説明

電子機器の制御装置及び画像形成装置

【課題】省電力動作モード時において少なくとも操作部(操作パネルを含む)側に対する省電力化を向上させることが可能な電子機器の制御装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】電子機器1の制御装置は、通常動作モードと、当該通常動作モードよりも低い消費電力で動作する省電力動作モードとに切り替え可能で、前記省電力動作モード時に操作キーが操作されることで前記通常動作モードに復帰するものであって、通常動作モード時に、操作制御部15は、操作用電源部19からの電力供給により信号生成部9及び操作関連部11を制御し、省電力動作モード時に、メイン制御部17は、操作用電源部からの電力供給を停止させ、補助供給部を起動させて信号生成部9に通常動作モード時よりも小さい電力を供給し、信号生成部からの操作信号を受信可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常動作モードから省電力動作モードに移行可能な電子機器の制御装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、消費電力の節約のために、通常動作モードから、当該通常動作モードよりも小さい消費電力で動作する省電力動作モードに移行可能な画像形成装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この画像形成装置は、キー操作可能な操作パネルと、主電源部及び補助電源部とを備え、通常動作モードでは主電源部を起動させて画像形成装置が有する全機能を実行可能とし、省電力動作モードでは主電源部の代わりに補助電源部を起動させ、この補助電源部から操作パネルに電力を供給し、当該操作パネルでキー操作がされたことを条件に通常動作モードに復帰するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−275155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、操作パネルには、キー操作機能以外に、例えば表示部が配置されて当該表示部に所定の表示をさせる表示機能などが備えられ多機能化されたものがある。そして、このような多機能化された操作パネルを備える画像形成装置では、それらの操作パネル上の機能をまとめて制御するための操作制御部が、画像形成装置全体を制御するためのメイン制御部とは別に設けられることがある。
【0005】
ここで、省電力動作モードでは、操作パネル上の機能のうちキー操作機能さえ有効であれば通常動作モードに復帰することができる。しかし、従来、この種の画像形成装置は、通常動作モード時だけでなく省電力動作モード時にも操作制御部に電力を供給するため、当該操作制御部にてキー操作機能以外の機能を実行するための電力まで無駄に消費されてしまうという問題がある。
なお、このような問題は、画像形成装置に限らず、通常動作モードから省電力動作モードへの移行可能で、キー操作により通常動作モードに復帰可能な電子機器であれば同様に生じ得る。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、省電力動作モード時において少なくとも操作部(操作パネルを含む)側に対する省電力化を向上させることが可能な電子機器の制御装置及び画像形成装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、第1発明に係る電子機器の制御装置は、通常動作モードと、当該通常動作モードよりも低い消費電力で動作する省電力動作モードとに切り替え可能で、前記省電力動作モード時に操作キーが操作されることで前記通常動作モードに復帰する電子機器の制御装置であって、
前記操作キーを有する操作部と、ユーザによる前記操作キーの操作に応じた操作信号を出力する信号生成部と、前記操作キーによる操作に関連する機能を実行する操作関連部と、電源部から電力供給され、前記信号生成部及び前記操作関連部を制御する操作制御部と、前記信号生成部からの前記操作信号に基づき前記電子機器を動作させるよう制御するメイン制御部と、
前記メイン制御部又は前記電源部から前記信号生成部に電力供給させる補助供給部と、を備え、
前記通常動作モード時に、前記操作制御部は、前記電源部からの電力供給により前記信号生成部及び前記操作関連部を制御し、
前記省電力動作モード時に、前記メイン制御部は、前記電源部から前記操作制御部への電力供給を停止させ、前記補助供給部を起動させることで前記信号生成部からの前記操作信号を受信可能とする。
