説明

電子機器

【課題】 静電容量検出用の電極部を簡単に設けることができる電子機器を提供する。
【解決手段】 合成樹脂製の腕時計ケース1内に収納された時計モジュール3が、静電容量の変化を検出する検出回路を有する回路基板7を備え、腕時計ケース1の内面に静電容量検出用の電極部12〜15を回路基板7の検出回路と電気的に接続させて配置する。従って、腕時計ケース1の内面に電極部12〜15を簡単に設けることができると共に、電極部12〜15に対応する腕時計ケース1の外面に指を接触させると、電極部12〜15に静電容量が結合され、その静電容量の変化を検出回路で検出することにより、タッチスイッチ信号を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子腕時計、携帯電話機、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などの電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子機器である電子腕時計においては、特許文献1に記載されているように、金属製の時計ケース内に時計モジュールを収納する共に、時計ケースの上部に時計ガラスを設け、この時計ガラスの裏面にタッチスイッチ用の透明電極を設け、時計モジュールにタッチスイッチの静電容量変化を検出する検出素子を設け、この検出素子に時計ガラスの透明電極を接続することにより、金属製の時計ケースをタッチスイッチの一方の電極とし、時計ガラスの裏面に設けられた透明電極をタッチスイッチの他方の電極とする容量素子を構成し、この状態で時計ガラスに指などの人体の一部を接触させたときに、容量素子の静電容量変化を検出素子によって検出してスイッチ信号を取り出すタッチスイッチを備えたものがある。
【特許文献1】実開昭52−164565号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の電子腕時計では、タッチスイッチの一方の電極である透明電極を時計ガラスの裏面に設ける場合、ITOなどの透明な導電材料を蒸着やスパッタリングによって時計ガラスの裏面に堆積させることにより、時計ガラスの裏面に透明な導電膜を形成し、この透明な導電膜をエッチングによって所定形状の透明な電極に形成しなければならないため、透明な電極を時計ガラスに形成する作業が煩雑で面倒であるという問題がある。
【0004】
また、このような従来の電子腕時計では、タッチスイッチの一方の電極である透明電極が時計ガラスの裏面に設けられているため、時計ケース内に収納された時計モジュールの検出素子と時計ガラスの裏面の透明電極とを電気的に接続する場合、検出素子と透明電極との間に接続部材を設けなければ、両者を電気的に接続することができないので、部品点数が増えるばかりか、接続構造も複雑で、接続作業も面倒であるという問題がある。
【0005】
特に、時計ガラスの裏面の透明電極と時計モジュールの検出素子とを電気的に接続する場合には、その接続部分が時計ガラスを通して外部から見えてしまうため、時計ケースの外面にベゼルなどの外装カバーを設け、この外装カバーを時計ガラスの外周縁から中心部に向けて突出させることにより、時計ガラスの裏面の透明電極と時計モジュールの検出素子との接続部分を隠す必要がある。このため、時計ケース内に組み込まれた表示部の一部が外装カバーによって隠れてしまい、外部から見える表示部の表示面積が狭くなり、十分な表示面積を確保することができないという問題もある。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、静電容量検出用の電極部を簡単に設けることができる電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
なお、各構成要素には、後述する各実施形態の項で説明される各要素に付されている図面の参照番号などを括弧と共に付す。
【0008】
請求項1に記載の発明は、図1〜図9に示すように、合成樹脂製の機器ケース(腕時計ケース1)と、この機器ケース内に収納されたモジュール(時計モジュール3)と、このモジュールに設けられて少なくとも静電容量の変化を検出する検出回路を有する回路基板(7)と、前記機器ケースの内面に配置されて前記回路基板の前記検出回路と電気的に接続された静電容量検出用の電極部(12〜15、31〜34、41〜44、51〜54)と、を備えたことを特徴とする電子機器である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、図1〜図3に示すように、前記電極部(12〜15)は、金属部材(金属製のビス)であり、前記機器ケース(腕時計ケース1)の内面に設けられた凹部(ねじ穴16a〜16d)に嵌め込まれ、この状態で前記回路基板(7)に設けられた接点板(17