説明

電子機器

【課題】付勢部材の組み付け時に作業者が工具等を使用せずに簡便な組み付けが可能で、付勢部材の導電部材に対する押圧力(接触力)を安定させ、静電気などの外来ノイズに影響を受けにくい構造の電子機器を提供する。
【解決手段】撮像装置は、前カバー1、電池ケース21、グランド板金25、電池蓋ユニット26を備える。電池蓋ユニット26において、捩じりコイルバネ33は、導電性を有し、第1の端部33bがスライダプレート32に係合すると共に第2の端部33cが電池ケース21に係合し、電池蓋31を電池室に対して開き方向に付勢する。捩じりコイルバネ33の第2の端部33cに、グランド板金25を押圧することで電気的に接続される接触部33dを有する。捩じりコイルバネ33の接触部33dがグランド板金25を押圧する方向と、捩じりコイルバネ33が電池蓋31に作用する付勢力を得るためのチャージ方向とを異ならせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器本体と該機器本体に開閉可能に取り付けられる蓋部材との電気的導通が可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源供給により駆動する電気部品を備えるデジタルカメラ等の撮像装置には、電池蓋が開閉可能に取り付けられた電池収納用の電池ケースが設けられている。撮像装置に装備される電池蓋開閉機構としては、電池蓋を回転軸を中心に回動させて開閉動作を行う機構がよく用いられている。その際、電池蓋を開き方向へ付勢するための手段としてトーションバネが用いられることがある。
【0003】
上記トーションバネの組み付けに関しては次の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、トーションバネのコイル部内径部を回転軸の外形部(周壁部)で保持し、トーションバネの一方の腕(固定部)を係止用のリブや穴に引っ掛けて仮保持しながら、もう一方の腕(作動部)を本体の係止部に引っ掛ける構成が開示されている。
【0004】
図19は、従来例に係る撮像装置の電池蓋を閉じた状態を示す斜視図である。図20は、撮像装置の電池蓋を開いた状態を示す斜視図である。尚、図19及び図20では電池蓋の開閉に関係のある部品のみ示している。
【0005】
図19、図20において、撮像装置(デジタルカメラ)のロック解除レバーを操作し、電池蓋200をスライドすると、電池蓋200は、導電性を有する捩じりコイルバネ203の付勢力により図19の状態から図20の状態に自動的に回動する。非導電性の樹脂からなる電池室204は、撮像装置の主構造体としての役割を有する。導電性を有する金属シャーシ201と電池室204は、不図示の箇所で互いに位置決めされ固定されている。電池蓋200の構成部品である導電性を有するスライダプレート202は、電池室204に対し軸部材により軸支されており、捩じりコイルバネ203により常に開き方向(図20の状態が開)へ付勢されるよう構成されている。
【0006】
デジタルカメラ等の撮像装置や各種の電子機器は、外来ノイズすなわち静電気などが外部から侵入した場合でも、機器が破損したり異常動作が起きたりしないよう様々な配慮がなされている。特に電気的に浮遊した金属部品(グランドに接続されていない金属部品)に静電気が印加された場合は、静電気が一定量帯電した後に他の電気部品やプリント配線基板などに2次放電を起こすことがある。この際に発生する予期せぬ電気的なノイズにより、機器の破損や異常動作を起こす可能性がある。
【0007】
上述したことから、撮像装置では、電池蓋200の構成部品である導電性のスライダプレート202を、導電性を有する捩じりコイルコイルバネ203を介して導電性を有する金属シャーシ201に当接させることで電気的に接続するよう構成している。
【特許文献1】特開2000-9202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されたトーションバネの組み付け方法には次のような問題がある。トーションバネを組み付ける際、トーションバネの仮保持されない側の腕をバネ圧に逆らいながら、たわませて本体の係止部に引っ掛ける作業が必要となる。そのため、組立作業者はピンセットなどの工具を使用してトーションバネの組み付けを行わなければならず、組立作業性の面で問題がある。
【0009】
他方、上記の図19及び図20に示した撮像装置(デジタルカメラ)の電池蓋開閉機構には次のような問題がある。電池蓋200を回動させて開閉動作を行う機構において、捩じりコイルバネ203の一方の端部203aを金属シャーシ201と電池室204とから形成された溝部に挿入し、装置本体と係合させている。しかし、捩じりコイルバネ203の端部203aの挿入が面倒で、組立作業に手間が掛かるという問題がある。
【0010】
更に、スライダプレート202と金属シャーシ201を電気的に接続するために、捩じりコイルバネ203の端部203aを金属シャーシ201の内壁面に接触させている。この場合、捩じりコイルバネ203の端部203aの金属シャーシ201に対する押圧力(接触力)は、電池蓋200を開方向へ付勢する捩じりコイルバネ203の付勢力を利用している。そのため、電池蓋200が閉じた状態と開いた状態とでは押圧力(接触力)が変化してしまい、安定しないという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、付勢部材の組み付け時に作業者が工具等を使用せずに簡便な組み付けが可能で、付勢部材の導電部材に対する押圧力(接触力)を安定させ、静電気などの外来ノイズに影響を受けにくい構造の電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的を達成するために、本発明は、本体部材と前記本体部材の開放部を覆うカバー部材とから構成される収納部を備えた電子機器において、導電性を有し、前記本体部材に回動軸を介して回動可能に支持され、前記収納部に対して開閉可能な蓋部材と、導電性を有し、前記カバー部材に取り付けられた導電部材と、導電性を有し、一方の端部が前記本体部材に係合すると共に他方の端部が前記蓋部材に係合し、前記蓋部材を前記収納部に対して開き方向に付勢する付勢部材と、を備え、前記付勢部材の前記一方の端部に、前記導電部材を押圧することで電気的に接続される接触部が形成され、前記付勢部材の前記接触部が前記導電部材を押圧する方向と、前記付勢部材が前記蓋部材に作用する付勢力を得るためのチャージ方向とを異ならせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、付勢部材の接触部が導電部材を押圧する方向と、付勢部材が蓋部材に作用する付勢力を得るためのチャージ方向とを異ならせる構成としている。そのため、付勢部材における、本体部材に対する回動力(付勢力)とは別に、導電部材に対する接触力を設定することが可能となる。また、付勢部材と蓋部材を電子機器本体に組み付ける際に、付勢部材には付勢力が発生しない。これにより、付勢部材の組み付け時に作業者が工具等を使用せずに簡便な組み付けが可能となり、導電部材に対する押圧力(接触力)を安定させ、静電気などの外来ノイズに影響を受けにくい構造の電子機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
