説明

電子機器

【課題】 本発明は電子部品が実装された基板が収納された筐体内の温度を冷却することを課題とする。
【解決手段】 電子機器10は、筐体12内に電動ファン58が設けられている。電動ファン58は、回路基板50a〜50e間の隙間に向けて空気流を発生させる。この空気流は、回路基板50a〜50e間の左側隙間を通過して背面側に至り、背面パネル21に取り付けられた電源基板55を通過して右方向に移動し、右側内壁に沿って前面側に戻る。前面側に戻った空気は、複数の内側フィン44に導かれて電動ファン58に供給される。従って、筐体12内の発熱は、筐体12内を対流する空気流によって冷却され、且つ空気流を介して筐体12の内壁全体に伝導される。そして、筐体12の熱は、前面12a,左右側面12b,12c及び開閉扉16の前面16aに設けられた放熱フィン18から大気中に放熱される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は密閉された筐体内に電子部品が実装された基板が収納するよう構成された電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、航空機などに搭載されるAVTR(Airborne Video Tape Recorder)として使用される記憶装置は、高度変化に伴う気圧変化に対応できるように密閉された筐体の内部に記録媒体カートリッジが交換可能に装着できるようになっている。また、この種の記録媒体は、近年、ビデオテープから半導体メモリが内蔵されたメモリカード(例えば、PCMCIAカード:Personal Computer Memory Card International Associationカード)に切り替えつつあり、1つのカートリッジには要求される記憶容量に応じた複数枚(7,8枚程度)のメモリカードが収納される。
【0003】このようなメモリカートリッジが交換可能に挿入される記録装置では、筐体の内部にCPU等の電子部品が実装された基板も収納されている。CPU等の電子部品は、発熱量が高いので、冷却する必要がある。
【0004】その他に、密閉された筐体の内部に収納された基板を冷却する方法としては、例えば、■筐体内部の空気を攪拌する方法や、■CPU等の電子部品を筐体内壁に直接取り付ける方法や、■発熱部分と筐体との間をヒートパイプで連結して発熱を筐体に伝導させる方法や、■ペルチェ素子や熱交換機などを設けて発熱部分を冷却する方法が考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような筐体内部の空気を攪拌する方法■では、密閉された筐体内部に外気を導入したり、筐体内部の空気を外部に排気することができないので、空気を攪拌するためのファンを設けても効率良く冷却することが難しい。しかも、CPU等のように発熱が大きい場合、筐体内部の空気を攪拌したとしても平均化された温度が許容温度を充分に下回ることができないという問題があった。
【0006】また、上記CPU等の電子部品を筐体内壁に直接取り付ける方法■では、CPU等の電子部品を筐体内壁に直接取り付けることは、現実的ではない。
【0007】また、発熱部分と筐体との間をヒートパイプで連結して発熱を筐体に伝導させる方法■、あるいはペルチェ素子や熱交換機などを設けて発熱部分を冷却する方法■では、ヒートパイプ、ペルチェ素子、熱交換機が高価であるので、製造コストが高価になってしまうばかりか、比較的大きいので取り付けスペースを確保することが難しく、取付の自由度が小さい。
【0008】また、メモリカートリッジは、挿入側端部に多極オスコネクタが取り付けられている。そして、多極オスコネクタは、メモリカートリッジの挿入操作により記憶装置内の基板に設けられた多極メスコネクタに接続される。そして、カートリッジの交換作業を行うときは、カートリッジ挿入口にカートリッジをガイドされながら挿入し、記憶装置内に設けられた多極メスコネクタに多極オスコネクタを嵌合させて電気的に接続する。
【0009】このカートリッジ挿入操作は、最初に手動でカートリッジ挿入口に挿入された後、カートリッジ挿入口の開閉扉を閉じる過程でカートリッジがさらに装置内部に押圧されて多極オスコネクタが多極メスコネクタに嵌合される。
