説明

電子機器用ケース

【課題】電子機器の操作性に影響を与えることなく十分な保護機能を有し、かつ製造コストの低減を実現し得る電子機器用ケースを提供する。
【解決手段】前面パネル11、背面パネル12および4枚の側面パネル13(側面パネル13a〜13d)によって略直方体状に構成されたケース本体2と、ケース本体2を保護するプロテクタ3(プロテクタ3a〜3d)とを備え、隣接する各側面パネル13によって形成される4つのコーナー部21(コーナー部21a〜21d)には、隣接する各側面パネル13同士が離間した隙間22が形成され、プロテクタ3は、柔軟性および弾性を有する単一の材料によって形成されると共に一対の嵌合溝が形成された本体部を備えて構成されて、コーナー部21における各側面パネル13の縁部14を各嵌合溝に嵌合させつつスライドさせることによってコーナー部21に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、略直方体状に構成されたケース本体と、当該ケース本体のコーナー部に配設されるプロテクタとを備えた電子機器用ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器のケースに取り付けられて電子機器(ケース)を保護するプロテクタとして、特開2000−183556号公報に開示された携帯端末装置用プロテクタ(以下、単に「プロテクタ」ともいう)が知られている。このプロテクタは、剛性を有するプラスチック部材で形成されて端末(保護対象の電子機器)と当接する内層部、および内層部と比較して相対的に柔らかい(柔軟性を有する)エラストマーで形成されて内層部を被覆する外層部の2層構造で構成されている。また、このプロテクタは、端末の左右の各側面をはめ込むようにして取り付けられて、ネジによって端末に固定されている。
【特許文献1】特開2000−183556号公報(第3−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来のプロテクタには、以下の問題点がある。すなわち、このプロテクタは、剛性を有する内層部と柔軟性を有して内層部を被覆する外層部の2層構造で構成されている。このため、内層部を備えていない構成と比較して、プロテクタが全体として大形化する結果、電子機器の操作に支障を来すおそれがある。また、上記のプロテクタでは、2層構造で構成されていることに起因して、製造工程が複雑となり製造コストの低減が困難であるという問題点も存在する。この場合、柔軟性を有する部材だけでプロテクタを形成する方法が考えられる。しかしながら、上記したプロテクタを含む従来のプロテクタは、一般的に、ネジ止めによって電子機器(電子機器のケース)に固定されているため、柔軟性を有する部材だけで形成したプロテクタでは、ネジ止め用のネジ孔の周囲にネジ止の際の圧力によって亀裂が生じたり、ネジ止めされていない部分が変形して外れるなど、確実な取り付けが困難となるおそれがある。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、電子機器の操作性に影響を与えることなく十分な保護機能を有し、かつ製造コストの低減を実現し得る電子機器用ケースを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく請求項1記載の電子機器用ケースは、前面パネル、背面パネルおよび4枚の側面パネルによって略直方体状に構成されたケース本体と、隣接する前記各側面パネルによって形成される4つのコーナー部にそれぞれ取り付けられて当該ケース本体を保護するプロテクタとを備えた電子機器用ケースであって、前記各コーナー部の少なくとも一部には、前記隣接する各側面パネル同士が離間した隙間が形成され、前記プロテクタは、柔軟性および弾性を有する単一の材料によって形成されると共に前記コーナー部における前記隙間を構成する前記隣接する各側面パネルの縁部に嵌合する一対の嵌合溝が形成された本体部を備えて構成されて、当該各嵌合溝に前記縁部をそれぞれ嵌合させつつ前記コーナー部の長さ方向に沿って前記本体部をスライドさせることによって当該コーナー部に取り付けられる。
