電子機器、電子機器システム及びプログラム
【課題】非使用時に不用意に電源を投入してしまうのを防止する。
【解決手段】機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチ12、シャッタボタン13を含む複数の操作機構を有するキー入力部44と、機器の電源が切断され、電源スイッチ12以外の所定の操作機構、例えばシャッタボタン13による操作状態が維持されている間は、電源スイッチ12の操作に伴う電源投入を無効化する制御部41とを備える。
【解決手段】機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチ12、シャッタボタン13を含む複数の操作機構を有するキー入力部44と、機器の電源が切断され、電源スイッチ12以外の所定の操作機構、例えばシャッタボタン13による操作状態が維持されている間は、電源スイッチ12の操作に伴う電源投入を無効化する制御部41とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンパクトタイプのデジタルカメラ等に好適な電子機器、電子機器システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の各種電子機器に適用可能な電源を制御する技術として、例えば電源オフの状態から電源スイッチが操作される押し時間を計測し、前回の電源オフ時の押し時間と一致すると電源をオンするものとして、短押しタイプと長押しタイプの起動制御装置が有するデメリットを共に解消するようにした技術が考えられている。(特許文献1)
【特許文献1】特開2006−163857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載された技術を含んで、電源スイッチの短押し操作で機器の電源をオンさせることが可能なものでは、例えばポケットやカバンの中に入れての携帯時にも、電源スイッチが不用意に誤操作されてしまうことで電源がオンし、容量が制限されている電池を無駄に消耗してしまうという不具合を生じる可能性が常に存在する。
【0004】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、非使用時に不用意に電源を投入してしまうのを確実に防止することが可能な電子機器、電子機器システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部と、上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化する電源制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記所定の操作機構は、操作状態をロックするロック構造を有した操作スイッチであることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記電源制御手段は、所定の操作機構の一定時間以上の連続的な操作を検出し、操作状態のロックとアンロックとを反転設定することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、上記請求項2記載の発明において、上記操作スイッチのロック構造は回動構造であって、ロックする回動位置とそれ以外の回動位置に回動することによりロックを設定解除するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、上記操作スイッチは、操作状態をロックする回動位置以外で、該ロックの回動位置から離間する弾性トルクを弾性部材により付与することを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記電源制御手段は、上記所定の操作機構による操作状態が解除された際に、電源の投入を実行することを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記電源制御手段は、電源が投入され、上記所定の操作機構による操作状態が維持された当初に、電源の切断を実行することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、画像を撮影する撮影手段をさらに具備し、上記所定の操作機構は、上記撮影手段での撮影を指示するシャッタボタンであることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部、及び、上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化する電源制御手段を備えた電子機器と、この電子機器の収納状態で上記所定の操作機構と対向するケース内面に、当該所定の操作機構を押圧操作する凸部を突出形成した専用ケースとからなることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部を備えた電子機器に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非使用時に不用意に電源を投入してしまうのを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下本発明をデジタルカメラに適用した場合の本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、主としてデジタルカメラ10の背面側からの外観構成を示すものである。薄板状の本体ケーシング11の上面に、電源スイッチ12、シャッタボタン13、ズームレバー14、及びスピーカ部15が配設される。
【0018】
電源スイッチ12は、装置の電源を短押しにより電源のオン/オフを指示する。シャッタボタン13は、静止画像撮影時の撮影タイミング、動画像撮影時の撮影開始及び撮影終了の各タイミングを指示する他、後述する押し込んだ状態での回動操作により電源オフ時のロック状態を維持する。
【0019】
ズームレバー14は、シャッタボタン13と同軸的に設けられたリング状部材からデジタルカメラ10の前方に延在され、シャッタボタン13を中心とした回動操作に応じて撮影レンズの焦点距離を無段階に望遠または広角方向に変化させるもので、該回動操作後は中央の中立位置まで自動復帰する。スピーカ部15は、再生モード時に音声を拡声出力する。
【0020】
また、本体ケーシング11の背面側に、表示部16、再生モードキー17、撮影モードキー18、メニュー(MENU)キー19、シーンプログラム(SP)キー20、カーソルキー21、及びセット(SET)キー22が設けられる。
【0021】
表示部16は、本体ケーシング11の背面の中央及び左側を含む大部分を占めるもので、対角3インチ弱のバックライト付きのカラーTFT液晶表示パネルで構成される。この表示部16は、撮影モード時には電子ビューファインダとして機能し、その時点で撮像している画像をモニタ表示する。一方で再生モード時に表示部16は、記録している画像の一覧表示や選択した画像の再生表示を行なう。
【0022】
再生モードキー17は、電源オフ時からの電源オン操作と再生モードの選択とを指示する。撮影モードキー18は、電源オフ時からの電源オン操作と撮影モードの選択とを指示する。
【0023】
メニューキー19は、設定メニュー選択時に操作する。シーンプログラムキー20は、予めこのデジタルカメラ10に用意されたシーンプログラム撮影を選択する場合に操作する。
【0024】
カーソルキー21は、上下左右各方向へのメニューカーソルの移動を指示し。このカーソルキー21の中央に配置されたセットキー22は、その時点で操作されているメニュー項目等の選択設定を指示する。
【0025】
次いで、図2により同デジタルカメラ10全体の電子回路の概念構成を示す。
図中、撮影モードでのモニタリング状態においては、モータ(M)31の駆動により撮影レンズ光学系32中の一部のレンズ、具体的にはズームレンズ及びフォーカスレンズの位置が適宜移動される。この撮影レンズ光学系32の撮影光軸後方の結像位置に、図示しないメカニカルシャッタを介して、固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)33が配置される。
【0026】
CCD33は、タイミング発生器(TG)34、CCDドライバ35によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力を1画面分出力する。
【0027】
この光電変換出力は、AGC/SH(Auto Gain Control/Sample Hold)回路36において、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎にその時点に設定されているISO感度に応じて自動ゲイン調整された後にサンプルホールドされ、A/D変換器37に送られる。
【0028】
A/D変換器37では、アナログの画像データをデジタルデータに変換し、カラープロセス回路38へ出力する。
【0029】
カラープロセス回路38は、デジタルの画像データに対して画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理を行ない、マトリックス変換によりデジタル値の輝度色差系の画像データYUVを生成した後にバッファコントローラ39に出力する。
【0030】
バッファコントローラ39は、カラープロセス回路38の出力する画像データYUVを、同じくカラープロセス回路38からの複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号、及びクロック信号を用いて一度バッファコントローラ19内部に書込んだ後、バッファメモリとして使用されるDRAM40にDMA転送を行なう。
【0031】
