説明

電子機器保持具および電子機器取り付けユニット

【課題】車両室内への電子機器の取付けを容易にする。
【解決手段】車両内のインナーミラー10の取り付け部としてのインナーミラー保持具20に取り付けられるとともに、電子機器を保持可能な電子機器保持具30が提供される。電子機器保持具30は、電子機器を保持可能な電子機器保持部を有する第1の筐体31と、記第1の筐体31に組み付けられる第2の筐体32と、を備えている。第1の筐体31がインナーミラー保持具20に取り付け可能であるとともに、平面視において第1の筐体31の外側から内部へ通じた切り欠き部S1を有し、第1の筐体31および第2の筐体32が組み付けられることにより、第1の筐体31の切り欠き部S1を含む領域の変形が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内のインナーミラーの近傍に取り付け可能であるとともに、電子機器を保持可能な電子機器保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、車両の機能向上、事故防止、事故発生時の原因究明等、種々の目的のため、車室内にテレビカメラ、ドライビングレコーダ等の電子機器が設けられる場合がある。このような電子機器は、例えば天井、インスツルメントパネル等の車両室内の一部に保持される。そして、電子機器を保持する場所として車両のインナーミラーが選ばれることがある。インナーミラーは車両室内において最も前方に配置される部品のため、前方の状況を撮影する電子機器を保持するには都合のよい箇所に位置している。
【0003】
特許文献1は撮影機能付きインナーミラーを開示しており、外部の画像を記録する電子機器としての撮影機構がインナーミラーの内部に搭載されている。
【0004】
特許文献2はアンテナ内蔵ルームミラーを開示しており、電子機器としてのアンテナがルームミラーのステー内部に搭載されている。
【0005】
特許文献3も電子機器としての撮影機能を内蔵したインナーミラーを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−76880号公報
【特許文献2】特開2002−337612号公報
【特許文献3】特開平10−119647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献は電子機器を内蔵したインナーミラーに関するものであり、インナーミラーが車両室内に取り付けられた後、電子機器を後付けすることは想定されていない。前述したように、電子機器を車両室内に設ける必要性が高まっており、特に、既に使用されている車両に後付けで電子機器を取り付ける必要性は高まっている。
【0008】
本発明は、車両室内のインナーミラーの近傍に電子機器を容易に取り付ける技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、車両内のインナーミラーの取り付け部に取り付けられるとともに、電子機器を保持可能な電子機器保持具であって、電子機器を保持可能な電子機器保持部を有する第1の筐体と、前記第1の筐体に組み付けられる第2の筐体と、を備え、前記第1の筐体が前記取り付け部に取り付け可能であるとともに、平面視において当該第1の筐体の外側から内部へ通じた切り欠き部を有し、前記第1の筐体および前記第2の筐体が組み付けられることにより、前記第1の筐体の前記切り欠き部を含む領域の変形が防止される、電子機器保持具が提供される。
【0010】
前記第1の筐体は、基部と、当該基部から伸びた二つの延設部を備え、前記切り欠き部は、前記二つの延設部の間に形成され、前記第1の筐体は平面視U字形状を呈するのが好ましい。
【0011】
前記第1の筐体または前記第2の筐体の一方に設けられた少なくとも一つのリブが、前記第1の筐体または前記第2の筐体の他方に設けられた二つのリブによって狭持されているのが好ましい。
【0012】
前記第1の筐体および前記第2の筐体が組み付けられることにより、前記第1の筐体の前記取り付け部への取り付け箇所が、前記取り付け部側へ押圧されるのが好ましい。
【0013】
前記第2の筐体が、前記第1の筐体の前記切り欠き部を完全に覆うのが好ましい。
【0014】
前記電子機器保持具と当該電子機器保持具によって保持された電子機器からなる電子機器取り付けユニットも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電子機器保持具によれば、作業者は車両室内のインナーミラーの近傍に電子機器を容易に取り付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態である電子機器保持具を含むインナーミラーユニットの斜視図