まず、本発明の実施の形態に係る撮像装置の電池蓋保持開閉機構を説明する前に撮像装置の全体構成について図2及び図3を参照しながら説明する。
【0016】
図2は、本実施の形態に係る撮像装置の構成部品を正面側から見た場合の分解斜視図である。図3は、撮像装置の構成部品を背面側から見た場合の分解斜視図である。
【0017】
図2、図3において、撮像装置(カメラ)は、前カバー1、後カバー3、金属シャーシ6、鏡筒ユニット11、電池ケース21、グランド板金25、電池蓋ユニット26等を備えている。電池蓋保持開閉機構を構成する電池蓋ユニット26の詳細は後述する。
【0018】
撮像装置の筐体は、大きく分けて前カバー1及び後カバー3の2枚のカバー構成となっている。前カバー1(カバー部材)は、撮像装置の正面側を覆う部材であり、後カバー3は、撮像装置の背面側を覆う部材である。本実施の形態では、前カバー1及び後カバー3共に樹脂部材(例えばPC(ポリカーボネート))により形成されている。尚、前カバー1及び後カバー3の強度の向上のために、前カバー1及び後カバー3をガラス繊維などの強化材料を含有した材料により形成してもよい。
【0019】
また、前カバー1には、化粧リング2が貼り合わされており、外観意匠性を高めている。また、前カバー1には、ファインダ対物窓1aが設けられている。また、前カバー1には、導電性を有するグランド板金25(導電部材)が取り付けられている。グランド板金25は、後述する捩じりコイルバネ33(図15等参照)の端部に当接する共に、金属シャーシ6にも接触するように構成されている。
【0020】
後カバー3には、大きな矩形状の穴3aが設けられている。後カバー3の穴3aには、略無色透明の窓部材4が後カバー3の外側から穴3aを塞ぐように両面テープにより接着固定される。本実施の形態では、窓部材4は、その透明度と強度の面からPMMA(アクリル)を使用している。尚、窓部材4の形成材料としては、加工性を重視すればPC(ポリカーボネート)という選択肢もあるが、表面強度が若干弱いという面がある。また、強度を重視すれば強化ガラスという選択肢もあるが、コスト高となる点や破損した際の問題がある。
【0021】
窓部材4の裏面には枠状に目隠し印刷を施し、その目隠し印刷された部分にロの字状に両面テープを貼り付けた後、後カバー3に接着固定している。尚、接着強度が保てれば、窓部材4の4辺を接着する必要はなく2辺もしくは3辺でもよい。また、窓部材4には、反射防止コート、表面を硬化させるハードコート、汚れを落とし易くするために防汚コート、静電気によるゴミの付着を抑制する帯電防止コートなどが施されている。
【0022】
後カバー3の側部には、メイン配線基板51に実装された外部電源コネクタ53及びUSBコネクタ54をカバーするためのジャックカバー110が設けられている。ジャックカバー110は、比較的柔らかい樹脂により形成されており、そのヒンジ部は容易に折り曲げが可能なように構成されている。
【0023】
また、後カバー3の内壁面側から外壁面側(外観側)に向かって、ストラップベース113が嵌め込まれている。ストラップベース113は、後から、前カバー1及び後カバー3と共に外観ねじにより共締め固定されるよう構成されている。尚、ストラップベース113は、比較的強度が高い樹脂もしくはダイカストにより形成されている。ストラップベース113には、撮像装置の誤落下防止用のリストストラップを通すための紐通し穴が設けられている。
【0024】
金属シャーシ6は、撮像装置本体の剛性を高めるための部材であり、鏡筒ユニット11やファインダユニット14等の各種ユニットと、前カバー1や後カバー3等の外装カバー類を固定している。金属シャーシ6は、強度の高いSUS(ステンレス)が使用されることが多いが、強度の必要性があまり高くなければ一般の鋼材でもよい。尚、金属シャーシ6は、グランド板金25やプリント配線基板などと接触し電気的に導通をとるため、表面抵抗が比較的小さいものを使用している。
【0025】
鏡筒ユニット11は、撮影レンズ等を保持する鏡筒を備えるユニットである。鏡筒ユニット11には、鏡筒を駆動するためのズームモータを装備したギヤユニット13が一体的に組み付けられている。鏡筒ユニット11は、3本のねじ12により金属シャーシ6に固定される。ファインダユニット14は、撮影範囲の決定に用いられるユニットであり、その上面からねじにより鏡筒ユニット11に固定される。
【0026】
電池ケース21は、電池(不図示:例えば単3型乾電池)を保持するためのものであり、ねじ22a及び22bにより金属シャーシ6に固定される。電池ケース21には、壁の一部を除去して形成された開放部が設けられている。電池ケース21の前記開放部は、組立時に前カバー1により覆われる。前カバー1に電池ケース21の一部の機能を併せ持たせ、前カバー1と電池ケース21を組み合わせることで電池室(収納部)を構成している。
【0027】
電池ケース21の上方には、板バネから構成された2つ(+極用、−極用)の電池接片(図10参照)が配置されている。2つの電池接片は、それぞれの一部が電池ケース21に設けられた貫通穴を挿通されており、メイン配線基板51に半田付けで接続できるように構成されている。また、電池ケース21には、撮像装置外部に露出した三脚座部分と電池蓋31を軸支する部分が一体的に形成されている。このように、電池ケース21は、比較的強度が必要な部分が多いため、ガラス繊維を含有したPC(ポリカーボネート)により形成されている。
【0028】
電池蓋ユニット26(蓋部材)は、電池ケース21(本体部材)に回動軸を介して回動可能に支持(軸支)され、電池ケース21に対して開閉可能に構成されている(図6参照)。電池蓋ユニット26を開いた状態(図6参照)では、電池及び後述する外部メモリ(記録媒体)の着脱が可能なように構成されている。電池蓋ユニット26は、電池蓋31、開閉用板金であるスライダプレート32、捩じりコイルバネ33、樹脂製のインナー部材34、金属製の電池接片35、逆装填による短絡を防止する絶縁用のガード部材36、ロックレバー37を備えている(図10参照)。電池蓋ユニット26の詳細は後述する。
