説明

電子機器及びブート処理方法並びにブート処理プログラム

【課題】外部メモリから必要なデータを短時間にダウンロードすることができる電子機器及びブート処理方法並びにブート処理プログラムを提供すること。
【解決手段】主電源の投入が行われたことに応じて外部メモリ100が装着されていることを確認する外部メモリ確認部200と、外部メモリ100が装着されていることが確認されたときに外部メモリ100の管理情報領域にアクセスして所定の管理情報を読み込む管理情報読込部201と、管理情報読込部201により読み込まれた所定の管理情報の中から認証ファイルを検索する検索部202と、検索部202により検索された認証ファイルにより認証を行う認証部203と、認証部203により認証が完了したときに外部メモリ100のデータ領域にアクセスして所定の実データを読み込むデータ読込部204と、データ読込部204により読み込まれた実データをメモリ206に書き込む書込部205と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源の投入に応じてブート処理を実行する電子機器及びブート処理方法並びにブート処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話においては、新たに機能が追加される度に、プログラムを格納するためのプログラム領域が増加し、かつ当該プログラムのダウンロード及び書き込みにも多大な時間を要している。
【0003】
このような背景から、シリアルインターフェースを利用したプログラムの書き換え方式からUSB(Universal Serial Bus)を利用したデータの転送方法へ移行し、さらに、外部メモリからデータを転送して書き込む方式等のデータの転送及び書き込みの高速化を図る方法が種々提案されている。
【0004】
また、特許文献1によれば、映像を受信するような受信器にソフトウェアプログラムをセキュアに、メモリに対して安全に、効率的にダウンロードする技術が提案されている。
【0005】
また、特許文献2によれば、機器に必要なROMデータのダウンロードについて、外部装置を必要とせず、携帯端末装置に最適で、効率的な処理を行う技術が提案されている。
【特許文献1】特表2005−531846号公報
【特許文献2】特開2001−188686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1や特許文献2を利用して、外部メモリから所定のデータを読み込み、読み込んだ当該所定のデータを内部メモリに書き込む方式を採用した場合について考察する。
【0007】
まず、外部メモリ上のファイルからデータを読み込む(ダウンロード)には、携帯電話は、ファイルシステムが動作している状態、すなわち主電源の投入後、ブート処理が行われ、OS(Operating System)の初期化等の処理も完了し、動作可能な状態(通話待ち受け状態)になっている必要がある。
【0008】
このようにして、特許文献1や特許文献2を利用して、外部メモリから所定のデータをダウンロードするには、電源の投入後から通話待ち受け状態に遷移するまでの時間を待たなくてはならず、データを取得するまでの時間を短縮することが困難である。
【0009】
また、携帯電話において外部メモリからデータのダウンロードを行う際には、使用者が誤ってデータを書き換えないようにするために、USBケーブル等をつないで特定のコマンドを携帯電話に送信したり、また、安定したダウンロードを実現するために、携帯電話が着信を受けられないように、電波受信を遮断するモードに設定したりする必要があり、データを取得するまでの時間を短縮できない問題がある。
【0010】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、外部記憶部からデータを読み込むことができる電子機器及びブート処理方法並びにブート処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電子機器は、上記課題を解決するために、所定のファイルシステムに準拠して管理情報が格納される管理情報領域と実データが格納されるデータ領域とにより構成されている外部記憶部が装着される装着部と、所定のブート処理を行うブート処理部と、を有する電子機器において、前記ブート処理部は、電源の投入が行われたことに応じて前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることを確認する外部記憶部確認手段と、前記外部記憶部確認手段により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むデータ読込手段と、前記データ読込手段により読み込まれた前記実データを所定の格納部に書き込む書込手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記電子機器では、前記外部記憶部確認手段により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記管理情報領域にアクセスして所定の管理情報を読み込む管理情報読込手段と、前記管理情報読込手段により読み込まれた前記所定の管理情報の中から認証ファイルを検索する検索手段と、前記検索手段により検索された前記認証ファイルにより認証を行う認証手段と、を備え、前記データ読込手段は、前記認証手段により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むことが好ましい。