【0008】
この発明によれば、通常動作モード時には、電源部から操作制御部に電力が供給されるため、当該操作制御部により信号生成部だけでなく操作関連部をも制御可能である。一方、省電力動作モードに移行すると、電源部から操作制御部への電力供給は停止されるが、補助供給部により信号生成部に電力供給される。従って、省電力動作モード時にも操作制御部に電力を供給する従来の構成に比べて、少なくとも操作部側に対する省電力化を向上させることが可能である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の電子機器の制御装置であって、前記通常動作モード時に前記メイン制御部から前記操作制御部に制御信号を送信するために通信線を備え、前記補助供給部は、前記省電力動作モード時に、前記通信線からの前記制御信号を前記信号生成部に受信させ、前記制御信号レベルによって当該信号生成部に電力を供給する構成である。
【0010】
この発明によれば、省電力動作モード時には、通常動作モードで使用する通信線を利用して信号生成部への電力供給を行うことができる。従って、専用の電力供給線を設けることなく、操作部側に対する省電力化を向上させることが可能である。
【0011】
第3の発明は、第2の発明の電子機器の制御装置であって、前記通信線は、前記制御信号として、前記操作制御部をリセットするためのリセット信号を送信するためのリセット信号線であり、前記メイン制御部は、前記リセット信号を出力することにより前記電源部から前記操作制御部への電力供給を停止させる構成である。
【0012】
この発明によれば、省電力動作モード時には、信号生成部への電力供給の開始と電源部から操作制御部への電力供給の停止とを、共通のリセット信号を利用して実現しつつ、操作部側に対する省電力化を向上させることが可能である。
【0013】
第4の発明は、第1から第3のいずれか一つの発明の電子機器の制御装置であって、前記信号生成部は、キーマトリックスであり、前記補助供給部は、前記省電力動作モード時に、前記キーマトリックスの一部のスキャン列のみ通電状態にさせる構成である。
【0014】
この発明によれば、キーマトリックスのスキャン列を通電状態にさせる構成であるから、キーマトリックスの構成を利用することにより簡易な構成で複数の操作キーを通電状態とすることができ、省電力モードからの復帰操作をユーザが行いやすくなる。
【0015】
第5の発明は、第4の発明の電子機器の制御装置であって、前記スキャン列のうち一つの操作キーに対応するスイッチ素子からの操作信号のみ有効化する構成である。
【0016】
この発明によれば、複数の操作キーにそれぞれ対応する複数のスイッチ素子からの操作信号を有効化する構成に比べて、操作信号を出力するための構成を簡略化することができる。
【0017】
第6の発明に係る画像形成装置は、第1から第5のいずれか一つの発明の制御装置と、前記メイン制御部により制御される画像形成部と、備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、省電力動作モード時において少なくとも操作部(操作パネルを含む)側に対する省電力化を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態1に係る複合機の電気的構成を示すブロック図
【図2】制御部の具体的構成を示すブロック図
【図3】信号生成回路の内部構成図
【図4】各モードにおける制御部の動作内容を説明するための図
【図5】実施形態2の信号生成回路の内部構成図
【図6】他の実施形態の信号生成回路の内部構成図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1〜図4を参照しつつ説明する。
1.複合機の電気的構成
図1は、複合機1(電子機器、画像形成装置の一例)の電気的構成を示すブロック図である。複合機1は、コピー機能、スキャン機能やファクシミリ機能など、複数の機能を実行可能であり、複数の機能を並行して実行可能である。また、複合機1は、「通常動作モード」と、当該通常動作モードよりも低い消費電力で動作する「省電力動作モード」とに切り替え可能であり、省電力動作モード時に後述する操作キーが操作されることで通常動作モードに復帰するようになっている。
【0021】