【0010】ところが、上記のような構成の装置では、カートリッジ挿入後の閉蓋操作により間接的にカートリッジを挿入方向に押圧することで多極オスコネクタを多極メスコネクタに嵌合させるため、カートリッジを直接手動操作する場合よりも挿入位置を微調整することができず、多極オスコネクタが多極メスコネクタに対してずれた状態で当接することがある。
【0011】このように、多極オスコネクタと多極メスコネクタとの嵌合は、カートリッジ挿入口の奥であるため、操作者からは見えない。そのため、操作者は、カートリッジ挿入口の開閉扉を閉じる際に強く閉じて多極オスコネクタを多極メスコネクタに嵌合させる必要があるが、多極オスコネクタが多極メスコネクタに対してずれた状態で当接すると、多極オスコネクタまたは多極メスコネクタが変形してしまうおそれがあった。
【0012】そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、密閉された筐体内部の温度上昇を抑えて信頼性を高めるよう構成された電子機器を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決するため、以下のような特徴を有する。
【0014】本発明による電子機器は、筐体の内部に回路基板を通過する気流を発生させるファン設け、筐体の内壁に気流の流れ方向をファンの吸い込み側へ導く方向に延在する気流ガイド部を設け、筐体の外側に複数の放熱フィンを設けたものであり、ヒートパイプ、ペルチェ素子、熱交換機等の高価な部材を使用せずに筐体内部に気流を発生させて筐体内部の温度を平均化すると共に、発熱温度を筐体全体に拡散して複数の放熱フィンにより外部に放熱して筐体内部を許容温度以下に冷却する。
【0015】また、本発明は、ファンの取付位置に対向する筐体の壁面を気流の流れ方向に対して傾斜させ、傾斜した壁面の外側に設けられた複数の放熱フィンの先端位置が揃うように複数の放熱フィンの夫々の突出高さを壁面の傾斜角度に応じて異なるように形成したものであり、筐体内部にファンの取付スペースを確保できると共に、ファンを取り付けることによって筐体の外観形状が大型化することを防止できる。
【0016】また、本発明は、第1接続端子または第2接続端子の何れか一方を挿入方向と直交する方向に移動可能に設けたものであり、第1接続端子が第2接続端子に接続される過程で一方が挿入方向と直交する方向に移動して相対的な位置合わせすることができ、第1接続端子が第2接続端子に対して若干ずれた位置に挿入されても第1接続端子を第2接続端子に接続することができる。
【0017】また、本発明は、第1接続端子または第2接続端子の何れか一方が、挿入方向に延在するテーパ状にガイドピンを有し、第1接続端子または第2接続端子の何れか他方が、ガイドピンに嵌合する位置合わせ用のガイド孔を有するものであり、ガイドピンとガイド孔との嵌合動作により第1接続端子と第2接続端子との相対位置を位置合わせして第1接続端子を第2接続端子に確実に接続することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明の一実施例について説明する。図1は本発明になる電子機器の一実施例を示す斜視図である。図2は電子機器の平面図である。図3は電子機器の背面及び底面及び左側面を示す斜視図である。
【0019】図1乃至図3に示されるように、電子機器10は、例えば、航空機に搭載されて飛行中の画像データ等を記憶する記憶装置であり、密閉された筐体12の内部にメモリカートリッジ(図示せず)が交換可能に装着されるカートリッジ装着部14を有する。筐体12は、前面12aにカートリッジ装着部14を開閉するために開閉扉16が上下方向に回動可能に取り付けられている。
【0020】筐体12は、気圧の変化の影響を受けないように密閉構造になっていると共に、放熱効果を高めるため、前面12a,左右側面12b,12cに多数の放熱フィン18が突出している。また、開閉扉16の前面16aにも放熱フィン18が設けられている。
【0021】さらに、筐体12の前面12aの底部近傍には、電子機器10を固定するための一対のブラケット20がネジ止めされている。また、筐体12の背面12dには、背面パネル21が固定されており、背面開口を密閉している。この背面パネル21には、電源ケーブル(図示せず)が接続される丸型コネクタ22と、イメージセンサ(図示せず)からの画像信号を転送するケーブル(図示せず)が接続される丸型コネクタ24とが取り付けられている。
