説明

電子機器及び電子機器の制御方法

【課題】情報カードの収納構造によらず、情報カードを適切に着脱することができる電子機器を提供することにある。
【解決手段】機器本体と、情報が記憶され、機器本体に対して着脱可能な情報カードと、機器本体に装着され、機器本体に電力を供給するバッテリと、情報カードを着脱可能な状態で収容する収容部と、機器本体に対して、情報カードが着脱中であるかを検出する検出部と、検出部によって情報カードが着脱中であることが検出されている間は、機器本体の駆動を停止する切換部と、を有することで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な情報カードを有する電子機器及び電子機器の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の電子機器では、電子機器本体を変えても同一の電話番号を利用可能とするために、UIMカード(User Identity Module Card)や、SIMカード(Subscriber Identity Module Card)等の電話番号等を特定するためのID等が記憶された情報カードを使用している。情報カードを用いる電子機器は、情報カードを電子機器本体に差し込み、電子機器本体で情報カードに記憶されている情報を読み取り、割り当てられた電話番号等の情報を取得することで、電子機器として使用可能な状態となる。
【0003】
ところで、電子機器の中には、情報カードを電池パック(バッテリ)と筐体との間、より具体的には、筐体の、操作キーが設けられている面とは反対の面で、電池パックにより覆われている面に情報カードの収容部を設けた構造のものがある。このように、情報カードを電池パックと筐体との間に収納するようにすることで、電子機器本体に電池パックを接続している状態では、構造的に情報カードを取り出せない構造とすることができる。また、電子機器の中には、特許文献1に記載されているような構造もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−336292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電子機器をより薄型、軽量化するために筐体を小型化すると電池パックと筐体との間に情報カードの収納部を設けることができない形状の電子機器もある。例えば、情報カードが一部露出した状態となる構造とした場合は、電源がONの状態で情報カードを着脱することが可能となってしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、情報カードの収納構造によらず、情報カードを適切に着脱することができる電子機器及び電子機器の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子機器であって、機器本体と、前記機器本体に電力を供給するバッテリと、情報を記憶し、前記機器本体に対して着脱可能な情報カードを収容する収容部と、前記機器本体に対して、前記情報カードが着脱中であるかを検出する検出部と、前記検出部によって前記情報カードが着脱中であることが検出されている間は、前記バッテリからの電力供給による前記機器本体の駆動を停止する切換部と、を有することを特徴とする。
【0008】
ここで、前記切換部は、前記検出部によって、前記情報カードが着脱中であることが検出されている間は、前記バッテリから前記機器本体への電力の供給を停止することが好ましい。
【0009】
また、前記バッテリは、前記収納部に対向し、前記情報カードの着脱時に、前記情報カードが前記バッテリ上を移動することが好ましい。
【0010】
また、前記切換部は、前記検出部による検出結果を電気信号として検出し、検出した電気信号に基づいて、前記機器本体の駆動動作を制御することが好ましい。
【0011】
また、前記切換部は、前記情報カードが装着されたことを検出したら、前記バッテリから前記機器本体へ電力の供給を開始することが好ましい。
【0012】
また、前記情報カードは、前記機器本体を情報端末として使用可能な状態にする情報を記憶していることが好ましい。
【0013】
また、前記検出部は、前記情報カードの着脱時に前記情報カードの移動経路上に配置されていることが好ましい。
【0014】
また、前記情報カードは、長方形の4つの角のうち1つの角に切り欠き部が形成された5角形の板形状であり、前記検出部は、前記情報カードの着脱時に、前記切り欠き部と接触する接触部を有し、前記接触部は、前記情報カードが装着されたときには、前記切り欠き部と接触しないことが好ましい。
【0015】
また、前記接触部は、前記情報カードの着脱時に前記情報カードによって押されることが好ましい。