制御部41は、CPUと、ワークメモリとして使用される主記憶メモリ、動作プログラムやデータ等を固定的に記憶した不揮発性メモリ等から構成されるもので、不揮発性メモリから必要なプログラム等を読出し、該主記憶メモリに適宜必要なプログラムやデータを一時的に展開して書込みながら、このデジタルカメラ10全体の制御動作を司る。
【0032】
しかして制御部41は、上記画像データのDRAM40へのDMA転送終了後に、この画像データをバッファコントローラ39を介してDRAM40より読出し、表示コントローラ42を介してVRAM43に書込む。
【0033】
表示コントローラ42は、上記画像データをVRAM43より定期的に読出して上記表示部16に出力する。
【0034】
この表示部16は、上述した如く撮影モード時には電子ビューファインダとして機能し、表示コントローラ42からの画像データ等に基づいた表示を行なうことで、その時点で撮像系のCCD33から取込んでいる画像等をリアルタイムにモニタ表示する。一方で表示部16は、再生モード時には選択した画像等を表示する。
【0035】
このように表示部16にその時点での被写体の画像をモニタ画像としてリアルタイムに表示する、所謂スルー画像の表示状態で、静止画撮影を行ないたいタイミングでキー入力部44の一部を構成する上記シャッタボタン13を操作すると、キー入力部44からトリガ信号が発生される。
【0036】
制御部41は、このトリガ信号に応じてその時点でCCD33から取込んでいる1画面分の輝度及び色差信号のDRAM40へのDMA転送を取り止め、あらためて適正な露出条件に従ったシャッタ速度で図示しないメカニカルシャッタ及び上記CCD33を駆動して1画面分の輝度及び色差信号を得てDRAM40へ転送し、その後にこの経路を停止し、記録保存の状態に遷移する。
【0037】
この記録保存の状態では、制御部41がDRAM40に書込まれている1フレーム分の画像データYUVをバッファコントローラ39を介してY,U,Vの各コンポーネント毎に縦8画素×横8画素の基本ブロックと呼称される単位で読出して画像処理部45に書込む。この画像処理部45では、画像データを所定の画像フォーマット、例えばJPEG(Joint Photograph coding Experts Group)に従ったADCT(Adaptive Discrete Cosine Transform:適応離散コサイン変換)、エントロピ符号化方式であるハフマン符号化等のデータ圧縮処理により符号化する。
【0038】
そして、符号化した画像データを1画像分のデータファイルとして該画像処理部45から読出し、このデジタルカメラ10に着脱自在に装着される記録媒体であるメモリカード46に書込む。
【0039】
そして、1フレーム分の輝度及び色差信号の圧縮処理とメモリカード46への全圧縮データの書込み終了に伴なって、制御部41はCCD33からDRAM40への経路を再び起動する。
【0040】
また、上記制御部41にはさらに、上述したキー入力部44と、音声処理部47、フラッシュ駆動部48、及びUSBインタフェース(I/F)49が接続されている。
【0041】
キー入力部44は、上述した電源スイッチ12、シャッタボタン13、ズームレバー14、再生モードキー17、撮影モードキー18、メニューキー19、シーンプログラムキー20、カーソルキー21、及びセットキー22等の操作キースイッチを有するもので、それらの操作に伴う入力信号は直接制御部41へ送信される。
【0042】
音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備え、音声の録音時にはこのデジタルカメラ10の筐体前面に配設されたマイクロホン部50より入力された音声信号をデジタル化し、所定のデータファイル形式、例えばMP3(Moving Picture coding Experts Group−1 audio layer 3)規格にしたがってデータ圧縮して音声データファイルを作成し、上記メモリカード46へ送出する。
【0043】
一方、音声処理部47は、音声の再生時にメモリカード46から読出されてきた音声データファイルの圧縮を解いてアナログ化し、上記デジタルカメラ10の上面に設けられたスピーカ部15を駆動して、拡声放音させる。
【0044】
フラッシュ駆動部48は、静止画像撮影時に図示しないフラッシュ駆動用の大容量コンデンサを充電した上で、制御部41からの制御に基づいてキセノン放電管等で構成されるフラッシュ発光部51を撮影タイミングに同期して閃光駆動させる。
【0045】
USBインタフェース49は、USB(Universal Serial Bus)規格に準じてUSB端子52に接続されるパーソナルコンピュータやプリンタ装置等、各種外部機器との送受信を行なう。
【0046】
しかるに、撮影モード時に静止画像ではなく動画像の撮影が選択されている場合には、1回目のシャッタボタン13が操作された時点で、上述した静止画データを取得して画像処理部26でデータ圧縮し、メモリカード46へ記憶するという一連の動作を適宜フレームレート、例えば30[フレーム/秒]で連続して実行するものとして開始し、該シャッタキーが2回目に操作されるか、またはメモリカード46の残り空き容量が一定量以下となった時点でそれら一連の静止画データファイルを一括してモーションJPEGのデータファイル(AVIファイル)として設定し直す。
【0047】
また、再生モード時には、制御部41がメモリカード46に記憶されている画像データを選択的に読出し、画像処理部45で撮影モード時にデータ圧縮した手順と全く逆の手順で圧縮されている画像データを伸長し、伸長した画像データをバッファコントローラ39を介しDRAM40に保持させた上で、このDRAM40の保持内容を表示コントローラ42を介してVRAM43に記憶させ、このVRAM43より定期的に画像データを読出してビデオ信号を発生し、上記表示部16で再生表示させる。
【0048】
選択した画像データが静止画像ではなく動画像であった場合、選択した動画像ファイルを構成する個々の静止画データの再生を所定のフレームレートで時間的に連続して実行し、最後の静止画データの再生を終了した時点で、次に再生の指示がなされるまで先頭に位置する静止画データのみを用いて再生表示する。
【0049】
次いで、主として上記シャッタボタン13の詳細な構成を説明する。
図3は、シャッタボタン13とズームレバー14の主要部の構造を例示するものである。図3(A)に示す如く、デジタルカメラ10の上端面に埋設して固定されるズームケース61上でズームレバー14が回動自在に、且つ無操作状態では中立位置に自動復帰するべく取付けられる。ズームレバー14は、有底筒状のリング部材の外周面の一端からレバー部分が突出して構成される。
【0050】
さらにこのズームレバー14上に、シャッタスプリング62を貫装してシャッタボタン13が取付けられる。図3(B)に示すように、シャッタボタン13はその下面中心より下方に軸部13aが一体的に構成され、全体で傘状の構造を有する。
【0051】
しかして、シャッタボタン13の軸部13aの略中央には、一対の係止部13a1,13a1が180°の配置で突出形成されており、当該係止部13a1,13a1が貫通するべくズームレバー14の下底部中央には対応する形状の孔141が形成されている。
【0052】
この孔141を挟むようにして、一対の円孔142,142がズームレバー14の下底部中央に貫通形成される。
【0053】
上記シャッタスプリング62は、圧縮バネ及びねじりバネとして機能するコイルバネであり、一端をズームレバー14の下底部に、他端をシャッタボタン13の裏面にそれぞれ固定する。
【0054】
図4は、ズームレバー14の下底部に設けられた孔に、下側に位置する一端を挿通して固定したシャッタスプリング62の様子を示すものである。同シャッタスプリング62の上側に位置する他端は、ここでは図示しないシャッタボタン13の裏面側に設けられた孔に挿通して固定される。
【0055】
図5は、シャッタボタン13の構造を拡大して示すものである。シャッタボタン13の軸部13aから突出形成された一対の係止部13a1,13a1の上端側、シャッタボタン13の操作面に対向した位置には、それぞれ半球状の突起HB,HBが形成されている。これら突起HB,HBは、上記ズームレバー14の下底面に形成された円孔142,142に対応した大きさと配置関係とを有する。
【0056】
すなわちシャッタボタン13は、ユーザが操作しておらず、外力が何ら与えられていない状態では、シャッタスプリング62のねじりバネとしての弾性により、軸部13aに突出形成された一対の係止部13a1,13a1がそのままズームレバー14の孔141を貫通可能な角度に維持される。
【0057】
したがって、ユーザが撮影モード時にシャッタボタン13をそのまま例えば右手人差し指の操作により直下に押圧操作した場合、一対の係止部13a1,13a1は孔141を貫通し、撮影の指示操作がなされたことが検出される。
【0058】
図6(A)はこのときのシャッタボタン13とズームレバー14、ズームケース61、シャッタスプリング62等の配置構成を示すものであり、シャッタボタン13はユーザの押圧操作により自由にストロークできる状態を示す。
【0059】
なお、シャッタボタン13の軸部13aの下端に当接される側には、図示はしないがシャッタボタン13の操作、例えば2段階の操作ストロークを検出する機構が設けられるが、その構成自体は一般的なデジタルカメラと同様であるものとし、ここではその図示と説明とを省略するものとする。
【0060】
図7(A)は、このときのシャッタボタン13の軸部13aとズームレバー14の孔141とを下面側から見たとの位置関係を示すものである。すなわち、軸部13aの係止部13a1,13a1がズームレバー14の孔141を挿通している状態を示し、シャッタボタン13を押圧操作することで所定範囲内で自由にストロークさせることが可能となる。