【0022】開閉扉16は、カートリッジ装着部14を開閉する前面16aと、前面16aの左右両端部から延在する一対の腕部16bと、前面16aの中央に設けられたロック解除ノブ16cとを有する。開閉扉16は、一対の腕部16bの先端が筐体12の左右側面に突出する軸26により回動可能に支持されており、ロック解除ノブ16cが軸方向に押圧された後に90度回動操作されると、筐体12の内部に設けられたロック部(図示せず)によるロックが解除され、開閉可能となる。
【0023】図4は開閉扉16を開いてメモリカートリッジ60を挿入した状態の正面及び底面及び右側面を示す斜視図である。図4に示されるように、開閉扉16の裏面16dには、一対のカートリッジ当接部28と、ロック解除ノブ16cに連結された軸30と、軸30の端部に固定され筐体12側にロックされるロックプレート32と、軸30を復帰させるトーションバネ34とが設けられている。また、開閉扉16の裏面16dは、筐体12の内部を気密に保つため、閉じられたとき筐体12の前面開口との間をシールするシール部材36(図4中、梨地模様で示す)が周縁部分に嵌合されている。
【0024】また、開閉扉16の裏面16dには、左右端部近傍にリンク35が連結されており、リンク35によって開閉扉16の全開位置が略90度に規制される。このように、開閉扉16が略90度回動されると、カートリッジ装着部14の挿入口が全開され、メモリカートリッジ60を容易に挿入することができる。また、開閉扉16は、全閉位置から全開位置に回動される過程で、リンク35の端部に連結された摺動部材(図示せず)の摺動動作によりカートリッジ装着部14に挿入されたメモリカートリッジ60を所定距離のみイジェクト方向に引き出すことができる。
【0025】図5は筐体12の内部を背面から見た斜視図である。図5に示されるように、筐体12の内部は、直方体形状の空間37が形成されており、この空間37を囲む左右側内壁38,39には、前後方向に延在する複数の基板取付部40a〜40eが所定間隔ごとに突設されている。そして、基板取付部40a〜40e間には、基板挿入凹部41a〜41eが形成されている。
【0026】さらに、筐体12の内部の前面内壁42には、内部の空気流の流れ方向をガイドする複数の内側フィン(気流ガイド部)44が左右方向に延在する向きに設けられている。また、前面内壁42では、複数の内側フィン44が設けられているので、内部表面積が大きくなっており、内部で発生した熱を筐体12に伝えやすくなっている。また、空間37の上部には、後述するメモリカートリッジホルダ48が取り付けられるホルダ取付部46が設けられ、複数のホルダ固定部(図示せず)が突出している。
【0027】図6は電子機器10の内部構造を側方からみた縦断面図である。図7は電子機器10の内部構造を背面からみた縦断面図である。図8は電子機器10の内部構造を上方からみた横断面図である。図6乃至図8に示されるように、筐体12の空間37内部には、空間37の上方に装着されたメモリカートリッジホルダ48と、メモリカートリッジホルダ48の下方に挿入された複数の回路基板50a〜50eと、回路基板50a〜50eの前面側に垂直に配置された前面基板52と、回路基板50a〜50eと前面基板52との間に設けられたバックアップ用電源回路を構成するコンデンサ54が設けられた電源基板55とが収納されている。
【0028】回路基板50a〜50eは、CPU等の発熱する電子部品が多数実装されており、左右端部が基板支持部材56a〜56eを介して基板挿入凹部41a〜41eに保持される。
【0029】前面基板52は、図9及び図10に示されるように、回路基板50a〜50eの前端を保持するための基板保持部材57と、回路基板50a〜50eの発熱部分を冷却するための電動ファン58とが設けられている。基板保持部材57は、背面側開口から挿入される回路基板50a〜50eの前端を保持するように基板ガイド57a〜57fが突出しており、各基板ガイド57a〜57f間には回路基板50a〜50eと接続するための複数のコネクタピン57gが突出している。
【0030】電動ファン58は、上方からみると吸い込み側が所定の隙間を介して前面内壁42に対向しており、吹き出し側が回路基板50a〜50eの前端左側に対向するように設けられ、回路基板50a〜50e間の隙間に向けて空気流を発生させる。この空気流は、回路基板50a〜50e間の左側隙間を通過して背面側に至り、背面パネル21に取り付けられた電源基板55を通過して右方向に移動し、右側内壁に沿って前面側に戻る。このように、電動ファン58は、密閉された筐体12の空間37内に空気流を生じさせて、回路基板50a〜50eに実装された電子部品を冷却する。