【0029】
ストロボユニット41は、側面からねじ45により金属シャーシ6に固定されるユニットであり、ストロボ発光部42を備える。ストロボユニット41のストロボ発光部42の裏面側には、ストロボ回路を実装したストロボ配線基板43がねじ止めにより固定されると共に、ストロボコンデンサ44が固定される。ストロボユニット41は、鏡筒ユニット11に組み付けられたギヤユニット13の上方に配置され、効率良いレイアウトを実現している。
【0030】
メイン配線基板51には、CPU、メモリ、画像処理LSI、電源回路が実装されると共に、映像や音声を保存する外部メモリを収納するメモリカードスロット52、外部電源コネクタ53、USBコネクタ54が実装されている。メイン配線基板51は、ねじ55a及び55bにより金属シャーシ6にねじ止めされ、ねじ55cにより補助金具65に固定される。補助金具65は、電池ケース21に対し位置決めされると共に、ねじにより固定される。
【0031】
電池ケース21の前面側には、マイクロフォン(以後、マイク)66が配置されている。マイク66は、ゴム製のマイクブッシュが被せられており、リード線によりメイン配線基板51に接続されている。マイク66に被せられたマイクブッシュは、前カバー1により圧縮されて撮像装置本体の内部の雑音を遮蔽し、集音効率を高める機能を有する。
【0032】
上面フレキシブル配線基板61には、レリーズスイッチ、電源スイッチ、AF補助光用の発光ダイオード(以後、LED)、後述のモードダイヤルの回動位置に対応したモード検出用のダイヤルパターンが実装されている。上面フレキシブル配線基板61の一方の端部には、操作配線基板71が接続されると共に、操作配線基板71を介してメイン配線基板51に電気的に接続される。上面フレキシブル配線基板61のもう一方の端部には、ストロボ配線基板43が接続される。
【0033】
トッププレート62は、上面フレキシブル配線基板61に対し両面テープにより接着されており、上面フレキシブル配線基板61の強度向上の目的で設置されている。トッププレート62は、上面フレキシブル配線基板61の電磁シールドの役目も担っており、側面の補助金具65と、後述する金属からなるLCDホルダ122とに接触すると共に、ねじにより固定されている。
【0034】
スピーカ68は、スピーカホルダ69に対し両面テープにより固定されている。スピーカ68のリード線は、操作配線基板71に接続される。また、スピーカ68の前面には、ドーナツ型の弾性体が貼り付けられている。スピーカ68に貼り付けられた弾性体は、後カバー3に圧接されることで、スピーカ68の音漏れを防止し音響性能を向上させている。
【0035】
操作配線基板71において、撮像装置背面側の面にはスイッチとLEDが実装され、その実装面と反対側の面にはボードツーボードコネクタが実装されている。操作配線基板71は、ボードツーボードコネクタを介してメイン配線基板51に電気的に接続される。操作配線基板71は、取り付け金具75と補助金具65に接地され、樹脂製のインナー部材56の上からねじ76a、76bによりねじ止めされるよう構成されている。操作配線基板71のメイン配線基板51に対する位置決めは、ボードツーボードコネクタのみで決定され、他に位置決め穴や位置決め軸によるものは無い。これは、2重に嵌合してボードツーボードコネクタの接点部を損傷することを防止するためである。
【0036】
操作配線基板71の上記インナー部材56に対するねじ76a、76bによる固定は、ボードツーボードコネクタにより位置決めされた操作配線基板71を撮像装置の光軸方向のみにおいて固定することが目的である。操作配線基板71にねじ締め付け時のトルクを与えないよう、インナー部材56を介在させてねじ76a、76bを締めるようにしている。これにより、操作配線基板71はボードツーボードコネクタに負荷をかけない良好な固定が可能となる。
【0037】
後カバー3には、各種操作ボタン82の位置決め取り付け部、ファインダユニット14の接眼窓部となる穴3b、スピーカ68の音孔3cが一体的に形成されている。撮像装置の背面側に配置される各種操作ボタン82のうちの1つは、その中心部に導光部材83が貼り付けられた発光ボタン82aである。発光ボタン82aは、操作配線基板71に実装されたタクトスイッチ72を導光部材83により押せるように構成されている。
【0038】
タクトスイッチ72の下方には、LED73が配置されている。LED73から発した光が導光部材83を通して発光ボタン82aの表面に導かれる。その他のボタン(十字ボタン)は、樹脂からなる各種操作ボタン82の樹脂腕により吊られており、操作配線基板71に実装されたスイッチを押せるよう構成されている。再生ボタン82bは、撮像装置において撮影済みの画像を表示部に表示する際に押下する。また、再生ボタン82bは、撮像装置を後述する記録モードから再生モードに遷移させる際に押下する。
【0039】
モードダイヤル63は、静止画撮影、動画撮影、各種シーンモードが回動位置に応じて割り当てられており、例えば撮像装置が記録モードにある場合に該モードダイヤル63を回動させる操作により記録モードを変更することができる。モードダイヤル63は、クリックバネ(不図示)により付勢されることで停止しており、一定のトルクで次の回動位置へ回動可能に構成されている。
【0040】
また、モードダイヤル63には、モードダイヤル63の回動に連動する接点ブラシ及び該接点ブラシを溶着したブラシホルダ(不図示)が位置決めされると共に、ねじにより固定されている。操作者の操作によるモードダイヤル63の回動に伴い、接点ブラシが上面フレキシブル配線基板61のモード検出用のダイヤルパターンを短絡させる。これにより、モードダイヤル63がどの回動位置に停止しているかを撮像装置本体側で判別することが可能となっている。
【0041】
前カバー1は、ズームレバー102、レリーズボタン103、電源ボタン104を保持している。撮像装置が組み立てられた状態で、前カバー1に保持されたズームレバー102、レリーズボタン103、電源ボタン104をそれぞれ操作した際に、上面フレキシブル基板61に実装された対応する電子部品(スイッチ)を押すように構成されている。
【0042】
LCDユニット121は、2枚のガラスを構成部材としたLCDパネルと、LEDを光源としたバックライト部とから構成された表示ユニットである。LCDユニット121におけるメイン配線基板51寄りの辺の略中央部からは、LCDパネルにACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)接続されたフレキシブル配線基板(FPC)121aが延出されている。延出されたFPC121aは、LCDホルダ122の一部に形成された穴(不図示)を通り抜け、メイン配線基板51に接続される。LCDユニット121の上記辺からFPC121aを延出することが、撮像系の信号との干渉等の影響を受けにくいことが実験から得ている。