)が接触して前記検出回路と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、図4〜図7に示すように、前記電極部(31〜34、41〜44)が、金属板を折り曲げて、その一部に板ばね部(31a〜34a、41a〜44a)を設けた構成で、前記機器ケース(腕時計ケース1)の内面に設けられた凹部(30a〜30d、40a〜40d)内に嵌め込まれ、この状態で前記板ばね部が前記回路基板(7)に設けられた接続部(電極パッド36、45)に接触して前記検出回路と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、図1〜図7に示すように、前記機器ケース(腕時計ケース1)の外面に、タッチ部(18)が前記電極部(12〜15、31〜34、41〜44)と対応して設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、図8および図9に示すように、前記電極部(51〜54)が、前記回路基板(7)に設けられて前記検出回路と電気的に接続された状態で前記機器ケース(腕時計ケース1)の内面に対向して配置され、前記機器ケースの外面には凹部(50a〜50d)が前記電極部に対応して設けられ、この凹部には金属片(55)が前記機器ケースの外部に露出して嵌め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、図1〜図9に示すように、前記電極部(12〜15、31〜34、41〜44、51〜54)が、前記機器ケース(腕時計ケース1)の内面における複数箇所に設けられてそれぞれ前記回路基板(7)の前記検出回路と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、合成樹脂製の機器ケース内に収納されたモジュールが、少なくとも静電容量の変化を検出する検出回路を有する回路基板を備え、機器ケースの内面に静電容量検出用の電極部を回路基板の検出回路と電気的に接続して配置しているので、電極部に対応する機器ケースの外表面に、指などの人体の一部を接触させると、電極部に結合される静電容量の変化を回路基板の検出回路で検出することにより、タッチスイッチ信号を得ることができる。
【0015】
この場合には、機器ケースの内面に静電容量検出用の電極部を設けているので、従来例のように透明電極を時計ガラスの裏面に形成する場合に比べて、電極部を簡単に設けることができると共に、電極部と検出回路とを電気的に接続する際、電極部が回路基板に接近しているので、電極部と回路基板とを容易に接続することができる。このため、従来例に比べて接続構造が簡単で、接続作業も容易にできる。特に、機器ケースの内面に静電容量検出用の電極部を設けているので、電極部と回路基板との接続部分が表示窓部などを通して機器ケースの外部から見えないので、接続部分を隠す必要がない。このため、接続部分によってモジュールの表示部の表示面積が制約を受けることがなく、十分な広さの表示面積を確保することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、電極部は、金属部材であり、機器ケースの内面に設けられた凹部に嵌め込まれ、この状態で回路基板に設けられた接点板が接触して検出回路と電気的に接続されていることにより、金属部材である電極部を機器ケースの内面に設けられた凹部内に嵌め込むだけで、簡単に電極部を機器ケースの内面に取り付けることができると共に、その電極部に回路基板の接点板を接触させるだけで、電極部を回路基板の検出回路と電気的に接続することができるので、電気的な接続作業も容易にできる。
【0017】
この場合、特に機器ケースの内面に凹部を設け、この凹部内に金属部材からなる電極部を嵌め込んでいるので、電極部と機器ケースの外表面との間の距離を短くすることができる。このため、静電容量変化を大きくすることができ、これにより静電容量の変化を検出しやすくすることができるので、正確に且つ確実にタッチスイッチ信号を得ることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、電極部が、金属板を折り曲げて、その一部に板ばね部を設けた構成で、機器ケースの内面に設けられた凹部内に嵌め込まれ、この状態で板ばね部が回路基板に設けられた接続部に接触して検出回路と電気的に接続されていることにより、金属板を折り曲げてなる電極部を機器ケースの内面に設けられた凹部内に嵌め込むだけで、簡単に電極部を機器ケースの内面に取り付けることができると共に、その電極部である金属板に設けられた板ばね部を回路基板の接続部に接触させるだけで、電極部を回路基板の検出回路と電気的に接続することができるので、電気的な接続作業も容易にできる。
【0019】