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、情報カードを着脱可能に収容する収容部と、機器本体に電力を供給するバッテリとを有する電子機器の制御方法であって、前記情報カードを前記機器本体に装着または離脱させる着脱動作中であるか検出する検出ステップと、前記検出ステップで、前記情報カードの着脱動作中であることを検出したら前記バッテリから前記機器本体への電力供給を停止する電力供給停止ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明にかかる電子機器及び電子機器の制御方法は、検出情報カードの収納構造によらず、情報カードを適切に着脱することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の電子機器の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す電子機器の外観、電池パックの概略構成を示す斜視図である。
【図3−1】図3−1は、カード収納部周辺の概略構成を示す平面図である。
【図3−2】図3−2は、図3−1のA−A線断面図である。
【図4−1】図4−1は、カード収納部周辺の他の状態の概略構成を示す平面図である。
【図4−2】図4−2は、図4−1のB−B線断面図である。
【図5−1】図5−1は、カード収納部周辺の他の状態の概略構成を示す平面図である。
【図5−2】図5−2は、図5−1のC−C線断面図である。
【図6】図6は、電子機器の処理動作の一例を示すフロー図である。
【図7】図7は、電子機器の処理動作の他の例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。例えば、以下に示す実施形態では、電子機器が、いわゆる携帯電話機の場合として説明するが、本発明はこれに限定されない。本発明の電子機器は、ネットワークまたは外部の端末とデータの送受信を行う機能を有する種々の携帯電子機器、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、携帯ゲーム機や携帯テレビ等や、据置き型の電子機器、固定電話機、PC(Personal Computer)、テレビ等にも用いることができる。
【0020】
図1は、本発明にかかる電子機器の一実施形態の概略構成を示すブロック図であり、図2は、図1に示す電子機器の外観、電池パックの概略構成を示す斜視図である。図1に示すように電子機器10は、基本的に、筐体12と、バッテリの一例である電池パック14と、カバー16と、電源制御部20と、CPU(Central Processing Unit)22と、メモリ24と、通信部26と、操作部28と、音声処理部30と、表示部32と、情報カード60と、接続端子62と、検出部64とを有する。
【0021】
図1及び図2に示すように、筐体12は、電子機器10の各部を内部に収納する外装である。本実施形態の筐体12は、ヒンジで連結された2つの部材で構成され、折りたたみ可能な構成である。図2では、筐体12を折りたたんだ状態を示している。また、筐体12には、着脱可能なカバー16がはめ込まれるようになっており、また、カバー16と筐体12とで形成される空間は、電池パック14を収納する空間となる。また、電池パック14を収納する空間の筐体12の一部には、後述する情報カード60を挿入可能なカード収納部61が形成されている。カード収納部61については、後ほど説明する。なお、本実施形態では、筐体12を折りたたみ可能な筐体としたが、これに限定されず、2つの部材をスライドさせる筐体や、1つの箱型の筐体等にしてもよい。
【0022】
電池パック14は、二次電池であり、蓄電された電力を電源制御部20に供給し、CPU22や、各部を作動させる。電池パック14は、図2に示すように、上述した筐体12とカバー16とで形成される空間に、筐体12に対して着脱可能な状態で保持されている。また、電池パック14は、端子14aを有し、筐体12に設けられた端子12aと接続される。
【0023】
カバー16は、電池パック14の保持位置を覆うように形成されており、一部を筐体12にはめ込むことで、筐体12に固定される。カバー16を筐体12にはめ込むことで、電池パック14は、目視されない状態となる。なお、カバー16は、スライドさせることで、容易に着脱できる状態ではめ込まれている。
【0024】
電源制御部20は、電池パック14から端子14a、端子12aを介して供給される電力を、CPU22や、ディスプレイ等の表示部32に供給する。また、電源制御部20は、充電制御部40と、切換部68を有する。充電制御部40は、充電端子54を介して外部から充電用の電流が供給された際に、外部から供給される電流により電池パック14を充電させるか否かを切り換える。ここで、充電端子54は、ケーブルを介して家庭用のコンセント、電池等と接続される端子であり、コンセント等から供給される電力(電圧、電流)を受け取る部分である。充電端子54から電力が供給されたら、電池パック14は、充電制御部40の制御に基づいて充電される。なお、切換部68については後ほど説明する。
【0025】
CPU22は、電子機器10の全体的な動作を統括的に制御する処理部である。すなわち、電子機器10の各種の処理が、操作部28の操作や電子機器10のメモリ24に保存されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、電源制御部20や、通信部26や、表示部32等の動作を制御する。