【0043】
LCDユニット121とLCDホルダ122との係合は、LCDユニット121から突出状態に設けられた爪部が、LCDホルダ122の穴に嵌合することにより行われる。尚、LCDユニット121の構成部材である上ベゼル121bとLCDホルダ122は、LCDホルダ122に部分的に設けられた板バネ部122aが上ベゼル121bに当接することで、グランド(電気的接続)をとっている。
【0044】
LCDホルダ122は、SUS等の比較的強度の高い板金から構成されており、LCDユニット121の底面及び4つの側面を覆う形状に形成されている。LCDホルダ122におけるLCDユニット121の4つの側面を覆うように構成された立ち壁部は、LCDユニット121の厚みよりも若干高めに形成されている。これにより、後カバー3に加わった外力が、LCDユニット121ではなくLCDホルダ122に伝達されるようになっている。
【0045】
LCDホルダ122は、金属シャーシ6に対し位置決めされると共に2本のねじにより締結されることで固定される。LCDホルダ122の背面(LCDユニット121に対向する面とは反対側の面)のうち大部分は、金属シャーシ6に接地(面接触)されている。他方、LCDホルダ122の背面のうちメイン配線基板51にかかる部分においては、上端部及び下端部にLCDホルダ122への電池ケース21の取付部を設けており、その間の中央部付近は宙に浮いている状態になっている。これらの強度不足を補強するために、LCDホルダ122のメイン配線基板51側の立ち壁部にはヘミング曲げ(180度曲げ)を施し、強度向上を図っている。
【0046】
次に、撮像装置の電池蓋保持開閉機構を構成する電池蓋ユニット26の開閉動作について図4、図5、図6を参照しながら説明する。
【0047】
図4は、電池蓋ユニットを閉じた状態を示す部分斜視図である。図5は、電池蓋ユニットをスライドさせた状態を示す部分斜視図である。図6は、電池蓋ユニットを開いた状態を示す部分斜視図である。
【0048】
図4、図5、図6において、電池蓋ユニット26を開ける場合の動きは、操作者の操作及び電池蓋保持開閉機構の動作により、閉状態→手動ロック解除→手動スライド→自動回動→開状態の順となる。まず、操作者が図4の閉じた状態にある電池蓋ユニット26のロックレバー37を矢印A方向に移動させる操作を行うことでロック解除を行うと、電池蓋ユニット26はスライドが可能な状態となる。
【0049】
操作者が電池蓋ユニット26を図4の閉状態から実際にスライドさせると、電池蓋ユニット26は図5の状態となる。図5は電池蓋ユニット26を矢印B方向にスライド移動させた状態を示している。電池蓋ユニット26がスライドし終わると、捩じりコイルバネ33の付勢力により、電池蓋ユニット26が図5の状態から軸部材40(図14参照:後述)を中心に矢印C方向に回動し、図6の開状態となる。
【0050】
即ち、電池蓋ユニット26は、操作者の上記操作により図5の状態から捩じりコイルバネ33(後述)の付勢力により自動的に図6の状態に跳ね上がるように構成されている。図6の状態で、電池ケース21に対する電池の入れ換え、外部メモリ(記録媒体)の入れ換えを行うことができるようになる。
【0051】
電池蓋ユニット26を閉じる場合の操作は、開ける場合の操作の逆で、操作者は図6の状態にある電池蓋ユニット26を矢印C方向とは逆方向に回動して閉じることで図5の状態とし、電池蓋ユニット26を矢印B方向とは逆方向へ指で押す。電池蓋ユニット26が図5の状態から図4の状態(閉じ位置)までくると、ロックレバー37が圧縮コイルバネ38(図10参照)の付勢力により自ずと図5の位置から図4の位置まで戻る。これに伴い、電池蓋ユニット26にはスライド規制がかかるため、ロックレバー37を操作しない限り電池蓋ユニット26は開かなくなる。
【0052】
次に、撮像装置の電池蓋保持開閉機構を構成する電池蓋ユニット26について図7、図8、図9を参照しながら詳細に説明する。
【0053】
図7は、電池蓋ユニットの斜視図である。図8は、電池蓋ユニットの上面図である。図9は、電池蓋ユニットの正面図である。
【0054】
図7、図8、図9において、各図は共に、スライダプレート32を電池蓋ユニット26の電池蓋31に対し互いが離反する方向(矢印方向)にスライドさせた状態を示している。
【0055】
図10は、電池蓋ユニットの分解斜視図である。
【0056】
図10において、電池蓋ユニット26は、電池蓋31、スライダプレート32、捩じりコイルバネ33、インナー部材34、電池接片35、ガード部材36、ロックレバー37から構成されている。
【0057】
電池蓋31は、樹脂製の絶縁部材から構成されており、ガイドリブ31a、31b、クリック山部31c、移動規制ボス31dを備えている。本実施の形態では、電池蓋31は、電池を電池ケース21に挿入した際に電池接片35の荷重を受けることになり強度が要求されるため、PC(ポリカーボネート)を使用している。尚、PCにガラス繊維を配合して更に強度向上を目指す場合もある。電池蓋31は、爪部が撮像装置本体に対し係合/解除が可能に構成されている。
【0058】
スライダプレート32(蓋部材)は、カーリング部32a、軸穴部32b、係合穴32c、移動規制穴32d、立ち壁レール部32e、32f、クリックバネ部32g、凹部32h、突入スペース32iを備えている。スライダプレート32は、導電性を有する高強度の板金部材から構成されている。本実施の形態では、スライダプレート32は、電池蓋ユニット26を開閉する際に蝶番部品として機能するため、電池蓋ユニット26の剛性を上げるべくSUS(ステンレス)から形成している。尚、スライダプレート32の強度を更に高めるため、焼き入れなどの熱処理を加えることも考えられる。
【0059】
捩じりコイルバネ33は、コイル部33a、第1の端部33b、第2の端部33cを備えている。更に、第2の端部33cは、接触部33d、第1の部分33e、第2の部分33fから構成されている(図15参照)。捩じりコイルバネ33は、導電性を有し、一方の端部が電池ケース21に係合すると共に他方の端部がスライダプレート32に係合し、スライダプレート32を電池ケース21に対して開き方向に付勢する。捩じりコイルバネ33は、ピアノ線またはSUS線材をフォーミングすることで形成している。尚、図10では、捩じりコイルバネ33をスライダプレート32に組み込んだ状態と、捩じりコイルバネ33をスライダプレート32に組み込む前の状態の双方を図示している。