この場合にも、機器ケースの内面に凹部を設け、この凹部内に金属板からなる電極部を嵌め込んでいるので、請求項2に記載の発明と同様、電極部と機器ケースの外表面との間の距離を短くすることができる。このため、静電容量変化を大きくすることができ、これにより静電容量の変化を検出しやすくすることができるので、正確に且つ確実にタッチスイッチ信号を得ることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、機器ケースの外面に、タッチ部が電極部と対応して設けられていることにより、電極部が機器ケースの外部から見えなくても、タッチ部によって電極部の位置を視認することができるので、電極部に対応する機器ケースの外面に指などの人体の一部を機器ケースの外面に接触させるときに、その接触させる位置を確認することができ、これによりタッチ操作性の向上を図ることができると共に、使い勝手の良いものを得ることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、電極部が、回路基板に設けられて検出回路と電気的に接続された状態で、機器ケースの内面に対向して配置され、この機器ケースの外面に凹部が電極部に対応して設けられ、この凹部内に金属片が機器ケースの外部に露出した状態で嵌め込まれていることにより、回路基板を機器ケース内に組み込むだけで、回路基板に設けられた電極部を簡単に設けることができると共に、電極部と回路基板の検出回路との電気的な接続も容易にできる。また、電極部に対応して設けられた金属片が機器ケースの外部に露出しているので、使用者が指などの人体の一部を機器ケースの外面に接触させるときに、その接触させる位置を視認することができ、これによりタッチ操作性の向上を図ることができると共に、使い勝手の良いものを得ることができる。
【0022】
この場合にも、機器ケースの外面に凹部が電極部に対応して設けられ、この凹部内に金属片が嵌め込まれているので、機器ケースの内面に対向する電極部と機器ケースの外部に露出する金属片との間の距離を短くすることができる。このため、請求項2または3に記載の発明と同様、静電容量変化を大きくすることができ、これにより静電容量の変化を検出しやすくすることができるので、正確に且つ確実にタッチスイッチ信号を得ることができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、電極部が機器ケースの内面における複数箇所に設けられてそれぞれ回路基板の検出回路と電気的に接続されていることにより、機器ケースの内面における複数箇所に設けられた複数の電極部のいずれかに対応する機器ケースの外表面面を、指などの人体の一部で触れることにより、静電容量の変化を回路基板の検出回路で検出することができるので、タッチ操作性が良く、これによっても使い勝手の良いものを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施形態1)
以下、図1〜図3を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態1について説明する。
図1はこの発明の電子腕時計の断面図、図2は図1のA−A矢視における断面図である。
この電子腕時計は、図1に示すように、合成樹脂製の腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上部には時計ガラス2が取り付けられており、この腕時計ケース1の内部には時計モジュール3が収納されている。また、この腕時計ケース1の下面には、裏蓋4が取り付けられている。
【0025】
時計モジュール3は、図1に示すように、上部ハウジング5と下部ハウジング6とを備えている。上部ハウジング5と下部ハウジング6との間には、回路基板7が設けられている。この回路基板7には、LSI8および検出素子9などの時計機能に必要な各種の電子部品が搭載されている。この場合、検出素子9は、後述するタッチスイッチの静電容量の変化を検出するためのものである。
【0026】
また、上部ハウジング5には、表示パネル10が回路基板7と電気的に接続された状態で時計ガラス2に対応して配置されており、下部ハウジング6には、電池11が回路基板7と電気的に接続された状態で収納されている。この場合、表示パネル10は、液晶表示素子、EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子、電子ペーパー(微細なカプセルをフィルムに敷き詰め、カプセル内の黒と白の微粒子を電気で移動させて文字や絵などの情報を表示するものである)などの平面型の表示素子からなり、時刻などの情報を電気光学的に表示するように構成されている。
【0027】
