説明

電子機器および電子時計

【課題】二次電池に加工を行うことなく、挿入されている電池が一次電池であるか二次電池であるかをすぐに判別することができる。
【解決手段】電源部107は、電池を挿入可能であり、挿入された電池が出力する電力を供給する。太陽電池108は、電源部107に挿入された電池を充電する。CPU101は、電源部107に挿入された電池の電圧値を検出し、検出した電圧値が所定の閾値以下である場合、電源部107に挿入された電池は二次電池であると判定し、検出した電圧値が所定の閾値よりも大きい場合、電源部107に挿入された電池は一次電池であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器および電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーラー時計の二次電池としてCTL1616が使用されるが、一次電池(リチウム電池)であるCR1616と同じサイズである。そのため、ソーラー時計の電池交換時に、誤ってCR1616が挿入されたり、CTL1616の入手が困難なためCR1616が挿入されたりするケースが発生している。CTL1616を使用するソーラー時計にCR1616が挿入された場合、電池の発熱などが起こる可能性がある。
【0003】
そこで、一次電池と二次電池とを判別する技術が知られている。具体的には、二次電池の形状を変化させることで、一次電池と二次電池とを判別する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、所定時間使用した際の電圧差から一次電池と二次電池とを判別する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。また、二次電池の一方の電極にシールを貼り付けることにより、一次電池と二次電池とを判別する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−14601号公報
【特許文献2】特許2990104号公報
【特許文献3】特開2006−331668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、二次電池の形状を変化させる方法では、二次電池の形状を変化させるために特殊な加工を行う必要があるという問題がある。また、所定時間使用した際の電位差から一次電池と二次電池とを判別する方法では、判別までに時間がかかるため、正規のCTL1616を挿入した場合でもすぐに使用することができないという問題がある。また、二次電池の一方の電極にシールを貼り付ける方法では、二次電池にシールを貼り付ける加工が必要であるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上述の事情を鑑みてなされたものであり、二次電池に加工を行うことなく、挿入されている電池が一次電池であるか二次電池であるかをすぐに判別することができる電子機器および電子時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電池を挿入可能であり、挿入された前記電池が出力する電力を供給する電源部と、前記電源部に挿入された前記電池を充電する充電部と、前記電源部に挿入された前記電池の電圧値を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値以下である場合、前記電源部に挿入された前記電池は二次電池であると判定し、前記電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値よりも大きい場合、前記電源部に挿入された前記電池は一次電池であると判定する電池種別判定部と、を備えたことを特徴とする電子機器である。
【0008】
また、本発明の電子機器において、前記電池種別判定部は、前記電源部に挿入された前記電池は一次電池であると判定した場合、前記電源部に前記一次電池が挿入されていることを報知する異常処理を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、表示部を備え、前記電池種別判定部は、前記異常処理として前記表示部にエラーメッセージを表示させることを特徴とする電子機器である。
【0010】
また、本発明は、表示部を備え、前記電池種別判定部は、前記異常処理として前記表示部の表示を消去することを特徴とする電子機器である。
【0011】
また、本発明は、入力を受け付ける入力部を備え、前記電池種別判定部は、前記異常処理として前記入力部が受け付ける入力を無効にすることを特徴とする電子機器である。
【0012】
また、本発明の電子機器において、前記一次電池はCR1616であり、前記二次電池はCTL1616であり、前記電源部が挿入可能な前記電池は、前記CTL1616と同一形状の電池であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、電池を挿入可能であり、挿入された前記電池が出力する電力を供給する電源部と、前記電源部に挿入された前記電池を充電する充電部と、前記電源部に挿入された前記電池の電圧値を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値以下である場合、前記電源部に挿入された前記電池は二次電池であると判定し、前記電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値よりも大きい場合、前記電源部に挿入された前記電池は一次電池であると判定する電池種別判定部と、を備えたことを特徴とする電子時計である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電源部は、電池を挿入可能であり、挿入された電池が出力する電力を供給する。また、充電部は、電源部に挿入された電池を充電する。また、電圧検出部は、電源部に挿入された電池の電圧値を検出する。また、電池種別判定部は、電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値以下である場合、電源部に挿入された電池は二次電池であると判定し、電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値よりも大きい場合、電源部に挿入された電池は一次電池であると判定する。これにより、電源部に挿入された電池の電圧値を検出することで、電源部に挿入された電池種別を判定することができる。従って、二次電池に加工を行うことなく、挿入されている電池が一次電池であるか二次電池であるかをすぐに判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態における電子時計の構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態における電源部と、太陽電池と、逆流防止回路と、過充電防止回路との回路構成を示した回路図である。