複合機1は、スキャナ部3、プリンタ部5(画像形成部の一例)、キー操作部7(操作部の一例)、信号生成回路9(信号生成部の一例)、表示部11、制御部13、電源回路19(電源部の一例)及び通信部21を備える。なお、キー操作部7、信号生成回路9、制御部13、及び電源回路19が本発明の「制御装置」の一例である。
【0022】
スキャナ部3は、図示しない原稿の画像を読み取って、その読み取った画像に応じた読取データを生成する。プリンタ部5は、画像データに基づく画像(モノクロ画像、カラー画像)を、例えば電子写真方式またはインクジェット方式により図示しないシートに印刷する。なお、上記画像データには、スキャナ部3によって生成された読取データや、図示しない外部の装置(例えばパーソナルコンピュータ、ファクシミリ装置、記憶装置など)からの印刷データ(ファクシミリデータを含む)などが含まれる。
【0023】
キー操作部7は、ユーザが押下操作可能な複数の操作キー(図示せず)を有する。なお、このキー操作部7は、キー入力装置単体のもの(ボタン等)に限らず、表示装置と位置入力装置を組み合わせた装置(タッチパネル)でもよい。信号生成回路9は、ユーザによる上記操作キーに応じた操作信号を出力するものであり、本実施形態ではキーマトリックススキャン方式を採用している。
【0024】
また、表示部11は、例えば液晶ディスプレイやランプ等を有し、各種の設定画面や装置の動作状態等を表示することが可能である。そして、キー操作部7及び表示部11は、複合機1に設けられた操作パネル(図示せず)上に配置されており、表示部11は、キー操作に関連した表示をするから、本発明の「操作関連部」の一例である。
【0025】
制御部13は、操作制御回路15(操作制御部の一例)及びメイン制御回路17(メイン制御部の一例)を有する。操作制御回路15は、操作パネル上の機能(例えば、キー操作機能、表示機能、メイン制御回路17との間の送受信機能)をまとめて制御する、操作パネル専用の制御回路であり、具体的には、操作制御回路15は、上記信号生成回路9、表示部11及び送受信回路37(図2参照)を制御する。
【0026】
メイン制御回路17は、複合機1全体を制御するための制御回路であり、スキャナ部3、プリンタ部5、操作制御回路15、電源回路19、通信部21を制御する。なお、両制御回路15,17は、汎用のCPUで構成されたものに限らず、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成されたものでもよい。
【0027】
電源回路19は、操作制御回路15及びメイン制御回路17にそれぞれ供給する電力を出力する。また、通信部21は、図示しない通信回線を介して外部の装置に接続され、当該外部の装置との間で相互のデータ通信を可能にする。
【0028】
2.制御部の具体的構成
図2は、制御部13の具体的構成を示すブロック図である。なお、同図では、各回路について一部の構成のみ図示し、それ以外の部分(例えばCPU,RAM,ROMなど)が省略されていることがある。同図に示すように、制御部13は、パネル回路基板及びメイン回路基板を有して構成されている。なお、両回路基板はグランドラインに接続されている。
【0029】
(1)パネル回路基板側の構成
パネル回路基板側には、前述した信号生成回路9、表示部11及び操作制御回路15が搭載されている。信号生成回路9は、キーマトリックス31を備えて構成されている。信号生成回路9の詳細構成は後述する。
【0030】
操作制御回路15は、表示インターフェース33及びキーマトリックスインターフェース35を有し、また、通常動作モード時においてメイン制御回路17の送受信回路47との間で双方向通信を行う送受信回路37を内蔵している。送受信回路37は、キー操作に関連してメイン制御回路17の送受信回路47との間で双方向通信を行うから、本発明の「操作関連部」の一例である。操作制御回路15は、表示インターフェース33を介して表示部11との間で表示データ等を送受信して当該表示部11の表示動作を制御する。
【0031】
また、操作制御回路15は、キーマトリックスインターフェース33を介して、キーマトリックス31に初期化信号等を送信し、当該キーマトリックス31から上記操作信号を受信して当該キーマトリックス31を制御する。更に、操作制御回路15は、リセット信号線W1(通信線の一例)を介してメイン制御回路17に接続されており、当該メイン制御回路17からRST信号を受信可能となっている。そして、操作制御回路15は、ハイレベルのRST信号(制御信号、リセット信号の一例)を受けると、キーマトリックス31に上記初期化信号を送信し、当該キーマトリックス31を初期状態(どの操作キーも押下されていない状態)に復帰させる。本実施形態では、リセット信号線W1は途中で分岐して信号生成回路9にも接続されており、RST信号は、操作制御回路15だけでなく、信号生成回路9にも送信されるようになっている。