【0060】
スライダプレート32には、2個所のカーリング部32aが設けられている。スライダプレート32のカーリング部32aは、後述する軸部材40を挿入するための軸穴部32bが形成される部位である。スライダプレート32の係合穴32cは、捩じりコイルバネ33の第1の端部33bを挿入し係合するための部位である。
【0061】
捩じりコイルバネ33の接触部33dは、捩じりコイルバネ33の第2の端部33cの先端部を内側に曲げ込むことで(曲率を有する形状に折り曲げることで)カール形状としたものである。捩じりコイルバネ33に接触部33dを設ける目的は次の2つである。1つ目の目的は、捩じりコイルバネ33の接触部33dをグランド板金25に接触させる際に、安定的に電気的な接続をとるためである。2つ目の目的は、組立作業者が捩じりコイルバネ33の部位を変位させながら撮像装置本体の係合部に係合させる際に、先端の鋭利部で組立作業者が怪我をしないよう配慮するためである。
【0062】
ロックレバー37は、電池蓋31とスライダプレート32のスライド移動の規制を行う部材であり、圧縮コイルバネ38を挿入可能な軸部を備える。電池蓋31に形成された穴部からロックレバー37の一部を露出させることで、操作者がロックレバー37を操作できるようになされている。圧縮コイルスバネ38は、ロックレバー37を常に一定の方向へ付勢する役割を有する。組立時には、ロックレバー37に圧縮コイルバネ38を組み付け、ロックレバー37及び圧縮コイルバネ38を電池蓋31に載せるようにして組み付ける。
【0063】
電池接片35は、高導電性で弾性領域の広い銅合金からなる板金により構成されている。電池接片35の表面は、錆を防止する目的と導電性の向上を図る目的でめっきが施されている。ガード部材36は、絶縁体である樹脂部材により構成されている。ガード部材36から突出したボスを電池接片35の穴部に嵌合させ、熱カシメや超音波溶着などを行うことで、ガード部材36を電池接片35に固着する。ガード部材36は、単3電池などの円筒形型電池が電池ケース21に逆装填された時に電池接片35と電池が接触しないようにする目的で配設されているものである。
【0064】
インナー部材34は、絶縁性を有する樹脂により構成されている。インナー部材34から突出した2箇所のボスを電池接片35の穴部に嵌合させ、熱カシメや超音波溶着などを行うことで、インナー部材34を電池接片35に固着する。インナー部材34は、導電体である電池接片35と導電体であるスライダプレート32を隔離し絶縁する役割を有する。後述するが、撮像装置の隙間から静電気が侵入した際には、スライダプレート32が静電気を受け、捩じりコイルバネ33を通じて撮像装置本体のグランド板金25へ導くよう構成されている。これにより、静電気が電池接片35に印加されることはない。
【0065】
次に、電池蓋ユニット26においてスライダプレート32に捩じりコイルバネ33を組み込む方法について説明する。
【0066】
捩じりコイルバネ33の第1の端部33bを、スライダプレート32の係合穴32cに挿入し、捩じりコイルバネ33のコイル部33aを、スライダプレート32の2箇所のカーリング部32aの間に挿入する。コイル部33aとカーリング部32aとの隣り合う部分の隙間は十分に少ないことと、第1の端部33bが係合穴32cに係合していることから、捩じりコイルバネ33はスライダプレート32から簡単に抜け落ちてしまうことはない。
【0067】
次に、電池蓋ユニット26において各部品を組み込む方法について説明する。
【0068】
まず、圧縮コイルバネ38をロックレバー37の軸部に挿入し、圧縮コイルバネ38を若干、圧縮チャージさせながら電池蓋31に載せる。ロックレバー37には、ロックレバー37が電池蓋31に対し図10の矢印D―E方向にスライド可能となるように、ガイド部及び移動規制部が設けられている。次に、捩じりコイルバネ33が組み付けられたスライダプレート32を電池蓋31の上に載せる。この時、スライダプレート32の立ち壁レール部32e、32fが電池蓋31から突出したガイドリブ31a、31bにそれぞれ嵌合し、ガイドされる。これにより、スライダプレート32は図10の矢印F−G方向にスライド可能となる。
【0069】
尚、スライダプレート32の移動規制穴32dに電池蓋31の移動規制ボス31dが挿入されることで、スライダプレート32の電池蓋31に対する矢印F−G方向における移動量が規制されることになる。また、電池蓋31に対しスライダプレート32が移動する際、スライダプレート32のクリックバネ部32gが電池蓋31のクリック山部31cを乗り越えるため、節度感(クリック感)がある移動となる。
【0070】
上記の捩じりコイルバネ33が組み付けられたスライダプレート32を電池蓋31に載せた後、電池接片35とガード部材36が組み込まれたインナー部材34を電池蓋31に一部係合させながら載せ、最後にねじ39a、39bを締め込む。これにより、電池蓋ユニット26が完成する。完成状態は図7、図8、図9で示している。ここまでくると、捩じりコイルバネ33はスライダプレート32とインナー部材34に挟まれ、尚且つ、捩じりコイルバネ33の第1の端部33bがスライダプレート32の係合穴32cに係合しているため、抜け落ちてしまうことは無い。
【0071】
次に、電池蓋ユニット26におけるロックレバー37とスライダプレート32の機構について説明する。
【0072】
上述したように、ロックレバー37により電池蓋31に対するスライダプレート32の移動が規制されている。電池蓋31が撮像装置本体に対し閉じている状態では、ロックレバー37は図10の矢印E方向に移動した位置にあり、この時、スライダプレート32は矢印G方向に移動した位置にある(この状態を初期位置とする)。この状態では、ロックレバー37の凸部37aがスライダプレート32の凹部32hに収まっており、スライダプレート32は矢印F方向へは移動が不能な状態となっている。
【0073】
操作者がロックレバー37を矢印D方向にスライドさせると、ロックレバー37の凸部37aがスライダプレート32の凹部32hから外れるため、スライダプレート32は矢印F方向に移動が可能な状態となる。スライダプレート32の移動は操作者が電池蓋31を指で押す(スライドさせる)ことで行われる。操作者がスライダプレート32を矢印F方向に移動させ、ロックレバー37の凸部37aが一度、スライダプレート32の凹部32hから外れると、ロックレバー37の凸部37aはスライダプレート32の突入スペース32iに入り込む。
【0074】