【0006】
また、請求項2記載の電子機器用ケースは、請求項1記載の電子機器用ケースにおいて、前記プロテクタは、前記本体部の一部を構成する第1本体部を有する第1プロテクタ部材、および前記本体部の他の部分を構成する第2本体部を有する第2プロテクタ部材で構成され、前記第1プロテクタ部材は、前記コーナー部における前記長さ方向の中央部に向けて当該コーナー部の一端部側から前記第1本体部をスライドさせて当該コーナー部に取り付けられ、前記第2プロテクタ部材は、前記コーナー部の前記中央部に向けて当該コーナー部の他端部側から前記第2本体部をスライドさせて当該コーナー部に取り付けられる。
【0007】
また、請求項3記載の電子機器用ケースは、請求項2記載の電子機器用ケースにおいて、前記ケース本体の前記コーナー部の長さ方向の中央部には、前記隣接する各側面パネルの前記縁部に掛け渡されたブリッジ部が配設され、前記第1プロテクタ部材および前記第2プロテクタ部材は、各々の先端部が前記ブリッジ部に位置した状態において当該先端部が互いに突合可能に構成されている。
【0008】
さらに、請求項4記載の電子機器用ケースは、請求項3記載の電子機器用ケースにおいて、前記第1プロテクタ部材および前記第2プロテクタ部材における前記各先端部の端面には、当該各先端部同士が突合した状態において互いに嵌合する嵌合部がそれぞれ形成されている。
【0009】
また、請求項5記載の電子機器用ケースは、請求項2から4のいずれかに記載の電子機器用ケースにおいて、前記第1プロテクタ部材は、前記第1本体部の基端部側に突出形成されて前記前面パネルおよび前記背面パネルの一方と前記側面パネルとによって形成されるコーナー部を覆う第1突出部を備えて構成され、前記第2プロテクタ部材は、前記第2本体部の基端部側に突出形成されて前記前面パネルおよび前記背面パネルの他方と前記側面パネルとによって形成されるコーナー部を覆う第2突出部を備えて構成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の電子機器用ケースによれば、隣接する各側面パネルの縁部を離間させることによってケース本体における各コーナー部に隙間を形成し、柔軟性および弾性を有する単一の材料によって形成すると共にその隙間を構成する2枚の側面パネルの縁部に嵌合する一対の嵌合溝を形成した本体部を備えてプロテクタを構成したことにより、剛性を有する内層部および柔軟性を有する内層部の2層構造で構成された従来のプロテクタと比較して、内層部を有していない分、保護機能を低下させることなくプロテクタを小形に構成することができる。この結果、電子機器の操作性に影響を与えることなく、十分な保護機能を有する電子機器用ケースを構成することができる。また、この電子機器用ケースによれば、従来のプロテクタと比較して、内層部を有していない分、プロテクタの製造工程を簡略化することができる結果、プロテクタの製造コスト、ひいては電子機器用ケースの製造コストを十分に低減することができる。さらに、この電子機器用ケースによれば、各プロテクタ部材の嵌合溝に側面パネルの縁部に嵌合させつつコーナー部の長さ方向に沿ってスライドさせるだけで、ネジ止めすることなくプロテクタをケース本体に確実に取り付けることができる。したがって、この電子機器用ケースによれば、取り付け作業を容易に行うことができる結果、電子機器用ケースの組立て効率を十分な向上させることができる。
【0011】
また、請求項2記載の電子機器用ケースによれば、第1本体部を有する第1プロテクタ部材、および第2本体部を有する第2プロテクタ部材でプロテクタを構成したことにより、両プロテクタ部材をコーナー部の中央部に向けてコーナー部の両端部からそれぞれスライドさせることで両プロテクタ部材をコーナー部に取り付けることができるため、1つの部材で構成された長尺のプロテクタをコーナー部の一端部から他端部までスライドさせる構成と比較して、プロテクタをさらに容易にコーナー部に取り付けることができるため、電子機器用ケースの組立て効率を一層向上させることができる。
【0012】