【0031】また、筐体12の前面内壁42には、複数の内側フィン44が左右方向に延在形成されているので、前面側に戻った空気は、複数の内側フィン44に導かれて電動ファン58に供給される。従って、回路基板50a〜50eの電子部品からの発熱は、筐体12内を対流する空気流によって冷却され、且つ空気流を介して筐体12の内側フィン44を含めた内壁全体に伝導される。そして、筐体12の熱は、前面12a,左右側面12b,12c及び開閉扉16の前面16aに設けられた放熱フィン18から大気中に放熱される。
【0032】従って、電子機器10では、ヒートパイプ、ペルチェ素子、熱交換機等の高価な部材を使用せずに筐体12の空間37内部に気流を発生させて筐体12内の温度を平均化すると共に、CPU等による発熱温度を筐体12全体に拡散して複数の放熱フィン18により外部に放熱して筐体12の内部を許容温度以下に冷却することができる。
【0033】さらに、筐体12は、図8に示すように、筐体12の前面内壁42は、左側に電動ファン58を配置させるため、右側に対して左側の奥行きが広くなるように傾斜している。従って、放熱フィン18は、表面積が大きい内側フィン44に対向する部位が高くなり、放熱効果を増している。また、筐体12の前面12aに突出する放熱フィン18の突出高さは、右側端部の突出高さLaが最も高く、左側ほど低くなり、左側端部の突出高さLbが最も低くなるように形成されている。(La>Lb)このように、前面内壁42は、電動ファン58が対向しない他の部分よりも外側に突出するように形成されており、前面内壁42の外側に突出した部分の内側に電動ファン58が設けられている。
【0034】これにより、筐体12の外観及び大きさを変えずに内部空間27の容積を拡大して電動ファン58の取付スペースが確保されている。従って、電子機器10では、電動ファン58の取付位置に対向する筐体12の前面内壁42を気流の流れ方向に対して傾斜させ、傾斜した前面内壁42の外側に設けられた複数の放熱フィン18の先端位置が揃うように複数の放熱フィン18の夫々の突出高さを壁面の傾斜角度に応じて異なるように形成したため、筐体12の内部に電動ファン58の取付スペースを確保できると共に、電動ファン58を取り付けることによって筐体12の外観形状が大型化することを防止できる。
【0035】また、図6及び図7に示されるように、メモリカートリッジ60は、筐体12内に固定されたメモリカートリッジホルダ48に挿入された状態で閉じられた開閉扉16により挿入方向に押圧されて保持される。
【0036】図11はメモリカートリッジ60の構成を示す斜視図である。図12はメモリカートリッジ60の構成を示す図であり、(A)は平面図,(B)は側面図,(C)は正面図である。図11及び図12(A)〜(C)に示されるように、メモリカートリッジ60は、収納ケース64の内部に複数(本実施例では、7枚)の半導体メモリが内蔵されたメモリカード66が収納されている。尚、本実施例では、メモリカード66からなる記録媒体を用いた構成について説明するが、メモリカード66以外の記録媒体として、例えばカード状に薄型化されたハードディスク装置等が装着される構成としても良い。
【0037】また、カートリッジ装着部14では、図7に示されるように、筐体12の内部にメモリカード67が1枚装着されており、この他にメモリカートリッジ60が交換可能に装着される構成となっている。
【0038】メモリカートリッジ60の収納ケース64は、上下方向に2分割された上ケース64aと下ケース64bを組み合わせたものである。メモリカートリッジ60は、4枚のメモリカード66が積重される列と、3枚のメモリカード66が積重される列とが左右に並列に設けられた構成であり、収納ケース64の上面64cの形状が段差形状になっている。そして、メモリカートリッジ60の上面64cの低い部分64dに、筐体12内に固定的に配されたメモリカード67が配置される。
【0039】また、収納ケース64の前端には、多極メスコネクタ68が設けられている。この多極メスコネクタ68は、メモリカートリッジホルダ48の奥部に設けられた多極オスコネクタ88に接続される。
