遮光膜51が接着部材を含んでなると、製造工程を減らすことができるため、好ましい。
【0050】
[実施の形態3]
図11は、本実施形態に係る電子機器X3の概略構成を示す平面図である。図12は、図11中に示した切断線V−Vに沿って切断した断面図である。図13は、図12中に示したA3の部分を拡大した図である。なお、図11〜図13において、図1、図3、および図4と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0051】
図11〜図13に示すように、電子機器X3では、振動体4の表面4aに反射抑制膜9が設けられている点で、振動体4の表面4aに反射抑制膜9が設けられていない電子機器X1と比べて、異なっている。
【0052】
反射抑制膜9は、振動体4の表面4aの反射率よりも低い反射率を有している。反射抑制膜9は、例えば、黒色の顔料を振動体4の表面4aに印刷し、あるいは黒色の艶消し塗料を振動体4の表面4aに塗布することにより形成される。なお、艶消し塗料は、艶消し剤(例えば、微粉末シリカ、ポリエチレン微粉末等)を塗料に添加することにより、塗膜表面にミクロの凸凹を発生させ、光の乱反射により低光沢にするものである。
【0053】
なお、本実施形態では、反射抑制膜9は、振動体4の表面4a全てに設けられているが、これに限定されない。例えば、反射抑制膜9は、振動体4の表面4aの一部に設けられていてもよい。
【0054】
ここで、使用者の視線方向L1が臨界角θ以上である場合、タッチパネル3の第2主面3bで全反射が起こるが、全反射が起こった場合でも、振動体4が使用者に視認されてしまう可能性が僅かではあるがあり得る。この場合、振動体4の表面4aに反射抑制膜9が設けられていないと、外部から入射した光が振動体4の表面4aで反射することにより、使用者に対して、まぶしさ等の不快感を与えてしまう可能性がある。これに対して、電子機器X3では、振動体4の表面4aに反射抑制膜9が設けられているので、外部から入射した光は、反射抑制膜9において反射が抑制されることになる。このため、電子機器X3では、使用者に対して、まぶしさ等の不快感を与えてしまう可能性を低減することができる。
【0055】
以上より、上記の電子機器X3では、使用者に対して振動体41が視認されてしまう可能性を低減することができる。また、上記の電子機器X3では、使用者に対して、まぶし
さ等の不快感を与えてしまう可能性を低減することができる。
【0056】
[実施の形態4]
図14は、本実施形態に係る電子機器X4の概略構成を示す平面図である。図15は、図14中に示した切断線VI−VIに沿って切断した断面図である。図16は、図15中に示したA4の部分を拡大した図である。なお、図14〜図16において、図1、図3、および図4と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0057】
図14〜図16に示すように、電子機器X4では、振動体42に傾斜部421が設けられている点で、振動体4に傾斜部421が設けられていない電子機器X1と比べて、異なっている。
【0058】
振動体42は、略直方体状をなしており、タッチパネル3の第2主面3bと対向する対向面42a、対向面42aの反対側に位置する背面42b、および対向面42aと背面42bとに隣接する4つの側面42cを有している。また、振動体42は、4つの側面42cのうち操作領域E0に最も近い側面42c´と背面42bとの間に傾斜部421が設けられている。このように、電子機器X4では、振動体42に傾斜部421が設けられているので、電子機器X1と比べて、使用者に対して振動体42が視認されてしまう可能性を低減することができる。
【0059】
以上より、上記の電子機器X4では、使用者に対して振動体42が視認されてしまう可能性をより低減することができる。
【0060】
[実施の形態5]
図17は、本実施形態に係る電子機器X5の概略構成を示す平面図である。図18は、図17中に示した切断線VII−VIIに沿って切断した断面図である。図19は、図17中に示した切断線VIII−VIIIに沿って切断した断面図である。図17〜図19において、図1〜図3と同様の機能を有する構成については、同じ参照符号を付記し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
図17〜図19に示すように、電子機器X5では、実施の形態1で説明した液晶パネル2およびタッチパネル3の代わりに、入力位置の検出機能を有した液晶パネル10を備えている。
【0062】
液晶パネル10は、基体6の第3主面6aと空間S1を介して対向して配置されている。液晶パネル10は、基体6の第3主面6aに設けられた支持体8によって非操作領域E1で支持されている。また、液晶パネル10は、第1主面10a、および第1主面10aの反対側に位置する第2主面10bを有している。
【0063】