ところで、合成樹脂製の腕時計ケース1の内面には、図2に示すように、複数の電極部12〜15が設けられている。この複数の電極部12〜15は、それぞれ金属製のビスであり、腕時計ケース1の2時、4時、8時、10時に対応する箇所の内面にそれぞれ設けられたねじ穴16a〜16dに螺入し、これにより腕時計ケース1の内面に埋め込まれている。また、複数の電極部12〜15は、時計モジュール3の回路基板7における2時、4時、8時、10時に対応する箇所の縁部にそれぞれ設けられた接点板17が弾接し、これにより回路基板7と電気的に接続されている。この複数の接点板17は、それぞれ回路基板7の後述する検出回路と電気的に接続されている。
【0028】
また、この腕時計ケース1における2時、4時、8時、10時に対応する箇所の外面には、図2に示すように、タッチ部18が複数の電極部12〜15にそれぞれ対応して設けられている。
【0029】
次に、図3を参照して、この電子腕時計のタッチスイッチの回路構成について説明する。
複数の電極部12〜15とこれに対応する複数のタッチ部18との間にそれぞれタッチスイッチ用のコンデンサC1〜C4が形成され、複数の電極部12〜15にそれぞれ対応するタッチ部18を指などの人体の一部で触ると、各コンデンサC1〜C4に静電容量が発生する。一方、静電容量の変化を検出する検出素子9の検出回路は、CR発振回路21〜24、カウンタ25、タイマー26、制御回路27を備えている。そして、通常の状態、つまり指などの人体の一部がタッチ部18に接触していない状態では、CR発振回路21〜24がそれぞれ内臓容量Ci1〜Ci4と内臓抵抗Ri1〜Ri4とで決まる周波数で発振する。
【0030】
また、指などの人体の一部が、複数のタッチ部18のうち、例えば図3において電極部12に対応するタッチ部18に接触すると、電極部12とタッチ部18との間のコンデンサC1に静電容量Ctが発生する。また、このときには、人体とグランドG1とは静電容量Ceで結合していると考えられるため、電極部12には、静電容量Ctと静電容量Ceとの合成容量が結合される。したがって、CR発振回路21の静電容量Cが、CtとCeの合成容量および内臓容量Ciの並列容量となる。つまり、タッチ部18を指で触ると、CR発振回路21の静電容量Cは、CtとCeの合成容量分が増え、周波数が遅くなる。この周波数の変化を拾うことで、電極部12に対応するタッチ部18に指が触れてタッチスイッチがオンしたと判断し、通常のキー入力と同じ動作に移る。
【0031】
この場合、電極部12以外の各電極部13〜15にそれぞれ対応するタッチ部18に指などの人体の一部が接触したときも、上記と同様、CR発振回路22〜24の各静電容量Cはそれぞれ、CtとCeの合成容量分が増え、周波数が遅くなる。この周波数の変化を拾うことで、電極部13〜15に対応する各タッチ部18に指が触れてタッチスイッチがオンしたと判断し、通常のキー入力と同じ動作に移る。
【0032】
また、CR発振回路21〜24の周波数を見るには、CR発振回路21〜24の出力をオアゲート28を介してカウンタ25に与え、一定時間の間にCR発振回路21〜24の出力が何カウントするかを測定すればよい。このため、一定時間をタイマー26で作り、CR発振回路21〜24の出力をカウンタ25でカウントする。このときには、制御回路27からの信号aによってカウンタ25がカウントを開始すると共にタイマー26がスタートする。タイマー26は一定時間カウントすると、信号bを出力してカウンタ25のカウントを停止させる。そのときのカウンタ25のデータが制御回路27に読み込まれ、基準値と比較して小さいときに、キー入力信号cを出力する。
【0033】
このように、この電子腕時計によれば、合成樹脂製の腕時計ケース1内に収納された時計モジュール3が、静電容量の変化を検出する検出回路を有する回路基板7を備え、腕時計ケース1の内面に複数の電極部12〜15をそれぞれ回路基板7の検出回路と電気的に接続させて設けているので、複数の電極部12〜15に対応する腕時計ケース1の外面に設けられた複数のタッチ部18のいずれかに指などの人体の一部を接触させると、電極部12〜15のうちのいずれかの静電容量が変化し、その静電容量の変化を回路基板7の検出回路で検出することにより、タッチスイッチ信号を得ることができる。
【0034】
この場合には、腕時計ケース1の内面に静電容量検出用の複数の電極部12〜15を設けているので、従来例と比べて、電極部12〜15を簡単に設けることができると共に、この電極部12〜15と回路基板7とを容易に接続することができる。すなわち、複数の電極部12〜15は、金属製のビスからなり、腕時計ケース1の内面に設けられたねじ穴16a〜16d内に螺入させるだけで、簡単に電極部12〜15を腕時計ケース1の内面に取り付けることができる。また、この状態では、電極部12〜15が回路基板7に接近して配置されるので、回路基板7に設けられた各接点板17を電極部12〜15に簡単に接触させることができ、これにより電極部12〜15と回路基板7との電気的な接続作業が容易にできる。