【0026】
CPU22は、メモリ24に保存されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。
【0027】
メモリ24には、CPU22での処理に利用されるソフトウェアやデータが保存されており、上述したアプリケーションプログラムを作動させるタスク等も保存されている。
【0028】
通信部26は、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。
【0029】
操作部28は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キーなど、各種の機能が割り当てられたキーで構成され、これらのキーがユーザの操作により入力されると、その操作内容に対応する信号を発生させる。そして、発生した信号は、ユーザの指示としてCPU22へ入力される。
【0030】
音声処理部30は、マイク50に入力される音声信号やレシーバ52から出力される音声信号の処理を実行する。
【0031】
表示部32は、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどの表示パネルを備え、CPU22から供給される映像データに応じた映像を表示パネルに表示させる。
【0032】
次に、図1、図2に加えて、図3−1、図3−2、図4−1、図4−2、図5−1及び図5−2を用いて、情報カード60、カード収納部61、接続端子62、検出部64、切換部68の各部について詳細に説明する。ここで、図3−1は、カード収納部周辺の概略構成を示す平面図であり、図3−2は、図3−1のA−A線断面図である。また、図4−1は、カード収納部周辺の他の状態の概略構成を示す平面図であり、図4−2は、図4−1のB−B線断面図である。また、図5−1は、カード収納部周辺の他の状態の概略構成を示す平面図であり、図5−2は、図5−1のC−C線断面図である。
【0033】
情報カード60は、UIMカード(User Identity Module Card)や、SIMカード(Subscriber Identity Module Card)等の電話番号等を特定するためのID等の情報、つまり、電子機器10を情報端末として使用可能にすることができる情報が記憶されたカード状の記憶媒体である。電子機器100が携帯電話機として使用される場合、情報カード60は、図3−1及び図3−2に示すように、カード収納部61に挿入(装着)されている。また、情報カード60は、長方形の4つの角のうち1つの角に切り欠きが形成された5角形の板形状である。
【0034】
カード収納部61は、上述したように、筐体12の電池パック14が収納される部分、つまり、カバー16で覆われる部分に形成されている。カード収納部61は、情報カード60の外周面の一部を覆う溝形状を有する。カード収納部61は、図3−1及び図3−2に示すように、情報カード60の一部を溝形状で挟み、かつ、情報カード60の他の部分を露出させた状態で支持する。
【0035】
接続端子62は、情報カード60が所定位置に挿入されたときに、情報カード60に機構されている情報を読み取る読み取り機構であり、カード収納部61の内面に設けられている。なお、接続端子62としては、情報カード60が非接触で情報を読み取れる機構媒体である場合は、非接触で情報を読み取る読み取り機構であり、端子等を介して接触して情報を読み取る必要がある記憶媒体の場合は、端子で接続して情報を読み取る読み取り機構が用いられる。
【0036】
検出部64は、接触端子64aと、力を加えられることで弾性変形する弾性部64bとで構成されたスイッチであり、情報カード60をカード収納部61に挿入した状態のとき、情報カード60の切り欠き部分と対向する位置に配置されている。つまり、検出部64は、情報カード60の長方形の4つの角の中で切り欠きが形成された1つの角に配置されている。ここで、弾性部64bとしては、ばねやゴムを用いることができる。検出部64は、接触端子64aに対して、弾性部64bを縮める方向の力が加えられ、弾性部64bが縮み、検出部64が一定長さ以上凹んだ状態となったら、OFFの信号を出力する。また、検出部64は、接触端子64aに対して、弾性部64bを縮める方向に、小さい力しか作用しておらず、検出部64が一定長さより凹んでいない状態では、ONの信号を出力する。
【0037】