【0061】
しかるに、シャッタボタン13を押圧操作し、軸部13aの一対の係止部13a1,13a1がズームレバー14の孔141を越えた状態でそのストローク軸を中心に略90°シャッタボタン13の操作面を回動させるような操作を行なった場合を考える。シャッタスプリング62はその両端がシャッタボタン13とズームレバー14とに固定されて、ねじりバネとして機能するので、当然ながらその回動操作により回動操作に応じた弾性を発生し、該回動操作に抵抗する力として作用する。
【0062】
しかして、シャッタスプリング62のねじりバネとしての弾性に抗したままシャッタボタン13を上述した如く略90°回動し、その回動状態のままシャッタボタン13の押圧操作を解除することで、係止部13a1,13a1の上面に形成された突起HB,HBが円孔142,142に係止される。この場合、シャッタスプリング62は圧縮バネとしても機能し、それらの係止を解除するためのねじりバネとしての力を上回って、突起HB,HBを円孔142,142に係止し続ける力として作用するため、結果としてシャッタボタン13の操作状態をロックすることができる。
【0063】
図6(B)は、このシャッタボタン13をロック状態としたときのシャッタボタン13とズームレバー14、ズームケース61、シャッタスプリング62等の配置構成を示すものであり、ここではシャッタボタン13の係止部13a1,13a1の向きが変わっていないのに対して、ズームレバー14、ズームケース61側が90°回動された位置であることがわかる。
【0064】
図7(B)は、このときのシャッタボタン13の軸部13aとズームレバー14の孔141とを下面側から見たとの位置関係を示す。同図(B)では、軸部13aの係止部13a1,13a1に形成された突起HB,HBが、ここでは図示しないシャッタスプリング62の圧縮バネとしての弾性によりズームレバー14の下底面の円孔142,142に裏面側から係止されることで、シャッタボタン13が操作状態のままロックされている状態を示す。
【0065】
なお、このシャッタボタン13のロック状態を解除するためには、シャッタボタン13を回動操作することなくただ単にストローク方向に軽く押圧操作する。これにより突起HB,HBの円孔142,142への係止が解かれ、シャッタスプリング62のねじりバネとしての弾性によりシャッタボタン13が自動的に90°回動して元の回動角度に復帰する。
【0066】
したがって、その状態からシャッタボタン13の押圧操作を解くことで、係止部13a1,13a1が孔141を通過することができるようになり、結果としてシャッタボタン13のロックを解除することができる。
【0067】
次に、上記のようなシャッタボタン13のロック機構を有するデジタルカメラ10での動作について説明する。
図8は、電源をオンさせる電源スイッチ12、再生モードキー17、及び撮影モードキー18のいずれかの操作に関して制御部41が実行する基本的な処理内容を示すものである。同図では、上記電源をオンさせるためのキー操作がなされたか否かを繰返し判断することで(ステップA01)、それらのうちのいずれかが操作されるのを待機する。
【0068】
しかして、上記いずれかのキー操作により電源をオンさせる指示がなされた場合、ステップA01でこれを判断し、その時点でシャッタボタン13がオン操作されているか否かにより上記シャッタボタン13が上記図6(B)、または図7(B)で示したロック状態となっているか否かを判断する(ステップA02)。
【0069】
ここでシャッタボタン13がオン操作されていると判断した場合には、電源をオンさせる操作と同時にシャッタボタン13が操作されていることになり、シャッタボタン13を上述した如くロック状態としたままでデジタルカメラ10をポケットやカバン等に入れ、誤って電源をオンさせる操作がなされたものであると判断し、そのキー操作を無効として再び上記ステップA01からの処理に戻る。
【0070】
また、上記ステップA02でシャッタボタン13はオン操作されておらずオフのままであると判断した場合には、上記電源をオンさせる操作がユーザの意図に基づく正規の操作であるものとして、操作されたキーに対応した各種動作モードを起動し(ステップA03)、以後そのモードでの動作に移行するものとする。
【0071】
このように、電源スイッチ12以外のキースイッチであるシャッタボタン13での操作状態に応じて電源オン操作が正規のものであるかどうかを判断するものとしたので、非使用時に不用意に電源を投入してしまうのを確実に防止することが可能となる。
【0072】
なお、本実施の形態では、電源スイッチ12以外の所定の操作機構として、例えばシャッタボタン13の操作状態をロックするようなロック機構を用いるものとしたため、ロック状態を解除することにより即時電源をオン操作することができ、撮影動作等、迅速に必要な動作を実行できる。
【0073】
この場合、特にシャッタボタン13を所定の操作機構としてロック機構を用いるものとしたことにより、この種のデジタルカメラでカメラ自体のサイズを小さくしたとしても、操作性を維持するためにある程度のサイズが確実に確保され、且つどのように動作を自動化するにしても確実に必要となる操作機構であるため、実現が容易となる。
【0074】
また、シャッタボタン13をロック状態とするに当たっては、押圧操作した状態からの回動操作を行なうものとし、確実に係止していない状態では、シャッタスプリング62により元の回動位置に戻ろうとする回動トルクを付与するものとした。
これにより、ロック状態を解除するための手間が簡易で、即時ロック状態を解除して電源をオンする操作に移行できる。
【0075】
なお、上記実施の形態では所定の操作機構がロック状態となる機械的な構成を有するものとして説明したが、本発明はこれに限らず、例えば機器の制御部が所定の操作機構に対し、一定の時間以上操作されるのを常時モニタリングするものとし、そのような一定時間以上の連続した操作があった場合にロック状態とアンロック状態とを反転設定するものとしてもよい。
【0076】
こうすることで、特別なロック機構を必要とせず、機器の制御ソフトウェア上で所定の操作機構のロックとアンロックとを制御できるため、操作機構のサイズ等に制限されることなく、適切な操作機構を選択して、使い勝手を向上することができる。
【0077】
また、上記実施の形態では、シャッタボタン13のロック操作と電源スイッチ12の操作の双方に応じて電源をオンするものとして説明したが、例えばシャッタボタン13のロック操作を解除した場合に電源スイッチ12の操作を省略して自動的に電源をオンし、あるいはシャッタボタン13をロックした場合には自動的に電源もオフするなど、所定の操作機構による操作状態を設定した当初、あるいは解除された際に、それに伴って電源の制御も自動化するものとしてもよく、そうすることで必要な手間を簡略化してより使い勝手のよい機器とすることができる。
【0078】
(第2の実施の形態)
以下本発明をデジタルカメラに適用した場合の本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0079】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10に関し、その外観構成は上記図1で示したものと、電子回路の概念構成は上記図2で示したものと、それぞれ基本的に同様であるものとして、同一部分には同一符号を用い、それらの図示と説明は省略するものとする。
【0080】
なお、本実施の形態にあっては、キー入力部44の一部を構成するシャッタボタン13は、上記図3乃至図7で説明したようなロック機構を持たず、所謂、半押しと全押しの2段階の操作ストロークでユーザの押圧操作を検出することができるのみであるものとする。
【0081】
図9は、デジタルカメラ10をこのデジタルカメラ10専用の第1のセミハードケース71に収納する場合を示している。図9(A)に示す如く、セミハードケース71は上蓋式のケースで、デジタルカメラ10をその底面側から落とし込んで収納した後に、セミハードケース71と一体になった上蓋72を閉じることで完全にデジタルカメラ10の位置を固定して収納できる。
【0082】
この場合、上蓋72の内面で、上記シャッタボタン13に当接される位置には予め半球状の突起73が固定的に配設されており、デジタルカメラ10を収納して、図9(B)中で矢印A1に示すように上蓋72を閉じた状態では、該突起73がシャッタボタン13を押圧操作した状態で維持することとなる。
【0083】
図10は、上記図9の構成に代えて、デジタルカメラ10をこのデジタルカメラ10専用の第2のセミハードケース81に収納する場合を示している。図10(A)に示す如く、セミハードケース81は横蓋式のケースで、デジタルカメラ10をその左端側からスライドして収納した後に、セミハードケース81と一体になった横蓋82を閉じることで完全にデジタルカメラ10の位置を固定して収納できる。
【0084】
この場合、図では説明のためにあえて一部を切り開いた状態で示しているが、セミハードケース81の内面で、上記シャッタボタン13に当接される位置には予め半球状の突起83が固定的に配設されており、デジタルカメラ10を収納して、図10(B)中で矢印A2に示すように横蓋82を閉じた状態では、該突起83がシャッタボタン13を押圧操作した状態で維持することとなる。
【0085】
図11は、上記図9、図10の構成に代えて、デジタルカメラ10をこのデジタルカメラ10専用の第3のセミハードケース91に収納する場合を示している。
ここでは、上記図9、図10でのシャッタボタン13に代えて、ズームレバー14を「T(Tele:望遠)」側に操作した場合を検出することで、電源スイッチ12の操作による電源オン動作を無効化するものとする。
【0086】