【0035】
特に、腕時計ケース1の内面にねじ穴16a〜16dを設け、このねじ穴16a〜16d内に金属製のビスからなる電極部12〜15をそれぞれ嵌め込んでいるので、電極部12〜15と腕時計ケース1の外表面との間の距離を短くすることができる。このため、静電容量変化を大きくすることができ、これにより静電容量の変化を検出しやすくすることができるので、正確に且つ確実にタッチスイッチ信号を得ることができる。
【0036】
また、腕時計ケース1の外面には、複数のタッチ部18が電極部12〜15にそれぞれ対応して設けられているので、この複数のタッチ部18によって使用者が指などの人体の一部を腕時計ケース1の外面に接触させるときに、その接触位置を視認することができ、これによりタッチ操作性が良く、使い勝手の良いものを得ることができる。特に、複数の電極部12〜15が腕時計ケース1の複数箇所に設けられてそれぞれ回路基板7と電気的に接続されていることにより、複数の電極部12〜15と対応するいずれかのタッチ部18に指などの人体の一部を接触させることにより、静電容量の変化を検出回路で検出することができるので、これによってもタッチ操作性が良く、使い勝手の良いものを得ることができる。
【0037】
さらに、この電子腕時計では、腕時計ケース1の内面に静電容量検出用の複数の電極部12〜15を設けていることにより、この複数の電極部12〜15と回路基板7との接続部分が、時計ガラス2を通して腕時計ケース1の外部から見えないので、その接続部分を隠す必要がなく、このため接続部分によって時計モジュール3に設けられた表示パネル10の表示面積が制約を受けることがなく、十分な広さの表示面積を確保することができる。
【0038】
(実施形態2)
次に、図4および図5を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態2について説明する。なお、図1〜図3に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、合成樹脂製の腕時計ケース1の内面に複数の電極部31〜34を設け、この複数の電極部31〜34をそれぞれ時計モジュール3の回路基板7に接触させて検出回路と電気的に接続させた構成で、これ以外は実施形態1と同じ構成なっている。
【0039】
すなわち、腕時計ケース1における2時、4時、8時、10時に対応する箇所の内面には、図4に示すように、複数の凹部30a〜30dがそれぞれ設けられており、この複数の凹部30a〜30d内には、図4および図5に示すように、複数の電極部31〜34がそれぞれ嵌め込まれている。この複数の電極部31〜34は、それぞれ金属板をほぼコ字状に折り曲げ、その一端部に板ばね部31a〜34aを延出させて形成し、この板ばね部31a〜34aをそれぞれ回路基板7に接触させて電気的に接続するように構成されている。
【0040】
この場合、回路基板7における2時、4時、8時、10時に対応する箇所の端部には、図4および図5に示すように、切欠け部35が複数の電極部31〜34に対応してそれぞれ設けられており、この各切欠け部35の端部側面には、複数の電極部31〜34の各板ばね部31a〜34aが弾接する電極パッド36がそれぞれ設けられている。この複数の電極パッド36は、それぞれ回路基板7の検出回路と電気的に接続されている。
【0041】
なお、この場合にも、腕時計ケース1の外面には、タッチ部18が複数の電極部31〜34に対応して設けられている。また、回路基板7のタッチスイッチの検出回路は、実施形態1と同じ回路構成になっている。
【0042】
このような電子腕時計によれば、合成樹脂製の腕時計ケース1の内面に複数の電極部31〜34をそれぞれ回路基板7の検出回路と電気的に接続させて設け、複数の電極部31〜34を設けているので、実施形態1と同様、複数の電極部31〜34に対応する腕時計ケース1の外面に設けられた複数のタッチ部18のいずれかを指などの人体の一部で触ると、電極部31〜34のうちのいずれかの静電容量が変化し、その静電容量の変化を回路基板7の検出回路で検出することにより、タッチスイッチ信号を得ることができる。
【0043】
この場合には、複数の電極部31〜34が、それぞれ金属板をほぼコ字状に折り曲げて、その一部に板ばね部31a〜34aを設けた構成で、合成樹脂製の腕時計ケース1の内面に設けられた凹部30a〜30d内にそれぞれ嵌め込まれ、この状態で各板ばね部31a〜34aが回路基板7の端部側面に設けられた電極パッド36に接触して検出回路と電気的に接続されているので、金属板を折り曲げてなる複数の電極部31〜34を腕時計ケース1の内面に設けられた凹部30a〜30d内に嵌め込むだけで、簡単に複数の電極部31〜34を腕時計ケース1の内面に取り付けることができる。
【0044】