また、請求項3記載の電子機器用ケースによれば、隣接する各側面パネルの縁部に掛け渡されたブリッジ部をケース本体のコーナー部の長さ方向の中央部に配設すると共に、各々の先端部がブリッジ部に位置した状態において各先端部が互いに突合可能に各プロテクタ部材を構成したことにより、各プロテクタ部材の撓みがブリッジ部によって防止される結果、各プロテクタ部材の撓みによって各先端部同士の突合状態が解除されて先端部の間に隙間が生じ、その隙間からケース本体の内部に埃等が侵入する事態を確実に防止することができる。
【0013】
さらに、請求項4記載の電子機器用ケースによれば、各プロテクタ部材における先端部の端面に嵌合部をそれぞれ形成したことにより、互いに突合させた状態の各先端部の位置ずれを防止することができるため、各先端部の間に隙間が生じる事態をより確実に防止することができる。
【0014】
また、請求項5記載の電子機器用ケースによれば、本体部の基端部側に突出形成されて前面パネルおよび背面パネルの一方と側面パネルとによって形成されるコーナー部を覆う突出部を備えて両プロテクタ部材を構成したことにより、これらのコーナー部、前面パネルおよび背面パネルを確実に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る電子機器用ケースの最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
最初に、電子機器用ケース1の構成について説明する。図1に示す電子機器用ケース1は、本発明に係る電子機器用ケースの一例であって、ケース本体2およびプロテクタ3a〜3d(以下、区別しないときには「プロテクタ3」ともいう)を備えて構成されている。ケース本体2は、前面パネル11、背面パネル12、および4枚の側面パネル13a〜13d(以下、区別しないときには「側面パネル13」ともいう)によって全体として略直方体状に構成されている。また、ケース本体2における隣接する2枚の側面パネル13によって形成される4つのコーナー部21a〜21d(以下、区別しないときには「コーナー部21」ともいう)には、図2,3に示すように、隣接する各側面パネル13の端部同士が互いに離間することによって生じた隙間22が形成されている。また、各コーナー部21の長さ方向の中央部には、隣接する各側面パネル13の縁部14間に掛け渡されたブリッジ部23が配設されている。この場合、本例では、ブリッジ部23は側面パネル13bと一体に形成されている。なお、ブリッジ部23を側面パネル13cと一体に形成してもよい。また、側面パネル13とは別部材として形成して、例えば側面パネル13bの端面に嵌め合わせて取り付けることもできる。
【0017】
プロテクタ3は、図1に示すように、柔軟性および弾性を有する単一の材料(一例として、エラストマー)によってそれぞれ形成された第1プロテクタ部材31aおよび第2プロテクタ部材31b(以下、区別しないときには「プロテクタ部材31」ともいう)で構成されている。また、プロテクタ3は、ケース本体2における各コーナー部21にそれぞれ取り付けられてケース本体2を保護する機能を有している。
【0018】
第1プロテクタ部材31aは、図4に示すように、第1本体部32aおよび第1突出部33aを備えて構成されている。第1本体部32aは、断面略円弧状の棒状に形成されている。また、第1本体部32aの両側部41,41には、コーナー部21の隙間22を構成する2枚の側面パネル13の縁部14に嵌合する嵌合溝42がそれぞれ形成されている。この場合、第1プロテクタ部材31aは、図6,7に示すように、嵌合溝42と各側面パネル13の縁部14とを嵌合させつつ、コーナー部21の長さ方向の中央部に向けてコーナー部の一方の端部側(両図では、左側)から第1本体部32aをスライドさせることによってコーナー部21に取り付けられる。また、第1突出部33aは、図4に示すように、第1本体部32aの基端部43から突出するようにして第1本体部32aに一体形成(基端部43側に突出形成)されており、第1プロテクタ部材31aがケース本体2のコーナー部21に取り付けられた状態において、前面パネル11および背面パネル12のいずれか一方と側面パネル13とによって形成されるコーナー部24(図2,3参照)を覆って保護するように構成されている。