【0032】
(2)メイン回路基板側の構成
メイン回路基板側には、前述したメイン制御回路17と共に、スイッチ回路41が搭載されている。メイン制御回路17は、CPU43、割込回路45及び送受信回路47を有する。CPU43は、図示しないROMから読み出したプログラム(複合機1の各種の動作を実行するためのプログラム)に従って、その処理結果を図示しないRAMに記憶させながら複合機1内の各部(操作制御回路15を含む)の制御を行う。
【0033】
送受信回路47は、例えば受信線W2及び送信線W3を介してパネル回路基板側の送受信回路37と接続されており、これにより、通常動作モード時において操作制御回路15とメイン制御回路17との間で双方向通信が可能になっている。具体的には、メイン制御回路17は、操作制御回路15からのRXD信号(操作信号を含む)を、受信線W2を介して受信する一方で、TXD信号(初期設定情報や表示制御情報などを含む)を、送信線W3を介して操作制御回路15に送信する。
【0034】
本実施形態では、上記受信線W2は、送受信回路37から信号生成回路9を経由して送受信回路47に接続されている。このため、通常動作モード時には、操作制御回路15からの操作信号は、信号生成回路9を経由してメイン制御回路17にて受信される。また、受信線W2は途中で分岐して割込回路45にも接続されており、割込回路45は、上記操作信号を受けたときにCPU43に割込信号を出力する。また、送信線W3は途中で分岐して信号生成回路9にも接続されており、送受信回路47からのTXD信号は、送受信回路37だけでなく、信号生成回路9にも送信される。
【0035】
スイッチ回路41は、電源回路19から操作制御回路15への電力供給を入り切りする。具体的には、スイッチ回路41は、例えばトランジスタなどのスイッチ素子41Aを有し、このスイッチ素子41Aが電源回路19(図2では「VDD」と図示)と、パネル回路基板側の電力供給端子39との間に接続されている。
【0036】
そして、スイッチ素子41Aは、その制御入力端子にローレベルのRST信号を受けているときにオン状態となり、電源回路19(VDD)から電力供給端子39を介して操作制御回路15に電力供給(例えば3.3[v]、100[mA])され、これにより操作制御回路15は、操作パネル上の各機能に対する制御を実行することが可能になる。一方、スイッチ素子41Aは、制御入力端子にハイレベルのRST信号(リセット信号)を受けるとオフ状態となり、電源回路19から操作制御回路15への電力供給が停止され、これにより操作制御回路15は操作パネル上の各機能に対する制御を実行することが不能になる。
【0037】
(3)信号生成回路の構成
図3は、信号生成回路9の内部構成図である。前述したように、信号生成回路9は、キーマトリックス31を有し、キーマトリックススキャン方式によりキー操作に対する操作信号を出力する構成になっている。具体的には、キーマトリックス31は、図3に示すように、複数のスキャン列(同図の紙面縦方向の列)を有し、各スキャン列には、キー操作部7の各操作キーに対応して設けられた複数のスイッチ素子51が配列されている。
【0038】
同じスキャン列に属するスイッチ素子51同士は、その一端が操作制御回路15の複数の出力端子OUT1〜OUTnの1つに共通接続されている。一方、各スキャン列において同一順位のスイッチ素子51同士は、その他端が操作制御回路15の複数の入力端子IN1〜INmの1つに共通接続されると共に、抵抗53を介して所定の基準電位ライン(本実施形態ではグランドライン)に共通接続されている。
【0039】
各スイッチ素子51は、それに対応する操作キーが押下されることでオフ状態(開状態)からオン状態(閉状態)に切り替わり、これに応じて操作信号(本実施形態ではハイレベル信号)が、当該スイッチ素子51の他端に接続された入力信号INに与えられる。操作制御回路15は、通常動作モード時には、上記複数のスキャン列を時分割でスキャンしてキー操作部7の押下状態を検知する。
【0040】
具体的には、操作制御回路15は、複数の出力端子OUT1〜OUTnからハイレベル信号を時分割で出力し、その各出力タイミングに同期して、複数の入力端子IN1〜INmの信号レベルを検知する(以下、この動作を「スキャン動作」という)。そして、操作制御回路15は、このスキャン動作を全スキャン列について一通り行うことにより、キー操作部7の各操作キーの押下状態を検知することができる。このようなキーマトリックススキャン方式であれば、操作制御回路15とキーマトリックス31との間の信号線の本数を、キー操作部7の操作キーの数よりも格段に少なくすることができる。
