説明

電子機器の防水構造

【課題】パッキンの表面に海水中の土砂や粉塵等の異物が付着しにくいようにすることができる上、パッキンの表面に異物が付着しても、この付着した異物を容易に除去することができるようにする。
【解決手段】コネクタカバー11は、カバー本体12と、カバー本体12に設けられ、第1の筐体1の開口部5内に取り外し可能に圧入されるパッキン13とを備えている。パッキン13は、カバー本体12に設けられた補強用の芯部21と、芯部21の外周部に設けられた弾性変形可能なパッキン部22と、少なくともパッキン部22のカバー本体12側の面を除く表面に設けられ、潤滑性、耐摩耗性および異物付着防止性を有する高密度ポエチレンフィルムからなる表面層23とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電子機器の防水構造に関し、例えば、携帯電話等の携帯型電子機器における外部機器接続部等の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話等の携帯型電子機器における従来の外部機器接続部の防水構造には、筐体内に設けられた外部接続用コネクタを外部に露出させるために、外部接続用コネクタに対応する部分における筐体に開口部が設けられ、筐体の開口部の外側に、開口部を開閉するためのコネクタカバーが設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−136318号公報
【0004】
特許文献1に記載のものでは、コネクタカバーは、筐体の開口部およびその周囲を外側から覆うカバー本体を備えている。カバー本体の内面中央部にはゴムからなるパッキンが設けられている。パッキンの内部には補強用金属板が設けられている。パッキンは、カバー本体の内面中央部に取り付けられた基部と、この基部の先端側に設けられ、基部の外形サイズよりも大きい外形サイズの先端部とを備えた構造となっている。この場合、パッキンの基部の外形サイズは筐体の開口部の開口サイズよりも小さく、パッキンの先端部の外形サイズは筐体の開口部の開口サイズよりも大きくなっている。
【0005】
そして、コネクタカバーのパッキンがその先端部側から筐体の開口部内に圧入されると、パッキンの先端部が弾性変形しながら筐体の開口部内に挿入される。この状態では、パッキンの先端部が元の形状に弾性復帰しようとする力により、パッキンの先端部が筐体の開口部の内壁面に圧接され、これにより筐体の開口部を防水するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、携帯電話を海岸や砂浜等において土砂や粉塵等の異物を含む液体(海水)に浸漬させると、液体が、カバー本体と筐体との間の隙間を介して、筐体の開口部内に圧入されたパッキンの基部の近傍まで浸入してしまう。このような状態において、コネクタカバーを開けると、パッキンの表面に浸入した液体が付着し、ひいてはパッキンの表面に液体中の異物が付着してしまう。
【0007】
しかるに、上記従来の防水構造では、コネクタカバーのパッキンが異物を引き寄せやすい性質を有するゴムによって形成されているため、パッキンの表面に異物が付着すると、この付着した異物を布やアルコール綿等で拭き取ろうとしても、異物の除去が極めて困難であるという問題がある。また、パッキンの表面に異物が付着したままでコネクタカバーを開閉すると、パッキンの材料であるゴムの硬度が比較的低いので、パッキンの表面にかじり傷が生じたり、パッキンの表面が破損したりすることがあり、防水機能が損なわれてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、この発明は、パッキンの表面に異物が付着しにくいようにすることができる上、パッキンの表面に異物が付着しても、この付着した異物を容易に除去することができる電子機器の防水構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る電子機器の防水構造は、開口部を有する筐体と、前記筐体の開口部の外側に設けられ、前記筐体の開口部を開閉するためのカバーとを備え、前記カバーは、カバー本体と、前記カバー本体に設けられ、前記筐体の開口部内に取り外し可能に圧入されるパッキンとを含み、前記パッキンは、前記カバー本体に設けられた補強用の芯部と、前記芯部の外周部に設けられた弾性変形可能なパッキン部と、少なくとも前記パッキン部の前記カバー本体側の面を除く表面に設けられ、潤滑性、耐摩耗性および異物付着防止性を有する表面層とを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、パッキンの表面に異物が付着しにくいようにすることができる上、パッキンの表面に異物が付着しても、この付着した異物を容易に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の第1実施形態としての防水構造を備えた携帯電話の要部の分解斜視図。