【0040】図13は収納ケース64に収納されるメモリユニット70を示す斜視図である。図13に示されるように、メモリユニット70は、複数のメモリカード66と、複数のメモリカード66の後端に嵌合するカードホルダ72と、各メモリカード66の端子に接続されるソケット82が設けられたソケット基板74と、ソケット基板74の表面で各コネクタピンに接続されたフレキシブル配線板(FPC)76と、フレキシブル配線板76の他端に接続された可動基板78と、可動基板78の表面に固定された多極メスコネクタ(第1接続端子)68とを有する。
【0041】各メモリカード66は、接続端子を有する前端66aがソケット基板74の裏面に設けられたソケット82に嵌合してコネクタピン(図示せず)に接続され、後端66bがカードホルダ72に嵌合保持されている。そのため、収納ケース64に収納される複数のメモリカード66は、殆どがたつきのない状態で収納される。
【0042】フレキシブル配線板76は、図14に示されるように、側方からみるとU字状に曲げられており、基板74の表面で各コネクタピンに接続されるように垂立する第1接続部76aと、多極メスコネクタ68のコネクタピンに接続されるように垂立する第2接続部76bと、第1接続部76aと第2接続部76bとの間を連結する連結部76cと、第2接続部76bの上端より水平方向に突出して可動基板78の裏面に接続固定された幅の狭い腕部76dとを有する。そのため、フレキシブル配線板76は、連結部76c及び腕部76dが撓むことにより、第1接続部76aと第2接続部76bとの相対位置が移動可能となるように形成されている。
【0043】そして、多極メスコネクタ68が固定された可動基板78は、図9に示されるように、収納ケース64の上ケース64aの内壁には、可動基板78の上縁部が遊嵌状態で嵌合する溝84が設けられている。また、収納ケース64の下ケース64bの内壁には、可動基板78の下縁部が遊嵌状態で嵌合する溝86が設けられている。この溝84、86は、可動基板78がカートリッジ挿入方向(前後方向)に移動することを規制する規制部として機能するものである。
【0044】また、溝84,86は、可動基板78の上下高さ寸法よりも深く、可動基板78の左右幅寸法よりも幅広く形成されている。そのため、可動基板78は、溝84,86に嵌合することにより、カートリッジ挿入方向(前後方向)への移動が規制されると共に、挿入方向と直交する上下左右方向に移動可能に取り付けられている。従って、多極メスコネクタ68は、可動基板78に固定されているので、カートリッジ挿入操作によりメモリカートリッジホルダ48の奥部に設けられた多極オスコネクタ(第2接続端子)88に対する相対的な位置合わせが可能になる。
【0045】図15は多極メスコネクタ68の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)はA−A断面を拡大した縦断面図、(E)はB−B断面を拡大した縦断面図(F)はC−C断面を拡大した縦断面図である。図15(A)〜(F)に示されるように、多極メスコネクタ68は、可動基板78にビス89の締結により固定されるベース90と、多極オスコネクタ88の端子88aが挿入される挿入部92と、挿入部92の内部92aに設けられた一対のコネクタピン94と、ベース90の両端に突出する位置合わせ部96とを有する。尚、一対のコネクタピン94は、多極オスコネクタ88の端子88aに電気的に接続されるように形成されており、挿入部92の延在方向に沿って多極オスコネクタ88の端子88aの数に応じた数が並列に配されている。
【0046】位置合わせ部96は、円筒状に形成されており、内部に位置合わせをガイドするガイド孔96aが設けられている。また、カード挿入部92の外側には、変形を防止するための金属カバー98が嵌合されている。
【0047】また、多極メスコネクタ68が搭載された可動基板78は、図15(F)に示されるように、多極メスコネクタ68の延在方向でも収納ケース64の内壁に形成された溝84,86の左右方向の寸法が可動基板78の左右方向の寸法よりも大きいので、左右方向への位置合わせ動作が可能になっている。