これに伴い、ロックレバー37は圧縮コイルバネ38により矢印E方向に付勢されているにも関わらず、矢印E方向には移動できなくなる。操作者により電池蓋31が矢印G方向に引き出されれば、撮像装置本体と電池蓋31の爪部との係合が解除され、捩じりコイルバネ33の作用により、電池蓋31は自ずと回動を始めるように構成されている(図6参照)。
【0075】
電池蓋31を撮像装置本体に対し閉じる際は、上述した、電池蓋31を撮像装置本体に対し開く動作とは逆の動作となる。電池蓋31を撮像装置本体に対し閉じきると、再びロックレバー37の凸部37aがスライダプレート32の凹部32hに入り込み、スライダプレート32の矢印F−G方向の移動が規制され、移動が不能な状態となる。
【0076】
電池蓋ユニット26を撮像装置本体に組み込む際には、スライダプレート32を図10の矢印F方向に引き出した状態で行う(図7、図8、図9参照)。尚、図9において破線で示す部分は、スライダプレート32が電池蓋31の内部へ押し込まれた状態を示している。この状態(スライダプレートが実線の状態)で無いと、捩じりコイルバネ33の第2の端部33cが電池蓋31に接触する可能性がある。その場合は、電池蓋ユニット26を撮像装置本体へ組み付ける際、捩じりコイルバネ33のコイル部33aが中心ズレを起こし、スライダプレート32の軸穴部32bに対する軸部材40の挿入が困難となる。
【0077】
次に、電池蓋ユニット26における捩じりコイルバネ33の取り付け状態について図11、図12、図13を参照しながら説明する。
【0078】
図11は、電池ケースの部分正面図である。図12は、電池ケースの部分上面図である。図13は、電池ケースの部分斜視図である。
【0079】
図11、図12、図13において、捩じりコイルバネ33の状態を分かりやすくするために、撮像装置本体の主構造体である電池ケース21、スライダプレート32、捩じりコイルバネ33に限定して図示している。電池ケース21は、樹脂部材から構成され、後述する軸部材40を保持する軸挿入部21c、21d、軸部材40を挿入する軸挿入穴21b、捩じりコイルバネ33の第2の端部33cを係合するバネかけ部21a(係合部)が一体的に形成されている。尚、電池ケース21のバネかけ部21aは、組立作業(バネ掛け作業)を容易にするため、前カバー1により覆われる面が開放されている。
【0080】
スライダプレート32の2個所のカーリング部32aは、電池ケース21の軸挿入部21c、21dの間に挿入されており、互いにこの挿入部位によりガイドされる。これにより、電池蓋ユニット26の回動が円滑に行われる。また、捩じりコイルバネ33の第1の端部33bは、スライダプレート32の係合穴部32cに係合させる。捩じりコイルバネ33の第2の端部33cは、スライダプレート32の軸穴部32bに対する軸部材40(図14参照)の挿入後に図11の2点鎖線の方向に変位させ、電池ケース21のバネかけ部21aに係合させる。
【0081】
捩じりコイルバネ33の接触部33dは、捩じりコイルバネ33の第2の部分33fの先端に設けられており(図15参照)、電池ケース21のバネかけ部21aに係合している状態となっている。捩じりコイルバネ33の接触部33dは、後に組み込まれるグランド板金25を押圧することで電気的に接続されるよう構成されている。
【0082】
グランド板金25は、導電性を有する薄板板金から構成されており、メカグランド部材である金属シャーシ6を介してメイン配線基板51に電気的に接続されている。グランド板金25については後述する。グランド板金25と捩じりコイルバネ33との間の接触力は、捩じりコイルバネ33の第2の端部33cのグランド板金25に対するチャージ量、捩じりコイルバネ33の線径、L寸法により変更が容易である。L寸法とは、電池ケース21のバネかけ部21aから捩じりコイルバネ33の接触部33dまでの距離である。
【0083】
図6で説明したように、捩じりコイルバネ33の付勢力により電池蓋ユニット26は自動的に回動して跳ね上がるわけである。電池蓋ユニット26を回動させる付勢力と、捩じりコイルバネ33のグランド板金25に対する接触力とは、それぞれ別々に設定できるように構成されている。そのため、捩じりコイルバネ33とグランド板金25との間の接触力を適正に保つことが可能となる。
【0084】
これにより、金属からなるスライダプレート32、軸部材40、捩じりコイルバネ33を、メカグランド部材である金属シャーシ6に電気的に接続させることができ、電気的に浮遊した(グランドに接続されていない)金属部品を無くすことができる。その結果、静電気に強い電池蓋保持開閉機構となる。
【0085】
次に、本実施の形態に係る撮像装置において電池蓋ユニット26と撮像装置本体との取り付けについて図1及び図14を参照しながら説明する。
【0086】
図1は、本実施の形態に係る撮像装置の電池蓋ユニットを装置本体に取り付ける前の状態を示す部分展開斜視図である。図14は、電池蓋ユニットを撮像装置本体に取り付けた状態を示す部分斜視図である。
【0087】
図1、図14において、電池ケース21は、上述したように金属シャーシ6に対し、ねじ22a、22bにより強固に締結されている。電池ケース21と金属シャーシ6が撮像装置本体の主構造体である。電池蓋ユニット26を電池ケース21に組み込む方法について説明する。まず、電池蓋ユニット26の構成部材であるスライダプレート32のカーリング部32a、32aを、電池ケース21の軸挿入部21c、21dの間に挿入する。この時点では、捩じりコイルバネ33には付勢力が発生するような変位は一切おきていない。
【0088】
上記挿入を行った状態では、電池ケース21の軸挿入穴21b、スライダプレート32の軸穴部32b、捩じりコイルバネ33のコイル部33aの内径部の中心は略一致しており、これらの軸部材挿入箇所に金属製の軸部材40を挿入する。軸部材挿入箇所の中心は略一致しているため、軸部材40の挿入に関わる組立工程はいたって簡単であり、労を要することはない。図14では、軸部材40を軸部材挿入箇所に挿入した状態を示している。
【0089】
最後に、捩じりコイルバネ33の第2の端部33cを図14の2点鎖線で示す矢印の方向へ変位させ、電池ケース21のバネかけ部21aに係合させることで、捩じりコイルバネ33の取り付けが完了となる。尚、軸部材挿入箇所に挿入された軸部材40は、電池蓋ユニット26に対して後に組み込まれる前カバー1や後カバー3で蓋をされるため抜けなくなる。
【0090】
次に、電池蓋ユニット26の捩じりコイルバネ33の第2の端部33cについて図15を参照しながら詳細に説明する。
【0091】
図15は、捩じりコイルバネを示す図である。
【0092】