【0013】
また、上記電子機器では、前記所定の格納部は、ブート処理が行われる際に読み込まれるプログラムデータが格納されているプログラムデータ格納部であり、前記データ読込手段は、前記認証手段により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして、前記ブート処理に係るプログラムデータを前記実データとして読み込み、前記書込手段は、前記データ読込手段により読み込まれた前記ブート処理に係るプログラムデータを前記プログラムデータ格納部に書き込むことが好ましい。
【0014】
また、上記電子機器では、前記所定の格納部は、前記ブート処理が完了した後に、所定の機能を発揮するプログラムデータが格納されているプログラムデータ格納部であり、前記データ読込手段は、前記認証手段により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして、前記プログラムデータを前記実データとして読み込み、前記書込手段は、前記データ読込手段により読み込まれた前記プログラムデータを前記プログラムデータ格納部に書き込むことが好ましい。
【0015】
また、上記電子機器では、前記所定のファイルシステムは、FAT(File Allocation Table)システムであることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係るブート処理方法は、上記課題を解決するために、電源の投入が行われたことに応じて所定のファイルシステムに準拠して管理情報が格納される管理情報領域と実データが格納されるデータ領域とにより構成されている外部記憶部が装着される装着部に前記外部記憶部が装着されていることを確認する外部記憶部確認工程と、前記外部記憶部確認工程により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むデータ読込工程と、前記データ読込工程により読み込まれた前記実データを所定の格納部に書き込む書込工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
上記ブート処理方法では、前記外部記憶部確認工程により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記管理情報領域にアクセスして所定の管理情報を読み込む管理情報読込工程と、前記管理情報読込工程により読み込まれた前記所定の管理情報の中から認証ファイルを検索する検索工程と、前記検索工程により検索された前記認証ファイルにより認証を行う認証工程と、を備え、前記データ読込工程は、前記認証工程により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むことが好ましい。
【0018】
また、本発明に係るコンピュータによって実現するためのブート処理プログラムは、電源の投入が行われたことに応じて所定のファイルシステムに準拠して管理情報が格納される管理情報領域と実データが格納されるデータ領域とにより構成されている外部記憶部が装着される装着部に前記外部記憶部が装着されていることを確認する外部記憶部確認工程と、前記外部記憶部確認工程により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むデータ読込工程と、前記データ読込工程により読み込まれた前記実データを所定の格納部に書き込む書込工程と、をコンピュータによって実現するためのプログラムである。
【0019】
また、上記ブート処理プログラムでは、前記外部記憶部確認工程により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記管理情報領域にアクセスして所定の管理情報を読み込む管理情報読込工程と、前記管理情報読込工程により読み込まれた前記所定の管理情報の中から認証ファイルを検索する検索工程と、前記検索工程により検索された前記認証ファイルにより認証を行う認証工程と、を備え、前記データ読込工程は、前記認証工程により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、外部記憶部からデータを読み込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る電子機器の一例である携帯電話装置1の外観斜視図を示す。なお、以下では、携帯電話装置について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、撮像機能及び通信機能を有するものであれば良く、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であっても良い。
【0022】
携帯電話装置1は、操作部側筐体部2と、表示部側筐体部3と、を備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10に、操作キー群11と、携帯電話装置1のユーザが通話時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を動作させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。
【0023】