特に、腕時計ケース1の内面に凹部30a〜30dを設け、この凹部30a〜30d内に金属板からなる電極部31〜34を嵌め込んでいるので、実施形態1と同様、電極部31〜34と腕時計ケース1の外表面との間の距離を短くすることができる。このため、静電容量変化を大きくすることができ、これにより静電容量の変化を検出しやすくすることができるので、正確に且つ確実にタッチスイッチ信号を得ることができる。
【0045】
また、複数の電極部31〜34は、それぞれ金属板を折り曲げて、一端部に板ばね部31a〜34aが延出して設けられているので、この各板ばね部31a〜34aを回路基板7の端部側面に設けられた各電極パッド36にそれぞれ弾接させるだけで、複数の電極部31〜34を回路基板7の検出回路と電気的に接続することができるので、電気的な接続作業も容易にできる。また、複数の電極部31〜34は、腕時計ケース1の複数箇所に設けられてそれぞれ回路基板7に電気的に接続されていることにより、実施形態1同様、複数の電極部31〜34と対応するいずれかのタッチ部18を指などの人体の一部で触れることにより、静電容量の変化を検出回路で検出することができるので、タッチ操作性が良く、使い勝手の良いものを得ることができる。
【0046】
さらに、この電子腕時計においても、腕時計ケース1の内面に静電容量検出用の複数の電極部31〜34を設けていることにより、この複数の電極部31〜34と回路基板7との接続部分が、時計ガラス2を通して腕時計ケース1の外部から見えないので、その接続部分を隠す必要がなく、このため接続部分によって時計モジュール3に設けられた表示パネル10の表示面積が制約を受けることがなく、十分な広さの表示面積を確保することができる。
【0047】
なお、上記実施形態2では、複数の電極部31〜34の各板ばね部31a〜34aを、回路基板7の端部側面に設けられた各電極パッド36に弾接させることにより、複数の電極部31〜34を回路基板7の検出回路と電気的に接続した場合について述べたが、これに限らず、例えば図6および図7に示した変形例のように構成しても良い。この変形例は、腕時計ケース1における2時、4時、8時、10時に対応する箇所の内面に凹部40a〜40dをそれぞれ設け、この凹部40a〜40d内にそれぞれ金属板からなる電極部41〜44をそれぞれ嵌め込み、この電極部41〜44をそれぞれ回路基板7の電極パッド45に接触させた構成になっている。
【0048】
この場合には、回路基板7の2時、4時、8時、10時に対応する縁部の上面に、電極パッド45がそれぞれ設けられている。また、電極部41〜44は、実施形態2と同様、金属板をほぼコ字状に折り曲げ、その一端部に板ばね部41a〜44aを延出させて形成し、この板ばね部41a〜44aを回路基板7の上面に対向させた状態で、腕時計ケース1の各凹部40a〜40d内にそれぞれ嵌め込むことにより、各板ばね部41a〜44aを回路基板7上の各電極パッド45に接触させ、これにより回路基板7の検出回路と電気的に接続されるように構成されている。
【0049】
このような構成でも、複数の電極部41〜44が金属板を折り曲げた構成で、腕時計ケース1の内面に設けられた凹部40a〜40d内にそれぞれ嵌め込まれ、この状態で複数の電極部41〜44の各板ばね部41a〜44aが回路基板7の上面に設けられた各電極パッド45に接触して回路基板7の検出回路と電気的に接続されているので、実施形態2と同様、複数の電極部41〜44に対応する腕時計ケース1の外面に設けられた複数のタッチ部18のいずれかを指などの人体の一部で触ると、電極部41〜44のうちのいずれかの静電容量が変化し、その静電容量の変化を回路基板7の検出回路で検出することにより、タッチスイッチ信号を得ることができる。
【0050】
この場合にも、実施形態2と同様、複数の電極部41〜44は腕時計ケース1の内面に設けられた各凹部40a〜40d内にそれぞれ嵌め込むだけで、簡単に複数の電極部41〜44を腕時計ケース1の内面に取り付けることができる。このときには、複数の電極部41〜44の各板ばね部41a〜44aが回路基板7の縁部上に延びているので、各電極部41〜44の板ばね部41a〜44を回路基板7の上面に設けられた各電極パッド45に簡単に接触させることができ、これにより複数の電極部41〜44を容易に回路基板7の検出回路と電気的に接続することができる。
【0051】
また、この場合にも、腕時計ケース1の内面に凹部40a〜40dを設け、この凹部40a〜40d内に金属板からなる電極部41〜44を嵌め込んでいるので、実施形態1および2と同様、電極部41〜44と腕時計ケース1の外表面との間の距離を短くすることができ、静電容量の変化を検出しやすくすることができる。また、複数の電極部41〜44と回路基板7との接続部分が腕時計ケース1の外部から見えないので、その接続部分を隠す必要がなく、このため接続部分によって時計モジュール3に設けられた表示パネル10の表示面積が制約を受けることがなく、十分な広さの表示面積を確保することができる。
