説明

電子機器

【課題】発光素子の位置に変更が生じても、表示部ケースや表示パネルの形成に新たな成形金型を製造する必要がなく、コストダウンが可能であるとともに、デザインの統一性を保持する。
【解決手段】各発光素子4,8の前面側に、発光表示部12の全体に対応した開口部9aを有する表示部ケース9を設けるとともに、表示部パネル9の前面側に透明材からなる表示パネル10を設け、かつ表示部ケース9と表示パネル10との間に、各発光素子4,8の位置に合わせて開孔部11aを有する遮光板11を設け、発光表示部12を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子を用いて電子機器の動作状態や機能を表示する発光表示部を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6(a),(b)は従来の発光素子を用いた発光表示部を備えた電子機器の縦断側面図及び縦断正面図を示し、図7(a),(b)は従来の電子機器の発光表示部の分解斜視図及び図6(a)のA部拡大図を示す。図において、1は内部に電子機器本体部2を内蔵するとともに、プリント板3を内蔵・保持したケースであり、ケース1は樹脂により形成され、プリント板3には発光素子4が前面側に実装され、ケース1における発光素子4の前面には発光素子4からの光をケース1の前面側に導く開孔部5aが形成された表示部ケース5が設けられ、表示部ケース5の前面には表示パネル6が被せられ、発光表示部7が形成される。表示パネル6には動作状態や機能が文字や図柄で表記される。表示パネル6及び表示部ケース5は樹脂により形成され、内蔵するプリント板3の発光素子4の形状や位置に合わせて、専用の形状に成形されている。従って、発光素子4のレイアウトは決まっているので、表示部ケース5及び表示パネル6の形状も決まっている。また、表示パネル6には透明スモーク材が使用され、発光素子4の発光のみを際立たせて透過させるとともに、発光素子4自体は見えにくくしている。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【特許文献1】実開平6−23284号公報
【特許文献2】実開平6−36162号公報
【特許文献3】特開2003−15562号公報
【特許文献4】特開2003−279388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、樹脂により成形する表示部ケース5や表示パネル6は専用の成形金型が必要であるため、多量に生産されるプリント板3の発光素子4の種類や位置に合わせて、専用の成形金型を製作している。しかしながら、図8(a),(b)に示すように、発光素子4の種類や位置が異なる異種プリント板3においては、小型発光素子4の他に通常発光素子8が設けられ、生産量が少ない場合、図8(c)に示すように、一部の成形金型を新規に製作して、発光素子4,8の位置に合わせた表示部ケース5や表示パネル6を成形していた。しかし、しかし、この場合、生産量に対する金型費用が大きくなり、コストアップになった。又、生産量が少ない異種プリント板3用の表示部ケース5や表示パネル6の全部を新たな成形金型を用いて成形することは、コスト的に不可能であるので、樹脂以外の材料により製作することとなり、機種としてのデザインの統一性が保てず、機種の商品価値が低下した。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するために成されたものであり、表示部ケースや表示パネルに汎用性を持たせることにより、表示部ケースや表示パネルの形成に新たな成形金型を製作する必要が無く、コストダウンが可能であるとともに、表示部ケースや表示パネルの形成を樹脂により形成することができ、デザインの統一性を保持して機種としての商品価値を高めることができる電子機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の請求項1に係る電子機器は、ケースの内部に電子機器本体部が収納されるとともに、ケースの内部に発光素子が前面側に実装されたプリント板が収納された電子機器において、ケースにおける各発光素子の前面側に設けられ、発光表示部全体に対応した開口部を有する表示部ケースと、透明材からなり、表示部ケースの前面側に設けられた表示パネルと、表示部ケースと表示パネルとの間に設けられ、各発光素子の位置に合わせて開孔部を有する遮光板とから構成された発光表示部を備えたものである。
【0007】
この発明の請求項2に係る電子機器は、ケースの内部に電子機器本体部が収納されるとともに、ケースの内部に発光素子が前面側に実装されたプリント板が収納された電子機器において、ケースにおける各発光素子の前面側に設けられ、発光表示部全体に対応した開口部を有する表示部ケースと、透明材からなり、表示部ケースの前面側に設けられた表示パネルと、表示部ケースと表示パネルとの間に設けられ、各発光素子の位置に合わせて開孔部を有する遮光板と、表示部ケースと遮光板との間に設けられ、各発光素子の位置に合わせて開孔部を有するとともに、隣接する発光素子の光を遮断する導光板とから構成された発光表示部を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のようにこの発明の請求項1によれば、表示部ケースと表示パネルとの間に各発光素子の位置に合わせて開孔部を有する遮光板を設けたので、発光素子の位置が変更になった場合には簡易抜型で容易に製作できる遮光板を変更するだけでよく、表示部ケースや表示パネルに汎用性を持たせることができ、新たな成形金型の製造を不要とすることができ、コストダウンが可能となる。このため、発光表示部の形成が容易となり、生産量が少ない異種プリント板を内蔵する電子機器の生産が容易となる。又、新たな成形金型が不要であるので、表示部ケースや表示パネルをすべて樹脂により形成することができ、デザインの統一性を保持し、商品価値を高めることができる。
【0009】
又、請求項2によれば、請求項1の効果に加えて、遮光板と導光板の併用により発光表示部の視認性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施最良形態1