【0048】図16はメモリカートリッジホルダ48の構成を示す斜視図である。図16に示されるように、メモリカートリッジホルダ48は、板金製の箱体からなり、前面側にメモリカートリッジ60が挿入される挿入口48aを有する。また、メモリカートリッジホルダ48の背面に設けられた基板48bには、多極オスコネクタ88が固定されている(図6参照)。そのため、上記メモリカートリッジ60が挿入口48aに挿入されると、メモリカートリッジ60の前端に設けられた多極メスコネクタ68は、多極オスコネクタ88に対向する。
【0049】そして、開閉蓋16が閉じられると、開閉蓋16の裏面に突出するカートリッジ当接部28がメモリカートリッジ60の後端を挿入方向に押圧するため、多極メスコネクタ68は、多極オスコネクタ88に嵌合してコネクタピン94が端子88aに接続される。尚、多極オスコネクタ88の端子88aは、ケーブル87(図6参照)を介して回路基板50に接続されている。
【0050】図17は多極オスコネクタ88の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)はD−D断面を拡大した縦断面図、(E)はE−E断面を拡大した縦断面図である。図17(A)〜(E)に示されるように、多極オスコネクタ88は、メモリカートリッジホルダ48の基板48bにビス99の締結により固定されるベース100と、挿入部92の外側に嵌合する嵌合部102と、嵌合部102の内部102aに起立する端子基板103と、ベース100の両端に突出する位置合わせ用のガイドピン104と、端子基板103の裏表面に設けられた多極端子105とを有する。一対のガイドピン104は、先端にテーパ部104aを有しており、多極メスコネクタ68の位置合わせ部96に対向する位置に設けられている。
【0051】そのため、上記メモリカートリッジ60が挿入口48aに挿入されると、メモリカートリッジ60の多極メスコネクタ68の位置合わせ部96に設けられたガイド孔96aは、多極オスコネクタ88のガイドピン104に対向する。
【0052】そして、開閉蓋16が閉じられると、開閉蓋16の裏面に突出するカートリッジ当接部28がメモリカートリッジ60の後端を挿入方向に押圧すると共に、ガイド孔96aがガイドピン104の先端に設けられたテーパ部104aの傾斜部分にガイドされながら可動基板78が位置合わせ方向に移動してガイド孔96aがガイドピン104に嵌合する位置に調整される。そのため、メモリカートリッジ60の挿入動作の過程で可動側のガイド孔96aの位置が固定側のガイドピン104のテーパ部104aにガイドされて挿入方向と直交する上下左右方向の位置が調整される。よって、多極メスコネクタ68は、確実に多極オスコネクタ88に嵌合してコネクタピン94が多極端子105に接続される。
【0053】尚、上記実施例では、メモリカード66あるいはハードディスク装置が収納されたメモリカートリッジ60が挿入される構成を一例として挙げたが、これに限らず、他の記録媒体が装着される構成にも適用できるのは勿論である。
【0054】また、上記実施例の電子機器10は、航空機用の記録装置として使用されるものとして説明したが、これに限らず、他の用途にも適用できるのは勿論である。
【0055】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれば、筐体の内部に回路基板を通過する気流を発生させるファン設け、筐体の内壁に気流の流れ方向をファンの吸い込み側へ導く方向に延在する気流ガイド部を設け、筐体の外側に複数の放熱フィンを設けたため、ヒートパイプ、ペルチェ素子、熱交換機等の高価な部材を使用せずに筐体内部に気流を発生させて筐体内部の温度を平均化すると共に、発熱温度を筐体全体に拡散して複数の放熱フィンにより外部に放熱して筐体内部を許容温度以下に冷却することができる。
【0056】上記請求項2記載の発明によれば、ファンの取付位置に対向する筐体の壁面を気流の流れ方向に対して傾斜させ、傾斜した壁面の外側に設けられた複数の放熱フィンの先端位置が揃うように複数の放熱フィンの夫々の突出高さを壁面の傾斜角度に応じて異なるように形成したため、筐体内部にファンの取付スペースを確保できると共に、ファンを取り付けることによって筐体の外観形状が大型化することを防止できる。
【0057】上記請求項3記載の発明によれば、ファンに対向する筐体の壁面をファンが対向しない他の部分よりも外側に設けたため、筐体内部にファンの取付スペースを確保できると共に、ファンを取り付けることによって筐体の外観形状が大型化することを防止できる。
