説明

電子機器

【課題】 筐体内部に占めるスペースを低減できるボタンを有する電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器は、開口部24が設けられた筐体と、開口部24の内側で進退可能に嵌ったボタン25と、筐体の内部に収容されるとともに、ボタン25の押し込みを検知するスイッチ35が取り付けられたプリント配線板と、一対の支持部28と、を具備する。各支持部28は、プリント配線板の両端部を支持するように筐体の内部にそれぞれ突出するとともに、ボタン25のストッパを兼ねる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
押しボタンスイッチの実装構造が開示されている。この実装構造は、装置筐体の底面に設けられたボスと、ボスにねじで固定された実装基板と、実装基板の一の面に実装された押しボタンスイッチと、押しボタンスイッチに対向するように設けられた操作ボタンと、を備えている。操作ボタンの背面には、実装基板の端面およびストッパに対応するストッパリブが設けられている。
【0003】
ユーザが所定のストロークを超えて操作ボタンを押下すると、ストッパリブが実装基板の端面およびストッパに当接する。これによって、押しボタンスイッチに強い力が作用しても、押しボタンスイッチが壊れてしまうことがないようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−15959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の押しボタンのスイッチの実装構造では、筐体の内部における使用スペースが大きくなっており、近年の小型の電子機器にはそのまま適用することが難しくなっていた。
【0006】
本発明の目的は、筐体内部に占めるスペースを低減できるボタンを有する電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る電子機器は、開口部が設けられた筐体と、前記開口部の内側で進退可能に嵌ったボタンと、前記筐体の内部に収容されるとともに、前記ボタンの押し込みを検知するスイッチが取り付けられたプリント配線板と、前記プリント配線板の両端部を支持するように前記筐体の内部にそれぞれ突出するとともに、前記ボタンのストッパを兼ねた一対の支持部と、を具備する。
【0008】
前記目的を達成するため、本発明の他の形態に係る電子機器は、開口部が設けられた筐体と、前記開口部の内側で進退可能に嵌ったボタンと、前記筐体の内部に収容される部品と、前記部品を固定できるように前記筐体内部に張り出すとともに、前記ボタンのストッパを兼ねた支持部と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、筐体内部に占めるスペースを低減できるボタンを有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係るポータブルコンピュータを示す斜視図。
【図2】図1に示すポータブルコンピュータの本体ユニットを示す上面図。
【図3】図2に示す本体ユニットの本体ケースの一部を下方から示した下面図。
【図4】図3に示す本体ケースから補強板を取り外した状態を示した下面図。
【図5】図4に示す本体ケースからスイッチ基板を取り外した状態を示した下面図。
【図6】図4に示す本体ユニットの支持部の一つを示した斜視図。
【図7】図2に示すF7―F7線に沿った断面図。
【図8】図2に示すF8―F8線に沿った断面図。
【図9】第2の実施形態に係るポータブルコンピュータの縦方向に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図1から図8を参照して、電子機器の第1の実施形態について説明する。本明細書において、手前側(即ちユーザ側)を前方向F、ユーザから見て奥側を後方向R、ユーザから見て左側を左方向、ユーザから見て右側を右方向、ユーザから見て上方を上方向、ユーザから見て下方を下方向と定義する。
【0012】
図1に示すように、電子機器の一例であるポータブルコンピュータ11は、本体ユニット12と、表示ユニット13と、本体ユニット12と表示ユニット13との間に設けられるヒンジ部14と、を備えている。ヒンジ部14は、表示ユニット13を回転可能に支持している。
【0013】
表示ユニット13は、ディスプレイ15と、ディスプレイ15の周囲を取り囲むように例えば合成樹脂で形成されたディスプレイケース16と、を有している。ディスプレイ15の一例として、本実施形態では、液晶ディスプレイが搭載されている。
【0014】
図1から図4、図7に示すように、本体ユニット12は、例えば、合成樹脂によって箱状に形成される本体ケース21と、本体ケース21の上面に取り付けられたキーボード22およびタッチパッド23と、本体ケース21に略長方形に設けられた開口部24と、開口部24の内側に嵌った一対のボタン25と、本体ケース21の内部に収容されたメイン基板26と、本体ケース21の内部にメイン基板26とは独立に収容されたスイッチ基板27と、スイッチ基板27の両端部を支持するように本体ケース21の内部に突出した一対の支持部28と、スイッチ基板27を補強するための補強板29と、スイッチ基板27および補強板29を支持部28に固定するためのねじ30と、を有している。本発明にいう筐体は、本体ケース21とディスプレイケース16とを含んだ概念である。また、キーボード22のキー22Aは、その一部のみを示している。
【0015】
図5に示すように、本体ケース21は、その内面に、例えばスパッタリング等の手法で形成した金属薄膜であるシールド層33を有している。シールド層33は、本体ケース21内部の回路部品等から発生する電磁波が、本体ケース21を透過して外部に漏洩したり、逆に外部からの電磁波が本体ケース21内部の回路部品に悪影響を及ぼしたりすることを阻止する。