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、各種情報を表示するためのディスプレイ21と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部22と、被写体を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラ等により構成される撮像部23と、音楽等を外部に出力するスピーカ24と、を備えて構成されている。
【0024】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話装置1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが折り畳まれた状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0025】
なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話装置の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話装置の形態としては特にこれに限られず、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)等であっても良い。
【0026】
また、図2は、携帯電話装置1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話装置1は、図2に示すように、外部の端末と通信を行う通信部60と、所定の処理を行う処理部70と、所定容量を有する充電池80と、充電池80から供給される電源電圧を所定の電圧に変換し、変換後の電圧を通信部60や処理部70等に供給する電源回路部90と、外部メモリ100(外部記憶部)が装着される装着部101と、を備えている。
【0027】
通信部60は、所定の使用周波数帯により外部装置と通信を行うメインアンテナ61と、変調処理又は復調処理等の信号処理を行う通信処理部62と、を備える。
【0028】
メインアンテナ61は、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で外部装置(基地局)と通信を行う。なお、本実施の形態では、所定の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であっても良い。また、メインアンテナ61は、所定の使用周波数帯の他に、第2の使用周波数帯(例えば、2GHz)に対応できる、いわゆるデュアルバンド対応型による構成であっても良いし、さらに、第3の使用周波数帯にも対応できる複数バンド対応型により構成されていても良い。
【0029】
通信処理部62は、メインアンテナ61によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を処理部70に供給し、一方、処理部70から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ61を介して外部装置(基地局)に送信する。
【0030】
電源回路部90は、充電池80から供給される電源電圧を所定の電圧値に変圧し、変圧後の電源電圧を通信部60及び処理部70に供給する。
【0031】
装着部101は、所定の規格に準じた形状をなしており、当該所定の規格に準じた不揮発性の外部メモリ100の装着を可能としている。また、処理部70は、装着部101に装着された外部メモリ100にデータを書き込んだり、また書き込まれているデータを読み出す。
【0032】
また、本実施例では、外部メモリ100は、複数のフォルダ(ディレクトリ)で構成されており、記憶されるデータの種類に応じて格納されるフォルダが異なるものとして説明するが、特にこの構成に限定されるものではない。
【0033】
また、外部メモリ100は、例えば、FAT(file allocation table)ファイルシステムによりデータの管理がされているものとして説明するが、特にこれに限定されるものではない。
【0034】
<FATファイルシステムについて>
ここで、FATファイルシステムについて説明する。ファイルシステムとは、外部メモリ100上においてファイルを管理するための仕組みであり、ユーザが論理的に扱うファイルやディレクトリを、実際の物理的な外部メモリ100上に対応させ、ファイルやディレクトリ自体を構成するシステムである。FATファイルシステムは、ディレクトリエントリとFAT(File Allocation Table)と呼ばれる情報によって管理される。
【0035】
FATファイルシステムにおいて、ファイルはクラスタを単位として構成されているが、同一ファイルを構成するクラスタの外部メモリ100上の物理的な位置は必ずしも連続しているわけではない。それらのクラスタがどのような順でつながって、一つのファイルを構成しているかを管理しているのがFATである。FATの各項目は、外部メモリ100の各クラスタと1対1に対応している。ファイルの開始クラスタは、後述するディレクトリエントリに記録され、その次のクラスタを指しているのは、最初のクラスタに対応するFATの次のエントリの内容である。
【0036】