【図2】実施形態のインナーミラーユニットの分解斜視図
【図3】実施形態のインナーミラーユニットがフロントガラスに取り付けられた状態を示す図
【図4】図3における矢印Bの方向から観察したインナーミラーユニットの側面図
【図5】図1における矢印Aの方向から観察したインナーミラーユニットの背面図
【図6】実施形態の電子機器取り付けユニットの斜視図
【図7】実施形態のインナーミラー保持具の分解斜視図
【図8】(a)は図3における矢印Cの方向から観察したインナーミラーユニットの正面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿った断面図
【図9】図8(b)のB−B線に沿った断面図
【図10】(a)は第1の筐体の上面平面図であってインナーミラーのステーとの比較を示す図であり、(b)はコネクタを挟み込んだ第1の筐体の上面平面図であり、(c)は(b)のI−I線に沿った断面図であり、かつ(b)の状態にさらに第2の筐体を組み付けたときの断面図、(d)は(c)II−II線に沿った断面図であり第2の筐体の上面平面図
【図11】(a)は電子機器保持具の平面図であり、(b)は電子機器保持具の側面図であり、(c)は図10(b)のIII−III線に沿った断面図であり、かつ図10(b)の状態にさらに第2の筐体を組み付けたときの断面図、(d)は図10(b)のIV−IV線に沿った断面図であり、かつ(b)の状態にさらに第2の筐体を組み付けたときの断面図
【図12】図10(b)のV線に沿った断面図であり、かつ(b)の状態にさらに第2の筐体を組み付けたときの断面図
【図13】電子機器保持具をインナーミラー保持具に取り付ける手順を説明する図
【図14】電子機器保持具をインナーミラー保持具に取り付ける手順を説明する図
【図15】電子機器保持具をインナーミラー保持具に取り付ける手順を説明する図
【図16】電子機器保持具をインナーミラー保持具に取り付ける手順を説明する図
【図17】電子機器保持具をインナーミラー保持具に取り付ける手順を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明の実施形態である電子機器保持具を含むインナーミラーユニットの斜視図を示し、図2はインナーミラーユニットの分解斜視図を示す。インナーミラーユニット100は、インナーミラー本体11とステー12を含むインナーミラー10と、インナーミラー10をフロントガラス等の車両内の一部に保持するインナーミラー保持具20と、インナーミラー保持具20に取り付けられ、かつインナーミラー保持具20を覆う電子機器保持具30と、電子機器保持具30に保持される電子機器としてのカメラ40とを備える。尚、図1は、フロントガラス等の車両内の一部に取り付けられていない状態のインナーミラーユニット100を示す。
【0018】
インナーミラー10はインナーミラー本体11とステー12を含むが、特にその形態は限定されない。ステー12の一端部12aはインナーミラー本体11の裏側に固定され、ステー12の他端部12bは、インナーミラー保持具20に取り付けられる。
【0019】
図3に示すように、本実施形態において、インナーミラー保持具20は車両のフロントガラス50に取り付けられてインナーミラー10を保持するものである。しかしながら、インナーミラー保持具20の取り付け箇所はフロントガラス50には限定されず、車両内部の天井その他でもよく、特に限定はされない。
【0020】
図4は、フロントガラス50に取り付けられた状態のインナーミラーユニット100の右側面図、すなわち図3における矢印Bの方向から観察したインナーミラーユニット100の側面図を示す。
【0021】
図5は、インナーミラーユニット100をカメラ40側から観察した背面図、すなわち図1における矢印Aの方向から観察したインナーミラーユニット100の背面図を示す。カメラ40のレンズ41が車両正面に開口しており、カメラ40は車両前方の風景を撮影することができる。
【0022】
図6は、電子機器保持具30に電子機器としてのカメラ40が取り付けられた状態であって、電子機器保持具30と当該電子機器保持具30によって保持されたカメラ40からなる電子機器取り付けユニット60の斜視図を示す。インナーミラー12とインナーミラー保持具20は点線で示されている。カメラ40は、固定ビス30aにより電子機器保持具30に固定されている。作業者は電子機器取り付けユニット60を手に持ち、後述するような方法で電子機器取り付けユニット60をインナーミラー保持具20に取り付ける。