【0016】
補強板29は、鉄等の金属材料により略方形の枠状に形成されている。補強板29は、スイッチ基板27を支持してスイッチ基板27を補強するだけでなく、スイッチ基板27とシールド層33とを電気的に接続する役目も果たしている。補強板29は、その中央に開口部38を有している。補強板29bには、左右方向に延びた曲げ構造部31が前側と後ろ側にそれぞれ設けられており、機械的な強度が向上されている。また、補強板29は、爪部32を一対に有しており、これら爪部32を本体ケース21の差込部21Aに対してそれぞれ差し込んで補強板29を本体ケース21に固定することができる。
【0017】
スイッチ基板27は、プリント配線板の一例である。また、このスイッチ基板27は、本体ケース21の内部に収容される部品の一例でもある。図4、図8に示すように、スイッチ基板27は、略長方形の板状をなした基板本体34と、基板本体34上に取り付けられるスイッチ35と、を有している。スイッチ35は、ボタン25の進退(押し込み)を検知することができる。また、基板本体34には、後述する位置決めピン47が通される位置決め孔36と、ねじ30が通されるねじ孔37と、を有している。スイッチ基板27は、2つの支持部28の間に掛け渡されている。図7に示されるねじ30は、固定具の一例である。
【0018】
図5、図6に示すように、支持部28は、本体ケース21の枠状部40から突出した方形板状の支持部本体41と、支持部本体41に設けられる第1の面42と、第1の面42に設けられるとともにボタン25に向けて突出したボス43と、支持部本体41の第1の面42とは反対側に設けられる第2の面44と、ボス43の内側に埋め込まれるとともにねじ30が挿入されるインサート45と、補強板29をねじ30で固定するための凸部46と、スイッチ基板27を位置決めするための位置決めピン47と、を有している。
【0019】
支持部28は、本体ケース21の前後方向に直交する幅方向に分離した位置に一対に設けられており、スイッチ基板27の長手方向の両端部に対応して設けられている。言い換えると、支持部28は、開口部24の両端部に対応する位置に配置されている。図7に示すように、スイッチ基板27は、支持部28の第2の面44に固定されている。ボス43は、その内部にインサート45を配置するだけでなく、ボタン25の最大押し下げ位置を規定するストッパとしての機能を兼ねている。図6に示すように、凸部46の内側にもインサート45が埋め込まれている。凸部46は、ボタン25の後述する突出部52と、固定部分25Aとの間の位置に設けられている。
【0020】
ボタン25は、開口部24の内側で進退することができる。ボタン25は、合成樹脂によって形成されている。図5、図6に示すように、ボタン25は、その後方向に設けられる固定部分25Aにおいて、例えば溶着等の手法で本体ケース21に接着されている。
【0021】
ボタン25は、ボタン本体51と、ボタン本体51から突出した突出部52と、固定部分25Aと、ボタン本体51と固定部分25Aとの間に設けられるアーム部53と、を有している。突出部52は、略十時形をなしている。ボタン25の突出部52は、支持部28のボス43よりも前方に配置されている。突出部52は、ボタン本体51の中央部を示した直線Aよりも前側の位置に配置されている。ボス43は、ボタン25の最大押込み位置で、ボタン本体51に当接してボタン25を停止させることができる。ボタン本体51は、固定部分25Aおよびアーム部53によって、いわゆる片持ちで支持されている。
【0022】
ここで、図7、図8を参照して、ボタン25の押し込み動作について説明する。ユーザがボタン25を押し込むと、まず、図8に示すように、突出部52がスイッチ基板27上のスイッチ35を押し込む。そして、さらにユーザがボタン25の押し込みを続けると、図7に示すボス43がボタン本体51に突き当たって、ボタン25の移動が停止される。これによって、ユーザによる過度のボタン25の押し込みによって、スイッチ35が破損等してしまう事態が防止される。
【0023】
第1の実施形態によれば、ポータブルコンピュータ11は、開口部24が設けられた筐体と、開口部24の内側で進退可能に嵌ったボタン25と、筐体の内部に収容されるとともに、ボタン25の押し込みを検知するスイッチ35が取り付けられたプリント配線板と、プリント配線板の両端部を支持するように筐体の内部にそれぞれ突出するとともに、ボタン25のストッパを兼ねた一対の支持部28と、を具備する。
【0024】
また、ポータブルコンピュータ11は、開口部24が設けられた筐体と、開口部24の内側で進退可能に嵌ったボタン25と、筐体の内部に収容される部品と、部品を固定できるように筐体内部に張り出すとともに、ボタン25のストッパを兼ねた支持部28と、を具備する。
【0025】
これらの構成によれば、プリント配線板(部品)を支持するための支持部28によって、押下げられたボタン25を停止させることができるため、支持部28とストッパとを別々に設ける場合に比して、部品点数を削減できる。また、筐体内部における使用スペースを低減することができる。
【0026】
この場合、支持部28は、第1の面42と、第1の面42に設けられるとともにボタン25に向けて突出したボス43と、第1の面42とは反対側の第2の面44と、を含み、プリント配線板は、支持部28の第2の面44に固定される。
【0027】
この構成によれば、第2の面44においてプリント配線板を固定し、第1の面42のボス43によってボタン25のストッパを兼ねることができる。これによって、プリント配線板の支持とボタン25のストッパを兼ねる構成を簡単な構造で実現することができる。
【0028】