ディレクトリとは、ファイルを管理するための階層構造を持つグループ名である。また、各ディレクトリに含まれるファイルの情報は、ディレクトリエントリと呼ばれる。ディレクトリエントリには、ファイルや他のディレクトリの名前、拡張子、属性、データサイズ、ファイルの開始クラスタの番号(開始クラスタ番号)等の情報が含まれている。最上位のディレクトリをルートディレクトリと呼び、その下位のディレクトリをサブディレクトリと呼ぶ。
【0037】
FATファイルシステムによってフォーマットされた外部メモリ100は、セクタと呼ばれる単位によって分割され、外部メモリ100上に記録されたデータは、セクタ単位で読み出し及び書き込みが行われる。なお、1セクタは、通常、512バイトである。
【0038】
また、セクタを2のべき乗個集めたものをクラスタと呼ぶ。1クラスタが何個のセクタにより構成されるかは、外部メモリ100によって異なる。
【0039】
FATファイルシステムによってフォーマットされた外部メモリ100は、マスターブートレコード(MBR)、パーティションテーブル、複数のFAT領域、ルートディレクトリ領域、データ領域からなる。また、パーティションテーブルは、先頭にブートセクタを有する。
【0040】
マスターブートレコードは、外部メモリ100の先頭の1セクタであり、オペレーティングシステムをロードするためのブートローダやパーティション情報が収められている。また、ブートセクタは、該当するパーティションの先頭セクタを指し、1クラスタが何個のセクタにより構成されているかを示すセクタ/クラスタ数、FAT領域を構成するセクタの数、ルートディレクトリエントリの数等の情報を記録している。
【0041】
FAT領域は、データ領域に記録されているデータのファイル本体の在り処を示す情報であるFAT項目を記録する領域である。FAT領域は、通常、2つのFAT領域を有し、これらにはそれぞれ同一の内容が記録される。また、これら2つの異なるFAT領域は、外部メモリ100上に連続して配置される。
【0042】
ルートディレクトリ領域は、ファイルの在り処を管理する領域である。ルートディレクトリ領域には、最上位のディレクトリであるルートディレクトリに存在するファイルとサブディレクトリに関する情報を記述したルートディレクトリエントリが記録される。
【0043】
データ領域は、ファイルの内容(実データ)と、サブディレクトリ以下に存在するファイルとサブディレクトリに関する情報を記述したディレクトリエントリが記録される。データ領域に記録されたファイルの内容は、FAT及びディレクトリエントリによって対応付けられている。
【0044】
すなわち、外部メモリ100におけるデータへのアクセスは、まずルートディレクトリエントリに記述された開始クラスタ番号を参照してデータ領域に記録されたファイルの一部を読み出し、FATを参照して次のデータが記録されたデータ領域内の位置を特定し、その位置のデータを読み出す、といった処理をファイルの末尾まで繰り返すことによってなされる。
【0045】
このように、一つのファイルを構成するクラスタ群は、FATによりチェインとしてつなげられている。このようにFATを基にファイルの部分を辿っていく操作を、チェイン操作と呼ぶ。
【0046】
<処理部70の構成と動作>
つぎに、処理部70の構成と動作について説明する。なお、外部メモリ100は、所定のファイルシステム(例えば、上述したFATファイルシステム)に準拠して管理情報が格納される管理情報領域と実データが格納されるデータ領域とにより構成されている。
【0047】
処理部70は、例えば、主制御部(CPU)であって、図3に示すように、主電源の投入(電源がON状態)が行われたことに応じて装着部101に外部メモリ100が装着されていることを確認する外部メモリ確認部200(外部記憶部確認手段)と、外部メモリ確認部200により装着部101に外部メモリ100が装着されていることが確認されたときに外部メモリ100の管理情報領域にアクセスして所定の管理情報を読み込む管理情報読込部201(管理情報読込手段)と、管理情報読込部201により読み込まれた所定の管理情報の中から認証ファイル(パスワードファイル)を検索する検索部202(検索手段)と、検索部202により検索された認証ファイルにより認証を行う認証部203(認証手段)と、認証部203により認証が完了したときに外部メモリ100のデータ領域にアクセスして所定の実データを読み込むデータ読込部204(データ読込手段)と、データ読込部204により読み込まれた実データをメモリ206(所定の格納部)に書き込む書込部205と、を備える。なお、メモリ206は、例えば、NAND型フラッシュメモリにより構成される。また、携帯電話装置1は、データの一時書き込み用としてRAM207を有している。
【0048】
また、メモリ206は、ブート処理が行われる際に読み込まれるプログラムデータが格納されているプログラムデータ格納部である。メモリ206がこのような構成の場合には、データ読込部204及び書込部205は、以下のように動作する。
【0049】
データ読込部204は、認証部203により認証が完了したときに外部メモリ100のデータ領域にアクセスして、ブート処理に係るプログラムデータを実データとして読み込む。そして、書込部205は、データ読込部204により読み込まれたブート処理に係るプログラムデータをメモリ206に書き込む。
【0050】
また、メモリ206は、ブート処理が完了した後に、所定の機能を発揮するプログラムデータが格納されているプログラムデータ格納部である。メモリ206がこのような構成の場合には、データ読込部204及び書込部205は、以下のように動作する。