【0052】
(実施形態3)
次に、図8および図9を参照して、この発明を電子腕時計に適用した実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図3に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子腕時計は、合成樹脂製の腕時計ケース1内の回路基板7に複数の電極部51〜54を腕時計ケース1の内面に対向させて設け、この腕時計ケース1の外面に複数の凹部50a〜50dを複数の電極部51〜54に対応させて設け、この複数の凹部50a〜50d内にそれぞれ金属片55を嵌め込んだ構成で、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成なっている。
【0053】
この場合、複数の電極部51〜54は、図8および図9に示すように、それぞれ電極板からなり、回路基板7における2時、4時、8時、10時に対応する箇所の縁部にそれぞれ設けられた電極端子部56に半田などによって取り付けられ、この状態で電極板である電極部51〜54の各先端が腕時計ケース1の内面に沿って折り曲げられ、この折り曲げられた部分が腕時計ケース1の内面に対向した状態で配置されるように構成されている。この場合、複数の電極部51〜54がそれぞれ半田付けされた各電極端子部56は、それぞれ回路基板7の検出回路と電気的に接続されている。
【0054】
また、腕時計ケース1における2時、4時、8時、10時に対応する箇所の外面には、図8に示すように、凹部50a〜50dがそれぞれ複数の電極部51〜54に対応して設けられている。この複数の凹部50a〜50d内には、図8および図9に示すように、金属片55がそれぞれ腕時計ケース1の外部に露出した状態で嵌め込まれている。そして、この金属片55の外面側には、タッチ部18がそれぞれ設けられている。
【0055】
これにより、複数の電極部51〜54とこれに対応する複数の金属片55とは、その間にコンデンサC1〜C4を形成するように構成されている。また、腕時計ケース1内に組み込まれた時計モジュール3の回路基板7に設けられた検出回路は、実施形態1と同じ回路構成になっている。
【0056】
このような電子腕時計によれば、回路基板7に設けられた電極板からなる複数の電極部51〜54が腕時計ケース1の内面に対向して配置され、この腕時計ケース1の外面に複数の凹部50a〜50dが各電極部51〜54に対応して設けられ、この複数の凹部50a〜50d内にそれぞれ金属片55が嵌め込まれているので、実施形態1と同様、複数の電極部51〜54に対応する腕時計ケース1の外面に設けられた複数の金属片55の各タッチ部18のいずれかを指などの人体の一部で触ると、電極部51〜54のうちのいずれかの静電容量が変化し、その静電容量の変化を回路基板7の検出回路で検出することにより、タッチスイッチ信号を得ることができる。
【0057】
この場合には、腕時計ケース1内の時計モジュール3に組み込まれる回路基板7に複数の電極部51〜54を設ければよいので、複数の電極部51〜54を簡単に設けることができると共に、複数の電極部51〜54と回路基板7の検出回路との電気的な接続が容易にでき、接続作業性の良いものを得ることができる。また、この複数の電極部51〜54を、腕時計ケース1の外面に設けられた複数の凹部50a〜50d内にそれぞれ嵌め込まれた金属片55に対応させるだけでよいので、簡単に取り付けられる。
【0058】
また、この場合にも、腕時計ケース1の外面に凹部50a〜50dが電極部51〜54に対応して設けられ、この凹部50a〜50d内にそれぞれ金属片55が嵌め込まれているので、腕時計ケース1の内面に対向する電極部51〜54と腕時計ケース1の外部に露出する各金属片55との間の距離を短くすることができる。このため、実施形態1および2と同様、静電容量変化を大きくすることができ、これにより静電容量の変化を検出しやすくすることができるので、正確に且つ確実にタッチスイッチ信号を得ることができる。
【0059】
さらに、この電子腕時計でも、腕時計ケース1の内面に静電容量検出用の複数の電極部51〜54を設けていることにより、この複数の電極部51〜54と回路基板7との接続部分が、時計ガラス2を通して腕時計ケース1の外部から見えないので、その接続部分を隠す必要がなく、このため接続部分によって時計モジュール3に設けられた表示パネル10の表示面積が制約を受けることがなく、十分な広さの表示面積を確保することができる。
【0060】
なお、上記実施形態1〜3およびその変形例では、腕時計ケース1内に組み込まれる時計モジュール3が表示パネル10を備えた場合について述べたが、これに限らず、時計モジュールは、時針、分針、秒針などの指針を運針させて時刻を指示する時計ムーブメントを備えたものでも良く、また表示パネル10と時計ムーブメントとの両方を備えたものでも良い。