液晶パネル10は、一方基板と、一方基板に対向して配置される他方基板と、一方基板と他方基板との間に介在した液晶層と、一方基板と他方基板との間に介在しかつ表示に寄与する表示部材層と、一方基板上に設けられた光検出部と、を備えている。この光検出部が入力位置の検出機能に相当する。光検出部に外光が入射されている状態で、液晶パネル10の上に指を置くことにより、この指に対応する光検出部に入射される外光が遮断される。これにより、液晶パネル10では、外光が入射されている光検出部の検出レベルと、外光が入射されていない光検出部の検出レベルとを比較することにより、入力位置を検知することができる。
【0064】
なお、上記では、入力位置の検出機能を有した液晶パネル10として、光検出部を備え
た液晶パネルの例について説明したが、これに限定されない。例えば、入力位置の検出機能を有した液晶パネル10として、静電容量方式のタッチパネルにおける検出電極を、液晶パネル10の他方基板上に直接形成した液晶パネルであってもよい。
【0065】
また、上記では、入力位置の検出機能を有した液晶パネル10の例について説明したが、これに限定されない。液晶パネル10の代わりに、入力位置の検出機能を有したプラズマパネル、有機ELパネル、電子ペーパ等の表示パネルであってもよい。
【0066】
また、上記では、電子機器X1を備えた携帯端末Y1の例について説明したが、電子機器X1に代えて、電子機器X2〜X5のいずれかを採用してもよい。また、電子機器X2〜X5のいずれかを備えた携帯端末を採用してもよい。また、上述した実施形態は適宜に組み合わせてもよい。
【0067】
さらに、上記では、電子機器X1〜X5を触覚伝達技術に適用した例について説明したが、これに限定されない。電子機器X1〜X5は、触覚伝達技術以外に、例えば、音声を出力するパネルスピーカ、あるいは、骨伝導により音を聴くことができる技術にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0068】
X1〜X5 電子機器
Y1 携帯端末
2 液晶パネル(表示パネル)
3 タッチパネル(操作部)
4,41,42 振動体
421 傾斜部
5,51 遮光膜
6 基体
8 支持体
9 反射抑制膜
10 液晶パネル(操作部、表示パネル)
104 筐体
E0 操作領域
E1 非操作領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作部と、
前記操作部の下面よりも上面側に設けられた遮光膜と、
前記操作部を振動させる振動体と、を備え、
前記操作部全反射される臨界角をθ、および前記操作部の上面から前記振動体の下面までの厚みをTとするとき、
記振動体は、記遮光膜の端部からT×tanθ以上離れた位置に設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
作部と、
前記操作部の上面よりも下面側に設けられた遮光膜と、
前記操作部を振動させる振動体と、を備え、
前記操作部全反射される臨界角をθ、および前記振動体の厚みをT2とするとき、
記振動体は、記遮光膜の端部からT2×tanθ以上離れた位置に設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記遮光膜は、前記振動体と前記操作部の下面とを接着させる接着部材を含んでなる、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記振動体の表面には、該表面の反射率よりも低い反射率を有する反射抑制膜が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記振動体は、前記操作部の下面と対向する対向面、該対向面の反対側に位置する背面、および該対向面と該背面とに隣接する面を有しており、
前記振動体は、前記側面と前記背面との間に傾斜部が設けられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記操作部は、タッチパネルであり、
体と、
前記基体に設けられており、かつ前記操作部を持する支持体と、
前記基体に設けられており、かつ前記操作部と向して配置された表示パネルと、をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記操作部は、入力位置の検出機能を有する表示パネルであり、
体と、
前記基体に設けられており、かつ前記操作部を持する支持体と、をさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記表示パネルは、液晶パネルまたは有機ELパネルである、請求項6または7に記載の電子機器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子機器を筐体に備えた携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−138960(P2012−138960A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88453(P2012−88453)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2012−505923(P2012−505923)の分割
【原出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】