【0041】
更に、信号生成回路9は、スイッチ回路55及びOR回路57を有する。スイッチ回路55は、電源回路19からキーマトリックス31への電力供給を入り切りする。具体的には、スイッチ回路55は、例えばトランジスタなどのスイッチ素子55Aを有し、このスイッチ素子55Aの入力側が上記リセット信号線W1に接続され、出力側が上記複数の出力端子OUT1〜OUTnの1つ(本実施形態では出力端子OUTn)に接続され、制御入力端子が上記送信線W3に接続されている。
【0042】
そして、このスイッチ素子55Aは、その制御入力端子にハイレベルのTXD信号を受けているときはオフ状態である。一方、このスイッチ素子55Aは、制御入力端子にローレベルのTXD信号を受けるとオン状態となるため、キーマトリックス31(より具体的には、出力端子OUTnに接続されたスキャン列のみ 図3の一点鎖線で囲んだスキャン列 以下、「有効スキャン列」ということがある)に、メイン制御回路17からリセット信号線W1を介して、RST信号のハイレベル相当の電力(例えば3.3[v]、10[mA])を供給することが可能になる。これにより、信号生成回路9は、有効スキャン列に属する各スイッチ素子51のオンオフ状態の切り替わりに応じた操作信号を出力することが可能になる。
【0043】
OR回路57は、その入力側が全ての入力端子IN1〜INmに接続されており、有効スキャン列に属する全てのスイッチ素子51から操作信号を受信することが可能になっている。また、OR回路57は、その出力側が上記受信線W2の途中に接続されており、当該OR回路57の出力信号を、RXD信号としてメイン制御回路17に送信することが可能になっている。また、このOR回路57は、リセット信号線W1に接続されており、RST信号がハイレベルのときにそのレベル相当の電力が供給されることにより通電状態となって上記出力信号を出力可能になる一方、RST信号がローレベルのときには停止状態(非通電状態)となり上記出力信号を出力不能になる。
【0044】
(4)制御部の動作
図4は、各モードにおける制御部13の動作内容を説明するための図である。
【0045】
(4−1)通常動作モード時
通常動作モード時では、メイン制御回路17は、通常、ローレベルのRST信号を出力しており、操作制御回路15は、電源回路19からの電力供給により通電状態になっている。このため、操作制御回路15は、信号生成回路9及び表示部11の制御を行いつつ、送受信回路37によりメイン制御回路17との間で通信データ(RXD信号、TXD信号)の双方向通信を実行することができる。
【0046】
なお、例えばユーザがキー操作部7にてリセット(クリア)操作をしたときなどには、メイン制御回路17はハイレベルのRST信号を一時的に出力する。これにより、操作制御回路15は信号生成回路9や表示部11等に関する設定情報を初期化したリセット状態になる。
【0047】
また、通常動作モード時では、RST信号がローレベルであるため、リセット信号線W1から有効スキャン列への電力供給はほぼゼロであり、また、OR回路57は停止状態である。従って、有効スキャン列からの操作信号は、他のスキャン列からの操作信号と同様、操作制御回路15の送受信回路37及び送受信線W2、W3を介してメイン制御回路17に送信される。
【0048】
(4−2)省電力動作モードへの切り替え時
例えば所定時間だけ、キー操作部7のキー操作がされていなかったり外部の機器から印刷データを受信しなかったりしたときなど、所定の省電力切り替え条件を満たしたときには、メイン制御回路17は、通常動作モードから省電力動作モードに切り替える。具体的には、メイン制御回路17は、例えば電源回路19から自己に対する電力供給量を減少させて特定の機能(例えば送受信回路47や通信部21に関する機能)だけ有効化させる。即ち、メイン制御回路17自身も消費電力を抑制する省電力状態になる。
【0049】
また、メイン制御回路17は、RST信号をローレベルからハイレベルに切り替える。これにより、操作制御回路15は、電源回路19からの電力供給が停止され、非通電状態になる。従って、キーマトリックス31の各スキャン列は、操作制御回路15からの電力供給が停止される。一方、信号生成回路9のキーマトリックス31(スイッチ回路55及びOR回路57)は、メイン制御回路17からリセット信号線W1を介して電力供給が開始されて通電状態になる。従って、メイン制御回路17中のRST信号出力回路部分(バッファなど)、リセット信号線W1及びスイッチ回路55は本発明の「補助供給部」を構成する。