図11に示す如く、第3のセミハードケース91は横蓋式のケースで、デジタルカメラ10をその左端側からスライドして収納した後に、セミハードケース91と一体になった横蓋92を閉じることで完全にデジタルカメラ10の位置を固定して収納できる。
【0087】
この場合、セミハードケース91の内面で、上記ズームレバー14に当接される、シャッタボタン13の正面よりやや右寄りの位置には予め三角板状の突起93が固定的に配設されており、図中で矢印A3に示すようにデジタルカメラ10をスライドして収納した状態で、ズームレバー14が「T」側に回動操作した状態で維持されることとなる。
【0088】
図12は、上記図9乃至図11の構成に代えて、デジタルカメラ10をこのデジタルカメラ10専用の第4のセミハードケース101に収納する場合を、一部で当該セミハードケース101を透視化して示している。
ここでは、上記図9、図10でのシャッタボタン13、図11でのズームレバー14に代えて、表示部16がタッチパネル機能も入力して任意の押圧位置の座標を入力することができるものとし、該タッチパネル上の所定の2点、例えば左上端と左下端を押圧操作した場合を検出することで、電源スイッチ12の操作による電源オン動作を無効化するものとする。
【0089】
図11(A)、(B)に示す如く、第4のセミハードケース101は横蓋式のケースで、デジタルカメラ10をその左端側からスライドして収納した後に、セミハードケース101と一体になった横蓋102を閉じることで完全にデジタルカメラ10の位置を固定して収納できる。
【0090】
この場合、セミハードケース101の内面で、表示部16の上述した所定位置には予め半球状の突起103,104が固定的に配設されており、デジタルカメラ10をスライドして収納した状態で、突起103,104がタッチパネルの所定位置を押圧操作した状態で維持されることとなる。
【0091】
以上図9乃至図12の構成いずれによっても、電源スイッチ12、再生モードキー17、及び撮影モードキー18のいずれかの操作に関して制御部41は、上記図8で示した内容と同様に、それらのキー操作により電源をオンさせる指示がなされた場合、その時点でシャッタボタン13(またはズームレバー14、あるいは表示部16のタッチパネルの所定位置)がオン操作されているか否かにより専用のセミハードケース71(81,91,101)に収納されているか否かを判断する。
【0092】
ここでケースに収納されていると判断した場合には、誤って電源をオンさせる操作がなされたものであると判断し、そのキー操作を無効とする。
【0093】
一方で、ケースに収納されてはいないと判断した場合には、上記電源をオンさせる操作がユーザの意図に基づく正規の操作であるものとして、操作されたキーに対応した各種動作モードを起動し、以後そのモードでの動作に移行するものとする。
【0094】
このように、電源スイッチ12以外のキースイッチであるシャッタボタン13、あるいはズームレバー14、あるいは表示部16がタッチパネルを有する場合には当該タッチパネルでの操作状態に応じて電源オン操作が正規のものであるかどうかを判断するものとしたので、非使用時に不用意に電源を投入してしまうのを確実に防止することが可能となる。
【0095】
加えて、専用のセミハードケースにデジタルカメラ10を収納することで、デジタルカメラ10側には第1の実施の形態で説明したような特別なロック機構を必要とせず、デジタルカメラ10側の制御ソフトウェア上で制御できるため、操作機構のサイズ等に制限されることなく、適切な操作機構を選択して、使い勝手を向上することができる。
【0096】
なお、上記第1及び第2の実施の形態は、本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明したものであるが、本発明はこれに限らず、携帯して使用し、使用時に電源のオン操作が必要なものであれば、電子辞書、PDA(Personal Digital Assistants:個人向け情報携帯端末)、ハンドヘルドタイプのパーソナルコンピュータ、携帯音楽プレーヤ等の各種電子機器でも同様に適用可能となることは勿論である。
【0097】
その他、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施の形態で実行される機能は可能な限り適宜組合わせて実施しても良い。上述した実施の形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラの主として背面側の外観構成を示す斜視図。
【図2】同実施の形態に係るデジタルカメラの電子回路の機能構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態に係るシャッタボタン及びズームレバーの構造を示す斜視図。
【図4】同実施の形態に係るズームレバーとシャッタスプリングの配置構成を示す斜視図。
【図5】同実施の形態に係るシャッタボタン単体の構成を示す斜視図。
【図6】同実施の形態に係るシャッタボタンのロック構造を説明する図。
【図7】同実施の形態に係るシャッタボタンの軸部の係止部とズームレバーの円孔との係止状態を例示する斜視図。
【図8】同実施の形態に係る電源スイッチ操作に対する電源投入の処理内容を示すフローチャート。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るデジタルカメラと専用の第1のセミハードケースの構成例を示す一部を透視した斜視図。
【図10】同実施の形態に係るデジタルカメラと専用の第2のセミハードケースの構成例を示す一部を透視して示す斜視図。
【図11】同実施の形態に係るデジタルカメラと専用の第3のセミハードケースの構成例を示す一部を透視して示す平面図。
【図12】同実施の形態に係るデジタルカメラと専用の第4のセミハードケースの構成例を示す一部を透視して示す図。
【符号の説明】
【0099】
10…デジタルカメラ、11…本体ケーシング、12…電源スイッチ、13…シャッタボタン、13a…、13a1…係止部、…、14…ズームレバー、141…孔、142…円孔、15…スピーカ部、16…表示部、17…再生モードキー、18…撮影モードキー、19…メニュー(MENU)キー、20…シーンプログラム(SP)キー、21…カーソルキー、22…セット(SET)キー、31…モータ(M)、32…撮影レンズ光学系、33…CCD、34…タイミング発生器(TG)、35…CCDドライバ、36…AGC/SH回路、37…A/D変換器、38…カラープロセス回路、39…バッファコントローラ、40…DRAM、41…制御部、42…表示コントローラ、43…VRAM、44…キー入力部、45…画像処理部、46…メモリカード、47…音声処理部、48…フラッシュ駆動部、49…USBインタフェース(I/F)、50…マイクロホン部、51…フラッシュ発光部、52…USB端子、61…ズームケース、62…シャッタスプリング、71…第1のセミハードケース、72…上蓋、73…突起、81…第2のセミハードケース、82…横蓋、83…突起、91…第3のセミハードケース、92…上蓋、93…突起、101…第4のセミハードケース、102…横蓋、103,104…突起、HB…突起。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンパクトタイプのデジタルカメラ等に好適な電子機器、電子機器システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の各種電子機器に適用可能な電源を制御する技術として、例えば電源オフの状態から電源スイッチが操作される押し時間を計測し、前回の電源オフ時の押し時間と一致すると電源をオンするものとして、短押しタイプと長押しタイプの起動制御装置が有するデメリットを共に解消するようにした技術が考えられている。(特許文献1)
【特許文献1】特開2006−163857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載された技術を含んで、電源スイッチの短押し操作で機器の電源をオンさせることが可能なものでは、例えばポケットやカバンの中に入れての携帯時にも、電源スイッチが不用意に誤操作されてしまうことで電源がオンし、容量が制限されている電池を無駄に消耗してしまうという不具合を生じる可能性が常に存在する。
【0004】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、非使用時に不用意に電源を投入してしまうのを確実に防止することが可能な電子機器、電子機器システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部と、上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化する電源制御手段とを具備したことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記所定の操作機構は、操作状態をロックするロック構造を有した操作スイッチであることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記電源制御手段は、所定の操作機構の一定時間以上の連続的な操作を検出し、操作状態のロックとアンロックとを反転設定することを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、上記請求項2記載の発明において、上記操作スイッチのロック構造は回動構造であって、ロックする回動位置とそれ以外の回動位置に回動することによりロックを設定解除するものであることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、上記請求項4記載の発明において、上記操作スイッチは、操作状態をロックする回動位置以外で、該ロックの回動位置から離間する弾性トルクを弾性部材により付与することを