【図2】図1に示す携帯電話の左側面図。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図。
【図4】図1に示すコネクタカバーの斜視図。
【図5】図1に示すコネクタカバーのパッキンを省略した状態の当初(超音波溶着前)の図1における右側面図。
【図6】図1に示すコネクタカバーのパッキンの図1における左側面図。
【図7】この発明の第2実施形態としての防水構造を備えた携帯電話の図3同様の断面図。
【図8】図7に示すコネクタカバーの表面層およびパッキン部を省略した状態の図7における右側面図。
【図9】この発明の第3実施形態としての防水構造を備えた携帯電話の一部の拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1はこの発明の第1実施形態としての防水構造を備えた携帯電話の要部の分解斜視図を示し、図2は同携帯電話の左側面図を示し、図3は図2のIII−III線に沿う断面図を示す。なお、図3では、Oリング4、パッキン13および超音波溶着用突起16は当初の形状で図示している。
【0013】
この携帯電話では、ABS樹脂等からなる第1の筐体1の下面側にABS樹脂等からなる第2の筐体2が6本のネジ3によって取り付けられている。第1の筐体1の下面外周部と第2の筐体2の上面外周部との間は、その間に介在されたリング形状のOリング4によって防水されている。
【0014】
図1に示すように、第1の筐体1の左側壁の所定の箇所には長円形状の開口部5が設けられている。この開口部5は第1、第2の筐体1、2内に設けられた外部接続用コネクタ(図示せず)を外部に露出させるためのものである。外部接続用コネクタとしては、充電器等の他の機器と接続されるコネクタ等が挙げられる。第1の筐体1の左側壁において開口部5の右側には第1の係止用開口部6が設けられている。第1の筐体1の左側壁において開口部5の左側には第2の係止用開口部7が設けられている。
【0015】
第1の筐体1の開口部5および第1、第2の係止用開口部6、7の外側にはコネクタカバー11が取り付けられるようになっている。ここで、図4はコネクタカバー11の斜視図を示す。コネクタカバー11は、短冊形状のカバー本体12の一面(図1において右面)の中央部に長円形状のパッキン13が設けられ、カバー本体12の一面の長さ方向一端部に短冊形状の係止用突起14が外側に延びるように設けられ、カバー本体12の一面の長さ方向他端部に開き防止用突起15が設けられた構造となっている。カバー本体12はPC(ポリカーボネート)等の熱可塑性樹脂によって形成されている。係止用突起14および開き防止用突起15はエラストマーによってカバー本体12に一体的に形成されている。パッキン13については後で説明する。
【0016】
そして、第1の筐体1の開口部5および第1、第2の係止用開口部6、7の外側にコネクタカバー11を取り付けた状態では、コネクタカバー11の係止用突起14は第1の筐体1の係止用開口部6内に挿入されて取り外し可能に係止され、コネクタカバー11の開き防止用突起15は第1の筐体1の係止用開口部7内に挿入されて取り外し可能に係止される。コネクタカバー11のパッキン13は第1の筐体1の開口部5内に圧入されるが、これについては後で説明する。
【0017】
また、第1の筐体1の開口部5および第1、第2の係止用開口部6、7の外側にコネクタカバー11を取り付け、且つ、第1筐体1に第2の筐体2を取り付けた状態では、図2に示すように、第2の筐体2の所定の箇所に設けられた側壁8がコネクタカバー11の係止用突起14の部分を覆うことにより、コネクタカバー11の係止用突起14は取り外すことができなくなるようになっている。
【0018】
次に、図5はコネクタカバー11のパッキン13を省略した状態の当初(超音波溶着前)の図1における右側面図を示す。カバー本体12の一面(図1において右面)の中央部には超音波溶着用突起16が長円形状のリング状に設けられている。この場合、図3に示すように、超音波溶着用突起16の当初の断面形状は、外面が垂直面で内面が傾斜面とされたほぼ直角三角形状となっている。
【0019】
次に、図6はコネクタカバー11のパッキン13の図3(図1)における左側面図を示す。図3と併せて説明すると、パッキン13は芯部21、パッキン部22および表面層23を備えている。芯部21は、PC等の熱可塑性樹脂によって形成され、長円形状の中心部21aの外周部の図3における左右方向中央部に突出部21bが設けられ、中心部21aの図3における左面中央部に長円形状の凹部21cが設けられた構造となっている。芯部21は補強材としての機能を有する。
【0020】