図15において、捩じりコイルバネ33は、上述したように、コイル部33a、第1の端部33b、第2の端部33cを備えている。更に、第2の端部33cは、曲率を持つように折り曲げられた接触部33d、第1の部分33e、第2の部分33fから構成されている。図中、捩じりコイルバネ33のコイル部33aの中心、すなわち回動軸の軸方向を一点鎖線で示しているが、これは上記の軸部材40の軸中心と一致している。
【0093】
捩じりコイルバネ33の第1の部分33eは、コイル部33aの中心、すなわちスライダプレート32の回動軸の軸方向と直交する方向に延出されている。更に、捩じりコイルバネ33の第2の部分33fは、第1の部分33eの末端から、後に組み込まれる前カバー1の方向に向けて曲げられている。捩じりコイルバネ33の接触部33dは、第2の部分33fの末端に形成される。
【0094】
このように、捩じりコイルバネ33の第2の端部33cを、第1の部分33e、第2の部分33f、接触部33dから構成している理由は、後に組み込まれる前カバー1に対して押圧された時のチャージ状態の形状が省スペース形状で済むからである。
【0095】
また、捩じりコイルバネ33の接触部33dを曲率を持たせて曲げている理由は、捩じりコイルバネ33を矢印H方向からチャージした際に接触部33dが円滑に変位するよう摺動抵抗を抑えるためである。
【0096】
また、捩じりコイルバネ33の接触部33dの先端部を丸めている理由は、図10で説明したように組立時に捩じりコイルバネ33の第2の端部33cを聞いて撮像装置本体に係合する際、作業者が触れたときに怪我をしないようにするためである。
【0097】
捩じりコイルバネ33は次の2種の付勢力を有するよう構成されている。捩じりコイルバネ33の第1の付勢力は、電池蓋31を開き方向へ回動軸を中心に回動させる付勢力である。捩じりコイルバネ33の第2の付勢力は、矢印H方向から捩じりコイルバネ33の第2の端部33cの接触部33dを押圧したときに復帰する付勢力である。
【0098】
本実施の形態では、第2の付勢力は、第1の付勢力とは方向が異なっている。第2の付勢力は、第1の付勢力に関わる電池蓋31(スライダプレート32)の回動中心軸の軸方向と同じ方向(もしくは略同じ方向)に付勢力を発生するように構成されている。また、本実施の形態では、第1の付勢力と第2の付勢力の付勢方向や付勢力を別々に設定できるように構成されている。これにより、後述する前カバー1に対する捩じりコイルバネ33の接触力を、電池蓋31の開閉の状態に関わらず一定にし、安定させることが可能になっている。
【0099】
次に、撮像装置の前カバー1に取り付けられた導電部材であるグランド板金25について図16を参照しながら説明する。
【0100】
図16は、前カバーユニットを撮像装置本体の内部側から見た場合の斜視図である。
【0101】
図16において、グランド板金25は、導電性を有する薄板板金として構成されており、接触部25a、突出部25bを備えている。グランド板金25は、前カバー1に対し位置決めされ固定されている。グランド板金25は、めっきなどの導電性を有する表面処理が施された化粧リング2に接触部25aを介して弾性的に接触している。また、グランド板金25は、後に組み込まれる金属シャーシ6に突出部25bが当接した状態で外装ねじにより固定されることで、安定的に電気的に接続される。後で詳述するが、グランド板金25には、捩じりコイルバネ33の第2の端部33cの接触部33dが接触し電気的に導通する。
【0102】
次に、電池蓋ユニット26の捩じりコイルバネ33がグランド板金25に接触している状態について図17、図18を参照しながら説明する。
【0103】
図17は、撮像装置本体の部分正面図である。図18は、図17の矢視J−J線に沿う断面図である。
【0104】
図17、図18において、図17では本発明に関連する部材のみ示しており、図18ではスライダプレート32の回動軸を1点鎖線で示している。また、捩じりコイルバネ33の第2の端部33cについて、前カバー1の組み付け前の自由状態と、前カバー1の組み付け後のチャージ状態をそれぞれ破線で示している。捩じりコイルバネ33の第2の端部33cは、前カバー1を組み付けることで、スライダプレート32の回動軸の軸方向と略同一方向である矢印K方向にチャージ(変位)される。
【0105】
捩じりコイルバネ33には、このチャージの反力で前に説明した第2の付勢力(図15の矢印H方向から捩じりコイルバネ33の第2の端部33cの接触部33dを押圧したときに復帰する付勢力)が発生する。これにより、捩じりコイルバネ33は、グランド板金25に安定的に接触し電気的に接続される。
【0106】
反復の説明になるが、捩じりコイルバネ33の第2の付勢力は、スライダプレート32の方向への第1の付勢力(電池蓋31を開方向へ回動軸中心に回動させる付勢力)とは独立的で、回動方向とは異なる方向に向いている。更に、第2の付勢力は、上述したようにスライダプレート32の回動軸の軸方向と同じ方向(もしくは略同じ方向)となっている。即ち、捩じりコイルバネ33が接触部33dによりグランド板金25を押圧する方向と、捩じりコイルバネ33がスライダプレート32に作用する付勢力を得るためのチャージ方向とを異ならせている。
【0107】
上述した構成とすることで、捩じりコイルバネ33は、電池蓋31の回動方向及び回動方向とは異なる方向に該捩じりコイルバネ33の付勢力を持たせることが可能となる。そのため、電池蓋31の回動力(付勢力)とは別に、前カバー1に設けられた導電性を有するグランド板金25に対する捩じりコイルバネ33の接触力を設定することが可能となる。これにより、捩じりコイルバネ33のグランド板金25に対する接触力を常時安定させ、静電気などの外来ノイズに影響を受けにくい撮像装置を提供することが可能となる。
【0108】
以上説明したように、本実施の形態によれば以下の構成と作用及び効果を奏する。電池蓋31と捩じりコイルバネ33を撮像装置本体に組み込む際と、軸部材40を電池ケース21、スライダプレート32、捩じりコイルバネ33の軸部材挿入箇所に挿入する際に、捩じりコイルバネ33には付勢力が発生しないよう構成している。これにより、電池ケース21の軸挿入穴21b、スラーダープレート32の軸穴部32b、捩じりコイルバネ33のコイル部33aの内径部の中心を簡単に合わせることができるため、特殊な工具等を要さず難なく軸部材40を挿入することが可能となる。
【0109】
また、捩じりコイルバネ33の第2の端部33cを電池ケース21のバネかけ部21aに係合する際、バネかけ部21aの前カバー1で覆う面が開放されているため、組立作業者が労を要さずバネ掛け作業を行うことが可能となる。その後、電池ケース21のバネかけ部21aの開放部を前カバー1で覆うことで該バネかけ部21aに捩じりコイルバネ33の第2の端部33cが確実に係合するため、捩じりコイルバネ33の抜け落ちを防止することが可能となる。これにより、電池蓋31と捩じりコイルバネ33が撮像装置本体に対し軸部材40により軸支され回動可能な状態になる。