【0061】
また、上記実施形態1〜3およびその変形例では、回路基板7の検出回路が常に動作するように構成されている場合について述べたが、これに限らず、例えば腕時計ケース1内に傾斜スイッチを設けたり、また裏蓋4に感圧スイッチを設けたりすることにより、腕時計ケース1を腕に取り付けて使用するときにのみ、回路基板7の検出回路が動作するように構成することが望ましい。このように構成すれば、検出回路の消費電力を大幅に軽減することができる。
【0062】
さらに、上記実施形態1〜3およびその変形例では、電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも電子腕時計である必要はなく、トラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの電子時計にも適用することができるほか、これに限らず、携帯電話機、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)などの各種の電子機器に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明を適用した電子腕時計の拡大断面図である。(実施形態1)
【図2】図1のA−A矢視における横断面図である。
【図3】図1および図2のタッチスイッチの回路構成を示した図である。
【図4】この発明を適用した電子腕時計の横断面図である。(実施形態2)
【図5】図4のB−B矢視における断面図である。
【図6】実施形態2の変形例を示した横断面図である。
【図7】図6のC−C矢視における断面図である。
【図8】この発明を適用した電子腕時計の横断面図である。(実施形態3)
【図9】図8のD−D矢視における断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 腕時計ケース
2 時計ガラス
3 時計モジュール
7 回路基板
9 検出素子
10 表示パネル
12〜15、31〜34、41〜44、51〜54 電極部
16a〜16d ねじ穴
17 接点板
18 タッチ部
21〜24 CR発振回路
25 カウンタ
26 タイマー
27 制御回路
30a〜30d、40a〜40d、50a〜50d 凹部
31a〜34a、41a〜44a 板ばね部
36、45 電極パッド
55 金属片
56 電極端子部
C1〜C4 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の機器ケースと、
この機器ケース内に収納されたモジュールと、
このモジュールに設けられて少なくとも静電容量の変化を検出する検出回路を有する回路基板と、
前記機器ケースの内面に配置されて前記回路基板の前記検出回路と電気的に接続された静電容量検出用の電極部と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電極部は、金属部材であり、前記機器ケースの内面に設けられた凹部に嵌め込まれ、この状態で前記回路基板に設けられた接点板が接触して前記検出回路と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電極部は、金属板を折り曲げて、その一部に板ばね部を設けた構成で、前記機器ケースの内面に設けられた凹部内に嵌め込まれ、この状態で前記板ばね部が前記回路基板に設けられた接続部に接触して前記検出回路と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記機器ケースの外面には、タッチ部が前記電極部と対応して設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記電極部は、前記回路基板に設けられて前記検出回路と電気的に接続された状態で前記機器ケースの内面に対向して配置され、前記機器ケースの外面には凹部が前記電極部に対応して設けられ、この凹部には金属片が前記機器ケースの外部に露出して嵌め込まれていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電極部は、前記機器ケースの内面における複数箇所に設けられてそれぞれ前記回路基板の前記検出回路と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−170994(P2007−170994A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369245(P2005−369245)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】