【図3】本実施形態における電子時計の電池種別判定処理の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態では、電子機器の一例として、太陽電池を備えた電子時計の例を用いて説明する。図1は、本実施形態における電子時計の構成を示したブロック図である。図示する例では、電子時計100は、CPU101(電圧検出部、電池種別判定部)と、発振回路102と、分周回路103と、入力部104と、ROM(Read Only Memory、読み出し専用メモリ)105と、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)106と、電源部107と、太陽電池108(充電部)と、逆流防止回路109と、表示部110とを備える。
【0017】
CPU101は、電子時計100が備える各部の制御を行う。また、CPU101は、電源部107に挿入されている電池の電圧を検出する。また、CPU101は、電源部107に挿入されている電池の種別を判定する。発振回路102は、所定周波数の信号を出力する。分周回路103は、発振回路102の出力信号を所定分周比で分周してCPU101用の規準クロック信号や計時用の時計信号を出力する。入力部104は、外部から操作可能なスイッチによって構成されており、入力を受け付ける。ROM105は、CPU101が実行するプログラムを予め記憶している。RAM106は、電子時計100が用いるデータを記憶する。
【0018】
電源部107は、二次電池であるCTL1616を挿入することが可能な電池ボックスを備え、電池ボックスに挿入されたCTL1616の電力を電子時計100が備える各部に供給する。電源部107に挿入されるCTL1616は交換可能である。なお、CTL1616と、一次電池(リチウム電池)であるCR1616との形状は同じである。そのため、電源部107に挿入されているCTL1616の交換時に、誤ってCR1616が挿入されたり、CTL1616の入手が困難なためCR1616が挿入されたりすることも考えられる。なお、CTL1616が出力する最大電圧は、約2.6Vである。また、CR1616の初期電圧は3V以上である。
【0019】
CTL1616の代わりにCR1616が電源部107に挿入された場合、CR1616は一次電池であるため発熱する可能性がある。従って、本実施形態では、電子時計100は、電源投入時もしくはリセット時などに、電源部107に挿入されている電池種別の判定処理を行い、判定結果に基づいて実行する処理を変更する。なお、電池種別判定処理の詳細手順については後述する。
【0020】
太陽電池108は、受光した光の強度に応じた電力を発電し、電源部107に挿入されているCTL1616を充電する。逆流防止回路109は、電源部107から太陽電池108に電流が流れないように制御する回路である。表示部110は例えば液晶ディスプレイであり、時刻等の情報を表示する。
【0021】
次に、電子時計100が備える電源部107と、太陽電池108と、逆流防止回路109と、過充電防止回路との回路構成について説明する。図2は、本実施形態における電子時計100が備える電源部107と、太陽電池108と、逆流防止回路109と、過充電防止回路200との回路構成を示した回路図である。なお、過充電防止回路200は、CPU101の一部である。また、過充電防止回路200は、基準電圧回路201と、コンパレータ部202と、NMOSトランジスタ203とを備える。
【0022】
図示する例では、太陽電池108の陽極端子は電源線Vscに接続され、陰極端子は電源線Vssに接続されている。また、電源部107の陽極端子は電源線Vddに接続され、陰極端子は電源線Vssに接続されている。また、逆流防止回路109はダイオード素子であり、アノード端子は電源線Vscに接続され、カソード端子は電源線Vddに接続されている。この構成により、電源部107から太陽電池108に電流が流れることを防止することができる。
【0023】
また、コンパレータ部202の入力端子の一端は電源線Vddに接続され、他端は基準電圧回路201に接続されている。また、コンパレータ部202の出力端子は、NMOSトランジスタ203のゲート端子に接続されている。また、NMOSトランジスタ203のソース端子は電源線Vssに接続され、ドレイン端子は電源線Vscに接続されている。
【0024】
基準電圧回路201は、基準電圧をコンパレータ部202に入力する。基準電圧は、例えば電源部107に挿入されているCTL1616が満充電の際に出力する電圧2.6Vである。コンパレータ部202は、電源線Vddの電圧と基準電圧とを比較し、電源線Vddの電圧が基準電圧以上の場合には出力端子から電圧を出力する。これにより、電源線Vddの電圧が基準電圧以上の場合、すなわち、電源部107に挿入されているCTL1616が満充電の場合、太陽電池108が発電した電流は電源部107を流れず、NMOSトランジスタ203を流れる。従って、電源部107に挿入されているCTL1616の過充電を防止することができる。
【0025】
次に、本実施形態における電子時計100の電池種別判定処理について説明する。図3は、本実施形態における電子時計100の電池種別判定処理の処理手順を示したフローチャートである。なお、電子時計100は、電源投入時もしくはリセット時などに電池種別判定処理を行う。
【0026】
(ステップS101)CPU101は初期設定処理を行う。その後、ステップS102の処理に進む。例えば、初期設定処理では、CPU101は、RAM106をクリアし、時刻およびカレンダーを初期値(例えば、2011年1月1日0時00分)に設定する。
(ステップS102)CPU101は、電源部107が出力する電圧を検出し、電源部107が出力する電圧は2.7V以下であるか否かを判定する(二次電池の最大出力電圧値以下であるか否かを判定する)。電源部107が出力する電圧は2.7V以下であるとCPU101が判定した場合にはステップS103の処理に進み、それ以外の場合にはステップS104の処理に進む。
【0027】
(ステップS103)CPU101は、電源部107に挿入されている電池はCTL1616(二次電池)であると判定し、通常の計時処理(通常処理)を開始する。その後、電池種別判定処理を終了する。