【0050】
更に、メイン制御回路17は、送信線W3からの通信データの送信を停止し、TXD信号をローレベルに維持する。これにより、スイッチ回路55のスイッチ素子55Aがオン動作して有効スキャン列のみ電力供給がされて通電状態になる。このため、ユーザが有効スキャン列に対応する操作キーを押下すると、それに応じた操作信号が、受信線W2を介してメイン制御回路17に送信される。
【0051】
(4−3)省電力動作モード時
省電力動作モード時では、メイン制御回路17(CPU43)は、割込回路45からの割込信号の待ち状態になる。なお、この省電力動作モード時において、TXD信号を常にローレベルに維持する構成以外に、例えばTXD信号のハイローレベルを適宜反転させてスイッチ素子55Aをオンオフ制御することにより、リセット信号線W1からの電力供給量が所定量になるように電力制御(例えばパルス幅変調(PWM)制御)を行う構成でもよい。
【0052】
(4−4)通常動作モードへの切り替え時
省電力動作モード中に、ユーザが有効スキャン列に対応する操作キーを押下すると、OR回路57からの出力信号が割込回路45に送信され、割込回路45からの割込信号がCPU43に与えられる。これにより、メイン制御回路17は、省電力動作モードから通常動作モードに切り替える。具体的には、メイン制御回路17は、例えば電源回路19から自己に対する電力供給量を増大させて全機能を有効化させる。
【0053】
また、メイン制御回路17は、RST信号をハイレベルからローレベルに切り替える。これにより、操作制御回路15は、電源回路19からの電力供給が再開され、通電状態に復帰する。また、メイン制御回路17からリセット信号線W1を介してキーマトリックス31に電力供給されることが停止される。また、OR回路57は停止状態に戻る。そして、操作制御回路15は、信号生成回路9及び表示部11の制御を行いつつ、送受信回路37によりメイン制御回路17との間で双方向通信を再開する。
【0054】
3.本実施形態の効果
本実施形態によれば、通常動作モード時には、電源回路19から操作制御回路15に電力が供給されるため、当該操作制御回路15により信号生成回路9だけでなく表示部11や送受信回路37をも制御可能であり、その分だけ消費電力は大きい。一方、省電力動作モードに移行すると、電源回路19から操作制御回路15への電力供給は停止されるが、メイン制御回路17からリセット信号線W1を介して信号生成回路9に直接電力が供給される。パネル回路基板側のうち信号生成回路9だけに電力が供給されるので、通常動作モード時よりも消費電力は小さい。従って、省電力動作モード時にも操作制御回路15に電力を供給する従来の構成に比べて、少なくともパネル回路基板側における省電力化を向上させることが可能である。
【0055】
しかも、省電力動作モード時には、通常動作モードで使用する通信線(リセット信号線W1)を利用して信号生成回路9への電力供給を行うことができる。従って、専用の電力供給線を設けることなく、パネル回路基板側における省電力化を向上させることが可能である。
【0056】
更に、省電力動作モード時には、操作制御回路15への電力供給の停止と、信号生成回路9への電力供給の開始とを、共通のリセット信号を利用して実現しつつ、パネル回路基板側における省電力化を向上させることが可能である。
【0057】
また、省電力動作モード時では、キーマトリックス31のうち一のスキャン列のみ通電状態とするから、全スキャン列を通電状態とする構成に比べて、更にパネル回路基板側における省電力化を向上させることが可能である。
【0058】
さらに、省電力動作モード時、キーマトリックス31のスキャン列を通電状態にさせる構成であるから、キーマトリックス31の構成を利用することにより簡易な構成で複数のスイッチ素子51を通電状態とすることができ、省電力モードから通常動作モードへの復帰操作をユーザが行いやすくなる。
【0059】
<実施形態2>
図5は実施形態2を示す。前記実施形態との相違は、省電力動作モード時に有効にするスイッチ素子51の範囲にあり、その他の点は前記実施形態1と同様である。従って、実施形態1と同一符号を付して重複する説明を省略し、異なるところのみを次に説明する。
【0060】