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記電源制御手段は、上記所定の操作機構による操作状態が解除された際に、電源の投入を実行することを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、上記電源制御手段は、電源が投入され、上記所定の操作機構による操作状態が維持された当初に、電源の切断を実行することを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、画像を撮影する撮影手段をさらに具備し、上記所定の操作機構は、上記撮影手段での撮影を指示するシャッタボタンであることを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部、及び、上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化する電源制御手段を備えた電子機器と、この電子機器の収納状態で上記所定の操作機構と対向するケース内面に、当該所定の操作機構を押圧操作する凸部を突出形成した専用ケースとからなることを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部を備えた電子機器に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、非使用時に不用意に電源を投入してしまうのを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下本発明をデジタルカメラに適用した場合の本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、主としてデジタルカメラ10の背面側からの外観構成を示すものである。薄板状の本体ケーシング11の上面に、電源スイッチ12、シャッタボタン13、ズームレバー14、及びスピーカ部15が配設される。
【0018】
電源スイッチ12は、装置の電源を短押しにより電源のオン/オフを指示する。シャッタボタン13は、静止画像撮影時の撮影タイミング、動画像撮影時の撮影開始及び撮影終了の各タイミングを指示する他、後述する押し込んだ状態での回動操作により電源オフ時のロック状態を維持する。
【0019】
ズームレバー14は、シャッタボタン13と同軸的に設けられたリング状部材からデジタルカメラ10の前方に延在され、シャッタボタン13を中心とした回動操作に応じて撮影レンズの焦点距離を無段階に望遠または広角方向に変化させるもので、該回動操作後は中央の中立位置まで自動復帰する。スピーカ部15は、再生モード時に音声を拡声出力する。
【0020】
また、本体ケーシング11の背面側に、表示部16、再生モードキー17、撮影モードキー18、メニュー(MENU)キー19、シーンプログラム(SP)キー20、カーソルキー21、及びセット(SET)キー22が設けられる。
【0021】
表示部16は、本体ケーシング11の背面の中央及び左側を含む大部分を占めるもので、対角3インチ弱のバックライト付きのカラーTFT液晶表示パネルで構成される。この表示部16は、撮影モード時には電子ビューファインダとして機能し、その時点で撮像している画像をモニタ表示する。一方で再生モード時に表示部16は、記録している画像の一覧表示や選択した画像の再生表示を行なう。
【0022】
再生モードキー17は、電源オフ時からの電源オン操作と再生モードの選択とを指示する。撮影モードキー18は、電源オフ時からの電源オン操作と撮影モードの選択とを指示する。
【0023】
メニューキー19は、設定メニュー選択時に操作する。シーンプログラムキー20は、予めこのデジタルカメラ10に用意されたシーンプログラム撮影を選択する場合に操作する。
【0024】
カーソルキー21は、上下左右各方向へのメニューカーソルの移動を指示し。このカーソルキー21の中央に配置されたセットキー22は、その時点で操作されているメニュー項目等の選択設定を指示する。
【0025】
次いで、図2により同デジタルカメラ10全体の電子回路の概念構成を示す。
図中、撮影モードでのモニタリング状態においては、モータ(M)31の駆動により撮影レンズ光学系32中の一部のレンズ、具体的にはズームレンズ及びフォーカスレンズの位置が適宜移動される。この撮影レンズ光学系32の撮影光軸後方の結像位置に、図示しないメカニカルシャッタを介して、固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)33が配置される。
【0026】
CCD33は、タイミング発生器(TG)34、CCDドライバ35によって走査駆動され、一定周期毎に結像した光像に対応する光電変換出力を1画面分出力する。
【0027】
この光電変換出力は、AGC/SH(Auto Gain Control/Sample Hold)回路36において、アナログ値の信号の状態でRGBの各原色成分毎にその時点に設定されているISO感度に応じて自動ゲイン調整された後にサンプルホールドされ、A/D変換器37に送られる。
【0028】
A/D変換器37では、アナログの画像データをデジタルデータに変換し、カラープロセス回路38へ出力する。
【0029】
カラープロセス回路38は、デジタルの画像データに対して画素補間処理及びγ補正処理を含むカラープロセス処理を行ない、マトリックス変換によりデジタル値の輝度色差系の画像データYUVを生成した後にバッファコントローラ39に出力する。
【0030】
バッファコントローラ39は、カラープロセス回路38の出力する画像データYUVを、同じくカラープロセス回路38からの複合同期信号、メモリ書込みイネーブル信号、及びクロック信号を用いて一度バッファコントローラ19内部に書込んだ後、バッファメモリとして使用されるDRAM40にDMA転送を行なう。
【0031】
制御部41は、CPUと、ワークメモリとして使用される主記憶メモリ、動作プログラムやデータ等を固定的に記憶した不揮発性メモリ等から構成されるもので、不揮発性メモリから必要なプログラム等を読出し、該主記憶メモリに適宜必要なプログラムやデータを一時的に展開して書込みながら、このデジタルカメラ10全体の制御動作を司る。
【0032】
しかして制御部41は、上記画像データのDRAM40へのDMA転送終了後に、この画像データをバッファコントローラ39を介してDRAM40より読出し、表示コントローラ42を介してVRAM43に書込む。
【0033】
表示コントローラ42は、上記画像データをVRAM43より定期的に読出して上記表示部16に出力する。
【0034】
この表示部16は、上述した如く撮影モード時には電子ビューファインダとして機能し、表示コントローラ42からの画像データ等に基づいた表示を行なうことで、その時点で撮像系のCCD33から取込んでいる画像等をリアルタイムにモニタ表示する。一方で表示部16は、再生モード時には選択した画像等を表示する。
【0035】
このように表示部16にその時点での被写体の画像をモニタ画像としてリアルタイムに表示する、所謂スルー画像の表示状態で、静止画撮影を行ないたいタイミングでキー入力部44の一部を構成する上記シャッタボタン13を操作すると、キー入力部44からトリガ信号が発生される。
【0036】
制御部41は、このトリガ信号に応じてその時点でCCD33から取込んでいる1画面分の輝度及び色差信号のDRAM40へのDMA転送を取り止め、あらためて適正な露出条件に従ったシャッタ速度で図示しないメカニカルシャッタ及び上記CCD33を駆動して1画面分の輝度及び色差信号を得てDRAM40へ転送し、その後にこの経路を停止し、記録保存の状態に遷移する。
【0037】
この記録保存の状態では、制御部41がDRAM40に書込まれている1フレーム分の画像データYUVをバッファコントローラ39を介してY,U,Vの各コンポーネント毎に縦8画素×横8画素の基本ブロックと呼称される単位で読出して画像処理部45に書込む。この画像処理部45では、画像データを所定の画像フォーマット、例えばJPEG(Joint Photograph coding Experts Group)に従ったADCT(Adaptive Discrete Cosine Transform:適応離散コサイン変換)、エントロピ符号化方式であるハフマン符号化等のデータ圧縮処理により符号化する。
【0038】
そして、符号化した画像データを1画像分のデータファイルとして該画像処理部45から読出し、このデジタルカメラ10に着脱自在に装着される記録媒体であるメモリカード46に書込む。
【0039】
そして、1フレーム分の輝度及び色差信号の圧縮処理とメモリカード46への全圧縮データの書込み終了に伴なって、制御部41はCCD33からDRAM40への経路を再び起動する。
【0040】
また、上記制御部41にはさらに、上述したキー入力部44と、音声処理部47、フラッシュ駆動部48、及びUSBインタフェース(I/F)49が接続されている。
【0041】
キー入力部44は、上述した電源スイッチ12、シャッタボタン13、ズームレバー14、再生モードキー17、撮影モードキー18、メニューキー19、シーンプログラムキー20、カーソルキー21、及びセットキー22等の操作キースイッチを有するもので、それらの操作に伴う入力信号は直接制御部41へ送信される。
【0042】
音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備え、音声の録音時にはこのデジタルカメラ10の筐体前面に配設されたマイクロホン部50より入力された音声信号をデジタル化し、所定のデータファイル形式、例えばMP3(Moving Picture coding Experts Group−1 audio layer 3)規格にしたがってデータ圧縮して音声データファイルを作成し、上記メモリカード46へ送出する。