【0058】上記請求項4記載の発明によれば、ファンを筐体の外側に突出した壁面の内側に設けたため、筐体内部にファンの取付スペースを確保できると共に、ファンを取り付けることによって筐体の外観形状が大型化することを防止できる。
【0059】上記請求項5記載の発明によれば、第1接続端子または第2接続端子の何れか一方を挿入方向と直交する方向に移動可能に設けたため、第1接続端子が第2接続端子に接続される過程で一方が挿入方向と直交する方向に移動して相対的な位置合わせすることができ、第1接続端子が第2接続端子に対して若干ずれた位置に挿入されても第1接続端子を第2接続端子に接続することができる。そのため、第1接続端子と第2接続端子との相対位置がずれた状態でカートリッジを押圧して第1接続端子または第2接続端子が損傷することを防止できる。
【0060】上記請求項6記載の発明によれば、第1接続端子または第2接続端子の何れか一方が、挿入方向に延在するテーパ状にガイドピンを有し、第1接続端子または第2接続端子の何れか他方が、ガイドピンに嵌合する位置合わせ用のガイド孔を有するため、ガイドピンとガイド孔との嵌合動作により第1接続端子と第2接続端子との相対位置を位置合わせして第1接続端子を第2接続端子に確実に接続することができる。
【0061】上記請求項7記載の発明によれば、第1接続端子または第2接続端子の何れか一方が、可撓性を有するケーブルに接続され、且つカートリッジの内壁に挿入方向への移動のみを規制する規制部を設けたため、第1接続端子を第2接続端子に接続する過程で両端子間の相対的な位置合わせ動作が容易に行える。
【0062】上記請求項8記載の発明によれば、記録媒体が半導体メモリが内蔵されたメモリカードからなるため、メモリカードが収納されたカートリッジを装着部に挿入する際の位置合わせが容易に行える。
【0063】上記請求項9記載の発明によれば、記録媒体がハードディスク装置からなるため、メモリカードが収納されたカートリッジを装着部に挿入する際の位置合わせが容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる電子機器の一実施例を示す斜視図である。
【図2】電子機器の平面図である。
【図3】電子機器の背面及び底面及び左側面を示す斜視図である。
【図4】開閉扉16を開いてメモリカートリッジ60を挿入した状態の正面及び底面及び右側面を示す斜視図である。
【図5】筐体12の内部を背面から見た斜視図である。
【図6】電子機器10の内部構造を側方からみた縦断面図である。
【図7】電子機器10の内部構造を背面からみた縦断面図である。
【図8】電子機器10の内部構造を上方からみた横断面図である。
【図9】前面基板52に電動ファン58が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図10】前面基板52に電動ファン58が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図11】メモリカートリッジ60の構成を示す斜視図である。
【図12】メモリカートリッジ60の構成を示す図であり、(A)は平面図,(B)は側面図,(C)は正面図である。
【図13】収納ケース64に収納されるメモリユニット70を示す斜視図である。
【図14】フレキシブル配線板76、可動基板78、多極メスコネクタ68の接続構造を示す斜視図である。
【図15】多極メスコネクタ68の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)はA−A断面を拡大した縦断面図、(E)はB−B断面を拡大した縦断面図(F)はC−C断面を拡大した縦断面図である。
【図16】メモリカートリッジホルダ48の構成を示す斜視図である。
【図17】多極オスコネクタ88の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図、(D)はD−D断面を拡大した縦断面図、(E)はE−E断面を拡大した縦断面図である。
【符号の説明】
10 電子機器
12 筐体
14 カートリッジ装着部
16 開閉扉
18 放熱フィン
21背面パネル
40a〜40e 基板取付部
41a〜41e 基板挿入凹部
44 内側フィン
46 ホルダ取付部
48 メモリカートリッジホルダ
50a〜50e 回路基板
52 前面基板