上記実施形態1では、省電力動作モード時に一のスキャン列に属する全てのスイッチ素子51からの操作信号を有効化した。これに対して、本実施形態では、一のスキャン列に属する1つのスイッチ素子51からの操作信号のみ有効化する。
【0061】
具体的には、図5に示すように、本実施形態では、図3におけるOR回路57の代わりにスイッチ回路61が設けられている。このスイッチ回路61は、スイッチ素子61Aを有し、このスイッチ素子61Aは、その入力側がリセット信号線W1に接続され、出力側が受信線W2に接続され、その制御入力端子が、複数の入力端子IN1〜INmの1つ(本実施形態では入力端子INm)に接続されている。
【0062】
このような構成であれば、省電力動作モード時では、キーマトリックス31のうち1つのスイッチ素子51(図5において一点鎖線で囲んだもの)の操作信号のみを有効化してメイン制御回路17に送信することができる。これにより、複数の操作キーにそれぞれ対応する複数のスイッチ素子51からの操作信号を有効化する構成に比べて、操作信号を出力するための構成を簡略化することができる。具体的には、図3に示すOR回路57を省略することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。特に、各実施形態の構成要素のうち、最上位の発明の構成要素以外の構成要素は、付加的な要素なので適宜省略可能である。
(1)上記実施形態では、複合機1を例に挙げて説明したが、本発明を適用可能な「電子機器」はこれに限られない。例えば印刷装置単体、スキャナ装置単位、ファクシミリ装置単体、ミシン装置などでもよい。要するに、「通常動作モードと省電力動作モードとに切り替え可能で、省電力動作モード時に操作キーが操作されることで通常動作モードに復帰する電子機器」であればよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、キー操作部7、信号生成回路9、制御部13、及び電源回路19を含んで「制御装置」とし、複合機1に内蔵または一体的に設けられた構成であったが、本発明の「制御装置」はこれに限られない。制御装置の一部(例えばキー操作部7、信号生成回路9及び表示部11)または全部が複合機1とは別体として設けられ、両者が上記通信線W1〜W3で接続された構成でもよい。
【0065】
(3)上記実施形態では、キーマトリックススキャン方式を採用した信号生成回路9を例に挙げたが、本発明の「信号生成部」はこれに限られない。例えば、各操作キーごとに1本ずつ操作信号の送信線が設けた構成でもよい。また、信号生成回路9内に送信回路を内蔵させて、通常動作モード時も信号生成回路9から直接、メイン制御回路17に操作信号を出力する構成でもよい。この場合、送受信回路37は受信回路に置き換えることができ、また、送受信回路37,47同士を接続する送信線W3を省略することができる。
【0066】
(4)上記実施形態では、操作制御回路15の制御対象として、信号生成回路9以外に、表示部11及び送受信回路37を例に挙げて説明したが、本発明の「操作関連部」はこれに限られない。要するに、操作キーによる操作に関連する機能を実行するものであればよく、例えば発音装置(ブザーなど)などでもよい。また、操作制御部の制御対象としては、信号生成部以外に、操作関連部の一例であるものを少なくとも1つ含めばよい。
【0067】
(5)上記実施形態では、通常動作モード時に、操作制御回路15及びメイン制御回路17に対して共通の電源回路19から電力供給をしたが、本発明はこれに限られない。操作制御回路15及びメイン制御回路17それぞれに対して専用の電源回路を設けてよい。例えば複合機1に主電源回路(メイン電源部の一例)と補助電源回路(供給電力が主電源回路よりも小さい電源回路 操作用電源部の一例)とを設けて、メイン制御回路17に主電源回路から電力供給し、操作制御回路15に補助電源回路から電力供給する構成でもよい。
【0068】
(6)上記実施形態では、リセット信号線W1を介して信号生成回路9に電力供給する構成であったが、本発明の「補助供給部」はこれに限られない。リセット信号線W1以外の通信線(例えば送信線W3)を介して電力供給する構成でもよい。更には、通信線に限らず、電源回路19から信号生成回路9に接続される専用の電力供給線を設けて、この電力供給線を介して電力供給する構成でもよい。
【0069】
(7)上記実施形態では、省電力動作モード時に、メイン制御回路17自身も省電力状態になったが、本発明はこれに限らず、メイン制御回路17は通常動作モード時と同じ電力供給状態を維持する構成でもよい。このような構成でも、少なくともパネル回路基板側の省電力化を図ることができる。