【0023】
図7は、車両内のインナーミラー10の取り付け部として機能するインナーミラー保持具20の分解斜視図を示す。ただし、図7においては、本実施形態の電子機器取り付けユニット60の代わりにカバー24が使用されており、図1〜図6に示したインナーミラー保持具20ではなく、さらにカバー24を含むインナーミラー保持具20Aが示されている。本例のインナーミラー保持具20と類似のものが再公表2003−041999号公報に開示されている。ただし、インナーミラー保持具20の実施形態は特に限定されず、インナーミラーを車両内の一部に保持する機能を持つものであればよい。
【0024】
インナーミラー保持具20Aは、ベース21と、線形スプリング22と、ベースインナ23と、カバー24とを備えている。ベース21は金属製で、その上面がフロントガラス50に接着されている。
【0025】
線形スプリング22は金属製の部材からなり、後述するようにベース21を側面から弾性的に挟み込むとともに、ベースインナ23及びステー12の他端部12bにおけるピボット12cを側面から弾性的に挟み込む。
【0026】
ベースインナ23は樹脂により製造されており、ステー12の他端部12bにおけるピボット12cを収納する。カバー24も樹脂により製造されており、ベースインナ23に取り付けられてベースインナ23を覆う。
【0027】
カバー24は、一般的に電子機器取り付けユニット60が取り付けられる前の車両において取り付けられている。そして、後から電子機器取り付けユニット60が取り付けられる場合、作業者はベースインナ23からステー12を取り外すことなく、カバー23を所定の工具を用いて破壊する(切断する)。その後に作業者は電子機器取り付けユニット60をインナーミラー保持具20(ベースインナ23)に取り付ける。
【0028】
図8(a)は、フロントガラス50に取り付けられた状態のインナーミラーユニット100の正面図、すなわち図3における矢印Cの方向から観察したインナーミラーユニット100の正面図を示す。図8(b)は、図8(a)のA−A線に沿った断面図を示している。
【0029】
図9は、図8(b)のB−B線に沿った断面図を示しており、ステー12の他端部12bが、インナーミラー保持具20に取り付けられた状態の断面図を示す。図8(b)における電子機器保持具30以外の部材の組み立て方を説明する。ステー12の他端部12bにおけるピボット12cがベースインナ23のソケット23hに挿入された状態で、線形スプリング22がベースインナ23の後方開口からベースインナ23の内部に挿入される。このとき線形スプリング22の下側の直線部22aが、ソケット23hを締め付け(図9参照)、ピボット12c、ひいてはステー12、インナーミラー10がインナーミラー保持具20に保持される。
【0030】
インナーミラー10をベースインナ23に取り付けた後、ベースインナ23がベース21を収納するように、インナーミラー保持具20を車両のフロントガラス50に当てた後、車両のフロントガラス50に沿って動かす。このとき、線形スプリング22の上側の直線部22bが、ベース21の両側面を締め付け(図9参照)、かつベースインナ23が前後からベース21を挟む(図8(b)参照)。この結果、ベースインナ23がベース21に保持され、ステー12、インナーミラー10がフロントガラス50に保持されることとなる。
【0031】
図2に示すように、カメラ40から延びたケーブル40aの先端にはコネクタ40bが接続されている。コネクタ40bは外部の機器との接続を確保するものであり、後述するように電子機器保持具30内に収容されている。
【0032】
図2に示すように、カメラ40を保持可能な電子機器保持具30は第1の筐体(ロアカバー)31と第2の筐体(アッパカバー)32が組み合わされたものである。そして、本実施形態では第1の筐体31に一対の連結部31aが形成され、固定ビス30aが連結部31aに形成された係止穴31hとカメラ40の貫通孔40cを貫通する。この結果、カメラ40が、連結部31a、ひいては第1の筐体31、電子機器保持具30に取り付けられる。連結部31aは電子機器を保持可能な電子機器保持部として機能する。
【0033】
図10(a)は第1の筐体31の下面平面図であって(図2で第1の筐体31を上から見た図)、インナーミラー10のステー12との比較を示す図である。第1の筐体31はその長手方向(図10の左右方向)に延びて形成された空間である切り欠き部S1を、第1の筐体31の幅方向(図10の上下方向)の中心に有する。切り欠き部S1の外部に解放された第一端S11は、外部に向かって拡がるテーパー形状を呈している。切り欠き部S1の第一端S11と反対側の第二端S12は、略円形の通孔S2につながっている。