検出部64は、以上のような構成であり、図3−1及び図3−2に示すように、情報カード60がカード収納部61に適切に収納されているときは、情報カード60から検出部64に、弾性部64bを縮める方向の力が加わらない状態となる。なお、情報カード60がカード収納部61に適切に収納されているとき、検出部64は、情報カード60の切り欠き部とは接触しない構造となっている。また、図4−1及び図4−2に示すように、情報カード60をカード収納部61に差し込んでいる途中や、カード収納部61から引き出す途中、つまり、情報カード60の着脱動作中は、情報カード60が検出部64を一定の力で押し、検出部64が一定長さ以上凹んだ状態となる。なお、情報カード60をカード収納部61に差し込む動作中及び、カード収納部61から引き出す動作中に、検出部64は、情報カード60の切り欠き部と接触する、具体的には、差し込み終了直前と、引き出し直後に接触する。また、図5−1及び図5−2に示すように、カード収納部61に情報カード60が差し込まれていない状態、つまり、カード収納部61が空の状態の場合は、基本的に弾性部64bを縮める方向に、小さい力しか作用しておらず、検出部64が一定長さより凹んでいない状態となる。
【0038】
次に、切換部68は、検出部64の検出結果を信号としてCPU22に送る。具体的には、検出部64からOFFの信号が送られていることを検出したら、つまり、検出部64に外力が働き、一定長さ以上凹んでいる場合は、CPU22にOFFの信号を送る。また、検出部64からONの信号が送られていることを検出したら、つまり、検出部64に一定以上の外力が働いておらず、一定長さより凹んでいない場合は、CPU22にONの信号を送る。
【0039】
次に、図6を用いて電子機器10の動作について説明する。ここで、図6は、電子機器の処理動作の一例を示すフロー図である。なお、図6に示す動作は、CPU22による情報カード60の読み取り動作の一例を示している。また、本動作例では、情報カードとして、UIMカードを用いた場合として説明する。まず、電子機器10は、情報カード60に記憶されている情報を取得する必要が生じたら、ステップS12として、CPU22により情報カードへのアクセスを開始する。ここで、情報カード60に記憶されている情報を取得するタイミングとして、電源の立ち上げ時や、課金発生時等、電子機器10の使用者を特定する必要がある場合である。
【0040】
CPU22は、ステップS12で情報カード60へのアクセスを開始したら、次に、ステップS14として、検出部64から出力されている検出信号がON状態であるかを判定する。ここで、検出信号は、電源制御部20を介して取得することができる。CPU22は、ステップS14で検出信号がONである(Yes)と判定したら、情報カード60の着脱操作中ではないと判断し、ステップS16として、情報カード60に記憶されているUIMを読み込む。その後、CPU22は、ステップS20に進む。また、CPU22は、ステップS14で検出信号がONではない(No)、つまり、検出信号がOFFであると判定したら、情報カード60の着脱操作中であると判断し、ステップS18として電源をOFFにして、処理を終了する。ここで、電源をOFFにするとは、CPU22で駆動しているソフトをシャットダウンすることであり、CPU22の駆動を停止しても、電源制御部20からの電力の供給を停止させてもよい。
【0041】
次に、CPU22は、ステップS16でUIMを読み込んだら、ステップS20として、読み込んだUIMのUIM番号(ICCID:IC Card Identity、固有番号)が、前回値と一致しているかを判定する。つまり、情報カードが前回の情報カードと同一であるかを情報カードの固有番号を照合することで判定する。CPU22は、ステップS20で、UIM番号が一致しない(No)と判定したら、ステップS22として、UIMエラー処理をする。つまり、情報カードが前回とは異なるカードであるとして、エラーを表示させる。また必要に応じて、一部の機能、例えば、通話機能を停止する。CPU22は、その後処理を終了する。
【0042】
また、CPU22は、ステップS20でUIM番号が一致する(Yes)と判定したら、ステップS24として、ノーマル(通常)動作を行い、処理を終了する。つまり、特に制約なく、情報カード60から取得した情報を用いて、通常の処理動作を行う。なお、情報カード60の読み取り動作は間欠的に行われる。電子機器10は、基本的に以上のように動作する。
【0043】
このように、電子機器10は、検出部64、切換部68等で構成される情報カード60が着脱中であるか否かを検出する機構を設け、情報カード60の着脱動作中は、電源をOFFにするようにすることで、情報カード60の一部が露出しており、電池パック14の端子14aを筐体12の端子12aと接続させたまま、つまり、電源をONにしたままの状態で情報カード60を着脱(差し込み及び/または抜き取り)することができる構造であっても、電源をONにしたまま情報カード60が着脱されることを抑制することできる。すなわち、情報カード60の着脱動作が行われると、検出部64で着脱動作が検出され自動的に電源がOFFになるため、電源がONの状態で、情報カード60の着脱動作が行われにくくすることができる。
【0044】
また、情報カード60の切り欠き部に対応する位置に、検出部64を設けることで、5角形の情報カード60が誤った向きでカード収納部61に挿入された場合は、検出部64が情報カード60により押され、検出部64の検出信号OFFとなる。これにより、誤った向きで挿入された場合は、読み取り動作を行わないようにすることができる。また、検出部64が押された状態となり、情報カード60が浮いた状態となるため、操作者が誤操作に気づくことができる。また、切り欠きの位置と、検出部64との位置を照らし合わせて挿入すればよいため、操作者が挿入前に情報カード60の向きを確認する際の補助をすることができ、また、挿入時に挿入する目印ともなる。