【0070】
(8)上記実施形態1では、省電力動作モード時に一のスキャン列に属する全てのスイッチ素子51からの操作信号を有効化したが、本発明はこれに限られない。例えば2列、3列など、複数のスキャン列を有効化してもよい。また、上記実施形態2では、一スキャン列のうち1つのスイッチ素子51からの操作信号のみを有効化したが、例えば2個、3個など、複数のスイッチ素子51からの操作信号を有効化してもよい。
【0071】
(9)上記実施形態では、省電力動作モード時にキーマトリックス31に対応する操作キーを押下することで通常動作モードに復帰する構成であったが、本発明はこれに限られない。図6に示すように、キーマトリックス31とは別の単独のスイッチ素子63に対応する操作キーを押下することで通常動作モードに復帰する構成でもよい。
【符号の説明】
【0072】
1...複合機
5...プリンタ部
7...キー操作部
9...信号生成回路
11...表示部
15...操作制御回路
17...メイン制御回路
19...電源回路
31...キーマトリックス
55...スイッチ回路
W1...リセット信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常動作モードと、当該通常動作モードよりも低い消費電力で動作する省電力動作モードとに切り替え可能で、前記省電力動作モード時に操作キーが操作されることで前記通常動作モードに復帰する電子機器の制御装置であって、
前記操作キーを有する操作部と、
ユーザによる前記操作キーの操作に応じた操作信号を出力する信号生成部と、
前記操作キーによる操作に関連する機能を実行する操作関連部と、
電源部から電力供給され、前記信号生成部及び前記操作関連部を制御する操作制御部と、
前記信号生成部からの前記操作信号に基づき前記電子機器を動作させるよう制御するメイン制御部と、
前記メイン制御部又は前記電源部から前記信号生成部に電力供給させる補助供給部と、を備え、
前記通常動作モード時に、前記操作制御部は、前記電源部からの電力供給により前記信号生成部及び前記操作関連部を制御し、
前記省電力動作モード時に、前記メイン制御部は、前記電源部から前記操作制御部への電力供給を停止させ、前記補助供給部を起動させることで前記信号生成部からの前記操作信号を受信可能とする、電子機器の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器の制御装置であって、
前記通常動作モード時に前記メイン制御部から前記操作制御部に制御信号を送信するための通信線を備え、
前記補助供給部は、前記省電力動作モード時に、前記通信線からの前記制御信号を前記信号生成部に受信させ、前記制御信号によって当該信号生成部に電力を供給する構成である、電子機器の制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器の制御装置であって、
前記通信線は、前記制御信号として、前記操作制御部をリセットするためのリセット信号を送信するためのリセット信号線であり、
前記メイン制御部は、前記リセット信号を出力することにより前記電源部から前記操作制御部への電力供給を停止させる構成である、電子機器の制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子機器の制御装置であって、
前記信号生成部は、キーマトリックスであり、
前記補助供給部は、前記省電力動作モード時に、前記キーマトリックスのスキャン列を通電状態にさせる構成である、電子機器の制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器の制御装置であって、
前記スキャン列のうち一つの前記操作キーに対応するスイッチ素子からの前記操作信号のみ有効化する構成である、電子機器の制御装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記メイン制御部により制御される画像形成部と、備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−139273(P2011−139273A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297702(P2009−297702)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】