56a〜56e 基板支持部材
57 基板保持部材
57a〜57f 基板ガイド
58 電動ファン
60 メモリカートリッジ
64 収納ケース
66 メモリカード
68 多極メスコネクタ
70 メモリユニット
72 カードホルダ
74 ソケット基板
76 フレキシブル配線板(FPC)
78 可動基板
84,86 溝
88 多極オスコネクタ
90 ベース
92 挿入部
94 コネクタピン
96 位置合わせ部
96a ガイド孔
98 金属カバー
100 ベース
102 嵌合部
104 ガイドピン
104a テーパ部
105 多極端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子部品が実装された回路基板を密閉された空間内部に収納する筐体と、該筐体の内部に設けられ前記回路基板を通過する気流を発生させるファンと、該筐体の内壁に設けられ前記気流の流れ方向を前記ファンの吸い込み側へ導く方向に延在する気流ガイド部と、前記筐体の外側に設けられた複数の放熱フィンと、を備えてなることを特徴とする電子機器。
【請求項2】 前記ファンの取付位置に対向する前記筐体の壁面を前記気流の流れ方向に対して傾斜させ、前記傾斜した壁面の外側に設けられた前記複数の放熱フィンの先端位置が揃うように前記複数の放熱フィンの夫々の突出高さを前記壁面の傾斜角度に応じて異なるように形成したことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】 前記ファンに対向する前記筐体の壁面を前記ファンが対向しない他の部分よりも外側に設けたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】 前記ファンを前記筐体の外側に突出した壁面の内側に設けたことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】 内部に記録媒体が収納されたカートリッジを交換可能に挿入される装着部を有し、前記カートリッジに設けられた第1接続端子が電気的に接続される第2接続端子を前記装着部に有する電子機器において、前記第1接続端子または前記第2接続端子の何れか一方を挿入方向と直交する方向に移動可能に設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項6】 前記第1接続端子または前記第2接続端子の何れか一方は、挿入方向に延在するテーパ状のガイドピンを有し、前記第1接続端子または前記第2接続端子の何れか他方は、前記ガイドピンに嵌合する位置合わせ用のガイド孔を有することを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項7】 前記第1接続端子または前記第2接続端子の何れか一方は、可撓性を有するケーブルに接続され、且つ前記カートリッジの内壁に挿入方向への移動のみを規制する規制部を設けたことを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項8】 前記記録媒体は、半導体メモリが内蔵されたメモリカードからなることを特徴とする請求項5記載の電子機器。
【請求項9】 前記記録媒体は、ハードディスク装置からなることを特徴とする請求項5記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図14】
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【図16】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図17】
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【図15】
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【公開番号】特開2002−258987(P2002−258987A)
【公開日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−267759(P2001−267759)
【出願日】平成13年9月4日(2001.9.4)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】