【0045】
また、検出部64で、情報カード60の着脱動作のみを検出するようにすることで、情報カード60が挿入されていない場合も電源をONにする設定とすることもできる。なお、情報カード60が挿入されていないと通常の携帯電話機としては使用することができないが、電源はONにできるようにすることで、設定や仕様により救急連絡先のみ、いわゆる、110番や、119番のみは連絡できるようにすることもできる。また、電源がONになるようにすることで、情報カード60が挿入されていないことを操作者に通知することができ、操作者が故障により電子機器10が起動しないのではないことを知ることができ、使用できない理由を知ることができる。また、情報カード60が挿入されていない状態でも電源がONとなるようにすることで、製造時に情報カード60を挿入することなく、検品や、性能調整を行うことができ、製造時にかかる手間を増やさないようにすることができる。
【0046】
ここで、上記実施形態では、情報カード60の読み取り時に情報カード60が着脱中であるかを検出したが、これに限定されない。例えば、切換部68が検出部64の検出結果に基づいて、電池パック14から供給される電力を、CPU22や、ディスプレイ等の表示部32に電力を供給するか否かを切り替えるようにしてもよい。具体的には、検出部64からOFFの信号が送られていることを検出したら、つまり、検出部64に外力が働き、一定長さ以上凹んでいる場合は、電池パック14からCPU22や、表示部32への電力の供給を停止する。また、検出部64からONの信号が送られていることを検出したら、つまり、検出部64に一定以上の外力が働いておらず、一定長さより凹んでいない場合は、電池パック14からCPU22や、表示部32に電力を供給する。
【0047】
次に、図7を用いて、切換部68が検出部64の検出結果に基づいて、電池パック14から供給される電力を、CPU22や、ディスプレイ等の表示部32に電力を供給するか否かを切り替える動作の一例を説明する。ここで、図7は、電子機器の処理動作の他の例を示すフロー図である。まず、電子機器10の切換部68は、ステップS30として、検出部64からの信号に基づいて情報カード60の着脱動作中であるかを判定する。つまり、検出部64から送られる信号がONの信号であるかOFFの信号であるかを判定する。
【0048】
切換部68は、ステップS30で、情報カード60の着脱動作中ではない(NO)、つまり、検出部64からONの信号が送られていると検出したら、ステップS30に進む。つまり、切換部68は、ステップS30でNOと検出されている間は、ステップS30を繰り返す。また、切換部68は、情報カード60の着脱動作中である(Yes)、つまり、検出部64からOFFの信号が送られていると検出したら、ステップS32に進む。
【0049】
切換部68は、ステップS32として、電力の供給を停止する。つまり、電源制御部20により、電池パック14からCPU22及び表示部32等への電力の供給を停止し、電子機器10の各機能を停止させ、電源OFFの状態とする。
【0050】
切換部68は、ステップS32で電力の供給を停止したら、ステップS34として、情報カード60が装着されているかを判定する。具体的には、検出部64から送られている信号がONであり、かつ、接続端子62等により、情報カード60がカード収納部61内にあるかを検出する。切換部68は、ステップS34で情報カード60が装着されていない(No)と判定したら、ステップS34に進む。つまり、切換部68は、ステップS34でNOと検出されている間は、ステップS34を繰り返す。また、切換部68は、ステップS34で情報カード60が装着されていると判定したら、ステップS36として、電源制御部20により、電池パック14からCPU22及び表示部32等へ電力の供給を再開する。その後、ステップS38として電子機器10のCPU20は、切換部68または電源制御部20からの信号に基づいて、各機能を再起動させ、電源ONの状態とする。
【0051】
このように、検出部64で情報カード60が着脱中であることを検出したら、つまり、検出部64が一定長さ以上凹んだら、電源をOFFにすることで、より確実に、電源がONの状態で情報カード60が着脱されることを抑制することができる。なお、この場合は、常に検出部等が動作しているため、消費電力は多くなる。
【0052】
また、情報カード60の装着が確認されたら、自動的に電源をONさせ、各機能を再起動することで、操作者の手間を省くことができ、操作性を高くすることができる。なお、上記効果を得ることができるが、ステップS34からステップS38の処理は必ずしも必要ではない。
【0053】