【0051】
データ読込部204は、認証部203により認証が完了したときに外部メモリ100のデータ領域にアクセスして、プログラムデータを実データとして読み込む。そして、書込部205は、データ読込部204により読み込まれたプログラムデータをメモリ206に書き込む。
【0052】
つぎに、携帯電話装置1によりブート処理の工程(以下に示すステップS1〜ステップS3)において、外部メモリ100から所定のデータをダウンロードする方法について図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、使用者による所定の操作によって主電源の投入により、リセットが行われたものとする。
【0053】
使用者による所定の操作による主電源の投入により、リセットが行われ、ブート処理の工程として、初期化のための各種処理工程S1が実行され、その後、起動モードを判定するための起動モード判定工程S2が実行される。そして、起動モード判定工程S2の判定結果に応じて、外部メモリ100から所定のデータのダウンロードが行われるダウンロード工程S3が実行される。また、起動モード判定工程S2の判定結果に応じて、ダウンロード工程S3が実行されない場合には、通常の起動工程S4が実行されて、携帯電話装置1は、動作可能な状態(通話待ち受け状態)になる。
【0054】
<初期化のための各種処理工程S1>
つぎに、初期化のための各種処理工程S1について説明する。初期化のための各種処理工程S1では、図5に示すように、RAM207の初期化が行われ(ステップS11)、処理部70(主制御部(CPU))の初期化が行われ(ステップS12)、次に、割り込みハンドルの登録が行われ(ステップS13)、次に、バス幅等の設定が行われ(ステップS14)、そして、メモリ206のコントローラの初期化が行われる(ステップS15)。そして、外部メモリ100の初期化が行われる(ステップS16)。
【0055】
なお、初期化のための各種処理工程S1においては、上述したように、RAM207の初期化を行い、必ずブートプログラムのコードを転送することによってプログラムは初めて動作できるので、リセット後(CPU初期状態)では、RAM207の初期化を行う(ステップS11)。また、本実施例におけるRAM207は、SDRAM(Synchronous DRAM)を想定しており、メモリが消去されないようにクロック挿入動作を行う。このようにして、RAM207の初期化を最初に実行する。
【0056】
<起動モード判定工程S2>
つぎに、起動モード判定工程S2について説明する。図6に示すように、外部メモリ100の初期化(ステップS16)が行われた後、外部メモリ確認部200は、外部メモリ100が装着部101に装着されているか否かを確認する(ステップS21)。ここで、外部メモリ100が装着部101に装着されていると確認された場合には、ステップS22に進み、外部メモリ100が装着部101に装着されていないと確認された場合には、ステップS4(ステップS41)に進む。
【0057】
外部メモリ100が装着部101に装着されていると確認された場合、装着部101のコントローラ(管理情報読込部201、データ読込部204)を初期化する(ステップS22)。その後、管理情報読込部201は、ルートディレクトリファイルを読み込む(ステップS23)。
【0058】
検索部202は、読み込んだルートディレクトリファイルの中に所定の認証ファイル名が含まれているか否かの検索を行う。具体的には、ルートディレクトリファイルの先頭ファイルが所定の認証ファイル名であるか否かを確認し(ステップS24)、所定の認証ファイル名ではない場合には、ステップS25に進み、所定の認証ファイル名である場合には、ステップS26に進む。
【0059】
また、ルートディレクトリファイルに次のファイルが存在するか否かを判断し(ステップS25)、次のファイルが存在する場合には、ステップS24に戻り、そのファイルが所定の認証ファイル名であるか否かを判断する(ステップS24)。また、次のファイルが存在しない場合には、ステップS4(ステップS41)に進む。
【0060】
外部メモリ100から所定の認証ファイルを読み込み(ステップS26)、認証部203は、当該認証ファイルの認証を行う(ステップS27)。ステップS28において、認証が適式に行われた場合には、ステップS29に進み、認証が適式に行われない場合には、ステップS4(ステップS41)に進む。
【0061】
データ読込部204は、外部メモリ100のルートディレクトリからダウンロードするファイルの検索を行い(ステップS29)、ダウンロード対象となるファイルの有無を確認する(ステップS30)。ここで、ダウンロードするファイルが存在する場合には、ステップS3(ステップS31)に進み、ダウンロードするファイルが存在しない場合には、ステップS4(ステップS41)に進む。
【0062】
<ダウンロード工程S3>
つぎに、ダウンロード工程S3について説明する。図7に示すように、データ読込部204は、外部メモリ100から対象となるファイルをダウンロードする。ダウンロードされたデータは、RAM207等の一時記憶メモリに書き込まれる(ステップS31)。また、データ読込部204は、所定のタイミングでRAM207に書き込まれたデータを読み出し、メモリ206に書き込む(ステップS32)。また、外部メモリ100からデータをすべて読み込んだか否かを判断し(ステップS33)、データをすべて読み込んだ場合には、ステップS34に進み、データをすべて読み込んでいない場合には、ステップS31に戻る。