【0043】
一方、音声処理部47は、音声の再生時にメモリカード46から読出されてきた音声データファイルの圧縮を解いてアナログ化し、上記デジタルカメラ10の上面に設けられたスピーカ部15を駆動して、拡声放音させる。
【0044】
フラッシュ駆動部48は、静止画像撮影時に図示しないフラッシュ駆動用の大容量コンデンサを充電した上で、制御部41からの制御に基づいてキセノン放電管等で構成されるフラッシュ発光部51を撮影タイミングに同期して閃光駆動させる。
【0045】
USBインタフェース49は、USB(Universal Serial Bus)規格に準じてUSB端子52に接続されるパーソナルコンピュータやプリンタ装置等、各種外部機器との送受信を行なう。
【0046】
しかるに、撮影モード時に静止画像ではなく動画像の撮影が選択されている場合には、1回目のシャッタボタン13が操作された時点で、上述した静止画データを取得して画像処理部26でデータ圧縮し、メモリカード46へ記憶するという一連の動作を適宜フレームレート、例えば30[フレーム/秒]で連続して実行するものとして開始し、該シャッタキーが2回目に操作されるか、またはメモリカード46の残り空き容量が一定量以下となった時点でそれら一連の静止画データファイルを一括してモーションJPEGのデータファイル(AVIファイル)として設定し直す。
【0047】
また、再生モード時には、制御部41がメモリカード46に記憶されている画像データを選択的に読出し、画像処理部45で撮影モード時にデータ圧縮した手順と全く逆の手順で圧縮されている画像データを伸長し、伸長した画像データをバッファコントローラ39を介しDRAM40に保持させた上で、このDRAM40の保持内容を表示コントローラ42を介してVRAM43に記憶させ、このVRAM43より定期的に画像データを読出してビデオ信号を発生し、上記表示部16で再生表示させる。
【0048】
選択した画像データが静止画像ではなく動画像であった場合、選択した動画像ファイルを構成する個々の静止画データの再生を所定のフレームレートで時間的に連続して実行し、最後の静止画データの再生を終了した時点で、次に再生の指示がなされるまで先頭に位置する静止画データのみを用いて再生表示する。
【0049】
次いで、主として上記シャッタボタン13の詳細な構成を説明する。
図3は、シャッタボタン13とズームレバー14の主要部の構造を例示するものである。図3(A)に示す如く、デジタルカメラ10の上端面に埋設して固定されるズームケース61上でズームレバー14が回動自在に、且つ無操作状態では中立位置に自動復帰するべく取付けられる。ズームレバー14は、有底筒状のリング部材の外周面の一端からレバー部分が突出して構成される。
【0050】
さらにこのズームレバー14上に、シャッタスプリング62を貫装してシャッタボタン13が取付けられる。図3(B)に示すように、シャッタボタン13はその下面中心より下方に軸部13aが一体的に構成され、全体で傘状の構造を有する。
【0051】
しかして、シャッタボタン13の軸部13aの略中央には、一対の係止部13a1,13a1が180°の配置で突出形成されており、当該係止部13a1,13a1が貫通するべくズームレバー14の下底部中央には対応する形状の孔141が形成されている。
【0052】
この孔141を挟むようにして、一対の円孔142,142がズームレバー14の下底部中央に貫通形成される。
【0053】
上記シャッタスプリング62は、圧縮バネ及びねじりバネとして機能するコイルバネであり、一端をズームレバー14の下底部に、他端をシャッタボタン13の裏面にそれぞれ固定する。
【0054】
図4は、ズームレバー14の下底部に設けられた孔に、下側に位置する一端を挿通して固定したシャッタスプリング62の様子を示すものである。同シャッタスプリング62の上側に位置する他端は、ここでは図示しないシャッタボタン13の裏面側に設けられた孔に挿通して固定される。
【0055】
図5は、シャッタボタン13の構造を拡大して示すものである。シャッタボタン13の軸部13aから突出形成された一対の係止部13a1,13a1の上端側、シャッタボタン13の操作面に対向した位置には、それぞれ半球状の突起HB,HBが形成されている。これら突起HB,HBは、上記ズームレバー14の下底面に形成された円孔142,142に対応した大きさと配置関係とを有する。
【0056】
すなわちシャッタボタン13は、ユーザが操作しておらず、外力が何ら与えられていない状態では、シャッタスプリング62のねじりバネとしての弾性により、軸部13aに突出形成された一対の係止部13a1,13a1がそのままズームレバー14の孔141を貫通可能な角度に維持される。
【0057】
したがって、ユーザが撮影モード時にシャッタボタン13をそのまま例えば右手人差し指の操作により直下に押圧操作した場合、一対の係止部13a1,13a1は孔141を貫通し、撮影の指示操作がなされたことが検出される。
【0058】
図6(A)はこのときのシャッタボタン13とズームレバー14、ズームケース61、シャッタスプリング62等の配置構成を示すものであり、シャッタボタン13はユーザの押圧操作により自由にストロークできる状態を示す。
【0059】
なお、シャッタボタン13の軸部13aの下端に当接される側には、図示はしないがシャッタボタン13の操作、例えば2段階の操作ストロークを検出する機構が設けられるが、その構成自体は一般的なデジタルカメラと同様であるものとし、ここではその図示と説明とを省略するものとする。
【0060】
図7(A)は、このときのシャッタボタン13の軸部13aとズームレバー14の孔141とを下面側から見たとの位置関係を示すものである。すなわち、軸部13aの係止部13a1,13a1がズームレバー14の孔141を挿通している状態を示し、シャッタボタン13を押圧操作することで所定範囲内で自由にストロークさせることが可能となる。
【0061】
しかるに、シャッタボタン13を押圧操作し、軸部13aの一対の係止部13a1,13a1がズームレバー14の孔141を越えた状態でそのストローク軸を中心に略90°シャッタボタン13の操作面を回動させるような操作を行なった場合を考える。シャッタスプリング62はその両端がシャッタボタン13とズームレバー14とに固定されて、ねじりバネとして機能するので、当然ながらその回動操作により回動操作に応じた弾性を発生し、該回動操作に抵抗する力として作用する。
【0062】
しかして、シャッタスプリング62のねじりバネとしての弾性に抗したままシャッタボタン13を上述した如く略90°回動し、その回動状態のままシャッタボタン13の押圧操作を解除することで、係止部13a1,13a1の上面に形成された突起HB,HBが円孔142,142に係止される。この場合、シャッタスプリング62は圧縮バネとしても機能し、それらの係止を解除するためのねじりバネとしての力を上回って、突起HB,HBを円孔142,142に係止し続ける力として作用するため、結果としてシャッタボタン13の操作状態をロックすることができる。
【0063】
図6(B)は、このシャッタボタン13をロック状態としたときのシャッタボタン13とズームレバー14、ズームケース61、シャッタスプリング62等の配置構成を示すものであり、ここではシャッタボタン13の係止部13a1,13a1の向きが変わっていないのに対して、ズームレバー14、ズームケース61側が90°回動された位置であることがわかる。
【0064】
図7(B)は、このときのシャッタボタン13の軸部13aとズームレバー14の孔141とを下面側から見たとの位置関係を示す。同図(B)では、軸部13aの係止部13a1,13a1に形成された突起HB,HBが、ここでは図示しないシャッタスプリング62の圧縮バネとしての弾性によりズームレバー14の下底面の円孔142,142に裏面側から係止されることで、シャッタボタン13が操作状態のままロックされている状態を示す。
【0065】
なお、このシャッタボタン13のロック状態を解除するためには、シャッタボタン13を回動操作することなくただ単にストローク方向に軽く押圧操作する。これにより突起HB,HBの円孔142,142への係止が解かれ、シャッタスプリング62のねじりバネとしての弾性によりシャッタボタン13が自動的に90°回動して元の回動角度に復帰する。
【0066】
したがって、その状態からシャッタボタン13の押圧操作を解くことで、係止部13a1,13a1が孔141を通過することができるようになり、結果としてシャッタボタン13のロックを解除することができる。
【0067】
次に、上記のようなシャッタボタン13のロック機構を有するデジタルカメラ10での動作について説明する。
図8は、電源をオンさせる電源スイッチ12、再生モードキー17、及び撮影モードキー18のいずれかの操作に関して制御部41が実行する基本的な処理内容を示すものである。同図では、上記電源をオンさせるためのキー操作がなされたか否かを繰返し判断することで(ステップA01)、それらのうちのいずれかが操作されるのを待機する。
【0068】
しかして、上記いずれかのキー操作により電源をオンさせる指示がなされた場合、ステップA01でこれを判断し、その時点でシャッタボタン13がオン操作されているか否かにより上記シャッタボタン13が上記図6(B)、または図7(B)で示したロック状態となっているか否かを判断する(ステップA02)。
【0069】
ここでシャッタボタン13がオン操作されていると判断した場合には、電源をオンさせる操作と同時にシャッタボタン13が操作されていることになり、シャッタボタン13を上述した如くロック状態としたままでデジタルカメラ10をポケットやカバン等に入れ、誤って電源をオンさせる操作がなされたものであると判断し、そのキー操作を無効として再び上記ステップA01からの処理に戻る。
【0070】