また、上記実施形態では、ステップS34で、情報カード60が装着されているかを判定したが、着脱動作が終わっているかを判定するようにしてもよい。着脱動作で判定する場合は、情報カード60が挿入されていない場合も電源がONになるが、ステップS34での検出時に検出部64からの信号のみで判定することができ、別途機能を起動させる必要がなくなり、制御が簡単になる。
【0054】
なお、上記実施形態では、検出部64からON、OFFの両方の信号を出力するようにしたが、ON、OFFの信号は、一方の信号のみを出力するようにしてもよい。例えば、ONの信号は出力せず、OFFの信号のみを出力し、切換部68では、信号の出力がないときは、ONの状態であると判定するようにしてもよい。また、OFF信号のみを出力することで、切換部68は、検出部64からの信号の入力を起動のスイッチとして、判定を開始するようにすることもできる。
【0055】
また、上記実施形態では、情報カード60の着脱中は、電池パック14から各部への電力の供給を停止するようにしたが、少なくとも電池パック14からの電力供給により駆動する各機能を停止できればよく、例えば、電力の供給を維持した状態で、各機能を停止(シャットダウン)するようにしてもよい。
【0056】
また、検出部64または切換部68は、OFFの信号を出力する条件が、一定時間以上、または一定回数以上検出されたら、OFFの信号を出力するようにすることが好ましい。ここで、OFFの信号を出力する条件とは、検出部64の場合は、検出部64が一定長さ以上凹んでいる状態が例示され、切換部68の場合は、検出部64から送られるOFFの信号が例示される。このように、複数回、または一定時間の検出に基づいて制御を行うことで、チャタリング等に起因する誤検出の発生を抑制することができる。
【0057】
また、上記実施形態では、検出部64として、情報カード60の着脱時に、接触端子64aが板状の情報カードの面積が一番広い面(表面)と接触する向きで配置したが、本発明はこれに限定されない。例えば、情報カード60の着脱時に、接触端子64aが板状の情報カード60の側面と接触する向きで配置してもよい。つまり、弾性部64bがカード収納部61の開口の長手方向と平行な方向に伸縮するように配置してもよい。この場合も検出部64を切り欠き部に対応する位置に配置することで、情報カード60の着脱時と、情報カード60がカード収納部61に正常に挿入されている時とで、接触端子64aと情報カード60とが接触する位置が異なる位置となる。これにより、情報カード60の着脱時は、情報カード60により接触端子64aが押された状態となり、上記の実施例と同様に検出することができる。
【0058】
また、上記の種々の効果を得ることができ、また、装置内の空間を有効に利用できるため、情報カードの切り欠き部に対応する位置に検出部を設けることが好ましいが、情報カードの着脱が行われていることを検出できれば、検出部の配置位置は特に限定されない。また、より簡単な構成で着脱動作を検出できるため、検出部は、着脱時に情報カードが移動する経路上に設けることが好ましい。例えば、カード収納部に情報カードを装着した時に、情報カードの挿入方向に直交する方向に伸びた辺に隣接した位置に検出部を設けてもよい。この位置に設けることで、情報カードの着脱時に情報カードが検出部の上を通り、情報カードが検出部を押すようにすることができる。
【0059】
また、上記実施形態では、装置構成を簡単にできるため検出部を1箇所に設けたが、検出部を2箇所に設けるようにしてもよい。具体的には、装着時に情報カードが配置される領域において、情報カードの挿入方向の先端と後端に検出部を設ければよい。この場合は、一方のセンサが情報カードを検出し、他方の情報カードを検出していない場合は、着脱動作中と判定することができる。
【0060】
また上記実施形態では、いずれも検出部を情報カードと接触することで凹む、接触型のセンサとしたが、本発明はこれに限定されない。検出部としては、光学的センサを用いてもよい。この場合は、光学的センサの検出位置を情報カードが通過すると、その他の場合とで検出値が変化する。光学的センサは、この変化を検出することで、情報カードが検出位置を通過しているかを判定し、通過していると判定したら、情報カードの着脱動作中であると判定することができる。ここで光学的センサとしては、発光部と受光部とで構成され、発光部から射出され、対向する位置にある物体に反射されて受光部に入射した検査光の強度により変化を検出する光センサと、受光部のみからなり、入光する光の変化により、状態の変化を検出する光センサを用いることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、カバー16によりカード収納部61を隠すことができ、且つ、電池パック14が収納されている時は情報カードを着脱しにくくできるため、本実施形態のように、情報カード60が電池パック14と接触するような位置にカード収納部61等を設ける、つまり、カード収納部61を電池パック14に対向し、かつ情報カードの60の着脱時に情報カード60が電池パック14上を通過する位置(電池パック14が載置されている領域の上を通過する位置)に設けることが好ましいが、本発明はこれに限定されない。情報カード60、カード収納部61の配置位置は特に限定されず、筐体12内のいずれの位置に設けてもよい。例えば、SDカード等の記憶媒体を収納する収納部の横にカード収納部を設けるようにしてもよい。筐体12のいずれの位置に情報カード60を挿入するようにしても、検出部で、情報カード60の着脱動作を検出することで、上記のように、電源がONの状態で情報カードが着脱されることを抑制することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、検出部の検出結果に基づいて、情報を処理し、電気信号により、各部の動作を制御したが、メカニカルなスイッチで情報カードの着脱中であるかを検出し、メカニカルなスイッチで電池パックから各部への電力供給を停止するようにしてもよい。