(ステップS104)CPU101は、電源部107に挿入されている電池はCR1616(一次電池)であると判定し、異常処理を開始する。その後、電池種別判定処理を終了する。例えば、異常処理では、CPU101は、表示部110へのエラーメッセージの表示や、表示部110の表示の消去(消灯)や、入力部104の入力の無効等を行い、CR1616が挿入されていることをユーザーに通知する。エラーメッセージは、例えば、「ERROR」や「一次電池が入っています」などのメッセージである。
【0028】
上述したとおり、本実施形態では、CPU101は、電子時計100の電源投入時もしくはリセット時などに、電源部107が出力する電圧を検出する。そして、CPU101は、電源部107が出力する電圧は二次電池の最大出力電圧値以下であるか否かを判定することで、電源部107に挿入されている電池は二次電池であるか一次電池であるかを判定する。
【0029】
例えば、二次電池がCTL1616であり一次電池がCR1616である場合、CTL1616が出力する最大電圧は約2.6Vであり、CR1616の初期電圧は3V以上である。そのため、CPU101は、電源部107が出力する電圧は2.6V以下であると判定した場合、電源部107に挿入されている電池はCTL1616であると判定する。また、CPU101は、電源部107が出力する電圧は2.6Vよりも大きいと判定した場合、電源部107に挿入されている電池はCR1616であると判定する。
【0030】
また、電源部107が出力する電圧は二次電池の最大出力電圧値以下であると判定した場合、すなわち、電源部107に挿入されている電池は二次電池であると判定した場合、CPU101は通常処理を行う。また、電源部107が出力する電圧は二次電池の最大出力電圧値よりも大きいと判定した場合、すなわち、電源部107に挿入されている電池は一次電池であると判定した場合、CPU101は異常処理を行う。
【0031】
従って、電子時計100は、一次電池と二次電池とが同じ形状である場合においても、二次電池に加工を行うことなく、電源部107に挿入されている電池が一次電池か二次電池かをすぐに判別することができる。また、電子時計100は、電源部107挿入されている電池が一次電池か二次電池かを判別した結果を、ユーザーに通知することができる。
【0032】
なお、上述した実施形態における電子時計100が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0033】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時刻の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時刻プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0035】
例えば、上述した実施形態では、電子時計としてデジタル時計を例に説明したが、これに限らず、アナログ時計としてもよい。なお、アナログ時計の場合、異常処理では、時針や分針を逆転回転させることで、一次電池(CR1616)が挿入されていることをユーザーに通知するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
100・・・電子時計、101・・・CPU、102・・・発振回路、103・・・分周回路、104・・・入力部、105・・・ROM、106・・・RAM、107・・・電源部、108・・・太陽電池、109・・・逆流防止回路、110・・・表示部、200・・・過充電防止回路、201・・・基準電圧回路、202・・・コンパレータ部、203・・・NMOSトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を挿入可能であり、挿入された前記電池が出力する電力を供給する電源部と、
前記電源部に挿入された前記電池を充電する充電部と、
前記電源部に挿入された前記電池の電圧値を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値以下である場合、前記電源部に挿入された前記電池は二次電池であると判定し、前記電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値よりも大きい場合、前記電源部に挿入された前記電池は一次電池であると判定する電池種別判定部と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電池種別判定部は、前記電源部に挿入された前記電池は一次電池であると判定した場合、前記電源部に前記一次電池が挿入されていることを報知する異常処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
表示部を備え、
前記電池種別判定部は、前記異常処理として前記表示部にエラーメッセージを表示させる
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
表示部を備え、
前記電池種別判定部は、前記異常処理として前記表示部の表示を消去する
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
入力を受け付ける入力部を備え、
前記電池種別判定部は、前記異常処理として前記入力部が受け付ける入力を無効にする
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記一次電池はCR1616であり、
前記二次電池はCTL1616であり、
前記電源部が挿入可能な前記電池は、前記CTL1616と同一形状の電池である
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
電池を挿入可能であり、挿入された前記電池が出力する電力を供給する電源部と、
前記電源部に挿入された前記電池を充電する充電部と、
前記電源部に挿入された前記電池の電圧値を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値以下である場合、前記電源部に挿入された前記電池は二次電池であると判定し、前記電圧検出部が検出した電圧値が所定の閾値よりも大きい場合、前記電源部に挿入された前記電池は一次電池であると判定する電池種別判定部と、
を備えたことを特徴とする電子時計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−26034(P2013−26034A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159990(P2011−159990)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】