また、プリント配線板を支持部28に固定するための固定具を具備し、ボス43の内側には、固定具が固定されるインサート45が設けられる。この構成によれば、ボス43の内側の部分のスペースを有効活用することができ、スペースの使用効率を向上することができる。これによって、さらにポータブルコンピュータ11の小型化を進めることができる。
【0029】
続いて、図9を参照して、ポータブルコンピュータ11の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態のポータブルコンピュータ11は、ボス43の内部にインサート45を設けていない点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明を省略する。ポータブルコンピュータ11は、図1に示す第1の実施形態のものと同様の外観を有する。
【0030】
支持部28は、本体ケース21の枠状部40から突出した方形板状の支持部本体41と、支持部本体41からボタン25に向けて突出したボス43と、ボス43の内側に設けられたねじ穴61と、補強板29を固定するための凸部46と、スイッチ基板27を位置決めするための位置決めピン47と、を有している。支持部28は、本体ケース21の前後方向に直交する幅方向に分離した位置に一対に設けられており、スイッチ基板27の長手方向の両端部に対応して設けられている。支持部28は、開口部24の両端部に対応する位置に配置されている。凸部46の内側にインサート45が埋め込まれている。ねじ穴61は、固定孔の一例であり、これに対してねじ30を固定することができる。
【0031】
第2の実施形態によれば、プリント配線板を支持部28に固定するための固定具を具備し、ボス43の内側には、固定具が固定される固定孔が設けられる。この構成によれば、ボス43の内側に固定孔が設けられるため、ボス43内部のスペースを有効に活用することができ、スペースの使用効率を向上して、ポータブルコンピュータ11を小型化することができる。
【0032】
電子機器は、上記実施形態に示したポータブルコンピュータ11用に限らず、例えば携帯電話機のようなその他の電子機器に対しても実施可能である。その他、電子機器は、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
11…ポータブルコンピュータ、21…本体ケース、22…キーボード、24…開口部、25…ボタン、27…スイッチ基板、28…支持部、30…ねじ、42…第1の面、43…ボス、44…第2の面、45…インサート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられた筐体と、
前記開口部の内側で進退可能に嵌ったボタンと、
前記筐体の内部に収容されるとともに、前記ボタンの押し込みを検知するスイッチが取り付けられたプリント配線板と、
前記プリント配線板の両端部を支持するように前記筐体の内部にそれぞれ突出するとともに、前記ボタンのストッパを兼ねた一対の支持部と、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記支持部は、第1の面と、前記第1の面に設けられるとともに前記ボタンに向けて突出したボスと、前記第1の面とは反対側の第2の面と、を含み、
前記プリント配線板は、前記支持部の前記第2の面に固定されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記プリント配線板を前記支持部に固定するための固定具を具備し、
前記ボスの内側には、固定具が固定されるインサートが設けられることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記プリント配線板を前記支持部に固定するための固定具を具備し、
前記ボスの内側には、固定具が固定される固定孔が設けられることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
開口部が設けられた筐体と、
前記開口部の内側で進退可能に嵌ったボタンと、
前記筐体の内部に収容される部品と、
前記部品を固定できるように前記筐体内部に突出するとともに、前記ボタンのストッパを兼ねた支持部と、
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記支持部は、第1の面と、前記第1の面に設けられるとともに前記ボタンに向けて突出したボスと、前記第1の面とは反対側の第2の面と、を含み、
前記部品は、前記支持部の前記第2の面に固定されることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記部品を前記支持部に固定するための固定具を具備し、
前記ボスの内側には、固定具が固定されるインサートが設けられることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記部品を前記支持部に固定するための固定具を具備し、
前記ボスの内側には、固定具が固定される固定孔が設けられることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項9】
前記部品は、前記ボタンの押し込みを検知するスイッチが取り付けられたプリント配線板であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−134497(P2011−134497A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291290(P2009−291290)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【特許番号】特許第4703762号(P4703762)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】