【0063】
外部メモリ100からデータをすべて読み込んだ場合には、ダウンロードの終了を示す表示をディスプレイ21に表示する(ステップS34)。そして、所定時間(例えば、2分30秒間)の経過を待ち(ステップS35)、ステップS1(ステップS11)に戻る。なお、携帯電話装置1は、通常の起動工程S4の実行前の段階において、外部メモリ100に対して、所定のデータを書き込むことが可能な構成にすれば、ダウンロード済みである旨を外部メモリ100の所定の場所に書き込む処理を行えば、ステップS35の工程は不要となる。
【0064】
<通常の起動工程S4>
つぎに、通常の起動工程S4について説明する。図8に示すように、ステップS21の工程により外部メモリ100が装着部101に装着されていないと確認された場合や、ステップS25の工程により次のファイルが存在しないと判断された場合や、ステップS28の工程により認証が適式に行われないと判断された場合や、ステップS30の工程によりダウンロードの対象となるファイルが存在しないと判断された場合には、通常の起動工程S4が実行される。すなわち、C言語スタンダードライブラリスタートアップルーチンが起動し(ステップS41)、OSが初期化され(ステップS42)、ルートタスクの起動が行われ(ステップS43)、サブタスクの起動が行われる(ステップS44)。
【0065】
このようにして、本発明に係る携帯電話装置1では、外部メモリ100から読み込んだ認証ファイルの認証可否に基づいて、メモリ206にデータを書き込むか否かを判断するので、使用者の誤操作によるデータの書き込みを防止することができ、また、従来技術のように、外部メモリ100からデータを読み込むために、外部ケーブルを接続して任意のコマンドを入力する作業を不要にすることができる。
【0066】
また、本発明に係る携帯電話装置1では、ファイルシステムの機能を限定してブート処理機能へ実装する方式(少ないコード領域でも動作するように、外部メモリ100のルートディレクトリのファイルを検索するロジックと、ファイルの読み込みに必要なロジックのみを実装する方式)を採用するので、いわゆるブート処理の工程(ステップS1〜ステップS3)において、所定の初期化処理を行い、外部メモリ100が装着部101に装着されているか否かの確認をし、外部メモリ100が装着されている場合に認証ファイルの検索を行い、検索された認証ファイルの認証を行い、認証が行われた後に外部メモリ100から所定のデータをダウンロードしてメモリ206に書き込むことができ、従来技術のように、外部メモリ100から所定のデータをダウンロードする際に、携帯電話装置1が動作可能な状態(通話待ち受け状態)になるまで待つ必要がなく、かつ電波受信を遮断するモードに設定する必要もない。したがって、本発明に係る携帯電話装置1では、従来技術に比べて、外部メモリ100から所定のデータをダウンロードする際に、他の機能(通話待ち受け機能)との競合処理を防止でき、かつダウンロード時間を短縮化でき、かつ高速に行うことができる。
【0067】
なお、本実施例では、所定のファイルシステムとしてFAT(File Allocation Table)システムにより説明したが、FATファイルシステムに限定されるものではなく、他のファイルシステムでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る携帯電話装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る携帯電話装置の機能を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る携帯電話装置に備えられている処理部の構成を示す図である。
【図4】本発明に係るブート処理の工程についての説明に供する図である。
【図5】初期化のための各種処理工程についての説明に供するフローチャートである。
【図6】起動モード判定工程についての説明に供するフローチャートである。
【図7】ダウンロード工程についての説明に供するフローチャートである。
【図8】通常の起動工程についての説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 携帯電話装置
70 処理部
100 外部メモリ
101 装着部
200 外部メモリ確認部(外部記憶部確認手段)
201 管理情報読込部(管理情報読込手段)
202 検索部(検索手段)
203 認証部(認証手段)
204 データ読込部(データ読込手段)
205 書込部
206 メモリ(所定の格納部)
207 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のファイルシステムに準拠して管理情報が格納される管理情報領域と実データが格納されるデータ領域とにより構成されている外部記憶部が装着される装着部と、所定のブート処理を行うブート処理部と、を有する電子機器において、
前記ブート処理部は、
電源の投入が行われたことに応じて前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることを確認する外部記憶部確認手段と、
前記外部記憶部確認手段により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むデータ読込手段と、