【0019】
第2プロテクタ部材31bは、図5に示すように、上記した第1プロテクタ部材31aと対称(左右対称)の形状に構成されている。具体的には、第2プロテクタ部材31bは、第2本体部32b(以下、第1本体部32aと区別しないときには「本体部32」ともいう)および第2突出部33b(以下、第1プロテクタ部材31aの突出部33aと区別しないときには「突出部33」ともいう)を備えて構成されている。第2本体部32bは、第1プロテクタ部材31aの第1本体部32aと同様の断面略円弧状の棒状に形成されている。また、第2本体部32bの両側部41,41には、コーナー部21の隙間22を構成する2枚の側面パネル13の縁部14に嵌合する嵌合溝42がそれぞれ形成されている。この場合、第2プロテクタ部材31bは、図6,7に示すように、嵌合溝42と各側面パネル13の縁部14とを嵌合させつつ、コーナー部21の長さ方向の中央部に向けてコーナー部の他方の端部側(両図では、右側)から第2本体部32bをスライドさせることによってコーナー部21に取り付けられる。また、第2突出部33bは、図5に示すように、第2本体部32bの基端部43から突出するようにして第2本体部32bに一体形成(基端部43側に突出形成)されており、第2プロテクタ部材31bがケース本体2のコーナー部21に取り付けられた状態において、前面パネル11および背面パネル12のいずれか他方と側面パネル13とによって形成されるコーナー部24(図2,3参照)を覆って保護するように構成されている。
【0020】
また、図4,5に示すように、第1プロテクタ部材31aの第1本体部32aにおける先端部44の端面45には凸部46a(本願発明における嵌合部の一例)が形成され、第2プロテクタ部材31bの第2本体部32bにおける先端部44の端面45には凸部46aに嵌合可能な凹部46b(本願発明における嵌合部の一例)が形成されている。この場合、第1プロテクタ部材31aおよび第2プロテクタ部材31bは、上記したようにしてケース本体2のコーナー部21に取り付けられる際に、各々の本体部32の先端部44がコーナー部21に配設されているブリッジ部23に位置し、その状態において先端部44(端面45)同士が互いに突合すると共に、各々の凸部46aおよび凹部46bが互いに凹凸嵌合する。なお、第1プロテクタ部材31aの第1本体部32a、および第2プロテクタ部材31bの第2本体部32bによって本発明における本体部が構成される。つまり、第1本体部32aが本発明における本体部の一部を構成し、第2本体部32bが本発明における本体部の他の部分を構成する。
【0021】
この場合、この電子機器用ケース1では、上記したように、プロテクタ3が柔軟性を有する単一の材料によって形成されている。このため、剛性を有する材料で形成された内層部、および柔軟性を有する材料で形成された内層部の2層構造で構成され従来のプロテクタと比較して、内層部を有していない分、保護機能を低下させることなくプロテクタ3を小形に構成することが可能となっている。この結果、電子機器の操作性に影響を与えることなく、十分な保護機能を有する電子機器用ケース1を構成することが可能となっている。また、この電子機器用ケース1では、従来のプロテクタと比較して、内層部を有していない分、プロテクタ3の製造工程を簡略化することが可能な結果、プロテクタ3の製造コストひいては電子機器用ケース1の製造コストを十分に低減することが可能となっている。
【0022】
次に、電子機器用ケース1の組立て方法について、図面を参照して説明する。
【0023】
まず、前面パネル11、背面パネル12および各側面パネル13a〜13dを連結してケース本体2を組み立てる(図1,2参照)。この場合、組み立てられたケース本体2における隣接する2枚の側面パネル13によって形成される各コーナー部21a〜21dには、隣接する各側面パネル13の端部同士が互いに離間することによって生じた隙間22が形成され(図2,3参照)、各コーナー部21の長さ方向の中央部には、隣接する各側面パネル13の縁部14間に掛け渡されたブリッジ部23(両図参照)が位置している。
【0024】