また、上記ステップA02でシャッタボタン13はオン操作されておらずオフのままであると判断した場合には、上記電源をオンさせる操作がユーザの意図に基づく正規の操作であるものとして、操作されたキーに対応した各種動作モードを起動し(ステップA03)、以後そのモードでの動作に移行するものとする。
【0071】
このように、電源スイッチ12以外のキースイッチであるシャッタボタン13での操作状態に応じて電源オン操作が正規のものであるかどうかを判断するものとしたので、非使用時に不用意に電源を投入してしまうのを確実に防止することが可能となる。
【0072】
なお、本実施の形態では、電源スイッチ12以外の所定の操作機構として、例えばシャッタボタン13の操作状態をロックするようなロック機構を用いるものとしたため、ロック状態を解除することにより即時電源をオン操作することができ、撮影動作等、迅速に必要な動作を実行できる。
【0073】
この場合、特にシャッタボタン13を所定の操作機構としてロック機構を用いるものとしたことにより、この種のデジタルカメラでカメラ自体のサイズを小さくしたとしても、操作性を維持するためにある程度のサイズが確実に確保され、且つどのように動作を自動化するにしても確実に必要となる操作機構であるため、実現が容易となる。
【0074】
また、シャッタボタン13をロック状態とするに当たっては、押圧操作した状態からの回動操作を行なうものとし、確実に係止していない状態では、シャッタスプリング62により元の回動位置に戻ろうとする回動トルクを付与するものとした。
これにより、ロック状態を解除するための手間が簡易で、即時ロック状態を解除して電源をオンする操作に移行できる。
【0075】
なお、上記実施の形態では所定の操作機構がロック状態となる機械的な構成を有するものとして説明したが、本発明はこれに限らず、例えば機器の制御部が所定の操作機構に対し、一定の時間以上操作されるのを常時モニタリングするものとし、そのような一定時間以上の連続した操作があった場合にロック状態とアンロック状態とを反転設定するものとしてもよい。
【0076】
こうすることで、特別なロック機構を必要とせず、機器の制御ソフトウェア上で所定の操作機構のロックとアンロックとを制御できるため、操作機構のサイズ等に制限されることなく、適切な操作機構を選択して、使い勝手を向上することができる。
【0077】
また、上記実施の形態では、シャッタボタン13のロック操作と電源スイッチ12の操作の双方に応じて電源をオンするものとして説明したが、例えばシャッタボタン13のロック操作を解除した場合に電源スイッチ12の操作を省略して自動的に電源をオンし、あるいはシャッタボタン13をロックした場合には自動的に電源もオフするなど、所定の操作機構による操作状態を設定した当初、あるいは解除された際に、それに伴って電源の制御も自動化するものとしてもよく、そうすることで必要な手間を簡略化してより使い勝手のよい機器とすることができる。
【0078】
(第2の実施の形態)
以下本発明をデジタルカメラに適用した場合の本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0079】
なお、本実施の形態に係るデジタルカメラ10に関し、その外観構成は上記図1で示したものと、電子回路の概念構成は上記図2で示したものと、それぞれ基本的に同様であるものとして、同一部分には同一符号を用い、それらの図示と説明は省略するものとする。
【0080】
なお、本実施の形態にあっては、キー入力部44の一部を構成するシャッタボタン13は、上記図3乃至図7で説明したようなロック機構を持たず、所謂、半押しと全押しの2段階の操作ストロークでユーザの押圧操作を検出することができるのみであるものとする。
【0081】
図9は、デジタルカメラ10をこのデジタルカメラ10専用の第1のセミハードケース71に収納する場合を示している。図9(A)に示す如く、セミハードケース71は上蓋式のケースで、デジタルカメラ10をその底面側から落とし込んで収納した後に、セミハードケース71と一体になった上蓋72を閉じることで完全にデジタルカメラ10の位置を固定して収納できる。
【0082】
この場合、上蓋72の内面で、上記シャッタボタン13に当接される位置には予め半球状の突起73が固定的に配設されており、デジタルカメラ10を収納して、図9(B)中で矢印A1に示すように上蓋72を閉じた状態では、該突起73がシャッタボタン13を押圧操作した状態で維持することとなる。
【0083】
図10は、上記図9の構成に代えて、デジタルカメラ10をこのデジタルカメラ10専用の第2のセミハードケース81に収納する場合を示している。図10(A)に示す如く、セミハードケース81は横蓋式のケースで、デジタルカメラ10をその左端側からスライドして収納した後に、セミハードケース81と一体になった横蓋82を閉じることで完全にデジタルカメラ10の位置を固定して収納できる。
【0084】
この場合、図では説明のためにあえて一部を切り開いた状態で示しているが、セミハードケース81の内面で、上記シャッタボタン13に当接される位置には予め半球状の突起83が固定的に配設されており、デジタルカメラ10を収納して、図10(B)中で矢印A2に示すように横蓋82を閉じた状態では、該突起83がシャッタボタン13を押圧操作した状態で維持することとなる。
【0085】
図11は、上記図9、図10の構成に代えて、デジタルカメラ10をこのデジタルカメラ10専用の第3のセミハードケース91に収納する場合を示している。
ここでは、上記図9、図10でのシャッタボタン13に代えて、ズームレバー14を「T(Tele:望遠)」側に操作した場合を検出することで、電源スイッチ12の操作による電源オン動作を無効化するものとする。
【0086】
図11に示す如く、第3のセミハードケース91は横蓋式のケースで、デジタルカメラ10をその左端側からスライドして収納した後に、セミハードケース91と一体になった横蓋92を閉じることで完全にデジタルカメラ10の位置を固定して収納できる。
【0087】
この場合、セミハードケース91の内面で、上記ズームレバー14に当接される、シャッタボタン13の正面よりやや右寄りの位置には予め三角板状の突起93が固定的に配設されており、図中で矢印A3に示すようにデジタルカメラ10をスライドして収納した状態で、ズームレバー14が「T」側に回動操作した状態で維持されることとなる。
【0088】
図12は、上記図9乃至図11の構成に代えて、デジタルカメラ10をこのデジタルカメラ10専用の第4のセミハードケース101に収納する場合を、一部で当該セミハードケース101を透視化して示している。
ここでは、上記図9、図10でのシャッタボタン13、図11でのズームレバー14に代えて、表示部16がタッチパネル機能も入力して任意の押圧位置の座標を入力することができるものとし、該タッチパネル上の所定の2点、例えば左上端と左下端を押圧操作した場合を検出することで、電源スイッチ12の操作による電源オン動作を無効化するものとする。
【0089】
図11(A)、(B)に示す如く、第4のセミハードケース101は横蓋式のケースで、デジタルカメラ10をその左端側からスライドして収納した後に、セミハードケース101と一体になった横蓋102を閉じることで完全にデジタルカメラ10の位置を固定して収納できる。
【0090】
この場合、セミハードケース101の内面で、表示部16の上述した所定位置には予め半球状の突起103,104が固定的に配設されており、デジタルカメラ10をスライドして収納した状態で、突起103,104がタッチパネルの所定位置を押圧操作した状態で維持されることとなる。
【0091】
以上図9乃至図12の構成いずれによっても、電源スイッチ12、再生モードキー17、及び撮影モードキー18のいずれかの操作に関して制御部41は、上記図8で示した内容と同様に、それらのキー操作により電源をオンさせる指示がなされた場合、その時点でシャッタボタン13(またはズームレバー14、あるいは表示部16のタッチパネルの所定位置)がオン操作されているか否かにより専用のセミハードケース71(81,91,101)に収納されているか否かを判断する。
【0092】
ここでケースに収納されていると判断した場合には、誤って電源をオンさせる操作がなされたものであると判断し、そのキー操作を無効とする。
【0093】
一方で、ケースに収納されてはいないと判断した場合には、上記電源をオンさせる操作がユーザの意図に基づく正規の操作であるものとして、操作されたキーに対応した各種動作モードを起動し、以後そのモードでの動作に移行するものとする。
【0094】
このように、電源スイッチ12以外のキースイッチであるシャッタボタン13、あるいはズームレバー14、あるいは表示部16がタッチパネルを有する場合には当該タッチパネルでの操作状態に応じて電源オン操作が正規のものであるかどうかを判断するものとしたので、非使用時に不用意に電源を投入してしまうのを確実に防止することが可能となる。
【0095】
加えて、専用のセミハードケースにデジタルカメラ10を収納することで、デジタルカメラ10側には第1の実施の形態で説明したような特別なロック機構を必要とせず、デジタルカメラ10側の制御ソフトウェア上で制御できるため、操作機構のサイズ等に制限されることなく、適切な操作機構を選択して、使い勝手を向上することができる。
【0096】
なお、上記第1及び第2の実施の形態は、本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明したものであるが、本発明はこれに限らず、携帯して使用し、使用時に電源のオン操作が必要なものであれば、電子辞書、PDA(Personal Digital Assistants:個人向け情報携帯端末)、ハンドヘルドタイプのパーソナルコンピュータ、携帯音楽プレーヤ等の各種電子機器でも同様に適用可能となることは勿論である。