パッキン部22は、EPDM(エチレンプロピレン共重合体)ゴムによって形成され、芯部21の中心部21aの外周面および芯部21の突出部21bの表面を覆うように設けられている。この場合、図3に示すように、パッキン部22の左側の外形サイズは第1の筐体1の開口部5の開口サイズとほぼ同じとなっており、パッキン部22の右側外周部は円弧形状に膨出され、この膨出部22aの外形サイズは第1の筐体1の開口部5の開口サイズよりも大きくなっている。また、パッキン部22の左面は芯部21の中心部21aの凹部21cを除く左面と面一となっている。パッキン部22の右面の内周側は芯部21の中心部21aの右面と面一となっている。
【0021】
表面層23は、潤滑性、耐摩耗性および異物付着防止性を有する樹脂フィルム、例えば厚さ数十ミクロンの超高分子量ポリエチレンフィルムによって形成され、パッキン部22の図3における左面(カバー本体12側の面)を除く表面および芯部21の中心部21aの右面(カバー本体12側の面を除く表面)を覆うように設けられている。表面層23の左端面はパッキン部22の左面および芯部21の中心部21aの凹部21cを除く左面と面一となっている。この面一の面とカバー本体12との間には隙間24が設けられている。
【0022】
次に、コネクタカバー11の製造方法の一例について説明するに、まず、パッキン13の製造方法の一例について説明する。図示していないが、パッキン13を形成するための下金型の上面に形成された凹部を含む下金型の上面に厚さ数十ミクロンの超高分子量ポリエチレンフィルムを配置する。下金型の凹部は、図3に示すパッキン13を右側から見た形状に対応する形状となっている。この場合、超高分子量ポリエチレンフィルムのサイズは下金型の外側に食み出すようなサイズであってもよい。そして、加熱された下金型により、超高分子量ポリエチレンフィルムが加熱されて軟化する。
【0023】
次に、上金型の下面に真空吸着されたPCからなる芯部21を上金型と共に下降させ、金型を閉じる。この状態では、芯部21および芯部21によって押し下げられた超高分子量ポリエチレンフィルムが下金型の凹部内に入り込む、次に、下金型の凹部内にEPDMゴムを加圧して注入する(インモールド成型)。すると、EPDMゴムの注入圧力により、下金型の凹部内に入り込んだ超高分子量ポリエチレンフィルムが伸びて下金型の凹部の内面に沿う状態となる。
【0024】
この場合、超高分子量ポリエチレンフィルムは、破断することなく、且つ、しわが発生することなく、所期の形状に成型される。また、EPDMゴムからなるパッキン部22および超高分子量ポリエチレンフィルムからなる表面層23はどちらもエチレン成分を有するため、加熱加圧により、両者はその界面で強固に接着される。この結果、パッキン13を第1の筐体1の開口部5内に圧入するとき、表面層23が剥がれないようにすることができる。この後、金型を開け、超高分子量ポリエチレンフィルムの不要な部分を切り取ると、パッキン13が得られる。
【0025】
次に、カバー本体12の超音波溶着用突起16上にパッキン13の芯部21の凹部21cの部分を配置する。この状態では、超音波溶着用突起16の先端側は芯部21の凹部21c内に挿入されている。そして、この状態で超音波溶着を行うと、超音波溶着用突起16の先端部が溶融し、且つ、芯部21の凹部21cの内面が溶融し、この溶融した両者が互いに結合し、超音波溶着用突起16の部分にパッキン13の芯部21の凹部21cの部分が溶着される。かくして、コネクタカバー11が得られる。
【0026】
次に、コネクタカバー11の開閉について説明する。コネクタカバー11を開ける場合には、コネクタカバー11の開き防止用突起15に指の爪等を引っ掛けて引っ張ると、開き防止用突起15が第1の筐体1の係止用開口部7の部分から外れ、カバー本体12を開けることができる。この状態では、パッキン13は第1の筐体1の開口部5から抜け出され、第1の筐体1の開口部5が解放される。
【0027】
次に、コネクタカバー11を閉じる場合について説明する。コネクタカバー11のパッキン13をその先端部側から第1の筐体1の開口部5内に圧入すると、パッキン13の先端外周部(パッキン部22の膨出部22a)が弾性変形しながら第1の筐体1の開口部5内に挿入される。この状態では、パッキン13の先端外周部(パッキン部22の膨出部22a)が元の形状に弾性復帰しようとする力により、パッキン13の先端外周部の表面層23が第1の筐1体の開口部5の内壁面に圧接され、これにより第1の筐体1の開口部5が防水される。
【0028】
ところで、この携帯電話を海岸や砂浜等において土砂や粉塵等の異物を含む液体(海水)に浸漬させると、液体が、カバー本体11と第1の筐体1との間の隙間25を介して、第1の筐体1の開口部5内に圧入されたパッキン13の基部の近傍まで浸入してしまう。このような状態において、コネクタカバー11を開けると、パッキン13の表面に浸入した液体が付着してしまう。
【0029】
しかるに、この携帯電話では、EPDMゴム等からなるパッキン部22の表面に異物付着防止性を有する超高分子量ポリエチレンフィルムからなる表面層23を設けているので、パッキン部22の実質的な表面である表面層23に液体中の異物が付着しにくいようにすることができる上、パッキン部22の実質的な表面である表面層23に異物が付着しても、この付着した異物を布やアルコール綿等で容易に拭き取って除去することができる。