次いで、各コーナー部21にプロテクタ3を取り付ける。具体的には、図6,7に示すように、第1プロテクタ部材31aおよび第2プロテクタ部材31bのいずれか一方(この例では第2プロテクタ部材31b)の第2本体部32bにおける嵌合溝42の先端部44側の部分を、コーナー部21(両図ではコーナー部21b)を構成する2枚の側面パネル13(両図では側面パネル13b,13c)の縁部14に嵌合させる。続いて、第2プロテクタ部材31bの第2突出部33bをコーナー部21の中央部に向けて(図7における左側向きに)押圧して、第2本体部32bをコーナー部21bの長さ方向に沿ってスライドさせる。同様にして、第1プロテクタ部材31aの第1本体部32aにおける嵌合溝42の先端部44側の部分を、側面パネル13b,13cの縁部14に嵌合させて、続いて、第1プロテクタ部材31aの第1突出部33aを押圧して、第1本体部32aをコーナー部21bの長さ方向に沿ってスライドさせる。
【0025】
次いで、各プロテクタ部材31a,31bの本体部32をコーナー部21bの長さ方向に沿ってさらにスライドさせる。この場合、両プロテクタ部材31a,31bにおける各々の本体部32の先端部44がブリッジ部23に位置したときには、各先端部44(端面45)同士が互いに突合すると共に、各々の凸部46aおよび凹部46bが互いに凹凸嵌合する。また、この状態では、各本体部32の基端部43側に突出形成された突出部33により、前面パネル11または背面パネル12と側面パネル13とによって形成されるコーナー部24が覆われて保護される。以下、同様にして、各コーナー部21にプロテクタ3(第1プロテクタ部材31aおよび第2プロテクタ部材31b)を取り付ける。以上により、図1に示すように、ケース本体2の組立てが完了する。
【0026】
この場合、この電子機器用ケース1では、各プロテクタ3が柔軟性および弾性を有する材料で構成されているため、プロテクタ3がコーナー部21に取り付けられた状態では、各プロテクタ部材31の嵌合溝42を形成する内壁面がその全域に亘って各側面パネル13の縁部14に密着する。このため、嵌合溝42の内壁面と側面パネル13の縁部14との間に生じる大きな摩擦力によってコーナー部21からケース本体2の外部に向かう向きでの各プロテクタ部材31のスライドが規制される結果、プロテクタ3がコーナー部21から外れる事態が確実に防止される。したがって、各プロテクタ部材31の嵌合溝42を側面パネル13の縁部14に嵌合させつつ、コーナー部21の長さ方向に沿ってスライドさせるだけで、ネジ止めすることなくプロテクタ3(各プロテクタ部材31)を各コーナー部21に確実に取り付けることが可能となっている。このため、この電子機器用ケース1では、取り付け作業を容易に行うことができる結果、電子機器用ケース1の組立て効率を十分な向上させることが可能となっている。
【0027】
また、この電子機器用ケース1では、コーナー部21の中央部にブリッジ部23が配設され、コーナー部21に取り付けられた各プロテクタ部材31の先端部44が、ブリッジ部23に位置した状態で互いに本体部32の先端部44同士が突合すると共に各先端部44の端面45に形成された凸部46aおよび凹部46bが嵌合する。このため、この電子機器用ケース1では、各本体部32の撓みがブリッジ部23によって防止される結果、本体部32の撓みに起因して各先端部44同士の突合状態が解除されて先端部44の間に隙間が生じ、その隙間からケース本体2の内部に埃等が侵入する事態を確実に防止することが可能となっている。
【0028】
このように、この電子機器用ケース1によれば、隣接する各側面パネル13の縁部14を離間させることによってケース本体2における各コーナー部21に隙間22を形成し、柔軟性および弾性を有する単一の材料によって形成すると共にその隙間22を構成する2枚の側面パネル13の縁部14に嵌合する一対の嵌合溝42を形成した本体部32を備えてプロテクタ3を構成したことにより、剛性を有する内層部および柔軟性を有する内層部の2層構造で構成された従来のプロテクタと比較して、内層部を有していない分、保護機能を低下させることなくプロテクタ3を小形に構成することができる。