【0097】
その他、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施の形態で実行される機能は可能な限り適宜組合わせて実施しても良い。上述した実施の形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件により適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラの主として背面側の外観構成を示す斜視図。
【図2】同実施の形態に係るデジタルカメラの電子回路の機能構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態に係るシャッタボタン及びズームレバーの構造を示す斜視図。
【図4】同実施の形態に係るズームレバーとシャッタスプリングの配置構成を示す斜視図。
【図5】同実施の形態に係るシャッタボタン単体の構成を示す斜視図。
【図6】同実施の形態に係るシャッタボタンのロック構造を説明する図。
【図7】同実施の形態に係るシャッタボタンの軸部の係止部とズームレバーの円孔との係止状態を例示する斜視図。
【図8】同実施の形態に係る電源スイッチ操作に対する電源投入の処理内容を示すフローチャート。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るデジタルカメラと専用の第1のセミハードケースの構成例を示す一部を透視した斜視図。
【図10】同実施の形態に係るデジタルカメラと専用の第2のセミハードケースの構成例を示す一部を透視して示す斜視図。
【図11】同実施の形態に係るデジタルカメラと専用の第3のセミハードケースの構成例を示す一部を透視して示す平面図。
【図12】同実施の形態に係るデジタルカメラと専用の第4のセミハードケースの構成例を示す一部を透視して示す図。
【符号の説明】
【0099】
10…デジタルカメラ、11…本体ケーシング、12…電源スイッチ、13…シャッタボタン、13a…、13a1…係止部、…、14…ズームレバー、141…孔、142…円孔、15…スピーカ部、16…表示部、17…再生モードキー、18…撮影モードキー、19…メニュー(MENU)キー、20…シーンプログラム(SP)キー、21…カーソルキー、22…セット(SET)キー、31…モータ(M)、32…撮影レンズ光学系、33…CCD、34…タイミング発生器(TG)、35…CCDドライバ、36…AGC/SH回路、37…A/D変換器、38…カラープロセス回路、39…バッファコントローラ、40…DRAM、41…制御部、42…表示コントローラ、43…VRAM、44…キー入力部、45…画像処理部、46…メモリカード、47…音声処理部、48…フラッシュ駆動部、49…USBインタフェース(I/F)、50…マイクロホン部、51…フラッシュ発光部、52…USB端子、61…ズームケース、62…シャッタスプリング、71…第1のセミハードケース、72…上蓋、73…突起、81…第2のセミハードケース、82…横蓋、83…突起、91…第3のセミハードケース、92…上蓋、93…突起、101…第4のセミハードケース、102…横蓋、103,104…突起、HB…突起。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部と、
上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化する電源制御手段と
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
上記所定の操作機構は、操作状態をロックするロック構造を有した操作スイッチであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
上記電源制御手段は、所定の操作機構の一定時間以上の連続的な操作を検出し、操作状態のロックとアンロックとを反転設定することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
上記操作スイッチのロック構造は回動構造であって、ロックする回動位置とそれ以外の回動位置に回動することによりロックを設定解除するものであることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
上記操作スイッチは、操作状態をロックする回動位置以外で、該ロックの回動位置から離間する弾性トルクを弾性部材により付与することを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
上記電源制御手段は、上記所定の操作機構による操作状態が解除された際に、電源の投入を実行することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
上記電源制御手段は、電源が投入され、上記所定の操作機構による操作状態が維持された当初に、電源の切断を実行することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項8】
画像を撮影する撮影手段をさらに具備し、
上記所定の操作機構は、上記撮影手段での撮影を指示するシャッタボタンであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項9】
機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部、及び、上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化する電源制御手段を備えた電子機器と、
この電子機器の収納状態で上記所定の操作機構と対向するケース内面に、当該所定の操作機構を押圧操作する凸部を突出形成した専用ケースと
からなることを特徴とする電子機器システム。
【請求項10】
機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部を備えた電子機器に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、
上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化するステップを
コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部と、
上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化する電源制御手段と
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
上記所定の操作機構は、操作状態をロックするロック構造を有した操作スイッチであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
上記電源制御手段は、所定の操作機構の一定時間以上の連続的な操作を検出し、操作状態のロックとアンロックとを反転設定することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
上記操作スイッチのロック構造は回動構造であって、ロックする回動位置とそれ以外の回動位置に回動することによりロックを設定解除するものであることを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
上記操作スイッチは、操作状態をロックする回動位置以外で、該ロックの回動位置から離間する弾性トルクを弾性部材により付与することを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
上記電源制御手段は、上記所定の操作機構による操作状態が解除された際に、電源の投入を実行することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
上記電源制御手段は、電源が投入され、上記所定の操作機構による操作状態が維持された当初に、電源の切断を実行することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項8】
画像を撮影する撮影手段をさらに具備し、
上記所定の操作機構は、上記撮影手段での撮影を指示するシャッタボタンであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項9】
機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部、及び、上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化する電源制御手段を備えた電子機器と、
この電子機器の収納状態で上記所定の操作機構と対向するケース内面に、当該所定の操作機構を押圧操作する凸部を突出形成した専用ケースと
からなることを特徴とする電子機器システム。
【請求項10】
機器の電源の投入及び切断を指示する電源スイッチを含む複数の操作機構を有する操作部を備えた電子機器に内蔵されたコンピュータが実行するプログラムであって、
上記電源スイッチ以外の所定の操作機構による操作状態が維持されている間は、上記電源スイッチの操作に伴う電源投入を無効化するステップを
コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−228220(P2008−228220A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67360(P2007−67360)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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