【0034】
図10(a)に示されているように、第一端S11は切り欠き部S1における通孔S2側から第1の筐体31の外縁に向かって、幅がd1からd2になるよう拡がっている(d1<d2)。本形状は、後述するようにインナーミラー10のステー12を受け入れやすい形状となっている。
【0035】
平面視において第1の筐体31の外側から内側へ(第一端S11から第二端S12へ)通じた切り欠き部S1と通孔S2が形成されることにより、第1の筐体31は平面視略U字形状を呈している。すなわち、通孔S2が形成された基部31Bから、二つの片持ち梁のように延びた延設部31A,31Aが、切り欠き部S1の両側に形成されている。二つの延設部31A,31Aは弾性(可撓性)を有し、外側または内側に変形可能である。
【0036】
二つの延設部31A,31Aの外側縁部には、壁リブ31bが形成されている。先端側には延設部31Aの長手方向に並べられた三つのリブ31dが形成されている。さらには、二つの高いリブ31e,31eとこれらの間に形成され、高さの低いリブ31cが、延設部31A,31Aの各々に形成され、リブ31e,31e,31cは切り欠き部S1を挟んで向かい合っている。そして、図10(b)に示すように、コネクタ40bは、延設部31A,31Aの各々のリブ31e,31e,31cによって挟み込まれ固定されている。
【0037】
図10(c)は図10(b)のI−I線に沿った断面図であり、かつ、図10(a)、(b)の状態にさらに第2の筐体32を組み付けたときの断面図を示す。図10(d)は図10(c)のII−II線に沿った断面図であり第2の筐体32の上面平面図である。第2の筐体32はコネクタ40bを下から支えている。
【0038】
図11(a)は第1の筐体31と第2の筐体32が組み付けられて完成する電子機器保持具30の平面図である。図11(b)は同じく電子機器保持具30の側面図である。
【0039】
図11(c)は図10(b)のIII−III線に沿った断面図であり、かつ、図10(b)の状態にさらに第2の筐体32を組み付けたときの断面図を示す。第2の筐体32の外側縁部には壁リブ32aが形成され、第1の筐体31の壁リブ31bの内側に当該壁リブ32aが接した状態で配置されている。さらにコネクタ40bが、延設部31A,31A各々のリブ31eによって挟み込まれ固定されている。
【0040】
図10(d)は図10(b)のIV−IV線に沿った断面図であり、かつ、図10(b)の状態にさらに第2の筐体32を組み付けたときの断面図を示す。第2の筐体32の壁リブ32aは、第1の筐体31の壁リブ31bの内側に当該壁リブ32aが接した状態で配置されている。さらにコネクタ40bが、延設部31A,31A各々のリブ31cの上に配置されている。
【0041】
図12は図10(b)のV線に沿った断面図であり、かつ、図10(b)の状態にさらに第2の筐体32を組み付けたときの断面図を示す。第2の筐体32の壁リブ32aは、第1の筐体31の壁リブ31bとリブ31dの間に挿入され、壁リブ31bとリブ31dによって挟持されている。そして、壁リブ32aに隣接した第2の筐体32の外縁平面32bが、第1の筐体31の壁リブ31bの先端の外縁平面31fに当接している。組み付け状態で、壁リブ32aと壁リブ31bの間には距離d3(例えば0.15mm)が保持されている。また、壁リブ32aとリブ31dの接する距離はd4(例えば0.8mm)である。図8(a)、(b)で示した長手方向に並んだ三つのリブ31dの断面形状は、図12に示したリブ31dと同じである。
【0042】
図11(c)、図11(d)、図12に示されているように、第1の筐体31または第2の筐体32の一方に設けられた少なくとも一つのリブが、第1の筐体31または第2の筐体32の他方に設けられた二つのリブによって狭持されている。このようなリブを用いた構造を介して第1の筐体31と第2の筐体32が組み付けられ、第1の筐体31の切り欠き部S1を含む領域(主として延設部31A,31Aの部分)の変形が防止されることとなっている。
【0043】
次に図13から図17を用いて、インナーミラー保持具20に電子機器保持具30を取り付ける手順を示す。実際の作業ではベースインナ23がベース21に取り付けられた状態、すなわち、インナーミラー10がフロントガラス50に取り付けられた状態で、作業者が電子機器40を保持した第1の筐体31を手でもち、以下の作業を行う。図13から図17ではベース21は図示されておらず、省略してある。