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面とともに説明する。図1(a),(b)はこの発明の実施最良形態1による電子機器の縦断側面図及び縦断正面図、図2(a),(b)は図1(a)のB部拡大図及び遮光板の正面図、図3は発光表示部の分解斜視図を示す。樹脂製のケース1内には電子機器本体部2が収納されるとともに、前面側に発光素子4,8が実装されたプリント板3が収納される。9はケース1における各発光素子4,8の前面側に設けられた樹脂製の表示部ケースであり、発光表示部12の全体に対応した開口部9aを設ける。10は透明な樹脂材からなる表示パネルであり、表示部ケース9の前面側に設けられ、その裏面側には遮光板11の実装スペースpが設けられる。11は表示部ケース9と表示パネル10との間に設けられた樹脂製の遮光板であり、各発光素子4,8の位置に合わせて開孔部11aを有する。そして、この表示部ケース9、表示パネル10及び遮光板11とにより発光表示部12が構成される。遮光板11は簡易抜型により容易に製作することができる。
【0011】
実施最良形態1においては、各発光素子4,8の位置に合わせて開孔部11aを設けるのは、遮光板11のみであり、遮光板11は簡易抜型で容易に製作することができ、その変更は容易であり、表示部ケース9は発光表示部12の全体に対応した開口部9aが設けられているので、発光素子4,8の位置が変更されても表示部ケース9は開口部9aの位置を変更する必要がなく、また表示パネル10も開口部を持たないので、発光素子4,8の位置に対応して開口部の位置を変更する必要がなく、表示部ケース9及び表示パネル10については、発光素子4,8の位置が変更されても、変更する必要がないので、新たな金型を製作する必要がない。このため、コストダウンが可能となり、また発光表示部12の形成が容易となり、生産量が少ない異種プリント板3を内蔵する電子機器の生産が容易となる。又、新たな成形金型の製作が不要であるので、表示部ケース9や表示パネル10をすべて樹脂により形成することができ、デザインの統一性を保持し、商品価値を高めることができる。
【0012】
実施最良形態2
図4(a),(b)はこの発明の実施最良形態2による電子機器の縦断側面図及び縦断正面図を示し、図5は図4(a)のC部拡大図を示す。樹脂製のケース1内には電子機器本体部2が収納されるとともに、前面側に発光素子4,8が実装されたプリント板3が収納される。ケース1における各発光素子4,8の前面側には樹脂製の表示部ケース9が設けられ、表示部ケース9は発光表示部14の全体に対応した開口部9aを有する。透明材からなる表示パネル10は表示部ケース9の前面側に設けられ、表示パネル10の裏面側には遮光板11の実装スペースが設けられる。遮光板11は表示部ケース9と表示パネル10との間に設けられ、遮光板11には各発光素子4,8の位置に合わせて開口部11aが設けられる。又、表示部ケース9と遮光板11との間には導光板13が設けられ、導光板13は各発光素子4,8の位置に合わせて開孔部13aを有するとともに、隣接する発光素子4,8の光を遮断する。表示部ケース9、表示パネル10、遮光板11及び導光板13により発光表示部14が構成される。
【0013】
実施最良形態2においては、表示部ケース9、表示パネル10、遮光板11及び導光板13により発光表示部14を構成しており、遮光板11と導光板13とを併用することにより、発光表示部14の視認性を高めることができる。その他の効果は実施最良形態1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の実施最良形態1による電子機器の縦断側面図及び縦断正面図である。
【図2】図1(a)のB部拡大図及び遮光板の正面図である。
【図3】実施最良形態1による電子機器の発光表示部の分解斜視図である。
【図4】実施最良形態2による電子機器の縦断側面図及び縦断正面図である。
【図5】図4(a)のC部拡大図である。
【図6】従来の電子機器の縦断側面図及び縦断正面図である。
【図7】従来の電子機器の発光表示部の分解斜視図及び図6(a)のA部拡大図である。
【図8】(a),(b)は従来の電子機器の種類が異なる発光素子を設けた場合の縦断側面図及び縦断正面図であり、(c)は種類が異なる発光素子に合わせて表示部ケースを新規に成形し直した場合の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0015】
1…ケース
2…電子機器本体部
3…プリント板
4,8…発光素子
9…表示部ケース
9a,11a…開口部
10…表示パネル
11…遮光板
12,14…発光表示部
13…導光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部に電子機器本体部が収納されるとともに、ケースの内部に発光素子が前面側に実装されたプリント板が収納された電子機器において、ケースにおける各発光素子の前面側に設けられ、発光表示部全体に対応した開口部を有する表示部ケースと、透明材からなり、表示部ケースの前面側に設けられた表示パネルと、表示部ケースと表示パネルとの間に設けられ、各発光素子の位置に合わせて開孔部を有する遮光板とから構成された発光表示部を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
ケースの内部に電子機器本体部が収納されるとともに、ケースの内部に発光素子が前面側に実装されたプリント板が収納された電子機器において、ケースにおける各発光素子の前面側に設けられ、発光表示部全体に対応した開口部を有する表示部ケースと、透明材からなり、表示部ケースの前面側に設けられた表示パネルと、表示部ケースと表示パネルとの間に設けられ、各発光素子の位置に合わせて開孔部を有する遮光板と、表示部ケースと遮光板との間に設けられ、各発光素子の位置に合わせて開孔部を有するとともに、隣接する発光素子の光を遮断する導光板とから構成された発光表示部を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−203691(P2008−203691A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41601(P2007−41601)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】