【0030】
また、表面層23の厚さは数十ミクロンと極めて薄いので、パッキン部22のゴム硬度を損なうことがなく、パッキン部22の膨出部22aの弾性変形を十分に許容することができる。また、表面層23の材料である超高分子量ポリエチレンフィルムは潤滑性を有しているので、第1の筐体1の開口部5内におけるパッキン13の摺動性を良好とすることができる。また、バッキン部22の表面が硬化しても、その表面に設けられた表面層23が第1の筐体1の開口部5の内壁面に圧接されるので、密着性能が損なわれないようにすることができる。
【0031】
(第2実施形態)
図7はこの発明の第2実施形態としての防水構造を備えた携帯電話の図3同様の断面図を示し、図8はコネクタカバー11の表面層23およびパッキン部22を省略した状態の図7における右側面図を示す。この携帯電話において、図3に示す携帯電話と異なる点は、芯部21の突出部21bの基部の複数の箇所に貫通孔31を設け、この貫通孔31内にパッキン部22を充填した点である。このようにした場合には、パッキン部22の芯部21に対する固定を強固なものとすることができる。
【0032】
(第3実施形態)
図9はこの発明の第3実施形態としての防水構造を備えた携帯電話の一部の拡大断面図を示す。この携帯電話において、図3に示す携帯電話と異なる点は、第1の筐体1の開口部5の内壁面の図9における左側(コネクタカバー11と対向する側)に断面ほぼ円弧形状の凸部32をリング状に設けた点である。このようにした場合には、パッキン13を第1の筐体1の開口部5内に圧入したとき、パッキン部22の膨出部22aが凸部32を弾性変形しながら乗り越えた後に、パッキン部22の膨出部22aがやや弾性復帰し、パッキン13の摺動抵抗が減少するので、これをパッキン13を第1の筐体1の開口部5内に圧入したときのクリック感として感じることができる。
【0033】
また、パッキン部22の膨出部22aを覆っている表面層23の表面に付着した異物を凸部32でしごき落とすことができる。さらに、パッキン13を第1の筐体1の開口部5内に圧入した状態では、凸部32でパッキン13を抜け止めすることができ、ひいては衝撃等に起因するコネクタカバー11の自重による解放をより一層防止することができる。
【0034】
ところで、第1の筐体1の開口部5の内壁面に凸部32を形成するためには、凸部32の頂点に対応する位置において第1の筐体成型用の金型を分割し、金型を左右に抜く必要がある。この場合、凸部32の頂点に金型分割線が形成される。しかし、パッキン部22の表面には耐摩耗性を有する超高分子量ポリエチレンフィルムからなる表面層23が設けられているので、頂点に金型分割線を有する凸部32に表面層23が接触しても、表面層23にかじり傷や破損が生じにくいようにすることができる。
【0035】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、カバー本体12の超音波溶着用突起16の部分にパッキン13の芯部21の凹部21cの部分を超音波溶着する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図3を参照して説明すると、表面層23の右側からレーザーを照射して突起16を発熱溶融させ、カバー本体12の突起16の部分にパッキン13の芯部21の凹部21cの部分を溶着するようにしてもよい。
【0036】
また、カバー本体12に超音波溶着用突起16を設けず、且つ、パッキン13の芯部21に凹部21cを設けず、カバー本体12の右面にパッキン13の左面を接着剤を介して接着するようにしてもよい。また、カバー本体12の右面に芯部22の部分を芯部22の右側からねじ込んだネジで取り付けるようにしてもよい。さらに、カバー本体12の右面と芯部22の左面との間に金属板を介在させ、金属板を高周波で振動させることにより、カバー本体12の右面に芯部22の左面を溶着するようにしてもよい。
【0037】
また、芯部21を単品の部品とせずに、カバー本体に芯部を一体的に形成し、部品点数を少なくするようにしてもよい。この場合、一例として、下金型上に芯部を有するカバー本体を配置し、芯部を有するカバー本体上に、周囲に鍔を有する帽子のように前加工された超高分子量ポリエチレンフィルムを配置し、下面に凹部を有する上金型を下降させて金型を閉じ、超高分子量ポリエチレンフィルムに予め設けられた注入孔を介して上金型の凹部内にEPDMゴムを加圧して注入し、金型を開け、超高分子量ポリエチレンフィルムの不要な部分を切り取るようにしてもよい。
【0038】
さらに、この発明は、携帯電話に限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Data Assistance, Personal Digital Assistance:個人向け携帯型情報通信機器)等の携帯端末機器等の電子機器にも適用することができる。