【0044】
まず、図13に示すように、作業者がインナーミラー10のステー12に対し、第1の筐体31の切り欠き部S1の第一端S11を当てる。さらに作業者が図14に示すように、第1の筐体31をステー12の方向に押すと、弾性を有する二つの延設部31A,31Aが外側に拡がりつつ、ステー12が切り欠き部S1内に入る。ここで、切り欠き部S1の第一端S11はテーパー形状を呈しているため、たとえステー12が延設部31A,31Aに当たっても、作業者は容易に第1の筐体31を進ませることができる。
【0045】
さらに作業者が図15に示すように、第1の筐体31をステー12の方向に押すと、ステー12は切り欠き部S1の第一端S11と反対側の第二端S12の近くまで進む。切り欠き部S1は、ステー12を通過させる通路としての役割を果たす。そして、さらに作業者が第1の筐体31をステー12と向かって押すと、図16に示すようにステー12が通孔S2に入る。さらに作業者が第1の筐体31をインナーミラー保持具20側に押すと、図17に示すように、ベースインナ23が、第1の筐体31内に納められる。
【0046】
このとき、図9にも示すように、第1の筐体31の基部31において通孔S2の両側に設けられた二つの押さえ込みリブ31g(図10(a),(b)参照)が、ベースインナ23の側壁23cに設けられた切り欠き23iに当接する。
【0047】
この後、第2の筐体32を第1の筐体31に組み付けることにより、電子機器保持具30が完成する。図1等に示すように、電子機器保持具30は、車両内部から見て、インナーミラーの取り付け部としてのインナーミラー保持具20を覆うことになり、意匠性が向上する。
【0048】
また、第1の筐体31および第2の筐体32が組み付けられることにより、第1の筐体31のインナーミラーの取り付け部としてのインナーミラー保持具20への取り付け箇所が、インナーミラー保持具20へ押圧されることとなる。具体的には図9、図17に示したように、第1の筐体31の基部31Bにおける二つの押さえ込みリブ31gが取り付け箇所として機能し、インナーミラー保持具20のベースインナ23の側壁23cに設けられた切り欠き23iに当接する。第1の筐体31と第2の筐体32が組み付けられるとは、第1の筐体31に第2の筐体32が被せられることを意味する。このとき、二つの押さえ込みリブ31gは、図9の矢印Dの方向に沿って切り欠き23iに押圧される。したがって、電子機器保持具30のインナーミラー保持具20への保持は強固のものとなる。
【0049】
また、本実施形態においては、第2の筐体32が、第1の筐体31の切り欠き部S1を完全に覆うため、第1の筐体31と第2の筐体32の組み付けは強固なものとなる。
【0050】
本実施形態においては、カメラ40を保持する電子機器保持具30の一部である第1の筐体31が平面視略U字形状を呈している。そして、作業者は、インナーミラー10のステー12が第1の筐体31内のスロット状の通路である切り欠き部S1中を通過するように、第1の筐体31を動かし、当該第1の筐体31をインナーミラー保持具20に取り付けることが出来る。すなわち作業者は、車両室内における既存のインナーミラー10を取り外すことなく、カメラ40を保持した電子機器保持具30を容易に取り付けることが可能となる。したがって、作業者の電子機器(電子機器取り付けユニット)の取り付け作業が容易になるとともに、廃棄する部品を少なくすることができる。
【0051】
また、第1の筐体31の二つの延設部31A,31Aは弾性(可撓性)を有し、外側または内側に変形可能である。したがって、作業者は単に第1の筐体31をインナーミラー10のステー12側に押すだけで、容易にインナーミラー10のステー12を切り欠き部S1中に導くことができる。また、切り欠き部S1の第一端S11が、第1の筐体31の平面視における内側から外側に向かって拡がるようなテーパー形状となっているため、さらに容易にステー12を切り欠き部S1中に導くことができる。
【0052】
第2の筐体32は第1の筐体31に取り付けられ、図11(a),(b)に示すように第1の筐体32の中身とコネクタ40bを覆う役割も果たし、美観の向上に寄与する。また、第2の筐体32が第1の筐体31に取り付けられることにより、弾性を有する二つの延設部31A,31Aが外側に拡がったり内側に変形したりするのを防ぐことが可能となる。
【0053】
具体的には、図10、図11及び図12に示したような第1の筐体31の壁リブ31bおよびリブ31dと、第2の筐体32の壁リブ32aとの組み合わせにより、二つの延設部31A,31Aの変形が防止される。