【0063】
また、説明の簡略化のために、各例を個別に説明したが、それぞれの実施形態を共に備えていてもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明にかかる電子機器及び電子機器の制御方法は、情報カードを着脱する電子機器、特に携帯電子機器に用いることに適している。
【符号の説明】
【0065】
10 電子機器
12 筐体
14 電池パック
16 カバー
20 電源制御部
22 CPU
24 メモリ
26 通信部
28 操作部
30 音声処理部
32 表示部
34 GPS受信部
50 マイク
52 レシーバ
54 充電端子
60 情報カード
61 カード収納部
62 接続端子
64 検出部
68 切換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体と、
前記機器本体に電力を供給するバッテリと、
情報を記憶し、前記機器本体に対して着脱可能な情報カードを収容する収容部と、
前記機器本体に対して、前記情報カードが着脱中であるかを検出する検出部と、
前記検出部によって前記情報カードが着脱中であることが検出されている間は、前記バッテリからの電力供給による前記機器本体の駆動を停止する切換部と、を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記切換部は、前記検出部によって、前記情報カードが着脱中であることが検出されている間は、前記バッテリから前記機器本体への電力の供給を停止することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記バッテリは、前記収納部に対向し、
前記情報カードの着脱時に、前記情報カードが前記バッテリ上を移動することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記切換部は、前記検出部による検出結果を電気信号として検出し、検出した電気信号に基づいて、前記機器本体の駆動動作を制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記切換部は、前記情報カードが装着されたことを検出したら、前記バッテリから前記機器本体へ電力の供給を開始することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記情報カードは、前記機器本体を情報端末として使用可能な状態にする情報を記憶していることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記検出部は、前記情報カードの着脱時に前記情報カードの移動経路上に配置されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記情報カードは、長方形の4つの角のうち1つの角に切り欠き部が形成された5角形の板形状であり、
前記検出部は、前記情報カードの着脱時に、前記切り欠き部と接触する接触部を有し、
前記接触部は、前記情報カードが装着されたときには、前記切り欠き部と接触しないことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記接触部は、前記情報カードの着脱時に前記情報カードによって押されることを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
情報カードを着脱可能に収容する収容部と、機器本体に電力を供給するバッテリとを有する電子機器の制御方法であって、
前記情報カードを前記機器本体に装着または離脱させる着脱動作中であるか検出する検出ステップと、
前記検出ステップで、前記情報カードの着脱動作中であることを検出したら前記バッテリから前記機器本体への電力供給を停止する電力供給停止ステップと、を有することを特徴とする電子機器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−224781(P2010−224781A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70297(P2009−70297)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】