この結果、電子機器の操作性に影響を与えることなく、十分な保護機能を有する電子機器用ケース1を構成することができる。また、この電子機器用ケース1によれば、従来のプロテクタと比較して、内層部を有していない分、プロテクタ3の製造工程を簡略化することができる結果、プロテクタ3の製造コスト、ひいては電子機器用ケース1の製造コストを十分に低減することができる。さらに、この電子機器用ケース1によれば、各プロテクタ部材31の嵌合溝42に側面パネル13の縁部14に嵌合させつつコーナー部21の長さ方向に沿ってスライドさせるだけで、ネジ止めすることなくプロテクタ3をケース本体2に確実に取り付けることができる。したがって、この電子機器用ケース1によれば、取り付け作業を容易に行うことができる結果、電子機器用ケース1の組立て効率を十分な向上させることができる。
【0029】
また、この電子機器用ケース1によれば、第1本体部32aを有する第1プロテクタ部材31a、および第2本体部32bを有する第2プロテクタ部材31bでプロテクタ3を構成したことにより、両プロテクタ部材31a,31bをコーナー部21の中央部に向けてコーナー部21の両端部からそれぞれスライドさせることで両プロテクタ部材31a,31bをコーナー部21に取り付けることができるため、1つの部材で構成された長尺のプロテクタ3をコーナー部21の一端部から他端部までスライドさせる構成と比較して、プロテクタ3をさらに容易にコーナー部21に取り付けることができるため、電子機器用ケース1の組立て効率を一層向上させることができる。
【0030】
また、この電子機器用ケース1によれば、隣接する各側面パネル13の縁部14に掛け渡されたブリッジ部23をケース本体2のコーナー部21の長さ方向の中央部に配設すると共に、各プロテクタ部材31a,31bにおける各本体部32の先端部44がブリッジ部23に位置した状態において各先端部44が互いに突合可能にプロテクタ3を構成したことにより、各本体部32の撓みがブリッジ部23によって防止される結果、本体部32の撓みによって各先端部44同士の突合状態が解除されて先端部44の間に隙間が生じ、その隙間からケース本体2の内部に埃等が侵入する事態を確実に防止することができる。
【0031】
また、この電子機器用ケース1によれば、各プロテクタ部材31の一方における先端部44の端面45に凸部46aを形成し、各プロテクタ部材31の他方における先端部44の端面45に凹部46bを形成したことにより、互いに突合させた状態の各先端部44の位置ずれを防止することができるため、各先端部44の間に隙間が生じる事態をより確実に防止することができる。
【0032】
また、この電子機器用ケース1によれば、本体部32の基端部43側に突出形成されて前面パネル11および背面パネル12の一方と側面パネル13とによって形成されるコーナー部24を覆って保護する突出部33を備えて両プロテクタ部材31を構成したことにより、コーナー部24、前面パネル11および背面パネル12を確実に保護することができる。
【0033】
なお、本発明は、上記した構成に限定されない。例えば、エラストマーでプロテクタ3を形成した例について上記したが、プロテクタ3を形成する材料はこれに限定されず、柔軟性および弾性を有する材料である限り、任意の材料(例えばゴムや樹脂等)を用いることができる。また、第1プロテクタ部材31aおよび第2プロテクタ部材31bでプロテクタ3を構成した例について上記したが、1つの部材でプロテクタ3を構成することもできる。また、断面略円弧状の本体部32を採用した例について上記したが、これに限定されず、例えば、断面L字状の本体部32を採用することもできる。また、取り付けられた各プロテクタ部材31のコーナー部21から外れる向きでのスライドを補助的に規制するために、プロテクタ部材31をケース本体2にネジ止めする構成を採用することもできる。また、各コーナー部21にブリッジ部23を配設した例について上記したが、ブリッジ部23を有していない構成、つまり各コーナー部21の全体に亘って隙間22が形成されている構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】電子機器用ケース1の構成を示す斜視図である。