【0054】
また、図10(c)、(d)に示すように、第1の筐体31のリブ31c、リブ31eにより、コネクタ40bは安定的に電子機器保持具30内に配置される。
【0055】
また、電子機器保持具30がインナーミラー保持具20に取り付けられた際、図9に示すように、第1の筐体31の基部31における二つの押さえ込みリブ31gが、ベースインナ23の側壁23cに設けられた切り欠き23iに当接し、矢印D方向に押圧する。したがって、ベースインナ23の側壁23cもD方向に押圧され、結果的にステー12がベースインナ23のソケット23hによってより強固に保持されることとなる。
【0056】
本実施形態では第1の筐体31が平面視略U字形状を呈しているが、特に限定されるものではなく、電子機器の取り付けの際に、ステー12を通過させる切り欠き部が設けられていればよい。また、各種リブの数や形状も特に限定されるものではない。本実施形態では第2の筐体32に設けられた一つのリブ32aが、第1の筐体31に設けられた二つのリブ31b、31dによって狭持されている。しかしながら、第1の筐体31に設けられた一つのリブが、第2の筐体32に設けられた二つのリブによって狭持されてもよい。また、電子機器としてカメラ40が電子機器保持具30に保持されているが、電子機器の種類は特に限定はされず、ドライブレコーダー等その他のものであっても良い。
【0057】
なお、本発明は、本発明の趣旨ならびに範囲を逸脱することなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が様々な変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、車両室内への電子機器の取付けが容易になる。特にインナーミラーの近傍に電子機器を取り付ける際、インナーミラーを取り外すことなく取付けが可能となり、取り付け作業の負担が軽減されるとともに、廃棄する部品を少なくすることができる。
【符号の説明】
【0059】
10 インナーミラー
11 インナーミラー本体
12 ステー
20 インナーミラー保持具
21 ベース
22 線形スプリング
23 ベースインナ
30 電子機器保持具
31 第1の筐体(ロアカバー)
31A 延設部
31B 基部
32 第2の筐体(アッパカバー)
40 カメラ(電子機器)
50 フロントガラス
60 電子機器取り付けユニット
100 インナーミラーユニット
S1 切り欠き部
S2 通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内のインナーミラーの取り付け部に取り付けられるとともに、電子機器を保持可能な電子機器保持具であって、
電子機器を保持可能な電子機器保持部を有する第1の筐体と、
前記第1の筐体に組み付けられる第2の筐体と、を備え、
前記第1の筐体が前記取り付け部に取り付け可能であるとともに、平面視において当該第1の筐体の外側から内部へ通じた切り欠き部を有し、
前記第1の筐体および前記第2の筐体が組み付けられることにより、前記第1の筐体の前記切り欠き部を含む領域の変形が防止される、電子機器保持具。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器保持具であって、
前記第1の筐体は、基部と、当該基部から伸びた二つの延設部を備え、
前記切り欠き部は、前記二つの延設部の間に形成され、
前記第1の筐体は平面視U字形状を呈する、電子機器保持具。
【請求項3】
請求項1記載の電子機器保持具であって、
前記第1の筐体または前記第2の筐体の一方に設けられた少なくとも一つのリブが、前記第1の筐体または前記第2の筐体の他方に設けられた二つのリブによって狭持されている、電子機器保持具。
【請求項4】
請求項1記載の電子機器保持具であって、
前記第1の筐体および前記第2の筐体が組み付けられることにより、前記第1の筐体の前記取り付け部への取り付け箇所が、前記取り付け部側へ押圧される、電子機器保持具。
【請求項5】
請求項1記載の電子機器保持具であって、
前記第2の筐体が、前記第1の筐体の前記切り欠き部を完全に覆う、電子機器保持具。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の電子機器保持具と当該電子機器保持具によって保持された電子機器からなる電子機器取り付けユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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