【0039】
以下、この発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0040】
(付記1)
付記1の発明は、開口部を有する筐体と、前記筐体の開口部の外側に設けられ、前記筐体の開口部を開閉するためのカバーとを備え、前記カバーは、カバー本体と、前記カバー本体に設けられ、前記筐体の開口部内に取り外し可能に圧入されるパッキンとを含み、前記パッキンは、前記カバー本体に設けられた補強用の芯部と、前記芯部の外周部に設けられた弾性変形可能なパッキン部と、少なくとも前記パッキン部の前記カバー本体側の面を除く表面に設けられ、潤滑性、耐摩耗性および異物付着防止性を有する表面層とを含むことを特徴とする電子機器の防水構造である。
【0041】
(付記2)
付記2の発明は、付記1に記載の発明において、前記表面層は前記パッキン部の前記カバー本体側の面を除く表面および前記芯部の前記カバー本体側の面を除く表面に設けられていることを特徴とする電子機器の防水構造である。
【0042】
(付記3)
付記3の発明は、付記2に記載の発明において、前記パッキン部の外周部の前記筐体側は断面円弧形状の膨出部となっていることを特徴とする電子機器の防水構造である。
【0043】
(付記4)
付記4の発明は、付記3に記載の発明において、前記パッキン部は前記芯部に設けられた貫通孔に充填されていることを特徴とする電子機器の防水構造である。
【0044】
(付記5)
付記5の発明は、付記3または4に記載の発明において、前記筐体の開口部の内壁面の前記カバーと対向する側に断面円弧形状の凸部がリング状に設けられていることを特徴とする電子機器の防水構造である。
【0045】
(付記6)
付記6の発明は、付記1〜5のいずれかに記載の発明において、前記表面層は超高分子量ポリエチレンフィルムによって形成されていることを特徴とする電子機器の防水構造である。
【0046】
(付記7)
付記7の発明は、付記6に記載の発明において、前記表面層の厚さは数十ミクロンであることを特徴とする電子機器の防水構造である。
【0047】
(付記8)
付記8の発明は、付記6または7に記載の発明において、前記パッキン部はEPDMゴムによって形成されていることを特徴とする電子機器の防水構造である。
【符号の説明】
【0048】
1 第1の筐体
2 第2の筐体
5 開口部
11 コネクタカバー
12 カバー本体
13 パッキン
16 超音波溶着用突起
21 芯部
22 パッキン部
23 表面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、前記筐体の開口部の外側に設けられ、前記筐体の開口部を開閉するためのカバーとを備え、前記カバーは、カバー本体と、前記カバー本体に設けられ、前記筐体の開口部内に取り外し可能に圧入されるパッキンとを含み、前記パッキンは、前記カバー本体に設けられた補強用の芯部と、前記芯部の外周部に設けられた弾性変形可能なパッキン部と、少なくとも前記パッキン部の前記カバー本体側の面を除く表面に設けられ、潤滑性、耐摩耗性および異物付着防止性を有する表面層とを含むことを特徴とする電子機器の防水構造。
【請求項2】
請求項1に記載の発明において、前記表面層は前記パッキン部の前記カバー本体側の面を除く表面および前記芯部の前記カバー本体側の面を除く表面に設けられていることを特徴とする電子機器の防水構造。
【請求項3】
請求項2に記載の発明において、前記パッキン部の外周部の前記筐体側は断面円弧形状の膨出部となっていることを特徴とする電子機器の防水構造。
【請求項4】
請求項3に記載の発明において、前記パッキン部は前記芯部に設けられた貫通孔に充填されていることを特徴とする電子機器の防水構造。
【請求項5】
請求項3または4に記載の発明において、前記筐体の開口部の内壁面の前記カバーと対向する側に断面円弧形状の凸部がリング状に設けられていることを特徴とする電子機器の防水構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記表面層は超高分子量ポリエチレンフィルムによって形成されていることを特徴とする電子機器の防水構造。
【請求項7】
請求項6に記載の発明において、前記表面層の厚さは数十ミクロンであることを特徴とする電子機器の防水構造。
【請求項8】
請求項6または7に記載の発明において、前記パッキン部はEPDMゴムによって形成されていることを特徴とする電子機器の防水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−74312(P2013−74312A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209590(P2011−209590)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】