前記データ読込手段により読み込まれた前記実データを所定の格納部に書き込む書込手段と、を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記外部記憶部確認手段により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記管理情報領域にアクセスして所定の管理情報を読み込む管理情報読込手段と、
前記管理情報読込手段により読み込まれた前記所定の管理情報の中から認証ファイルを検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された前記認証ファイルにより認証を行う認証手段と、を備え、
前記データ読込手段は、前記認証手段により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記所定の格納部は、ブート処理が行われる際に読み込まれるプログラムデータが格納されているプログラムデータ格納部であり、
前記データ読込手段は、前記認証手段により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして、前記ブート処理に係るプログラムデータを前記実データとして読み込み、
前記書込手段は、前記データ読込手段により読み込まれた前記ブート処理に係るプログラムデータを前記プログラムデータ格納部に書き込むことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記所定の格納部は、前記ブート処理が完了した後に、所定の機能を発揮するプログラムデータが格納されているプログラムデータ格納部であり、
前記データ読込手段は、前記認証手段により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして、前記プログラムデータを前記実データとして読み込み、
前記書込手段は、前記データ読込手段により読み込まれた前記プログラムデータを前記プログラムデータ格納部に書き込むことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
前記所定のファイルシステムは、FAT(File Allocation Table)システムであることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項6】
電源の投入が行われたことに応じて所定のファイルシステムに準拠して管理情報が格納される管理情報領域と実データが格納されるデータ領域とにより構成されている外部記憶部が装着される装着部に前記外部記憶部が装着されていることを確認する外部記憶部確認工程と、
前記外部記憶部確認工程により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むデータ読込工程と、
前記データ読込工程により読み込まれた前記実データを所定の格納部に書き込む書込工程と、を備えることを特徴とするブート処理方法。
【請求項7】
前記外部記憶部確認工程により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記管理情報領域にアクセスして所定の管理情報を読み込む管理情報読込工程と、
前記管理情報読込工程により読み込まれた前記所定の管理情報の中から認証ファイルを検索する検索工程と、
前記検索工程により検索された前記認証ファイルにより認証を行う認証工程と、を備え、
前記データ読込工程は、前記認証工程により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むことを特徴とする請求項6記載のブート処理方法。
【請求項8】
電源の投入が行われたことに応じて所定のファイルシステムに準拠して管理情報が格納される管理情報領域と実データが格納されるデータ領域とにより構成されている外部記憶部が装着される装着部に前記外部記憶部が装着されていることを確認する外部記憶部確認工程と、
前記外部記憶部確認工程により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むデータ読込工程と、
前記データ読込工程により読み込まれた前記実データを所定の格納部に書き込む書込工程と、をコンピュータによって実現するためのブート処理プログラム。
【請求項9】
前記外部記憶部確認工程により前記装着部に前記外部記憶部が装着されていることが確認されたときに前記外部記憶部の前記管理情報領域にアクセスして所定の管理情報を読み込む管理情報読込工程と、
前記管理情報読込工程により読み込まれた前記所定の管理情報の中から認証ファイルを検索する検索工程と、
前記検索工程により検索された前記認証ファイルにより認証を行う認証工程と、を備え、
前記データ読込工程は、前記認証工程により認証が完了したときに前記外部記憶部の前記データ領域にアクセスして所定の実データを読み込むことを特徴とする請求項8記載のブート処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−181278(P2009−181278A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18921(P2008−18921)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】