【図2】コーナー部21bにプロテクタ3が取り付けられていない状態のケース本体2斜視図である。
【図3】図2におけるコーナー部21bの拡大斜視図である。
【図4】第1プロテクタ部材31aの斜視図である。
【図5】第2プロテクタ部材31bの斜視図である。
【図6】第1プロテクタ部材31aおよび第2プロテクタ部材31bの取り付け方法を説明するための第1の説明図である。
【図7】第1プロテクタ部材31aおよび第2プロテクタ部材31bの取り付け方法を説明するための第2の説明図である。
【符号の説明】
【0035】
1 電子機器用ケース
2 ケース本体
3a〜3d プロテクタ
11 前面パネル
12 背面パネル
13a〜13d 側面パネル
14 縁部
21a〜21d コーナー部
23 ブリッジ部
24 コーナー部
31a 第1プロテクタ部材
31b 第2プロテクタ部材
32a 第1本体部
32b 第2本体部
33a 第1突出部
33b 第2突出部
42 嵌合溝
44 先端部
45 端面
46a 凸部
46b 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面パネル、背面パネルおよび4枚の側面パネルによって略直方体状に構成されたケース本体と、隣接する前記各側面パネルによって形成される4つのコーナー部にそれぞれ取り付けられて当該ケース本体を保護するプロテクタとを備えた電子機器用ケースであって、
前記各コーナー部の少なくとも一部には、前記隣接する各側面パネル同士が離間した隙間が形成され、
前記プロテクタは、柔軟性および弾性を有する単一の材料によって形成されると共に前記コーナー部における前記隙間を構成する前記隣接する各側面パネルの縁部に嵌合する一対の嵌合溝が形成された本体部を備えて構成されて、当該各嵌合溝に前記縁部をそれぞれ嵌合させつつ前記コーナー部の長さ方向に沿って前記本体部をスライドさせることによって当該コーナー部に取り付けられる電子機器用ケース。
【請求項2】
前記プロテクタは、前記本体部の一部を構成する第1本体部を有する第1プロテクタ部材、および前記本体部の他の部分を構成する第2本体部を有する第2プロテクタ部材で構成され、
前記第1プロテクタ部材は、前記コーナー部における前記長さ方向の中央部に向けて当該コーナー部の一端部側から前記第1本体部をスライドさせて当該コーナー部に取り付けられ、
前記第2プロテクタ部材は、前記コーナー部の前記中央部に向けて当該コーナー部の他端部側から前記第2本体部をスライドさせて当該コーナー部に取り付けられる請求項1記載の電子機器用ケース。
【請求項3】
前記ケース本体の前記コーナー部の長さ方向の中央部には、前記隣接する各側面パネルの前記縁部に掛け渡されたブリッジ部が配設され、
前記第1プロテクタ部材および前記第2プロテクタ部材は、各々の先端部が前記ブリッジ部に位置した状態において当該先端部が互いに突合可能に構成されている請求項2記載の電子機器用ケース。
【請求項4】
前記第1プロテクタ部材および前記第2プロテクタ部材における前記各先端部の端面には、当該各先端部同士が突合した状態において互いに嵌合する嵌合部がそれぞれ形成されている請求項3記載の電子機器用ケース。
【請求項5】
前記第1プロテクタ部材は、前記第1本体部の基端部側に突出形成されて前記前面パネルおよび前記背面パネルの一方と前記側面パネルとによって形成されるコーナー部を覆う第1突出部を備えて構成され、
前記第2プロテクタ部材は、前記第2本体部の基端部側に突出形成されて前記前面パネルおよび前記背面パネルの他方と前記側面パネルとによって形成されるコーナー部を覆う第2突出部を備えて構成されている請求項2から4のいずれかに記載の電子機器用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−253243(P2009−253243A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103164(P2008−103164)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】