【0110】
また、捩じりコイルバネ33の接触部33dが前カバー1に取り付けたグランド板金25を押圧する方向と、捩じりコイルバネ33が電池蓋31に作用する付勢力を得るためのチャージ方向とを異ならせるように構成している。そのため、捩じりコイルバネ33における、電池蓋31に対する回動力(付勢力)とは別に、グランド板金25に対する接触力を設定することが可能となる。これにより、グランド板金25に対する接触力を常時安定させ、静電気などの外来ノイズに影響を受けにくくすることが可能となる。
【0111】
また、捩じりコイルバネ33の第1の部分33eの末端につながる第2の部分33fの先端の接触部33dを曲率を有する形状に折り曲げているため、作業者が接触部33dに触れた際の配慮となると共に組立作業性を良好とすることが可能となる。更に、捩じりコイルバネ33の接触部33dによりグランド板金25を押圧する構造において、省スペースで安定した接触圧を保つことが可能となり、捩じりコイルバネ33とグランド板金25の安定した電気的な接続が可能となる。
【0112】
以上をまとめると、捩じりコイルバネ33の組み付け時に作業者が工具等を使用せずに簡便な組み付けが可能で、捩じりコイルバネ33のグランド板金25に対する押圧力(接触力)を安定させ、静電ノイズに強い構造の撮像装置を提供することが可能となる。
【0113】
〔他の実施の形態〕
上記実施の形態では、撮像装置(カメラ)の電池蓋の開閉機構を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、機器本体に対して開閉可能な蓋部材を備えるビデオカメラや各種の電子機器に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置の電池蓋ユニットを装置本体に取り付ける前の状態を示す部分展開斜視図である。
【図2】撮像装置の構成部品を正面側から見た場合の分解斜視図である。
【図3】撮像装置の構成部品を背面側から見た場合の分解斜視図である。
【図4】電池蓋ユニットを閉じた状態を示す部分斜視図である。
【図5】電池蓋ユニットをスライドさせた状態を示す部分斜視図である。
【図6】電池蓋ユニットを開いた状態を示す部分斜視図である。
【図7】電池蓋ユニットの斜視図である。
【図8】電池蓋ユニットの上面図である。
【図9】電池蓋ユニットの正面図である。
【図10】電池蓋ユニットの分解斜視図である。
【図11】電池ケースの部分正面図である。
【図12】電池ケースの部分上面図である。
【図13】電池ケースの部分斜視図である。
【図14】電池蓋ユニットを撮像装置本体に取り付けた状態を示す部分斜視図である。
【図15】捩じりコイルバネを示す図である。
【図16】前カバーユニットを撮像装置本体の内部側から見た場合の斜視図である。
【図17】撮像装置本体の部分正面図である。
【図18】図17の矢視J−J線に沿う断面図である。
【図19】従来例に係る撮像装置の電池蓋を閉じた状態を示す斜視図である。
【図20】撮像装置の電池蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0115】
1 前カバー
21 電池ケース
21a バネかけ部
21b 軸挿入穴
21c、21d 軸挿入部
25 グランド板金
25a 接触部
25b 突出部
26 電池蓋ユニット
31 電池蓋
32 スライダプレート
32a カーリング部
32b 軸穴部
32c 係合穴
32d 移動規制穴
32e、32f 立ち壁レール部
32g クリックバネ部
32h 凹部
32i 突入スペース
33 捩じりコイルバネ
33a コイル部
33b 第1の端部
33c 第2の端部
33d 接触部
33e 第1の部分
33f 第2の部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部材と前記本体部材の開放部を覆うカバー部材とから構成される収納部を備えた電子機器において、
導電性を有し、前記本体部材に回動軸を介して回動可能に支持され、前記収納部に対して開閉可能な蓋部材と、
導電性を有し、前記カバー部材に取り付けられた導電部材と、
導電性を有し、一方の端部が前記本体部材に係合すると共に他方の端部が前記蓋部材に係合し、前記蓋部材を前記収納部に対して開き方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記付勢部材の前記一方の端部に、前記導電部材を押圧することで電気的に接続される接触部が形成され、
前記付勢部材の前記接触部が前記導電部材を押圧する方向と、前記付勢部材が前記蓋部材に作用する付勢力を得るためのチャージ方向とを異ならせることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記付勢部材の前記接触部が前記導電部材を押圧する方向は、前記蓋部材の前記回動軸の軸方向と等しい方向であることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記本体部材に、前記付勢部材の前記一方の端部が係合する係合部が形成され、
前記本体部材の前記係合部は、前記カバー部材により覆われる側が開放されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記付勢部材の前記一方の端部に、前記蓋部材の前記回動軸の軸方向と直交する方向に延出された第1の部分と、前記第1の部分の末端から前記カバー部材に向けて曲げられる第2の部分とが形成され、
前記付勢部材の前記接触部は、前記第2の部分の末端に形成されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記付勢部材の前記接触部は、曲率を有する形状に折り曲げられることを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器は、撮像装置を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−49177(P2010−49177A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215358(P2008−215358)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】